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試合日 | 試合 | 結果 | |
1 | 2021.09.01 | WBO世界スーパーフライ級 タイトルマッチ12回戦 |
井岡一翔 判定 フランシスコ・ロドリゲスJr |
2 | 2021.09.05 | 8回戦 | 木村蓮太朗 判定 齊藤陽二 |
3 | 2021.09.09 | 6回戦 | 武居由樹 TKO1R 竹田 梓 |
4 | 2021.09.10 | WBO世界フライ級 タイトルマッチ12回戦 |
中谷潤人 TKO4R アンヘル・アコスタ |
5 | 2021.09.11 | 8回戦 | 永野祐樹 TKO5R 別府優樹 |
6 | 2021.09.11 | 4回戦 | 岡村弥徳 TKO1R 赤井英五郎 |
7 | 2021.09.22 | WBC世界ライトフライ級 タイトルマッチ12回戦 |
矢吹正道 TKO10R 寺地拳四朗 |
8 | 2021.09.22 | 8回戦 | 大沢宏晋 5R負傷判定 高林良幸 |
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2021年9月1日(水) 大田区総合体育館
WBO世界スーパーフライ級タイトルマッチ12回戦
チャンピオン 挑戦者(同級2位)
○ 井岡一翔 判 定 フランシスコ・ロドリゲスJr ●
(志成) 115
lbs (メキシコ) 114 lbs
初回,ロドリゲスが積極的に出て左フック,アッパーで井岡をロープに詰める。井岡は左アッパーをボディに。
2回中盤,井岡の左アッパーがボディに決まり,これが効いた。ロドリゲスは終盤に猛然と左右フックで攻勢に出るが,井岡は冷静に応じ,左フックのカウンターを合わせる。
ロドリゲスはかなり好戦的。まとめて矢継ぎ早に放つパンチは要警戒。4回,井岡は左右アッパー,右ストレートでボディ中心に攻めるが,ロドリゲスも簡単には引き下がらない。終了間際,激しい応酬になるが,ロドリゲスの右ストレートがカウンターになり,井岡がバランスを崩す場面があった。
7回は井岡。左右への動きや前後の出入りを増やし,左ジャブ,左右アッパー,右ストレートを的確に返す。ロドリゲスは前半よりも手数が減る。打ち疲れ,ボディブローが効いたこともあるが,井岡に間合いを取られていることが大きい。
8回,井岡は足を使ってロドリゲスの攻撃をかわしながらながら左ジャブ,ボディへの左アッパー,右ストレートを的確に返す。終了間際,ロドリゲスは攻勢に出るが,井岡は左フックのカウンターを合わせる。
9回は逆にロドリゲスがしぶとさを見せた。左右フック,右ストレートをまとめるロドリゲスに対し,井岡は後手に回る。ここはしっかり動いて左ジャブで前進を止めたい井岡。ロドリゲスは左目上をカット(偶然のバッティングによる傷)。10回もロドリゲスの矢継ぎ早の連打に手を焼く井岡。ここは正念場。井岡は左フックのカウンターをヒット。
11回,井岡が的確に間合いを取り,左ジャブ,ワンツー,左フックを浴びせる。足を絡めて組み立てている井岡。こうなるとロドリゲスは手数が出なくなる。ロドリゲスは新たに左目上をカット(井岡の有効打による傷)。
12回,井岡は左アッパーのボディブロー。これが効いて後退したロドリゲスはクリンチに出る。鼻から出血しながら執拗に前に出て左右フック,右ストレートで迫るロドリゲス。井岡はよく見て冷静に対応している。
井岡は3度目の防衛に成功。アグレッシブに攻めるロドリゲスに終始手を焼いた末の勝利である。どっしり構えるのはいいが,いつもチャンスに見せる怒涛のような攻撃が見られず,どことなく淡白な戦い方が目についた。井岡が左ジャブを多用すると,ロドリゲスが攻め倦む場面が目立った。序盤から左ジャブを多用し,左右アッパーのボディ打ちで動きを止めるべきだった。相手のペースに合わせてしまい,いいところまで攻めながら反撃を許したことは反省点である。
