熱戦譜〜2016年9月の試合から


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試合日 試合 結果
2016.09.04  WBO世界スーパーフライ級
 タイトルマッチ12回戦
 井上尚弥  KO10R  ペッチバンボーン・ゴーキャットジム
2016.09.04 6回戦  清水 聡  KO5R  イ・インギュ
2016.09.04 10回戦  井上拓真  判定  フローイラン・サルダール
2016.09.04 8回戦  井上浩樹  TKO2R  ヘリ・アンドリヤント
2016.09.09  IBF世界スーパーライト級
 タイトルマッチ12回戦
 エデュアルド・トロヤノフスキー  TKO2R  小原佳太
2016.09.10  日本スーパーフェザー級
 タイトルマッチ10回戦
 尾川堅一  TKO10R  松下拳斗
2016.09.10 8回戦  五十嵐俊幸  TKO2R  デヌア・シスヨー
2016.09.10  WBC世界スーパーフライ級
 タイトルマッチ12回戦
 ローマン・ゴンザレス  判定  カルロス・クアドラス
2016.09.10 10回戦  亀海喜寛  TKO8R終了  ヘスス・ソト・カラス
10 2016.09.16  WBC世界バンタム級
 タイトルマッチ12回戦
 山中慎介  TKO7R  アンセルモ・モレノ
11 2016.09.16  WBC世界スーパーバンタム級
 タイトルマッチ12回戦
 長谷川穂積  TKO9R終了  ウーゴ・ルイス
12 2016.09.19  4回戦(バンタム級)
 2016年・中日本・西部日本新人王対抗戦
 中村祐斗  TKO1R  松ケ野貴志
13 2016.09.19  4回戦(ライト級)
 2016年・中日本・西部日本新人王対抗戦
 小田翔夢  KO2R  ミゲル・オカンポ
14 2016.09.19  4回戦(スーパーライト級)
 2016年・中日本・西部日本新人王対抗戦
 吉開右京  KO2R  斉木新悟
15 2016.09.24  WBA・WBC世界ライト級
 王座統一戦12回戦
 ホルヘ・リナレス  判定  アンソニー・クロラ

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                     2016年9月4日(日)    スカイアリーナ座間
                       WBO世界スーパーフライ級タイトルマッチ12回戦
                     チャンピオン    K       O       挑戦者(同級1位)
                ○   井上尚弥   10回3分03秒   ペッチバンボーン・ゴーキャットジム   ●
                               (大橋) 115 lbs                                 (タイ) 115 lbs

 初回,スピード十分の井上が左に回りながら左ジャブ,さらに右ストレートから左右アッパーのボディブローで早くも優位に立つ。ペッチバンボーンも左右フックのボディブロー,右ストレートで応戦するが,終盤には井上の右ストレートでペッチバンボーンは足がもつれて後退。井上は攻勢に出る。
 調子の波に乗った井上は2回以降も鋭い左ジャブを多用して出バナを叩き,スピーディなコンビネーションブローを上下に打ち分けてリードを広げた。
 6回,ペッチバンボーンはニュートラルコーナーに井上を押し込んでボディに左右フックを連打。しかし,井上も黙っていない。リング中央で左右の連打からボディに左アッパーを打ち込み,顔面に右フックを連発する。7・8回,井上の鋭い左ジャブでペッチバンボーンはなかなか前に出られない。
 9回,井上は見事なヒットアンドアウェイを見せ,左ジャブを多用しながら左に回る。ペッチバンボーンはボディがかなり効いているが,しぶとく前に出る。
 10回,左ジャブを突いて左右に動きながら戦っていた井上が2分過ぎにピッチを上げる。ワンツー,左右フックで攻勢に出る井上。ペッチバンボーンもこれに応じて激しい打ち合いになるが,左フック,右ストレートの連打でぐらつく。ここからギヤをトップに入れた井上が一気にスパートする。ペッチバンボーンはぐらつきながらも応戦するが,右ストレート2発で力尽き,腰から落ちてダウン。立ち上がったが,朦朧としており,ネルソン主審はそのままカウントアウトした。

 井上は3度目の防衛に成功。右拳を痛めた中盤以降は右を温存した戦い方だったが,上下に打ち分ける多彩なコンビネーションブローに非凡な才能を存分に見せた。特に左アッパー,右フックはタフな相手の動きを止め,心を折るのに十分な威力があった。多用していた左ジャブの鋭さが光る。これだけの左ジャブを出せる日本人は珍しい。23歳の若さで円熟味を増し,山中慎介と並んで日本ボクシング界のエースの座を不動のものにした。
 ペッチバンボーンは右ボクサーファイター。右ストレート,左フック,ボディへの左右フックを得意としている。非常にタフでしぶとく積極的に攻めたが,井上に読まれており,固いブロックをはじめとする巧みなディフェンスを崩せなかった。ボディを打たれ,さすがに終盤は動きが鈍った。

9回までの採点 井上 ペッチバンボーン
主審:マーク・ネルソン(米国) *** ***
副審:パトリック・モーリー(米国) 90 81
副審:ルー・モレット(米国) 88 83
副審:ダニエル・サンドバル(米国) 90 81
参考:MAOMIE 90 81


     ○井上:11戦11勝(9KO)                    23歳     身長:164cm     リーチ:172cm
     ●ペッチバンボーン:47戦38勝(18KO)8敗1分     31歳     身長:165cm     リーチ:170cm

     放送:フジテレビ
     解説:具志堅用高&川島郭志     ゲスト:村田諒太
     実況:鈴木芳彦

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                      2016年9月4日(日)    スカイアリーナ座間
                                 6回戦
               日本S・フェザー級(ノーランク)   K      O  韓国フェザー級チャンピオン
                ○   清水 聡     5回2分13秒    イ・インギュ   ●
                               (大橋) 128 lbs                         (韓国) 127 1/2 lbs

