熱戦譜〜2021年12月の試合から


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試合日 試合 結果
2021.12.04  東洋太平洋&WBOアジアパシフィック
 ウェルター級タイトルマッチ12回戦
 豊嶋亮太  判定  坂井祥紀
2021.12.09  日本ウェルター級
 タイトルマッチ10回戦
 小原佳太  TKO5R  玉山将也
2021.12.11 10回戦  田中恒成  判定  石田 匠
2021.12.11  IBF世界スーパーバンタム級
 挑戦者決定戦12回戦
 マーロン・タパレス  KO2R  勅使河原弘晶
2021.12.14  IBF・WBA世界バンタム級
 タイトルマッチ12回戦
 井上尚弥  TKO8R  アラン・ディパエン
2021.12.14  WBO世界ミニマム級
 タイトルマッチ12回戦
 谷口将隆  TKO11R  ウィルフレド・メンデス
2021.12.14 8回戦  武居由樹  TKO1R  今村和寛
2021.12.14  東洋太平洋スーパーフェザー級
 王座決定戦12回戦
 木村吉光  TKO3R  坂 晃典
2021.12.14 8回戦  大湾硫斗  TKO2R  杉田ダイスケ
10 2021.12.19  4回戦(ライトフライ級決勝)
  第78回東日本新人王戦
 坂間叶夢  TKO2R  加藤幸海
11 2021.12.19  5回戦(フェザー級決勝)
  第78回東日本新人王戦
 渡邊 海  TKO1R  吉田 諒
12 2021.12.19  4回戦(スーパーライト級決勝)
  第78回東日本新人王戦
 関根幸太朗  TKO1R  鳴海拓郎
13 2021.12.31  WBO世界スーパーフライ級
 タイトルマッチ12回戦
 井岡一翔  判定  福永亮次

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                       2021年12月4日(土)    後楽園ホール
               東洋太平洋&WBOアジアパシフィック ウェルター級タイトルマッチ12回戦
                     チャンピオン           挑戦者(OPBF5位)
               ○   豊嶋亮太    判 定    坂井祥紀   ●
                           (帝拳) 146 1/2 lbs                (横浜光) 147 lbs
                      WBO13位               さかい・しょうき  日本4位

 初回,坂井がじりじりと出て左ジャブ,フック,右ストレートから。これを迎え撃つ豊嶋は左ジャブ,ボディに右ストレート,フックを打つ。2回,ガードを固めた坂井は接近戦で右フック,アッパーを見舞う。豊嶋は左アッパーのボディ打ちで応じた。
 ここまでは互角の展開だったが,3回,豊嶋が左アッパーのボディブローを多用して優位に立つ。
 5・6回,豊嶋のプレスが強くなった。7回,対格差を利した豊嶋は左フック,左右アッパーで押し込んでいく。坂井も左フック,右アッパーで応戦するが,終盤,豊嶋がワンツーで坂井を下がらせた。
 9回,豊嶋の左アッパー,フックがボディに決まり,さらに上からの右フックで押していく。
 10回は坂井。作戦を変え,足を動かして間合いを作り,左ジャブ,左右フックをまとめた。この戦い方は坂井にとってはよかった。
 11回も坂井が足を使って距離を取り,左ジャブ,左右フックをまとめる。こうなると豊嶋のプレスが生きない。
 12回は豊嶋が制した。坂井のガードが下がったところに左フックがヒット。豊嶋はバッティングで左目上をカットするが,左アッパーのボディブロー,右フックを浴びせる。

 進境著しい豊嶋がOPBF王座は2度目の防衛,WBOアジアパシフィックは初防衛に成功。タフでうまさがある坂井に対し,対格差を利したプレスをかけ続けた。特に左アッパー,フックのボディブローが効果的。坂井はときおり左フック,右アッパーをまとめていたが,豊嶋を下がらせるまでには至らなかった。足腰がしっかりしていて,強いプレスが目立つ。逞しさが増したようだ。
 坂井は相変わらずのしぶとさを見せた。密着して上下に左右フック,右アッパーをまとめて善戦した。豊嶋が下がらないために間合い,空間を作れなかったことが響いた。得意の左ジャブ,フックはよく出ていたが,豊嶋のプレスに屈した。終盤は足で空間を作ってパンチをまとめていたが,序盤からこの戦い方ができていればと惜しまれる。

採点結果 豊嶋 坂井
主審:染谷路朗 *** ***
副審:ビニー・マーチン 116 112
副審:杉山利夫 116 112
副審:松原暢宏 117 111
参考:MAOMIE 116 112


