熱戦譜〜2017年5月の試合から


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試合日 試合 結果
2017.05.06 10回戦  金子大樹  TKO7R  東上剛司
2017.05.06 6回戦  佐々木基樹  判定  石川元気
2017.05.20  WBA世界ミドル級
 王座決定戦12回戦
 アッサン・エンダム  判定  村田諒太
2017.05.20  WBC世界フライ級
 タイトルマッチ12回戦
 比嘉大吾  TKO6R  ファン・エルナンデス
2017.05.20  WBC世界ライトフライ級
 タイトルマッチ12回戦
 拳四朗  判定  ガニガン・ロペス
2017.05.20  WBO世界ライトフライ級
 タイトルマッチ12回戦
 田中恒成  判定  アンヘル・アコスタ
2017.05.20 8回戦  田中裕士  TKO2R  シーラユット・シットサイトーン
2017.05.20 6回戦  畑中建人  TKO3R  ワチャラポン・シットサイトーン
2017.05.21  WBO世界スーパーフライ級
 タイトルマッチ12回戦
 井上尚弥  KO3R  リカルド・ロドリゲス
10 2017.05.21  IBF世界ライトフライ級
 王座統一戦12回戦
 ミラン・メリンド  TKO1R  八重樫 東
11 2017.05.21 8回戦  清水 聡  TKO1R  山本拓哉
12 2017.05.21 8回戦  松本 亮  TKO2R  ヘンドリック・バロングサイ

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                      2017年5月6日(土)    後楽園ホール
                               10回戦
                  日本S・フェザー級1位   T   K  O   日本S・フェザー級6位
                ○   金子大樹    7回1分53秒    東上剛司   ●
                              (横浜光) 131 lbs                      (ドリーム) 131 1/4 lbs

 開始早々から気合十分の金子が果敢に攻めた。目を見開き,広いスタンスから上下に左ジャブを刺し,右ストレートを見舞ってプレスをかける。ロープ際で金子の右フックがヒット。
 2回以降も上下への左ジャブ,左アッパーのボディブロー,右ストレートで攻撃の手を緩めない金子。東上は前に出たいが,金子のプレスが厳しく,思惑通りに出られない。4回,ここで引いては一方的にやられると見た東上が反撃に出て勇敢なところを見せる。東上は左目上をカット(金子の有効打による傷)。
 5回,金子の攻勢がさらに強くなる。左ジャブから右フックをヒットする金子。さらに右アッパー,ワンツー,ボディへの左アッパーで攻め続ける。東上は厳しくなるが,よく食い下がる。
 6回,金子が左ジャブ,ワンツーで攻勢。左目上の傷が深くなった東上はドクターチェックを受ける。再開後,東上がワンツーで反撃に出て,両者がヒートアップする。
 7回,粘る東上はワンツーで応戦するが,ついに力尽きた。ロープを背負ったところに右ストレートを打ち込まれてのけぞり,右アッパーを浴びたところで飯田主審が試合をストップした。

 金子は2015年にジョムトーン・チューワッタナ(タイ),仲村正男(渥美)に連敗を喫して以来,これで5連勝(4KO)。スピード,切れともに申し分なく,完全復活をアピールした。広いスタンスから長いリーチを生かした左ジャブがよく伸び,これを多用してワンツー,ボディへの左アッパーにつなげた。序盤からプレスを強め,東上につけ入る隙を与えなかった。今夜の試合内容であれば,タイトル奪回も十分に視界に入るはず。
 東上は右ボクサーファイターで右ストレートを武器としている。ガードを固めて前に出ながら得意の右を打ち込みたいところだったが,そのガードの隙間に左ジャブを突かれた。これで前進を阻まれ,上下への多彩なパンチでダメージを負った。健闘が光るが,やはり力の差が大きかった。

採点結果 金子 東上
主審:飯田徹也 *** ***
副審:染谷路朗 60 54
副審:ウクリッド・サラサス 60 54
副審:中村勝彦 60 54
参考:MAOMIE 60 54


     ○金子:34戦26勝(18KO)5敗3分     28歳     身長:174cm     リーチ:185cm
     ●東上:33戦13勝(2KO)15敗5分     36歳     身長:172cm

