熱戦譜〜2020年7月の試合から


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試合日 試合 結果
2020.07.16  東洋太平洋フェザー級
 タイトルマッチ12回戦
 清水 聡  TKO7R  殿本恭平
2020.07.16  日本スーパーライト級
 タイトルマッチ10回戦
 永田大士  TKO7R  井上浩樹
2020.07.22  日本スーパーフライ級
 タイトルマッチ10回戦
 中川健太  9R負傷判定  ユータ松尾
2020.07.22 6回戦  木村蓮太朗  TKO2R  東 祐也
2020.07.25  東洋太平洋ライトフライ級
 王座決定戦12回戦
 堀川謙一  TKO10R  冨田大樹
2020.07.26  日本ライトフライ級
 王座決定戦10回戦
 矢吹正道  KO1R  佐藤 剛

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                       2020年7月16日(木)    後楽園ホール
                      東洋太平洋フェザー級タイトルマッチ12回戦
                    チャンピオン    T   K  O  挑戦者(同級14位)
                ○  清水 聡    7回2分10秒    殿本恭平   ●
                            (大橋) 126 lbs                     (勝輝) 126 lbs

 左の清水,右の殿本。開始早々から殿本が上体を振って果敢に接近し,左右フックで攻める。しかし,中盤,リング中央で清水がロングレンジから伸ばしたワンツーがアゴに命中。この距離から届くのかというくらいの長いパンチに,殿本は腰から落ちてダウン(カウント8)。立ち上がった殿本は反撃に出るが,2分過ぎ,右フックのカウンターがアゴに決まり,両膝をついて2度目のダウン(カウント9)。ここでも殿本が反撃し,左フック,右ストレートが当たる場面があった。
 2回,殿本が意欲的に攻め,浅いながらも右ストレート,左フックが当たる。清水も右フック,左ストレートを返すが,殿本の積極的な攻撃が光った。
 しかし,これ以降は清水が右ジャブを突いてプレスをかける。じりじりと前に出て,右ジャブ,左ストレートで殿本を追い込んだ。終了間際,強烈な左ストレートを放って攻勢に出る清水。
 5回,清水は右ジャブからボディに左アッパーを打ち込む。さらに右フック,左ストレートで追い打ちをかける。殿本はよく粘るが,ボディが効いたのか,序盤に見せた出足は鈍っている。6回,清水は殿本の反撃に手が止まる場面を見せた。
 7回,思い切った右フック,ストレートを叩きつけて攻め込む殿本。しかし,清水の左アッパーのボディブロー,左ストレートでロープに詰まる。殿本はここでも粘るが,かなり効いている。ロープを背に左ストレートでのけぞったところで福地主審が試合をストップした。

 清水は5度目の防衛に成功。昨年7月,ジョー・ノイナイ(比国)のWBOアジアパシフィック スーパーフェザー級王座に挑戦して6回TKO負けで惨敗を喫して以来,1年ぶりの復帰戦。初回にいきなり2度のダウンを奪って早期決着かと思われたが,殿本の反撃に手を焼いた。右ジャブを突いて徐々に追い込み,最後は地力の差を見せた仕留めた。殿本が反撃に出ると手が止まる場面が再三見られたが,見栄えが悪い。序盤から右ジャブを多用していれば,もっと早く出足を止められたはず。左右の強打は健在なので,今後の動向が注目される。
 殿本は右ファイタータイプで左右フック,右ストレートを得意としている。挑戦者らしく果敢に攻めた点は高く評価されるだろう。2度倒されながらも捨て身の攻撃は見事で,ときおり左フック,右ストレートをヒットして清水を苦しめた。

6回までの採点 清水 殿本
主審:福地勇治 *** ***
副審:吉田和敏 59 53
副審:杉山利夫 58 54
副審:染谷路朗 59 53
参考:MAOMIE 59 53


     ○清水:10戦9勝(9KO)1敗        34歳     身長:179cm
     ●殿本:13戦9勝(4KO)3敗1分     25歳

     放送:フジテレビ
     解説:川島郭志
     実況:立本信吾

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                      2020年7月16日(木)    後楽園ホール
                      日本スーパーライト級タイトルマッチ10回戦
                  挑戦者(同級1位)   T  K  O     チャンピオン
               ○   永田大士    7回2分17秒    井上浩樹   ●
                             (三迫) 140 lbs                         (大橋) 140 lbs
                          ながた・だいし                      いのうえ・こうき
                                               WBC15位,WBOアジアパシフィック S・ライト級チャンピオン