     ○豊嶋:18戦15勝(9KO)2敗1分       25歳     身長:177cm
     ●坂井:41戦26勝(13KO)13敗2分     30歳     身長:175cm     リーチ:171cm

     放送:G+
     解説:セレス小林&山中慎介
     実況:辻岡義堂

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                      2021年12月9日(木)    後楽園ホール
                       日本ウェルター級タイトルマッチ10回戦
                     チャンピオン    T  K  O   挑戦者(同級3位)
                ○   小原佳太   5回2分44秒   玉山将也   ●
                              (三迫) 147 lbs                     (帝拳) 147 lbs
                    WBO9位,IBF9位                 たまやま・まさや

 開始早々,いきなり右アッパーをヒットする小原。中盤,リング中央で左フック,右ストレートの交換。ここで小原の右ストレートが決まり,玉山は腰から落ちてダウン(カウント9)。効いている玉山。左ジャブ,右ストレート,左フックでどんどん攻勢に出る小原。完全に呑んでかかる小原。
 2回中盤,玉山が右フックをヒット。小原も左フック,右ストレートを返すが,玉山の気迫が甦っている。終盤,再び右フックを決める玉山。小原は左フックで応戦。
 3回,小原は足で軽くリズムを取り,左右アッパーのボディブロー,左フック,右ストレートを上下に打ち分ける。これでガードをくずそうとしている小原。玉山はプレスをかけているが,先に手を出しているのは小原。
 4回,玉山は前に出るが,小原は左アッパーのボディブロー,ワンツー,左フックを先にどんどん決める。出バナを叩かれた玉山は左目上をカットし,ドクターチェックを受ける(小原の有効打による傷)。
 5回,玉山は劣勢にもめげず,前に出る。しかし,小原は足を使いながら左ジャブ,左アッパーからの右ストレートを浴びせる。上下に散らし,先手を取る小原。さらにワンツー,右アッパーで玉山を追い込む。ここで玉山の左目上からの出血が増し,再びドクターチェック。結局この傷が続行不能とされ,試合がストップされた。

 小原,堂々の横綱相撲で2度目の防衛に成功。上下にパンチを散らす多彩な攻撃で玉山のガードを崩して翻弄した。ベテランらしい攻撃の組み立ては見事。前に出る玉山の出バナを叩くうまさを見せた。傷によるTKOという結果ではあるが,持ち味を存分に出した完勝である。
 玉山は右ストレートを武器とする右ボクサーファイター。意欲に溢れた果敢な攻撃を見せ,ときおり右フックで小原をひやりとさせた。しかし,やはりキャリアの差は大きかった。上下への多彩な打ち分けで先手を取られ,前に出ているのに追い込まれる形になった。

     主審:飯田徹也,副審:染谷路朗&杉山利夫&葛城明彦
     ○小原:30戦25勝(22KO)4敗1分     35歳     身長:180cm     リーチ:184cm
     ●玉山:17戦14勝(8KO)3敗         28歳     身長:177cm
     放送:フジテレビ     解説:八重樫東     実況:田淵裕章

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                  2021年12月11日(土)    名古屋国際会議場
                       10回戦(52.5kg契約)
                WBC世界S・フライ級7位       IBF世界S・フライ級5位
                ○   田中恒成   判 定   石田 匠   ●
                             (畑中) 115 3/4 lbs           (井岡) 115 3/4 lbs
                             WBO9位           いしだ・しょう  WBO10位

 初回,石田が積極的に鋭い左ジャブを多用して流れを作った。田中は左アッパーでボディを攻めるが,出バナを左ジャブで叩かれている。
 5回,リング中央でワンツー,左右フックをまとめる石田。しかし,終盤は田中の攻勢が目立ち,左アッパーのボディブロー,右ストレートで攻め込む場面が見られた。石田は鼻から出血。
 7回,田中が主導権を握る。積極的に攻め込み,左右フック,左アッパーで下から攻め上げる田中。左ジャブが減った石田は田中の前進を止められず,潜り込まれている。勢いに乗った田中は左アッパーをダブルでボディに打つ。
 9回は石田の左ジャブ,ワンツーが冴えた。リング中央で矢のようなワンツーが田中のアゴを襲う。浅かったが,タイミング抜群のストレートだった。終盤,激しいパンチの応酬になるが,ロープを背負った石田が左フックのカウンターを返す。
 10回,石田の左ジャブが唸る。田中は攻勢を仕かけるが,攻め倦んでいる。

