熱戦譜〜2011年10月の試合から


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試合日 試合 結果
2011.10.01  WBC世界スーパーバンタム級
 タイトルマッチ12回戦
 西岡利晃  判定  ラファエル・マルケス
2011.10.01  WBA世界ライトフライ級
 タイトルマッチ12回戦
 ローマン・ゴンサレス  KO2R  オマール・ソト
2011.10.01 10回戦  亀海喜寛  TKO6R  ヘクター・ムニョス
2011.10.02  東洋太平洋ライトフライ級
 タイトルマッチ12回戦
 宮崎 亮  KO4R  ヘルソン・マンシオ
2011.10.02 10回戦  水本昌寛  判定  赤澤慎司
2011.10.02 6回戦  上谷雄太  判定  ラリー・カニージャス
2011.10.10  日本スーパーバンタム級
 タイトルマッチ10回戦
 芹江匡晋  TKO6R  橋元隼人
2011.10.10 8回戦  戸部洋平  判定  河野公平
2011.10.10 8回戦  竹中 良  TKO4R  木村 毅
10 2011.10.15  WBC世界ライト級
 王座決定12回戦
 アントニオ・デマルコ  TKO11R  ホルヘ・リナレス
11 2011.10.18 10回戦  三浦隆司  判定  ホルヘ・ペレス
12 2011.10.18 8回戦  中川大資  TKO4R  田中 徹
13 2011.10.18 8回戦  佐藤通也  TKO6R  吉田恭輔
14 2011.10.24  WBA世界ミニマム級
 タイトルマッチ12回戦
 八重樫 東  TKO10R  ポンサワン・ポープラムック
15 2011.10.24 8回戦  原 隆二  TKO2R  アティワトレック・チャイヨンジム
16 2011.10.24 8回戦  殿村雅史  判定  吉田拳峙

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            2011年10月1日(土)    米国ラスベガス MGMグランドホテル&カジノ
                    WBC世界スーパーバンタム級タイトルマッチ12回戦
                     チャンピオン            挑戦者(同級2位)
                ○   西岡利晃    判 定    ラファエル・マルケス   ●
                        (帝拳) 122 lbs                 (メキシコ) 121 lbs

 左の西岡,右のマルケス。ともに相手の強打を警戒して慎重な立上がり。西岡が左ストレート,マルケスが右ストレートを応酬し,序盤から予断を許さぬ緊迫した展開となった。
 西岡が流れを引き寄せたのは5回。終盤,踏み込んで放った左ストレートがクリーンヒット。両者を通じ,ここまでのベストブローだった。6回,マルケスは前に出てプレッシャーをかけるが,西岡の左フックを食う。西岡は意表を突くようにセオリーとは逆の左回りでチャンスを窺う。7回にもガードを割るような左ストレートが決まり,緊迫した展開の中で西岡は自分のリズムを掴んだ。徐々にゆとりを失ったマルケスは正面に立つ場面が多くなった。
 8回,試合の流れは完全に西岡の手中に収まった。左ストレートを再三ヒットし,さらに左ストレート,フックを連発してマルケスをロープ際に追い詰めて攻勢に出る。バッティングで頭をカットしてドクターチェックを受けた西岡に対し,マルケスが攻勢に出るが,逆に左フックを食ってぐらつく場面があった。
 終盤は完全に西岡のペース。体力的にも精神的にも追い込まれたマルケスの表情からはゆとりが消える。10回,左ストレートでぐらつかせた西岡は一気に攻勢。カウンターの左フックを食って大きく上体を揺らすマルケス。西岡は返しの右フックも加わり,さらに優位に立つ。上も下も効いたのか,11・12回のマルケスはパンチへの反応が鈍り,急速に動きが悪くなる。油断こそできないものの,両者の間には一気に差が開いた。西岡も疲れはピークに達していたが,最後まで主導権は譲らず,堂々の勝利を決定づけた。

 西岡,聖地ラスベガスで7度目の防衛に成功。日本人初の米国本土防衛,内藤大助(34歳8ヶ月)を抜いて日本人世界王者最年長防衛(35歳2ヶ月)という記録付きである。しかも,2階級制覇の強豪マルケスを堂々と破った価値ある勝利。前半は慎重な戦い方だったが,これはマルケスの強打を考えれば最善の方策だろう。中盤からはモンスターレフトと異名を取る左ストレートで一気に流れを引き寄せた。ボディへの左ストレートが見た目以上に効いており,右フックの返しが多く出ていればKOもあっただろう。冷静な読みに加え,強気で知られるマルケスを相手にしても一歩も引かない精神的な強さが光った。
 敗れたマルケスも2階級王者の貫録を存分に見せた。ロングレンジから伸びる左ジャブ,右ストレートと懐の深さが光る。打たれるとすぐに打ち返して帳消しにしてしまうあたりはさすがに試合巧者である。相手が最後まで緊迫感を保ち続けなければいけない強打も見事。ただ,西岡の左ストレートを上下に打ち分けられてダメージを負い,終盤は動きが鈍って正面に立つ場面が目立った。

