熱戦譜〜2022年4月の試合から


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試合日 試合 結果
2022.04.02  日本スーパーウェルター級
 王座決定戦10回戦
 川崎真琴  判定  越川孝紀
2022.04.02 8回戦  赤穂 亮  判定  中川麦茶
2022.04.09  IBF・WBA世界ミドル級
 王座統一戦12回戦
 ゲンナジー・ゴロフキン  TKO9R  村田諒太
2022.04.09  WBO世界フライ級
 タイトルマッチ12回戦
 中谷潤人  TKO8R  山内涼太
2022.04.09  東洋太平洋&WBOアジアパシフィック ライト級
 タイトルマッチ12回戦
 吉野修一郎  11R負傷判定  伊藤雅雪
2022.04.12 8回戦  佐川 遼  KO3R  久保 隼
2022.04.12 6回戦  渡来美響  TKO4R  柴田尊文
2022.04.12 4回戦  磯谷大心  KO1R  細谷洸太
2022.04.22 10回戦  武居由樹  TKO2R  河村真吾
10 2022.04.24 8回戦  加納 陸  TKO2R  サンチャイ・ヨッブン
11 2022.04.24 8回戦  石田 匠  TKO8R  カルロ・デメシーリョ

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                     2022年4月2日(土)    後楽園ホール
                   日本スーパーウェルター級王座決定戦10回戦
                  日本S・ウェルター級2位       日本S・ウェルター級1位
                ○   川崎真琴    判 定    越川孝紀   ●
                            (RK蒲田) 153 3/4 lbs              (一力) 154 lbs
                           かわさき・まこと              こしかわ・こうき

 初回,馬力で勝る越川が右フックを振って積極的にプレスをかける。左ジャブを突きながら前に出て,左右フック。川崎はやや受けに回るが,よく見ている。
 3回,川崎はよく見て左アッパーのボディブローから左フック。さらに越川の出バナに左ジャブ,右ストレートを浴びせる。密着戦になるが,越川の左右フックに対して,川崎がよく見て左右アッパーを浴びせる。
 4回,押し負けてはならじとばかりに密着し,上下に左右アッパーを打つ川崎。これはいい戦い方。越川も左右フックで応戦し,激しいパンチの応酬になる。試合は前半戦にして早くも消耗戦の様相を呈した。 
 中盤,ともに疲労が出るが,しっかり前傾している川崎に対し,越川は上体が起こされている。
 7回,越川のきれいなワンツーが決まるが,8回は再び川崎。終了間際,攻勢に出た川崎が左右フックで越川を赤コーナーに追い込む。
 10回,両者ともに疲労困憊。川崎は密着して左右のショート連打から左アッパーをボディに打ち込む。さらに右アッパーをアゴに突き上げる。

 勝者・敗者ともに涙々の決着となった。川崎は3度目の日本タイトル挑戦で悲願のベルトを手にした。RK蒲田ジム初のチャンピオン誕生である。右ボクサーファイターで右ストレート,左フックを得意としている。密着した展開が続いたが,頭をつけてやや前傾姿勢になりながら上下にパンチを打ち分けた。下がっては馬力がある越川に押し込まれるので,この戦法はよかった。越川よりも頭の位置を低くして密着したことが,越川の上体を起こす効果を生んだ。ジムの関係者や家族に対する感謝の思いが詰まったインタビューが好印象。
 越川は右ファイタータイプ。がっしりした上体からくり出す右ストレート,左フックに威力がある。習志野高(千葉)→駒沢大でアマ71戦46勝(23KO・RSC)25敗。密着戦で上体を起こされてしまったことにより,パンチの威力が半減し,スタミナのロスも大きかった。過去に日本とWBOアジアパシフィックの王座に一度ずつ挑んで敗れており,今回が3度目の挑戦だった。

採点結果 川崎 越川
主審:福地勇治 *** ***
副審:浅尾和信 98 92
副審:ビニー・マーチン 97 93
副審:杉山利夫 96 94
参考:MAOMIE 97 93


     ○川崎:22戦13勝(2KO)8敗1分     37歳     身長:177cm
     ●越川:13戦9勝(6KO)4敗         31歳     身長:177cm

     放送:G+
     解説:浜田剛史&セレス小林
     実況:辻岡義堂

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                   2022年4月2日(土)    後楽園ホール
                      8回戦(スーパーバンタム級)
                WBO世界S・バンタム級11位     日本S・バンタム級(ノーランク)
                ○   赤穂 亮    判 定    中川麦茶   ●
                           (横浜光) 121 1/2 lbs              (一力) 122 lbs
                      IBF12位              元日本S・バンタム級1位

