熱戦譜〜2020年12月の試合から


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試合日 試合 結果
2020.12.05 8回戦  中野幹人  判定  佐伯瑠壱斗
2020.12.05 8回戦  永野祐樹  TKO1R  安藤暢文
2020.12.10  日本スーパーライト級
 タイトルマッチ10回戦
 永田大士  7R負傷引き分け  近藤明広
2020.12.10 8回戦  木村蓮太朗  TKO4R  サンダー照屋
2020.12.12 10回戦  中谷正義  TKO9R  フェリックス・ベルデホ
2020.12.20  5回戦(スーパーフライ級決勝)
  第77回東日本新人王戦
 久保春平  TKO3R  富岡浩介
2020.12.20  4回戦(バンタム級決勝)
  第77回東日本新人王戦
 須藤龍揮  TKO1R  神津徳臣
2020.12.20  4回戦(フェザー級決勝)
  第77回東日本新人王戦
 平野和憲  TKO1R  吉田 諒
2020.12.26 ノンタイトル10回戦  三代大訓  判定  伊藤雅雪
10 2020.12.26 8回戦  赤穂 亮  TKO2R  中村祐斗
11 2020.12.27  4回戦(バンタム級決勝)
 2020年全日本新人王西軍代表決定戦
 冨田風弥  判定  小林 廉
12 2020.12.27  5回戦(スーパーバンタム級決勝)
 2020年全日本新人王西軍代表決定戦
 福永宇宙  TKO3R  安西 蓮
13 2020.12.27  4回戦(ミドル級決勝)
 2020年全日本新人王西軍代表決定戦
 中田勝浩  TKO3R  早川教文
14 2020.12.31  WBO世界スーパーフライ級
 タイトルマッチ12回戦
 井岡一翔  TKO8R  田中恒成
15 2020.12.31  WBOアジアパシフィック バンタム級
 タイトルマッチ12回戦
 比嘉大吾  KO5R  ストロング小林佑樹

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                      2020年12月5日(土)    後楽園ホール
                              8回戦
                 東洋太平洋フェザー級8位       日本フェザー級(ノーランク)
                ○   中野幹士    判 定    佐伯瑠壱斗   ●
                              (帝拳) 129 lbs                (岐阜ヨコゼキ) 128 3/4 lbs
                           なかの・みきと                 さえき・るいと

 左の中野,右の佐伯。初回,右ジャブを伸ばしてじりじりと距離を詰める中野。佐伯は左ジャブで距離を取り,慎重な立ち上がり。終了間際,佐伯がワンツーを伸ばし,動きは悪くない。2回,中野は左ストレートで佐伯をロープ際に追い込むが,逆に佐伯がすぐに右ストレートを返し,中野をのけぞらせた。
 3回,佐伯をロープに詰めた中野は左ストレートをボディにヒット。このままポイントは中野に流れるかと思われた終盤,ニュートラルコーナーから脱した佐伯が右ストレートを見舞う。真っすぐ下がったところにもらった中野は後方にバランスを崩し,グラブをキャンバスについてダウンを取られた(カウント8)。
 しかし,以降は中野がパワーの差を見せて優位に進めた。4回序盤,中野の左ストレートでのけぞった佐伯は思わずクリンチに逃れる。5回,ロープ,ニュートラルコーナーに詰め,上下に左ストレートをヒットする中野。佐伯は苦しくなってきたか,クリンチに出る場面が増えた。佐伯はバッティングで右目上をカット。
 7回,中野の左フックでぐらついた佐伯はロープに詰まる。中野は左ストレートを放って攻める。佐伯はワンツーで応戦するが,クリンチ,ホールドで逃れることが多くなった。
 8回,中野の左ストレート。佐伯は後手に回る。中野はバッティングで鼻柱をカットするが,パワーの差で主導権を握ったまま終了ゴングを聞いた。

 中野はサウスポーのボクサーファイター。竹台高(東京)→東京農大で77戦68勝(48KO・RSC)9敗というアマ戦績を残している。左ストレート,右フックにスピード,威力がある。チャンスにおける爆発力に優れており,数多い帝拳ジムのホープの中でも特に秀でた逸材である。ただし,今夜はKOを意識してか,力みが目立った。そのため単発になり,攻撃が雑になる場面が見られた。右ジャブ,フックをうまく使い,ボディにも散らすなどの工夫をすれば,早い時期に大きいチャンスがあるだろう。
 佐伯は右ボクサーファイター。ややアップライトスタイルで右ストレートがよく伸び,カウンターもある。勘がよく,まとまりがあるスタイルである。しかし,単発ながらも左ストレートを上下に打ち込まれて徐々にダメージを負い,クリンチに逃れる場面が増えた。

採点結果 中野 佐伯
主審:葛城明彦 *** ***
副審:ビニー・マーチン 78 73
副審:田中浩二 78 73
副審:松原暢宏 78 73
参考:MAOMIE 78 73


     ○中野:5戦5勝(4KO)           25歳     身長:170cm
     ●佐伯:12戦7勝(1KO)4敗1分     22歳     身長:172cm

     放送:G+
     解説:セレス小林
     実況:寺島淳司

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                      2020年12月5日(土)    後楽園ホール
                                8回戦
                   日本ウェルター級2位   T   K  O   日本ウェルター級15位
                ○   永野祐樹    1回2分32秒    安藤暢文   ●
                             (帝拳) 146 1/4 lbs                     (高崎) 146 1/4 lbs
                                                         あんどう・まさふみ