採点結果 西岡 マルケス
主審:ケニー・ベイレス(米国) *** ***
副審:ロバート・ホイル(米国) 117 111
副審:デーブ・モレッティ(米国) 116 112
副審:C.J. ロス(米国) 115 113
参考:MAOMIE 117 111


     ○西岡:46戦39勝(24KO)4敗3分
     ●マルケス:47戦40勝(36KO)7敗

     放送:WOWOW
     解説:ジョー小泉&浜田剛史     ゲスト:香川照之
     実況:高柳謙一

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                2011年10月1日(土)    米国ラスベガス MGMグランドホテル&カジノ
                        WBA世界ライトフライ級タイトルマッチ12回戦
                     チャンピオン       K      O   挑戦者(同級9位)
              ○   ローマン・ゴンサレス    2回0分36秒    オマール・ソト   ●
                        (ニカラグア) 108 lbs                      (メキシコ) 111 1/2 lbs

 初回からゴンサレスが実力の差を見せつけた。左ジャブ,ストレートから右ストレート,さらにボディに左アッパーを見舞う。世界挑戦2度の実績を持つソトも応戦するが,通じない。
 2回,呆気なく決着がついた。打ち合いに出たソトは打ち下ろしの右フック,さらにアウトサイドからの左右フックでボディを叩く。これを肘でブロックしたゴンサレスは待ってましたとばかりに強打を見舞う。インサイドからの右ストレートに次ぐ左アッパーがアゴに炸裂し,腰から崩れ落ちたソトはたまらず仰向けにダウン。立ち上がれず,そのままカウントアウトされた。

 ゴンサレスがソトを沈め,圧勝で2度目の防衛に成功した。そのスタイルには攻防一体の惚れ惚れするような躍動感が感じられる。打ち合いに出たソトの動きを見逃さず,インサイドからの鮮やかなコンビネーションブローで豪快に沈めた。このクラスでも敵なしだろう。ミニマム級時代のように圧倒的な手数で距離を詰めていくことはせず,鋭く伸びる左ジャブ,ストレートを多用して落ち着いた攻撃が目立つ。ウェイトオーバーでリングインしたソトに厳しい”制裁”を課したゴンサレス。その勢いは止まるところを知らない。大人の風格が漂う試合運びであり,さらに3階級制覇あるいはそれ以上も期待できる。
 ソトは右ボクサーファイターで右ストレートを武器にしている。3ポンド半のウェイトオーバーで,勝ってもタイトルを手にできないという状況だったが,打ち合いに出たところで捕まった。

     主審:ロバート・バード(米国),副審:デュアン・フォード(米国)&パトリシア・ジャーマン(米国)&リチャード・フック(米国)
     ○ゴンサレス:30戦30勝(25KO)     ●ソト:32戦22勝(15KO)8敗2分
     放送:WOWOW     解説:ジョー小泉&浜田剛史     ゲスト:香川照之     実況:高柳謙一

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                2011年10月1日(土)    米国ラスベガス MGMグランドホテル&カジノ
                                  10回戦
                  WBC世界S・ライト級11位   T   K  O   米国ウェルター級(ノーランク)
                ○   亀海喜寛      6回1分39秒     ヘクター・ムニョス   ●
                         (帝拳) 146 lbs                            (米国) 149 lbs
                         WBA14位

 初回,奇声を発しながらパンチを出すムニョス。しかし,亀海は堅固なブロックと巧みなウィービング,ダッキングでかわしながら左ジャブ,アッパー,右ストレート,ボディへの左アッパーを決めた。
 わずか3分でムニョスの力を見切った亀海の表情にはゆとりさえ漂っていた。3回,ロープを背にしたところに右ストレートをもらうが,後は危なげない試合運びを見せた。
 4回,ムニョスは執拗に前に出るが,1分過ぎ,左アッパーをボディに打ち込まれ,苦しそうな表情で後退。左にスイッチしたムニョスに対し,亀海は同じサウスポースタイルにスイッチする余裕を見せる。ワンツー,左右フックの攻勢に出る亀海。5回にはさらに一方的な展開になり,すぐにストップされても不思議ではない状況になった。
 6回,ムニョスはそれでも前に出るが,亀海の左アッパー2発が決ったところでウィークス主審が試合をストップした。