 世界ランカー同士のハイレベルな攻防が展開された。田中が僅差の判定勝ちで世界への再挑戦に向けて再始動した。石田の左ジャブに苦しんだ場面はあったが,左右のボディブローを中心とする攻勢でポイントを積み重ねた。
 石田は長身と長いリーチを生かした右ボクサータイプ。序盤から世界レベルの鋭い左ジャブを多用し,田中を大いに苦しめた。中盤にその左ジャブが減った途端に潜り込まれたが,持ち味を十分に出した試合内容である。終盤はその左ジャブが再び冴えた。9回に見せたワンツーの右ストレートは目の覚めるようなパンチだった。今後まだまだ活躍が期待できる。

採点結果 田中 石田
主審:石川和徳 *** ***
副審:川上 淳 96 95
副審:杉山利夫 94 96
副審:村瀬正一 96 94
参考:MAOMIE (47) (48)


     ○田中:17戦16勝(9KO)1敗      26歳     身長:164cm     リーチ:164cm
     ●石田:32戦29勝(15KO)3敗     30歳     身長:173cm     リーチ:182cm

     放送:CBC中部日本放送(TBS)
     解説:飯田覚士     ゲスト:田中亮明
     実況:高田寛之

※ 第1・5・7・9・10ラウンドのみを放送(MAOMIEの採点は放送されたラウンドのみの集計結果です)。

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           2021年12月11日(土)    ディグニティ・ヘルススポーツパーク(米国カリフォルニア州カーソン)
                       IBF世界スーパーバンタム級挑戦者決定戦12回戦
                  IBF世界S・バンタム級9位   K     O   IBF世界S・バンタム級10位
                ○   マーロン・タパレス    2回0分06秒    勅使河原弘晶   ●
                              (比国) 121 1/2 lbs                        (三迫) 121 1/2 lbs
                                                     てしがわら・ひろあき   OPBFチャンピオン

 右の勅使河原,左のタパレス。開始早々からガードを下げ,軽いステップを踏みながら左ジャブ,右ストレートを放つ勅使河原。タパレスの軽い右フックがヒット。2分過ぎ,右フック,左ストレートからチャンスを掴んだタパレスが攻勢に出る。赤コーナーに追い込まれる勅使河原。左ストレート,アッパー,右フック,アッパーの猛攻で赤コーナーに腰を落としたところで,レイス主審がカウント8を数えた。再開したが,効いている勅使河原。タパレスが左右フック,左ストレートで追い上げれば,勅使河原はぐらつきながらロープ伝いにニュートラルコーナーに下がる。ここで飛び込みざまにタパレスが放った右フックをもらった勅使河原はロープ際に崩れ落ち,2度目のダウン(カウント8)。かろうじて再開に応じたところでゴングに救われたが,足元が定まらず,完全にグロッギー。
 2回開始早々,仕留めにかかったタパレスは得意の右フックを一撃。前に落ちた勅使河原はこの試合3度目のダウン。レイス主審は即座に試合をストップした。

 世界挑戦を狙う勅使河原にとって何としても勝たなければならない一戦だったが,ガードの低さを突かれて強打を浴びた。持ち味のリラックスしたスタイルからトリッキーな動きでチャンスを窺ったが,タパレスが得意とする右フックを再三もらっていた。2分過ぎに追い込まれてからは為す術もない状態。上体の振りがないので,まともにもらってしまった。パンチ力がある相手だけに,前半はもう少し慎重に戦うべきだった。
 タパレスはサウスポーのボクサーファイター。右フックを武器としているが,さらには左ストレート,左右アッパーもある。チャンスを掴んでからの打ち分けが見事だった。ガードが低い勅使河原の出バナに右フックを合わせる作戦だったと推測されるが,それが見事に的中した。チャンスに見せた冷静な詰めが光る。

     主審:ジャック・レイス(米国),副審:パット・ラッセル(米国)&フェルンド・ビリャレアル(米国)&ザカリー・ヤング(米国)
     ○タパレス:38戦35勝(18KO)3敗        29歳     身長:163cm     リーチ:165cm
     ●勅使河原:27戦22勝(15KO)3敗2分     31歳     身長:170cm
     放送:WOWOW     解説:ジョー小泉&西岡利晃     実況:赤平 大     アシスタント:増田美香

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                         2021年12月14日(火)    両国国技館
                       IBF・WBA世界バンタム級タイトルマッチ12回戦
                     チャンピオン     T   K  O     挑戦者(IBF5位)
                ○   井上尚弥    8回2分34秒    アラン・ディパエン   ●
                              (大橋) 118 lbs                       (タイ) 117 1/2 lbs
                                                WBA10位

