熱戦譜〜2014年10月の試合から


MENU
MENUのbクリックすると各観戦記にジャンプします

試合日 試合 結果
2014.10.04  日本フライ級
 タイトルマッチ10回戦
 村中 優  TKO8R  阪下優友
2014.10.04 8回戦  塚田祐介  判定  稲垣 孝
2014.10.04 8回戦  清水優人  KO1R  ムハマド・イマム
2014.10.13  日本スーパーフェザー級
 タイトルマッチ10回戦
 内藤律樹  判定  江藤伸悟
2014.10.13 8回戦  坂本英生  TKO5R  椎野大輝
2014.10.13 6回戦  福本祥馬  TKO6R  上川隆顕
2014.10.22  WBC世界バンタム級
 タイトルマッチ12回戦
 山中慎介  判定  スリヤン・ソールンビサイ
2014.10.30  東洋太平洋ミニマム級
 タイトルマッチ12回戦
 田中恒成  TKO10R  原 隆二

ホームページのトップに戻る     熱戦譜のトップに戻る     ← 2014年9月に戻る     2014年11月に進む →


                   2014年10月4日(土)    後楽園ホール
                       日本フライ級タイトルマッチ10回戦
                     チャンピオン    T   K  O  挑戦者(同級11位)
                ○   村中 優   8回2分42秒   阪下優友   ●
                            (フラッシュ赤羽) 112 lbs                  (角海老宝石) 112 lbs
                    村中 優=むらなか・すぐる        阪下優友=さかした・ゆうすけ
                WBA8位,WBC5位,WBO6位,IBF5位

 初回,若い阪下が積極的に攻めた。左に回って左ジャブ,右ストレート,左アッパーでリードする。村中も前に出るが,この回は阪下が押さえた。両者ともにスピードがあり,キビキビとした動きで好ファイトを予感させる立ち上がりとなった。
 しかし,2回に入ると村中がプレスをかけ始めた。左フック,アッパーを上下に連打し,右フックをフォローして追い上げる。阪下も負けじと応戦するが,徐々に押し込まれる場面が多くなった。
 4回,阪下は棒立ちになり,顔面への被弾が目立ち始めた。5回,阪下はワンツーの連打で前に出るが,決定打にはつながらない。
 6・7回,上下への左右フック,アッパーでプレスを強める村中。
 8回,村中が試合を決めた。中盤からボディに左右アッパーを集めて前に出る村中。阪下は良く頑張るが,村中の右フック一閃。これがまともにアゴに炸裂し,阪下は仰向けに沈む。土屋主審は躊躇わずにノーカウントで試合をストップした。

 村中が豪快なワンパンチTKOで2度目の防衛に成功した。右ボクサーファイターで,ガードを固めながら前に出て上下に打ち分ける左右フック,アッパーを得意としている。相手の動きを冷静に見極めてボディからアゴに連打する左アッパー,フックに優れたものがある。そこにフォローする右フックも鋭い。最近は珍しくなった玄人好みのテクニシャンであり,ポイントの取り方を知り尽くしていることが強味。連打で攻め落とす試合運びが身上だが,試合を決めた右フックの破壊力は見事だった。これは左で軽くフェイントをかけ,体を一瞬沈めたところから踏み込んで放った肩越しの右フックである。直前にボディにパンチを集めて阪下の注意を下に引きつけておいたことが伏線となっており,偶然のパンチではない。世界上位にランクされており,実力的にもぜひ挑戦して欲しいボクサーの一人である。
 初挑戦の阪下は圧倒的不利の予想を覆す健闘を見せた。右ボクサータイプでフットワークに乗せた左ジャブ,右ストレートを得意としている。この左ジャブを多用し,ワンツーを放って果敢に攻めた。手数で村中を苦しめたが,さすがに地力の差が出た。ランキング下位だが,これから上位に進出できる可能性を秘めている。敗れはしたが,立派な戦いぶりで賞賛に値する。今後のキャリアを考えれば,実力者・村中を相手にあれだけの善戦を見せたことは大きな糧になるだろう。捲土重来を期し,上位を目指して欲しい。

7回までの採点 村中 阪下
主審:土屋末広 *** ***
副審:中村勝彦 68 65
副審:福地勇治 67 66
副審:安部和夫 68 65
参考:MAOMIE 69 64