     放送:G+
     解説:浜田剛史&セレス小林
     実況:佐藤義朗

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                      2017年5月6日(土)    後楽園ホール
                              6回戦
                  日本ライト級(ノーランク)         日本ライト級8位
                ○   石川元希    判 定    佐々木基樹   ●
                               (MT) 135 lbs                 (帝拳) 134 1/2 lbs
                     いしかわ・げんき

 右の佐々木,左の石川。初回,石川が動きながら右ジャブ,フック,左ストレートで積極的に攻める。石川の左ストレートが佐々木の出バナに決まる。
 2回,佐々木は変則的な動きで若い石川を攪乱しにかかる。佐々木の右ストレートがヒット。3回,佐々木の右アッパーがローブローになり,一時中断。佐々木の左フックがボディに決まる。終盤,佐々木の右ストレートのカウンターがヒット。ここから一気に両者がヒートアップ。こういう展開になると老獪な佐々木が数段上。石川は右目上をカット(佐々木の有効打による傷)。
 しかし,4回,石川が主導権を握った。石川は再び右に回りながら,右ジャブ,フック,ボディに左ストレートをヒット。佐々木は攻め倦む。石川の左ストレートがヒットし,佐々木がバランスを崩す。
 5回1分過ぎ,左アッパーをヒットした石川がここから攻勢に出る。佐々木は思うように接近できず,攻め倦む。終盤,石川の左ストレートがクリーンヒットする。
 6回,乱戦狙いで攻勢に出る佐々木。石田もかなりきつくなってホール内の時計を気にするが,右ジャブ,フック,左ストレートで主導権は渡さない。佐々木は左右フックで迫るが,正確さに欠ける。

 大ベテランの佐々木に若い石川が挑む一戦は新鋭に軍配が上がった。
 石川はサウスポーのボクサーファイター。長身で長いリーチに恵まれている。乱戦でかき回そうとする佐々木に対し,右に回りながら右ジャブ,フックあるいは出バナに左ストレートを浴びせた。何よりも佐々木のペースに嵌らないように戦ったことが勝因。
 佐々木はベテランの味を見せたが,うまく間合いを取られたことが響いた。強引に接近し,潜り込んで左右フックを振ったが,正確さを欠き,見た目ほどのダメージを与えられなかった。

採点結果 石川 佐々木
主審:ビニー・マーチン *** ***
副審:中村勝彦 58 56
副審:杉山利夫 59 55
副審:飯田徹也 58 57
参考:MAOMIE 58 56


     ○石川:10戦9勝(5KO)1敗            24歳     身長:177cm
     ●佐々木:54戦42勝(26KO)11敗1分     41歳     身長:170cm

     放送:G+
     解説:セレス小林
     実況:寺島淳司

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                     2017年5月20日(土)    有明コロシアム
                     WBA世界ミドル級王座決定戦12回戦
                   WBA世界ミドル級1位        WBA世界ミドル級2位
                ○   アッサン・エンダム   判 定   村田諒太   ●
                              (フランス) 159 1/2 lbs             (帝拳) 159 1/2 lbs
                         元WBO世界ミドル級チャンピオン         WBO1位,IBF4位

 初回,エンダムは左右に動きながら左ジャブ,フック,右ストレートからボディへの左アッパーを連打し,手数で上回る。村田はエンダムの逃げ道を塞ぐようにプレスをかける。終盤,村田はブロックの上から右ストレートを打ち込む。
 2回,村田は打ち下ろしの右ストレートからボディに左アッパーを打ち込む。3回はエンダムが足を使いながら手数でリードした。
 4回,村田にとって最大のKOチャンスを迎える。終盤,右の打ち終わりに合わせた右ストレートのカウンターがアゴに決まり,エンダムは上体を捩じりながら前に落ちてダウン(カウント8)。ここからは村田が主導権を握って試合を進める。5,7回には右ストレートで大きくバランスを崩したエンダムがロープに救われてダウンを免れるという場面が見られた。
 しかし,終盤は村田も思うように手数が出ず,決定的なダメージを与えるには至らない。11回,村田の右ストレートで腰が落ちたエンダムはロープに飛ばされる。村田は右ストレート,ボディへの左右アッパーで弱らせる。
 12回,どんどん攻めたいところだが,エンダムの手数が上回る。

