熱戦譜〜2019年11月の試合から


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試合日 試合 結果
2019.11.02  日本スーパーウェルター級
 タイトルマッチ10回戦
 松永宏信  TKO4R  越川孝紀
2019.11.02 8回戦
(最強挑戦者決定戦:スーパーウェルター級)
 清水優人  判定  新藤寛之
2019.11.02 8回戦  千葉 開  TKO2R  ジョージ・ルモリー
2019.11.03  4回戦(ミニマム級決勝)
  第76回東日本新人王戦
 森 且貴  判定  繩井 愁
2019.11.03  5回戦(フェザー級決勝)
  第76回東日本新人王戦
 亀田京之介  TKO3R  今成太希
2019.11.03  4回戦(スーパーライト級決勝)
  第76回東日本新人王戦
 本多航大  TKO3R  小林柾貴
2019.11.07  IBF・WBA世界バンタム級
 王座統一戦12回戦
 井上尚弥  判定  ノニト・ドネア
2019.11.07  WBC世界バンタム級
 王座統一戦12回戦
 ノルディーヌ・ウバーリ  判定  井上拓真
2019.11.10  5回戦(スーパーバンタム級決勝)
 2019年全日本新人王西軍代表決定戦
 津川龍也  TKO1R  朝倉 豊
10 2019.11.10  4回戦(フェザー級決勝)
 2019年全日本新人王西軍代表決定戦
 前田稔輝  判定  福永 愁
11 2019.11.10  4回戦(スーパーライト級決勝)
 2019年全日本新人王西軍代表決定戦
 藤田裕崇  TKO2R  橋拓也
12 2019.11.15 8回戦  栗原慶太  TKO2R  スックプラサード・ポンピタック
13 2019.11.30 8回戦  平岡アンディ  TKO2R  ロヘリオ・カサレス

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                        2019年11月2日(土)    後楽園ホール
                       日本スーパーウェルター級タイトルマッチ10回戦
                     チャンピオン    T   K  O   挑戦者(同級3位)
                ○   松永宏信   4回2分08秒   越川孝紀   ●
                             (横浜光) 154 lbs                    (セレス) 154 lbs
                                           こしかわ・こうき

 左の松永,右の越川。開始早々から越川が左フック,右ストレートで果敢に攻め込む。松永はよく見て足を使い,右フック,左ストレート,左右フック。うまさとスピード,動きで松永が上回る。
 2回,松永がうまさで圧倒する。越川が出てくるところに右フックのカウンターが決まる。さらに回り込んで左右フック,左ストレートを浴びせる。攻め倦む越川をロープに詰めて攻勢に出る松永。越川は右目上をカット(松永の有効打による傷)。
 3回,完全にリズムに乗った松永はよく手数が出る。越川は右目上からの出血でドクターチェックを受ける。松永の左右フック,左ストレートが回転する。鼻からも出血した越川はさらに苦しい戦いを強いられた。
 4回,越川は愚直に攻めるが,松永は出バナに左右フック,左ストレートを巧打する。右フックで越川がニュートラルコーナー付近のロープに詰まったところでマーチン主審が試合をストップした。

 松永が見事なTKOで初防衛に成功。サウスポーのボクサーファイターで左右フック,左ストレートの連打を得意としている。よく足が動き,スピードがあることが長所。相手の動きをよく見て,出バナに巧打を決めるテクニシャンである。今夜はその持ち味を存分に出した。派手さや華麗なところはないが,地味ながらも着実に力をつけており,存在感を増している。
 越川は習志野高(千葉)→駒大で71戦46勝(23KO・RSC)というアマの戦績を残している。右ボクサーファイターで,左フック,右ストレートにパンチ力がある。序盤から果敢に攻め込んだが,上体が突っ立ち,正面に立って標的になったことが敗因。パワーでは上回っていたが,松永のスピードとうまさに翻弄されて完敗。

     主審:ビニー・マーチン,副審:杉山利夫&福地勇治&松原暢宏
     ○松永:17戦16勝(10KO)1敗     32歳     身長:173cm
     ●越川:11戦9勝(6KO)2敗       28歳     身長:177cm
     放送:G+     解説:浜田剛史&飯田覚士     実況:辻岡義堂