 初回,軽いステップから清水が右ジャブで牽制して前に出て,右ジャブ,左ストレートで積極的にプレスをかける。2分過ぎ,出バナに右ジャブから合わせた左ショートストレートがアゴに決まり,イは尻餅をついてダウン(カウント8)。
 2回にも清水が余裕を持って攻める。イは左右フックで攻撃に出るが,清水の左ストレート,右フック,ボディへの左ストレートで後退する。突っ込んでくるところに右フックが決まり,バランスを崩したイは前に落ちてダウン(カウント8)。
 4回,イは構わず攻め込むが,右ジャブ,フック,左ストレートからボディに再三左アッパーを打ち込まれる。グロッギーのイはスリップダウンを繰り返した。今にも崩れ落ちそうになりながらも粘るが,決着は時間の問題となった。
 5回,もはやイには反撃の力がない。ワンサイドでプレスをかける清水。手負いのイが右を振ったところに清水の左アッパーが刺さる。このカウンターでボディを抉られたイはその場にうずくまってしまう。カウントの途中でタオルが投入され,ここで試合がストップした。

 ロンドン五輪のバンタム級で銅メダルに輝いた清水が圧勝でデビュー戦を飾った。このクラスとしては破格の長身である。アップライトスタイルから長いリーチを生かした右ジャブ,フック,カウンターの左ストレート,ボディへの左アッパーを繰り出す。どこから手が出るのかわからない変則的なサウスポーで,手数の多さが強みである。その反面,上体が立っているので,どうしても腰高になってしまうのが気になるところ。パワーがある相手に低い姿勢から潜り込まれたときの対応が課題だろう。動きにスピードがなく,体の硬さが感じられる。30歳でのデビューというのは特に軽量級ではかなり遅いスタートであるが,どのようなプロデュースが行われるのかも注目したい。
 イは現役の韓国王者。左右フックを得意とする右ファイタータイプ。接近戦での打ち合いに持ち込もうとしていたが,清水の右ジャブ,フックからの左ストレートを再三受けてダメージを負った。ボディに打たれた左アッパーも相当効いたようで,4回に入ると立っているのがやっとという状態になった。

     主審:ビニー・マーチン,副審:吉田和敏&杉山利夫&安部和夫
     ○清水:1戦1勝(1KO)       30歳     身長:179cm
     ●イ:6戦3勝(1KO)3敗     24歳     身長:172cm
     放送:フジテレビ     解説:具志堅用高     ゲスト:村田諒太     実況:木村拓也

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                     2016年9月4日(日)    スカイアリーナ座間
                              10回戦
                 WBC世界S・フライ級4位         比国S・フライ級(ノーランク)
                ○   井上拓真    判 定    フローイラン・サルダール   ●
                              (大橋) 116 3/4 lbs                    (比国) 115 1/2 lbs
                WBA7位,IBF13位,WBOバンタム級12位

 開始早々から思い切ったパンチの応酬になった。サルダールの鮮やかなワンツーがアゴを捉え,井上は呆気なく尻餅をつく(カウント9)。不適な笑みを浮かべながら思い切ったワンツー,ボディへの右ストレートで優位に立つサルダール。
 不覚のダウンを喫した井上が3回に入ってリズムを取り戻した。左アッパーのボディブロー,右フックでプレスをかける井上に対し,サルダールの手数が減った。
 5回,井上は左右のボディ連打から左アッパーをアゴに決めてサルダールをのけぞらせた。動きのある本来のボクシングが出る井上。左右フック,右ストレートの連打が回転し,サルダールをロープに詰める。
 8回,ロングレンジからサルダールの右ストレートが飛んでくるが,逆に井上が放った右フックのカウンターが決まる。終盤,ロープに下がったところに井上の右ストレートがヒットし,サルダールは前に落ちてダウン(カウント8)。
 9回にも井上がダウンを奪った。ロープに詰まったところに左フックがヒットし,サルダールは左グラブをついてダウンを取られる(カウント8)。
 10回,井上は右フックのボディブローから左フックを顔面にヒット。サルダールには疲れが見える。

 初回のダウンを跳ね返した井上が終盤に2度倒し返して大差の判定勝ち。動きに硬さが見られたところにワンツーを打ち込まれ,開始早々に不覚のダウンを喫した。以降は落ち着きを取り戻し,手数でポイントを重ねた。しかし,左ジャブが少なく,力が入ったパンチが目立った。世界に打って出るためにはもう少しきめ細かい試合運びが必要だろう。動きを生かした攻め方を忘れてはいけない。
 サルダールは右ボクサーファイター。フットワークを使って左右に動きながら右ストレート,左右フックを思い切り振ってくる。初回にダウンを奪ったワンツーは踏み込みもタイミングも抜群。中盤からボディを打たれて足が止まり,手数も減った。しかし,右ストレートの威力は最後まで衰えなかった。

採点結果 井上 サルダール
主審:福地勇治 *** ***
副審:安部和夫 97 90
副審:ビニー・マーチン 97 90
副審:吉田和敏 96 91
参考:MAOMIE 97 90


     ○井上:8戦8勝(2KO)                  20歳     身長:160cm
     ●サルダール:26戦23勝(14KO)2敗1分     27歳     身長:165cm     リーチ:178cm

     放送:フジテレビ
     解説:具志堅用高&川島郭志     ゲスト:八重樫 東
     実況:立本信吾

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                      2016年9月4日(日)    スカイアリーナ座間
                                 8回戦
                日本ウェルター級(ノーランク)   T   K   O  インドネシア ウェルター級(ノーランク)
                ○   井上浩樹    2回1分20秒    ヘリ・アンドリヤント   ●
                              (大橋) 143 1/4 lbs                       (インドネシア) 141 3/4 lbs
                       いのうえ・こうき