     ○村中:24戦21勝(7KO)2敗1分   29歳   身長:163cm
     ●阪下:19戦12勝(7KO)5敗2分   23歳   身長:167cm

     放送:G+
     解説:浜田剛史&セレス小林
     実況:佐藤義朗

このページのトップに戻る


                   2014年10月4日(土)    後楽園ホール
                             8回戦
                    日本ライト級8位       日本ライト級(ノーランク)
                ○   塚田祐介   判 定   稲垣 孝   ●
                          (吉祥寺鉄拳8) 134 3/4 lbs           (フラッシュ赤羽) 135 lbs

 初回,気合い十分の表情で距離を潰していく稲垣。中盤,右ストレートがヒット。塚田は左ジャブで突き放したいが,それができていない。
 2回も稲垣の優位が続く。左フック,右ストレートが決まる。押し込まれた塚田は再三右フックをもらい,顔面が紅潮する。
 ここまでは完全に稲垣のペースで進んだが,3回に入ると塚田がリズムを取り戻した。距離を取って左ジャブ,右ストレートからボディへの左アッパーを多用すると,稲垣の手が出なくなる。これ以降は終始塚田がリードした。先に手を出す塚田に対し,稲垣は後手に回る場面が目立つ。
 4回,軽く動きながら左ジャブ,フックからボディに左アッパーを見舞う塚田。左ジャブが邪魔で,稲垣は中に入れない。
 6回,塚田の左ジャブで大きくのけぞる稲垣。ボディが効いているのか,ホールディングが多くなり,バランスを崩す場面が多くなった。
 7回,両者ともに左目上をカットし,相次いでドクターチェックを受けるために中断(塚田はバッティング,稲垣は塚田の有効打による傷)。長いリーチを生かした塚田の左ジャブが冴えを増す。8回,稲垣は逆転を狙って左右フックで迫る。しかし,打ち疲れか,思うようにパンチが出ない。逆に余裕があるのは塚田。動きながら左ジャブを浴びせ,終了間際には右ストレートをヒットした。

 現役ランカーの塚田が元トップコンテンダーの稲垣を破った。序盤こそリードされたが,3回以降は持ち味のアウトボクシングで稲垣を翻弄しており,快勝と言える。長身の右ボクサータイプ。軽く動きながら放つ左ジャブ,右ストレートがタイミング良く伸びる。稲垣の前進を左ジャブでストップし,ボディにも左アッパーを見舞った。常に先にパンチを出し,積極的に攻めたことが奏功した。
 稲垣は右ファイタータイプ。主武器は左右フック,右ストレートで,打ち合いを身上としている。攻め込む瞬間だけでなく,攻め倦んで待っているところにも左ジャブをもらい,手数が減る悪循環に陥った。闘志が空回りした印象が強い。

採点結果 塚田 稲垣
主審:ビニー・マーチン *** ***
副審:浅尾和信 78 74
副審:安部和夫 78 74
副審:土屋末広 78 74
参考:MAOMIE 78 74


     ○塚田:11戦7勝(3KO)4敗        25歳   身長:181cm
     ●稲垣:31戦17勝(7KO)13敗1分   28歳   身長:176cm

     放送:G+
     解説:浜田剛史&セレス小林
     実況:安藤 翔

このページのトップに戻る


                       2014年10月4日(土)    後楽園ホール
                                  8回戦
                日本S・ウェルター級(ノーランク)   K      O   インドネシア ウェルター級6位
                ○   清水優人     1回1分17秒     ムハマド・イマム   ●
                           (木更津グリーンベイ) 153 lbs                       (インドネシア) 149 3/4 lbs

 前に出るイマムに対し,清水は足を使ってサークリングしながら左ジャブを伸ばす。リング中央,イマムが出ようとした瞬間,清水の右ストレートがアゴに決まる。タイミングの良い一発をもらって崩れ落ちたイマムは大の字に沈む。そのままカウントアウトされ,しばらく立ち上がれなかった。

