熱戦譜〜2022年6月の試合から


MENU
MENUのbクリックすると各観戦記にジャンプします

試合日 試合 結果
2022.06.04 10回戦  井上岳志  判定  ワチュク・ナァツ
2022.06.04 8回戦  池側 純  TKO8R  落合壱星
2022.06.04 6回戦  森 朝登  TKO4R  提箸弘幸
2022.06.04  IBF世界スーパーフェザー級
 タイトルマッチ12回戦
 ジョー・コルディナ  KO2R  尾川堅一
2022.06.07  IBF・WBA・WBC世界バンタム級
 王座統一戦12回戦
 井上尚弥  TKO2R  ノニト・ドネア
2022.06.07  WBOアジアパシフィック&日本スーパーライト級
 タイトルマッチ10回戦
 平岡アンディ  TKO6R  赤岩 俊
2022.06.07  WBOアジアパシフィック&日本スーパーバンタム級
 王座統一戦12回戦
 井上拓真  判定  古橋岳也
2022.06.10  WBA世界ライトフライ級
 王座統一戦12回戦
 京口紘人  TKO8R  エステバン・ベルムデス
2022.06.13 10回戦  中谷正義  KO1R  ハルモニート・デラ・トーレ
10 2022.06.13  日本ウェルター級
 暫定王座決定戦10回戦
 小畑武尊  TKO5R  永野祐樹
11 2022.06.13 8回戦  中野幹人  KO3R  ファニト・パレデス

ホームページのトップに戻る     熱戦譜のトップに戻る     ← 2022年5月に戻る     次に進む →


                      2022年6月4日(土)    後楽園ホール
                        10回戦(スーパーウェルター級)
                IBF世界S・ウェルター級15位        日本ミドル級1位
                ○   井上岳志    判 定    ワチュク・ナァツ   ●
                            (ワールドスポーツ) 154 lbs            (マーベラス) 153 1/4 lbs
                                         Nath Nwachukwu

 再戦とあって,お互いの手の内を知り尽くしている両者。初回,ナァツは左に回りながら左ジャブを上下に。井上はじりじりと前に出て,右アッパー,ストレート。ナァツも押し負けていない。
 スピードがあるナァツ。2回,左アッパーのボディブロー。井上はナァツを青コーナーに詰めて攻勢に出るが,逆にナァツが反撃に出て左フックを打つ。
 5回,井上はオーバーハンドの右フックから左のフック。終盤,ナァツを青コーナーに詰め,ダイナミックな左右フックを浴びせる井上。ナァツもよく応戦しているが,ここはさすがに井上が打ち勝っている。
 6回,井上はニュートラルコーナーにナァツを追い込み,左フックのボディブロー,左右フックを浴びせる。ナァツはスピードを生かせず,井上のペースに合わされている。
 9回,ナァツはよく攻めるが,井上は冷静に見ている。井上の小さいワンツーのカウンターがヒット。
 終盤,激しい打ち合い。ナァツは左フック,右ストレートで攻めるが,疲労でパンチが流れる。井上はパワフルな左右フック。打ち合いの中で終了ゴングを聞いた。

 2020年11月以来の再戦。井上が再びナァツを退けた。前回はナァツのスピードにやや苦戦したが,今夜はパワーを生かして左ジャブ,左右フックを要所に決めた。単発になることが気になるが,やはり連打を心がけるべき。オーバーハンドの右フックが効果的。もう少しボディにパンチを散らした方がいいだろう。
 ナァツは重量級としては非常にスピードがある。フットワークもあり,柔軟な上体から放つ左ジャブ,右ストレート,左フックがよく伸びる。善戦ではあるが,今回は井上のキャリアに出足をうまく殺されていた。それだけ井上に研究されていたことが窺える。

採点結果 井上 ナァツ
主審:岡庭 健 *** ***
副審:ビニーマーチン 98 93
副審:杉山利夫 96 94
副審:葛城明彦 96 94
参考:MAOMIE 98 92


     ○井上:21戦18勝(10KO)2敗1分     32歳     身長:173cm
     ●ナァツ:12戦7勝(3KO)3敗2分      24歳     身長:175cm