 中量級で世界を目指す亀海が米国デビューをワンサイドのTKO勝ちで飾った。代役で格下の相手ではあったが,持ち味のテクニックを存分に披露し,本場のファンにアピールするには十分な内容である。初回からスピードの差は歴然で,多彩なコンビネーションブローでムニョスを弱らせた。今後がさらに楽しみ。3回に右ストレートをもらったが,世界レベルではこれが命取りになることもある。気を引き締めてかかるべきだろう。
 ムニョスは右ファイタータイプ。執拗に前に出て,右ストレート,左右フックを放つ。ベタ足でスピードはないが,タフネスは人一倍。しかし,スローな動きを見切られ,上下に打ち分けられた。前に出ては打たれ,下がればさらに打たれるという繰り返しで完敗となった。

     主審:トニー・ウィークス(米国),副審:リチャード・オカシオ(米国)&ジェリー・ロス(米国)&グレン・トゥローブリッジ(米国)
     ○亀海:19戦19勝(17KO)     ●ムニョス:27戦19勝(12KO)7敗1分
     放送:WOWOW     解説:ジョー小泉&浜田剛史     ゲスト:香川照之     実況:高柳謙一

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                       2011年10月2日(日)    松下IMPホール
                      東洋太平洋ライトフライ級タイトルマッチ12回戦
                     チャンピオン    K      O   挑戦者(同級1位)
                ○   宮崎 亮    4回0分26秒    ヘルソン・マンシオ   ●
                       (井岡) 108 lbs                      (比国) 108 lbs
                     WBA2位,WBC6位                比国L・フライ級チャンピオン

 ウェイト調整に失敗した宮崎。コンディションが心配されたが,立ち上がりからそれを跳ね飛ばすような切れのある動きを見せた。ボディを狙うマンシオの右フックに合わせ,右ストレートのカウンターを決める。宮崎はさらに右ストレートから左アッパーをヒット。マンシオは早くも右目尻をカットする(宮崎の有効打による傷)。
 2回,2分過ぎに痛烈な右のカウンターを浴びせる宮崎。終了間際にも右ストレートのカウンターを決める。良く見てマンシオの打ち終わりにパンチを合わせる宮崎。3回には左右アッパーのボディブローから右フックを浴びせる。マンシオの出バナに左フックがカウンターになった。
 4回開始早々,軽量級には珍しい衝撃的なワンパンチKOが見られた。右でボディを打とうとしてガラ空きになったマンシオのアゴに小さく打ち下ろした右ショートフック。これがまともに炸裂し,意識が飛んだマンシオは後頭部をしたたか打ちつけて仰向けにダウン。立ち上がったが,朦朧としており,ファン主審はそのままカウントアウトした。

 井岡ジムの二枚看板のうちの一枚・宮崎が見事なワンパンチKOで3度目の防衛に成功した。ウェイト調整に失敗し,1回目の計量で1.1kgものオーバーという失態を演じた。再計量でパスして事なきを得たが,そんなトラブルとは裏腹に,宮崎は圧巻のスピード,動きを見せつけた。相手の動きを良く見て鋭く切れるカウンターとハンドスピードで圧倒した。ウェイトオーバーは猛省すべきだが,世界への期待は膨らむ一方である。
 トップコンテンダーで比国王者という最強の挑戦者として来日したマンシオだが,力の差は如何ともし難かった。特にスピードの差は歴然。右ストレート,左右フックを得意とする右ボクサーファイター。アグレッシブに攻め,手数の多さが特徴。

     主審:ファン・スンチュル(韓国),副審:テオドロ・アリビオ(比国)&原田武夫
     ○宮崎:18戦15勝(9KO)3分     ●マンシオ:18戦13勝(5KO)2敗3分
     放送:スカイA     解説:本田秀伸&浅沢英     実況:山下剛

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                    2011年10月2日(日)    松下IMPホール
                              10回戦
                   日本S・ウェルター級9位        日本S・ウェルター級(ノーランク)
                ○   水本昌寛     判 定     赤澤慎司   ●
                       (井岡) 151 3/4 lbs               (神拳阪神) 151 1/2 lbs

 左ジャブの刺し合いから立ち上がる。しかし,すぐに両者のスタイルの違いが顕著になった。水本は前に出て左ジャブ,フックを浴びせながらオーソドックスな試合運び。赤澤は下がりながらノラリクラリの変則的な動きから機を見て左右フックを振る。
 2回以降は手数でも水本がリードを開いた。左ジャブから右ストレート,ボディへの左アッパーが決まる。
 4回,バッティングで右目上をカットした赤澤はドクターチェックを受ける。水本は赤澤をロープに詰め,左フック,アッパーを上下に打つ。5回終盤,赤澤も左右フックを打って攻勢に出るが,水本は冷静に動きを見ている。
 8回,タフな赤澤もさすがに効いているが,執拗に前に出る。水本は左ジャブからワンツー,ボディへの左アッパーを見舞う。9回,水本の右アッパーがローブローになって一時中断。
 10回,再び足を使ってリズムを取り,左ジャブを浴びせる。赤澤は最後まで前進を止めなかったが,パンチに正確さを欠いた。