 サウスポー同士。開始早々,安藤が小刻みな動きから右ジャブを細かく突き,積極的に左ストレート,右フックをボディに打つ。永野はガードを固めて前に出て左ストレートを打ち込むチャンスを窺う。2分過ぎ,打ち下ろしの左ストレートから攻撃の手を強める永野。リング中央で一瞬棒立ちになる安藤。無防備のアゴに永野の鋭い右フックが炸裂すれば,安藤はたまらず腰から落ちてダウン。立ち上がったものの足元がおぼつかない。染谷主審はカウントの途中で試合をストップした。

 今年2月に小原佳太(三迫)に7回TKO負けで王座を明け渡した永野の再起戦。開始早々から積極的に攻める安藤に対し,ガードを固めながら接近して最大の武器である左強打を打ち込むチャンスを窺った。永野といえば左ということで,安藤も左を警戒していたはず。それだけに右フックが威力を発揮したと言える。今まで左一本槍という印象が強かったが,右が加わってさらに攻撃力が増せば,相手にとっては脅威になる。いつもながら実直・誠実な人柄がにじみ出るインタビューが好印象である。
 安藤はサウスポーのボクサーファイター。右ジャブを細かく突いて積極的に攻めたが,永野のガードに阻まれた。リング中央で動きが止まり,アゴのガードが空いたところに意表を突く右フックを打ち込まれた。

     主審:染谷路朗,副審:ビニー・マーチン&福地勇治&松原暢宏
     ○永野:21戦18勝(14KO)3敗       31歳     身長:175cm
     ●安藤:19戦6勝(3KO)11敗2分     32歳     身長:174cm
     放送:G+     解説:飯田覚士     実況:伊藤大海

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                     2020年12月10日(木)    後楽園ホール
                     日本スーパーライト級タイトルマッチ10回戦
                  チャンピオン      負傷引き分け   挑戦者(同級2位)
             ×   永田大士    7回1分14秒    近藤明広   ×
                          (三迫) 140 lbs                        (一力) 140 lbs
                   ながた・だいし

 左の永田,右の近藤。開始早々から永田が積極的に仕かけた。左ストレートを上下に放ち,右フックを返す。
 2回,左ストレート,右フックで永田が先攻する。2分過ぎ,両者が踏み込んで交錯し,近藤は腰からキャンバスに落ちる。染谷主審は一度はノックダウンとしたが,カウント8を数えたところでリングサイドの副審に確認し,スリップダウンに訂正した。永田の左ボディが当たっているが,その直後にバッティングが発生して近藤が腰から落ちており,倒れたのはバッティングによると判断したもの。
 序盤は永田が手数でリードしていたが,4回から近藤が徐々にリズムを掴んだ。5回は近藤が明白に取った。永田の出バナにタイミングのいい左ジャブがヒット。中盤には右フックのカウンターが2発決まる。左フックがヒットし,さらに接近戦で左右アッパーの連打も出た。
 5回終了時点の公開採点でリードしていたものの,追い上げられていると見た永田が6回に攻撃のピッチを上げた。しかし,逆に近藤がよく見て右フックのカウンター,ボディへの右アッパーを決める。さらに接近戦で左右アッパーをボディに打つ近藤。バッティングで左目上をカットした永田はドクターチェックを受ける。
 7回,永田の左ストレートの打ち終わりに技ありの右フックをカウンターで決める近藤。さらに左から右のフックもヒットし,主導権は明白に近藤の手に渡った。永田も左ストレートで応戦するが,焦りが先に立つ。ここで永田の左目上からの出血が多くなり,再びドクターチェック。結局続行不能とされ,ここで試合がストップされた。

 永田はかろうじて初防衛に成功。序盤から積極的に攻撃を展開してリードした。サウスポースタイルからの左ストレート,返しの右フックで先手を取った。この右フックはフックともストレートともつかぬ独特な角度から出るパンチ。しかし,近藤が徐々にカウンターでペースを掴んだ。4回以降は永田がポイントを奪われていただけに,7回に試合がストップされていなければ負けていた可能性がある。まさに薄氷を踏むような試合だったと言える。
 元日本ライト級王者の近藤は2階級制覇を狙ったが,これからという矢先のストップで涙を呑んだ。右ボクサーファイターで世界挑戦も経験しているベテラン。左ジャブ,カウンターの右フックあるいは左右アッパーのボディブローで挽回した。タイトル奪取はならなかったが,豊富なキャリアの片鱗を見せた。

採点結果 永田 近藤
主審:染谷路朗 *** ***
副審:吉田和敏 67 67
副審:福地勇治 67 66
副審:葛城明彦 67 67
参考:MAOMIE 66 67


     ×永田:19戦15勝(6KO)2敗2分      30歳     身長:175cm
     ×近藤:43戦32勝(18KO)9敗2分     35歳     身長:173cm

     放送:フジテレビ
     解説:八重樫 東
     実況:森 昭一郎

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                        2020年12月10日(木)    後楽園ホール
                                  8回戦
                 日本S・フェザー級(ノーランク)   T   K  O    日本S・フェザー級(ノーランク)
                ○   木村蓮太朗     4回2分10秒     サンダー照屋   ●
                            (駿河男児) 132 1/2 lbs                         (平仲BS) 132 lbs