     放送:G+
     解説:飯田覚士&山中慎介
     実況:山ア 誠

このページのトップに戻る


                        2022年6月4日(土)    後楽園ホール
                            8回戦(55.0kg契約)
               日本S・バンタム級(ノーランク)   T  K  O    日本S・バンタム級(ノーランク)
                ○   池側 純     8回2分31秒     落合壱星   ●
                            (角海老宝石) 121 lbs                       (セレス) 120 3/4 lbs
                    いけがわ・じゅん                      おちあい・いっせい

 サウスポー同士の対戦。池側はフェイントをかけながら左ストレート,右ジャブ。終盤,落合を青コーナーに詰め,ワンツーの連打で攻勢に出る池側。2回,落合は左ストレートを振るが,池側はよく見て力を抜いたワンツー,右ジャブを巧打。打ち終わりや待っているところに巧みなワンツーを打つ池側。
 3回,池側がスピード重視のコンビネーションブローを浴びせる。右フックからロープに詰め,ワンツーの連打。さらに右フックのボディブロー,左アッパー,左ストレートもヒットする。
 4回,スピード,うまさの差が出る。落合をニュートラルコーナーに追い込み,右フックのボディブロー,左アッパー。池側はさらにスピードが乗ったワンツーを浴びせる。
 6回,スピードで圧倒する池側。終盤,左ストレートで落合をロープに詰めた池側が攻勢に出る。ロープからニュートラルコーナーに追い,連打を浴びせる池側。
 7回,劣勢の落合が池側をロープに追って,右アッパーのボディブロー。しかし,終盤,池側が左ストレートを効かせて落合を青コーナーに詰め,ワンツー,左アッパーで攻勢に出る。
 8回,池側がコンスタントに右ジャブを当てる。さらに右アッパーで落合をのけぞらせる。2分過ぎ,青コーナーで左アッパーでぐらつかせ,右アッパーで落合のアゴを跳ね上げたところで吉田主審が試合をストップした。

 スピード,うまさで上回る池側が圧勝し,プロ入り後初のうれしいTKO勝利。コンスタントに右ジャブを出バナに当てていた。前半は力を抑えてスピード重視のコンビネーションブロー,特にワンツーの連打をまとめた。徐々に右アッパーなどをボディに散らして動きを鈍らせ,ダメージが溜まった終盤に仕留めた。大阪商大で主将を務めており,66戦51勝15敗というアマ戦績がある。一発のパンチ力は今ひとつだが,アマチュア仕込みのしっかりしたテクニックが光る。
 落合はサウスポーのボクサーファイターで左ストレートを得意としている。この左ストレートあるいは右アッパーのボディブローで迫ったが,池側の巧みなディフェンスとスピードに阻まれた。

     主審:吉田和敏,副審:浅尾和信&杉山利夫&岡庭 健
     ○池側:4戦3勝(1KO)1分     24歳     身長:172cm
     ●落合:4戦3勝(2KO)1敗     21歳     身長:172cm
     放送:G+     解説:飯田覚士&山中慎介     実況:辻岡義堂

このページのトップに戻る


                        2022年6月4日(土)    後楽園ホール
                           6回戦(スーパーバンタム級)
               日本S・バンタム級(ノーランク)   T  K  O    日本S・バンタム級(ノーランク)
                ○   森 朝登     4回2分04秒     提箸弘幸   ●
                           (ワールドスポーツ) 122 lbs                       (宮田) 121 1/2 lbs
                      もり・あさと                        さげはし・ひろゆき

 左の森,右の提箸。提箸は左ジャブを打ちながら前に出る。しかし,森の鮮やかな左ストレートのカウンターがヒット。提箸をニュートラルコーナーに詰め,左右フックのボディブローから左ストレートを浴びせる森。さらに右アッパーから左ストレートをヒット。
 2回,提箸は積極的に距離を詰め,左フック,右ストレートをヒットする。森はこのパンチをもらってクリンチに出る。森も左ストレートで反撃に出るが,この回は提箸がリードする。
 3回にも提箸が積極的に攻めるが,森の左アッパー,右フックのボディブローで動きが鈍る。終盤,森の右から左のフックで提箸がぐらつく。
 4回,提箸は前に出るが,森はよく見て左アッパー,ストレートをボディに打ち,徐々に提箸を弱らせていく。森の右フック,左ストレートで提箸が守勢に陥ったところでマーチン主審が試合をストップした。

