熱戦譜〜2018年5月の試合から


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試合日 試合 結果
2018.05.07  東洋太平洋&WBOアジアパシフィック ヘビー級
 タイトルマッチ12回戦
 藤本京太郎  TKO7R  アーロン・ラッセル
2018.05.07  日本スーパーライト級
 タイトルマッチ10回戦
 細川バレンタイン  TKO7R  デスティノ・ジャパン
2018.05.07 8回戦  岡田博喜  KO1R  シソ・モラレス
2018.05.12  WBA世界ライト級
 タイトルマッチ12回戦
 ワシール・ロマチェンコ  KO10R  ホルヘ・リナレス
2018.05.20  IBF・WBA世界ライトフライ級
 タイトルマッチ12回戦
 ヘッキー・ブドラー  判定  田口良一
2018.05.20  IBF世界ミニマム級
 タイトルマッチ12回戦
 京口紘人  判定  ビンス・パラス
2018.05.25  WBA世界バンタム級
 タイトルマッチ12回戦
 井上尚弥  TKO1R  ジェイミー・マクドネル
2018.05.25  WBC世界ライトフライ級
 タイトルマッチ12回戦
 拳四朗  KO2R  ガニガン・ロペス
2018.05.25 10回戦  井上拓真  KO1R  ワルド・サブ
10 2018.05.30  日本スーパーフェザー級
 タイトルマッチ10回戦
 末吉 大  判定  東上剛司
11 2018.05.30 8回戦  正木脩也  判定  シン・ヒョンジェ
12 2018.05.30 8回戦  永野祐樹  TKO5R  長濱 陸
13 2018.05.30 8回戦  梶 颯  KO1R  キチャン・キム

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                        2018年5月7日(月)    後楽園ホール
                 東洋太平洋&WBOアジアパシフィック ヘビー級タイトルマッチ12回戦
                     チャンピオン      T   K  O   挑戦者(OPBF8位)
               ○   藤本京太郎    7回0分28秒    アーロン・ラッセル   ●
                          (角海老宝石) 227 3/4 lbs                      (豪州) 219 1/2 lbs
             WBA15位,WBO7位,日本ヘビー級チャンピオン            WBOアジアパシフィック8位

 初回,ラッセルは左ジャブを出して積極的に前に出るが,逆に後半は藤本が左ジャブを突いて前に出る。
 3回,藤本が手数を増し,左右フックから右ストレートを打ち込んでリードし,さらに左アッパーをボディに見舞った。右フックのカウンターでラッセルの右膝が落ちる場面があった。藤本は左右フック,右ストレートで攻勢。4・5回,ラッセルは後手に回り,左アッパーのボディブローが効いた。
 6回,藤本がロープに詰めて顔面,ボディに左右フックを浴びせる。被弾が増えたラッセルは元気がない。
 7回,配色濃厚のラッセル。藤本の右ストレートでぐらついたところで,青コーナーからタオルが投入されて試合が終わった。

 藤本が圧勝でOPBF王座は3度目,WBOアジアパシフィック王座は2度目の防衛に成功。左右フック,右ストレートを上下に打ち分けてラッセルを圧倒した。ときおり見せた鋭い踏み込みからの左ジャブが良かったが,これをもう少し増やしたい。出入りを生かしたボクシングに味がある。
 ラッセルは右ファイタータイプ。左ジャブからの右ストレートを得意としている。しかし,スピードがなく,藤本の多彩な攻撃と手数に押されっぱなしだった。

6回までの採点 藤本 ラッセル
主審:福地勇治 *** ***
副審:ウィル・ソウルス(豪州) 60 54
副審:ダンレックス・タップダソン(比国) 60 54
副審:中村勝彦 60 54
参考:MAOMIE 60 54


     ○藤本:20戦19勝(11KO)1敗      31歳     身長:183cm     リーチ:186cm
     ●ラッセル:16戦11勝(4KO)5敗     29歳

     放送:youtube
     解説:なし
     実況:なし

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                          2018年5月7日(月)    後楽園ホール
                         日本スーパーライト級タイトルマッチ10回戦
                     チャンピオン      T   K  O     挑戦者(同級1位)
              ○   細川バレンタイン    7回1分21秒    デスティノ・ジャパン   ●
                         (角海老宝石) 139 1/2 lbs                      (ピューマ渡久地) 139 1/2 lbs