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                      2019年11月2日(土)    後楽園ホール
                   8回戦(最強挑戦者決定戦:スーパーウェルター級)
                  日本S・ウェルター級2位        日本S・ウェルター級1位
                ○   清水優人    判 定    新藤寛之   ●
                        (木更津グリーンベイ) 153 1/4 lbs           (宮田) 153 3/4 lbs
                           しみず・ゆうと               しんどう・のぶゆき

 右の清水,左の新藤。初回,新藤が小刻みにリズムを取りながら積極的に攻める。リング中央で新藤の出バナに清水が右ストレートを伸ばす。両者の足が交錯していたことはあったが,これがタイミングよくボディに当たっており,新藤は思わず尻餅をつく(カウント8)。苦笑しながら立ち上がる新藤。
 3回は逆に新藤の左ストレートがヒット。清水が体勢を崩したところに左右フック,左ストレートで攻勢に出る新藤。初回に喫したダウンの挽回を意識して新藤が積極的に攻める。清水は鼻から出血しているが,左フックをヒット。
 6回はリング中央での清水の右ストレートと新藤の右フックが相打ちになるが,清水の方が一瞬早く,新藤の体勢が崩れる場面があった。
 7回,清水が右ストレートを再三ヒット。新藤も左ストレート,右フックで応戦するが,やや焦りが見える。
 8回,清水の手数が減る。新藤は逆転を狙って攻めるが,焦りが先に立つ。

 清水が2度目のタイトル挑戦に向けて一番の強敵・新藤を破った。長身同士の試合でお互いに主武器の左ストレートを打ち合う展開。しかし,サウスポー対策の右ストレートをしっかり多用していた清水が一枚上だった。
 ウェルター級とスーパーウェルター級で2階級制覇の実績を持つ新藤は焦りが先に立ち,いい左ストレート,右フックをヒットしながら続かなかった。初回のやや不運なダウンが響いた。

採点結果 清水 新藤
主審:染谷路朗 *** ***
副審:寺山しゅうへい 77 75
副審:福地勇治 77 74
副審:杉山利夫 76 75
参考:MAOMIE 77 74


     ○清水:20戦14勝(5KO)4敗2分     31歳     身長:183cm
     ●新藤:28戦20勝(8KO)6敗2分     33歳     身長:186cm

     放送:G+
     解説:浜田剛史&飯田覚士
     実況:川畑一志

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                        2019年11月2日(土)    後楽園ホール
                                8回戦
                  日本バンタム級10位    T   K  O   インドネシア S・フライ級(ノーランク)
                ○   千葉 開     2回1分49秒     ジョージ・ルモリー   ●
                            (横浜光) 117 1/2 lbs                    (インドネシア) 115 1/2 lb

 開始早々から千葉が左ジャブを突き,鋭い出入りを繰り返しながら攻める。左ジャブから左フック,右ストレート。ルモリーはガードを固めながら,左右フックを振り回してはクリンチに出る。
 2回,ルモリーは大きな左右フックで迫るが,空振りでバランスを崩したところに左フックが軽く当たり,ニュートラルコーナーで腰から落ちてダウン(カウント8)。ラフな左右フックで反撃するが,千葉は左ジャブから左右フックで追い詰め,テンプルに右フック。これでルモリーはロープ際で四つん這い(カウント8)。立ち上がったが,左右フックの連打に晒されたルモリーは青コーナーに崩れ落ちる。ここで福地主審が試合をストップした。

 2018年1月にブライアン・ロベルターニャ(比国)に痛恨の4回TKOで初黒星を喫した千葉。これで5連勝となり,復調したと考えていいだろう。右ボクサーファイターで左ジャブ,右ストレート,左フックを武器としている。鋭い出入りに乗せたパンチには切れがある。手数が多いわけではないが,当てる勘に優れている。年齢的には来年こそランキング上位への進出に期待したい。
 ルモリーは右ファイタータイプ。左右フックを大きく強振して攻めるが,アゴのガードが空いて体のバランスを大きく崩すことが多い。

     主審:福地勇治,副審:ビニー・マーチン&寺山しゅうへい&松原暢宏
     ○千葉:13戦12勝(8KO)1敗           26歳     身長:165cm
     ●ルモリー:22戦14勝(10KO)7敗1分     27歳
     放送:G+     解説:なし     実況:篠原 光