 静かなスタート。ディパエンの逞しい上体が目を引く。井上はボディ,アゴに左ジャブを送って探りを入れ,落ち着いた入りを見せた。
 2回,ディパエンの力量を見切ったか,井上が前に出る。威力がある左ジャブを多用し,徐々にプレスをかける。さらに右ストレートにつなげる井上。ディパエンのパンチも硬いが,終盤,井上が左ジャブの数を増してプレスを強めた。
 3回に入ると試合は早くもワンサイドゲームの様相を呈した。井上は右ストレートでボディを叩き,右アッパーから左フックにつなげる。ディパエンは後退を余儀なくされる。
 4回,接近した井上は上下に左アッパーを4連発。左ジャブ,右ストレートのボディブロー,ワンツーでどんどん追い詰めていく。ディパエンは右ストレートを返すが,鼻から出血。
 5回に入ると井上のやりたい放題になった。左ジャブ,ワンツー,ボディに左アッパー,右フック。ディパエンはかなり打たれているが,鼻血を流しながら耐える。
 6回,完全に呑んでいる井上。ゆとりを持って左ジャブ,ワンツー,ボディに左アッパー,右フックを打ち込む。
 7回,左ジャブからの右フックがアゴに決まり,タフなディパエンもさすがに足が縺れてピンチ。井上は左右フック,左アッパーのボディブローで襲いかかる。ディパエンは後退する場面が続く。
 8回,驚異的な粘りを見せるディパエンに破局が訪れた。2分過ぎ,赤コーナーに下がったディパエンに井上が襲いかかる。左右フックから左フックを浴びせれば,ディパエンはニュートラルコーナーまで大きく吹っ飛び,腰から落ちてダウン(カウント8)。これは何とか再開に応じたものの,井上が放った左フックのカウンターがアゴの先端にヒット。腰が落ちて後退したところで染谷主審が試合をストップした。

 井上が圧勝。IBF王座は4度目,WBA王座は6度目の防衛に成功。想像以上にタフなディパエンに手を焼いたが,上下に鋭いパンチを浴びせ,ワンサイドの危なげない勝利である。威力満点の左ジャブは相手の強気をくじくのに十分な効果がある。この左ジャブで相手を崩し,ワンツー,ボディへの左アッパーなどの多彩なパンチでまさにやりたい放題の試合となった。相手のタフネスにフィニッシュが長引いたが,技術の粋を存分に見せた。
 ディパエンは右ボクサーファイター。がっしりした上体から放つ左右フックに威力がある。非常にタフで相当の被弾にもめげず,8回まで倒れることは拒否した。

7回までの採点 井上 デイパエン
主審:染谷路朗 *** ***
副審:池原信遂 70 63
副審:福地勇治 70 63
副審:ビニー・マーチン 70 63
参考:MAOMIE 70 63


     ○井上:22戦22勝(19KO)           28歳     身長:165cm     リーチ:171cm
     ●ディパエン:15戦12勝(11KO)3敗     30歳     身長:162cm

     放送:WOWOW
     解説:西岡利晃     ゲスト:井上真吾
     実況:高柳謙一     アシスタント:増田美香

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                         2021年12月14日(火)    両国国技館
                        WBO世界ミニマム級タイトルマッチ12回戦
                   挑戦者(同級1位)    T  K  O        チャンピオン
                ○   谷口将隆    11回1分08秒    ウィルフレド・メンデス   ●
                              (ワタナベ) 105 lbs                         (プエルトリコ) 105 lbs
                 たにぐち・まさたか   IBF5位