 昨年11月に東日本バンタム級新人王戦の準決勝で梅津奨利(三谷大和)に2回KO負けを喫した森の再起戦。サウスポーのボクサーファイターで左ストレート,右フックを得意としており,カウンターのタイミングがいい。提箸のインファイトに押される場面があったが,ボディに左アッパー,右フックを打って動きを鈍らせた。当てる勘とパンチのタイミングにいいものがある。
 提箸は右ボクサーファイターだが,どちらかというとファイターに近い。右ストレート,左フックを振って積極的に攻めた。しかし,タイミングのいいカウンターを受けた。ボディブローで動きを止められたことが響いた。3年9ヶ月ぶりのリングだったが,これでブランク以前を含めて7連敗。

     主審:ビニー・マーチン,副審:浅尾和信&葛城明彦&松阪わかこ
     ○森:10戦6勝(5KO)4敗          25歳     身長:163cm
     ●提箸:21戦7勝(1KO)12敗2分     36歳     身長:169cm
     放送:G+     解説:なし     実況:辻岡義堂

このページのトップに戻る


           2022年6月4日(土)    モーターポイント・アリーナ(英国ウェールズ:カーディフ)
                     IBF世界スーパーフェザー級タイトルマッチ12回戦
                    挑戦者(同級3位)   K     O    チャンピオン
                ○   ジョー・コルディナ   2回1分15秒   尾川堅一   ●
                               (英国) 129 1/2 lbs                   (帝拳) 129 1/4 lbs
                             Joe Cordina

 初回,地元の大声援を受けたコルディナが小刻みにフェイントをかけながら左ジャブ,右ストレートを打つ。タイミングのいいコルディナの左ジャブが決まる。尾川はコルディナをロープに詰め,左フック,ワンツー。終盤,尾川は単発ながらも右ストレートをヒットする。
 2回,スピードのあるコルディナの左ジャブが伸びる。尾川はこれをかわさないといけない。右ストレートをボディに打つ尾川。しかし,1分過ぎ,左でボディを打つと見せかけたコルディナが思い切り踏み込んで右ストレートを一閃。まともにアゴにもらった尾川はあっという間に大の字に沈む。立ち上がろうと上体を起こしたが,体が言うことを聞かない。アレクサンダー主審はそのままカウントアウトした。

 敵地で初防衛戦に臨んだ尾川だが,痛恨の王座陥落となった。コルディナの左ジャブにやや先手を取られたが,ワンツー,左フックをヒットしてリズムを掴んだ矢先の右一発。やはり動きが硬く,コルディナのフェイントを交えた攻撃でリズムを掴めなかった。
 コルディナは右ボクサーファイター。2016年のリオデジャネイロ五輪ライト級の英国代表。左ジャブからの右ストレートに威力がある。小刻みな動きを交えたフェイントをかけながら,左ジャブをタイミングよくヒットする。これで尾川の出バナを叩いて試合をリードした。フィニッシュの右ストレートは左をフェイントに使って思い切り打ち込んだ見事なパンチだった。

     主審:マイケル・アレクサンダー(英国),副審:デイブ・ブラスロー(米国)&フィル・エドワーズ(英国)&ロビン・テイラー(米国)
     ○コルディナ:15戦15勝(9KO)               30歳     身長:175cm     リーチ:175cm
     ●尾川:30戦26勝(18KO)2敗1分1無効試合     34歳     身長:173cm
     放送:WOWOW     解説:長谷川穂積&亀海喜寛     実況:鈴木 健     アシスタント:増田美香

このページのトップに戻る


                   2022年6月7日(火)    さいたまスーパーアリーナ
                  IBF・WBA・WBC世界バンタム級王座統一戦12回戦
                  IBF・WBAチャンピオン   T  K  O    WBCチャンピオン
                ○   井上尚弥    2回1分24秒    ノニト・ドネア   ●
                         (大橋) 118 lbs                        (比国) 117 3/4 lbs
                                                        Nonito Donaire