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                   2019年11月3日(日)    後楽園ホール
                  第76回東日本新人王決勝戦(ミニマム級)
                            4回戦
                 日本ミニマム級(ノーランク)       日本ミニマム級(ノーランク)
               ○   森 且貴    判 定    繩井 愁   ●
                           (大橋) 104 3/4 lbs           (ワタナベ) 104 3/4 lbs
                          もり・かつき               なわい・しゅう
                森は技能賞を受賞


 開始早々から激しい打ち合いになった。繩井の右ストレート,左フックがヒット。しかし,森が鋭い左ジャブで徐々にリズムを取り戻す。森は左ジャブ,フックからボディに左アッパー。さらに繩井の出バナに右ストレートのカウンターを決める。2回,2分過ぎから森が攻勢。小刻みな左ジャブを多用する森。繩井の顔面は紅潮している。
 3回,繩井は果敢に右ストレート,左フックで応戦するが,森の左ジャブの連打で後手に回る。森の右ストレート,左フックでバランスを崩して後退する繩井。さらに左から右のフックでのけぞる。森は手数が良く出て主導権を握っている。
 4回,森の左フックが再三ヒット。森はよく左ジャブが出て,右ストレート,ボディへの左アッパーが回転する。終盤,リードしていながらも攻勢を緩めず,右ストレート,左フックで繩井をロープに詰める森。

 激しいパンチの応酬になったが,森がうまさと手数でワンサイドゲームを制した。右ボクサーファイターでフットワークを使いながら左右のコンビネーションブローで旺盛な攻撃を見せる。細かく鋭い左ジャブを多用して繩井の出足を止め,左フック,右ストレート,ボディへの左アッパーなどの多彩な攻撃で圧倒した。技能賞にふさわしい試合内容である。
 繩井は右ファイタータイプ。2018年10月のデビュー戦で森に4回判定負けを喫している。決勝戦がリベンジマッチという舞台になったが,攻撃の糸口をすべて封じられて完敗という結果となった。得意の右ストレート,左フックで果敢に攻め込んだが,森の左ジャブでコントロールされ,逆に出バナに右ストレート,左フックを打ち込まれた。

採点結果 繩井
主審:さかい・わたる *** ***
副審:中村勝彦 40 36
副審:吉田和敏 40 36
副審:松原暢宏 40 36
参考:MAOMIE 40 36


     ○森:5戦5勝(1KO)         19歳     身長:162cm
     ●繩井:5戦3勝(2KO)2敗     21歳     身長:160cm

     放送:G+
     解説:浜田剛史
     実況:弘 竜太郎

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                        2019年11月3日(日)    後楽園ホール
                      第76回東日本新人王決勝戦(フェザー級)
                                 5回戦
                  日本フェザー級(ノーランク)   T   K  O   日本フェザー級(ノーランク)
               ○   亀田京之介     3回1分10秒     今成太希   ●
                            (協栄) 125 3/4 lbs                          (三迫) 126 lbs
                  亀田はMVPを受賞               いまなり・だいき

 左の今成,右の亀田。開始早々から今成が積極的に攻めるが,長身の亀田はニュートラルコーナーに下がって右アッパーをアゴにヒット。亀田は足を使って下がりながら左右に動き,右ストレート,左フックを今成の出バナにヒットする。
 2回にも開始早々に亀田の右ストレートがアゴに決まり,今成の左膝が落ちる。亀田は足を使いながら右アッパーから左フックに次ぐ右ストレート。今成は構わず前に出るが,空回り。終了間際,亀田の右アッパーがアゴに決まる。
 3回,今成はなおも前に出るが,右ストレートを受けてぐらつく。亀田はロープに詰め,一気に右ストレート,左フックで攻勢。今成は応戦するが,効いていて体のバランスが崩れている。左から右のフックを打ち込まれた今成はロープ際で腰から崩れ落ちる。立ち上がろうとしたが,カウントの途中で田中主審が試合をストップした。

 亀田は右ボクサーファイター。183cmという長身とリーチに恵まれている。右ストレートが主武器であるが,右アッパーや返しの左フックもある。軽くフットワークを使いながら,今成の出バナにうまくカウンターを決めた。
 今成はサウスポーのファイタータイプ。上体を揺すって前に出たが,亀田の足にうまくかわされた。右フック,左ストレートを武器に積極的に攻めるが,ややガードの甘さがある。