 水本が再戦を大差で制し,赤澤を返り討ちにした。オーソドックスな右ボクサーファイター。フットワークに乗せて放つ左ジャブ,ワンツーを主体にした試合運びに持ち味がある。終始冷静に戦っていたが,チャンスには思い切った攻撃が欲しい。ワンサイドでリードしていながら,今一つインパクトが足りないと感じられたのはそのせいだろう。
 赤澤は変則的な右ファイタータイプ。ノラリクラリと相手の攻撃をかわし,機を見て左右フックで攻勢に出る。スピードはないが,独特のタイミングで放つ左右フックに威力がある。

採点結果 水本 赤澤
主審:野田昌宏 *** ***
副審:北村信行 100 92
副審:石川和徳 100 91
副審:原田武夫 99 92
参考:MAOMIE 100 91


     ○水本:22戦17勝(6KO)3敗2分
     ●赤澤:23戦11勝(6KO)12敗

     放送:スカイA
     解説:本田秀伸&浅沢英
     実況:寺西裕一

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                       2011年10月2日(日)    松下IMPホール
                               6回戦
                 日本S・バンタム級(ノーランク)          比国S・バンタム級2位
                ○   上谷雄太     判 定     ラリー・カニージャス   ●
                         (井岡) 123 1/4 lbs                (比国) 123 1/4 lbs

 初回,上谷は左に回りながら左ジャブから右ストレートをボディに打つ。スピードの差を見せてさらにワンツーを浴びせる上谷。カニージャスは変則的な動きから右フックのボディブロー,右クロスで迫る。
 2回はカニージャスは右アッパー,フックを放ってどんどん前に出る。足を止めてしまうと上谷も危険。
 3回,激しい打合い。上谷もヒートアップするが,右ストレートを再三ヒット。カニージャスをロープに詰めて攻勢に出る上谷。ワイルドな左右フック,アッパーで応戦するカニージャス。
 4回以降は上谷も落ち着きを取り戻し,左に回り込んで右フックのカウンターをヒット。さらに左右アッパーのボディブローを見舞う。5回にはカニージャスのスピード,プレスの強さが鈍り,空振りでバランスを崩す場面が目立つようになった。上谷はバッティングで右目上をカットするが,後半には足を使う本来の動きから右フックのカウンターをヒットする。
 6回,カニージャスは執拗に前に出てパンチを振るが,空振りでバランスを崩す場面が目立つ。後半,上谷は右ストレート,左フックを浴びせた。

 激しい打合いが続く好ファイトとなった。
 上谷は大阪・興国高時代にアマ経験がある右ボクサーファイターだが,どちらかと言えばボクサータイプとして戦っているときに持ち味を発揮する。基本に忠実な試合運びが身上で,足を使いながら左ジャブ,ワンツー主体のボクシングをする。右フック,ストレートのカウンターにも良いものがある。熱くなってラフな打合いに応じる場面が見られたが,5回後半に見せたように足と左を生かして冷静に戦うことが大事。
 カニージャスは右ファイタータイプ。変則的な動きからどんどん前に出て,体ごと叩きつけるようなパンチを振る。その左右フック,アッパーは重くて危険なパンチ。思い切り振り回すだけに,当たればKOもある。背筋が盛り上がり,スラッガー特有の体型が特徴。大振りのせいで空振りも多く,バランスを崩した。

採点結果 上谷 カニージャス
主審:石川和徳 *** ***
副審:北村信行 60 56
副審:原田武夫 58 57
副審:野田昌宏 59 56
参考:MAOMIE 59 55


     ○上谷:16戦12勝(4KO)3敗1分
     ●カニージャス:20戦16勝(13KO)4敗

     放送:スカイA
     解説:本田秀伸
     実況:寺西裕一

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                       2011年10月10日(月)    後楽園ホール
                      日本スーパーバンタム級タイトルマッチ10回戦
                     チャンピオン    T   K  O    挑戦者(同級8位)
               ○   芹江匡晋    6回0分17秒     橋元隼人   ●
                      (伴流) 121 1/2 lbs                 (ワールドスポーツ) 121 1/2 lbs
                      WBA8位,WBC8位

 芹江が試合開始と同時に勢い良く飛び出した。左フックのボディブローから右フックで強引に迫る。橋元も足を踏ん張って左右フックのボディブローから打ち下ろしの右フック,ストレートを浴びせた。初回から両者フルスロットルの打ち合い。
 2回,芹江がKOチャンスを掴んだ。ロープに詰まった橋元に右アッパーを浴びせ,体ごと捻じ込むような右ストレート。このパンチで橋元はストンと腰から落ちてダウン(カウント8)。荒っぽいが,攻勢に出た芹江の右ストレートが再三ヒット。ダメージで橋元の膝が硬直している。ロープを背にした橋元は右ストレートに次ぐ左右フックで前のめりに崩れて2度目のダウン(カウント8)。辛うじてゴングに救われた。
 3回以降も芹江の攻勢は止まらない。4回にはボディに右ストレート,左フックを決める。ボディが効いた橋元はさらに苦しくなる。芹江の右ストレートがヒットしたところでゴング。
 5回,橋元をロープに押し込み,右ストレートから左右ショートフックを回転させ,一気に仕留めにかかる。
 6回,耐えていた橋元に破局が訪れた。右ストレート,アッパー,左フックのラッシュに力なく後退する。赤コーナー付近のロープに詰まったところに芹江が右ストレートを浴びせたところで浦谷主審が試合をストップした。