 サウスポー同士の対戦。積極的に前に出る永田に対し,井上は左右に動いて出方を窺う。井上の左ストレートのカウンターがヒット。2回には井上がよく見て左ストレートのカウンター,永田が出てこないと見るや自ら左ストレートを打つ。さらに永田が出るところ,アゴに右フックを決める井上。
 主導権を握った井上だが,3回に潮目が変わる。飛び込もうとした永田の頭が井上の顔面に当たり,一時中断。このバッティングで井上は右目上をカット。これに勢いづいた永田は左ストレート,右フックで攻め込む。左を出そうとしたところに永田の左ストレートがカウンターになり,井上の左膝が落ちる。永田の攻勢で守勢に回る井上。
 4回,大事なラウンド。永田は右ジャブからワンツーを振って果敢に攻める。井上は右目上からの出血を気にしているのか,やや消極的で手数が少ない。
 5回,試合の流れは完全に永田。手数が出ない井上に対し,左ストレートのカウンターをヒット。さらに左アッパーをアゴに突き上げ,嵩にかかって攻める。井上は手を出さないと一気に持って行かれる局面。
 6回,悪い流れになった井上が作戦を変えた。足を止めてガードを固めながらパンチを返す井上。左ストレートから右アッパーがアゴに決まる。永田の出足が止まる。終盤,永田が攻め込むが,逆に井上の右フックが飛ぶ。
 7回,再び井上の手数が出なくなる。一方の永田はワンツー,左ストレートで井上をロープに詰め,気迫を見せる。井上は右目上のカット(永田の有効打による新たな傷)に加えて,右目下が大きく腫れ上がって塞がっている。井上が守勢に回ったところで染谷主審が割って入り,ドクターチェック。結局続行不能とされ,ここで試合がストップした。

 井上は2度目の防衛に失敗。試合後に引退を表明した。いつになく精彩を欠く試合内容だった。3/16に予定されていた試合だが,井上の負傷で5/26に延期された。ところが新型コロナウイルスの拡大により,再度7/16に延期された因縁の試合。井上は序盤こそ鋭い左ストレート,右フックで先制したが,3回に永田が攻勢に出たところから明らかに潮目が変わった。前日の計量で200gオーバーとなり,2度目の計量でパスしている。負傷によって十分な調整ができなかったとも伝えられている。このあたりが微妙に影響したことは考えられるが,永田の果敢な攻撃で後手に回ったことが敗因である。
 永田は2018年10月に内藤律樹(E&Jカシアス)が持つ東洋太平洋タイトルに挑んで2−1の判定で涙を呑んでおり,2度目の挑戦で悲願を達成した。サウスポーのボクサーファイターで左ストレートを主武器としている。3回にバッティングで井上が右目上をカットしてから攻勢に出て流れを引き寄せた。果敢に攻め込んで先手を取り続けたことが勝因。

6回までの採点 永田 井上
主審:染谷路朗 *** ***
副審:福地勇治 58 56
副審:吉田和敏 57 57
副審:岡庭 健 57 57
参考:MAOMIE 57 57


     ○永田:18戦15勝(6KO)2敗1分     30歳
     ●井上:16戦15勝(12KO)1敗       28歳     身長:177cm

     放送:フジテレビ
     解説:川島郭志
     実況:森昭一郎

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                        2020年7月22日(水)    後楽園ホール
                       日本スーパーフライ級タイトルマッチ10回戦
                     チャンピオン     負 傷 判 定    挑戦者(同級1位)
                ○   中川健太    9回1分55秒     ユータ松尾   ●
                               (三迫) 115 lbs                     (ワールドスポーツ) 114 1/2 lbs

 左の中川,右の松尾。松尾が鋭く踏み込んで積極的に左右フックで攻める。中川は足を使い,右ジャブから左ストレートを狙う。
 松尾の激しいアタックを持て余し気味の中川。しかし,中盤から相手の動きが見えてきたのか,リズムを掴み始めた。5回には左アッパーのボディブローから右フックを決める。
 6回終盤,攻勢に出る松尾に対し,中川は左ストレートを決める。
 7・8回,松尾は相変わらず果敢に攻め込むが,やや単調。リズムを掴んだ中川は左右に動きながら攻撃をかわし,右ジャブから左ストレートのカウンターを浴びせる。
 9回,前に出る松尾の出バナに左フックのカウンター,さらに左ストレートををヒットする中川。松尾は構わず攻めるが,ここでバッティングが発生し,中川は左目上,松尾は前頭部をカット。松尾がドクターチェックを受ける。一度は再開されたが,すぐに中断し,両者が相次いでドクターチェックを受ける。両者ともに続行不能とされ,ここで試合がストップされた。