     主審:田中こうじ,副審:吉田和敏&松原暢宏&和田こうし
     ○亀田:7戦5勝(4KO)1敗1分     21歳     身長:183cm
     ●今成:6戦5勝(3KO)1敗        22歳
     放送:G+     解説:飯田覚士     実況:上重 聡

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                        2019年11月3日(日)    後楽園ホール
                    第76回東日本新人王決勝戦(スーパーライト級)
                                4回戦
                 日本S・ライト級(ノーランク)   T   K  O   日本S・ライト級(ノーランク)
               ○   本多航大     3回0分46秒     小林柾貴   ●
                         (川崎新田) 139 3/4 lbs                       (イマオカ) 140 lbs
                         ほんだ・こうだい                    こばやし・まさき
              本多は敢闘賞を受賞

 開始早々から本多が前傾した姿勢でぐいぐいと前に出る。小林は下がりながら右ストレート,ボディへの左アッパー,右フックで本多の出バナを叩く。本多も右ストレートでロープ際に追うが,小林は落ち着いて右ストレート,左アッパーを見舞う。本多は顔面が紅潮している。
 2回,本多は激しく攻めるが,小林が間合いを取り,ワンツーの連打を出バナに浴びせる。しかし,2分過ぎに本多が望む乱戦に巻き込まれた小林は右ストレートを受け,ロープ際でダウン(カウント8)。
 3回,小林はダウンを挽回しようと激しく攻勢に出るが,足がついていかない。しかし,この攻勢が裏目に出た。スリップダウンからの再開直後,本多の左フックをアゴに受け,上体が大きく揺らいだところで和田主審が試合をストップした。

 劣勢を跳ね返した本多が勝負強さを見せ,TKOで東日本を制した。変則的な右ファイタータイプで,やや前傾した姿勢から体を預けるようにして思い切った左右フック,右ストレートで攻め込む。うまさはないが,パンチ力がある。体が前にのめり,両者が揃うことが欠点。小林のワンツーに苦しんだが,2回に思惑どおりの乱戦に持ち込んで逆転した。
 小林は長身でリーチに恵まれた右ボクサータイプ。自分の距離を保ち,本多の出バナにワンツーを浴びせてリードした。ワンツーから左アッパーを上下に,右フックをボディにとパンチも多彩。2回に乱戦に応じてしまったことが敗因。初回に見せた自分のペースを守っていればと悔やまれる。

     主審:和田こうし,副審:さかい・わたる&葛城明彦&田中こうじ
     ○本多:5戦4勝(3KO)1敗     20歳     身長:175cm
     ●小林:6戦5勝(3KO)1敗     20歳     身長:182cm
     放送:G+     解説:セレス小林     実況:伊藤大海

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                  2019年11月7日(木)    さいたまスーパーアリーナ
                   IBF・WBA世界バンタム級王座統一戦12回戦
                   IBF・WBAチャンピオン       WBAスーパーチャンピオン
                ○   井上尚弥   判 定    ノニト・ドネア   ●
                               (大橋) 118 lbs              (比国) 117 1/2 lbs