 初回,長身の中川が半身に構え,広いスタンスから左ジャブを突く。巧みなボディワークとフットワークで赤穂の左右フックをかわし,右ストレートをヒットしてぐらつかせる。
 2回,中川は右フックを打ち下ろし,左ジャブを連打。赤穂はやりにくそうだが,左フックをヒット。柔軟な上体で赤穂の左右フックをかわす中川。
 3回,かっとなりやすい赤穂を見透かしたようにトリッキーな動きで挑発する中川。赤穂は左アッパーのボディブローから右フックを浴びせる。4回,中川は右ストレートを決める。赤穂は単発ながらも左右フックをヒット。終了間際,赤穂の左フックがヒットする。
 5回,中川の左アッパーがローブローになり,中断。ロープに下がった中川に右フックをヒットする赤穂。両者が縺れて倒れ込み,赤穂がロープ下でキャンバスに後頭部を打ち,試合が再び中断した。
 7回,左ジャブを連打し,右アッパーを突き上げる中川。さらに左アッパーのボディ打ちで迫る。しかし,赤穂は飛び込んで左アッパーのボディブローから右フックを打ち込む。
 8回,両者出合い頭にバッティングが発生し,中断。赤穂は飛び込んで左アッパーのボデイブローから左フック。大振りでミスが多いが,最後まで攻め続ける赤穂。中川はのらりくらりとかわすのが精いっぱい。

 ベテラン同士の対戦。中川の老獪なボクシングに苦しみながらも,クリーンヒットを重ねた赤穂が判定勝ち。単発だが,左アッパーのボディブロー,左右フックで徐々にポイントを積み上げた。かっとなって振りが大きくなる悪い癖は相変わらず。しかし,パワーは赤穂ならではのもの。もっとボディにパンチを集めれば,中川の動きを早く止められただろう。
 中川は長く日本S・バンタム級1位を保ってきた右ボクサーファイターで,2年8ヶ月ぶりのリング復帰。長身で長いリーチからくり出す左ジャブ,右ストレートを得意としている。スタンスを広くして構え,非常に懐が深いのが特徴。柔軟な上体を生かしたスウェイバック,ダッキング,クリンチワークで赤穂を大いに苦しめた。左ジャブなり右ストレートなりをもっと多く出していれば,ポイントが少なからず中川に流れていただろう。その面で惜しまれる一戦。

採点結果 赤穂 中川
主審:中村勝彦 *** ***
副審:吉田和敏 79 73
副審:ビニー・マーチン 77 75
副審:染谷路朗 79 73
参考:MAOMIE 78 74


     ○赤穂:42戦38勝(25KO)2敗2分     35歳     身長:168cm     リーチ:170cm
     ●中川:34戦24勝(14KO)8敗2分     33歳     身長:175cm     リーチ:178cm

     放送:G+
     解説:浜田剛史&セレス小林
     実況:川畑一志

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                      2022年4月9日(土)    さいたまスーパーアリーナ
                       IBF・WBA世界ミドル級王座統一戦12回戦
                     IBFチャンピオン       T  K  O   WBAスーパーチャンピオン
              ○   ゲンナジー・ゴロフキン    9回2分11秒    村田諒太   ●
                             (カザフスタン) 160 lbs                         (帝拳) 160 lbs
                         Gennadiy Golovkin