 左の井上,右のアンドリヤント。初回,井上がじりじりと前に出て右ジャブ,左ストレートでプレスをかける。井上はさらに左アッパーを打ち,早くも優位に立った。
 2回,呆気なく勝負が決まった。下がっては不利と見たか,アンドリヤントが前に出る。しかし,井上のスピーディなパンチで押し返される。井上の右アッパー,左ストレートに次ぐ右フックという目にもとまらぬコンビネーションブローが火を噴き,アンドリヤントは青コーナーで腰から落ちてダウン。立ち上がったが,戦意を失ったような表情を見せる。杉山主審はカウントの途中で試合をストップした。

 井上尚弥・拓真兄弟の従弟・浩樹が強打を炸裂させてアンドリヤントを一蹴した。サウスポーのボクサーファイターでシャープな右ジャブ,フック,左ストレートが出る。パンチの出方が非常にスムーズなのが強みであり,強打者にありがちな力みが見られない。中量級は世界的に層が厚いのでプロデュースが難しいが,大事に育てて欲しい逸材。
 アンドリヤントは右ボクサーファイターで右ストレートを得意としている。本来なら前に出て打ち合いたいところだったが,井上のプレスに負け,いいところなく敗れた。

     主審:杉山利夫,副審:福地勇治&安部和夫&ビニー・マーチン
     ○井上:5戦5勝(4KO)                     24歳     身長:177cm
     ●アンドリヤント:47戦22勝(10KO)23敗2分     29歳     身長:170cm
     放送:YOUTUBE     解説:なし     実況:なし

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               2016年9月9日(金)    ロシア モスクワ : Krylia Sovetov
                       IBF世界スーパーライト級タイトルマッチ12回戦
                     チャンピオン       T   K   O  挑戦者(同級3位)
           ○   エドュアルド・トロヤノフスキー   2回1分35秒   小原佳太   ●
                            (ロシア) 139 3/4 lbs                            (三迫) 139 lbs

 初回,ともに左ジャブで探り合いながらのスタート。しかし,程なくトロヤノフスキーがプレスをかけて前に出る。トロヤノフスキーは左ジャブ,右ストレートで小原をロープに追う。小原は慎重にならざるを得なくなる。トロヤノフスキーの左フックがヒットするが,2分過ぎ,逆に小原の右ストレートでトロヤノフスキーがわずかにバランスを崩す。
 2回,試合は呆気なく決着がついた。小原の左ジャブ,ワンツーをブロックしながらプレスを強める。テンプルに右フックを受けた小原の足元が乱れたのを見逃さず,トロヤノフスキーが一気に襲いかかる。左右フックの追撃を受けて足をよろめかせながらロープに詰まる小原。ここで右アッパーを打ち込まれた小原はロープの間からリング下に転落。トロヤノフスキーはこれで勝ったとばかりにバク転を決めて喜びを爆発させるが,小原がリングに戻って試合再開となる。しかし,再びトロヤノフスキーが右ストレートで襲いかかる。小原が左右フック,右ストレートでロープを背にのけぞったところでオルテガ主審が試合をストップした。

 敵地モスクワに乗り込んだ小原だが,強打を浴びてわずか2回で散った。上背でもリーチでも上回る小原はもう少し左ジャブを多用するべきだったが,意外なほど簡単に入らせてしまった。敵地での世界挑戦という重圧に呑まれてしまったという印象が強い。初回にいい右ストレートをヒットしたが,それ以外は主導権を握れなかった。
 トロヤノフスキーは全勝で2度目の防衛を飾った。右ボクサーファイターで右ストレート,左フックに威力があり,チャンスのときの一気の攻勢も相手にとって脅威である。小原の左ジャブ,ワンツーを巧みにブロックし,プレスをかけて自分のペースに引きずり込んだ。

1回までの採点 トロヤノフスキー 小原
主審:マイク・オルテガ(米国) *** ***
副審:クリス・フローレス(米国) 10
副審:バレリー・ドーセット(米国) 10
副審:ロク・ガルシア(コロンビア) 10
参考:MAOMIE 10


     ○トロヤノフスキー:25戦25勝(22KO)     36歳     身長:173cm     リーチ:175cm
     ●小原:19戦16勝(15KO)2敗1分       29歳     身長:178cm     リーチ:184cm

     放送:フジテレビ
     ゲスト:村田諒太
     実況:立本信吾

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                      2016年9月10日(土)    後楽園ホール
                       日本スーパーフェザー級タイトルマッチ10回戦
                     チャンピオン    T   K   O   挑戦者(同級1位)
                ○   尾川堅一   10回3分03秒   松下拳斗   ●
                            (帝拳) 129 3/4 lbs                     (千里馬神戸) 129 3/4 lbs
                WBC12位,WBO13位,IBF8位

 開始ゴングと同時にいきなり右ストレートを振って襲いかかる尾川。松下は一瞬面食らうが,左ガードを下げた構えから左フックを狙う。
 序盤は松下がベテランらしい試合運びでリードした。前に出る尾川に対し,距離を取って右に回りながら右ストレートをボディに打つ松下。尾川はやや手数が少ない。3回,松下は出バナに左ジャブ,右ストレートを当てる。松下はパンチをヒットしてすぐに離れ,左ジャブを出す。一方の尾川は力みが目立ち,左フックを振るが空を切る。
 4回,尾川は松下をロープに詰めてボディに右ストレートを打つ。この回は尾川が確実にプレスをかけた。松下は左目上をカット(尾川の有効打)。5・6回は逆に松下が老獪さで上回った。程良い間合いを保ちながら,出バナにパンチを浴びせる。パンチの引き際を打たれている尾川。
 しかし,それ以降は尾川がパンチ力の差を生かして徐々にプレスをかけた。7回,松下は右目上をカット(尾川の有効打による傷)。8回,尾川が打ち下ろした右ストレートがアゴに決まる。松下を赤コーナーあるいはロープ際に詰めた尾川は右ストレート,左フック,左右のボディブローで攻勢。松下もフェイントをかけて左フック,右ストレートを振る。しかし,終盤,尾川が左フックのヒットから青コーナーに詰めて攻勢。松下には疲れが見える。
 10回,松下が右目上をカットして一時中断。尾川は右ストレートを決め,ロープに詰める。クリンチでブレイクがかかったところに尾川の左フックが当たってしまい,松下にはダメージ回復のための休憩が与えられた。終了10秒前の拍子木とほぼ同時に尾川の左フックが決まり,松下は腰から落ちてダウン。立ち上がったが,朦朧としており,染谷主審が試合をストップした。