 芹江が見事なTKOで5度目の防衛に成功した。粘る橋元を強引に力でねじ伏せた。決め手は再三見せていた体ごと捻じ込むような右ストレート。広いスタンスで潜り込むように接近し,左フック,右ストレートを浴びせる強気の攻めが光る。左右のショートブローやボディ攻撃が出ていた点は良かった。体幹の強さ,柔軟さ,反射神経の良さは器械体操出身ならではのもの。その反面,倒そうとする意識が強く出過ぎて雑な攻撃も目立つ。
 橋元は右ファイタータイプで左右フックを得意としている。負けん気,気持ちの良さが持ち味で,芹江のパンチで何度もKO寸前に追い込まれながらも食い下がった闘志は見事。

5回までの採点 芹江 橋元
主審:浦谷信彰 *** ***
副審:土屋末広 50 43
副審:浅尾和信 49 44
副審:福地勇治 49 44
参考:MAOMIE 49 44


     ○芹江:23戦20勝(9KO)3敗
     ●橋元:15戦12勝(2KO)2敗1分

     放送:フジテレビNEXT
     解説:川島郭志
     実況:福永一茂

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                      2011年10月10日(月)    後楽園ホール
                              8回戦
                 東洋太平洋S・フライ級13位      日本S・フライ級4位
                ○   戸部洋平    判 定    河野公平   ●
                       (三迫) 115 3/4 lbs              (ワタナベ) 115 3/4 lbs

 初回,前に出て打ち合いに巻き込もうとする河野。戸部はフットワークを使いながら間合いを取り,左ジャブで河野の出バナを突く。中盤,タイミングの良い戸部の右アッパーがアゴに決まった。
 中盤は河野がややリード。3回終了間際,河野が放った右ストレートが決まり,戸部がたじろぐ。終了間際にも河野の右フックがヒット。4・5回にも河野の右ストレートが決まり,戸部がクリンチに出る場面が見られた。
 6回,このままでは押し込まれると見た戸部が再び足を使って間合いを取り,左ジャブを突き始める。構わず前に出て乱戦を狙う河野だが,戸部の右ストレート,アッパーがヒット。7回にも戸部が左ジャブ,右ストレート,アッパーを浴びせる。河野も必死に前に出て左フックをヒットするが,戸部のピッチが上がった。
 8回,河野は激しく間合いを詰めるが,応戦した戸部の右アッパーのボディブロー,右ストレートが決まった。

 プロ3戦目の戸部が僅差ながらもベテランの河野を破った。拓大時代にアマで国体のバンタム級を制した実績がある。右ボクサーファイターで軽快なフットワークからスピーディな左ジャブ,右ストレート,アッパーを放つ。主武器は右ストレート。目と勘の良さが光り,パンチも鋭い。カウンターのタイミングの良さに非凡なものがある。ただし,テレビ局が強調している”スーパールーキー”と呼ぶためには,まだ試されていない部分が多過ぎる。キャリア豊富な河野に掻き回され,対応に苦しむ場面も見られた。攻め込まれたときの対処法がクリンチだけというのは心許ない。良い素材なので,焦らずにキャリアを積むことが必要だろう。
 河野はこれで3連敗。崖っぷちの状況で愚直なほどの前進を続けたが,単調な突進では限界がある。攻め込んではいたが,パンチに正確さを欠いて逆に右ストレート,アッパーを返された。まだまだ若い選手の踏み台になるには早過ぎる。捲土重来を期待したい。

採点結果 戸部 河野
主審:福地勇治 *** ***
副審:中村勝彦 77 76
副審:葛城明彦 77 75
副審:浦谷信彰 78 75
参考:MAOMIE 77 76


     ○戸部:3戦3勝(2KO)
     ●河野:32戦25勝(9KO)7敗

     放送:フジテレビNEXT
     解説:川島郭志
     実況:立本信吾

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                        2011年10月10日(月)    後楽園ホール
                                  8回戦
                 日本フェザー級(ノーランク)    T   K  O    日本フェザー級(ノーランク)
                ○   竹中 良       4回1分54秒     木村 毅   ●
                         (三迫) 126 lbs                           (緑) 125 3/4 lbs