 期待と興奮の中で開始ゴングが響いた。ゴロフキンは重く鋭い左ジャブを多用。村田は左ジャブから前に出て,右ストレート,ボディに左アッパー。初回のポイントはゴロフキンについたが,村田の動きはいい。
 2回,ゴロフキンの左ジャブに対し,村田が左アッパーのボディ打ちでプレスをかける。右ストレートでボディを打たれたゴロフキンは後退。さらに右アッパーを打ち込む村田。ときおりゴロフキンがまとめる左右フックは要注意。村田は鼻から出血。
 3回,ゴロフキンが左ジャブ,アッパー,右フックでプレスをかけるが,村田が左アッパー,右ストレートをボディに集めれば,ゴロフキンは後退。ボディ打ちが効いたゴロフキンの口が開く場面が見られた。4回にもゴロフキンが左ジャブから左右フック。しかし,ここでも村田の右のボディ打ちで逆にゴロフキンが下がり始める。
 予想を越える展開に場内が大興奮に包まれる中,中盤からゴロフキンが底力を見せた。6回,ゴロフキンは左ジャブから左右フックで手数を増す。手が止まった村田はゴロフキンの右フックを受けてマウスピースが落ち,試合が一時中断する場面があった。流れは徐々にゴロフキンに傾いた。
 7回,ゴロフキンの左ジャブ,フック。左右フックでロープ際に詰まった村田は右ストレートのボディ打ちで応戦するが,ゴロフキンはうまく休みながら要所にパンチを浴びせる。村田にはダメージの色が見える。
 8回,ゴロフキンは左ジャブ,フック,アッパーから右フックをコツコツと当てて村田をロープに詰める。ロープを背に右ストレートでのけぞる村田。村田はリング中央でもロープ際でも棒立ちになる場面が多くなった。
 9回,大健闘でファンを沸かせた村田だが,ついに破局を迎えた。開始早々からゴロフキンの左右フックでニュートラルコーナーに追い込まれる村田。ゴロフキンはコーナーを背負った村田に左アッパー,左右フックを浴びせる。勝負どころと見たゴロフキンが左ジャブ,フック,アッパーから右ストレートでプレスを強める。棒立ちが続く村田はロープを背に耐えるが,右フックで動きが鈍る。ゴロフキンは左フック,ワンツーで攻勢。村田は右ストレートで反撃を試みるが,逆にゴロフキンの右フックをカウンターされ,両膝から崩れ落ちる。ここで帝拳陣営からタオルが投入された。

 日本ボクシング史上最大規模のビッグマッチ。村田は不利の予想ながらも,ゴロフキンをあわやというところまで追い込む場面を見せた。敗れたとはいえ,称賛に値する。序盤からガードを固めながら前に出て,左アッパー,右ストレートのボディブローで攻勢に出た。特に右のボディ打ちでゴロフキンが上体を丸めて腰を引く場面が見られた。この右のボディ打ちはゴロフキンを大いに苦しめた。しかし,上に放った右ストレートはパリーやブロックでうまく殺されていた。中盤からゴロフキンの左ジャブ,左右フックで徐々にダメージを蓄積し,棒立ちになる場面が増えた。結果は完敗だったが,あのゴロフキンを苦しめた大善戦である。
 ゴロフキンは序盤こそボディ打ちを嫌って下がる場面があったが,中盤から重い左ジャブ,左右フックを的確に当ててダメージを与えた。飛びぬけたスピードがあるわけではないが,空いているところに抜け目なくパンチを当てるうまさがある。緩急のつけ方が巧みで,一気に攻めるところ,休むところの使い分けが見事。上背で勝る村田の頭の上から打ち下ろすような左右フックが効果的だった。

8回までの採点 ゴロフキン 村田
主審:ルイス・パボン(プエルトリコ) *** ***
副審:グレン・フェルドマン(米国) 78 74
副審:ロバート・ホイル(米国) 79 73
副審:アレックス・レビン(米国) 77 75
参考:MAOMIE 77 75


     ○ゴロフキン:44戦42勝(37KO)1敗1分     40歳     身長:179cm     リーチ:178cm
     ●村田:19戦16勝(13KO)3敗           36歳     身長:183cm     リーチ:190cm

     放送:AmazonPrimeVideo
     解説:長谷川穂積&山中慎介
     実況:森 昭一郎

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                    2022年4月9日(土)    さいたまスーパーアリーナ
                       WBO世界フライ級タイトルマッチ12回戦
                     チャンピオン     T  K  O   挑戦者(同級2位)
                ○   中谷潤人    8回2分20秒    山内涼太   ●
                            (M.T) 111 3/4 lbs                     (角海老宝石) 112 lbs
                                                        WBA2位,IBF8位