 尾川は2度目の防衛に成功。老獪な松下に手を焼いたが,中盤以降にパンチ力の差を生かして徐々に主導権を握った。序盤に苦戦した原因は左ジャブが出ず,力みが先行したため。そのため,松下に出バナを叩かれたものである。強打とスピードは自他ともに認めるところなので,とにかく左ジャブを忘れないことが肝心。主武器の右ストレートを生かすためにも導火線となる左ジャブが欠かせない。そうすれば,ボディブローもさらに攻撃の厚みを増すための役割を果たすはず。力みが出て手数が減れば,世界レベルのうまい相手は必ずそこを突いてくる。
 本名の玉越強平から改名した松下は,この試合が51戦目という大ベテランである。これが実に6度目のタイトル挑戦だったが,善戦空しく尾川の強打に屈した。前半は老獪さを存分に披露して尾川を苦しめた。左右にフットワークを使いながら放つ左ジャブ,フックあるいはロングレンジからの右ストレートを得意としている。さすがにキャリアの豊富なところを見せた。

9回までの採点 尾川 松下
主審:染谷路朗 *** ***
副審:中村勝彦 87 84
副審:ウクリッド・サラサス 87 85
副審:安部和夫 86 85
参考:MAOMIE 86 85


     ○尾川:20戦19勝(16KO)1敗         28歳     身長:173cm
     ●松下:51戦34勝(13KO)10敗7分     35歳     身長:174cm

     放送:G+
     解説:飯田覚士&セレス小林
     実況:山本紘之

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                      2016年9月10日(土)    後楽園ホール
                                 8回戦
                 WBA世界S・フライ級5位   T   K  O  タイ国S・フライ級(ノーランク)
                ○   五十嵐俊幸   2回0分43秒   デヌア・シスヨー   ●
                                (帝拳) 114 lbs                          (タイ) 113 lbs
             WBCフライ級9位,WBO S・フライ級5位,IBF S・フライ級10位

 左の五十嵐,右のデヌア。初回,デヌアはぎこちない左右フックを連打する。五十嵐は冷静に右ジャブから前に出る。1分過ぎ,左ストレートでデヌアの腰が落ちる。左アッパーに次ぐ左ストレートがタイミングよく決まり,デヌアは腰から落ちてダウン(カウント8)。
 インターバル中に笑顔でセコンドと会話する余裕を見せた五十嵐が2回に試合を決めた。右のフェイントから打ち込んだ左フックがテンプルを直撃。この一発を食ったデヌアは腰から落ちてダウン。朦朧としており,葛城主審はカウントの途中で試合をストップした。

 五十嵐が3年ぶりのTKO勝ち。格下相手とはいえ,体の動きにもパンチにもスピードと切れがあった。冴えない試合が続いていたが,これで吹っ切れるのではないかというくらいの快勝。フィニッシュの左フックは右のフェイントから踏み込んで放った一発。威力十分の左フックでデヌアを沈めた。
 デヌアは右ファイタータイプ。動きがぎこちなく,積極的に繰り出す左右フックは打ち方が良くない。拙戦が続く五十嵐が自信を取り戻すためには適した相手ではある。

     主審:葛城明彦,副審:飯田徹也&安部和夫&染谷路朗
     ○五十嵐:27戦23勝(12KO)2敗2分     32歳     身長:166cm     リーチ:169cm
     ●デヌア:16戦10勝(2KO)5敗1分       19歳     身長:163cm
     放送:G+     解説:飯田覚士&セレス小林     実況:中野謙吾

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            2016年9月10日(土)    米国カリフォルニア州 : イングルウッド・フォーラム
                     WBC世界スーパーフライ級タイトルマッチ12回戦
                     挑戦者(同級1位)            チャンピオン
                ○   ローマン・ゴンザレス   判 定   カルロス・クアドラス   ●
                              (ニカラグア=帝拳) 114 1/2 lbs             (メキシコ=帝拳) 114 3/4 lbs

 初回,クアドラスは左に回って自分の距離を保ちながら左ジャブ,右ストレート,左アッパーを放つ。ゴンザレスは距離を詰めて左右アッパーのボディブローを狙う。
 2回に入るとゴンザレスがプレスを強めた。どんどん追い詰めて左フック,アッパーを上下に散らし,右ストレートをかぶせる。4回,ゴンザレスを迎え撃ったクアドラスは速射砲のような左右アッパーを連打。しかし,ゴンザレスは走り寄るようにプレスをかけ,左右アッパー,右ストレート。ゴンザレスの左フックがヒットする。
 6回終了間際,クアドラスの左右フックが回転する。ゴンザレスは右目上をカット(クアドラスの有効打による傷)。7回前半はクアドラスの左ジャブがよくヒットし,珍しくゴンザレスが鼻から出血する。しかし,2分過ぎからゴンザレスがプレスを強め,上下への左右アッパー,右ストレートで追い上げた。クアドラスはボディが効いている。8回は逆にゴンザレスのプレスが弱くなり,パンチの正確さが落ちた。クアドラスは元気が出たのか,左右に足がよく動き,ゴンザレスの出バナに左右アッパーを浴びせる。クアドラスの左フックがヒット。
 一進一退という展開が続いたが,終盤はゴンザレスのプレスが勝った。9回,ゴンザレスの表情に疲労の色が見えるが,プレスはかけ続ける。クアドラスも動きながらスピーディなコンビネーションブローが出る。ゴンザレスは右目下をカット(クアドラスの有効打による傷)するが,左右アッパー,右ストレートで上回る。
 10回,ゴンザレスは両目の下を腫らして疲労もピークに達しているが,上下への打ち分けを見せる。12回,3分間ノンストップで攻めまくるゴンザレス。疲労でパンチが流れるが,手数で上回る。クアドラスも打ち返すが,ナックルパートが当たっていない。

