熱戦譜〜2021年1月の試合から


MENU
MENUのbクリックすると各観戦記にジャンプします

試合日 試合 結果
2021.01.14  東洋太平洋バンタム級
 タイトルマッチ12回戦
 井上拓真  9R負傷判定  栗原慶太
2021.01.14 6回戦  松本圭佑  TKO1R  ベジータ石川
2021.01.16  東洋太平洋ウェルター級
 タイトルマッチ12回戦
 豊嶋亮太  判定  長濱 陸
2021.01.22  日本スーパーバンタム級
 タイトルマッチ10回戦
 古橋岳也  TKO9R  久我勇作
2021.01.22  日本スーパーフェザー級
 タイトルマッチ10回戦
 坂 晃典  TKO6R  渡邉卓也

ホームページのトップに戻る     熱戦譜のトップに戻る     ← 2020年12月に戻る     2021年2月に進む →


                       2021年1月14日(木)    後楽園ホール
                      東洋太平洋バンタム級タイトルマッチ12回戦
                挑戦者(WBC・WBO7位)   負 傷 判 定      チャンピオン
                ○   井上拓真    9回2分25秒    栗原慶太   ●
                               (大橋) 118 lbs                      (一力) 117 3/4 lbs
                                                IBF4位

 開始早々からスリリングな立ち上がり。強打で勝る栗原は左ストレート,左フック,井上は出バナに左ジャブ,フックを浴びせる。終盤,バッティングで栗原が左目上(眉の下)をカットし,ドクターチェックを受ける。
 2回,カットした栗原が勝負を急ぐかのようにプレスを強める。右フック,ストレートを強振しながらぐいぐいと前に出て,ボディにも右フックを打つ。井上は間合いを取って出バナに左ジャブ,フックを打つ。
 3回,井上の右ストレートが決まる。左目上からの出血が多くなった栗原は再びドクターチェックを受ける。井上は左右に回り込み,栗原の強打をかわしながら左フックを当てる。
 栗原は中盤以降もどんどん攻め込んだが,井上の足と左ジャブ,フックに翻弄された。井上の左フック,カウンターの右ストレートを決める。
 7回,栗原の強打はむなしく空を切る。前に出ているのは栗原だが,逆に当たっているのは井上のパンチ。
 8回,巧みなロープワークで栗原の攻撃をかわした井上が,栗原が出てくるところに再三右アッパーをアゴに突き上げる。これは効果的なパンチだった。
 9回,相変わらず足に翻弄される栗原。井上はその出バナに左ジャブ,フックを浴びせる。栗原は試合を捨てずに攻め続けるが,左目上からの出血が増し,3度目のドクターチェック。ここで続行不能とされ,試合が終わった。

 国内のバンタム級屈指の好カード。外国人ボクサーの招聘がままならない現状で国内の有力選手による好カードが実現するのは,コロナ禍の唯一の効能というにはあまりにも皮肉ではある。
 期待どおりの白熱戦になった。井上は見事なアウトボクシングで栗原の強打を完封した。栗原が得意とする距離を徹頭徹尾回避し,自分のアウトボクシングを貫いたことが勝因。左右に動いて栗原の出足を封じ,出バナに左ジャブ,フックあるいは右ストレートのカウンターをヒットした。出てくるところに先にパンチを当て,深追いせず,すぐに動いた。栗原の強打は脅威であり,戦い方を間違えれば倒されていた可能性もある。同じところにとどまらず,絶対に栗原のペースに合わせないという作戦を徹底的に守ったことが大差の勝利につながった。うまさが光った会心の勝利である。
 栗原は2度目の防衛に失敗。スタートから強いプレスで迫ったが,井上のアウトボクシングに完敗。ジグザグに前進して逃げ道を塞ごうとしていたが,それ以上に井上の動きが速く,空転する場面が目立った。右ストレート,左フックは強烈だが,完全に読まれていた。

9回までの採点 井上 栗原
主審:中村勝彦 *** ***
副審:福地勇治 89 82
副審:染谷路朗 90 81
副審:松原暢宏 89 82
参考:MAOMIE 89 82


     ○井上:15戦14勝(3KO)1敗      25歳     身長:164cm
     ●栗原:21戦15勝(13KO)6敗     28歳     身長:172cm