ロドリゲスは元WBO・IBF世界ミニマム級王者。右ファイタータイプで左右フック,右ストレートを得意としており,好戦的なスタイルが特徴。KO率は高いが,一発の威力はあまりなく,旺盛なスタミナによる連打型である。手数の多さで井岡を苦しめたが,ボディブローで動きが止まった。そのたびに驚異的な回復力を見せた。
採点結果 | 井岡 | ロドリゲス |
主審:ビニー・マーチン | *** | *** |
副審:福地勇治 | 116 | 112 |
副審:染谷路朗 | 116 | 112 |
副審:池原信遂 | 116 | 112 |
参考:MAOMIE | 115 | 113 |
○井岡:29戦27勝(15KO)2敗 32歳 身長:164cm リーチ:167cm
●ロドリゲス:40戦34勝(24KO)5敗1分 28歳 身長:163cm リーチ:165cm
放送:TBS
解説:内藤大助&内山高志 ゲスト:入江聖奈
実況:伊藤隆佑
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2021年9月5日(日) ふじさんメッセ(静岡県富士市)
8回戦(スーパーフェザー級)
日本フェザー級20位 日本S・フェザー級12位
○ 木村蓮太朗 判 定 齊藤陽二 ●
(駿河男児) 130
lbs (角海老宝石) 130 lbs
左の木村,右の齊藤。初回,齊藤が右ストレートを振って変則的な動きで攻める。木村は右ジャブを突いて対応するが,不用意にガードを下げたところに齊藤の右フックが決まる。このパンチで木村は左膝をついてダウンを取られた(カウント8)。足に来ている木村。チャンスと見て攻勢に出る齊藤に浮足立つ木村。
2回,セコンドの支持を受けたのか,木村は小刻みに右ジャブを突く。さらに左ストレートからボディに左アッパーを見舞う木村。右ジャブをパリーしながら,構わず前に出た齊藤は右ストレートを振るが,空を切る。3回,木村は右ジャブを多用し,ボディに左フックを打つ。齊藤は右フック,ストレートを振って攻め込む。木村は左ストレート,右フックを浴びせるが,ときおり押し込まれる場面も。
4回,木村は右ジャブを突き,下がりながら左フックのボディブロー,左ストレートを打ち込む。しかし,終盤,ロープを背にした木村に右フックのボディブローを打つ齊藤。追撃をかわそうと不用意に回り込もうとした木村のアゴに,再び齊藤の右フックが決まる。このパンチで左膝をついた木村は2度目のダウン(カウント8)。
2度のダウンで前半をリードされた木村。しかし,5回以降,その木村が追い上げた。齊藤は左右フックで木村をニュートラルコーナーに詰める。うまく回り込めずに押し込まれる木村。齊藤の右ストレートでのけぞる木村。しかし,木村は右ジャブから左ストレート,右フック,アッパーをまとめ,意地を見せる。齊藤はガードを固めて執拗にプレスをかけるが,有効打は木村が上回る。
6回,足を止めて激しい打ち合い。木村は鼻から出血するが,接近戦に活路を見出して激しく手を出す。齊藤も凄まじい闘志で食い下がるが,疲れも見えて押し込む力は弱くなっている。
7回は木村がうまく回り込み,ときおり足を止めてパンチをまとめる。斎藤も左右フック,右ストレートで執拗に攻めるが,勢いは失せている。
8回,激しい打ち合い。木村はボディ打ちを中心に攻勢に出る。左アッパーをボディに打ち込まれた齊藤は上体を丸めて耐える。齊藤はキャンバスに崩れるが,木村が押さえつけたと判断され,これはノーカウント。木村の攻勢に齊藤はふらふらになりながらも,倒れることは最後まで拒否した。