 右腕の骨折でブランクを作り,1年4ヶ月ぶりの復帰戦をワンパンチKOで飾った。長身から放つ右ストレートを武器とする右ボクサータイプ。左に回りながら距離を取り,左ジャブを伸ばして相手をコントロールした。オーソドックスな試合運びが特徴。KO率は低いが,パンチそのものは非常にシャープ。ただし,待ちのボクシングにならないようにすることが必要。
 イマムは右ボクサーファイター。左フック,右ストレートを得意としているが,スピードは今ひとつ。左フックを振って入ろうとしたところにカウンターを浴びて沈んだ。

     主審:中村勝彦,副審:ビニー・マーチン&福地勇治&浅尾和信
     ○清水:12戦8勝(2KO)2敗2分   26歳   身長:183cm
     ●イマム:15戦9勝(3KO)6敗     27歳   身長:175cm
     放送:G+     解説:なし     実況:辻岡義堂

このページのトップに戻る


                    2014年10月13日(月)    後楽園ホール
                     日本スーパーフェザー級タイトルマッチ10回戦
                     チャンピオン          挑戦者(同級6位)
                ○   内藤律樹   判 定   江藤伸悟   ●
                             (E&Jカシアス) 130 lbs           (白井・具志堅) 129 1/2 lbs

 左の内藤,右の江藤。初回,江藤は左ジャブから上下に右ストレートを見舞って好調な滑り出しを見せる。左フックも決まり,内藤は早くも鼻柱をカットした。
 2回,江藤の右ストレート,カウンターの左フックで内藤の鼻柱からの出血が増すが,中盤からは内藤が作戦を変え,右ジャブを多用し,ワンツーをヒットする。4回には自分のリズムを掴んだ内藤に流れが傾いた。落ち着いて右ジャブを多用し,左ストレートにつなげる。
 5回,内藤は左ストレートのカウンターをヒット。さらに左右フックでボディを攻める。思惑通りに戦っている内藤に対し,江藤は余裕がない。
 7回,江藤は自ら前に出て仕掛ける。2分過ぎ,右フックのヒットから右ストレート,左右フックを叩きつけ,内藤を青コーナーからロープに詰めて攻勢に出る。内藤はウィービング,ダッキングでかわし,まともに打たせてはいないが,この回は江藤が押さえた。
 しかし,試合そのものは終盤も内藤のペースで進む。素早く右に回り込んで江藤の動きを封じ,右フック,左ストレートを浴びせる内藤。スピードの差は歴然だった。
 10回,激しいパンチの応酬になるが,打ち勝っているのは内藤。左ストレート,左右フック,左アッパーを浴びせ,最後までリードを保った。

 内藤がスピードの差を見せつけて2度目の防衛に成功。相変わらずの目と勘の良さが光る。江藤の動きを冷静に見極め,右に回り込みながらタイミングの良いパンチを浴びせた。唯一不満が残るのは,倒し切れなかったこと。まさに詰めの甘さが課題であり,一気にパンチをまとめてストップを呼び込む貪欲さが求められる。それができれば,さらに伸びて一段上のステージに進めるはず。
 江藤は右ボクサーファイター。175cmの長身から放つ右ストレート,左フックに伸びとパンチ力がある。その一方で,体の硬さが欠点。内藤のスピードに翻弄され,自分から攻められなくなったことが敗因。攻撃の単調さを読まれたことが響いた。

採点結果 内藤 江藤
主審:浅尾和信 *** ***
副審:ビニー・マーチン 98 93
副審:土屋末広 98 92
副審:福地勇治 98 93
参考:MAOMIE 98 92


     ○内藤:11戦11勝(5KO)        23歳   身長:173cm
     ●江藤:18戦14勝(9KO)3敗1分   23歳   身長:175cm

     放送:フジテレビNEXT
     解説:川島郭志
     実況:立本信吾

このページのトップに戻る


                       2014年10月13日(月)    後楽園ホール
                                  8回戦
                 日本バンタム級(ノーランク)   T   K   O  WBC世界バンタム級12位
                ○   坂本英生     5回3分00秒     椎野大輝   ●
                                (フジタ) 119 lbs                            (三迫) 119 1/4 lbs
                   坂本英生=さかもと・ひでお             椎野大輝=しいの・ひろき