 左の中谷,右の山内。初回,中谷はいきなりのワンツー,外からの左フックで早くも優位に立つ。2分過ぎ,矢のような中谷の左ストレートで腰が落ちてぐらつく山内。中谷はさらに右アッパーを打ち込む。
 2回,試合は早くも中谷のやりたい放題。中谷は左右に動きながら右ジャブ,ワンツー。左フックでぐらつく山内。中谷はさらに意表を突く左右アッパーを浴びせる。山内は早くも眉間の周囲が膨れ上がる。
 3回,中谷の独演会が続く。右ジャブ,左ストレート,上下への左右アッパー。山内は接近して左右アッパーでボディを打つが,待っているところに右アッパーが飛んでくる。
 4回,山内はパンチにまったく反応できていない。中谷は冷静に見て的確なコンビネーションブローを上下に浴びせた。山内は左目上をカット(中谷の有効打による傷)。
 6回,ロングレンジから中谷の右アッパー,ワンツーが飛ぶ。山内はくっついて連打を見せるが,中谷は冷静に見極めてあらゆる角度からパンチを見舞う。山内は手も足も出ない状態が続く。
 7回,悠々とやりたい放題の中谷。山内は接近を試みるが,先にパンチが飛んでくる。涼しい顔で攻め続ける中谷。ボディを打つと見せかけて頭を低くし,左フックからアゴに右アッパーを打ち込む中谷。
 8回,ワンサイドゲームに終止符が打たれた。中谷は自由自在にポジションを入れ替えて左ストレート,右アッパー,フックを浴びせる。左ストレートを効かせた中谷が一気に詰めにかかる。中谷の攻勢でロープ際に追い込まれる山内。ダメージが蓄積した山内に左ストレート,左右アッパーを浴びせたところで中村主審が試合をストップした。

 中谷,盤石のTKOで2度目の防衛に成功。実力の差を見せつけた圧勝である。このクラスでは破格ともいえる長身で長いリーチを生かしたボクシングが身上であるが,接近戦にも長けていることが最大の強味である。近・中・長距離すべてのレンジで制空権を握れることが盤石な体勢の基盤になっている。左ストレートに加えて,角度を変えて内外から打ち分ける左フック,ボディへの左アッパーと多彩なコビネーションブローが武器。さらには死角から相手のアゴに突き上げる右アッパーも脅威である。スタンスが広くて懐が深いうえに,パンチに緩急がついているので,相手にとってこれ以上厄介なことはない。同じ場所に止まらず,常に打たれない位置に自分の頭をキープしていることが被弾を防いでいる。今後さらに減量が苦しくなるはずだが,いよいよ前途が楽しみになってきた。
 山内は東京農大でアマ53戦38勝(14KO・RSC)15敗。右ボクサーファイターで右ストレート,左フックにパンチ力がある。得意の中間距離での打ち合いに持ち込もうと積極的に攻めたが,すべての距離を押さえられてしまい,手も足も出ない展開のまま敗れた。入ろうとするところ,待っているところに先にパンチを打ち込まれ,完敗。よく食い下がったが,力の差は歴然で,8回のストップは妥当な処置だった。

7回までの採点 中谷 山内
主審:中村勝彦 *** ***
副審:吉田和敏 70 63
副審:杉山利夫 70 63
副審:池原信遂 70 63
参考:MAOMIE 70 63


     ○中谷:23戦23勝(18KO)      24歳     身長:170cm     リーチ:170cm
     ●山内:10戦8勝(7KO)2敗     27歳     身長:165cm     リーチ:165cm

     放送:AmazonPrimeVideo
     解説:長谷川穂積&山中慎介
     実況:木村拓也

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                    2022年4月9日(土)    さいたまスーパーアリーナ
                東洋太平洋&WBOアジアパシフィック ライト級タイトルマッチ12回戦
                  チャンピオン      負 傷 判 定    挑戦者(OPBF3位)
            ○   吉野修一郎    11回2分06秒    伊藤雅雪   ●
                        (三迫) 134 1/2 lbs                        (横浜光) 135 lbs
              WBC15位,WBO5位,IBF13位

