熱戦譜〜2021年11月の試合から


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試合日 試合 結果
2021.11.06  日本ライトフライ級
 王座決定戦10回戦
 岩田翔吉  TKO9R  芝 力人
2021.11.11  WBOアジアパシフィック スーパーバンタム級
 王座決定戦12回戦
 井上拓真  判定  和氣慎吾
2021.11.14  4回戦(ミニマム級決勝)
 2021年全日本新人王西軍代表決定戦
 初田 翔  TKO1R  亀川陵太
2021.11.14  5回戦(スーパーバンタム級決勝)
 2021年全日本新人王西軍代表決定戦
 平野 岬  判定  森田翔大
2021.11.14  4回戦(ミドル級決勝)
 2021年全日本新人王西軍代表決定戦
 宮本康平  TKO1R  早川教文
2021.11.17  WBOグローバル スーパーウェルター級
 タイトルマッチ12回戦
 ティム・チュー  判定  井上岳志
2021.11.27  IBF世界スーパーフェザー級
 王座決定戦12回戦
 尾川堅一  判定  アジンガ・フジレ
2021.11.26 8回戦  松永宏信  TKO6R  矢田良太

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                       2021年11月6日(土)    後楽園ホール
                       日本ライトフライ級王座決定戦10回戦
                   日本L・フライ級2位   T  K  O   日本L・フライ級1位
                ○   岩田翔吉    9回0分37秒    芝 力人   ●
                              (帝拳) 108 lbs                      (真正) 108 lbs
                    いわた・しょうきち                   しば・りきと

 初回,ともに小刻みな動きから左ジャブを交換する。芝は前後に跳ねるようなフットワークで出入りしながら左ジャブ,ボディに右ストレート。岩田の出バナにワンツーを出す芝。
 2回,岩田はじりじりとプレスをかけるが,まだ手数は出ていない。芝は左ジャブ,機を見て左アッパーのボディブロー。ここまでよく見て先に手を出しているのは芝。
 しかし,3回2分過ぎ,芝が踏み込もうとしたところに合わせた右フックがカウンターになり,ぐらつく芝。攻勢に転じた岩田は左右フックの連打,ボディへの左フック。芝は足でリズムを取って立て直しを図る。これを境に主導権は岩田の手に移った。
 5回2分過ぎ,岩田の右ストレートが決まり,芝が腰を落とす場面があった。岩田は左アッパーのボディ打ち,右ストレートでプレスを強める。
 6回,ロープ際に芝を追い込んだ岩田が右ストレートを打ちおろす。このパンチでバランスを崩した芝は左グラブをついてダウンを取られた(カウント8)。流れは完全に岩田のものになった。
 7回,岩田は右アッパーをヒットし,ボディに左右アッパーを打つ。岩田の右ストレートがカウンターになる。
 8回,再び岩田の右ストレートのカウンターが決まる。右カウンターのタイミングが合っている岩田。終了間際,赤コーナーに下がった芝が右を打とうとした瞬間を岩田は見逃さなかった。右ストレートのカウンターでぐらついた芝は縺れるようにキャンバスに崩れる。これはカウントされなかったが,かなり効いていた。ノックダウンとしてもいい場面である。
 9回,右ストレートからチャンスを掴んだ岩田。ニュートラルコーナーに芝を詰めた岩田が左右フックから右ストレートをまとめる。ここで飯田主審が試合をストップした。

 岩田が無傷の7連勝でプロ初のタイトルを獲得。序盤はフェイントを織りまぜた芝の攻撃に戸惑ったが,3回あたりから右カウンターのタイミングが合い始めた。その後は徐々にプレスを強めて主導権を握った。再三ヒットしていた右ストレートのカウンターはタイミング抜群。非凡な才能が溢れている。右ボクサーファイターで右ストレート,アッパーを得意としている。日出高(東京)→早大で71戦59勝(16KO・RSC)12敗というアマ戦績が残っているが,プロではまだ7戦。やりにくい相手ともどんどんグラブを交え,キャリアを積むことが望ましい。
 芝は右ボクサーファイターで,こちらも右ストレートを得意としている。小刻みなステップで出入りを繰り返しながら左ジャブを突いて,右ストレートを打つのが得意の攻撃パターン。このクラスとしてはパンチ力がある。序盤から出入りを生かした巧みな攻撃でリードした。しかし,やはり3回あたりからは岩田のプレスに押され始めた。徐々に後手に回り,岩田の反撃を許した。南京都高(京都)→近大でアマ51戦38勝13敗。