 初回,細川は左ジャブ,ワンツーを上下に打ってジリジリと前に出る。上背で勝るデスティノはブロックしながら下がってチャンスを窺う。終盤,細川が左右フックで攻勢に出る。
 4回,ダウンの応酬となった。序盤,両者が交錯した瞬間,デスティノの左フックがアゴに決まり,細川はロープ際でもんどり打ってダウン(カウント8)。デスティノは攻勢。しかし,終盤,細川の右フックが決まり,今度はデスティノが腰から落ちてダウン(カウント8)。形勢が逆転し,細川が俄然攻勢に転じた。右フックを受けたデスティノの足がもつれる。両者1度ずつダウンを喫したが,ダメージはデスティノの方が大きかった。
 6回,細川は左ジャブからの右クロスでデスティノをぐらつかせる。細川の左ジャブが的確にヒットする。終盤にも細川が右フックでぐらつかせ,さらに右ストレートでデスティノをのけぞらせる。
 7回,細川は冷静に左ジャブを突いてチャンスを窺う。デスティノはジリジリと前に出て右フックをボディに放つが,ナックルパートが当たっていないと染谷主審から注意を受ける。リング中央で両者が同時に放った右ストレートはスピードの差で細川の方が一瞬早く着弾。このカウンター一発でデスティノは腰から落ちてダウン。虚ろな目で上体を起こしかけたが,ダメージは明白。染谷主審はカウントの途中で試合をストップした。

 細川が劇的なTKOで初防衛を飾った。強打に定評があるデスティノに対し,よく見て左ジャブを的確に突いてコントロールした。まさに冷静さによってモノにした勝利。左ジャブだけに終わらず,それに続く右ストレートあるいは右クロスで再三ぐらつかせた。右ボクサーファイターで右ストレートにパンチ力があり,カウンターにいいものがある。
 デスティノ(本名 Bladimir Argeny Baez Taveras)は元ドミニカのS・ライト級チャンピオンという経歴を持つ黒人の輸入ボクサーである。長身で長いリーチに恵まれた右ボクサーファイターで,左フックに威力がある。しかし,打ち方は良いとは言えず,特に右フックはチョップ気味のパンチ。KO率は高いが,スピードは今一つ。腰高のため,バランスが崩れる場面が再三見られた。

6回までの採点 細川 デスティノ
主審:染谷路朗 *** ***
副審:安部和夫 59 55
副審:吉田和敏 58 57
副審:中村勝彦 58 56
参考:MAOMIE 59 55


     ○細川:32戦23勝(10KO)6敗3分         37歳     身長:163cm
     ●デスティノ:30戦24勝(22KO)4敗2分     34歳     身長:174cm

     放送:youtube
     解説:なし
     実況:なし

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                       2018年5月7日(月)    後楽園ホール
                                8回戦
                 WBA世界S・ライト級3位   K      O   比国ライト級9位
                ○   岡田博喜    1回2分40秒    シソ・モラレス   ●
                       (角海老宝石) 140 lbs           (比国) 139 1/4 lbs
                      WBC10位,WBO5位,IBF5位
                       WBOアジアパシフィック王者


 軽く上体と頭を振り,ポンポンと小気味よく左ジャブをヒットしてチャンスを窺う岡田。モラレスは右フックでボディを狙う。岡田が左ジャブからボディに右ストレートを伸ばせば,モラレスはロープに腰を落とす。小刻みな左ジャブでモラレスをニュートラルコーナーに詰める岡田。ここでオーバーハンドの右フックがテンプルに決まり,モラレスは右膝から落ちてダウン。立ち上がれず、カウントアウトされた。

 世界を目指す岡田が実力の差を見せつけ,圧勝を飾った。余裕を持って軽い足の動きで上体や頭を振り,小気味いい左ジャブを決めた。右ストレートをボディに散らし,最後は意表を突く大きな右フックで試合を決めた。格下相手ではあったが,テクニックを存分に見せた。
 モラレスは右ファイタータイプ。左ジャブから右フックを得意としている。岡田の左ジャブでコントロールされた。右ストレート,フックでボディを狙ったが,岡田に読まれて下がらされていた。

     主審:吉田和敏,副審:染谷路朗&福地勇治&中村勝彦
     ○岡田:18戦18勝(13KO)            28歳     身長:175cm
     ●モラレス:27戦19勝(12KO)7敗1分     30歳     身長:168cm
     放送:youtube     解説:なし     実況:なし

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                 2018年5月12日(土)    マジソン・スクエア・ガーデン(米国:ニューヨーク)
                            WBA世界ライト級タイトルマッチ12回戦
              挑戦者(WBO世界S・フェザー級王者)   K       O     名誉チャンピオン
                ○   ワシール・ロマチェンコ     10回2分08秒     ホルヘ・リナレス   ●
                               (ウクライナ) 134 1/2 lbs                            (帝拳) 134 1/2 lbs