 念願の世界挑戦に漕ぎつけた村田だが,ダウンを奪いながらも決め手を欠き,2−1で惜敗という結果に終わった。右ストレート,ボディへの左右アッパーで常にプレスをかけ続け,エンダムを何度もロープに飛ばすなど,パワーでは数段上だった。しかし,手数が止まったところにブロックの上からコツコツと返され,これがエンダムにポイントが流れる原因になったものと見られる。
 エンダムは右ボクサーファイターでフットワークを駆使し,動きながら上下に間断なくパンチを打ち続ける。相手のブロックの上からでも左ジャブ,右ストレート,フックをどんどん打ってポイントを奪う老獪さがある。柔軟な上体で相手のパンチの威力を殺すのがうまく,打たれても驚異的な回復力を示した。

採点結果 エンダム 村田
主審:ルイス・パボン(プエルトリコ) *** ***
副審:ラウル・カイズ・シニア(米国) 110 117
副審:グスタボ・パディージャ(パナマ) 116 111
副審:ヒューバート・アール(カナダ) 115 112
参考:MAOMIE 112 115


     ○エンダム:38戦36勝(21KO)2敗     33歳     身長:181cm     リーチ:188cm
     ●村田:13戦12勝(9KO)1敗         31歳     身長:183cm     リーチ:188cm

     放送:フジテレビ
     解説:西岡利晃     ゲスト:山中慎介
     実況:森 昭一郎

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                      2017年5月20日(土)    有明コロシアム
                       WBC世界フライ級タイトルマッチ12回戦
                  挑戦者(同級1位)   T   K  O     前チャンピオン
                ○   比嘉大吾    6回2分58秒   ファン・エルナンデス   ●
                            (白井・具志堅) 112 lbs                   (メキシコ) 112 1/2 lbs

 初回,エルナンデスは左右に目まぐるしく動き,スイッチしながら左アッパーのカウンターをヒット。比嘉は距離を詰めていくが,エルナンデスの動きの速さに戸惑う。エルナンデスの左アッパーから右ストレートが飛ぶ。
 しかし,2回,勢い込んだエルナンデスの右ストレートの打ち終わりに返した比嘉の左フックがアゴに決まる。このカウンターをもらったエルナンデスは脆くも仰向けにダウン(カウント8)。
 3・4回はエルナンデスが持ち直し,再び忙しく動きながら左アッパー,右ストレートを放つ。下から崩したい比嘉は右ストレートのボディブロー。
 5回,ようやく比嘉がエルナンデスを捉えた。左フックをミスしたところに左フックを打ち込まれたエルナンデスは腰から落ちてダウン(カウント8)。足を使ってピンチを凌ごうとするが,効いている。比嘉はこの試合初めて左アッパーのボディブローを打ち込む。エルナンデスは左右に動いているものの,口が開き,鼻から出血して苦しくなる。
 6回,エルナンデスの足に苦しんだ比嘉がついに試合を終わらせた。エルナンデスは足を使って攪乱を図るが,比嘉は動じることなくプレスをかける。左アッパーのボディブローから右アッパーを打ち込まれたエルナンデスはロープ際で崩れ落ち,正座スタイルのままカウントを聞く(カウント8)。反撃の構えを見せるものの,再びロープに詰まり,左ボディブロー,右ストレート,アッパーをまとめられて仰向けにダウン(カウント8)。さらに比嘉の猛攻が続く。ボディへの左アッパー,右フックからの右アッパーをアゴに打ち込まれたエルナンデスはロープ際で膝から落ちてまたもやダウン(カウント8)。これも立ち上がって続行に応じるが,最後の抵抗も空しく,左ボディブローに次ぐ右アッパーで,この回4度目のダウン。ここでドラクリッチ主審が試合をストップした。

 初挑戦の比嘉が6度のダウンを奪った末に,見事なTKOで王座を奪取した。序盤は目まぐるしいエルナンデスの動きに戸惑ったが,持ち前のパワーを爆発させた。ボディブローで崩したのは作戦通りだろう。冷静さが光る。ボディ攻撃からの右アッパーが決め手になった。パワー,スピードが備わり,フライ級としては破格のパンチ力を誇る。何よりも常に攻撃的なスタイルが好結果を生んでいる。まだ21歳,前途洋々である。
 これが初防衛戦だったエルナンデスは前日の計量を200gオーバーで失格となり,戦わずして王座を失った。左右に目まぐるしく動き,スイッチしながら戦う。基本は右ボクサーファイター。身長の割にはリーチが長く,上下への左アッパー,右ストレートを得意としている。比嘉を苦しめたが,パワーに屈した。