8回までの採点 岩田
主審:飯田徹也 *** ***
副審:ビニー・マーチン 77 74
副審:染谷路朗 78 73
副審:葛城明彦 78 73
参考:MAOMIE 78 73


     ○岩田:7戦7勝(5KO)      25歳     身長:163cm
     ●芝:7戦5勝(3KO)2敗     26歳     身長:163cm

     放送:G+
     解説:セレス小林&山中慎介
     実況:伊藤大海

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                   2021年11月11日(木)    後楽園ホール
              WBOアジアパシフィック スーパーバンタム級王座決定戦12回戦
                 WBOアジアパシフィック1位      WBOアジアパシフィック3位
                ○   井上拓真   判 定   和氣慎吾   ●
                               (大橋) 122 lbs           (FLARE山上) 121 3/4 lbs
                  WBC・IBFバンタム級8位,WBOバンタム級6位     WBO S・バンタム級13位

 右の井上,左の和氣。ともにジャブを出して牽制しながら探り合う。浅いが,井上は右ストレートをひとつ。一方の和氣は左ストレートをヒット。好調な両者。
 フェイントを駆使するハイレベルな攻防になったが,4回,思わぬ波乱が起きた。序盤,思い切って踏み込んだ井上の右フック一閃。これをまともにアゴにもらった和氣は尻もちをついてダウン(カウント8)。一気に襲いかかる井上。和氣は右ジャブを突き,ときおり組付き,かろうじてピンチを凌いだ。和氣は右目下をカット(井上の有効打による傷)。
 5回,和氣が左ストレートで仕かけるところに右ストレートを返す井上。反応が冴えている。井上の右カウンターが飛んでくるので,和氣は得意の左ストレートを出しにくくなった。
 6回は和氣が先に手を出す。ワンツー,ボディにも左ストレート。戦法として,和氣はこれでいい。しかし,終盤,今度は井上が踏み込んで右フックをアゴにヒット。これは和氣がうまく芯を外したが,4回と同じタイミングの危ないパンチだった。
 中盤以降は和氣の出バナに合わせるカウンターにより,井上がリードを広げた。井上はうまくタイミングを取り,右ストレート,左フックを決めた。10回序盤,和氣が入ろうとしたところに右ストレートのカウンターがヒット。2分過ぎ,踏み込んだ井上の右フックがボディに決まる。腰を落としてロープに詰まった和氣に攻勢を仕かける井上。
 11回は和氣が気迫を見せ,左ストレートから井上をロープに詰めて攻勢に出る。12回,リードされている和氣は必死の攻勢。しかし,アゴが出たところに井上がうまく左右フックを当てた。和氣は左目下もカット(井上の有効打による傷)。

 国内屈指の好カードが実現した。期待を裏切らないハイレベルな駆け引きの応酬が続き,見応え十分の試合内容。序盤からフェイントの応酬で一瞬たりとも気を抜けない展開が続いたが,和氣の動きを読んだ井上が4回に奪ったダウンを境に主導権を握った。出バナに単発ながらも左フック,右ストレートをヒットし,これが和氣が手を出しにくくなる結果につながった。目と勘のよさは抜群。しかし,パンチが単発になることが気になる点。今後世界再挑戦に向けては,どうやってつながりのある攻撃をするかがポイントになるだろう。
 井上を破って再び世界挑戦への道筋をつけたかった和氣。しかし,動きを読まれ,得意の攻め手を封じられたことが敗因。ときおり左ストレートで先手を取ったが,カウンターを警戒して攻め倦む場面が目立った。

採点結果 井上 和氣
主審:中村勝彦 *** ***
副審:杉山利夫 117 110
副審:飯田徹也 117 110
副審:岡庭 健 117 110
参考:MAOMIE 116 111


     ○井上:16戦15勝(3KO)1敗         25歳     身長:164cm     リーチ:163cm
     ●和氣:36戦27勝(19KO)7敗2分     34歳     身長:174cm     リーチ:176cm

     放送:フジテレビ
     解説:川島郭志
     実況:木村拓也

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               2021年11月14日(日)    大阪府立体育会館第2競技場
                2021年全日本新人王西軍代表決定戦(ミニマム級)
                             4回戦
                  西日本新人王   T   K  O   中日本・西部日本対抗戦勝者
             ○   初田 翔    1回1分22秒    亀川陵太   ●
                        (寝屋川石田) 105 lbs                   (ARITOMI) 103 1/4 lbs
                       はつだ・しょう                     かめがわ・りょうた
              初田は敢闘賞を受賞