 開始早々からひりひりするような緊迫感が充満する展開になった。井上は早くも鋭い左ジャブを連発。さらに右ストレートのカウンターから左フックもカウンター気味にヒット。ドネアも左ジャブをひとつヒットし,終盤には右ストレートからボディへの左アッパーで迫る。
 2回,井上は左ジャブがよく出て,カウンターの左フックも決まる。しかし,2分過ぎ,顔面にドネアの左フックをカウンターされた井上がのけぞる場面があった。井上はこのパンチで右目上をカット(ドネアの有効打による傷)。プレスを強めるドネア。3回,井上は鼻からうっすらと出血。ドネアはプレスをかけてくるが,井上は足でうまく間合いを取り,鋭い左ジャブを多用してコントロールしている。
 5回,井上がKOチャンスを迎えた。前に出てくるドネアに対して鋭い左ジャブを多用し,右ストレートを浴びせる。終盤,アゴに右ストレートのカウンターを打ち込まれたドネアは上体が大きく揺らぎ,あわやダウンという場面。チャンスと見た井上は左ジャブ,右ストレート,左フックでドネアをロープに詰めて攻勢。
 8回は逆にドネア。右ストレートを受けた井上が危ない場面を迎えた。ドネアは手数を増やし,プレスを強める。前に出て左ジャブ,右フックのボディブロー,右ストレート。治まっていた井上の右目上と鼻から再び出血が始まり,不安を抱かせた。幾すじにも分かれて右目上から出血している井上。
 9回は井上がこの試合で最大のピンチに陥った。左ジャブでのけぞった井上はロープを背負う。1分過ぎ,左ジャブの打ち終わりに合わせたドネアの右ストレートがアゴに炸裂。カウンターで打ち込まれた井上は膝が落ち,ダウン寸前に追い込まれる。モンスターが珍しくクリンチに逃れる場面があった。出血が止まらない井上。ドネアは攻勢を強める。井上はひたすら耐える時間帯。
 10回は井上が挽回。手数を増し,左ジャブ,ワンツーでドネアにプレスをかける。左ジャブ,右ストレートから接近して左右フックのボディブロー。終了間際,右フックのカウンターから攻勢に出る井上。直前の9回に危ない場面を迎えた井上が次の10回にポイントを押さえたことが流れを引き寄せる結果につながった。
 11回,その井上が決定的なダメージを与えてドネアを突き放した。左ジャブ,右ストレート,ボディへの左アッパーで攻勢に出る井上。1分過ぎ,上への右アッパーをブロックさせ,ガードを上げさせた井上は左アッパーを一撃。まともにレバーを抉られたドネアは顔を歪め,たたらを踏むようにリング内を回り,たまらず赤コーナーで四つん這い(カウント9)。ここでカウントアウトと思われたが,シャリフ主審は続行の指示を出す。これはカウントが長かった。ボディが効いているドネアは井上の攻勢に腰が引けている。9回の井上とは立場が入れ替わり,ドネアが厳しい攻めを凌ぐ時間帯が続く。
 12回,井上が左ジャブ,右ストレート,左フックで攻勢。スピードは衰えていない井上。ドネアも左フックで応戦するが,スピードが落ちている。壮絶な応酬と絶叫の中で,終了ゴングを聞いた。

 歴史に残る名勝負として永遠に語り継がれるべき一戦になった。実力者同士がともに持ち味を存分に発揮し,観ている者をスピード,パワー,テクニックのすべてで魅了した。井上はスピード,パンチの切れでドネアを上回った。終始鋭い左ジャブが冴え,足もよく動いていた。その左ジャブが減ったときは押し込まれ,左ジャブが出ているときはさすがのドネアも出足が鈍った。激戦ではあったが,ある意味でわかりやすい展開である。井上にとっては19戦目で初めて迎えた苦しい戦いになったが,やはり左ジャブが生命線。ドネアに一気に持っていかれなかったのは,この左ジャブの賜物だろう。2回に右目上をカットし,9回にも危ない場面があったが,最後まで左ジャブが止まらなかったことでドネアの決定打を封じたことが勝因。9回にダメージを負ったが,10回にすぐさま流れを引き寄せたことが大きい。
 ドネアは全盛期を過ぎていたが,底力を見せつけた。主武器とされる左フックのカウンターに加え,鋭い右ストレートは脅威そのもの。井上の鋭いショートブローに出足を封じられたことが敗因。8・9回に右ストレートで追い込んだが,11回に喫したダウンのダメージで反撃の芽を断ち切られてしまった。

採点結果 井上 ドネア
主審:アーネスト・シャリフ(米国) *** ***
副審:ルイジ・ボスカレリ(イタリア) 116 111
副審:ロバート・ホイル(米国) 114 113
副審:オクタビオ・ロドリゲス(パナマ) 117 109
参考:MAOMIE 116 111


     ○井上:19戦19勝(16KO)        26歳     身長:165cm     リーチ:171cm
     ●ドネア:46戦40勝(26KO)6敗     36歳     身長:170cm     リーチ:174cm

     放送:フジテレビ
     解説:長谷川穂積&山中慎介
     実況:森昭一郎

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                    2019年11月7日(木)    さいたまスーパーアリーナ
                      WBC世界バンタム級王座統一戦12回戦
                     チャンピオン              暫定チャンピオン
             ○   ノルディーヌ・ウバーリ    判 定    井上拓真   ●
                            (フランス) 117 1/2 lbs                  (大橋) 118 lbs