 初回,竹中が軽快な動きから鋭く伸びる左ジャブ,ストレートで木村の出バナを叩く。距離を詰めたい木村だが,竹中の左ボディブロー,右ストレートが飛ぶ。
 2・3回,リズムに乗った竹中は左ジャブ,ストレートを多用。木村はガードを固めているが,竹中の左がうるさい。
 4回,左ジャブを出し続ける竹中。中盤にはワンツーで後退させ,ロープに木村を詰めて左右アッパーのボディブロ−を見舞う。木村が左フックを振って反撃に出た瞬間,一歩引いた竹中の鋭い右ストレートがアゴの先端に着弾。このワンパンチで,木村はストンと腰から押してダウン。立ち上がったものの,土屋主審がカウントの途中で試合をストップした。同時にタオルが投入された。

 キリリとした八の字形の眉毛が印象的な竹中が鮮やかな右ストレートで試合を決めた。軽快なフットワークから鋭く伸びる左ジャブ,ストレートが良く出るのが強味。ここから放つワンツー,ボディへの左アッパーも決め手となる。その一方で接近戦はあまり上手とは言えない。上位に進出するためには,打ち合いになったときの対処が課題。アマで90戦73勝という実績を持つアップライトスタイルの右ボクサータイプ。
 木村は左右フック,右ストレートを得意とする右ファイタータイプ。ガードを固めて打ち合いに持ち込めれば面白かったが,竹中の左に阻まれた。

     主審:土屋末広,副審:中村勝彦&葛城明彦&福地勇治
     ○竹中:8戦7勝(4KO)1分     ●木村:22戦11勝(2KO)7敗4分
     放送:フジテレビNEXT     解説:川島郭志     実況:立本信吾

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                  2011年10月15日(土)    米国ロサンゼルス:ステープルズセンター
                          WBC世界ライト級王座決定12回戦
                    WBC世界ライト級1位    T   K   O   WBC世界ライト級2位
               ○   アントニオ・デマルコ    11回2分32秒    ホルヘ・リナレス   ●
                         (メキシコ) 134 1/2 lbs                         (帝拳) 134 3/4 lbs

 左のデマルコ,右のリナレス。デマルコをニュートラルコーナーに詰めたリナレスは右ストレートから左フックを放つ。左ジャブでデマルコの顔が上を向く。
 リナレスの左ジャブ,右ストレートが冴え,早くも3回にはデマルコの左目下が腫れ始めた。2分過ぎには体を左に沈めて放ったタイミングの良い左アッパーが鮮やかにデマルコのアゴを捉える。
 5回中盤にはワンツーでデマルコの腰が落ちる。
 順調にポイントを重ねていたリナレスだが,6回にデマルコのパンチでカットした眉間から出血を見る。7回以降は出血に苦しみながらもリナレスが素早い左右ショートフックの連打でリードを広げた。一方,大柄のデマルコも前に出てプレッシャーをかけ続けた。
 10回,前に出ているのはデマルコだが,顔面を血に染めながらも当たっているのはリナレスのパンチ。
 このまま行けばリナレスの3階級制覇が濃厚と言う状況で迎えた11回,リナレスにとっては悪夢のようなラウンドとなった。プレッシャーをかけるデマルコを足でリズムを取りながらかわすリナレス。しかし,1分過ぎ,左ストレートのヒットからデマルコが猛追。右フック,左ストレート,アッパーで攻勢に出るデマルコ。リナレスも応戦するが,ダメージで足が動かず,正面に立ってしまう。右フックからの左ストレートで上体が揺らいで力なくロープを背負うリナレス。デマルコが連打を浴びせたところで,カイズ主審が顔面血だらけのリナレスを抱きかかえて試合をストップした。

 リードを重ねて勝利目前だったリナレスだが,終盤に落とし穴が待っていた。軽く足を使ってポジションを変えながら,スピーディな左ジャブ,ワンツー,左右アッパーを浴びせていたが,6回に眉間をカットし,最後まで流血に苦しんだ。11回に逆転されたのは集中力が途切れたところに連打を浴びたもの。これがボクシングの恐ろしさだろう。
 デマルコはサウスポーのボクサーファイター。178cmの長身で,長いリーチから放つ右ジャブ,左ストレート,右フックを打ってプレッシャーをかける。スマートなボクシングが特徴だが,打たれるとすぐに打ち返して帳消しを狙うなど,強気でしたたかな面を見せた。

10回までの採点 デマルコ リナレス
主審:ラウル・カイズ(米国) *** ***
副審:ジェリー・カントゥー(米国) 92 98
副審:ジョエル・スコビー(カナダ) 91 99
副審:マーシャル・ウォーカー(米国) 92 98
参考:MAOMIE 92 98