     放送:フジテレビ
     解説:川島郭志
     実況:竹下陽平

このページのトップに戻る


                      2021年1月14日(木)    後楽園ホール
                           6回戦(58.0kg契約)
              日本S・フェザー級(ノーランク)  T   K  O    日本S・フェザー級(ノーランク)
              ○   松本圭佑     1回2分26秒     ベジータ石川   ●
                            (大橋) 128 lbs                           (折尾) 127 lbs

 左の石川,右の松本。ガードを上げて極度に腰を低くした独特の変則スタイルで左に回る石川。大きな左フックで松本がバランスを崩す場面があった。しかし,すぐに落ち着きを取り戻した松本がプレスをかける。右ストレート,左右アッパーの強打に石川は逃げ回るのが精いっぱい。大きな左フックを振って抵抗を試みるが,通じない。ロープを背にして振った左ストレートの打ち終わりに松本の右ストレートを合わされた石川は,腰から落ちてダウン(カウント8)。立ち上がったが,赤コーナーを背負ったところでモーションのない右ストレートが飛ぶ。これで腰が落ちたところに再び右ショートストレートを打ち込まれ,のけぞって左膝をつく石川。ここで吉田主審が試合をストップした。

 松本が実力の差を見せつけ,鮮やかなTKO勝利でプロ2戦目を飾った。左フックでバランスを崩す場面はあったが,その後は鋭い右ストレート,左右アッパーで独演会になった。長身から放つモーションのない右ストレートは最大の武器で,相手にとっては大きい脅威になる。ボデイへの左右アッパーを交えてかけるプレスには堂々たる大人の風格が漂う。コロナ禍の現状では対戦相手を選ぶのに苦労するはずだが,将来性十分で期待の星である。
 石川はサウスポーの変則ファイター。ガードを高く上げて腰を低く構えた独特のスタイルから振る左フックを得意としている。強気なところを見せようと挑発する場面があったが,松本がプレスをかけると一変。攻撃をかわして逃げるのに忙しくなった。残念ながらスピード,パンチ力などすべての面で差が歴然だった。

     主審:吉田和敏,副審:染谷路朗&松原暢宏&福地勇治
     ○松本:2戦2勝(2KO)            21歳     身長:175cm
     ●石川:18戦3勝(1KO)13敗2分     34歳     身長:168cm
     放送:フジテレビ     解説:川島郭志     実況:田淵裕章

このページのトップに戻る


                       2021年1月16日(土)    後楽園ホール
                      東洋太平洋ウェルター級タイトルマッチ12回戦
                   挑戦者(同級12位)            チャンピオン
                ○   豊嶋亮太    判 定    長濱 陸   ●
                             (帝拳) 146 1/4 lbs            (角海老宝石) 145 3/4 lbs

 開始早々から重量感溢れるパンチの応酬が展開された。鋭い左ジャブの刺し合い。豊嶋が積極的に攻める。1分過ぎ,左フックのカウンターが決まり,長濱がバランスを崩す場面があった。豊嶋はさらに右ストレート,左フックを打ち込む。終盤には長濱も左アッパーのボディブローから右フックで応戦する。
 4回終了時の公開採点は三者三様の互角。しかし,試合の流れは5回から積極的にプレスをかけた豊嶋に傾いた。左ジャブから右フックをアゴに。じりじりと前に出て,右フックでボディを打つ豊嶋。
 6回は明白に豊嶋が押さえた。前に出て左ジャブ,フックで先手を取り,右ストレート,左フックを打ち込む。さらに長濱をロープに詰め,左フック,ワンツーの連打を浴びせ,ボディにも左右フックを打ち込んだ。長濱は後手に回り,分が悪い。
 7回,長濱は右ストレート,ボディへの左アッパーで盛り返そうとするが,ロープを背負い,右ストレート,左フックの攻勢に晒される。右ストレートをアゴに打ち込まれてニュートラルコーナーに後退した長濱は右膝をついてダウン(カウント9)。豊嶋の攻勢に,長濱は苦しい展開が続く。
 8回,豊嶋は鼻から出血しているが,体を密着させたボディブローの応酬にも打ち負けていない。終盤,長濱をロープに押し込み,左アッパーのボディブロー,右フックを浴びせる。
 9回は長濱が王者のプライドを見せた。右ストレートで豊嶋の右膝がわずかに落ちる。ここで長濱の左アッパーがローブローになり,一時中断。終盤,長濱の右ストレートがカウンターになる。ワンツー,左フックで猛追する長濱。試合は一気にヒートアップした。
 しかし,長濱の見せ場はここまで。12回,長濱は右ストレート,ボディへの左アッパーでを見せるが,豊嶋が再び左ジャブ,フック,右ストレートでプレスをかける。2分過ぎ,豊嶋の左フックがアゴに決まり,足にくる長濱。最後までプレスをかける豊嶋。長濱は糸口を見出せないまま終了ゴングを聞いた。