 激しい打撃戦の末,無敗のクアドラスを破ったゴンザレスが4階級制覇を達成した。相手の逃げ道を塞ぐような独特のフットワークで迫り,クアドラスに打ち勝った。体格面では不利だったが,上下に間断なく打ち分ける左右アッパー,右ストレートは圧巻。体幹がしっかりしていてバランスが崩れないため,強いパンチを連続して打てることが最大の強み。その反面,被弾も多く,後半にペースダウンするなど,歴戦の疲れも垣間見えた。
 クアドラスは7度目の防衛に失敗。スピーディなフットワークと左ジャブ,隙を突くようにまとめる連打でゴンザレスを苦しめた。右ボクサーファイターでスピードを身上とするテクニシャンである。ラウンドの終盤に攻勢に出るなど,ポイントの取り方を熟知している。ゴンザレスの出バナにタイミングよく左ジャブをヒットして前進を止めていたが,あれがなければ一方的に押されていただろう。

採点結果 ゴンザレス クアドラス
主審:トム・テイラー(米国) *** ***
副審:マキシモ・デ・ルカ(米国) 116 112
副審:ロバート・ヘッコ(米国) 115 113
副審:キャシー・レナード(米国) 117 111
参考:MAOMIE 116 112


     ○ゴンザレス:46戦46勝(38KO)          29歳     身長:160cm     リーチ:163cm
     ●クアドラス:37戦35勝(27KO)1敗1分     28歳     身長:163cm     リーチ:168cm

     放送:WOWOW
     解説:ジョー小泉&西岡利晃     ゲスト:村田諒太
     実況:高柳謙一     アシスタント:吉年愛梨

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         2016年9月10日(土)    米国カリフォルニア州 : イングルウッド・フォーラム
                                10回戦
               WBC世界S・ウェルター級27位   T K O   元NABF北米ウェルター級チャンピオン
                ○   亀海喜寛     8回終了     ヘスス・ソト・カラス   ●
                              (帝拳) 153 1/2 lbs                       (メキシコ) 154 1/2 lbs

 初回,カラスは左フック,アッパーを打つが,スピードがない。中盤,ボディに打ち込んだ亀海の左アッパーが効いて後退したカラスはクリンチに逃れ,亀海にしがみついてピンチを凌いだ。ロープに詰めた亀海は右ストレート,ボディへの左アッパーを打ち込む。ボディが効いているカラスは腰が引けている。
 以降も亀海が的確なパンチでカラスに着実にダメージを与えていった。カラスのパンチを巧みなエルボーブロック,ボディワークでかわし,体を密着させて左アッパー,右フックのボディブローを打ち込む。
 7回,右アッパーをボディに打ち込まれたカラスは上体を折り曲げて苦しそうに後退し,亀海にしがみついてピンチを逃れる。ここからがしぶといカラス。亀海に打たれながらも左右フック,ワンツーを返す。
 8回,カラスは食い下がるが,中盤,脇腹に左フックを打ち込まれて再び上体を曲げ,しがみつく。チャンスと見て襲いかかる亀海。ロープを背負ったカラスは小さい右ストレートを打ち込まれ,両膝から崩れ落ちてダウン(カウント9)。足が動かなくなって今にも倒れそうなカラスをロープ際に追い詰め,ワンツー,左フックを浴びせる亀海。もう一歩のところでゴングに救われるカラス。しかし,8回終了後のインターバル中にカラスが棄権を申し入れ,ここで試合がストップした。

 亀海にとっては5ヶ月前に三者三様のドローとなったカラスとの再戦。カラスのパンチを巧みなディフェンス技術でかわしながら前に出て,上下に左右アッパー,右ストレートを浴びせた。特にボディへのパンチはカラスの足を止め,心を折るのに十分。テクニシャンとして本場で十分にアピールできている。しかし,攻撃の手が止まったところにカラスの反撃を許したことは反省点。まともに打たせていないが,ポイントが相手に流れてしまう恐れがある。このクラスで世界挑戦のチャンスを掴むことは困難を極める。ハイレベルな技術を持っているが,攻撃的なところをいかにアピールするかが課題だろう。
 カラスは典型的な右ファイタータイプ。スピードがなく,動きは鈍重だが,非常にタフで打たれた後の回復力の凄さが目立つ。接近して左右フック,アッパーを連打するのが得意の攻撃パターン。しかし,さすがに亀海の強烈なボディ打ちは効いたようだ。

8回までの採点 亀海 カラス
主審:ジャック・レイス(米国) *** ***
副審:ラウル・カイズ・シニア(米国) 78 73
副審:マキシモ・デ・ルカ(米国) 78 73
副審:ロバート・ヘッコ(米国) 79 72
参考:MAOMIE 80 71


     ○亀海:32戦27勝(24KO)3敗2分              33歳     身長:175cm     リーチ:180cm
     ●カラス:44戦28勝(18KO)11敗4分1無効試合     33歳     身長:178cm     リーチ:187cm