木村が薄氷の判定勝利。飛龍高(旧・沼津学園高=静岡)→東洋大で88戦72勝(26KO・RSC)16敗。2度のダウンを喫し,まさに5戦目でプロの洗礼を受けた苦しい一戦となった。終盤の反撃で何とか帳尻を合わせたが,苦戦の原因は中途半端な距離の取り方である。そのため,齊藤に再三押し込まれた。後半は逆に接近戦での連打で突破口を見出した。粘る相手に対して守勢に回ったときの対応の甘さを露呈した一戦であるが,苦しい試合で勝ったことは今後の糧になる。
齊藤は習志野高(千葉)→駒澤大で54戦28勝(6KO・RSC)26敗のアマ経験があるが,プロ向きの右ファイタータイプ。右ストレート,左右フックを武器に執拗な攻撃を仕かける。打ち合いを得意としており,止まらない攻撃は相手にとって厄介。グラブで顔面をカバーしながら右ジャブをパリー,ブロックし,執拗に攻めた。2度のダウンを奪い,木村をあわやというところまで追い込んだ見事な善戦である。後半は木村のスピーディな連打でポイントを奪われたが,闘志溢れる戦いぶりが光る。
採点結果 | 木村 | 齊藤 |
主審:石川和徳 | *** | *** |
副審:村瀬正一 | 76 | 74 |
副審:飯田徹也 | 75 | 75 |
副審:加藤たかお | 76 | 74 |
参考:MAOMIE | 76 | 74 |
○木村:5戦5勝(3KO) 24歳 身長:174cm
●齊藤:7戦3勝(3KO)2敗2分 26歳 身長:168cm
放送:フジテレビ(テレビ静岡)
解説:八重樫東
実況:永井俊樹(テレビ静岡)
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2021年9月9日(木) 後楽園ホール
6回戦(54.5kg契約)
日本バンタム級(ノーランク) T K O 日本バンタム級(ノーランク)
○ 武居由樹 1回2分57秒 竹田
梓 ●
(大橋) 119 3/4
lbs (高崎) 119 3/4 lbs
たけい・よしき
左の武居,右の竹田。竹田は落ち着いて左右フックのボディブロー。武居は矢のようなワンツーから左アッパーをボディに。武居は右フックを打って回り込む。さらに左アッパーのボディブローから右フックをアゴにヒット。スピードが半端ではない武居。右ジャブが鋭い。リング中央で右ジャブからボディに左フックを打ち込む武居。これでガードが下がった竹田のアゴに返した右フックが炸裂。たまらず前のめりにキャンバスに落下する竹田。立ち上がったものの,足元が定まらず,染谷主審がカウントの途中で試合をストップした。
元K1王者・武居が鮮烈なTKO勝利で2戦目を飾った。サウスポースタイルからの右ジャブ,フックの使い方が非常にうまい。スピード,切れともに抜群。右フックを打ち込んで右に回り込んだり,左フックをボディに打ってアゴに右フックを返すなどのうまさが光る。フィニッシュを生んだコンビネーションブローは圧巻。左ストレートにも切れがある。多彩な引き出しがあり,ホープが多い大橋ジムの中でも特に将来性が高い。コロナ禍では海外から対戦相手を招くことは困難が伴う。武居の対戦相手として名乗り出る日本人は少ないだろう。マッチメイクの苦労は計り知れない。
竹田は5勝がすべて3回以内という無敗の右ボクサーファイター。右ストレート,ボディへの左右フックにパンチ力がある。注目のホープ武居に対して臆せず立ち向かったが,すべての面で武居が数段上だった。ボディにパンチを打たれてガードが下がったところに右フックを返されて沈んだ。竹田はいい選手だが,今夜は相手が悪かった。
主審:染谷路朗,副審:寺山しゅうへい&吉田和敏&岡庭 健
○武居:2戦2勝(2KO) 25歳 身長:170cm