 右のリナレスに対し,左のロマチェンコは上体を振って右ジャブから左ストレートのボディブローでスタート。序盤はロマチェンコが主導権を握った。左右に素早く動いて位置取りを変え,左右フック,アッパーを連打。リナレスはロマチェンコのスピードに追随しているが,手数を増やしたいところ。
 4回はリナレス。終盤,左の打ち終わりに返したカウンターの右ストレートがアゴに決まり,ロマチェンコの足元が乱れた。
 6回,スピードを生かしたロマチェンコが力みのない左右フック,左ストレートでリード。しかし,終盤,ロマチェンコが勢い込んで出るところにタイミングのいいリナレスの右ストレートがヒット。このカウンターをもらったロマチェンコはリング中央で呆気なく尻餅(カウント8)。立ち上がったロマチェンコは足を使って残り時間を凌いだ。7・8回,ロマチェンコは力みを抑えた左右の連打を回転させた。
 9回はリナレスが前に出て,右ストレートからスピード十分の左右フックを連打する。珍しくバランスを崩すロマチェンコ。さらにボディへの右ストレートがヒット。さすがのロマチェンコも手が出しにくくなった。
 10回,衝撃的な結末を迎える。リナレスの右ストレート,左右アッパーのボディブローに対し,ロマチェンコは左右フック,アッパーの連打で対抗。ともに譲らぬ激しい応酬が展開された。しかし,顔面への軽い左右フックからロマチェンコが打ち込んだ左フックがボディに刺さる。このパンチでリナレスは左膝から崩れるようにダウン。立ち上がれず,そのままカウントアウトされた。

 リナレス,痛恨のKO負けで王座陥落。スピードと手数の多さが武器のロマチェンコにパワーとハンドスピードで対抗し,激しい応酬となったが,最後は左フックのボディブローで沈んだ。ロマチェンコを前に出さないように右ストレート,ボディへの左右アッパーで止めていた作戦は非常に良かった。リターンマッチを希望していたが,雪辱に期待する。
 ロマチェンコはサウスポーのボクサーファイター。アマチュアでは北京五輪(フェザー級),ロンドン五輪(ライト級)の2大会連続で金メダルを獲得している。プロ転向後はWBO世界フェザー級,WBO世界S・フェザー級を制しており,12戦目での3階級制覇達成は全階級を通じて世界最速である。左右に動いて巧みに位置取りしながら,ガードの隙間を縫うように左右フック,アッパーを打ち込む。離れれば右ジャブ,左ストレートから右アッパーなどの高速のコンビネーションブローを見せた。近来まれに見る”ハイテクボクサー”の一人だろう。

9回までの採点 ロマチェンコ リナレス
主審:リッキー・ゴンザレス(米国) *** ***
副審:ジュリー・リーダーマン(米国) 85 85
副審:ロビン・テーラー(米国) 84 86
副審:スティーブ・ワイズフェルド(米国) 86 84
参考:MAOMIE 86 84


     ○ロマチェンコ:12戦11勝(9KO)1敗     30歳     身長:170cm     リーチ:166cm
     ●リナレス:48戦44勝(27KO)4敗       32歳     身長:173cm     リーチ:175cm

     放送:WOWOW
     解説:浜田剛史&飯田覚士&西岡利晃
     実況:高柳謙一     アシスタント:増田美香

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                    2018年5月20日(日)    大田区総合体育会館
                    IBF・WBA世界ライトフライ級タイトルマッチ12回戦
                     挑戦者(IBF6位)          チャンピオン
                ○   ヘッキー・ブドラー   判 定   田口良一   ●
                                (南アフリカ) 108 lbs              (ワタナベ) 108 lbs
                               WBA7位

 序盤はブドラーが激しい攻撃で主導権を握った。右ストレート,左右フックを振り,好戦的な姿勢で攻め込む。4回終盤,左右アッパーのボディ連打から右ストレートで田口をロープに詰めるブドラー。田口は鼻から出血。
 5回,田口は足を生かして左ジャブで突き放したいが,逆にブドラーの右ストレート,左右フックに押され気味。田口は自分のリズムを忘れている。
 6・7回,ブドラーの手数に苦しみながらも右ストレート,左フックで打ち勝つ。9・10回,田口はようやく左右アッパーのボディブロー,右ストレートで攻勢に出る。ボディが効いているのか,ブドラーがトランクスをたくし上げる場面が見られた。
 12回,ブドラーの左フックより一瞬早く田口の左フックがアゴにヒット。このカウンターをもらったブドラーは腰からキャンバスに落ちる。左フックが当たっており,明らかにノックダウンだったが,ウィリアムス主審はスリップダウンと判定した(試合終了後にノックダウンと正式に訂正された)。ブドラーは激しく上体を振り,田口にしがみついて攻勢を凌ぐ。KOを狙って左右フック,右ストレートで激しく攻めるが,捉えられないまま終了ゴングを聞いた。