 初回,スピード十分の左ジャブの応酬。伊藤はカウンター気味の左ジャブ,右ストレート。吉野は左ジャブ,ワンツー。終盤,伊藤の左ジャブが力強い。有効打で伊藤が上回る。
 2回,ワンツーで吉野をロープに詰める伊藤。しかし,中盤から吉野がプレスを強め,左右フックのボディブロー,右ストレート,フック。これをもらった伊藤は鼻から出血。
 3回,吉野はボディブローを絡め,右ストレート,フック。伊藤は左ジャブ,ワンツー。一歩も引かない両者。お互いに危ないタイミングのパンチが再三飛ぶ。
 4回は吉野の振りが大きく,ミスが目立つ。伊藤は浅いワンツーをヒット。
 中盤から吉野が接近戦で左右フックのボディブローから左フック,右アッパー。伊藤は鼻から出血し,ボディブローをもらってやや苦しい。この辺からパンチ力にものを言わせた吉野が押していく。6回,密着して左右アッパーのボディブローの応酬。吉野が打ち勝ち,得意の消耗戦に伊藤を引きずり込んでいった。
 8回は伊藤。接近戦で左右アッパーのボディブローから右ストレート。伊藤はバッティングで左目尻をカット。終了間際,伊藤の右ストレート,左アッパーが飛ぶ。
 しかし,9回は再び吉野がプレスを強める。接近戦に持ち込み,左右アッパーのボディブロー,右ストレートで流れを引き寄せる。伊藤も左右アッパーを返すが,右目上をカット(吉野の有効打による傷)。終了間際,吉野の攻勢でロープに詰まる伊藤。
 10回,吉野が勢いに乗った。吉野の左右フックのボディブロー,右フック,ストレート。伊藤は左目上の傷が大きくなり,ドクターチェック。伊藤は効いているが,打ち返して元世界王者のプライドを見せた。
 11回,伊藤はダメージが明白だが,よく打ち返す。チャンスと見た吉野はピッチを上げ,左右フックのボディブロー,右フックを浴びせる。吉野が右フックを打とうとした瞬間にバッティングが発生。ここで伊藤の左目上の傷が深くなり,ドクターチェックのため中断。これが続行不能とされ,試合がストップされた。

 国内屈指のライバル対決。大激戦の末,吉野が2冠ともに初防衛に成功した。振りが大きく大味なボクシングになったが,それでいて伊藤が得意とする右ストレートを巧みなヘッドスリップで殺していた。5回あたりからボディ攻撃や右ストレートでリズムを掴んだ。右アッパーも効果的。乱戦になれば接近戦でのバリエーションで上回る吉野が有利。激戦に見えた試合だが,パワーで上回っており,より持ち味を出していたのは吉野の方だった。
 伊藤は三代大訓(ワタナベ)に続いてライバルの吉野にも敗れ,痛恨の一敗。世界戦線から一歩後退したという印象は否めない。吉野が得意とする接近戦での消耗戦に合わせてしまい,中盤以降はスピード,パワーが衰えた。スピードでは上だったが,吉野の左右アッパー,右ストレート,アッパーで動きが鈍った。明白に差がついたのは9回。これを境に流れは吉野に傾いた。

11回までの採点 吉野 伊藤
主審:染谷路朗 *** ***
副審:福地勇治 107 102
副審:葛城明彦 107 102
副審:ビニー・マーチン 106 103
参考:MAOMIE 106 103


     ○吉野:15戦15勝(11KO)           30歳     身長:175cm
     ●伊藤:32戦27勝(15KO)4敗1分     31歳     身長:174cm     リーチ:173cm

     放送:AmazonPrimeVideo
     解説:長谷川穂積&山中慎介
     実況:森 昭一郎

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                       2022年4月12日(火)    後楽園ホール
                             8回戦(フェザー級)
                 IBF世界フェザー級9位   K      O    日本フェザー級4位
                ○   佐川 遼     3回1分03秒     久保 隼   ●
                              (三迫) 126 lbs                        (真正) 125 3/4 lbs
                       さがわ・りょう  日本3位                     くぼ・しゅん

 右の佐川,左の久保。初回,ともに前に出たグラブで牽制しながらチャンスを窺う。久保は広いスタンスから右ジャブを伸ばし,左ストレートをボディに。佐川も右ストレートを上下に散らす。2分過ぎ,踏み込んで放った佐川の右ストレートがクリーンヒット。
 2回,久保の左ストレートがヒット。しかし,佐川は細かく動いて左ジャブでリズムを取り,右フック,ストレートを上下に。佐川の右のタイミングが徐々に合ってきた。
 3回,久保は軽く右ジャブを出してタイミングを取り,左ストレート,アッパーをボディに。久保のカウンターもタイミングが合って侮れないパンチ。佐川が踏み込んで放った右ストレートが決まり,がくんと腰を落とす久保。さらに矢のようなワンツーがアゴに炸裂し,腰から落ちた久保はニュートラルコーナーでロープを枕にする痛烈なダウン。立ち上がろうとしたが体が言うことを聞かず,吉田主審はそのままカウントアウトした。

 世界を目指す佐川が元世界王者・久保を鮮やかなKOに仕留めた。久保の左カウンターを警戒しながらも左ジャブでタイミングを測り,右フック,ストレートを上下に見舞った。この右は真っすぐ打ち抜くストレート,外から回すフックの2種類をうまく使い分けていた。切れ,スピードともに十分。一度手にした日本タイトルを丸田陽七太(森岡)に奪われたが,その後は今夜を含めて2連続KO・TKO勝利。これで完全復調と言っていいだろう。
 久保は元世界S・バンタム級王者。サウスポーのボクサーファイターで左ストレートに威力がある。右で牽制しながら鋭い左ストレートを打っており,調子はよかった。しかし,やはり佐川の武器である右ストレートをまともにもらってはひとたまりもなかった。