 初回,左ジャブで様子見の椎野に対し,坂本は距離を取り,左ジャブ,ワンツーで積極的に試合を進めた。
 3回,坂本は鼻から出血を見ながらも積極的に攻める。終盤,相打ちの右ストレートがカウンター気味に決まり,坂本は腰から落ちてダウン(カウント8)。両者がほぼ同時に倒れるダブルノックダウンだったが,椎野の方はスリップダウンとされた。
 4回,ダウンを奪われた坂本が再び右ストレート,左フックで積極的に攻める。中盤,右ストレートでぐらついた椎野を追って坂本が攻勢に出る。さらに左フックも決まり,再び椎野がぐらつく場面が見られた。右目下が腫れた椎野は苦しい展開に追い込まれる。
 5回,椎野は手数が出ず,足も動かない。坂本は丹念に左ジャブを突いて攻める。不用意に出たところに返された右ストレートをもらい,椎野は右膝をついて痛恨のダウン(カウント8)。立ち上がって反撃の構えを見せるが,坂本の攻勢に晒される。ロープ際に詰まった椎野に左右フックを浴びせたところで,安部主審が試合をストップした。

 ノーランクの坂本が見事な試合内容で前OPBF王者の椎野から金星を奪った。長身でリーチに恵まれた右ボクサータイプで,伸びのある左ジャブ,右ストレート,左フックを武器としている。パンチ力がある椎野に対し,臆することなく積極的に攻めたことが勝因。タイミングの取り方にいいものがあり,連打の中で右アッパーも出る。地方のジムで練習相手やマッチメイクにも人知れぬ苦労があるはずだが,そのハンデの中で実力を出し切って椎野を破ったことは高く評価される。2009年度全日本バンタム級新人王。
 再浮上を目指していた椎野は,まさに痛恨の敗戦。格下相手とあって,少なからず油断もあっただろう。一発を狙って手数が少なくなり,正面に立っているところに被弾する場面が目立った。序盤に坂本を調子づかせてしまったことが響いたと言える。

     主審:安部和夫,副審:浅尾和信&福地勇治&土屋末広
     ○坂本:18戦15勝(5KO)1敗2分   28歳   身長:171cm
     ●椎野:15戦11勝(10KO)4敗     28歳   身長:165cm
     放送:フジテレビNEXT     解説:川島郭志     実況:青嶋達也


このページのトップに戻る


                      2014年10月13日(月)    後楽園ホール
                                 6回戦
                    日本ミドル級5位   T   K   O  日本ミドル級(ノーランク)
                ○   福本祥馬    6回2分44秒    上川隆顕   ●
                              (八王子中屋) 160 lbs                       (三迫) 159 1/2 lbs
                  福本祥馬=ふくもと・しょうま           上川隆顕=かみかわ・たかあき

 長身のボクサータイプ同士の対戦。アップライトスタイルでお互いに体を密着させ,ワンツー,左右フック,アッパーを応酬するが,先に手を出している福本にポイントが流れた。
 2回,福本が手数で上回り,重いパンチを浴びせる。しかし,左アッパーが低く入り,福本は減点された。3回,クリンチ,揉み合いが多くなり,ファンがざわつき始めた。ボディを打たれた上川は早くもスタミナの不安を露呈した。
 4回,左右アッパーのボディ連打をまとめる福本。クリンチ,ホールドが続き,両者ともにマーチン主審から再三の注意を受けた。福本はホールディングで2度目の減点。終了間際,上川の左フックがカウンターになり,福本の腰が落ちる場面があった。
 5回,クリンチ,揉み合いの連続。揉み合いの中から福本が上川を押し倒してしまい,一時中断。スタミナ切れか,上川は目がウツロで全く元気がない。
 6回,揉み合いが続き,今度は上川がホールデイングで減点される。福本の左右フックで上川は抱きついたまま,グラブをついてダウンを取られた(カウント8)。クリンチ,ホールド,押し倒しと続くグダグダの展開にファンも白け気味。福本は左右フックで攻勢に出る。立っているのがやっとの状態の上川は,抱きついたまま離れようとしない。これに業を煮やしたマーチン主審は戦意喪失と見なし,試合をストップした。