5回までの採点 比嘉 エルナンデス
主審:ビック・ドラクリッチ(米国) *** ***
副審:ジャック・ウッドバーン(カナダ) 47 46
副審:アラン・クレブス(米国) 47 46
副審:マウロ・デ・フィオーレ(イタリア) 48 46
参考:MAOMIE 47 46


     ○比嘉:13戦13勝(13KO)             21歳     身長:161cm     リーチ:165cm
     ●エルナンデス:40戦36勝(26KO)4敗     30歳     身長:159cm     リーチ:166cm

     放送:フジテレビ
     解説:西岡利晃     ゲスト:山中慎介
     実況:竹中陽平

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                   2017年5月20日(土)    有明コロシアム
                     WBC世界ライトフライ級タイトルマッチ12回戦
                挑戦者(同級4位)          チャンピオン
               ○   拳四朗   判 定   ガニガン・ロペス   ●
                          (BMB) 107 3/4 lbs             (メキシコ) 107 3/4 lbs
                                    IBF3位

 左のロペス,右の拳四朗。左ジャブで探りながら前に出る拳四朗。ロペスは右に回りながら右ジャブ,ボディに左ストレート。
 2回,拳四朗はよく動き,ロングレンジから左ジャブ,右ストレートを伸ばす。ロペスは右ジャブから大きな左フック。しかし,拳四朗は終了間際に右フックを浴びせる。3回には右フックのカウンターをヒット。新鋭らしからぬ冷静なボクシングだ。
 4回,ロペスは右ジャブから左フックのボディブローを放つ。しかし,後半には拳四朗が出バナに右ストレート,フックのカウンターをうまく決める。ロペスは鼻から出血。
 5回,拳四朗の右の打ち終わりに左ストレートのカウンター,さらに左フックをボディに打ち込むロペス。
 6回はロペスが王者の意地を見せて手数を増した。前に出て右ジャブから左ストレート,フックを上下に打ち込むロペス。7回もロペスが優勢。右フックをカウンターされた拳四朗がぐらつく場面があった。ロペスは右アッパー,フック,左ストレートで先手を取る。拳四朗は終盤に右アッパーのボディブローを決めるが,左ジャブが止まり,正面になって被弾する悪い流れになっている。
 しかし,8回,セコンドの指示を受けてか,再び拳四朗の左ジャブがよく伸びるようになった。こうなると逆にロペスの手数が減るから不思議なものである。拳四朗は左ジャブから再三ボディに右アッパー,フックをヒットする。
 8回終了時点の公開採点は3者ともに77−75で拳四朗を支持。これを聞いたロペスはポイントを挽回を狙って9・10回にどんどん前に出るが,拳四朗は軽快な動きから左ジャブを多用し,右ストレートのカウンターを浴びせる。
 12回,KOを狙って激しく攻めるロペス。拳四朗は右フックのカウンターでこれに応じる。右アッパーをボディに打ち込まれたロペスの顔が苦痛に歪む。この勝負所に拳四朗は右アッパー,フックをボディに打ち込んで攻勢。苦しい展開に追い込まれたロペスは必死に食らいついて終了ゴングを聞いた。

 拳四朗が初挑戦で王座を獲得した。2−0の判定ではあるが,持ち味を十分に出し,ベテランのロペスを破った。前半は左右への軽快な動きから左ジャブ,右ストレートでリード。ロペスが反撃に出た終盤は右アッパー,フックのボデイブローに切り替えて反撃を振り切った。左ジャブが止まって打ち込まれる場面があったが,足が動いて左ジャブが出るとロペスの出足が止まった。拳四朗にとっていかに足と左ジャブが大事かがわかる。相手の正面に立たないことが重要になる。
 ロペスは2度目の防衛に失敗。サウスポーのボクサーファイターで左ストレート,フックを得意としている。パンチ力は今一つだが,老獪な試合運びが身上。若い拳四朗を苦しめたが,終盤はボディを打たれてダウン寸前まで追い込まれた。