     放送:WOWOW
     解説:ジョー小泉&西岡利晃     ゲスト:村田諒太
     実況:高柳謙一     アシスタント:吉年愛梨

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               2016年9月16日(金)    大阪府立体育会館第1競技場
                       WBC世界バンタム級タイトルマッチ12回戦
                     チャンピオン     T   K   O   挑戦者(同級1位)
                ○   山中慎介   7回1分09秒   アンセルモ・モレノ   ●
                               (帝拳) 118 lbs                       (パナマ) 117 3/4 lbs

 左の実力者同士,開始早々から緊迫した展開になった。右ジャブの刺し合いからスタートするが,モレノが右ジャブ,フックで先行する。1分過ぎ,リング中央でモレノのワンツー,右フックが矢継ぎ早に回転し,山中の膝が落ちる。モレノはさらに左ストレートを見舞って優勢に立つ。しかし,2分過ぎ,山中の左ショートフックがヒットし,モレノはロープ際で前に落ちてダウン(カウント8)。ダウンを奪ったのは山中だが,動きが硬くて不安なスタートになった。
 2回,相変わらず動きに硬さがある山中。モレノはじりじりと前に出て右ジャブを出す。3回,ようやく山中の足が動き始め,慎重にモレノの動きを見て右ジャブを突く。終了間際,山中がボディに左ストレートを伸ばす。
 4回,山中は左ストレートからボディに右フックを打つ。リズムが出てくるが,2分過ぎ,右フックが大振りになったところを突かれ,モレノの右フックのカウンターで腰から落ちてダウン(カウント8)。
 依然として緊迫した展開が続くが,6回,リング中央で右ジャブに次ぐ山中の左ストレートがアゴに決まり,腰が砕けたモレノは赤コーナーまでよろけ,腰から落ちてダウン(カウント8)。効いているモレノはクリンチで窮地を凌ぐが,終了間際,再び左ストレートを受けてぐらついた。
 7回,劇的な幕切れ。ダメージでモレノの動きは重い。モレノは右フックのカウンターを狙うが,山中の相打ちの左ストレートからの右フックが決まり,青コーナーで腰から落ちてダウン(カウント9)。辛うじて立ち上がったが,ダメージは明らか。モレノは逆転のカウンターを狙うが,山中はモレノを青コーナーに詰めて左ストレートを打ち下ろして攻勢。再びシャープな左ストレートをアゴに打ち込まれたモレノは青コーナーを背もたれにするように腰から落ちてダウン。これまでと見たビール主審が試合をストップした。

 1年越しの因縁の再戦は前回以上に高度な駆け引きが随所に見られ,充実した試合になった。両者の技術レベル,試合内容から見て2010年代を代表する名勝負として語り継がれるだろう。
 劇的なTKOで宿敵モレノを退けた山中は11度目の防衛に成功。立ち上がりは動きが硬く,正面に立ってモレノのパンチを受けるなど,不安を感じさせた。初回に先制のダウンを奪ったが,最も警戒していたモレノの右フックを受ける位置に留まってしまったことが苦戦の原因。リズムを取り戻しかけたかに見えた4回にはその右フックでダウンを喫した。6回に再びダウンを奪った左ストレートはまさに起死回生の一発だった。以降は左強打で押し切った。やはり足と上体の動きを止めないことが大事。
 再戦でも敗れたモレノだが,間違いなく超一流のテクニシャンである。サウスポースタイルでやや半身に構えて放つロングレンジからの左ストレート,返しの右フックは相手にとって脅威になる。目と勘の良さが光る。広いスタンスから思い切ったカウンターを打つので,KO率以上に威力がある。膝の硬さがあり,打たれたときのダメージを残しやすいことが欠点。

6回までの採点 山中 モレノ
主審:ダニエル・ヴァン・デ・ビール(ベルギー) *** ***
副審:バート・クレメンツ(米国) 56 55
副審:デビッド・サザーランド(米国) 57 55
副審:ニコラス・イダルゴ(ベネズエラ) 57 55
参考:MAOMIE 56 55


     ○山中:28戦26勝(18KO)2分        33歳     身長:171cm     リーチ:175cm
     ●モレノ:42戦36勝(12KO)5敗1分     31歳     身長:168cm     リーチ:177cm

     放送:G+
     解説:飯田覚士&セレス小林
     実況:中野謙吾

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             2016年9月16日(金)    大阪府立体育会館第1競技場
                   WBC世界スーパーバンタム級タイトルマッチ12回戦
                    挑戦者(同級4位)  T K O    チャンピオン
                ○   長谷川穂積   9回終了   ウーゴ・ルイス   ●
                                 (真正) 122 lbs                  (メキシコ) 122 lbs

 右のルイス,左の長谷川。長谷川の体,パンチに切れ,スピードがあり,好調な滑り出しを見せた。長谷川は左フック,ストレートを上下に見舞う。バッティングでルイスが眉間をカットし,一時中断。WBCルールにより,長谷川が減点1を課せられた。
 しかし,長谷川の優位は動かない。右ジャブで牽制し,いきなり左フックを顔面にヒットする。ルイスはバッティングで再び眉間から出血。カウンターを狙っているのか,ルイスは左ジャブで牽制するだけで手数が出ない。
 5回,長谷川が回り込むところにルイスの右ストレートが決まる。左右フックで猛然と攻勢に出るルイス。ロープを背にした長谷川も猛然と打ち返して激しい応酬になった。ルイスは眉間と鼻からの出血が増す。
 6回,ルイスは前に出て右ストレートからボディに左右フックを連打。長谷川は右ジャブで牽制しながら左フックを顔面に,左ストレートを打ち込む。終了間際にはルイスをロープに詰めて攻勢。
 7回,角度を変えながら上下に左フック,ストレートを打つ長谷川。終盤,長谷川はバッティングで左目上をカット。7回終了後にこの傷はルイスの有効打によるものとアナウンスされたが,モニターを確認後にバッティングによる傷との訂正があり,WBCルールによってルイスに減点1が課せられた。これにより,8回開始のゴングが遅れるというハプニングがあった。
 8回,前の回の減点によって採点を意識したのか,打ち気に出るルイス。長谷川は左目上の傷でドクターチェックを受ける。ルイスは右ストレート,左右フックを振るが,パンチが大きい。
 9回中盤,ルイスの左アッパーをアゴに受けた長谷川は足元が乱れて後退。チャンスと見たルイスは左右フックで攻勢。これに反応した長谷川がロープを背にして猛然と打ち返し,両者の意地と意地が火を噴くような激しい打ち合いになった。激しい反撃にルイスがぐらつく。ここが勝負所と見た長谷川は左ストレートをボディ,顔面に打ち込んで前に出る。顔面を鮮血に染め,右目下を青黒く腫れ上がらせたルイスは弱気な表情を浮かべて後退する。9回終了後のインターバル中にルイスが棄権を申し入れ,ここで試合がストップされた。