     主審:吉田和敏,副審:岡庭 健&松原暢宏&&中村勝彦
     ○佐川:14戦12勝(7KO)2敗      28歳     身長:173cm
     ●久保:18戦15勝(10KO)3敗     32歳     身長:176cm     リーチ:180cm
     放送:フジテレビ     解説:八重樫 東     実況:竹下陽平

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                       2022年4月12日(火)    後楽園ホール
                           6回戦(スーパーライト級)
                 日本S・ライト級(ノーランク)   T  K  O    日本S・ライト級(ノーランク)
                ○   渡来美響     4回2分37秒     柴田尊文   ●
                             (三迫) 139 3/4 lbs                        (グリーンツダ) 140 lbs
                     わたらい・みきょう                     しばた・たかふみ

 初回,デビュー戦の渡来が早くも主導権を握った。広いスタンスで左に回りながら速い左ジャブを多用する。飛び込みざまに放った左フックがアゴを捉えれば,柴田は思わず尻餅をつく(カウント8)。立ち上がった柴田は左ジャブを返して応戦するが,動きが硬い。一方の渡来はのびのび戦っている。
 2回,渡来をロープに押し込む柴田。しかし,ロープを背にフロイド・メイウェザーばりのL字ブロックとスウェイバックでこれをかわした渡来は右ストレートのカウンターを浴びせた。
 3回,ロープを背に巧みなディフェンスを見せる渡来。柴田のパンチをかわしざまに右ストレートのカウンターでぐらつかせる。さらに左に回りながら左ジャブで接近を阻み,右ストレートを浴びせる。柴田は攻めているが,渡来の動きについていけない。
 4回,渡来は華麗に舞い,左ジャブで柴田をコントロールする。ワンツーのクリーンヒットでぐらつく柴田。出てくるところに右フック,ストレート,左アッパーを浴びせ,やりたい放題の渡来。柴田は左目が塞がりかけ,鼻からも出血して苦しい展開が続く。リング中央で左アッパーのボディブローから左アッパー,右ストレート,さらに左フックを浴びせる渡来。ここで飯田主審が試合をストップした。

 渡来が見事なTKOでデビュー戦を飾った。武相高(神奈川)→東洋大で92戦77勝(19KO・RSC)15敗というアマチュアの戦績がある。右ボクサーファイターで右ストレート,左フックを武器としており,目と勘のよさが光る。ロープを背に相手の攻撃をスウェイバック,L字ブロックでかわし,鋭い右ストレートを返す。憧れているというフロイド・メイウェザー(米国)を意識した試合運びが窺える。広いスタンスで回り込み,鋭く速い左ジャブで相手の接近を阻みながら試合を進めるのが得意のパターン。パンチは左右ともに強い。ただし,ガードを低くして戦うので,勘だけに頼ったディフェンスは要注意。天性の素質が光るが,アゴの先端が尖っているので,打たれた時の耐性は懸念材料である。
 柴田は右ファイタータイプ。開新高(熊本)→拓殖大でアマ54戦38勝(13KO・RSC)16敗。渡来とはアマチュアで2度対戦して敗れており,プロのリングでリベンジを図ったが,またしても完敗。なんとか接近して崩そうと果敢に攻めたが,渡来の巧みなディフェンスにかわされた。出バナにカウンターを浴び,ダメージが蓄積しており,ストップは妥当なタイミングだった。

     主審:飯田徹也,副審:蜂須賀ジョン&松原暢宏&葛城明彦
     ○渡来:1戦1勝(1KO)     23歳     身長:172cm
     ●柴田:3戦2勝1敗        23歳     身長:172cm
     放送:フジテレビ     解説:八重樫 東     実況:木村拓也

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                        2022年4月12日(火)    後楽園ホール
                              4回戦(ウェルター級)
                 日本ウェルター級(ノーランク)   K     O    日本ウェルター級(ノーランク)
                ○   磯谷大心     1回0分54秒      細谷洸太   ●
                             (三迫) 146 3/4 lbs                         (花形) 145 1/2 lbs
                          いそたに・たいしん                       ほそや・こうだい