 サウスポー同士。谷口は頭を振り,フェイントを交えながらプレスをかける。右ジャブをボディ,上に左ストレートを打つ谷口。メンデスは慎重にカウンターを狙い,左ストレートをボディに打つ。
 2回,谷口が積極的に出る。2分過ぎ,接近戦からの離れ際,谷口の左ストレートがタイミングよくアゴに決まり,メンデスは腰から落ちてダウン(カウント8)。3回は流れを持っていかれてはまずいと見たメンデスが右ジャブを多用して積極的に手を出す。しかし,それ以降はダウンを奪って精神的に優位に立った谷口がメンデスをどんどん追い込んでいった。
 中盤はメンデスをロープ際に押し込んだ谷口が左右アッパーのボディ攻撃を敢行した。メンデスはこれを嫌い,谷口の腕を抱え込む場面が目立つ。6回,メンデスはついにホールディングで減点された。
 8回,メンデスは右目上をカット(谷口の有効打による傷)。しかし,終了間際には左右フックを浴びせ,谷口に迫った。
 しかし,9回は再び谷口が攻勢。強引にロープを背負わせ,左右アッパーでボディを打つ。左アッパーのボディ打ちが効いたメンデスは動きが鈍って後退。攻勢に出る谷口にメンデスは後手に回る。
 10回,谷口は左右アッパーのボディブロー,左ストレート。メンデスは明らかにパンチに対する反応が鈍くなっている。それでも終了間際,メンデスが左ストレートのカウンターを見せた。
 11回,谷口が打ち下ろしたワンツーが決まり,足元が揺らめいたメンデスは力なくロープ際に後退。チャンスと見た谷口はワンツー,左右フックで一気にスパート。メンデスは耐えるが,青コーナーに詰まり,ワンツー,右フックの連打を浴びて上体が大きく揺らぐ。ここで池原主審が試合をストップした。

 谷口が2度目の世界挑戦で悲願の王座奪取。序盤から攻勢に出て,ボディ攻撃を中心に主導権を握った。この展開でメンデスを自分の土俵に引きずり込んで戦ったことが勝因。各ラウンドの終了間際にメンデスの攻撃を許す場面はあったものの,最後まで手数が減らなかったことがよかった。ボディ攻撃中心で右ジャブ,フックがやや少ないことが気になった。サウスポーのボクサーファイターでワンツー,左右アッパーを得意としている。神戸第一高(兵庫)→龍谷大で74戦55勝(16KO・RSC)19敗のアマ戦績がある。
 メンデスもサウスポーのボクサーファイターだが,やや距離を置いた展開を得意としている点で谷口とは異なっている。谷口が初挑戦で敗れたビック・サルダール(比国)を破って王座を獲得し,これが3度目の防衛戦だった。谷口の強引な攻撃で潜り込まれ,ロープ際に押し込まれる場面が続いた。距離をとって戦いたかったはずだが,ボディ攻撃でスタミナを削られた。

10回までの採点 谷口 メンデス
主審:池原信遂 *** ***
副審:浅尾和信 97 91
副審:福地勇治 95 93
副審:染谷路朗 97 91
参考:MAOMIE 98 90


     ○谷口:18戦15勝(10KO)3敗       27歳     身長:162cm     リーチ:164cm
     ●メンデス:18戦16勝(6KO)2敗     25歳     身長:166cm     リーチ:165cm

     放送:ひかりTV
     解説:山中慎介     ゲスト:関根 勤&HIKAKIN
     実況:矢野 武

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                         2021年12月14日(火)    両国国技館
                             8回戦(55.0kg契約)
                 日本S・バンタム級(ノーランク)   T  K  O    日本S・バンタム級(ノーランク)
                ○   武居由樹      1回0分59秒      今村和寛   ●
                             (大橋) 121 1/2 lbs                          (本田フィットネス) 121 lbs

 サウスポー同士の一戦。今村は両脇を開き気味にガードを高くした構えでチャンスを窺う。武居は冷静に動きを見て,右フックから飛び込む。さらに右フックで今村の腰が落ちる。武居は左アッパーをボディに打っておいて,すかさずアゴに右フックを決める。さらに右フックからアゴに右アッパーを突き上げれば,半ば意識が飛んだ今村は虚ろな目でリング中央に崩れ落ちる。立ち上がろうとしたが,下半身が言うことを聞かず,腰が砕けて大きくよろめき,ロープに突っ込む。吉田主審はカウントの途中で試合をストップした。

 K−1から転向した武居の第3戦。鮮やかな速攻でプロ3連続KO勝利を飾った。サウスポーのボクサーファイターで左ストレート,右フックにKOの威力がある。目と勘のよさが光る。無駄打ちがなく,カウンターのタイミングも素晴らしい。強打者ゆえ,日本人の対戦者を選ぶことは今後さらにむずかしくなるだろう。コロナ禍の中,海外から相手を呼ぶこともままならない。困難な状況が続くが,上を目指す素質を持つ貴重なタレントである。
 今村はサウスポーのボクサーファイター。左ストレートを得意としているが,武居とはスピードもパンチ力も大きな差があった。鋭いパンチにまったく反応できず,呆気なく沈んだ。