●竹田:6戦5勝(5KO)1敗 24歳 身長:166cm
放送:フジテレビ 解説:川島郭志 実況:田淵裕章
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2021年9月10日(金) カジノ・デル・ソル・トゥーソン(米国アリゾナ州トゥーソン)
WBO世界フライ級タイトルマッチ12回戦
チャンピオン T K O 挑戦者(同級1位)
○ 中谷潤人 4回0分32秒 アンヘル・アコスタ ●
(MT) 111 1/4
lbs (プエルトリコ) 112 lbs
左の中谷,右のアコスタ。ともにジャブを伸ばして牽制する慎重な滑り出し。中谷は左フックのボディブロー。アコスタも左右フックで応戦。終盤,右ジャブから思い切り踏み込んで放った中谷の左ストレートがクリーンヒット。この一発で腰が落ちたアコスタはロープに詰まる。チャンスと見た中谷は左右アッパーのボディブロー,左ストレートで攻勢。アコスタは早くも鼻から出血する。
2回,優位に立った中谷は右ジャブ,左ストレート,ボディへの左右アッパーで攻勢。左ストレートでアコスタの腰が落ちる。アコスタの鼻血が酷くなり,ドクターチェックのために1分40秒にも及ぶ長い中断。再開後,アコスタは勝負を急ぐように左右フックで反撃。アコスタの右アッパーがアゴに決まる。中谷も上下に左右アッパーを打って応戦。
3回,左右アッパーを上下に打ち分ける中谷。至近距離では怖いアコスタだが,中谷の巧みな接近戦でお株を奪われている。アコスタの鼻血が酷く,2度目のドクターチェックを受ける。
4回,開始ゴングと同時にアコスタが勝負を賭けて前に出る。中谷は動じることなく,右ジャブ,フック,ストレートを浴びせる。アコスタはそれでも前に出るが,夥しい鼻からの出血でついにバーク主審が試合をストップした。
中谷が敵地で堂々の初防衛。強打のアコスタに対して一歩も引くことなく,相手の土俵であるはずの接近戦でも打ち勝った。右ジャブから打つ左パンチは大きく弧を描く左フック,真っすぐガードを割る左ストレートを使い分けている。左右に巧みに切り替えるような半身の構えから左右アッパーをボディに打つ攻撃も非常に効果的。長身で長いリーチを持ちながら,接近戦にも長けているのは大きな強味。本場・米国で強豪アコスタを退けたことは大きな自信につながるだろう。
アコスタは元WBO世界ライトフライ級王者。このクラスとしては破格の強打を誇る右ファイタータイプ。しかも,一発で終わることなく,強打を連打できることが相手にとって最大の脅威である。特に至近距離での打ち合いには滅法強い。しかし,開始早々に左ストレートをもらって鼻から多量の出血をするというハンデを負った。これは想定外であるし,痛手だったはず。至近距離に持ち込み,パワーで圧倒する思惑だったろうが,中谷が想像以上に接近戦に強く,望みを打ち砕かれる結果になった。
主審:ロッキー・バーク(米国),副審:クリス・フローレス(米国)&ロバート・ホイル(米国)&ルビン・ロッキー・テイラー(米国)
○中谷:22戦22勝(17KO) 23歳 身長:170cm リーチ:170cm
●アコスタ:25戦22勝(21KO)3敗 30歳 身長:163cm リーチ:161cm
放送:WOWOW 解説:飯田覚士&西岡利晃 実況:鈴木
健 アシスタント:増田美香
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2021年9月11日(土) 後楽園ホール
8回戦(ウェルター級)
日本ウェルター級1位 T K O 日本ウェルター級2位
○ 永野祐樹 5回0分51秒 別府優樹 ●
(帝拳) 146
1/4 lbs (久留米櫛間&別府優樹) 146
3/4 lbs