 右の照屋,左の木村。初回,木村は姿勢を低く構えて右ジャブを連発。左アッパーをアゴ,ボディに見舞い,さらに右アッパーから左ストレートをねじ込む。照屋も左アッパーのボディブローから右ストレートを打つが,スピードの差は歴然。
 2回,照屋は左右フックで攻めるが,木村の左ストレートで腰が砕けてロープ際に後退。木村は余裕を持ってフェイントをかけながら,右アッパー,左ストレート,アッパーを打ち込む。
 3回,木村の左アッパーが効くが,逆に照屋が放った左フックからの右ストレートで木村が大きくバランスを崩す場面が見られた。照屋の見せ場。
 4回,照屋は果敢に攻めるが,木村が打ち込んだ左アッパーのボディ打ちで動きが止まる。照屋はなおも食い下がるが,木村の右フック,左アッパーのボディ打ちで苦しくなる。リング中央で木村が右ジャブからすかさずフォローした左アッパーがどすんと音を立てて鳩尾に刺さる。この一発で照屋は苦悶の表情を浮かべてロープ際に崩れ落ちた。松原主審は即座に試合をストップした。

 木村が圧巻のボディ打ちで照屋を沈め,鮮やかなTKO勝利。鋭い右ジャブからフェイントを入れながら左ストレート,上下への左アッパーなどで圧倒した。ディフェンスは目と勘に頼っている面はあるが,スピードとパンチ力に非凡なものがある。守勢に回ったときや混戦になったときの対処は未知数であるが,将来性豊かな逸材であることは疑いの余地がない。
 照屋は右ファイタータイプ。左フック,右ストレートを得意としており,打ち合いを身上としている。ガードを固めながら果敢に攻め込んでいたが,上下に打ち分けられてガードを割られた。4回にボディが効いて動きが止まったところに絶妙なタイミングで左ボディを打ち込まれて沈んだ。

     主審:松原暢宏,副審:寺山しゅうへい&福地勇治&吉田和敏
     ○木村:3戦3勝(3KO)           23歳     身長:174cm
     ●照屋:16戦7勝(4KO)8敗1分     25歳     身長:172cm
     放送:フジテレビ     解説:八重樫 東     実況:田淵裕章

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               2020年12月12日(土)    MGMグランドホテル(米国ラスベガス)
                               10回戦
                 WBO世界ライト級14位   T   K  O     IBF世界ライト級5位
                ○   中谷正義    9回1分45秒    フェリックス・ベルデホ   ●
                               (帝拳) 135 lbs                          (プエルトリコ) 135 lbs

 初回1分過ぎ,矢のようなベルデホのワンツーがアゴに決まり,中谷は両グラブをついてダウンを取られた(カウント8)。ベルデホは左フック,右ストレートを強振して襲いかかる。しかし,中谷が前に出て右ストレート,ボディへの左アッパーでプレスをかけると,逆にベルデホが慎重になる。
 3回開始早々,左ジャブの引きが遅れたところに右ストレートをカウンターされた中谷はバランスを崩す。ベルデホの右ストレートが危険なタイミングで飛ぶ。中谷はスリッピングアウェイで殺しているが,要注意なパンチだ。
 4回1分過ぎ,右を打ち込もうと踏み込んだ中谷のアゴにベルデホの右ショートストレートがヒット。このカウンターで思わず右膝をついてダウンを取られる中谷(カウント8)。ベルデホはそれでも慎重な姿勢を崩さないが,右のカウンターは要注意。
 7回,ベルデホのワンツーが飛ぶが,中谷が右ストレートで反撃すれば,ベルデホはぐらついてロープ際に後退。チャンスと見た中谷は右ストレート,左フックでどんどん攻める。ダメージが残るベルデホはクリンチあるいは足を使って打ち合いを避ける。
 8回,中谷は左ジャブ,右ストレートで前に出るが,2分過ぎ,ベルデホの小さい左フックをアゴにもらい,足が縺れて上体が揺らぐ場面が見られた。
 9回,ポイントでリードを許している中谷が勝負に出た。右ストレート,左アッパーのボディブローで徐々にプレスをかける。ベルデホには疲労の色が滲む。中谷がちょこんと出した左ストレートが絶妙なタイミングでアゴに決まり,大きくよろめいてロープ際まで後退したベルデホは左膝から落ちてダウン(カウント8)。立ち上がったが,中谷がテンプルに被せた右クロスを浴び,うつ伏せに沈む。ルイス主審は即座に試合をストップした。

 WBOインターコンチネンタル ライト級王座決定戦としておこなわれた一戦。2019年7月にテオフィモ・ロペス(米国)に12回判定負けを喫して引退を表明していた中谷が1年5ヶ月ぶりに復帰し,劇的な逆転TKO勝利。長身と長いリーチを生かした攻撃が光る。打たれても下がらずに左ジャブ,右ストレートあるいは左アッパーのボディブローでプレスをかけ続けた。これが意外なほど効果的で,ベルデホは見た目以上に消耗していた。ただし,2度のダウンを跳ね返した逆転劇ではあるが,パンチの引きが遅いために被弾が多いことが目につく。これを矯正しないと世界には通用しないだろう。リーチを生かした攻撃に徹することが今後を占うための鍵になる。
 ベルデホは右ボクサーファイター。体にバネがあり,見た目以上に手元で伸びる右ストレートが最大の武器である。カウンターのタイミングと中谷のパンチの引きの遅れを突く目と勘に優れている。しかし,2度のダウンを奪いながらも,中谷の左ジャブや右ストレートを警戒して慎重になり,自らチャンスを潰した面がある。