 開始ゴングと同時に左右フック,右ストレートで積極的に攻め込む亀川。これを迎え撃った初田は左ジャブ,右ストレートを刺す。この左ジャブがタイミングよく,威力がある。亀川の左フックに返した初田の左フックがカウンターになり,亀川の左膝が落ちる。構わず果敢に攻める亀川に対し,初田はガードを固めてチャンスを窺う。接近戦で初田が右アッパーから左フックを返せば,亀川は腰から落ちてダウン(カウント8)。ダメージを残しながらもワンツーで反撃する亀川。しかし,冷静に動きを見た初田は接近戦で再び右アッパーから左フックを返す。これで亀川は腰から落ちて2度目のダウン。今村主審はカウントの途中で試合をストップした。

 冷静に相手の動きを見極めた初田が見事にTKOで西軍代表の座を射止めた。右ボクサーファイターで,出バナに刺す左ジャブ,ストレートはタイミングがよく,ウェイトが乗って威力がある。ガードを固めて相手のパンチをかわし,右アッパーから返す左フックが決め手。2度のダウンを奪ったのはいずれもこのコンビネーションブローであり,初田が得意とする攻撃パターン。左フックのカウンターもあり,楽しみな素材である。KOの数以上にパンチ力がある。技能賞にも値する試合内容だった。
 亀川は右ボクサーファイター。右ストレート,左右フックを武器として果敢に攻め込む。しかし,初田に完全に読まれ,タイミングのいいパンチを返された。よく健闘したが,初田のうまさが一枚上だった。

     主審:今村ともひろ,副審:村瀬正一&恵良将志&近藤謙二
     ○初田:7戦6勝(2KO)1敗     26歳     身長:163cm
     ●亀川:5戦3勝(1KO)2敗     23歳     身長:157cm
     放送:G+     解説:飯田覚士     実況:弘竜太郎

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           2021年11月14日(日)    大阪府立体育会館第2競技場
          2021年全日本新人王西軍代表決定戦(スーパーバンタム級)
                           5回戦
            中日本・西部日本対抗戦勝者       西日本新人王
             ○   平野 岬    判 定    森田翔大   ●
                        (三松スポーツ) 121 1/2 lbs         (森岡) 121 3/4 lbs
                       ひらの・みさき              もりた・しょうだい
               平野は技能賞を受賞

 初回,左右に動きながら左ジャブ,右ストレートを打つ森田。長身の平野は腰を低くしてじりじりとプレスをかける。森田の右ストレートがひとつヒット。
 2回,平野の右ストレート。浅かったが,このパンチで森田の右膝が落ちる。浅いながらも,平野の右が再三ヒットした。さらに,森田の出バナに右アッパーを合わせる平野。森田は動きながら中に入ろうとするが,平野の右カウンターがあるので入れない。
 4回,バランスを崩しながら森田が前に出たところに平野の右ストレートが軽くヒット。森田はそのままロープの間に突っ込み,ダウンを取られた(カウント8)。平野はよく見て森田をさばき,単発ながらも右ストレートを再三ヒットした。森田は思惑とは裏腹に,なかなか手が出ない。
 5回,大きくリードしている平野は逃げ切り態勢。左右に目まぐるしく動き,巧妙なディフェンスで森田の攻勢をかわした。森田は左目上をカット(偶然のバッティング)。

 平野は長身の右ボクサーファイター。森田の前進を巧妙なフットワーク,ボディワーク,スウェイバックでかわし,右ストレートを再三ヒットした。この右カウンターは浅かったが,森田の前進を鈍らせる効果があった。リーチが長く,スピードもあって懐が深いので,相手にとってはやりにくい。
 森田は右ボクサーファイター。左右フックを得意としており,よく動いて果敢に攻めたが,平野の動きに幻惑され続けた。接近してパンチを打ち込みたかったところだが,平野の右カウンターがあるので,思い切って攻め込めず,思うようにパンチを出せなかったことが敗因。

採点結果 平野 森田
主審:池田あらた *** ***
副審:村瀬正一 48 46
副審:恵良将志 48 46
副審:池原信遂 50 44
参考:MAOMIE 49 45