 東洋大ボクシング部出身の同門同士の対戦。ハイレベルな試合内容が期待されたが,クリンチ,ホールドの連続に再三の減点が加わり,思わぬ凡戦になってしまった。
 福本はアマで57戦48勝(37KO・RSC)9敗という戦績を残している。右ボクサーファイターでワンツー,左右アッパーを得意としている。上川のクリンチに合わせて休んでしまう場面が目立った。せっかく連打を見せていただけに,惜しまれる。相手が立っているのがやっとの状態だったので,振りほどいてでもパンチをまとめるくらいの気概がなければ,前途は厳しいだろう。
 上川はこれがデビュー戦。アマでの戦績は61戦50勝(34KO・RSC)11敗。187cmの長身を生かした右ストレート,左フックを武器とする右ボクサーファイター。ところが3回に入るとスタミナ切れの兆候を示し,そこから先はクリンチ,ホールドの繰り返しに終始した。元気も覇気も感じられず,見ている者を落胆させる試合内容となった。

     主審:ビニー・マーチン,副審:浅尾和信&福地勇治&安部和夫
     ○福本:6戦5勝(5KO)1敗   23歳   身長:184cm
     ●上川:1戦1敗           23歳   身長:187cm
     放送:フジテレビNEXT     解説:川島郭志     実況:木村拓也

※ 第2ラウンド,福本はローブローで減点1。
※ 第
4ラウンド,福本はホールデイングで減点1。
※ 第6ラウンド,上川はホールディングで減点1。

このページのトップに戻る


             2014年10月22日(水)    国立代々木競技場第二体育館
                      WBC世界バンタム級タイトルマッチ12回戦
                     チャンピオン             挑戦者(同級1位)
                ○   山中慎介   判 定   スリヤン・ソールンビサイ   ●
                              (帝拳) 118 lbs                     (タイ) 117 1/4 lbs

 初回,まずリードしたのはスリヤン。慎重な山中に対し,低い姿勢から右ストレート,左右フックを打って積極的に攻める。しかし,2回終盤,山中の左ストレートのカウンターでスリヤンの腰が落ちる場面が見られた。
 スリヤンはどんどん前に出るが,4回,その動きを読んだ山中がリズムを掴む。カウンターの左アッパーをボディに決め,すかさず右フックを返す。終盤には左ストレート,左右アッパーが回転した。
 7回,左フックが効いた山中はひやりとさせたが,なおもスリヤンが出て来るところにすぐに左ストレートを浴びせる。終盤,棒立ちになったところに左ストレート,右アッパーに次ぐ左ストレートを打ち込まれたスリヤンはロープ際まで飛ばされてダウン(カウント8)。しかし,ここでニュートラルコーナーから早く出てしまった山中をコール主審が制したことにより,貴重な時間をロスした。スリヤンはまんまと20秒以上の”休憩”をゲットした。
 8回,ダウンを喫したスリヤンが前にも増して勢いに乗り,激しい闘志で迫る。スリヤンの右フックがヒットするが,ここでも終盤に山中の左ストレート,右アッパーに次ぐ左ストレートが炸裂。スリヤンはもんどり打って仰向けにダウン(カウント9)。
 9回,焦り気味に出たスリヤンはレスリング行為で減点された。さらに鳩尾にカウンターの左アッパーを打ち込まれ,両膝から崩れ落ちたスリヤンはこの試合3度目のダウン(カウント8)。
 10回,3度のダウンにもめげず,タフなところを見せるスリヤン。山中は右ジャブ,左ストレートで突き放したいが,スリヤンのペースに合わせてしまう。11回,スリヤンは執拗に迫るが,さすがにスピードが落ちる。12回,形振り構わず攻めるスリヤン。飛びかからんばかりの勢いで左右フックを連打するが,山中も左ストレートからスリヤンをロープに詰めて攻勢に出る。

 山中は7度目の防衛に成功。世界タイトルの連続KO防衛記録は5でストップしたが,3度倒した末の明白な勝利である。序盤こそスリヤンの突進を許したものの,右ジャブを使って右に回り込み,主武器の左ストレートで動きを止めた。ときおり見せた右アッパーも特筆すべき点である。ボディにヒットしたカウンターの左アッパーも効果的。左ストレートに頼らず,今後も右ジャブ.フックを多用することが大事である。
 スリヤンは元WBC世界スーパーフライ級王者。小柄な右ファイタータイプであり,ダイナミックな左右フックを武器にどんどんプレスをかける試合運びが身上。サウスポー殺しの定石である右ストレートで山中を苦しめた。攻撃が単調なので,動きは読みやすいが,タフでしぶといことに関しては定評がある。特にダウンを奪われた後の反撃は見事。