8回までの採点 中谷 ベルデホ
主審:セレスティノ・ルイス(米国) *** ***
副審:ティム・チータム(米国) 72 78
副審:マキシモ・デ・ルカ(米国) 72 78
副審:パトリシア・モース・ジャーマン(米国) 74 77
参考:MAOMIE 72 78


     ○中谷:20戦19勝(13KO)1敗        31歳     身長:182cm     リーチ:180cm
     ●ベルデホ:29戦27勝(17KO)2敗     27歳     身長:175cm     リーチ:182cm

     放送:WOWOW
     解説:飯田覚士&長谷川穂積
     実況:鈴木 健     アシスタント:なし

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                       2020年12月20日(日)    後楽園ホール
                    第77回東日本新人王決勝戦(スーパーフライ級)
                                5回戦
                 日本S・フライ級(ノーランク)   T   K  O   日本S・フライ級(ノーランク)
               ○   久保春平     3回0分27秒     富岡浩介   ●
                             (宮田) 114 lbs                     (REBOOT.IBA) 113 3/4 lbs
                  久保はMVPを受賞

 左の富岡,右の久保。開始早々から富岡が積極的に攻めた。サウスポースタイルから右ジャブを多用し,左アッパーのボディブロー,左ストレートを打ち込んで思い切った攻撃を見せる。久保は右ストレートを狙うが,富岡は動じることなく,左ストレート,アッパーを見舞った。
 2回,狙い澄ましたような富岡の左フックが大きく弧を描いてアゴに着弾する。まともにもらった久保は青コーナー付近で腰から落ちてダウン(カウント8)。富岡はなおも左フック,ストレートを浴びせて容赦ない追撃に出る。パワーに圧倒された久保は反撃の糸口が見出せない。
 3回,自信満々で赤コーナーを出る富岡。しかし,衝撃的な結末が待っていた。下がっては勝機がないと見た久保は自ら前に出て富岡をニュートラルコーナーに追い込む。体を交わしてコーナーを出ようとした富岡のアゴが空いた瞬間,久保の右ストレートが炸裂。ロープ下に仰向けに倒れた富岡が白目をむく痛烈なダウンシーン。朦朧としながらロープを掴んで必死に立ち上がったが,もはや戦える状態ではなく,和田主審が試合をストップした。

 ダウンの応酬というスリリングな展開。絶体絶命のピンチから大逆転劇につなげた久保が,東日本新人王のタイトルとMVPを手にした。
 久保は右ボクサーファイターで左フック,右ストレートを武器としている。中間距離あるいは接近戦で強味を発揮する。富岡の思い切りのいい攻撃で後手に回ったが,3回に自ら前に出たことが劇的な逆転TKO勝利につながった。
 富岡はサウスポーのボクサーファイター。積極果敢な攻撃が身上である。右ジャブを多用し,左アッパーのボディブロー,左ストレートを思い切りよく打ち込んで久保を追い詰めた。若さの特権ともいうべき恐れを知らぬスタイルが目を引く。3回にガードが下がった隙に右ストレートをまともにもらって沈んだのは残念。敗れはしたが,今大会でもっとも印象に残った選手のひとりである。

     主審:和田こうし,副審:ビニー・マーチン&飯田徹也&中村勝彦
     ○久保:8戦6勝(4KO)1敗1分     23歳     身長:164cm
     ●富岡:5戦4勝(3KO)1敗        18歳     身長:162cm
     放送:G+     解説:浜田剛史     実況:篠原 光

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                     2020年12月20日(日)    後楽園ホール
                    第77回東日本新人王決勝戦(バンタム級)
                                4回戦
                 日本バンタム級(ノーランク)   T   K  O   日本バンタム級(ノーランク)
               ○   須藤龍揮     1回2分21秒     神津徳臣   ●
                           (RK蒲田) 117 1/4 lbs                      (角海老宝石) 117 1/2 lbs
                          すどう・りゅうき                       こうず・のりちか
                  須藤は技能賞を受賞

 神津は左ジャブから右ストレートで定石どおりの滑り出し。これを迎え撃った須藤は思い切った左フック,右ストレートを返す。須藤の右ストレートがヒット。神津は強振する須藤のペースに併せてしまっている。2分過ぎ,ニュートラルコーナーに下がった須藤に対し,神津が攻め込む。ここに須藤が合わせた左フックが見事なカウンターになり,神津は膝から落ち,ロープ最下段に突っ伏すようにダウン。立ち上がったが,ふらついており,田中主審はここで試合をストップした。

 激しい主導権争いになったが,須藤が思い切りのよさを発揮し,ワンパンチで試合を決めた。須藤は札幌工(北海道)→日体大で28戦20勝8敗というアマチュアの戦績を残している。アマ出身らしからぬ思い切った右ストレート,左フックを打ち込む好戦的なスタイル。右ボクサーファイターであるが,ファイタータイプに近い。試合を決めた左フックは神津が入る瞬間に合わせた絶妙なカウンター。2戦目で決勝戦進出という幸運を見事に生かした。
 神津は右ボクサーファイター。ややラフな須藤に対し,オーソドックスな試合スタイル。左ジャブ,右ストレートを得意としている。須藤のペースに併せて打ち合ってしまい,つけ入る隙を与えてしまった。