 左のウバーリ,右の井上。初回,井上は落ち着いて左ジャブで距離を測る。ウバーリが右ジャブ,左ストレートで手数で上回る。
 2回,ウバーリはワンツーで井上をロープに追いこむ。3回,ウバーリは左ストレートをヒットし,さらに右フックを浴びせる。ウバーリの左ストレートで大きくバランスを崩した井上はロープを背負う。
 4回2分過ぎ,ウバーリの左ストレートが決まり,井上はロープ際までよろけ,腰から落ちてダウン(カウント8)。井上が右をミスしてがら空きになったアゴを捉えた見事なカウンターだった。
 5回,井上は右ストレートのボディブロー,右ショートストレートのカウンターで反撃。ウバーリも負けじと井上をロープに詰め,左右フック,アッパーのボディブローを見舞う。しかし,ロープを背負った井上は左から右のフックをカウンターで決めた。
 井上は手数が思うように出ず,単調な攻撃が目立つ。9回,公開採点で大きくリードされた井上がようやく積極的に出て左右フックのボディ攻撃を見せるが,長く続かない。10回,自ら攻めなければ勝機がない井上。井上は右ストレートをヒットするが,逆に左ストレートをもらう。11回,井上は前に出るが,ウバーリは終盤に左フック,右アッパーのボディブロー。
 12回中盤,井上の左フックでウバーリがわずかにぐらつく。チャンスと見た井上は一気に攻勢に出るが,焦りが先に立つ。決定打を打ち込めないまま終了ゴングを聞いた。

 ウバーリが2度目の防衛に成功するとともに,王座統一に成功した。アマのキャリアが豊富で北京五輪,ロンドン五輪の2大会連続出場を果たしており,ロンドン大会ではベスト8に進出している。サウスポーのボクサーファイターでワンツー,右フックを得意としている。スピード,一発のパンチ力はないが,老獪な試合運びが目立つ。
 井上は正規王座への挑戦に失敗。間合いの取り方がうまくて左ストレートのカウンターがあるウバーリを警戒して思うように攻められなかった。手数が出ず,右ストレート,左フックの単発が目についた。最終回に激しい攻撃を見せたが,焦りが先に立っていた。手数を出さなければ勝機はない。

採点結果 ウバーリ 井上
主審:レン・コイビスト(カナダ) *** ***
副審:リム・ジュンバエ(韓国) 115 112
副審:アレハンドロ・ロチン(メキシコ) 120 107
副審:デビッド・サザーランド(米国) 117 110
参考:MAOMIE 116 111


     ○ウバーリ:17戦17勝(12KO)     33歳     身長:161cm     リーチ:170cm
     ●井上:14戦13勝(3KO)1敗      23歳     身長:164cm     リーチ:163cm

     放送:フジテレビ
     解説:長谷川穂積&山中慎介
     実況:竹下陽平

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               2019年11月10日(日)    大阪府立体育会館第2競技場
              2019年全日本新人王西軍代表決定戦(スーパーバンタム級)
                             5回戦
                  西日本新人王    T  K  O   中日本・西部日本対抗戦勝者
             ○   津川龍也    1回2分30秒    朝倉 豊   ●
                        (ミツキ) 121 1/2 lbs                     (博多協栄) 121 3/4 lbs
                      つがわ・りゅうや
              津川はMVPを受賞

 ともに左ジャブの応酬から立ち上がる。前に出る津川に対し,朝倉は下がりながら左ジャブを当てる。中盤,津川の右フックがテンプルに決まり,朝倉が右膝をつく。ノックダウンと思われたが,死角に入ったのか,加藤主審の判定はスリップダウン。救われた形になった朝倉だが,効いている。津川は右ストレート,左右フック,アッパーで攻勢に出る。赤コーナーに詰まった朝倉が防戦一方になったところで加藤主審が試合をストップした。

 津川が鮮やかなTKOで西軍代表の座を射止めた。右ストレートを武器とする右ボクサーファイター。攻撃がやや直線的になる面はあるが,シャープなパンチが売り物。
 朝倉は右ボクサーファイター。前に出てくる津川を下がりながら捌いて右ストレートを決めようとしていたが,テンプルにもらったパンチが思いのほか効いてしまった。

     主審:加藤たかお,副審:川上 淳&古田厳一&近藤謙二
     ○津川:7戦6勝(3KO)1敗        19歳     身長:173cm
     ●朝倉:8戦5勝(3KO)2敗1分     27歳     身長:170cm
     放送:G+     解説:セレス小林     実況:伊藤大海