 右の磯谷,左の細谷。まずは細谷が左ストレートを振って前に出る。これに応じた磯谷は右ストレートを出して激しく攻勢に出る。スピーディな右ストレートがアゴに炸裂し,細谷はリング中央で呆気なくキャンバスに落ちる(カウント8)。再開後,磯谷の右ストレートがボディに決まり,がっくりと右膝をついて2度目のダウン。そのまま立ち上がれず,カウントアウトされた。

 炎の男・輪島功一の孫として注目されている磯谷がデビュー戦に続いて2戦目も鮮やかなKOで飾った。変則ファイターだった祖父とは対照的に,リーチを生かした右ストレートがよく伸びる右ボクサータイプ。スピードがあり,モデル並みのルックスに似合わぬ気の強さを持ち合わせている。思い切りのよさがいい方向に出ている。長身とリーチを生かし,距離を取ったところから見舞う右ストレートでチャンスを掴むと,一気に攻勢に出るのが得意のパターン。混戦になったり打たれたときにどうなるかは未知数だが,話題性があって楽しみな素材である。
 細谷はサウスポーのボクサーファイター。左ストレートにパンチ力がある。その左を武器に積極的に攻めたが,逆に気の強い磯谷の反撃を受けた。

     主審:吉田和敏,副審:松原暢宏&中村勝彦&蜂須賀ジョン
     ○磯谷:2戦2勝(2KO)        20歳     身長:182cm
     ●細谷:2戦1勝(1KO)1敗      18歳     身長:175cm
     放送:フジテレビ     解説:八重樫 東     実況:鈴木芳彦

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                       2022年4月22日(金)    後楽園ホール
                          10回戦(スーパーバンタム級)
               日本S・バンタム級(ノーランク)   T  K  O   日本S・バンタム級16位
                ○   武居由樹    2回1分22秒    河村真吾   ●
                             (大橋) 121 3/4 lbs                     (堺春木) 122 lbs

 サウスポー同士。初回,武居は低いガードから右ジャブを刺し,さらにロープに詰めて左ストレート,右フックを打つ。ときおり左アッパーでボディを狙った。河村はじりじりと前に出て左ストレート。武居は余裕は持ちつつも,警戒はしている。
 2回,武居は右ジャブ,ストレートで牽制するが,これが実に重く鋭い。河村は前に出るが,武居はこの右ジャブでタイミングを測り,飛び込んで右フックを打つ。1分過ぎ,鋭く踏み込んで放った武居の右フックが炸裂。アゴにまともにもらった河村は切り倒された丸太のように背中からキャンバスに落ちる。後頭部をしたたか打ちつけて沈んだところで,岡庭主審は即座に試合をストップした。

 軽・中量級の次世代を担うと期待されている武居のプロ4戦目。もう少し長いラウンドを戦わせてみたいという贅沢な要求を見事に打ち砕く電光石火のフィニッシュだった。右ジャブ,ストレートはウェイトがよく乗っており重く鋭い。単なる牽制だけではなく,相手にダメージを与える武器になっている。サウスポーだが,左ストレートよりも,むしろ飛び込んで放つ右フックに破壊力がある。過去にキックやK-1からボクシングに転向した例はあるが,間違いなくもっともポテンシャルが高い部類だろう。キャリアがある河村は簡単な相手ではなかったが,それを問題にせず沈めたことで,今後への期待は膨らむ一方である。
 河村は2013年全日本フェザー級新人王。フェザー級とS・バンタム級で一度ずつOPBF王座に挑戦しているが,いずれも敗れている。サウスポーのファイターで左ストレートに威力がある。これで3連敗。

     主審:岡庭 健,副審:葛城明彦&田中浩二&吉田和敏
     ○武居:4戦4勝(4KO)            25歳     身長:170cm     リーチ:173cm
     ●河村:28戦15勝(8KO)9敗4分     31歳     身長:172cm     リーチ:172cm
     放送:ひかりTV     解説:渡嘉敷勝男&細川バレンタイン     実況:矢野 武

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                 2022年4月24日(日)    大阪府立体育会館第2競技場
                             8回戦(フライ級)
                WBO世界L・フライ級1位   T  K  O    タイ国L・フライ級7位
                ○   加納 陸    2回2分42秒    サンチャイ・ヨッブン   ●
                              (大成) 112 lbs                       (タイ) 111 3/4 lbs
                  WBCユース王者,IBF11位                    Sanchai Yotboon