 開始早々,ドネアが左フックから仕かける。一方の井上は左ジャブ,フックがよく出る。プレスをかけるドネアに左フックを合わせる井上。早くも異様な緊迫感に包まれる。終了間際,井上の右フックがテンプルにカウンターになり,ドネアは腰から落ちてダウン(カウント9)。このパンチは見た目以上に効いており,朦朧としているドネア。セコンドについているレイチェル夫人に促され,我に返ったようにファイティングポーズを取った。
 2回,井上の左フックで足が縺れたドネアはロープに詰まる。ドネアは立て直しを図るが,井上は構わず左ジャブ,右ストレートでピッチを上げる。井上の左フックでぐらついたドネアは大きく体勢が崩れ,ロープ際に後退。ロープを背にしたドネアにワンツー,左フックで攻勢に出る井上。ドネアは何とかしのぐが,力なくニュートラルコーナーに詰まる。一気に畳みかける井上。容赦ないワンツーから左フックをフォローされたドネアは,ロープ下で仰向けに崩れ落ちる。ここでグリフィン主審が試合をストップした。

 井上が圧巻のTKOで宿敵ドネアを返り討ちに仕留め,3団体統一を果たした。2019年11月の激戦に次ぐリターンマッチに決着をつけた。開始早々からドネアが切れる左フックを振って攻め,緊迫した展開になった。しかし,スピード,切れ味十分の左ジャブ,フックですぐにリズムを取り戻した。あとは井上が一方的にプレスをかける展開。初回にダウンを奪ったのはクロス気味の右フックのカウンター。左ジャブと見せかけてドネアのガードが下がったところにうまく打ち下ろした。これはかなり効いており,2回には嵐のような攻撃であっという間にドネアを沈めた。苦戦も予想されたが,予想以上の圧勝。再び最大の難関ドネアを退けた井上にとって,残るはWBO王者ポール・バトラー(英国)のみ。これを破れば4団体のバンタム級タイトルを統一することになるが,今夜の井上の姿を見ればバトラーが対戦を回避することも考えられる。
 ドネアは39歳とは思えぬシャープな動きを見せたが,右を打とうとしたところに右クロスを決められた。これによって2回には見た目にもわかるほどパンチに対する反応が鈍っていた。

1回までの採点 井上 ドネア
主審:マイケル・グリフィン(カナダ) *** ***
副審:ジーン・ロバート・レイン(モナコ) 10
副審:パトリック・モーリー(米国) 10
副審:デビッド・サザーランド(米国) 10
参考:MAOMIE 10


     ○井上:23戦23勝(20KO)         29歳     身長:165cm     リーチ:171cm
     ●ドネア:49戦42勝(28KO)7敗     39歳     身長:170cm     リーチ:174cm

     放送:AmazonPrimeVideo
     解説:長谷川穂積&山中慎介
     実況:森 昭一郎

このページのトップに戻る


                      2022年6月7日(火)    さいたまスーパーアリーナ
                  WBOアジアパシフィック&日本スーパーライト級タイトルマッチ10回戦
                     チャンピオン      T  K  O   挑戦者(日本8位)
               ○   平岡アンディ    6回1分24秒    赤岩 俊   ●
                              (大橋) 140 lbs                        (マナベ) 140 lbs

 初回,平岡が早くも鋭い右ジャブ,左ストレート,アッパーを上下に連発して主導権を握る。平岡の左アッパーがタイミングよく決まる。このパンチで意表を突かれた赤岩は思わず右グラブをキャンバスについてダウンを取られた(カウント8)。赤岩にダメージはなく,逆に左フックを警戒した平岡が下がって様子見に回る展開になった。
 2回,平岡は右ジャブ,左ストレートを上下に見舞い,主導権は渡さない。赤岩はじりじりと迫り,左フック,右ストレートを浴びせる。ポイントは平岡につくが,赤岩に一発があるだけに予断を許さない状況が続いた。
 5回,赤岩がサウスポーにスイッチして3分間を戦い,流れを変えようとする。赤岩の右フックがヒット。平岡も右ジャブ,左ストレートを浴びせる。
 6回,引き続き左構えの赤岩。しかし,平岡の右アッパーでぐらつく。攻勢に出た平岡は左右アッパーで一気に追撃。ロープを背負った赤岩が防戦一方に陥ったところで岡庭主審がストップした。