 田口はWBA王座の8度目の防衛,IBF王座の初防衛に失敗。ブドラーの打ち合いに合わせてしまい,足と左ジャブを生かす自分の持ち味を忘れたことが敗因。中盤以降に左右アッパーのボディブローや右ストレートで反撃に出たが,わずかに及ばなかった。
 ブドラーは元WBA世界ミニマム級王者。白人の変則的な右ファイタータイプで左右フック,右ストレートを武器としている。パンチ力はないが,とにかく旺盛な手数が売り物。バランスを崩す場面も多いが,その状態からでも手が出ることが強味。さすがに終盤は打ち疲れとボディブローのダメージが出ていたが,辛うじて逃げ切った。
 12回のダウンシーンは試合後にスリップダウンからノックダウンに訂正された。田口の左フックがアゴに当たっており,明らかにノックダウン。ウィリアムス主審がブドラーの背後に立ってしまったために起きた誤診である。主審の立ち位置の重要性を認識させられる場面だった。

採点結果 ブドラー 田口
主審:サム・ウィリアムス(米国) *** ***
副審:マイク・フィッツジェラルド(米国) 114 113
副審:中村勝彦 114 113
副審:ネビル・ホッツ(南アフリカ) 114 113
参考:MAOMIE 114 113


     ○ブドラー:35戦32勝(10KO)3敗      30歳     身長:160cm     リーチ:167cm
     ●田口:32戦27勝(12KO)3敗2分     31歳     身長:168cm     リーチ:170cm

     放送:TBS
     解説:内山高志
     実況:赤荻 歩

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                   2018年5月20日(日)    大田区総合体育会館
                      IBF世界ミニマム級タイトルマッチ12回戦
                     チャンピオン         挑戦者(IBF世界L・フライ級10位)
                ○   京口紘人    判 定    ビンス・パラス   ●
                             (ワタナベ) 105 lbs                 (フィリピン) 105 lbs

 序盤から左に回りながら左ジャブを突く京口。右ストレートのボディブローから左アッパーをアゴに決め,早くも優位に立つ。
 3回,好調な滑り出しを見せた京口が不覚のダウンを喫した。京口は的確に左ジャブをヒット。左右アッパーのボディブローを打つパラスに対し,京口の左フックのカウンターが決まる。2分過ぎ,京口が左アッパーのボディブローを多用し,パラスの動きが鈍る。しかし,終了間際,右ストレートの打ち終わりに返したパラスの左フックが顔面を捉え,京口は腰から落ちてダウン(カウント8)。これはバランスを崩して倒れたものであり,ダメージはなかった。
 その後は京口が再び自分のペースで試合を進めた。的確な左ジャブでコントロールし,ボディへの左アッパーで攻め立てる。6回,京口の左ボディブローでパラスの動きが鈍る。9回,京口の手数が増し,パラスにはダメージの色が出る。
 10回,京口がKOチャンスを掴んだ。終盤,右ストレート,左アッパーから攻勢。パラスも応戦するが,右ストレートからの左フックでぐらつく。
 12回終盤,京口の右ストレートでぐらりとくるパラス。京口は一気に攻勢に出るが,仕留められずに終了ゴングを聞いた。

 京口は2度目の防衛に成功。不覚のダウンはあったが,危なげない勝利である。いつもは力みが目立つが,今夜は終始左ジャブが的確にヒットしていた。それにより,パラスの攻撃の芽を摘んでいた。育ち盛りであるだけに,今後は上の階級への転向も視野に入るだろう。ボディブロー,特に左アッパーでパラスの動きを止めたことが効果的だった。今夜のように左ジャブと足を生かした戦い方をすれば,さらに強くなるだろう。伸びしろを感じさせる試合内容である。
 パラスは右ボクサーファイター。下半身が発達しており,KO率が示すようにパンチ力がある。右ストレート,ボディへの左右アッパーの連打を得意として粘っこく攻める。ただし,膝の動きが硬いため,被弾するとダメージを受けやすいことが欠点である。

採点結果 京口 パラス
主審:ベンジー・エステベス・ジュニア(米国) *** ***
副審:マイク・フィッツジェラルド(米国) 117 110
副審:アルフレッド・ポランコ(メキシコ) 117 110
副審:ネビル・ホッツ(南アフリカ) 117 110
参考:MAOMIE 118 109