 激戦を制した長谷川がTKOで王座を獲得し,3階級制覇を達成した。全盛期にも劣らない体の切れ,パンチのスピードがあり,自信に満ちた戦いぶりが目立った。常に右ジャブで牽制しながら間合いを測り,角度を変えた左フック,ストレートを上下に見舞った。この左がルイスの警戒心を強め,前に出させなかったことが大きい。
 ルイスは初防衛に失敗。右ストレート,左フックに威力がある長身の右ボクサーファイター。恵まれた上背,リーチを生かしたパンチで長谷川を脅かせたが,左フック,ストレートを上下に浴び続けて出血を増すなどダメージを蓄積させた。長谷川の動きが予想以上に良かったことは誤算だったはず。9回に左アッパーで長谷川をぐらつかせたが,逆に倍返しの反撃に遭い,心が折れたという印象が強い。

9回までの採点 長谷川 ルイス
主審:エクトル・アフー(パナマ) *** ***
副審:バート・クレメンツ(米国) 87 82
副審:デビッド・サザーランド(米国) 85 84
副審:ニコラス・イダルゴ(ベネズエラ) 84 85
参考:MAOMIE 87 82


     ○長谷川:41戦36勝(16KO)5敗     35歳     身長:168cm     リーチ:171cm
     ●ルイス:40戦36勝(32KO)4敗      29歳     身長:176cm     リーチ:179cm

     放送:G+
     解説:浜田剛史&飯田覚士
     実況:上重 聡

※ 初回,WBCルールにより長谷川は減点1 = 偶然のバッティングで一方の選手が負傷した場合,負傷していない他方の選手に減点1を課す。
※ 
7回,WBCルールにより1ルイスは減点1 = 偶然のバッティングで一方の選手が負傷した場合,負傷していない他方の選手に減点1を課す。

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                    2016年9月19日(月)    フードパル熊本
                2016年・中日本・西部日本新人王対抗戦(バンタム級)
                               4回戦
                 中日本バンタム級新人王  T   K  O  西部日本バンタム級新人王
               ○   中村祐斗    1回1分54秒    松ケ野貴志   ●
                             (市野) 118 lbs                         (橋口) 117 1/2 lbs
                    中村祐斗=なかむら・ゆうと       松ケ野貴志=まつがの・たかし

 初回開始早々,強打者同士による激しい左フック,右ストレートの応酬になった。良く見て冷静に打っているのは中村。ガードが下がって被弾した松ケ野はぐらついて上体が揺らぐ。打ち合いの中で中村が放った左フックがカウンターになり,松ケ野は腰から落ちてダウン(カウント8)。野田主審に促されてファイティングポーズを取る松ケ野。しかし,中村のワンツーの連打による追撃があり,ここで野田主審が割って入り,2度目のダウンでストップされた。

 高いKO率を誇る者同士の対戦だったが,スリリングな展開の末に早々の決着になった。
 中村は右ボクサーファイターで右ストレート,左フックにパンチ力がある。大振りせず,冷静に相手の動きを見て的確にヒットを奪う。連打の回転力もあり,浮足立った松ケ野を一気に攻め落とした。
 上背で勝る松ケ野だが,ガードが下がるのが欠点。打ち合いに出たところを逆に打ち込まれた。右ストレートにパンチ力があるが,回転力のある中村に屈した。

     主審:野田昌宏,副審:3名不明
     ○中村:8戦6勝(5KO)2敗1分       19歳
     ●松ケ野:6戦3勝(3KO)1敗2分     24歳
     放送:G+     解説:飯田覚士     実況:平松修造

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                     2016年9月19日(月)    フードパル熊本
                 2016年・中日本・西部日本新人王対抗戦(ライト級)
                               4回戦
                 西部日本ライト級新人王  K      O  中日本ライト級新人王
               ○   小田翔夢    2回0分35秒   ミゲル・オカンポ  ●
                           (琉球) 134 1/4 lbs                       (緑) 134 1/2 lbs
                  小田翔夢=おだ・しょうむ

 右の小田,左のオカンポ。初回,オカンポのタイミングの良い左ストレートで小田の腰が落ちる。しかし,攻め込んだところに小田の右アッパーが決まり,腰から落ちたオカンポは仰向けにダウン(カウント8)。終了間際,小田の右ストレートでぐらついたオカンポはセコンドに支えられながら青コーナーに戻る。
 2回,打ち合いになるが,オカンポのガードが空いて危ない場面が続く。小田の右ストレートでぐらついてロープに詰まるオカンポ。攻勢に出る小田。最後は右ストレートでオカンポが腰から落ちてダウン。カウントの途中でタオルが投入された。