 豊嶋が見事な試合内容でタイトルを奪った。左ジャブ,フックで常にプレスをかけ続けたことが勝因。右ストレート,ボディへの右フック,左アッパーにもスピードがあり,切れがあった。ミドル級から下げた長濱に押し負けないように下半身をかなり鍛錬してきたことが窺える。上半身も見違えるように逞しくなっており,密着した揉み合いにも負けなかった。著しい成長が光った試合である。
 長濱は初防衛に失敗。豊嶋が体力負けせず,体格で上回る自分に対して逆にプレスをかけてきたことは誤算だったろう。左ジャブ,フックで常に先手を取られていた。得意の右ストレート,ボディへの左アッパーに切れがあっただけに,自分がかけるべきプレスを逆にかけられ,後手に回ったことは悔いが残る。

採点結果 豊嶋 長濱
主審:松原暢宏 *** ***
副審:飯田徹也 116 111
副審:杉山利夫 117 110
副審:葛城明彦 115 112
参考:MAOMIE 117 110


     ○豊嶋:16戦13勝(8KO)2敗1分     25歳     身長:177cm
     ●長濱:16戦12勝(4KO)3敗1分     29歳     身長:178cm

     放送:G+
     解説:飯田覚士&セレス小林
     実況:伊藤大海

このページのトップに戻る


                      2021年1月22日(金)    後楽園ホール
                     日本スーパーバンタム級タイトルマッチ10回戦
                   挑戦者(同級1位)   T  K  O     チャンピオン
                ○   古橋岳也    9回0分24秒    久我勇作   ●
                             (川崎新田) 122 lbs                     (ワタナベ) 122 lbs
                          ふるはし・がくや

 両者の意地がぶつかり,序盤から白熱戦になった。久我は右ストレートから上下に左アッパーを連打。古橋も左フックをひとつヒット。
 3回,クリンチがない好ファイトが続く。接近戦で左右フックを連打する古橋。久我は密着した状態から左右アッパー,右ストレートを連打する。
 4回,古橋は接近戦で左右フックで連打。これが効いた久我は珍しくクリンチに出る。久我も左右アッパー,右ストレートで反撃するが,ここ回は古橋。
 5回,久我はバッティングで右目上をカット。6回も激しいパンチの応酬。古橋は気迫十分の連打で迫る。しかし,久我の右ストレート,アッパーを受ける。
 7回,久我が左フック,カウンターの右ストレートで攻勢。さらに接近戦で左右アッパーのボディブローから右アッパーをアゴに突き上げる。
 久我がリードして迎えた8回,試合の流れが大きく変わった。古橋は執拗に接近して左右アッパーをボディに連打する。やや持て余し気味の久我。終盤,古橋の右ストレートがカウンターになり,久我の動きが止まる。攻勢に出た古橋が右アッパーから左フックをヒットしたところで終了ゴングが鳴った。
 9回,久我にダメージが残っていると見た古橋が左右アッパーで攻勢に出る。右ストレートをもらった久我は大きく膝を落とし,ニュートラルコーナーまでよろけるように突っ込む。ここで葛城主審が試合をストップした。