     主審:吉田和敏,副審:ビニー・マーチン&寺山しゅうへい&福地勇治
     ○武居:3戦3勝(3KO)          25歳     身長:170cm
     ●今村:4戦2勝(1KO)1敗1分     29歳     身長:171cm
     放送:WOWOW     解説:西岡利晃     ゲスト:井上真吾
     実況:高柳謙一     アシスタント:増田美香

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                        2021年12月14日(火)    後楽園ホール
                    東洋太平洋スーパーフェザー級王座決定戦12回戦
               東洋太平洋S・フェザー級3位   T  K  O   東洋太平洋S・フェザー級2位
                ○   木村吉光     3回0分27秒     坂 晃典   ●
                            (志成) 129 1/2 lbs                       (仲里) 130 lbs
                                       さか・こうすけ   WBO10位,日本チャンピオン

 初回,きびきびとした動きを見せる両者。坂は前に出て右フックをボディに。木村は足を使い,右フックを返す。早くも緊迫した応酬になった。
 2回,積極的に前に出て木村をロープ際に追い込む坂。木村は冷静に見て左ジャブを返す。終盤,タイミングのいい木村の左フックが命中し,坂はもんどりうってダウン(カウント8)。
 3回,ワンツー,左右フックで攻勢に出る坂。木村はこれに応じず,足を使いながら左ジャブでチャンスを窺う。リング中央,木村の右ストレートがアゴの先端に決まり,がくんと腰を落とす坂。これに反応した木村が左フック,右ストレートで一気に襲いかかる。上体が泳いだ坂は赤コーナーに詰まる。ガードも取れなくなった坂は右ストレートからの左フックの追い打ちで赤コーナーに崩れ落ちる。ここで岡庭主審が試合をストップした。

 冷静な試合運びに徹した木村が鮮やかな速攻でタイトルを手にした。フットワークを使いながらの左ジャブ,右ストレートを得意とする右ボクサーファイター。尽誠学園高(香川)でアマチュア経験がある。前に出てプレスをかける坂につき合わず,冷静に動きを見ていた。右でぐらつかせた一瞬のチャンスに反応した詰めは見事の一語に尽きる。
 坂はガードが下がった隙を突かれて沈んだ。積極的に前に出て右フックのボディブローなどで終始プレスをかけていた。しかし,これを冷静に見切った木村が一枚上だった。

2回までの採点 木村
主審:岡庭 健 *** ***
副審:杉山利夫 19 18
副審:中村勝彦 19 18
副審:飯田徹也 20 17
参考:MAOMIE 20 17


     ○木村:16戦13勝(8KO)2敗1分     25歳     身長:169cm
     ●坂:27戦21勝(18KO)6敗        29歳     身長:169cm

     放送:TBS
     解説:内藤大助
     実況:土井敏之

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                       2021年12月14日(火)    後楽園ホール
                            8回戦(56.0kg契約)
                 日本フェザー級(ノーランク)   T  K  O   日本フェザー級(ノーランク)
                ○   大湾硫斗     2回1分45秒     杉田ダイスケ   ●
                            (志成) 123 1/2 lbs                        (ワタナベ) 123 1/2 lbs
                    おおわん・りゅうと

 初回,左ジャブの交換。若い大湾が鋭いワンツーを飛ばす。右アッパーからの左フックでチャンスを掴んだ大湾が一気に攻勢。右ストレートで杉田の腰が落ちる。終盤,打ち下ろしの右フック2発で杉田は前に落ちてダウン(カウント9)。
 2回開始早々,杉田の左目が腫れ上がり,ドクターチェック。再開後,大湾が思い切りのいい右ストレートで攻勢。ここで杉田の左目のドクターチェックのため,再び中断。これが続行不能とされ,試合がストップした。有効打での傷によるストップのため,大湾のTKO勝利。

 中量級のホープ大湾が大器の片鱗を見せた。右ストレートを主武器とする右ボクサーファイター。スピード抜群でスケールの大きいボクシングが売り物。思い切りのよさがいい。右ストレートに加え,意表を突く右アッパーから返す左フックも相手にとっては脅威である。勢いがある新鋭で非常に楽しみである。
 杉田は警視庁の現役警察官という異色。駿台学園高(東京)→東京農大で141戦110勝(47KO・RSC)31敗。右ストレートを得意とする右ボクサーファイターである。大湾の鋭いワンツーで完全に動きを止められてしまった。

     主審:岡庭 健,副審:蜂須賀ジョン&中村勝彦&山岸善明
     ○大湾:9戦8勝(6KO)1敗     23歳     身長:168cm
     ●杉田:9戦6勝(3KO)3敗     33歳     身長:169cm
     放送:TBS     解説:内藤大助     実況:土井敏之