 正面からの打ち合いになったが,小田が強打を爆発させた。黒人とのハーフで右ファイタータイプ。左フック,右ストレートに威力があり,ここに右アッパーを入れてくる。スピードはないが,手数が良く出て冷静に打っているのが長所。
 比国出身のオカンポはサウスポーのボクサーファイター。開始早々にタインミングの良い左ストレートをヒットしたが,ガードが開いてアゴが空いたところを突かれた。

     主審:不明,副審:3名不明
     ○小田:3戦3勝(3KO)          17歳     身長:172cm
     ●オカンポ:4戦3勝(1KO)1敗     29歳
     放送:G+     解説:飯田覚士     実況:平松修造

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                     2016年9月19日(月)    フードパル熊本
                 2016年・中日本・西部日本新人王対抗戦(スーパーライト級)
                                4回戦
                西部日本S・ライト級新人王   T   K  O   中日本S・ライト級新人王
               ○   吉開右京     2回0分51秒     斉木新悟   ●
                             (島袋) 139 1/2 lbs                         (コパン星野) 139 3/4 lbs
                    吉開右京=よしがい・うきょう

 左の吉開,右の斉木。初回,吉開は小刻みな右ジャブで牽制しながら左ストレート,右フック。斉木はガードを固め,上体を振りながら右ストレートを放つ。後半は右にスイッチして戦う。
 2回,吉開は再びサウスポースタイルに戻す。タイミングのいい右フックがカウンターになり,斉木の膝が落ちる。吉開はさらに左ストレートを浴びせる。ここで斉木の右ストレートで吉開がロープに詰まる。吉開はバランスを崩してスリップダウンするが,返した左フックがまともにアゴを捉えれば,斉木はたまらず大の字。上体を起こして立ち上がりかけたが,朦朧としたままカウントアウトされた。キャンバスに沈んだ斉木はしばらく立ち上がれないほどのダメージを負っていた。

 両者ともに勝ち星がすべてKOというハードパンチャー同士の対戦。スリリングな展開になったが,吉開がカウンター一発で斉木を沈めた。
 吉開はサウスポーのボクサーファイターで左ストレート,右フックに切れがある。バランスの良さが特徴で,冷静かつコンパクトに振るところが長所。小刻みな足の動きでリズムを取り,軽い右ジャブで牽制しながらパンチを放つ。右にスイッチすることが多く,試合を決めた左フックのカウンターも左から右にスイッチして放ったもの。右でも左でも倒せるパンチ力がある。
 斉木は右ボクサーファイター。右ストレートが武器で,戦績が示すようにこちらも一発で倒す威力がある。しかし,冷静でリラックスして戦っていた吉開に対し,緊張のためか硬さが見られた。

     主審:野田昌宏,副審:3名不明
     ○吉開:3戦3勝(3KO)        19歳     身長:173cm
     ●斉木:7戦5勝(5KO)2敗     34歳
     放送:G+     解説:飯田覚士     実況:平松修造

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           2016年9月24日(土)    英国マンチェスター : マンチェスター・アリーナ
                      WBA・WBC世界ライト級王座統一戦12回戦
                     WBCチャンピオン          WBAチャンピオン
                ○   ホルヘ・リナレス   判 定   アンソニー・クロラ   ●
                                (帝拳) 134 lbs                  (英国) 134 1/4 lbs

 クロラは序盤からじりじりと前に出るが,気合い十分のリナレスは左右に動きながら左ジャブを多用し,ブロックの上から左右アッパーでボディを叩く。4回,リナレスの左アッパーがローブローとされて一時中断する場面があった。
 5回,リナレスは右ストレートからボディに左アッパーを打ち込む。これは効いたが,クロラは構わずプレスをかけ続け,左右フックをボディに打つ。
 6回は明白にリナレスのラウンド。右フックをテンプルに受けて怯んだクロラは右ストレートで足がもつれてロープに詰まる。リナレスはワンツー,左右フックで攻勢。
 逆に7回はクロラが押えた。リナレスはカウンターを狙って誘うようにロープに下がる。クロラは右ストレート,ボディへの左右フック。リナレスはブロックしているが,見栄えが悪い。
 9回以降はクロラの攻勢が目立った。リナレスは先に手を出したいが,クロラはしぶとく打ち返す。12回,リナレスは先に手を出し,右ストレート,上下への左アッパーを浴びせる。クロラも食い下がるが,疲れが見える。リナレスは高速の左右アッパーを連打で迫る。

 完全アウェイのマンチェスターに乗り込んだリナレスが接戦をモノにして統一王者に輝いた。スピーディな左ジャブから右ストレート,ボディへの左右アッパーは圧巻。有効打で上回ったことが勝因。その反面,左ジャブが止まり,カウンター狙いになって手数が減る場面が見られ,クロラにポイントが流れたラウンドがあった。やはり常に先手で攻めることが大事。
 クロラは右ファイタータイプ。地元の熱狂的な声援を受け,前に出続けた。左右フックを上下に連打するのが得意の攻撃パターン。やはり全般を通じてリナレスの有効打を許したことが敗因。接戦に強く,打たれると必ず打ち返すしぶとさがある。

採点結果 リナレス クロラ
主審:テリー・オコーナー(英国) *** ***
副審:フェルナンド・バルボサ(米国) 115 113
副審:ジョン・キーン(英国) 115 114
副審:ギジェルモ・ペレス・ピネダ(パナマ) 117 111
参考:MAOMIE 116 112


     ○リナレス:44戦41勝(27KO)3敗        31歳     身長:173cm     リーチ:175cm
     ●クロラ:39戦31勝(13KO)5敗3分     29歳     身長:174cm     リーチ:170cm

     放送:WOWOW
     解説:ジョー小泉&浜田剛史     ゲスト:山中慎介
     実況:高柳謙一     アシスタント:吉年愛梨

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