 中川は初防衛に成功。松尾の激しいプレスに手を焼いたが,中盤から少しずつ相手の動きが読めて自分のリズムを掴んだ。出バナに右ジャブ,左ストレート,さらに意表を突くような大きい左フックを浴びせた。スピードが身上のサウスポーのボクサーファイター。足を使って下がりながら,あるいは右に回り込んで右フック,左ストレートを浴びせるうまさがある。右ジャブを増やすべきだろう。
 松尾は右ファイタータイプ。果敢に距離を詰め,左右フック,右ストレートの連打を浴びせて激しく攻める。豊富なスタミナが最後まで衰えなかったが,攻撃が単調になってしまったことが悔やまれる。左右への足の運びを加えて揺さぶりながら追い込むなどの戦い方をしたかった。

9回までの採点 中川 松尾
主審:中村勝彦 *** ***
副審:葛城明彦 88 83
副審:福地勇治 88 84
副審:飯田徹也 88 84
参考:MAOMIE 88 83


     ○中川:23戦19勝(12KO)3敗1分     34歳     身長:166cm
     ●松尾:22戦15勝(8KO)5敗2分      30歳     身長:162cm

     放送:フジテレビ
     解説:八重樫 東     ゲスト:寺地拳四朗
     実況:鈴木芳彦

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                      2020年7月22日(水)    後楽園ホール
                               6回戦
                日本ライト級(ノーランク)   T   K   O   日本ライト級(ノーランク)
             ○   木村蓮太朗    2回1分23秒     東 祐也   ●
                        (駿河男児) 132 1/4 lbs                    (北海道畠山) 131 3/4 lbs
                                                        あずま・ゆうや

 右の東,左の木村。初回,東が思い切った右ストレートを振って積極的に攻める。しかし,木村が鋭い右ジャブ,左ストレートを浴びせてロープに詰める。さらに左アッパー,ボディにも右フックを打ち込む木村。
 2回,東が左右フックの連打でプロ10戦目の意地を見せる。東にロープを背負わせて放った木村の左アッパーが低く入り,一時中断。再開後,構わずプレスをかける木村。ロープに詰めてフェイントから強烈な左ストレートを打ち込めば,東は大きく上体を揺らして青コーナーに詰まる。一気に襲いかかる木村。左ストレートからの右アッパーがアゴに炸裂し,東は青コーナーでキャンバスに後頭部を打ちつける痛烈なダウン。松原主審はすかさずノーカウントで試合をストップした。

 東洋大ボクシング部の主将として鳴らした期待のホープ木村が,圧巻のTKO勝利でプロデビューを飾った。サウスポーのボクサーファイターでスピード,切れともに抜群。主武器は左ストレートだが,左アッパー,ボディへの右フックもある。チャンスに見せた怒涛のような詰めは見事の一語に尽きる。フェイントをかけながらチャンスに一気にスパートする瞬発力が素晴らしい。アマでは88戦72勝(26KO・RSC)16敗という戦績を残している。飛竜高(静岡)→東洋大というコースを歩み,全日本選手権バンタム級で1度,国体ライト級で2度の優勝経験がある。対戦相手を選ぶのに苦労するだろうが,楽しみな逸材が現れたものである。
 東は右ボクサーファイター。右ストレート,左右フックを得意としている。アマチュアエリートの木村にひと泡吹かせてやろうという意欲が十分に出ていた。しかし,力の差は如何ともしがたかった。

     主審:松原暢宏,副審:葛城明彦&福地勇治&飯田徹也
     ○木村:1戦1勝(1KO)          23歳     身長:174cm
     ●東:10戦5勝(1KO)4敗1分     20歳
     放送:フジテレビ     解説:八重樫 東     実況:森昭一郎

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                      2020年7月25日(土)    神戸市立中央体育館
                      東洋太平洋ライトフライ級王座決定戦12回戦
                東洋太平洋L・フライ級8位   T   K   O   東洋太平洋L・フライ級1位
                ○   堀川謙一     10回1分47秒     冨田大樹   ●
                              (三迫) 108 lbs                            (ミツキ) 108 lbs
                 WBC8位,IBF12位,日本5位                   とみた・だいき  WBO14位