 地力に勝る平岡が2冠をいずれも2度目の防衛に成功。一発があってしぶとい赤岩に対して慎重に戦う場面はあったが,結局は力の差が出た。リーチ,上背に恵まれたサウスポーのボクサーファイターで,深い懐から放つ右ジャブ,上下への左ストレート,アッパーが鋭い。このクラスは世界的に層が厚いが,世界挑戦は十分に期待できる。
 赤岩は右ファイタータイプ。ベタ足でスピードはないが,右ストレート,左フックに一発がある。実力差があるだけに,早い回での決着が予想された。しかし,圧倒的不利の予想にもめげず,大健闘を見せた。平岡を食ってやろうという意欲満々で,初回のダウン以降は逆に平岡が慎重になる展開が見られた。敗れたとはいえ,健闘が光る。

5回までの採点 平岡 赤岩
主審:岡庭 健 *** ***
副審:浅尾和信 50 44
副審:中村勝彦 50 44
副審:飯田徹也 50 44
参考:MAOMIE 50 44


     ○平岡:20戦20勝(15KO)        25歳     身長:180cm     リーチ:188cm
     ●赤岩:12戦7勝(5KO)4敗1分     29歳     身長:175cm     リーチ:178cm

     放送:AmazonPrimeVideo
     解説:長谷川穂積&山中慎介
     実況:立本信吾

このページのトップに戻る


                2022年6月7日(火)    さいたまスーパーアリーナ
            WBOアジアパシフィック&日本スーパーバンタム級王座統一戦12回戦
              WBOアジアパシフィック チャンピオン           日本チャンピオン
                ○   井上拓真     判 定     古橋岳也   ●
                               (大橋) 122 lbs                   (川崎新田) 122 lbs
                WBO S・バンタム級12位,WBC・IBFバンタム級4位

 序盤から井上が卓越したテクニックを見せ,主導権を握った。初回,左ジャブで早くも古橋のアゴが上がる。古橋は井上をロープ際に押し込んでいくが,井上は左フックのカウンター,左アッパーを浴びせる。
 2回,井上は中間距離で左ジャブを多用する。攻め込む古橋に対し,井上は右ストレート,左フックのカウンターを決める。さらにトリプルの左アッパーの連打。井上はうまくさばいてカンターを巧打する。古橋はバッティングで右目上をカット。3回,前に出る古橋を左右に動いてさばき,右アッパーでのけぞらせる井上。井上は右アッパーを多用し,左フックのボディブローを打つ。5回,井上の左フックがカウンターになり,古橋がのけぞる場面があった。
 7回,古橋のボディブローが低く入り,ローブローで一時中断。フェイントがなく正直な古橋は思うようにパンチがヒットしない。井上は左右にさばき,左ジャブ,フック,接近して右アッパー。古橋は頭の振りがなく,標的になってしまう場面が目立つ。
 10回,スピードとうまさで翻弄する井上。古橋も左右フックをヒットするが,全般的には井上にポイントが流れる。古橋は左目上をカット(井上の有効打)。
 11回は井上が休んで力を溜める。古橋は左右フックで愚直に攻め込む。
 12回,井上も苦しいが,右フック,ストレート。古橋は最後まで脅威の粘りを見せた。

 井上が大差の判定でWBOアジアパシフィック王座の初防衛に成功し,日本王座と併せて2冠を統一した。タフな古橋にフィニッシュこそ逃したが,スピード,テクニックを存分に披露して見せ場を作った。足を使って左右に動いて古橋をさばき,ロープを背負っても巧みなボディワークで翻弄した。特に左ジャブ,フック,接近戦で多用した右アッパーが冴えた。ただ,いいパンチが当たったところで一気にまとめてストップを呼び込む方法はあったはず。兄・尚弥の陰に隠れているが,和氣慎吾,栗原慶太に続いて今夜の古橋という国内トップクラス撃破した実力は本物。あとはいかに見せ場を作ってアピールするかだろう。
 古橋は3度目の防衛に失敗。驚異的なタフネスと粘りで食い下がった。しかし,井上のスピード,テクニックの前にパンチを見切られてしまい,完敗。攻め込んで連打を見せたが,前傾していたためにウェイトが十分に乗っていなかったことが惜しまれる。

採点結果 井上 古橋
主審:杉山利夫 *** ***
副審:福地勇治 119 109
副審:染谷路朗 120 108
副審:吉田和敏 120 108
参考:MAOMIE 119 109