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                      2021年12月19日(日)    後楽園ホール
                    第78回東日本新人王決勝戦(ライトフライ級)
                                4回戦
                 日本L・フライ級(ノーランク)   T  K  O   日本L・フライ級(ノーランク)
               ○   坂間叶夢     2回2分25秒     加藤幸海   ●
                         (ワールドスポーツ) 107 1/2 lbs                 (ワタナベ) 107 3/4 lbs
                          さかま・かなむ                        かとう・こうみ
                坂間は技能賞を受賞

 初回,坂間は警戒に動きながら踏み込んで左ジャブを突く。加藤も左ジャブ,右ストレートで応戦するが,2分過ぎ,右ストレートからチャンスを掴んだ坂間が左右ストレートを連打して攻勢。ぐらついて後退した加藤は後手に回る。坂間は左右アッパーのボディブロー,右ストレートで追撃。
 2回,左右アッパー,ワンツーで積極的に攻める坂間。加藤は右ストレートで応戦するが,動きが鈍い。赤コーナーに下がった加藤はワンツーを受けてアゴが上がる。そこに坂間がワンツーを打ち込めば,加藤は赤コーナーで両膝から崩れ落ちてダウン(カウント8)。再開後追撃する坂間。ロープ際から逃れようとしてバランスを崩した加藤に右ストレートを浴びせたところで中村主審が試合をストップした。

 現役高校生という坂間がうまさを見せた。右ストレートを得意とする右ボクサーファイターで,バランスのよさがある。ワンツーに加えて左右アッパーのボディブローもあり,上下への打ち分けもできていた。ただし,さらに上を目指すためにはスピードを磨くことが課題になる。
 加藤は右ボクサーファイターで右ストレートを得意としている。ひ弱そうに見えるが,パンチ力がある。攻められても果敢に右のカウンターを返すなどの強さを見せた。スピードの面で坂間に劣っており,その差が出てしまった。

     主審:中村勝彦,副審:吉田和敏&杉山利夫&浅尾和信
     ○坂間:4戦4勝(4KO)        18歳     身長:165cm
     ●加藤:3戦2勝(2KO)1敗     20歳     身長:167cm
     放送:G+     解説:飯田覚士     実況:弘竜太郎

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                     2021年12月19日(日)    後楽園ホール
                    第78回東日本新人王決勝戦(フェザー級)
                               5回戦
                日本フェザー級(ノーランク)   T   K  O   日本フェザー級(ノーランク)
               ○   渡邊 海     1回0分10秒     吉田 諒   ●
                            (ライオンズ) 126 lbs                     (ワールドスポーツ) 126 lbs
                         わたなべ・かい                       よしだ・りょう
               渡邊はMVPを受賞

 開始ゴングと同時に猛然と攻め込む吉田。右から左のフックを振って襲いかかる。ロープ際に下がった渡邊の右フックがテンプルに当たり,右膝から崩れ落ちた吉田は朦朧としてロープに間に突っ込む。体の制御がままならず,カウントの途中で飯田主審が試合をストップした。

 電光石火の決着。右ストレートを得意とする渡邊はいきなり攻め込まれたが,慌てずにカウンターを返した。若さに似合わぬ冷静さである。これが見た目以上に効いており,吉田は痛恨のTKO負けとなった。若い渡邊を脅かして主導権を握る作戦だったと思われるが,渡邊の対処が見事だった。


     主審:飯田徹也,副審:浅尾和信&吉田和敏&杉山利夫
     ○渡邊:6戦6勝(2KO)        19歳     身長:177cm
     ●吉田:8戦6勝(4KO)2敗     30歳     身長:169cm
     放送:G+     解説:浜田剛史     実況:北脇太基

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                       2021年12月19日(日)    後楽園ホール
                    第78回東日本新人王決勝戦(スーパーライト級)
                                  4回戦
                    日本S・ライト級(ノーランク)   T  K  O   日本S・ライト級(ノーランク)
                 ○   関根幸太朗    1回1分44秒    鳴海拓郎   ●
                               (ワタナベ) 139 1/2 lbs                      (RK蒲田) 140 lbs
                  関根は敢闘賞を受賞

 開始早々,パワーで勝る関根が先制攻撃に出た。自信満々で左ジャブを突き,再三左アッパーをボディに打ち込む。鳴海も左フックを返すが,関根は構わず左アッパーをボディに。さらに左フックのカウンターがアゴに決まれば,鳴海はもんどり打ってダウン(カウント8)。ロープを背負った鳴海に左右フックから右ストレートを打ち込めば,鳴海はロープ際でがくんと腰を落とす。ここで飯田主審が割って入るのと同時に青コーナーからタオルが投入された。