     主審:田中浩二,副審:葛城明彦&染谷路朗&中村勝彦
     ○須藤:2戦2勝(1KO)        21歳     身長:170cm
     ●神津:8戦6勝(1KO)2敗     23歳     身長:169cm
     放送:G+     解説:飯田覚士     実況:篠原 光

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                        2020年12月20日(日)    後楽園ホール
                      第77回東日本新人王決勝戦(フェザー級)
                                4回戦
                 日本フェザー級(ノーランク)   T   K  O   日本フェザー級(ノーランク)
               ○   平野和憲     1回2分01秒     吉田 諒   ●
                             (KG大和) 126 lbs                       (イマオカ) 125 1/2 lbs
               平野は敢闘賞を受賞

 開始早々から小気味のいいパンチの応酬。上背,リーチで勝る平野は左ジャブ,右ストレート。吉田も応戦するが,ガードが開いている。平野の右ストレートがヒットする。再び右ストレートを打ち込んでぐらつかせた吉田を青コーナーに詰め,平野が一気に攻勢。突き刺すような右ストレートをアゴに打ち込まれた吉田は青コーナーで右膝を折るように腰から落ちてダウン(カウント9)。立ち上がった吉田は鼻から出血。再開直後,ワンツーの連打で仕留めにかかる平野。左フックで腰が砕けた吉田が後退したところで,和田主審が試合をストップした。

 アマ出身同士の対戦。小気味のいいパンチの応酬になったが,スピード,パンチ力の差が出た。
 平野は立教大で主将を務め,15戦10勝(3KO・RSC)5敗というキャリアを持つ。左ジャブ,右ストレートを得意としており.基本に忠実な右ボクサーファイター。右ストレートでチャンスを掴むと,ワンツーの連打で一気に攻勢に出る。上体の動きに欠ける面はあるが,スピードとパンチ力がある。
 吉田は右ボクサーファイター。こちらも右ボクサーファイターで,右ストレートを得意としている。黒沢尻工(岩手)→東洋大でアマ30戦のキャリアがある。果敢に応戦していたが,上背,リーチがある平野に先手を取られたことが敗因。

     主審:和田こうし,副審:中村勝彦&飯田徹也&松阪わかこ
     ○平野:4戦4勝(4KO)        31歳     身長:176cm
     ●吉田:4戦3勝(1KO)1敗     29歳     身長:169cm
     放送:G+     解説:飯田覚士     実況:辻岡義堂

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                    2020年12月26日(土)    墨田区総合体育館
                           ノンタイトル10回戦
              東洋太平洋Sフェザー級チャンピオン      WBO世界S・フェザー級9位
                ○   三代大訓    判 定    伊藤雅雪   ●
                             (ワタナベ) 135 lbs                (横浜光) 134 3/4 lbs
                          みしろ・ひろのり                 WBC14位

 主導権争いが勝負のカギになる一戦。初回,三代が左ジャブをより多く出してリード。リズムよく左ジャブが出ている。三代は相打ちの右ストレートをヒット。
 2回は三代は慎重に間合いを取って左ジャブを突く。三代の右ストレートがヒット。しかし,終盤,逆に伊藤の右ストレートがタイミングよくヒットし,三代がバランスを崩す場面が見られた。
 三代の的確な左ジャブに伊藤も右ストレートで応戦し,一進一退の展開が続く。5回,三代の左ジャブが小気味よくヒット。伊藤の右ストレートも当たるが,三代の左ジャブ,右ストレートのタイミングがいい。終盤に伊藤が青コーナーを背負った三代に右ストレートを浴びせるが,ポイントは三代に流れた。
 6回は伊藤のラウンド。伊藤の右ストレートに三代が左フックを返して白熱する。すぐに伊藤が右ストレートをヒット。さらに右クロスを決める伊藤。終了間際に激しいパンチの応酬になる。アゴが上がった三代に対し,伊藤の左フック,右ストレートが上回る。
 9回,主導権は三代。右ストレート,左ジャブからクリンチに出て伊藤の攻撃を封じる三代。さらに伊藤が入ろうとするところに右アッパーを打ち込む。伊藤の左目上が腫れる。伊藤はさらに左目下をカット(バッティングによる傷)し,焦りの色が滲む。
 10回,伊藤は必死の形相で攻めるが,クリーンヒットにはなっていない。三代は冷静に左ジャブ。さらに左アッパーのボディブローを打ち込む。伊藤は最後まで流れを引き寄せることができずに終了ゴングを聞いた。

 中谷正義(帝拳),吉野修一郎(三迫)とともにライト級で国内4強の一角を形成する両者による好カード。期待通りの高度な技術戦で見応え十分の白熱戦になった。
 元世界王者・伊藤を見事に制した三代の勝因は何といっても的確な左ジャブ。伊藤の出バナに決めたり,自ら前に出る勢いに乗せて打ったりという具合に,左ジャブを有効に使ったことが最大の勝因。伊藤の強いプレスにもペースを乱すことなく,自分のボクシングを貫いた。アマチュアで培った基本に忠実な試合運びが生きた一戦。手数が少ない時間帯があるので,左ジャブが減らないようにしてポイントを失わないように戦うことが大事である。
 世界への返り咲きを目指す伊藤は手痛い星を落とした。三代の左ジャブに接近を阻まれ,待っているところにも左ジャブを先に打たれていた。プレスをかけ,ときには思い切った右ストレートで攻め込んだが,焦りが見え,単発に終わったことが惜しまれる。