 初回,冨田の動きに硬さが見られる。堀川は余裕を持って左ジャブから右フックを狙う。堀川のタイミングのいい右ショートストレートがヒット。2回にも堀川が左ジャブでタイミングを取り,右ストレートのボディブロー,左フックを決める。
 3回,堀川は左ジャブからフェイントをかけ,右ストレート。打ち合いの中で左フックのカウンターをヒット。冨田が前に出ると,間合いを取って左ジャブで阻む。4回,堀川は鼻から出血しているが,主導権は握っている。
 5回,公開採点でリードされている冨田が積極的に出て,左ジャブ,右ストレート,左フックを振って攻める。後半は堀川も左ジャブから組み立て直した。
 7回,堀川がピッチを上げた。左ジャブ,ワンツーからボディへの左右アッパーで攻め込む堀川。終盤,ボディが効いた冨田をロープに詰め,左右アッパーのボディブローで攻勢に出る堀川。
 8回終了間際,左フックで大きくのけぞってぐらつく冨田。
 9回,富田はいよいよ苦しくなる。口が開いた冨田は必死に手を出すが,堀川はよく見てかわし,さらにプレスを強める。右ストレート,ボディへの左右アッパーの攻勢に敗色が濃くなる冨田。
 10回,右ストレートから一気に仕上げにかかる堀川。冨田をロープに詰め,右ストレート,ボディへの左右アッパーで攻勢。右ストレート2発を浴びた冨田はニュートラルコーナーに崩れ落ちる。ここで近藤主審が試合をストップした。

 ベテランの味を出した堀川がOPBF王座を獲得した。これまで日本,WBOアジアパシフィックのタイトルを手にしたことはあるが,東洋太平洋のベルトは初。右ボクサーファイターで,派手さはないが,堅実な試合運びを身上とする。燻し銀のようなテクニックには定評がある。若い冨田の動きや焦りを読み,左ジャブから右ストレートあるいは左フックを巧打した。中盤以降は左右アッパーのボディ攻撃で動きを止めた。上下に散らしたうまさが光る。冨田の動きが鈍った7回からの追い上げも見事だった。
 冨田は2016年全日本ミニマム級新人王で,一度はWBOアジアパシフィックのL・フライ級タイトルを手にしたことがある。よく食い下がったが,老獪な堀川に読まれ,先にパンチを打たれたことが敗因。右ボクサーファイターで,右ストレートを得意としている。

9回までの採点 堀川 冨田
主審:近藤謙二 *** ***
副審:福地勇治 88 83
副審:半田隆基 88 83
副審:室屋雅弘 90 81
参考:MAOMIE 89 82


     ○堀川:58戦41勝(14KO)16敗1分     40歳     身長:162cm
     ●冨田:16戦14勝(5KO)2敗          22歳     身長:164cm

     放送:youtube(Boxing Real)
     解説:中川健太
     実況:吉原功兼(関西テレビ)

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                2020年7月26日(日)    刈谷市あいおいホール(愛知県)
                      日本ライトフライ級王座決定戦10回戦
                   日本L・フライ級1位   K      O   日本L・フライ級2位
                ○   矢吹正道    1回2分55秒    佐藤 剛   ●
                             (緑) 107 3/4 lbs                      (角海老宝石) 108 lbs
                      WBC4位                         さとう・つよし

 右の矢吹,左の佐藤。佐藤はサウスポースタイルから上体を振りながら前に出て,潜り込もうとする。上背,リーチで勝る矢吹は足を使いながら左ジャブで距離を測る。佐藤が出ようとするところに右アッパー,フックのカウンターを合わせる矢吹。左フックを受けた佐藤はバランスを崩す。さらに出バナに矢吹の右ストレートが決まった。左フックをひっかけられた佐藤は左膝からキャンバスに落ちてダウンを取られた(カウント8)。再開後,矢吹の右アッパー,ストレートが鋭さを増した。右フックを打ち込めば,佐藤の腰が落ちる。チャンスと見た矢吹が左右フックの連打で一気にスパート。青コーナー付近に後退した佐藤のアゴに右ストレートが命中。このパンチを浴びた佐藤はロープを背にたまらず腰から崩れ落ちる。立ち上がろうとしたが,朦朧としており,染谷主審はそのままカウントアウトした。

 勝ち星がすべてKO・TKOという矢吹の強打が火を噴いた。前王者・高橋悠斗(白井・具志堅)の引退および返上によって空位となった王座を争う一戦。潜り込もうとする佐藤を右アッパー,フックで迎撃し,よく動きを見極めていた。サウスポー対策の定石である右をうまく使っていた点が光る。右ボクサーファイター。右フックでぐらつかせてからフィニッシュまでの詰めも見事。上体の動きが少ないので標的になる危険もあるが,最軽量級でこの強打は魅力十分である。中部ボクシング界に楽しみなタレントが増えた。
 佐藤はサウスポーのファイタータイプ。上体を振りながら前に出て,左右フックの連打で攻める。矢吹のリーチを掻い潜って接近を試みたが,サウスポー殺しの右を狙い打ちされて沈んだ。

     主審:染谷路朗,副審:福地勇治&石川和徳&村瀬正一
     ○矢吹:14戦11勝(11KO)3敗       28歳     身長:165cm
     ●佐藤:13戦10勝(5KO)2敗1分     23歳     身長:159cm
     放送:youtube     解説:なし     実況:なし

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