採点結果 拳四朗 ロペス
主審:レン・コイビスト(カナダ) *** ***
副審:ジャック・ウッドバーン(カナダ) 114 114
副審:アラン・クレブス(米国) 115 113
副審:マウロ・デ・フィオーレ(イタリア) 115 113
参考:MAOMIE 115 113


     ○拳四朗:10戦10勝(5KO)        25歳     身長:165cm     リーチ:166cm
     ●ロペス:39戦33勝(18KO)7敗     35歳     身長:165cm     リーチ:166cm

     放送:BSフジ
     解説:西岡利晃     ゲスト:山中慎介
     実況:立本信吾

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              2017年5月20日(土)    武田テバオーシャンアリーナ(名古屋)
                     WBO世界ライトフライ級タイトルマッチ12回戦
                     チャンピオン          挑戦者(同級1位)
                ○   田中恒成   判 定   アンヘル・アコスタ   ●
                              (畑中) 107 3/4 lbs           (プエルトリコ) 108 lbs

 スピードの田中と強打のアコスタという興味深い顔合わせは期待に違わぬ緊迫した立ち上がりになった。アコスタは左ジャブを突きながら,威力十分の左フック,右ストレートで迫る。田中はまともには打たせていないが,手数でアコスタが上回る。2回,田中は左ジャブで前に出て左アッパーのボディブロー,右クロスを決める。しかし,後半はアコスタが右ストレートをヒットする。これは危ないパンチ。
 序盤は不安を抱かせる立ち上がりとなった田中だが,3回に入って流れを作った。アコスタは左右フックで攻勢に出るが,中盤は逆に田中の左フックでアコスタの出足が止まる。終盤,田中は左アッパーのボディブローから右アッパーをヒット。
 4回,待っているとアコスタの右ストレートが飛んでくるが,田中は左ボディ,右ストレートでアコスタを追う。ボディに右ストレートもヒットする田中。
 5回,この試合唯一のダウンシーン。ボディを攻められたアコスタは弱気な表情を浮かべ,左フックでアゴが上がる。中盤,右アッパーをもらったアコスタは尻餅をつく(カウント8)。立ち上がったアコスタは左右フックで反撃に出るが,田中は左ボディブローを効かせて後退させ,右ストレートを浴びせる。
 7回,カウンターの左フックでアコスタは大きくのけぞる。アコスタの反撃もあったが,田中は再びプレスをかけ,右ストレート,ボディへの左アッパーを打ち込む。
 8回以降は一進一退の応酬が続いたが,有効打で田中が上回った。10回,アコスタは逆転を狙って攻勢に出るが,左アッパーをボディに打ち込まれて上体が丸くなり,クリンチに逃れる。田中も楽ではないが,それ以上にアコスタに疲れとダメージが見え,上体が起きている。
 11回,アコスタは食い下がるが,田中はボディに左右アッパーを打ち込んで下がらせる。さらにロープに詰めてワンツーを浴びせる。
 12回,ともに疲れがピークに達するが,田中の左アッパーがボディに決まる。

 最大の難敵アコスタを退け,田中が初防衛に成功。強打に苦しむ場面もあったが,中盤からボディブローで動きを止めたことが奏功した。逆に動きと手数が止まってアコスタの攻勢を許す場面があった。やはりフットワークとスピードが生命線だろう。そのたびに左アッパーのボディブローを効かせて流れを変えたことが良かった。
 アコスタはオールKO勝ちの右ファイタータイプ。右ストレート,左右フックにKOの破壊力があるが,一発ではなく連打が出ることが強味。全身のバネを利かせた打ち方が特徴で,これがこのクラスでは稀有と言えるパンチ力の源になっている。タフネスに加えて回復力に富んでいるが,田中のボディブローで動きが鈍り,後半は弱気な表情が見られた。調子に乗せてしまうと手がつけられない強さを発揮するが,田中がそれをさせなかったことがこの試合のポイントだろう。

採点結果 田中 アコスタ
主審:マヌエル・オリバー・パロモ(スペイン) *** ***
副審:ポール・ジャローム・アクブコ(米国) 117 110
副審:ハビエル・アルバレス(米国) 117 110
副審:ギウスティノ・ディ・ジョバンニ(イタリア) 116 111
参考:MAOMIE 117 110