採点結果 三代 伊藤
主審:岡庭 健 *** ***
副審:松原暢宏 95 95
副審:吉田和敏 96 94
副審:葛城明彦 96 94
参考:MAOMIE 97 93


     ○三代:11戦10勝(3KO)1分         26歳     身長:177cm
     ●伊藤:30戦26勝(14KO)3敗1分     29歳     身長:174cm     リーチ:173cm

     放送:youtube
     解説:山中慎介     ゲスト:長嶋一茂
     実況:西 達彦

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                       2020年12月26日(土)    墨田区総合体育館
                                8回戦
              WBO世界S・バンタム級11位    T  K  O    日本S・フライ級6位
                ○   赤穂 亮     2回1分52秒     中村祐斗   ●
                           (横浜光) 121 3/4 lbs                      (市野) 121 1/2 lbs
                            IBF12位                         なかむら・ゆうと

 初回,中村が左ジャブから右ストレートで先手を取りにかかる。余裕を持って受け流した赤穂は左アッパーのボディブローを打ち込み,左フックを上に追い打ちする。さらに中村をロープ際に追い込み,右アッパーでボディを打つ。
 2回,赤穂がパワーで圧倒する。左アッパーのボディブローから攻勢に出た赤穂は中村をロープに詰め,右ストレート,左フックで一気にスパート。ニュートラルコーナーで右アッパーを打ち込まれた中村はロープに突っ込むようにしてダウン。松原主審は即座に試合をストップした。

 赤穂が格の違いを見せつけて余裕の圧勝。パンチ力自慢の両者の対戦であるが,相手の力量を読み切った赤穂が,初回中盤からプレスをかけた。左アッパーのボディブローで崩して左フック,右ストレートの攻勢から,最後は圧巻の右アッパーで豪快に沈めた。持ち味の荒っぽさに,うまさと落ち着きが加わった。節目の40戦目で34歳という年齢であるが,まだまだ先が楽しみである。
 中村は右ボクサーファイター。右ストレート,左フックを得意としており,高いKO率を示している。しかし,赤穂の貫録に圧倒され,萎縮してしまった印象が強い。

     主審:松原暢宏,副審:吉田和敏&田中浩二&岡庭 健
     ○赤穂:40戦36勝(24KO)2敗2分     34歳     身長:168cm     リーチ:170cm
     ●中村:18戦11勝(8KO)6敗1分      24歳     身長:165cm
     放送:youtube     解説:京口紘人     実況:西 達彦

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                 2020年12月27日(日)    大阪府立体育会館第2競技場
                2020年全日本新人王西軍代表決定戦(バンタム級)
                              4回戦
               中日本・西部日本対抗戦勝者        西日本新人王
               ○    冨田風弥    判 定    小林 廉   ●
                             (伊豆) 117 3/4 lbs             (エスペランサ) 117 3/4 lbs
                          とみた・ふうや                   こばやし・れん
                 冨田は敢闘賞を受賞


 右の小林,左の冨田。長身のサウスポー冨田が低い姿勢から左ストレート,右フックで積極的に手数を出す。2分過ぎ,小林が右ストレート,左フックで応戦し,激しいパンチの応酬になった。
 2回,左右に動きながら左ストレートから上下に右フック,アッパーを積極的に打つ冨田。2分過ぎ,冨田の右フックで小林がぐらついて後退。チャンスと見た冨田が攻勢に出る。
 3回,小林はガードを固めて前に出ながら攻撃のチャンスを窺うが,見ている時間が長く,後手に回る。
 4回,何とかしたいという思いはあっても,固まってしまったように手が出ない小林。動きながらとにかく手が止まらない小林。最後まで流れが変わらないまま終了ゴングを聞いた。

 冨田は181cmというこのクラスでは破格の長身を誇るサウスポーのボクサーファイター。左ストレート,上下への右フック,アッパーで積極的に攻めたことが勝因。低い姿勢から,リーチを生かして先手を取っていた。これが小林の攻撃を封じる効果を生んだ。ただし,長身に似合わぬ低い姿勢で攻めていたため,ときおり前のめりになる場面が目についた。
 小林は右ボクサーファイター。西日本新人王戦のMVPを獲得している。右ストレートを得意としている。ガードを固めながら前に出て,打ち合いに持ち込もうとしていたが,間断ない冨田の手数に固まってしまったように手が出なかった。三者ともに40-36という採点は妥当な結果だろう。

採点結果 冨田 小林
主審:半田隆基 *** ***
副審:村瀬正一 40 36
副審:姫野俊道 40 36
副審:野田昌宏 40 36
参考:MAOMIE 40 36


     ○冨田:7戦5勝(2KO)2敗     22歳     身長:181cm
     ●小林:4戦3勝(1KO)1敗     22歳     身長:167cm

     放送:G+
     解説:浜田剛史
     実況:篠原 光

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                 2020年12月27日(日)    大阪府立体育会館第2競技場
                2020年全日本新人王西軍代表決定戦(スーパーバンタム級)
                             5回戦
                  西日本新人王   T   K  O   中日本・西部日本対抗戦勝者
             ○   福永宇宙    3回2分56秒    安西 蓮   ●
                          (黒潮) 122 lbs                      (岡崎) 121 1/2 lbs
                        ふくなが・そら                     あんざい・れん
               福永はMVPを受賞