     ○京口:10戦10勝(7KO)          24歳     身長:162cm     リーチ:165cm
     ●パラス:14戦13勝(11KO)1敗     19歳     身長:159cm     リーチ:164cm

     放送:TBS
     解説:内山高志
     実況:杉山真也

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                      2018年5月25日(金)    大田区総合体育会館
                        WBA世界バンタム級タイトルマッチ12回戦
                   挑戦者(同級2位)   T   K  O       チャンピオン
                ○   井上尚弥    1回1分52秒    ジェイミー・マクドネル●
                              (大橋) 118 lbs                          (英国) 117 1/2 lbs

 10cm以上の身長とリーチの差を生かし,マクドネルが左ジャブを出しながら前に出る。しかし,それも最初の20秒ほど。ここから井上がプレスをかけると,マクドネルは前に出られなくなった。井上は左ストレートをボディに。さらにロープに詰め,右ストレートからボディに左アッパーを打ち込む。テンプルへの左フックでぐらつかせ,脇腹への左フックを打ち込めば,マクドネルは腰から落ちてダウン(カウント8)。立ち上がったが,ここから井上がフルスロットルの猛攻に出た。ロープに釘付けになったマクドネルに容赦ない左右フックの嵐。マクドネルはロープ際でたまらず腰から崩れ落ちる。ここでパボン主審はためらわずノーカウントで試合をストップした。

 井上,圧巻の初回TKOで3階級制覇達成。強豪王者の呼び声が高かったマクドネルを全く問題とせず,わずか112秒で斬って落とした。最初の20秒こそマクドネルが前に出ていたが,以降は圧倒的なプレスで押し切った。ボディへの左アッパーを効かせ,その後は嵐のような左右フックの乱打。海外に向けても放送されており,怪物ぶりを十分にアピールできただろう。どこまで進化するのか,本場で暴れる姿への期待が膨らむばかりである。
 マクドネルは6度目の防衛に失敗。このクラスでは破格の上背とリーチに恵まれている右ボクサーファイターである。特に右ストレート,左フックにパンチ力がある。ここ10年間は負けなしという強豪だが,今夜は手も足も出なかった。左ジャブで前進を阻んで突き放す作戦だったと思われるが,井上の圧力が想像を絶していたということだろう。長身ゆえの腰高であり,ロープに詰められると意外に弱いところを見せた。

     主審:ルイス・パボン(プエルトリコ),副審:オリバー・ブリエン(ドイツ)&イグナシオ・ロブレス(パナマ)&ピニット・プラヤドサブ(タイ)
     ○井上:16戦16勝(14KO)                     25歳     身長:165cm     リーチ:171cm
     ●マクドネル:34戦29勝(13KO)3敗1分1無効試合     32歳     身長:176cm     リーチ:182cm
     放送:フジテレビ     解説:山中慎介     ゲスト:村田諒太     実況:森昭一郎

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                     2018年5月25日(金)    大田区総合体育会館
                       WBC世界ライトフライ級タイトルマッチ12回戦
                     チャンピオン   K      O    挑戦者(同級1位)
                ○   拳四朗    2回1分58秒    ガニガン・ロペス   ●
                           (BMB) 107 1/2 lbs                    (メキシコ) 107 1/2 lbs

 右の拳四朗,左のロペス。ともにジャブで距離を測りながらチャンスを窺う。拳四朗は広いスタンスから踏み込み鋭く左ジャブ。早くも鼻柱が紅潮するロペス。終了間際,拳四朗の右ストレートがヒット。
 2回,拳四朗はタイミングのいい左ジャブを当てる。ロペスは左ストレートでボディを狙うが,拳四朗は自分の距離を保ち,左ジャブ,そしてボディに右ストレートを打つ。ロペスが右に回ろうとした瞬間,拳四朗の右ストレートがボディに命中。たまらず沈んだロペスは土下座スタイルのままカウントアウトされた。

 拳四朗は3度目の防衛に成功。前王者ロペスを返り討ちのKOに屠った見事な勝利である。広いスタンスからタイミングよく伸びる左ジャブで距離を測り,右ストレートにつなげた。試合を決めたのは意表を突くようなボディへの右ストレート。ちょうど右に回ろうとしたロペスの息が抜けた瞬間に決まったパンチである。昨年5月,王座を奪った試合ではロペスを相手に2−0の接戦をものにしたが,今回KOできっちりとカタをつけたことは大きい自信につながるだろう。
 王座奪回に失敗したサウスポーのロペスは拳四朗にうまく距離を取られた。ジャブの刺し合いで主導権を握られてしまい,うまくパンチが届かなかったことが響いた。