左の永野,右の別府。ともにジャブで牽制しながら慎重な滑り出し。別府は積極的に仕かけ,右ストレート,左フックを打つ。永野も左ストレートを狙う。
2回,永野の左ストレートが出るが,動きが硬い。別府はよく見て右ストレート,アッパー,左フックを返す。
ここまでは動きが硬かった永野だが,3回,左ストレートが徐々に当たり始めた。さらにボディにも永野の左アッパーが決まる。終盤,永野の左フックが頭部をかすめれば,別府は一瞬間を置いて腰から落ちてダウン(カウント9)。
4回,永野が左アッパーのボディブロー,左ストレートで徐々にプレスを強める。別府は動きながら右ストレート,アッパーを返す。終盤,右フックのカウンターからチャンスを掴んだ永野が攻勢に出る。左アッパーのボディブローから左ストレートをフォローすれば,別府はロープ際で腰から崩れ落ちる(カウント9)。
5回,ダメージを引きずる別府。永野が左アッパーのボディ打ちから左ストレートをフォローすれば,別府はロープ際で右膝から落ちてダウン(カウント9)。立ち上がった別府は左右フックで反撃するが,鼻から出血。左ショートストレートがアゴにヒットし,別府は腰から落ちて4度目のダウン。ここで飯田主審が試合をストップした。
ハードパンチャー同士。KO必至の好カードとして注目された一戦。永野が得意の左強打を爆発させてTKO勝利を飾った。序盤は硬さが抜けきらず,積極的な別府の攻撃にリードされた。しかし,3回に左フックの強打でダウンを奪ったのを皮切りに,合計4度倒した末に仕留めた。上へのパンチに偏っていた点が目についた。もっとボディにも散らし,左だけに頼らず返しの右フックを磨きたい。
別府は群を抜くKO率を誇る右ファイタータイプ。右ストレート,左右フック,右アッパーなどどれをとっても倒す破壊力がある。動きが硬い永野に対し,動きながら積極的にパンチを出して主導権を握った。しかし,3回から永野の左ストレート,アッパーを上下にもらい,流れが変わった。
主審:飯田徹也,副審:ビニー・マーチン&杉山利夫&田中浩二
○永野:22戦19勝(15KO)3敗 32歳 身長:175cm
●別府:25戦21勝(20KO)3敗1分 30歳 身長:172cm
放送:G+ 解説:セレス小林 実況:川畑一志
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2021年9月11日(土) 後楽園ホール
4回戦(ミドル級)
日本ミドル級(ノーランク) T K O 日本ミドル級(ノーランク)
○ 岡村弥徳 1回2分24秒 赤井英五郎 ●
(八王子中屋) 159
3/4 lbs (帝拳) 159 1/4 lbs
開始早々から岡村が積極的に左右フック,アッパーを連打。赤井は構わず前に出るが,ニュートラルコーナーに下がった岡村の右フックを受けて動きが止まる。一気に攻勢に出る岡村。赤井はウィービング,ヘッドスリップで凌ぐ。岡村は再びニュートラルコーナーに下がるが,攻め込んだ赤井のアゴに左フックのカウンターがヒット。腰が落ちてロープを背負う赤井。右フックを直撃された赤井は足に来て棒立ち。追撃の手を緩めない岡村。左フックでのけぞらせ,右ストレート,左右フックで一気に襲いかかる岡村。再び右フックでぐらついて棒立ちになった赤井は左ジャブでのけぞる。右ストレートをフォローされたところで染谷主審が試合をストップした。
両者ともにデビュー戦。硬さがほぐれない赤井に対し,先制攻撃を仕かけた岡村が鮮やかなTKO勝利を飾った。
岡村は長身の右ボクサーファイター。アマ経験はないが,ストレート系のパンチと左右フック,アッパーが矢継ぎ早に出る。アゴのガードが空くことが気になるが,連打が出ることがミドル級としては強味。硬くなった赤井の動きがほぐれないうちに先制攻撃に出る作戦が見事に的中した。