 開始早々から引き締まった好ファイトになった。初回,安西は右ストレート,左フック。後半,リズムを掴んだ福永が右ストレート,左フック,ボディへの左アッパーで流れを引き寄せる。
 2回,福永は左ジャブから右ストレート,接近して左右アッパー。よく見て空いているところに的確にパンチを打ち込む福永。
 3回,福永は左ジャブ,右ストレート。さらにボディにも右ストレート,左フックを打ち込み,完全に主導権を握る。中盤,鮮やかなワンツーが決まり,安西は思わず尻餅をつく(カウント8)。右ストレート,左フックで福永が攻勢を強める。両者の間に割って入るタイミングを見計らう今村主審。終了10秒前の拍子木が鳴った直後,福永の右ストレートで安西の腰が落ちる。ここで今村主審が試合をストップした。

 福永が見事な試合内容で西軍代表の座を手にした。右ボクサーファイターで動きながら左ジャブ,右ストレート,左フックあるいは接近して左右アッパーが出る。さらには右ストレート,左アッパーでボディも打っており,よく見て多彩なパンチが出ることが強味。練習相手に恵まれないはずの四国のジムというハンデはあるが,楽しみな素材である。正確で力強いパンチが印象に残る。
 安西は右ボクサーファイターで右ストレートを得意としている。スタートから積極的に攻めていたが,よく見て多彩なパンチを返す福永に主導権を握られた。上下に打ち分けられ,3回にはタイミングのいい右ストレートを決められた。

     主審:今村ともひろ,副審:新井久雄&姫野俊道&村瀬正一
     ○福永:7戦7勝(4KO)          22歳     身長:169cm
     ●安西:9戦4勝(2KO)4敗1分     20歳     身長:170cm
     放送:G+     解説:浜田剛史     実況:篠原 光

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               2020年12月27日(日)    大阪府立体育会館第2競技場
                2020年全日本新人王西軍代表決定戦(ミドル級)
                             4回戦
                  西日本新人王   T   K  O   中日本・西部日本対抗戦勝者
             ○   中田勝浩    3回1分08秒    早川教文   ●
                        (井岡弘樹) 159 lbs                      (中日) 158 lbs
                       なかた・かつひろ                  はやかわ・のりふみ
               中田は技能賞を受賞

 右の中田,左の早川。開始早々から早川が意欲的な攻撃に出る。左ストレート,ボディへの左右フックで迫る早川。しかし,中田の左フックがカウンターになり,早川がぐらつく。構わず中田をロープ際に押し込んでボディ攻撃を敢行するが,そこに中田の右アッパー,左フックが飛ぶ。ロープ,青コーナーを背にガードを固めながら右フック,ストレートを浴びせる中田。
 2回,早川は左ストレート,左右フック。しかし,グラブ,エルボーでこれをブロックし,鉄壁のガードを見せる中田。中田は右フックのカウンターをヒット。終了間際,中田は左アッパーのボディブローから左右フック,右ストレートを浴びせる。
 3回,勝負に出た中田が体を密着させ,左右アッパーのボディブローでプレスを強める。左フックから攻勢に出る中田。さらに左フックでよろめいた早川をロープに詰め,一気に勝負に出る。右ストレート,ボディへの右アッパーから最後は左フック。これで早川がぐらついたところで,今村主審が試合をストップした。

 中田が技能賞の名にふさわしいテクニックを見せ,全日本決勝に駒を進めた。185cmという長身の右ボクサーファイターで左フックを武器としている。グラブとエルボーで早川のパンチを封じながら,的確に打ち返していたことが特筆すべき点。サウスポーの早川の肩越しに巻き込むようにして打ち込む左フックは死角から飛んでくるパンチ。足はあまり使わず,無駄打ちもない。スタミナを温存しつつ,上下の空いているところに打ち分ける新人らしからぬうまさがあある。
 早川はサウスポーのファイタータイプ。左ストレート,ボディへの左右フックにパンチ力がある。開始早々から積極的に攻めたが,中田の鉄壁のガードに阻まれた。手数は多かったが,打つところがなくて攻め倦んでいるところに打ち返される場面が目立った。上背がある中田と正面から対峙して上体が立ってしまい,標的になった面がある。

     主審:今村ともひろ,副審:新井久雄&姫野俊道&村瀬正一
     ○中田:5戦5勝(4KO)        29歳     身長:185cm
     ●早川:3戦2勝(2KO)1敗     26歳     身長:179cm
     放送:G+     解説:セレス小林     実況:平松修造

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                      2020年12月31日(木)    大田区総合体育館
                      WBO世界スーパーフライ級タイトルマッチ12回戦
                     チャンピオン     T   K  O   挑戦者(同級1位)
                ○   井岡一翔    8回1分35秒    田中恒成   ●
                            (Ambition) 115 lbs                      (畑中) 115 lbs