     ○井上:17戦16勝(3KO)1敗         26歳     身長:164cm     リーチ:163cm
     ●古橋:39戦28勝(16KO)9敗2分     34歳     身長:165cm

     放送:AmazonPrimeVideo
     解説:長谷川穂積&山中慎介
     実況:森 昭一郎

このページのトップに戻る


              2022年6月10日(金)    ドモ・アルカルデ(メキシコ:グアダラハラ)
                     WBA世界ライトフライ級王座統一戦12回戦
                   スーパーチャンピオン   T  K  O      正規チャンピオン
                ○   京口紘人    8回0分24秒    エステバン・ベルムデス   ●
                            (ワタナベ) 107 3/4lbs                       (メキシコ) 107 3/4 lbs
                                                          Esteban Bermudez

 京口が絶好の滑り出しを見せた。左ジャブを多用し,右ストレート,上下への左フック,アッパーによる果敢な先制攻撃に出る。アゴに打ち込む左アッパーがよくヒット。ベルムデスは左ジャブ,右ストレートで応戦するが,スピードは今ひとつ。
 2回,接近戦での打ち合い。京口は右ストレート,左右アッパーをボディに。2分過ぎには右アッパーでぐらつかせて攻勢に出る。ベルムデスは打ち返すが,鼻から出血して早くもダメージの色が出る。
 3回,ベルムデスは執拗に出て攻める。しかし,京口はよく反応し,右ストレートから左アッパー。右アッパーでのけぞるベルムデス。ベルムデスは鼻血に加えて左前頭部をカットし,多量の出血でドクターチェックを受ける。
 ところが4・5回は血まみれのベルムデスが本領を発揮した。やや前にのめった姿勢で右ストレート,左右アッパー。どんどん手が出る。京口はここで下がってしまうと流れを持っていかれるが,左右アッパーでしっかり対応している。
 6回,京口がヘディングで減点される。再開後,再び頭が当たったと思って気を抜くベルムデス。ここで棒立ちになったところに右ストレートを浴びせる京口。さらにロープを背負わせて攻勢。
 7回,京口は接近戦で左右フック,アッパーを見舞う。左アッパーのアゴ打ちが決まる。さらに右ストレート,フックを連発すれば,ベルムデスはたまらず右グラブをキャンバスについた。足が縺れてダメージは隠せない。ところが京口はこの攻撃でラビットパンチをとられて再び減点され,ダウンはノーカウントとなった。
 8回,ダメージを見てとった京口が開始早々からスパートし,左右ショートブローを浴びせる。ロープに腰を落として防戦一方になったところで,ラミレス主審が試合をストップした。

 敵地に乗り込んだ京口が見事なTKOで王座統一と4度目の防衛に成功した。多彩なパンチで積極的に攻撃を仕かけ,執拗なベルムデスにも打ち負けなかったことがよかった。左ジャブが出バナによく決まっており,そこから右ストレート,左フック,アッパーをどんどん決めた。左アッパーのアゴ打ちも見事。これで2連続海外防衛。すっかり自信に溢れて逞しさが目立つ。パワーも増し,今後が楽しみである。
 ベルムデスはこのクラスとしては上背に恵まれた右ファイター。メキシカン特有のしつこさ,手数の多さが特徴。後半に強く,打たれてもどんどん攻めてくる。やや前傾して連打する右ストレート,左右アッパーが武器。ただし,スピードは今ひとつ。京口に上下に打ち分けられてダメージを負った。

7回までの採点 京口 ベルムデス
主審:ロベルト・ラミレス・ジュニア(プエルトリコ) *** ***
副審:マイク・フィッツジェラルド(米国) 65 66
副審:ジェレミー・ヘイズ(カナダ) 66 65
副審:イグナシオ・ロブレス(パナマ) 66 65
参考:MAOMIE 67 64


     ○京口:16戦16勝(11KO)              28歳     身長:162cm     リーチ:163cm
     ●ベルムデス:20戦14勝(10KO)4敗2分     26歳     身長:170cm