 左の加納,右のサンチャイ。初回,加納が右ジャブ,左ストレートを出して積極的に攻める。小柄なサンチャイはフェイントをかけながら上体を細かく動かして右ストレートを狙う。加納は左アッパーから右フック。カウンターの右ジャブも決まる。加納はさらにサンチャイをロープに詰め,右アッパーのボディブロー。
 2回,加納がさらにスピードに乗って攻める。左右に動きながら右ジャブ,左ストレート。リング中央で左アッパーのボディブローから右フックが決めれば,サンチャイは脆くもダウン(カウント8)。左右アッパーのボディ打ちからの左ストレートで腰から落ちて2度目のダウン(カウント8)。これも立ち上がったが,加納がすかさず詰めにかかる。左アッパーのボディブローからの左フックでよろめいたサンチャイをロープに詰め,左右のショート連打を浴びせたところで半田主審が試合をストップした。

 減量苦からウェイトを上げ,フライ級に転向した加納。動きがよくなり,手数が出ていた。右ジャブを出しながら左右に動き,左ストレート,ボディへの左アッパーなど上下へのコンビネーションブローが冴えた。フライ級は層が厚いので食い込むことは簡単ではないが,ウェイトを上げてコンディションがよくなったことは間違いない。
 サンチャイは右ボクサーファイター。小柄で上体を細かく動かしてフェイントをかけながら,右ストレートで攻める。しかし,ボディがあまり強くないようで,加納が下にパンチを散らすと急に出足が鈍った。

     主審:半田隆基,副審:隣井朝子&今村ともひろ&近藤謙二
     ○加納:17戦14勝(7KO)3敗        24歳     身長:162cm     リーチ:167cm
     ●サンチャイ:12戦7勝(6KO)5敗     24歳     身長:160cm     リーチ:167cm
     放送:テレビ大阪     解説:徳島 尚     実況:植草結樹

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                  2022年4月24日(日)    大阪府立体育会館第2競技場
                            8回戦(バンタム級)
                 IBF世界S・フライ級8位    T  K  O   東洋太平洋バンタム級11位
                ○   石田 匠    8回1分20秒    カルロ・デメシーリョ   ●
                           (井岡) 117 3/4 lbs                         (比国) 116 lbs
                            いしだ・しょう                      Carlo Demecillo

 初回,石田が左ジャブを多用し,右ストレートを伸ばす。デメシーリョは左ジャブから右ストレート,さらにときおりオーバーハンドの右フックを振る。
 3回はデメシーリョが左アッパーのボディブローを打つ。さらに右ストレートのボディブローからワンツーを浴びせる。
 5回,石田は動きながら左ジャブ,ワンツーを細かく打つ。デメシーリョは終了間際に荒々しい左右フックのボディ攻撃で迫るが,効果は薄い。
 7回,石田は左ジャブを多用し,右ストレート。デメシーリョのマウスピースがこぼれ落ちて試合が中断。デメシーリョは構わず前に出て左右フックを振るが,やや疲労が見える。
 8回,疲労が見えるデメシーリョを赤コーナー付近のロープに詰め,左アッパーのボディブローから左右ショートフックを浴びせる石田。デメシーリョは体を丸めて耐えるが,しゃがみ込んでダウン(カウント9)。再開後,石田が再びロープに詰めて左アッパーのボディブローで攻めたところで,松原主審が試合をストップした。

 昨年12月,田中恒成(畑中)に判定負けを喫した石田の再起戦。軽快なフットワークとリーチを生かした左ジャブ,ワンツーが冴えた。しぶといデメシーリョを左ジャブを多用してコントロールした。左アッパーは数こそ少ないが,デメシーリョを弱らせる効果があった。やや物足りない試合内容だったが,スピードとシャープなコンビネーションブローは健在。
 デメシーリョは右ボクサーファイターで左ジャブ,右ストレートを得意としている。ベタ足で動きは速くないが,思い切って振る右ストレート,左フックは威力がある。左ジャブをもらいながら前に出て果敢に攻めた。しかし,左ジャブや左右のショートブロー,左アッパーで徐々にダメージを蓄積させた。

     主審:松原暢宏,副審:池原信遂&今村ともひろ&半田隆基
     ○石田:33戦30勝(16KO)3敗           30歳     身長:173cm
     ●デメシーリョ:22戦15勝(8KO)6敗1分     26歳     身長:168cm
     放送:テレビ大阪     解説:徳島 尚     実況:前田拓哉

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