     ○田中:9戦9勝(5KO)             21歳     身長:164cm     リーチ:161cm
     ●アコスタ:17戦16勝(16KO)1敗     26歳     身長:163cm     リーチ:161cm

     放送:CBC中部日本放送
     解説:飯田覚士     ゲスト:田口良一
     実況:高田寛之

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                2017年5月20日(土)    武田テバオーシャンアリーナ(名古屋)
                                8回戦
                   日本バンタム級5位    T   K  O   タイ国バンタム級(ノーランク)
                ○   田中裕士    2回2分45秒   シーラユット・シットサイトーン   ●
                             (畑中) 119 1/2 lbs                       (タイ) 119 1/2 lbs

 初回,田中はゆっくり左ジャブを突き,右ストレートから左アッパーのボディブローで前に出る。シーラユットは左右フックを振るが,スピードがない。
 2回,田中の軽い右ストレートが決まり,シーラユットはロープ際で左膝をついてダウン(カウント8)。すっかり余裕を持った田中が右ストレート,左右アッパーのボディブローを浴びせれば,シーラユットは防戦一方。最後は右アッパーからボディに左アッパーを打ち込まれ,膝から落ちてダウン。ここで主審が試合をストップした。

 享栄高(岐阜)からプロ入りしてホープと期待された田中もすっかりベテランの領域に入った。日本タイトルには2度挑戦しているが,いずれも敗退している。右ストレートを得意とする右ボクサーファイター。ただし,今回の相手は調整試合にもならないレベル。もう少し骨のある相手と手合わせをしないと,世界戦のアンダーカードとしては非常に寂しい。
 シーラユットは右ボクサーファイター。ベタ足で動きはぎこちなく,スピードが全くない。

     主審:不明,副審:3名不明
     ○田中:25戦20勝(14KO)2敗3分     25歳     身長:170cm
     ●シーラユット:戦績不明             29歳
     放送:youtube     解説:なし     実況:なし

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                  2017年5月20日(土)    武田テバオーシャンアリーナ(名古屋)
                                6回戦
                 日本S・フライ級(ノーランク)  T   K  O      タイ国S・フライ級(ノーランク)
                ○   畑中建人    3回1分27秒     ワチャラポン・シットサイトーン   ●
                             (畑中) 114 1/4 lbs                          (タイ) 112 1/2 lbs

 初回,長身のワチャラポンがフェイントをかけながら右ストレート,左アッパーで積極的に攻める。畑中はよく見て右ストレートのボディブロー,左フックをヒット。
 2回,畑中が右ストレートのカウンター,左ジャブ,フックを浴びせてプレスをかける。ワチャラポンは初回とは変わって後退を始める。
 3回,再び右から左のフックを振って積極的に攻めるワチャラポン。しかし,畑中は冷静に見ながら,左フックのボディブロー,右ストレートで前に出る。左フックからフォローした右ストレートがカウンターになり,アゴが上がったワチャラポンは青コーナーで膝から落ちてダウン(カウント8)。立ち上がったが,畑中の詰めは鋭く,右ストレート,アッパーを浴びせたところで石川主審が試合をストップした。左膝からキャンバスに崩れ落ちたワチャラポンは大の字に沈み,セコンドに抱きかかえられながら青コーナーに戻った。

 畑中は元世界王者で所属ジムの会長でもある畑中清詞氏の長男。中京高(岐阜)時代にインターハイ出場の経験があり,アマ戦績は42戦32勝(5KO)10敗。右ボクサーファイターで右ストレート,左フックに切れがあるのは父親譲りか。左ジャブがよく出ており,将来が楽しみ。まずはキャリアをしっかり積むことが大事だろう。
 ワチャラポンは右ボクサーファイター。長身で細身から右ストレート,左フックを打ち込んでくる。その反面,ガードが甘く,アゴが空く欠点がある。

     主審:石川和徳,副審:3名不明
     ○畑中:3戦3勝(3KO)      19歳     身長:165cm
     ●ワチャラポン:戦績不明     18歳     身長:175cm
     放送:youtube     解説:なし     実況:なし