 関根が見事な速攻でTKO勝利を飾った。花咲徳栄高(埼玉)→拓大で38戦18勝(5KO・RSC)20敗というアマのキャリアがある。右ファイタータイプで鋭い左ジャブ,左右フックに強打を秘める。多用していた左アッパーのボディブローが強烈で,鳴海の動きが止まる場面が見られた。アマチュア仕込みのテクニックと強打で順当な勝利である。
 鳴海は右ストレートを得意とする右ボクサーファイター。距離を置いて戦いたかったところだが,関根の鋭い左ジャブ,ボディへの左アッパーであっという間に踏み込まれた。アマ経験がある関根とはすべての面で差が大きかった。

     主審:飯田徹也,副審:吉田和敏&葛城明彦&ビニー・マーチン
     ○関根:2戦2勝(2KO)        24歳     身長:170cm
     ●鳴海:6戦3勝(2KO)3敗     22歳     身長:175cm
     放送:G+     解説:セレス小林     実況:伊藤大海

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                     2021年12月31日(金)    大田区総合体育館
                     WBO世界スーパーフライ級タイトルマッチ12回戦
                      チャンピオン           挑戦者(同級6位)
                ○   井岡一翔    判 定    福永亮次   ●
                               (志成) 115 lbs              (角海老宝石) 114 3/4 lbs

 右の井岡,左の福永。福永が初回から積極的な攻撃を仕かけた。上下への右ジャブ,左ストレートから左右フックのボディブローで迫る。井岡は慎重に出方を窺う。
 2回中盤から井岡がワンツー,ボディへの左右アッパーを的確に決めていく。
 4回,井岡は左アッパーをサウスポーの福永のアゴにヒット。普通に打っているが,高度なテクニックである。2分過ぎ,左フックのカウンターでぐらつく福永。井岡は左右アッパーのボディ打ちで追撃し,うまさを見せた。
 6・7・8回,ボディ攻撃にワンツーを織り交ぜたコンビネーションブローで井岡が要所を締める。福永はよく動いて左右フックを返すが,鼻から出血。
 9回,福永がワンツーで攻めるが,井岡は打ち終わりに右アッパー,左フックをボディに決める。さらにワンツーを浴びせ,距離を取る。井岡のうまさが光る。
 10回は福永が左ストレートをよく当てる。11回,井岡をロープに詰めた福永は,小刻みな右ジャブから左右フックのボディブロー,左ストレートで果敢な攻撃を展開する。井岡はときおり右ストレートを返すが,この回は福永の手数が勝る。
 12回,激しい応酬。福永は左ストレート,右フックで攻めるが,井岡はこれをがっちりと受け止め,右ストレート,アッパー,左フックを浴びせる。

 王者の風格を漂わせた井岡が4度目の防衛に成功。当初はIBF王者ジェルウィン・アンカハス(比国)との王座統一戦が組まれていたが,急遽挑戦者が福永に変更された一戦。新型コロナウイルスのオミクロン株拡大に伴い,外国人の新規入国が禁止されたことによるもの。福永の積極的な攻撃を冷静に見極め,ワンツー,ボディへの左右アッパーを的確に決めた。接近戦でのコンビネーションブローはもちろん,距離を取ってリズムを変えるなどのうまさが光った。ただし,相手の動きを見極めているとはいえ,ロープを背負って攻撃させるのは見栄えが悪い。
 福永は日本,東洋太平洋,WBOアジアパシフィックを制したサウスポーのボクサーファイター。左ストレート,左右フックの連打を得意としており,手数の多さが持ち味。上下への打ち分けがうまく,パンチ力もある。善戦したが,井岡のうまさが一枚上だった。

採点結果 井岡 福永
主審:中村勝彦 *** ***
副審:染谷路朗 118 110
副審:村瀬正一 116 112
副審:飯田徹也 115 113
参考:MAOMIE 116 112


     ○井岡:30戦28勝(15KO)2敗     32歳     身長:165cm     リーチ:169cm
     ●福永:20戦15勝(14KO)5敗     35歳     身長:170cm     リーチ:169cm

     放送:TBS
     解説:内藤大助&内山高志     ゲスト:千原ジュニア&ウルフ・アロン(東京五輪柔道金メダリスト)
     実況:伊藤隆佑

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