1回までの採点 拳四朗 ロペス
主審:ビック・ドラクリッチ(米国) *** ***
副審:マウロ・デ・フィオーレ(イタリア) 10
副審:マイク・ロス(米国) 10
副審:ノパラット・スリチャロン(タイ) 10
参考:MAOMIE 10


     ○拳四朗:13戦13勝(7KO)        26歳     身長:165cm     リーチ:163cm
     ●ロペス:42戦34勝(19KO)8敗     36歳     身長:164cm     リーチ:165cm

     放送:フジテレビ
     解説:長谷川穂積     ゲスト:八重樫東
     実況:立本信吾

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                      2018年5月25日(金)    大田区総合体育会館
                                10回戦
                 WBC世界バンタム級9位   K      O  インドネシア バンタム級チャンピオン
                ○   井上拓真    1回2分14秒    ワルド・サブ   ●
                            (大橋) 119 3/4 lbs                    (インドネシア) 119 1/4 lbs
        WBA S・フライ級13位,WBOバンタム級11位,IBF S・フライ級11位

 初回,左右フックをボディに連打するサブ。井上は落ち着いて左ジャブ,右ストレートから左フック,アッパーを見舞う。サブはなおも左右フックを振るが,井上は全く動じることなく,左アッパーをボディに打ち込む。リング中央で井上が右から左のアッパーをボディに一撃。サブはその場にうずくまり,たまらずダウン。マウスピースを吐き出し,悶絶したままカウントアウトされた。

 世界を狙う井上が強烈なボディブローで試合を決めた。落ち着いて相手をよく見て左ジャブを打ち,左アッパーのボディブローを打ち込んだ。スピード,切れともに申し分なく,世界挑戦に受けて絶好のアピールになった。パンチ力の割にはKO率が低いが,今夜のような戦い方をすればKOも増えるだろう。
 サブは右ボクサーファイターで左右フックを得意としている。パンチ力はないが,この左右フックを連打して積極的に攻める。しかし,あのボディブローをまともにもらっては立っていられようもない。

     主審:浅尾和信,副審:ウクリッド・サラサス&杉山利夫&福地勇治
     ○井上:11戦11勝(3KO)         22歳     身長:160cm
     ●サブ:24戦12勝(2KO)12敗     28歳
     放送:フジテレビ     解説:八重樫東     実況:木村拓也

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                     2018年5月30日(水)    後楽園ホール
                    日本スーパーフェザー級タイトルマッチ10回戦
                     チャンピオン         挑戦者(同級1位)
                ○   末吉 大   判 定   東上剛司   ●
                            (帝拳) 129 3/4 lbs           (ドリーム) 130 lbs
                 すえよし・まさる   WBO7位

 初回,小刻みな動きから左ジャブで探る両者。末吉は右ストレート,左ジャブ。しかし,末吉の右ストレートで東上はバランスを崩す。さらに左フックをヒットする末吉。右ストレートからオーバーハンドの右フックがテンプルにヒットし,東上は腰から落ちてダウン(カウント8)。末吉はなおも右ストレート,左フックを浴びせる。早くも緊迫した展開になった。
 3回,末吉は鋭い右ストレートを浴びせて東上を青コーナーに詰める。東上は左目上をカット(末吉の有効打による傷)。末吉はよく見て右フック,ストレートを浴びせる。東上は必死の形相で攻め込むが,末吉は右フックから左アッパーをアゴに打つ。
 中盤の末吉は小刻みな左ジャブがよく出て,東上をコントロールした。さらに右フック,ストレートからボディに左アッパーを打ち込む。7回,東上は末吉の左ジャブでなかなか攻撃の糸口を見出せない。
 8回,意を決したように思い切った攻勢に出るが,それも長く続かない。末吉は左ジャブを的確に決め,右ストレートを上下に浴びせる。末吉のうまさが際立った。
 9回,末吉は足と上体を小刻みに動かして上下に左ジャブを多用し,完全にリズムに乗ってコントロールした。東上はときおり右フックを振って襲いかかるが,全く通じない。
 10回1分過ぎ,東上の左ストレート,フックがヒットし,体勢が崩れた末吉はクリンチに逃れる。東上は右ストレートをヒットし,凄まじい執念で襲いかかる。激しい打ち合いの中,終了間際には東上の右ストレートで末吉がぐらつく場面があった。