採点結果 山中 スリヤン
主審:ローレンス・コール(米国) *** ***
副審:デビッド・サザーランド(米国) 116 108
副審:マルコム・ブルナー(豪州) 114 110
副審:ジャック・ウッドバーン(カナダ) 115 109
参考:MAOMIE 117 107


     ○山中:24戦22勝(16KO)2分         32歳   身長:171cm   リーチ:175cm
     ●スリヤン:44戦37勝(16KO)6敗1分   25歳   身長:161cm   リーチ:162cm

     放送:日本テレビ
     解説:飯田覚士&セレス小林     ゲスト:長谷川穂積
     実況:中野謙吾

※ 第9ラウンド,スリヤンはレスリング行為で減点1。

このページのトップに戻る


                    2014年10月30日(木)    後楽園ホール
                      東洋太平洋ミニマム級タイトルマッチ12回戦
                   挑戦者(同級1位)   T   K   O    チャンピオン
                ○   田中恒成    10回0分50秒   原 隆二   ●
                             (畑中) 104 3/4 lbs                        (大橋) 105 lbs
                        WBA9位             WBA3位,WBC4位,WBO2位,IBF5位

 先手を取ったのはキャリアで勝る王者・原。初回,左ジャブから右フックをかぶせ,積極的な攻撃を展開する。2回,原の左ジャブ,右フック,さらに左右フックから左アッパーが回転する。若い田中は緊張からか動きが硬い。
 しかし,3回に入ると中部のホープ田中がピッチを上げる。左ジャブ,右ストレート,さらに右アッパーが決まる。やや雑でバランスが崩れているが,スピードがある。
 5回,激しい応酬が続く。中盤,田中の右ストレートがカウンターになり,足が縺れた原はあわやダウンというピンチに陥る。クリンチに逃れようとするが,田中が猛烈な追い込みをかけた。
 6回は原が王者の意地を見せる。左フックからの右アッパーが決まり,田中の動きが止まる。猛然と襲い掛かる原に対し,田中は鼻から出血した。7回,田中にやや疲れが見える。勢いが衰えぬ原は終盤,左フック,アッパー,右フックを浴びせて打ち勝った。
 8回は田中がリード。ワンツーで攻勢に出る。原も応戦するが,疲れの色が濃くなる。9回,右アッパーでぐらついた原は後退。チャンスと見た田中は猛然とラッシュ。嵐のような右ストレート,左右フックで襲い掛かり,ニュートラルコーナーに詰めて攻勢。10秒前の拍子木に合わせるかのように原も反撃に転じた。
 10回,ダメージの影響で原の動きが鈍い。右ストレート,左右フックで攻勢に出る田中。防戦一方の原がロープに詰まったところで福地主審が試合をストップした。

 中部期待の田中が4戦目でタイトル獲得。スピード豊かで伸びがある右ストレート,左右フックを得意とする右ボクサーファイター。ロングレンジからの右ストレートを起点とする連打に優れたものがある。連打の中に右アッパーを入れるなど,意表を突くパンチで原をぐらつかせた。その一方で力みが出てバランスを崩す場面も見られた。いずれは世界挑戦も視野に入る逸材だが,現時点では不十分な面も目につく。急ぐことなく,キャリアを積むことが必要だろう。
 原はプロ入り以来初の敗戦。小柄な右ファイタータイプで躍動感溢れる攻撃が身上。積極的に先手を取ってリードしたが,田中の連打で徐々にダメージを負った。特に9回にもらった右アッパーが効いてしまい,それを境に急速に動きが鈍った。ほぼ互角で迎えた勝負所だっただけに悔やまれる。

9回までの採点 田中
主審:福地勇治 *** ***
副審:吉田和敏 87 85
副審:杉山利夫 86 85
副審:浅尾和信 86 85
参考:MAOMIE 86 85


     ○田中:4戦4勝(2KO)       19歳   身長:162cm
     ●原:19戦18勝(10KO)1敗   24歳   身長:155cm

     放送:フジテレビ
     解説:川島郭志
     実況:森 昭一郎

このページのトップに戻る


熱戦譜のトップに戻る     ← 2014年9月に戻る     2014年11月に進む →

ホームページのトップに戻る