     放送:WOWOW
     解説:浜田剛史&亀海喜寛
     実況:中野 玄     アシスタント:増田美香

※ 京口は第6ラウンドにヘッディング,第7ラウンドにラビットパンチでそれぞれ減点1。

このページのトップに戻る


                        2022年6月13日(月)    後楽園ホール
                           10回戦(137ポンド契約)
                  WBC世界ライト級13位   K      O       比国ライト級2位
                ○   中谷正義     1回1分16秒     ハルモニート・デラ・トーレ   ●
                             (帝拳) 136 3/4 lbs                            (比国) 135 3/4 lbs
                                                 Harmonito Dela Torre

 開始早々から中谷が鋭い左ジャブを放ってプレスをかける。矢のようなワンツーがアゴに決まり,デラ・トーレは右膝をついてダウン(カウント8)。立ち上がったが,中谷の詰めは鋭い。ニュートラルコーナーに追い,左アッパーをボディにひと刺し。たまらず崩れ落ちてうずくまるデラ・トーレ。そのまま立ち上がれず,カウントアウトされた。

 海外でテオフィモ・ロペス(米国),フェリックス・ベルデホ(プエルトリコ),ワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)という世界的強豪とグラブを交えてきた中谷。3年6ヶ月ぶりの国内のリングで鮮やかなKO勝利。持ち味の鋭い左ジャブが冴えた。最初のダウンを奪ったワンツー,フィニッシュのボディ打ちともにシャープなパンチ。33歳になったが,まだまだ伸びる。デラ・トーレは弱い相手ではなく,それを沈めたことでさらに自信が増したはず。
 デラ・トーレは右ファイタータイプ。身長に対して非常に長いリーチが特徴。左右フックに威力があり,「ハンマー」の異名をとる。元比国S・フェザー級王者。さらにはマイナー団体ながらもWBF世界S・フェザー級タイトルを獲得したことがある。左ジャブを突いて得意の右フックを打ち込むチャンスを窺ったが,中谷の長く鋭い左ジャブに阻まれた。

     主審:染谷路朗,副審:葛城明彦&吉田和敏&杉山利夫
     ○中谷:22戦20勝(14KO)2敗         33歳     身長:182cm     リーチ:180cm
     ●デラ・トーレ:26戦22勝(14KO)4敗     28歳     身長:173cm     リーチ:185cm
     放送:G+     解説:セレス小林&山中慎介     実況:中野謙吾

このページのトップに戻る


                      2022年6月13日(月)    後楽園ホール
                     日本ウェルター級暫定王座決定戦10回戦
                  日本ウェルター級2位   T  K  O   日本ウェルター級1位
                ○   小畑武尊    5回1分42秒    永野祐樹   ●
                            (ダッシュ東保) 147 lbs                    (帝拳) 146 3/4 lbs
                 こばた・たける   日本ユース ウェルター級チャンピオン        前・日本ウェルター級チャンピオン

 サウスポー同士の対戦。若い小畑が素晴らしい滑り出しを見せた。左強打に絶対の自信を持つ永野がじりじりと前に出てプレスをかける。小畑は右ジャブを多用し,左フックでボディを叩く。ワンツー,右フック,ボディへの左フックをまとめて永野をロープに追い込んでいく小畑。
 2回,永野は前に出て左ストレートを振るが,小畑は右ジャブ,ワンツーで先に手を出す。左ストレートでぐらついた永野が後退する。チャンスと見た小畑はワンツー,左右フックのボディブローでピッチを上げる。永野もロープ際で左ストレートを浴びせて小畑をのけぞらせるが,終盤には再び小畑が左ストレート,左右フックで攻勢。
 3回,愚直に攻め続ける永野。しかし,パンチが出ず,逆に小畑の左ストレート,ボディへの左右フックをまとめられて棒立ちになり後退。小畑は右ジャブを多用し,よく手数が出る。
 4回,右ジャブ,左ストレートをもらって永野のアゴが上がる。永野は左を打とうとするところに小畑の左ストレートをもらい,大きくバランスを崩す場面が目立つ。
 5回,被弾しながらも左強打を振って攻め続ける永野。しかし,ロープを背負った小畑の右ジャブ,左ストレートをもらう場面が目立つ。左ストレート,右フックで上体のバランスが崩れる永野。ふらついたところに小畑が右フック,左ストレートをフォローしたところで,タオルを握った田中繊大トレーナーがエプロンに上がって棄権の意思表示をする。ここで松原主審が試合をストップした。