 激しいパンチの応酬になったが,末吉が2度目の防衛に成功した。多用していた左ジャブが終始的確にヒットしていた点が光る。この左ジャブで東上を完全にコントロールし,オーバーハンドの右フック,ガードの中央を破る右ストレートを巧みに使い分けていた。さらにはボディへの左アッパーも非常に効果的。東上のパンチはスウェイバックで巧みにかわしていた。うまさが際立った一戦である。
 東上はキャリア15年,35戦目で初めて手に入れたタイトル挑戦のチャンスだった。末吉のテクニックに完封され,まさに完敗。右ボクサーファイターで右ストレート,左フックを武器として果敢に攻め込むスタイルを身上としている。負け数が多いが,川村貢二(横浜光→ワタナベ),天笠 尚(山上),福原力也(ワタナベ),梅津宏治(ワタナベ),金子大樹(ワタナベ)らチャンピオン経験者との対戦が戦歴を豪華なものにしている。若く上り調子の末吉に対し,叩き上げのベテランとしての意地と執念を存分に見せつけた。敗れはしたが,立派な戦いぶりである。

採点結果 末吉 東上
主審:杉山利夫 *** ***
副審:安部和夫 98 91
副審:中村勝彦 98 91
副審:葛城明彦 98 91
参考:MAOMIE 99 90


     ○末吉:19戦18勝(11KO)1敗        27歳
     ●東上:35戦14勝(3KO)16敗5分     37歳     身長:172cm

     放送:G+
     解説:飯田覚士&セレス小林
     実況:上重 聡

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                      2018年5月30日(水)    後楽園ホール
                              8回戦
                  日本S・フェザー級10位        韓国フェザー級1位
                ○   正木脩也    判 定    シン・ヒョンジェ   ●
                             (帝拳) 129 3/4 lbs              (韓国) 129 1/2 lbs

 初回,正木がスピーディな左ジャブで早くもリードする。シンは変則的な動きから右ストレート,フックを振るが,正木は右アッパーからボディに左アッパーを打ち込む。2分過ぎ,シンが右を振って入ろうとするところに正木の右ストレートが決まる。見事なカウンターに,シンは右膝をついてダウンを喫した(カウント8)。
 2回,正木は左アッパーのボディブローから右ストレート。シンが振るパンチは届かず,鼻から出血して早くも苦しい展開。終了間際,正木は左アッパーをボディに打ち込む。
 4回には正木も鼻から出血するが,左アッパー,フックをボディ,アゴに連打して好調さをアピールした。5回2分過ぎ,正木が左ボディから右ストレート,左フックで攻勢に出て,シンを後退させる。鼻からの出血が増したシンは苦しくなり,クリンチに出る。
 終盤のシンは目いっぱいの状態だが,とにかくしぶとく食い下がった。正木は右ストレート,左フック,左ボディを浴びせるが倒せない。
 8回,疲れが出たためか,正木の手数が減る。終盤に鋭いパンチを浴びせたが,フィニッシュできずに終了ゴングを聞いた。

 今年1月,三代大訓(ワタナベ)に初黒星を喫した正木の再起戦。韓国のトップコンテンダーを相手にワンサイドゲームを展開した。スピードの差を見せて終始左ジャブでコントロールし,右ストレートでダウンも奪った。多用していた左アッパーのボディブローは動きを止める効果があった。しかし,タフなシンを持て余し,終盤には手数が減る場面があった。今一歩の詰めを欠いたことは反省点である。シンのような相手を一発で仕留めるのは困難。ショートの連打をまとめてストップに持ち込むことも必要である。素質から言っても,ランキング下位に停滞している選手ではない。今後に期待する。
 シンは典型的な右のコリアンファイター。左右フックを振って果敢に攻めるが,バランスを崩すことも多い。右を振って入ろうとするときに両足が揃う欠点がある。ボディへの左アッパーを再三打ち込まれていたが,最後まで倒れることを拒否した。

採点結果 正木 シン
主審:飯田徹也 *** ***
副審:ウクリッド・サラサス 80 72
副審:中村勝彦 80 71
副審:安部和夫 80 71
参考:MAOMIE 80 71


     ○正木:11戦10勝(5KO)1敗     24歳     身長:173cm
     ●シン:16戦8勝(2KO)8敗       23歳     身長:167cm

     放送:G+
     解説:飯田覚士&セレス小林
     実況:佐藤義朗

※ サラサス副審の採点は試合直後に80−71と発表されたが,直後に富樫光明リングアナウンサーから80−72と正式に訂正のアナウンスが行われた。

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                       2018年5月30日(水)    後楽園ホール
                                8回戦
                   日本ウェルター級6位   T   K  O   日本S・ウェルター級2位
                ○   永野祐樹    5回2分49秒    長濱 陸   ●
                               (帝拳) 147 lbs                      (白井具志堅) 146 lbs