 ポイントでリードされていた古橋が起死回生の右ストレートを炸裂させ,劇的な逆転TKOで悲願のタイトルを獲得した。左右フック,アッパーの連打を得意とする右ファイタータイプ。序盤から執拗に攻めたが,そのたびに久我の左アッパー,右ストレートを返されてポイントを奪われた。自らも青コーナーに力尽きたように座り込みながら勝利者コールを受けたように,最後は執念でもぎ取った勝利である。大逆転劇であるが,序盤から続けていたボディ攻撃が奏功したと言えるだろう。
 久我は2度目の防衛に失敗。王者らしく左右アッパー,右ストレートによる上下の打ち分けなどのテクニックを存分に見せた。攻勢に出る古橋に対し,要所を締める的確なパンチが光った。しかし,やや疲労が見えたところを突かれ,痛恨の右ストレートを浴びてしまった。

8回までの採点 古橋 久我
主審:葛城明彦 *** ***
副審:杉山利夫 74 78
副審:福地勇治 75 77
副審:中村勝彦 75 77
参考:MAOMIE 75 77


     ○古橋:36戦27勝(15KO)8敗1分     33歳     身長:165cm
     ●久我:25戦19勝(13KO)5敗1分     30歳     身長:171cm

     放送:youtube
     トーク:勅使河原弘晶&三代大訓
     実況:なし

このページのトップに戻る


                      2021年1月22日(金)    後楽園ホール
                     日本スーパーフェザー級タイトルマッチ10回戦
                     チャンピオン   T  K  O   挑戦者(同級1位)
                ○   坂 晃典   6回2分45秒   渡邉卓也   ●
                              (仲里) 130 lbs                  (DANGAN AOKI) 130 lbs
                  WBO14位  さか・こうすけ

 初回,坂が左ジャブ,右から左のフックで積極的に攻める。長身の渡邉もカウンターの左フックで応戦し,緊迫感十分の好ファイトになった。
 2回,坂は左ジャブから左右フック。さらにボディに左アッパーを打ち込み,右ストレートをヒットして攻勢。終了間際,渡邉のワンツーもヒット。
 3回は渡邉の的確な左ジャブが決まる。坂は鼻から出血するが,渡邉は坂の有効打で左目上をカット。逆に4回には坂がバッティングで左目上をカットした。
 5回,坂の左目上からの出血が増し,ドクターチェックを受ける。再開後,坂は左ジャブ,右ストレートで手数を増した。
 6回,坂が強打で試合を決めた。渡邉が左ジャブを突きながら前に出る。逆に坂は今までの戦い方を変え,サークリングしながら左ジャブを突いて間合いを取る。渡邉が前に出たところに矢のような坂の右ストレートが炸裂。アゴの先端にこのパンチを受けた渡邉は足がもつれ,上体を大きく泳がせてピンチ。必死に踏みとどまろうとするが,フォローの右ストレートで前に落ちてダウン。ここで松原主審が試合をストップした。

 坂が見事なTKOで初防衛に成功。序盤から左ジャブ,左右フックで積極的に攻めてリードを奪った。6回に戦い方を変え,サークリングして左ジャブを突きながら渡邉の出方を窺う余裕を見せた。チャンスを掴んだ右ストレートは矢のような鋭いパンチであり,それまで見せていた左右フックとは異質なパンチ。ボディ打ちも交え,幅のあるところを十分に見せた。浪速高(大阪)→関西大で42戦31勝(17KO・RSC)11敗というアマ戦績がある。右ファイタータイプであるが,左ジャブを基軸に試合を作れるテクニシャンでもある。
 渡邉は右ボクサーファイターで左ジャブ,右ストレートを得意としている。長身で基本に忠実なスタイル。前に出ながら左ジャブを出しているときに自分のスタイルが出る。6回には前に出てガードが下がったところに右ストレートをもらってしまった。

5回までの採点 渡邉
主審:松原暢宏 *** ***
副審:杉山利夫 49 46
副審:福地勇治 49 46
副審:中村勝彦 49 46
参考:MAOMIE 49 46


     ○坂:26戦21勝(18KO)5敗          28歳     身長:169cm
     ●渡邉:48戦37勝(21KO)10敗1分     31歳     身長:177cm

     放送:youtube
     トーク:勅使河原弘晶&三代大訓
     実況:なし

このページのトップに戻る


熱戦譜のトップに戻る     ← 2020年12月に戻る     2021年2月に進む →

ホームページのトップに戻る