     ○平野:6戦5勝(2KO)1敗     25歳     身長:171cm
     ●森田:6戦4勝(3KO)2敗     20歳     身長:163cm

     放送:G+
     解説:浜田剛史
     実況:北脇太基

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                2021年11月14日(日)    大阪府立体育会館第2競技場
                 2021年全日本新人王西軍代表決定戦(ミドル級)
                              4回戦
                  西日本新人王   T   K  O  中日本・西部日本対抗戦勝者
             ○   宮本康平    1回1分52秒    早川教文   ●
                         (真正) 159 1/2 lbs                    (中日) 158 3/4 lbs
                       みやもと・こうへい                  はやかわ・のりふみ
               宮本はMVPを受賞

 右の宮本,左の早川。ミドル級にしては両者ともにスピードがある。早川の右フックが頭部をかすめ,宮本は思わずキャンバスに両グラブをついてダウンを取られた(カウント8)。早川はサウスポースタイルから左右フックを連打するが,今度は宮本の左フックが頭部をかすめる。このパンチでバランスを崩した早川は右グラブをついてしまい,逆転のダウンを奪われた(カウント8)。ダウンの応酬となったが,再開後,宮本が右ストレートで早川をぐらつかせた。チャンスと見た宮本はここから右ストレート,左フックの連打で一気にスパート。早川はたまらず腰から崩れ落ちる。ここで近藤主審が試合をストップした。

 ミドル級としてはスピーディで強打に自信がある両者の対決。短い試合だったが,スリリングな好ファイトになった。MVPを手にした宮本は長身の右ボクサーファイターで,右ストレート,左フックに強打を秘める。非常にスピードがあり,連打をまとめる力もある。非常に楽しみな素材である。
 早川はサウスポーのボクサーファイター。右フック,左ストレートにパンチ力がある。左右フックの連打も出る。果敢に攻めたが,右ストレートでぐらついた一瞬の隙を突かれて連打をまとめられた。

     主審:近藤謙二,副審:村瀬正一&恵良将志&池原信遂
     ○宮本:7戦5勝(5KO)1敗1分     25歳     身長:182cm
     ●早川:5戦3勝(3KO)2敗        27歳     身長:179cm
     放送:G+     解説:セレス小林     実況:平松修造

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                 2021年11月17日(水)    シドニーオリンピックパーク(豪州シドニー)
                      WBOグローバル スーパーウェルター級タイトルマッチ12回戦
                 WBO世界S・ウェルター級1位      WBO世界S・ウェルター級6位
                ○   ティム・チュー    判 定    井上岳志   ●
                             (豪州) 153 1/4 lbs            (ワールドスポーツ) 153 1/2 lbs
                    WBOグローバル王者          IBF15位,WBOアジアパシフィック王者

 開始早々からチューが左ジャブ,アッパー,右ストレートでプレスをかける。アゴへの左アッパーで早くもバランスを崩す井上。
 3回,ワンツーで井上を青コーナーに詰めるチュー。さらに井上をロープに詰め,左アッパーをボディに打ち込む。しっかり,プレスをかけているチュー。
 5回,ウェイトが乗った左ジャブを上下に打ち込んでプレスをかけるチュー。さらにワンツーから強烈な右アッパーを見舞う。井上が不用意に背を向けたところ,左右フックでチューが攻勢に出る。6回,井上は右アッパーを返すが,終始下がらされている。終盤,チューは左右アッパーをボディに集め,井上をロープに詰めて攻勢。
 7回,チューはポジションを変えながら左右アッパーのボディブロー。終盤,右フックでバランスを崩した井上がロープに突っ込む場面があった。チューはすかさず左右アッパー,右ストレートで攻勢に出る。
 8回,ロープを背負った井上のアゴに強烈な右アッパーを見舞うチュー。パワー自慢の井上がパワーで押され,前に出られない。外からのパンチでガードを開かせ,左右アッパーを打ち込むチュー。
 10回,チューが上下に左右アッパー,ワンツーを打ち込む。相当ボディを打たれている井上だが,タフなところを見せた。
 12回,井上の反撃は通じない。バランスを崩した井上はリング中央で尻もち。右フックが当たっていたと見たソウルス主審はダウンを宣告し,カウント8を数えた。

 世界再挑戦のチャンスを掴むために敵地に乗り込んだ井上だが,強豪チューのうまさと強打に完敗。持前のタフネスで食い下がったが,チューのプレスが厳しく,前に出られなかったことが敗因。ボディに左右アッパーを集められたことも大きかった。捨て身で攻めない限りは勝ち目がなかったが,それができないほどのプレスの強さだったと言える。
 チューは右ファイタータイプ。父はかつての世界王者コンスタンチン・チュー。パワフルな攻撃は父親譲りである。左右アッパー,ワンツーにスピードと威力がある。無駄打ちがなく,エネルギーの消費を最小限に押さえる省エネスタイルが光る。緩急をつけ,細かい左右フックから右フック,アッパーの強打を打ち込む。また外側に左右フックを散らしておいて,インサイドから力が入った左右アッパーを上下に打つなどのうまさを見せた。