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              2019年11月10日(日)    大阪府立体育会館第2競技場
              2019年全日本新人王西軍代表決定戦(フェザー級)
                           4回戦
                  西日本新人王         中日本・西部日本対抗戦勝者
             ○   前田稔輝    判 定    福永
輝   ●
                      (グリーンツダ) 125 1/2 lbs            (沖縄ワールドリング) 125 3/4 lbs
                        まえだ・じんき               ふくなが・ひかる
              前田は技能賞を受賞

 左の前田,右の福永。初回1分過ぎ,前田の左の打ち終わりに福永が返した右ストレートがカウンターになる。前田も動きはいい。
 2回,福永が攻め倦むところに前田の左ストレートが伸びる。福永は上体を振って左右フックで迫るが,前田はよく見てワンツーをヒット。福永は前田の右ジャブ,左ストレートに阻まれ,空振りが目立つ。
 3回,素早い動きで踏み込む福永。しかし,前田はよく動きを見て,冷静に足を使って右ジャブ,ワンツー。福永の右の打ち終わりに前田の左ストレートがカウンターになる。福永はなかなか掴まえられずに時間だけが過ぎる。
 4回,焦りが目立つ福永。右ストレート,左フックを振って迫るが,前田に見切られている。前田は左右に動いて自分の距離を保ち,右ジャブ,左ストレートを浴びせる。左フックを大きくミスした福永は自ら赤コーナーに突っ込んでしまう。

 前田は長身のサウスポーでボクサータイプ。スピードとうまさで福永を圧倒した。バランスの良さが光る。左右への軽快なフットワークからの右ジャブ,左ストレートを得意としている。日本拳法のキャリアが長いだけに間合いの取り方,タイミングの測り方,パンチを当てる勘に優れている。
 福永は右ファイタータイプで右ストレート,左フックを得意としている。終始打ち合いに持ち込もうとしていたが,空転した印象が強い。上背がある前田に対して上ばかり狙っており,上体が伸び上がるところに左ストレートを打たれた。もう少しボディにパンチを散らして,動きを止めるべきだった。攻撃が単調になり,それも前田に読まれる原因になった。

採点結果 前田 福永
主審:川上 淳 *** ***
副審:隣井朝子 40 36
副審:古田厳一 40 36
副審:池田あらた 40 36
参考:MAOMIE 39 37


     ○前田:3戦3勝(2KO)        23歳     身長:174cm
     ●福永:5戦4勝(4KO)1敗     20歳

     放送:G+
     解説:セレス小林
     実況:伊藤大海

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                    2019年11月10日(日)    大阪府立体育会館第2競技場
                   2019年全日本新人王西軍代表決定戦(スーパーライト級)
                                  4回戦
               中日本・西部日本対抗戦勝者   T   K  O     西日本新人王
               ○   藤田裕崇       2回2分11秒       橋拓也   ●
                         (名古屋大橋) 139 3/4 lbs                         (寝屋川石田) 139 3/4 lbs
                    ふじた・やすたか
                藤田は敢闘賞を受賞

 右の藤田,左の橋。サウスポーの高橋は低いガードで慎重に出方を窺う。藤田は軽く足を使いながら前に出る。終了間際,藤田の右ストレートでぐらつく橋。橋も左ストレートを打ち返す。
 2回,藤田が前に出る。一方の橋は正面に立って左ストレートをもらう。左構えにスイッチした藤田が構わず攻勢に出る。ロープに詰まってアゴに右フックを打ち込まれた高橋は腰から落ちてダウン(カウント8)。立ち上がったが,再び右フックが決まり,腰から落ちて2度目のダウン。ここで古田主審が試合をストップした。

 早大ボクシング部で10戦7勝(4KO)というアマのキャリアを持つ藤田が5戦オールKOで西軍代表の座を射止めた。右ストレート,フックにパンチ力がある。ときおりサウスポースタイルにスイッチする。2度のダウンを奪ったパンチはいずれも左構えにスイッチして決めた右フック。
 橋はサウスポーのファイタータイプ。総合格闘技の経験がある。低く構えたガードから放つ左ストレート,フックを得意としている。間合いを置きながら藤田が出てくるところにパンチを合わせようとしていたが,2回に藤田の攻勢に巻き込まれて沈んだ。