赤井は「浪速のロッキー」として一世を風靡した赤井英和(現・俳優)の長男。米国ウィディア大学に進学し,20歳でボクシングを始めた。14戦8勝(4KO・RSC)というアマ戦績を残しており,2018年全日本社会人選手権のミドル級で優勝している。右ファイタータイプで筋骨隆々の上半身から放つ左右フックが武器。しかし,硬さがあり,スタートから岡村の矢継ぎ早のパンチをもらってしまったことが敗因。上体や頭の振りがなく,正面に立って被弾する結果になった。左右に上体を振るなり,左ジャブ,フックを多用するなどの攻撃が必要。
主審:染谷路朗,副審:松原暢宏&杉山利夫&田中浩二
○岡村:1戦1勝(1KO) 23歳 身長:183cm
●赤井:1戦1敗 26歳 身長:179cm
放送:G+ 解説:セレス小林 実況:弘 竜太郎
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2021年9月22日(水) 京都市体育館
WBC世界ライトフライ級タイトルマッチ12回戦
挑戦者(同級1位) T K O チャンピオン
○ 矢吹正道 10回2分59秒 寺地拳四朗 ●
(緑) 107 3/4
lbs (BMB) 107 1/2 lbs
WBA9位,WBO10位,IBF6位
初回,矢吹は思い切りよく踏み込んで右ストレート。ボディにも左アッパーを打ち,動きのいいところを見せる。寺地は小刻みな左ジャブで前に出る。2回には矢吹が走り寄って強引に左右フックを振り,序盤に主導権を握る作戦。
3回,寺地の左ジャブが多くなると,今度は矢吹の手数が少なくなる。寺地は右フックのボディブローをヒット。
中盤は一進一退。4回,寺地は左ジャブを多用し,5回,寺地がボディへの左ジャブからタイミングのいい右アッパーをアゴに決める。6回,寺地は左ジャブを多用して前に出る。矢吹の右ストレートもよく伸びる。
7回,左ジャブを伸ばし,ロープを背負った矢吹に右ストレートを浴びせる寺地。
8回,寺地が右ストレートで矢吹をのけぞらせるが,すぐに矢吹が右ストレートをヒットし,寺地がぐらついてバランスを崩す。矢吹は右ストレートからの左右フックで攻勢に出る。
9回,公開採点でリードされている寺地がKO狙いで攻め,激しいパンチの応酬になる。寺地の左アッパーのボディブローが効く矢吹。矢吹も右ストレート,左右フックで猛反撃に出る。寺地は右目上をカット(矢吹の有効打による傷)。左右アッパーのボディブローでロープを背に棒立ちになった矢吹に猛攻を仕かける寺地。矢吹は相当苦しいが,必死の形相で打ち返す。
10回,KOを狙って猛然と出る寺地。右ストレート,ワンツーで矢吹にロープを背負わせ,左右アッパーのボディブローを交えて畳みかける。矢吹は守勢に回りながらも右ストレートはまだ鋭い。バッティングが発生し,一時中断。予断を許さない展開になるが,終盤,矢吹が猛反撃に転じる。右ストレート,左フックからボディへの左アッパーで今度は寺地が横を向いてしまい,ロープを背負う。一気に襲いかかる矢吹。左右アッパーのボディブロー,ワンツーのショート連打をまとめる矢吹。守勢一方に陥った寺地を福地主審が救い,ここで試合がストップされた。
不利の予想を覆した矢吹が劇的なTKO勝利で王座を奪った。序盤から思い切ってよく伸びる右ストレートを返し,これが寺地の出足を鈍らせる効果を生んだ。寺地の左ジャブに対し,後手に回ることなく右ストレートを返したことが勝利につながった。寺地のボディ攻撃で完全に動きが止まって守勢に回ったが,それをひっくり返した執念こそが最大の勝因である。ヘディングを非難する声もあったが,あれは成行きの不可抗力である。