     ○デマルコ:29戦26勝(19KO)2敗1分
     ●リナレス:33戦31勝(20KO)2敗

     放送:WOWOW
     解説:ジョー小泉&浜田剛史     ゲスト:西岡利晃
     実況:高柳謙一     アシスタント:中島そよか

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                       2011年10月18日(火)    後楽園ホール
                               10回戦
                  WBA世界S・フェザー級9位     メキシコ S・フェザー級(ノーランク)
                ○   三浦隆司     判 定    ホルヘ・ペレス   ●
                          (帝拳) 135 lbs               (メキシコ) 133 3/4 lbs

 サウスポー同士だが,ペレスはすぐに右構えにスイッチして戦う。頭を振ってペレスを追う三浦。ペレスは右に左にと目まぐるしくスイッチしながら足を使ってロープを背にチャンスを窺う。
 3回,三浦の右アッパーがボディに決まる。5回にはペレスの右ストレート,フックを食うが,すぐに左ストレートを返す。ぐらついてクリンチに出るペレス。ロープを背にしたペレスは三浦の左ストレート,右フックで前に落ちる。しかし,これは首をグラブで引っ掛けたとの判断でスリップダウンとされた。
 三浦がヒヤリとさせたのは7回。ペレスをロープに詰めて左右アッパーのボディブローを見舞う三浦。しかし,不用意に正面に立ったところで右フックを返されてぐらつく場面があった。
 それ以外はほぼ危な気のない展開。9回,左右アッパーのボディブローでペレスの腰が引ける。テンプルにフォローした右フックが効いたペレスは弱腰になる。三浦の右アッパーでペレスのマウスピースがこぼれた。
 10回,三浦がようやくダウンを奪った。終盤,左ストレート,右フックの連打で前に落ちたペレスはカウント8を取られた。三浦が立ち上がったペレスに襲い掛かったところで終了のゴングを聞いた。

 今年1月に内山高志(ワタナベ)の世界王座に挑戦して敗れた三浦。再起戦が横浜光から帝拳への移籍第一戦も兼ねるという重要な試合を大差の判定勝ちで飾った。やりにくいペレスを仕留められなかった点に不満は残るが,右に左にといわゆる鳥を追うような追い詰め方は良かった。ただし,上を狙ったパンチに偏ってしまうのは悪い癖。ペレスのように動き回る相手に対しては,下から崩すのがセオリーだろう。再び世界を目指すためには,パンチに強弱が欲しい。すべてのパンチを強く当てようとする意識が強過ぎることが目につく。
 ペレスはサウスポーのボクサータイプで178cmの長身。右に左にと頻繁にスイッチする変則タイプで,足を使ってかわしながら左右のストレート,フックを返すディフェンシブなスタイルが特徴。パンチ力は今一つだが,老獪さを持ち味としている。

採点結果 三浦 ペレス
主審:浦谷信彰 *** ***
副審:土屋末広 99 91
副審:葛城明彦 99 91
副審:中村勝彦 99 90
参考:MAOMIE 99 91


     ○三浦:25戦21勝(16KO)2敗2分
     ●ペレス:26戦15勝(2KO)9敗1分1無効試合

     放送:G+
     解説:浜田剛史&セレス小林
     実況:寺島淳司

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                          2011年10月18日(火)    後楽園ホール
                                   8回戦
                   日本S・ウェルター級1位    T   K   O    日本ミドル級7位
                ○   中川大資       4回2分59秒     田中徹   ●
                        (帝拳) 156 3/4 lbs                      (横浜光) 157 3/4 lbs

 滑り出しは田中が左ジャブから右ストレート,左フックで積極的な攻撃を見せた。さらに田中は左アッパーを中川のボディに見舞う。しかし,中川も左右フックのボディブローで応戦。終了間際の打ち合いで,右ストレートで田中をのけぞらせる。
 2回に入ると中川がプレッシャーを強めた。左ジャブ,ワンツー,左右フックでコツコツと手数を増やす中川。田中は回りながら左右フックを放つが,徐々に押され始めた。
 3回,中川はワンツー,左右フックを上下に見舞う。前に出たい田中だが,逆に下がらされている。田中は左目上をカット(中川の有効打による傷)。
 4回,田中は上体を揺すって打ち合いを挑むが,中川の右ストレートで膝が揺れる。激しい打ち合いの中で右ストレートが決まり,田中は右膝をついてダウン(カウント8)。攻勢に出る中川。田中も顔面を血に染めて応戦するが,クロスの右ストレートをテンプルに打ち込まれ,腰から落ちて2度目のダウン。ここで杉山主審がノーカウントで試合をストップした。