採点結果 チュー 井上
主審:ウィル・ソウルス(豪州)
*** ***
副審:レス・フィア(豪州) 120 107
副審:ミック・ヒーフィ(豪州) 119 108
副審:チャーリー・ルーカス(豪州) 120 107
参考:MAOMIE 120 107


     ○チュー:20戦20勝(15KO)         27歳     身長:174cm     リーチ:183cm
     ●井上:20戦17勝(10KO)2敗1分     32歳     身長:173cm

     放送:WOWOW
     解説:飯田覚士&西岡利晃
     実況:鈴木 健     アシスタント:増田美香

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          2021年11月27日(土)    マジソンスクエアガーデンHuluシアター(米国ニューヨーク)
                   IBF世界スーパーフェザー級王座決定戦12回戦
                 IBF世界S・フェザー級3位      IBF世界S・フェザー級2位
                ○   尾川堅一   判 定   アジンガ・フジレ   ●
                            (帝拳) 129 1/4 lbs             (南アフリカ) 129 1/2 lbs

 右の尾川,左のフジレ。尾川はフェイントをかけながら右ストレートをボディ,アゴに狙う。懐が深いフジレは重心を後方に置き,慎重に右ジャブを放つ。尾川が右を振って入るところに放ったフジレの右フック。このとき腕が首に引っかかり,尾川はバランスを崩してロープに突っ込む。
 2回,ニュートラルコーナーに下がったフジレの鋭い左ストレートがカウンターになり,尾川がわずかにぐらつく。
 3回2分過ぎ,尾川が待っているところに,再びフジレの左ストレートがヒット。さらに左ストレートがカウンターになり,尾川がわずかにぐらつく場面があった。よく見てカウンターの左ストレート,右ジャブを狙うフジレ。尾川は頭や上体を振って揺さぶりたい。4回,フジレが前に出て,尾川がやや引いてカウンターを狙う展開。2分過ぎ,尾川の左フックがカウンターになる。尾川は右目下をカット(偶然のバッティングによる傷)。
 5回中盤,踏み込んで放った尾川の右ストレートが絶妙なカウンターになり,ぐらついたフジレはロープ際で右膝をついてダウン(カウント8)。ややリードされていた尾川にとって起死回生の一発。朦朧としているフジレに襲いかかる尾川。鼻から出血したフジレは足とホールディングでピンチを凌ぐ。
 6回,尾川がいいプレスをかけている。ロープに詰めて左右フックの連打を浴びせれば,フジレは必死のボディワークでかわす。フジレは足を使って打ち合いを避ける。
 7回,尾川がプレスをかけ続けて主導権を握る。ロープに詰めて右フック,アッパーあるいは右ストレート,左フック。ボディにも右フックを散らす尾川。
 9回,右ストレートがボディ,アゴにヒットし,腰を落とすフジレ。尾川はフェイントをよく使い,左ジャブ,ストレートもよく出ている。右目上をカットしたフジレはしきりに流血を気にする。
 10回,フジレはじりじりと前に出て,左ストレート2発を浴びせる。これで後方にバランスを崩す尾川。さらに大きな左フックをヒットするフジレ。この回,尾川はプレスが弱まり,手数も少ない。
 12回,尾川が決定的なポイントを奪って勝利を確実なものにした。中盤,右ストレートを浴びたフジレは足が縺れ,リング中央で左膝をついてダウン(カウント8)。さらに終盤,再び右ストレートを痛打されたフジレは再びふらつき,ワンテンポ遅れてロープ際で左膝をついて2度目のダウン(カウント8)。KOチャンスだったが,尾川が飛びかかるように攻め込んだところで終了ゴングを聞いた。