安定政権を築いていた寺地だが,ついに陥落し,9度目の防衛に失敗。中盤から前後の出入りを交えながら得意の左ジャブを多用してプレスをかけた。しかし,矢吹の右を警戒し,思い切って攻め込めなかったことが響いた。9回にボディブローで矢吹を追い込み,あと一歩のところでストップできたはず。ここで仕留められなかったことが,逆転を許す結果につながった。
9回までの採点 | 矢吹 | 寺地 |
主審:福地勇治 | *** | *** |
副審:宮崎久利 | 86 | 85 |
副審:古田厳一 | 88 | 83 |
副審:野田昌宏 | 87 | 84 |
参考:MAOMIE | 86 | 85 |
○矢吹:16戦13勝(12KO)3敗 29歳 身長:166cm リーチ:166cm
●寺地:19戦18勝(10KO)1敗 29歳 身長:164cm リーチ:163cm
放送:WOWOW
解説:浜田剛史&飯田覚士
実況:鈴木 健 アシスタント:増田美香
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2021年9月22日(水) 京都市体育館
8回戦(58.0kg契約)
日本フェザー級7位 負 傷 判 定 日本S・フェザー級(ノーランク)
○ 大沢宏晋 5回0分37秒 高林良幸 ●
(オール) 127 1/2lbs (RK蒲田) 128
lbs
おおさわ・ひろしげ
左の高林,右の大沢。初回,ともにジャブで牽制して主導権争いから。大沢の左ジャブ,右ストレートがよく伸びる。
2回,大沢はモーションのない右ストレートで高林を青コーナーに詰める。高林も大沢の右の打ち終わりに左ストレートのカウンターをヒット。
3回,右ストレート,左フックを決める大沢。リーチがある高林は大沢に接近されるとやりにくそう。大沢は接近して左右フックをボディから顔面に浴びせる。
4回,試合は完全に大沢のペース。右ストレートからボディへの左フックを打つ大沢。右ストレートをもらった高林は再三ロープを背にした。大沢は左ジャブを的確にヒットし,高林をロープに詰めて連打を浴びせる。高林は右目下が腫れ,鼻柱をカット(偶然のバッティングによる傷)。
5回,ワンツーで反撃の構えを見せる高林。しかし,ここで田中主審が試合を中断させ,高林がドクターチェックを受ける。右目が塞がりかけたことがバッティングによるもので,続行不能とされ,ここで試合がストップされた。
キャリア,実力の差を見せつけた大沢が高林を退けた。左ジャブ,右ストレートを得意とする右ボクサーファイター。左ジャブがよく伸び,モーションのない右ストレートを起点に左フックのフォローなどでプレスを強めた。4回に入ると完全に主導権を握り,やりたい放題。負傷判定というのは不完全燃焼の結末だが,まだまだ健在。ベテランの味が存分に滲み出る上下への打ち分けのうまさが光る。
高林はサウスポーのボクサーファイター。長身でリーチに恵まれており,ときおりヒットしていた左ストレートのカウンターにいいものがある。しかし,大沢の伸びのいい左ジャブで出バナを叩かれ,後手に回った。ロープ際に追い込まれると,腰高だけに不利。やはり大沢のうまさが数段上だった。
採点結果 | 大沢 | 高林 |
主審:田中新一 | *** | *** |
副審:近藤謙二 | 50 | 45 |
副審:半田隆基 | 50 | 46 |
副審:姫野俊通 | 50 | 46 |
参考:MAOMIE | 50 | 46 |
○大沢:46戦37勝(21KO)5敗4分 36歳 身長:168cm リーチ:168cm
●高林:22戦9勝(4KO)12敗1分 32歳 身長:174cm
放送:youtube(関西テレビ)
解説:芝 力人(真正)
実況:岡安 譲
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