 開始早々,いきなりワンツーを飛ばして襲いかかる田中。この先制攻撃でバランスを崩す井岡。調子の波に乗る田中は積極的に手を出し,右ストレートから左アッパーを浴びせる。後半,落ち着きを取り戻した井岡は左アッパー,フックをダブルで上下に。
 見応え十分の攻防から左ジャブの応酬。好調の田中に対し,井岡は左右のボディブローから右フック。ともにスピードは十分。
 4回,井岡がペースを掴んだ。田中は左ジャブ,右ストレートで積極的に攻めるが,井岡はよく見てスウェイバック,ブロックでかわし,左ジャブから右フック。終盤,井岡の右ストレートがヒット。田中は鼻から出血。このラウンドを境に,試合の流れは一気に井岡に傾いた。
 5回,しっかりガードを固めた井岡は,左ジャブ,上下に左フック。さらに左ジャブから体を寄せて右フックを浴びせる。徐々に井岡の術中にはまる田中。終盤,ロープ際に下がった井岡が右ストレートから返した左フックがカンターになり,井岡は腰から落ちてダウン(カウント9)。
 6回,井岡は左ジャブ,左右アッパーから右ストレート。田中は果敢に反撃するが,再び井岡の左ジャブからの左フックがアゴにカウンターになり,腰から落ちた田中はもんどり打ってダウン(カウント8)。井岡は上下への打ち分けの妙を見せる。
 8回,ついに決着がついた。ダメージにも関わらず,スピーディな左アッパー,右ストレートで前に出る田中。井岡は接近して左右アッパーのボディブロー,さらに体を寄せて右フックを浴びせる。リング中央でタイミングのいい左ショートフックのカウンターがアゴに決まり,田中がぐらつく。ここで染谷主審がすかさず割って入り,試合をストップ。絶妙なタイミングでのストップであり,見事なレフェリングだった。

 井岡が堂々たる横綱相撲で田中の挑戦を退け,2度目の防衛に成功。若く勢いがある田中に苦戦も予想されたが,キャリアの差を見せつけた。田中のプレスに対し,的確な左ジャブ,左右フック,接近して右フックを浴びせた。5・6回にダウンを奪ったのは,いずれもよく見て狙い澄ました左フックのカウンターである。フィニッシュも小さく振った左フック。田中の攻撃を正面から受け止め,要所に散らして仕留めた試合運びが光る。大人の風格が漂い,引き出しの豊富なところを見せつけた。
 田中はまさに完敗で,初の黒星。果敢に反撃して意地を見せたが,井岡のキャリア,テクニック,上下への的確なパンチに翻弄された。倒されながらも反撃をやめなかったが,井岡のキャリアが数段上だった。

7回までの採点 井岡 田中
主審:染谷路朗 *** ***
副審:村瀬正一 69 62
副審:福地勇治 68 63
副審:池原信遂 68 63
参考:MAOMIE 68 63


     ○井岡:28戦26勝(15KO)2敗     31歳     身長:164cm     リーチ:167cm
     ●田中:16戦15勝(9KO)1敗      25歳     身長:164cm     リーチ:164cm

     放送:TBS
     解説:内藤大助&内山高志&山中慎介
     実況:伊藤隆佑

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                      2020年12月31日(木)    大田区総合体育館
                    WBOアジアパシフィック バンタム級タイトルマッチ12回戦
                  挑戦者(WBA10位)  K      O       チャンピオン
                ○   比嘉大吾    5回0分45秒    ストロング小林佑樹   ●
                             (Ambition) 118 lbs                        (六島) 117 1/2 lbs
                            WBC15位                        WBO14位,IBF9位

 開始早々からいきなりエンジン全開の攻勢に出る比嘉。左ジャブから大きな右フックをかぶせる。さらに左アッパー,フックをダブル,トリプルで連発して意欲的に攻める。
 2回,下がらずに前に出る小林。しかし,比嘉は右ストレートから左アッパー,フックをボディ,アゴに連発。終盤,比嘉の右アッパーで小林のアゴが上がる。
 3回終盤,比嘉が鮮やかな連打を見せた。左アッパー,フック,右ストレートに次ぐ右アッパーでのけぞった小林は動きが止まる。
 4回にも比嘉のパワフルな連打が冴えた。2分ちょうど,右ストレートで怯んだところに右アッパーがヒット。このパンチを受けた小林は思わずクリンチに出る。
 5回,接近戦で左アッパーのボディブローを打つ比嘉。ボディ攻撃から見舞った2発の右アッパーを浴びた小林はリング中央に崩れ落ちる。鼻から夥しく出血しながらカウントアウトされた。

 比嘉がパワーの差を見せつけてタイトルを奪った。左アッパー,フックをダブル,トリプルで連発し,決め手は右アッパー。この右アッパーを有効に使っていたことが目についた。ただし,パンチに強弱がなく,全部100の力で打っている。うまい相手なら読まれてしまい,スタミナをロスしてしまうことにもなりかねない。やはり強弱,変化をつけることが欠かせない。
 小林は2度目の防衛に失敗。右ボクサーファイターで足はあまり使わず,前に出て右ストレート,左右フックで攻める。比嘉のプレスにめげずに前に出たが,上下に打ち分けられた。ボディ攻撃から返された右アッパーが効いた。

4回までの採点 比嘉 小林
主審:ビニー・マーチン *** ***
副審:杉山利夫 40 36
副審:松原暢宏 40 36
副審:飯田徹也 40 36
参考:MAOMIE 40 36


     ○比嘉:19戦17勝(17KO)1敗1分     25歳     身長:161cm     リーチ:163cm
     ●小林:25戦16勝(9KO)9敗         29歳     身長:166cm

     放送:TBS
     解説:内藤大助&内山高志
     実況:赤荻 歩

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