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                       2017年5月21日(日)    有明コロシアム
                      WBO世界スーパーフライ級タイトルマッチ12回戦
                     チャンピオン    K      O    挑戦者(同級2位)
                ○   井上尚弥   3回1分08秒   リカルド・ロドリゲス   ●
                                (大橋) 115 lbs                     (米国) 114 1/2 lbs

 初回,ロドリゲスは井上をロープに詰め,左アッパーで勇敢にボディを攻める。しかし,井上は全く動じることなくこれをブロックし,鋭い左ジャブ,右フックのボディブローから左フックを見舞う。井上の左アッパーで大きくのけぞるロドリゲス。井上のスピードと切れが凄まじい。
 2回,井上がさらにプレスを強め,左ジャブ,右ストレートから左アッパーのボディブロー。早くもスピードの差が歴然。サウスポーにスイッチした井上が左ストレートをクリーンヒットし,ロドリゲスの腰が落ちる。
 3回,井上は鋭い左ジャブでロドリゲスを寄せつけない。左フックのカウンターを打ち込まれたロドリゲスは赤コーナーで大きくバランスを崩す。右アッパーから返した左フックでロドリゲスはキャンバスに転がり落ちてダウン(カウント8)。立ち上がったが,井上はワンツーを浴びせて厳しい詰めを見せる。左フックのカウンターが決まり,ロドリゲスは腰から落ちて2度目のダウン。立ち上がれず,そのままカウントアウトされた。

 井上が盤石のKOで5度目の防衛に成功。スピード,パンチの切れ,タイミング,鉄壁のディフェンスのどれをとっても非の打ちどころがない。存在感をこれ以上ない形で示した。本場・米国への進出にさらなる期待が膨らむ。おそらく黙っていてもプロモーターが放っておかないはず。左ジャブ,右ストレートの威力,えげつなささえ感じさせるボディブローは圧巻。
 ロドリゲスは右ファイタータイプ。左アッパーのボディブローを得意としている。挑戦者がなかなか名乗り出ない絶対王者の井上に対し,果敢に攻めたが,すべての面で遠く及ばなかった。

2回までの採点 井上 ロドリゲス
主審:ラモン・ペーニャ(プエルトリコ) *** ***
副審:リサ・ジアンパ(米国) 20 18
副審:パトリック・モーリー(米国) 20 18
副審:ラリー・ハザード・ジュニア(米国) 20 18
参考:MAOMIE 20 18


     ○井上:13戦13勝(11KO)          24歳     身長:164cm     リーチ:171cm
     ●ロドリゲス:20戦16勝(5KO)4敗     27歳     身長:161cm     リーチ:166cm

     放送:フジテレビ
     解説:具志堅用高&川島郭志     ゲスト:長谷川穂積
     実況:森 昭一郎

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                      2017年5月21日(日)    有明コロシアム
                      IBF世界ライトフライ級王座統一戦12回戦
                     暫定チャンピオン   T  K  O   正規チャンピオン
                ○   ミラン・メリンド   1回2分45秒   八重樫 東   ●
                              (比国) 107 3/4 lbs                (大橋) 107 3/4 lbs

 左ジャブを突いてお互いに探り合う両者。じりじりと前に出るミランドに対し,八重樫は慎重に出方を窺う。1分30秒,ミランドが軽く合わせた左フックからの右ストレートで,八重樫は腰から落ちてダウン(カウント8)。立ち上がったが,アゴへの左アッパーで腰から落ちて2度目のダウン(カウント8)。明らかにダメージを残している八重樫。ミランドは冷静に左ジャブ,右アッパーで詰めに入る。左右アッパーをボディに散らしたミランドが矢のようなワンツーを一閃。このパンチを打ち込まれた八重樫は後頭部をキャンバスに打ちつけ,仰向けに沈む。朦朧としながらも上体を起こしかけたところで,エルナンデス主審がカウントを中止して試合をストップした。

 八重樫,3度目の防衛に失敗。3分もたないという衝撃のTKO負けである。歴戦の疲れが出たのか,反応の鈍さが目立った。パンチ力があるミランドが相手であるだけに,4回くらいまでは慎重に戦うべきだった。あまりにも不用意にパンチをもらってしまったことが悔やまれる。
 ミランドは右ボクサーファイター。目と勘に優れ,パンチは左右ともにシャープ。左ジャブで距離を測り,鋭い右ストレートを打ち込んでくる。これが最大の武器。ボディに左右アッパーを散らして上にワンツーを打つなどのうまさがある。冷静な試合運びが光る。