 圧倒的不利の予想を覆し,若手の小畑が見事なTKOで暫定王座を獲得した。小畑はサウスポーのボクサーファイターで右ジャブ,左ストレートを得意としている。勝因は永野の出バナに右ジャブを多用し,出足を止めたこと。さらにタイミングのいい左ストレートでダメージを与えた。右ジャブ,左ストレートに加えて,ボディにも左右フックを打ち,冷静な試合運びが光る。驚くようなスピードや一発の破壊力があるわけではないが,手数がよく出る。パンチを出すタイミングの取り方もうまい。大殊勲の勝利であるが,偶然ではない。強打の永野に対して一歩も引かない見事な試合内容である。誠実さが滲み出るインタビューが好印象。
 永野はタイトル奪回に向けての大事な一戦だったが,まさに痛恨の完敗。主武器の左ストレートを振って愚直に攻めたが,前に出ている割に接近するまでのパンチが出なかった。そのためガードの隙間に右ジャブ,左ストレートをもらい,バランスを崩す場面が目立った。棒立ちで上体や頭の振りがないうえに,右ジャブ,フックが出ない。そのため,コツコツ当てる小畑のパンチの標的になった。

4回までの採点 小畑 永野
主審:松原暢宏 *** ***
副審:杉山利夫 40 36
副審:葛城明彦 40 36
副審:飯田徹也 40 36
参考:MAOMIE 40 36


     ○小畑:18戦12勝(5KO)5敗1分     23歳     身長:173cm
     ●永野:23戦19勝(15KO)4敗       32歳     身長:175cm

     放送:G+
     解説:セレス小林&山中慎介
     実況:安藤 翔

このページのトップに戻る


                       2022年6月13日(月)    後楽園ホール
                             8回戦(フェザー級)
                 日本S・フェザー級16位   K      O   比国フェザー級(ノーランク)
                ○   中野幹士    3回1分36秒    ファニト・パレデス   ●
                             (帝拳) 125 3/4 lbs                       (比国) 125 1/4 lbs
                           なかの・みきと                      Juanito Paredes

 左の中野,右のパレデス。前後へのフットワークを使いながら,上体を振ってプレスをかける中野。ワンツー,ボディに左フックを打ち込む。パレデスはときおり大きな右フックを振るが,届かない。終了間際,中野の左アッパーがボディに決まる。
 2回,ガードを高く上げ,中野の強打をブロックしながら左右フックを振るパレデス。中野は力を抜いてスピード重視の左右ショートブロー,ワンツー,ボディにも右フックを散らす。
 3回,右ジャブ,ショートのワンツーをまとめて崩しにかかる中野。パレデスの左ジャブがひとつヒットする。しかし,再び左ジャブを出したところに中野の左ストレートが顔面を直撃。これで目を傷めたのか,表情を歪めたパレデスはゆっくり後方に沈む。ロープ下でうつ伏せに沈んだままカウントアウトされた。

 中野は無傷の6連勝。左の強打を武器に順調に勝ち星を重ねている。竹台高(東京)→東京農大でアマ77戦68勝(48KO・RSC)9敗。サウスポーのボクサーファイターで,左ストレートの強打が最大の武器。右ジャブ,ワンツー,ボディへの右フック,左アッパーなどの多彩な攻撃がある。ガードを固めるパレデスを力でねじ伏せようとせず,小さく速いパンチを上下に散らし,ときには回り込んで崩した。これは非常にいい戦い方である。ランクインして今後が楽しみだが,国内でのマッチメイクは苦労することが予想される。
 パレデスは右ファイタータイプ。ベタ足でスピードはない。中野の強打を警戒してガードを高く上げていたが,ときおり振る右フックはスピード不足で届かなかった。

     主審:吉田和敏,副審:葛城明彦&染谷路朗&松原暢宏
     ○中野:6戦6勝(5KO)              26歳     身長:170cm
     ●パレデス:18戦9勝(4KO)8敗1分     30歳     身長:170cm
     放送:G+     解説:なし     実況:伊藤大海

このページのトップに戻る


熱戦譜のトップに戻る     ← 2022年5月に戻る     次に進む →

ホームページのトップに戻る