     主審:古田厳一,副審:むろや・まさひろ&近藤謙二&加藤たかお
     ○藤田:5戦5勝(5KO)            24歳     身長:174cm
     ●橋:3戦1勝(1KO)2敗          30歳     身長:170cm
     放送:G+     解説:セレス小林     実況:伊藤大海

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                         2019年11月15日(金)    後楽園ホール
                                   8回戦
               東洋太平洋バンタム級チャンピオン    T   K  O      IBF世界バンタム級4位
                ○   栗原慶太       2回1分58秒    スックプラサード・ポンピタック   ●
                            (一力) 119 1/4 lbs                                 (タイ) 118 lbs
                          WBC15位,IBF9位

 初回,前に出て左右フックを狙うスックプラサード。栗原は左右に動きながら慎重に左ジャブから右ストレートを伸ばす。スックプラサードの左フックは空を切る。
 2回,左右フックを振って攻めるスックプラサード。栗原は足を使ってこれを巧みにかわし,左ジャブ,右ストレートを放つ。左フックから入ろうとしてアゴが空いたところに栗原の左フックがカウンターになり,スックプラサードはキャンバスに落下(カウント8)。立ち上がったが,朦朧としている。ロープに詰めて右ストレート,左右フックで攻勢に出る栗原。右ストレートでニュートラルコーナーに詰まったところで岡庭主審が試合をストップした。

 進境著しい栗原が世界4位の強豪を鮮やかに仕留めた。軽いフットワークから放つ右ストレート,左フックにKOの威力がある。ガードを緩めにしながら,動きの中から強打を決める。右ボクサーファイターでカウンターを当てる勘,タイミングの取り方に優れている。
 スックプラサードは左右フックを武器とする右ファイタータイプ。打ち合いを得意としているが,スピードはない。がら空きになったアゴにカウンターをもらってしまった。

     主審:岡庭 健,副審:福地勇治&蜂須賀ジョン&染谷路朗
     ○栗原:20戦15勝(13KO)5敗             26歳     身長:172cm
     ●スックプラサード:35戦24勝(16KO)11敗     32歳     身長:164cm
     放送:youtube     解説:なし     実況:なし

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          2019年11月30日(土)    コスモポリタン・オブ・ラスベガス(米国ネバダ州ラスベガス)
                                 8回戦
                 IBF世界S・ライト級14位    T  K  O   米国S・ライト級(ノーランク)
                ○   平岡アンディ    2回2分16秒    ロヘリオ・カサレス   ●
                               (大橋) 140 lbs                         (米国) 139 1/2 lbs

 サウスポー同士。長いリーチから右ジャブを突き,左ストレートを放つ平岡。よく見て落ち着いて戦っている。入ってくるカサレスのアゴに左アッパーのカウンターを見舞う。
 2回,平岡の左アッパーで鼻から出血するカサレス。平岡は左ストレート,右フック,左アッパーを浴びせて主導権を握る。ニュートラルコーナーに詰めて左アッパーに次ぐ右フックを打ち込めば,カサレスは両膝から崩れ落ちてダウン(カウント8)。再びニュートラルコーナーに詰め,上下に左ストレート,左右アッパーを見舞う平岡。カサレスが防戦一方になったところでホイル主審が試合をストップした。

 米国の大手プロモート会社トップランク社との契約でファンを驚かせた平岡が,無傷の15連勝で本場デビューを飾った。サウスポーのボクサーファイターで,長身から放つ左ストレートを武器としている。出バナに再三ヒットしていた左アッパーのカウンターも有効だった。落ち着いた試合ぶりが印象に残る。ガーナ人の父と日本人の母との間に生まれたハーフ。父のジャスティン・コジョはアマチュア歴があり,アンディのトレーナーを務めている。
 カサレスはグアテマラ出身のサウスポー。ファイタータイプで左右フックを振って前に出るが,スピードはない。腹周りがだぶついており,平岡の動きについていけなかった。

     主審:ロバート・ホイル(米国),副審:リカルド・オカシオ(米国)&クリス・ミグオーレ(米国)&エリック・チーク(米国)
     ○平岡:15戦15勝(10KO)         23歳     身長:180cm     リーチ:185cm
     ●カサレス:22戦13勝(5KO)9敗     29歳     身長:163cm     リーチ:160cm
     放送:WOWOW     解説:西岡利晃&亀海喜寛     実況:赤平 大

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