     主審:エドワード・エルナンデス・シニア(米国),副審:島川威&ビル・ラーチ(米国)&ダンレックス・タップダソン(比国)
     ○メリンド:38戦36勝(13KO)2敗     29歳     身長:158cm     リーチ:166cm
     ●八重樫:31戦25勝(13KO)6敗     34歳     身長:160cm     リーチ:165cm
     放送:フジテレビ     解説:川島郭志     ゲスト:長谷川穂積     実況:竹下陽平

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                      2017年5月21日(日)    有明コロシアム
                                8回戦
                日本フェザー級(ノーランク)   T   K  O   東洋太平洋フェザー級15位
                ○   清水 聡     1回1分49秒    山本拓哉   ●
                            (大橋) 125 3/4 lbs                   (エディタウンゼント) 125 1/4 lbs

 左の清水,右の山本。ともに変則スタイルだが,左ジャブ,右ストレートで先に攻めたのは山本。しかし,清水は動じることなく,逆に1分過ぎからプレスを強める。山本をワンツーでロープに飛ばし,左アッパーをボディに打ち込む清水。威力十分のワンツーで弾き飛ばされた山本はロープ際で腰から落ちてダウン(カウント8)。これは続行となったが,右フック2発で山本の膝が揺れたところでマーチン主審が試合をストップした。

 ロンドン五輪バンタム級の銅メダリスト清水がプロ3戦目を圧勝で飾った。このクラスとしては破格の長身と長いリーチを誇る変則サウスポーで,アップライトスタイルから打ち込む左ストレート,アッパー,右フックに破壊力がある。山本も果敢に攻めたが,清水は全く動じることなく押し返し,圧倒的なパワーの差を見せつけた。足を使う相手への対応は未知数だが,目が離せない存在である。
 山本は右ボクサーファイター。左と右の違いはあるが,清水と全く同じようなアップライトスタイルの変則的なボクシングが特徴。膝や上体の柔軟性に欠け,打たれた場合のダメージが大きくなるのが難点。

     主審:ビニー・マーチン,副審:吉田和敏&葛城明彦&杉山利夫
     ○清水:3戦3勝(3KO)         31歳     身長:179cm
     ●山本:15戦8勝(4KO)7敗     28歳     身長:171cm
     放送:BSフジ     解説:川島郭志     ゲスト:長谷川穂積     実況:鈴木芳彦

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                      2017年5月21日(日)    有明コロシアム
                               8回戦
              WBO世界S・バンタム級14位   T   K  O     インドネシア フェザー級3位
                ○   松本 亮    2回1分35秒    ヘンドリック・バロングサイ   ●
                            (大橋) 124 1/2 lbs                        (インドネシア) 124 lbs

 初回,松本は左ジャブで牽制しながら前に出る。バロングサイをロープに詰め,右ストレート,ボディへの左右アッパー。様子見なのか,バロングサイはこれといって手を出さずに後退。
 2回,右ストレートを耳の下に打ち込まれたバログサイは右膝をついてダウン(カウント8)。立ち上がったが,松本の攻勢に晒される。バロングサイをロープに詰めた松本は左アッパーのボディブロー,左フックから右ストレートを浴びせる。この攻撃にバロングサイはロープ際で崩れ落ち,2度目のダウン。浅尾主審はカウントの途中で試合をストップした。

 松本が体格とパワーの差を利して圧勝。リーチを生かした上下へのパンチでバロングサイを沈めた。ただし,パンチが大きく,スピードが足りないのが欠点。世界を狙うとのことだが,今のままでは多くは望めない。
 バロングサイは右ボクサーファイター。ベタ足に近くてスピードがなく,ロートルという印象は否めない。ときおり右ストレートを返していたが,松本のプレスに押され,守勢一方に回った。

     主審:浅尾和信,副審:杉山利夫&葛城明彦&ビニー・マーチン
     ○松本:21戦20勝(18KO)1敗               23歳     身長:173cm
     ●バロングサイ:58戦29勝(18KO)26敗3分     36歳
     放送:youtube     解説:なし     実況:なし

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