 2017年12月,テビン・ファーマー(米国)との王座決定戦で判定勝ちしたものの,ドーピングで無効試合となって涙を呑んだ尾川。雌伏4年,再び米国のリングで王座決定戦に挑み,悲願達成となった。常にフェイントを使い,プレスをかけ続けていた。決め手の右ストレートは踏み込み,タイミングともに抜群で,まさにクラッシュライトの面目躍如。この右がフジレに積極的な攻撃をためらわせる効果を生んだ。5回にダウンを奪ったが,海外のリングということもあり,ポイントの面では一抹の不安があった。しかし,土壇場で奪った2度のダウンはまさにダメ押し。何が何でも勝つという執念が乗り移ったような攻撃が勝利を呼び込む結果につながった。ただし,ときおり正面に立って左ストレートをもらっていたのは反省点である。
 フジレはサウスポーのボクサーファイター。主武器の左ストレートは非常にシャープで,カウンターにもなり,待っているところにもこの左ストレートを打ち込む。引っかけるような右フックも要注意である。スタンスがやや広めであるうえに,重心を後ろに引いて構えるので,非常に懐が深い。巧みなボディワークもあり,どちらというとディフェンス重視のテクニシャンである。尾川の右を警戒し,後半はやや消極的な姿勢になった。

採点結果 尾川 フジレ
主審:ロン・リプトン(米国) *** ***
副審:ジョン・マッケイ(米国) 115 110
副審:ロビン・テイラー(米国) 115 110
副審:スティーブ・ワイズフェルド(米国) 114 111
参考:MAOMIE 117 108


     ○尾川:29戦26勝(18KO)1敗1分1無効試合     33歳     身長:173cm     リーチ:173cm
     ●フジレ:17戦15勝(9KO)2敗                25歳     身長:170cm     リーチ:178cm

     放送:WOWOW
     解説:飯田覚士&西岡利晃
     実況:鈴木 健     アシスタント:増田美香

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                       2021年11月26日(金)    後楽園ホール
                           8回戦(70.4kg契約)
               日本S・ウェルター級チャンピオン    T  K  O   日本ウェルター級13位
                ○   松永宏信    6回2分49秒    矢田良太   ●
                            (横浜光) 155 1/4 lbs                    (グリーンツダ) 152 1/4 lbs

 左の松永,右の矢田。初回,右ジャブを出しながら松永がじりじりと前に出る。矢田はこれを右ストレートで迎え撃つが,松永の的確な左ストレートが上回った。終盤,右を振って入った矢田は大きくバランスを崩してキャンバスに落ちる。このとき松永が右フックを引っかけたかに見えたが,これはスリップダウン。
 2回,矢田の左フックが決まるが,松永が的確なワンツー,左ストレートで矢田を追い詰める。空振りして大きくバランスを崩した矢田がロープにもたれるが,松永はここで追撃の手を緩め,矢田が体勢を立て直すのを待つ余裕を見せた。紳士的で好感が持てる試合マナーである。再開後,矢田をロープを背負わせ,左ストレートからの右アッパーでのけぞらせる松永。
 右ジャブ,左ストレートをコツコツと当ててリードを広げる松永に対し,矢田は徐々に被弾が増える。5回終盤,松永がプレスを強めた。ロープからニュートラルコーナーに矢田を詰め,左ストレート,右フック,アッパーで攻勢に出る。矢田は左目上をカット(松永の有効打による傷)。
 6回,松永のプレスが厳しさを増した。右ジャブから矢田をロープ,コーナーに詰め,左ストレート,左右フックで追い上げる。矢田は完全に守勢に回る。勝負どころと見た松永は一気に攻勢。ニュートラルコーナーに下がった矢田に再び左ストレート,左右フックをまとめたところで吉田主審が試合をストップした。

 ノンタイトル戦かつ一階級違いとはいえ,現役王者と元王者という好カード。松永がうまさを見せ,矢田を圧倒した。右ジャブを多用して終始プレスをかけ,サウスポースタイルから上下に的確なパンチを連打した。派手さはないが,しっかりした下半身から繰り出す上下への打ち分けのうまさが光る。リング上でこれを最後に3度防衛した日本タイトルを返上することを表明した。
 矢田は右ストレートにパンチ力がある右ボクサーファイター。伸びるワンツー主体にスピードを生かした試合運びをする。しかし,正面に立ってしまい,上体や頭の振りが乏しいため,松永の左ストレートの標的になった。前に出て攻めたかったところだが,後退させられる場面が目立った。試合後のリング上でマイクを握り,現役引退を表明。関係者に謝意を述べる姿に人柄の良さが滲む。

     主審:吉田和敏,副審:葛城明彦&福地勇治&田中浩二
     ○松永:21戦20勝(13KO)1敗     34歳     身長:173cm
     ●矢田:28戦20勝(17KO)8敗     32歳     身長:179cm
     放送:youtube     解説:なし     実況:なし

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