 左の永野,右の長濱。初回,永野は右ジャブを突いて慎重なスタート。長濱は右ストレートのボディブローを多用してリードする。永野もタイミングのいい左ストレートをヒットするが,長濱は右ストレートのボディブロー,左フックで永野をロープに詰める。
 2回,長濱が体格差を利してボディへの右ストレート,左フックでプレスをかける。しかし,永野はよく見てタイミングを合わせ,左ストレートを返す。終盤,永野の左ストレートで長濱が右目下をカット(永野の有効打による傷)。ニュートラルコーナーに詰め,右フック,左ストレートを浴びせる永野。
 3回は出血にもめげず,長濱が左ジャブから上下に右ストレートを打って積極的に攻める。永野は的確に左ストレートを返すが,長濱の手数,プレスが上回る。
 4回,激しい打ち合い。長濱は右ストレートをボディ,顔面に打って前に出るが,右目下が大きく腫れる。永野は右アッパー,左ストレート,ボディへの左ストレートを浴びせる。その永野も余裕があるわけではない。
 5回,白熱の打撃戦。馬力で勝る長濱が右ストレートのボディブローを多用して押し込む。永野は左ストレートで応戦するが,長濱の右アッパーのボディブローから左フックを受け,よろめく。なおも右ストレートでのけぞり,絶体絶命のピンチに陥る永野。しかし,残り30秒というところで永野が左ストレートから猛反撃に転じた。左ストレート,右フックの猛攻でたじろいだ長濱はよろめいてロープに詰まる。鬼のような形相で左ストレートを連発する永野。青コーナー近くでロープを背負って防戦一方となった長濱を葛城主審が救って試合がストップされた。

 ランカー同士の好カードは,両者が持ち味を出し切り,期待どおりの白熱戦になった。
 永野はこれで12連勝(5連続KO勝利)。サウスポーのファイタータイプで左ストレートにパンチ力がある。体格とパワーで劣っており,長濱に押し込まれて危ない場面があったが,そこから怒涛の猛反撃で逆転したことは非常に価値ある勝利である。一階級上の上位ランカー長濱に勝ったことにより,ランクアップは確実。タイトル挑戦に一歩近づいたと言えるだろう。
 長濱は元々ミドル級でスタートしただけに,体格差でひと回り上だった。パワーの差を生かし,特に多用していた右ストレートのボディブローで押し気味に試合を進めていた。接近戦での右アッパーのボディブローから顔面に返した左フックも効いていた。しかし,もう一歩というところまで追い詰めながらも最後の最後で永野の執念に屈した。

     主審:葛城明彦,副審:ウクリッド・サラサス&杉山利夫&中村勝彦
     ○永野:16戦14勝(11KO)2敗      28歳     身長:175cm
     ●長濱:11戦8勝(4KO)2敗1分     26歳     身長:178cm
     放送:G+     解説:セレス小林     実況:佐藤義朗

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                      2018年5月30日(水)    後楽園ホール
                               8回戦
                 日本S・フライ級8位    K      O   インドネシア S・フライ級(ノーランク)
                ○   梶 颯     1回2分26秒     キチャン・キム   ●
                           (帝拳) 114 1/2 lbs                      (インドネシア) 114 1/4 lbs

 開始早々,梶がスピーディな左ジャブから右フックをボディに打つ。キムは下がりながら左フックのカウンター狙い。梶は接近して左右アッパーのボディブローを連打する。さらにリング中央でボディに左アッパー2発をダブルで打ち込む。表情を歪めてロープ際に下がったキムは膝から崩れるようにダウン。うつ伏せから最後は仰向けになり,悶絶したままカウントアウトされた。大の字に沈んだキムはしばらく立ち上がれなかった。

 軽量級のホープ梶が鮮やかなKOで勝利を飾った。スピーディな左ジャブから,ボディへの左右アッパーを回転させてキムを圧倒した。大振りせずに上下に散らした点が良かった。まだ10戦目だが,そろそろ上位を狙ってもいいだろう。
 キムは右ボクサーファイター。左フックを得意としており,オーソドックスな戦い方をする。弱い選手ではないが,梶のスピードに屈した。

     主審:安部和夫,副審:飯田徹也&杉山利夫&葛城明彦
     ○梶:10戦10勝(8KO)           20歳     身長:164cm
     ●キム:15戦8勝(2KO)6敗1分     22歳     身長:167cm     リーチ:162cm
     放送:G+     解説:なし     実況:川畑一志

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