 2階級制覇を狙う中川が,見事なTKO勝利で存在をアピールした。果敢に打ち合いを挑む田中に対し,2回から逆にプレッシャーをかけて主導権を握った。4回にチャンスを掴んでからは一気の攻めで斬って落とした。スピードに難があるが,重いパンチの連打は相手にとって脅威。このクラスで日本と東洋太平洋の2冠を制しているチャーリー太田(八王子中屋)への挑戦が楽しみになってきた。
 田中は右ファイタータイプ。クラウチングスタイルでどんどん前に出て,右ストレート,左右フックを振る。序盤から積極的に攻めたが,中川の圧力に下がらされたという印象が強い。4回,苦しくなって打ち合いに出たところで捕まってしまった。

     主審:杉山利夫,副審:飯田徹也&中村勝彦&浦谷信彰
     ○中川:22戦18勝(14KO)2敗2分     ●田中:12戦7勝(2KO)4敗1分
     放送:G+     解説:浜田剛史&セレス小林     実況:中野謙吾

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                      2011年10月18日(火)    後楽園ホール
                               8回戦
              日本S・フェザー級(ノーランク)   T   K   O   日本S・フェザー級6位
             ○   佐藤通也       6回2分58秒     吉田恭輔   ●
                    (石丸) 129 3/4 lbs                        (帝拳) 129 3/4 lbs

 まずは左ジャブの応酬から。左ジャブからクロスの右ストレートをかぶせる吉田。佐藤は左に回りながら左ジャブ,ワンツー,終了間際には左フックをヒット。
 2回,バッティングで右目上をカットした吉田はドクターチェックを受ける。佐藤も額をカット。3回,佐藤は左ジャブを決めるが,吉田は右ストレート,アッパーをヒットして攻勢。
 吉田がややリードして迎えた4回,最初のダウンシーンが見られた。左ジャブを放って前に出る吉田。佐藤も左ジャブで応戦。吉田のガードが下がった瞬間,佐藤の右ストレートがクロス気味にアゴを捉える。このパンチで思わず右グラブをキャンバスにつけた吉田はカウント9のダウンを取られた。一転して攻勢に出る佐藤。クリンチに出る吉田だが,右ストレートでぐらつく。
 5回は再び吉田のラウンド。右ストレートから左アッパーを浴びせれば,佐藤はクリンチに出る。吉田はなおも攻撃の手を緩めず,ワンツー,左フック,右アッパーで攻勢。ところが終了間際,今度は佐藤の右ストレートで吉田がクリンチに出る。
 緊迫した展開に終止符が打たれたのは6回。終了間際,ガードが下がったところに左フックのカウンターを一撃する佐藤。これをアゴの先端に食った吉田はもんどり打ってダウン。痛烈なダウンに土屋主審はノーカウントで試合をストップした。

 ともにスピードがあり,主導権が移り変わるシーソーゲーム。引き締まった好ファイトとなった。
 ランカーの吉田を見事に破った佐藤は右ボクサーファイターで鋭い左ジャブ,カウンターの右ストレート,左フックを武器としている。吉田のガードが下がる欠点を見逃さず,冷静にカウンターを決めた。2度のダウンを奪ったのは,いずれもタイミングの良いカウンター。待ちのボクシングが目立つが,常に左ジャブを出して応戦している点が良いところ。32歳という年齢ではあるが,期待できる。
 初黒星を喫した吉田は右ファイタータイプ。左ジャブからの右ストレートが主武器で,スピーディな連打もある。アゴのガードが下がるのが欠点。そこをクレバーな佐藤に突かれた。

     主審:土屋末広,副審:葛城明彦&中村勝彦&杉山利夫
     ○佐藤:14戦9勝(6KO)3敗2分     ●吉田:11戦8勝(5KO)1敗2分
     放送:G+     解説:なし     実況:中野謙吾

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                         2011年10月24日(月)    後楽園ホール
                         WBA世界ミニマム級タイトルマッチ12回戦
                    挑戦者(同級4位)   T   K   O      チャンピオン
                ○   八重樫 東     10回2分38秒   ポンサワン・ポープラムック   ●
                          (大橋) 105 lbs                             (タイ) 105 lbs

 八重樫が好調な滑り出しを見せた。足を使って正面からの打ち合いを避け,ポンサワンの出バナに左ジャブ,フック,アッパーを多用する。2回中盤には八重樫の左フックがカウンター気味に決まる。ヒヤリとさせるスリップダウンはあったが,八重樫はワンツーをヒット。
 3・4回,ポンサワンは八重樫のスピードと足についていけない。八重樫はポンサワンの右ストレートに合わせて左フックのカウンターを決める。この左フックが再三決まり,八重樫は完全にリズムに乗った。
 5・6回,足が止まった八重樫はポンサワンの攻撃を許したが,7回中盤からは右ストレート,左フックで上回った。ダメージの蓄積があるためか,ポンサワンは上体が起きて出足が鈍る。
 8回,右アッパーでぐらつくポンサワン。八重樫が猛然とラッシュする。グロッギーのポンサワン。しかし,勢いづいたところに右ストレートを返され,八重樫の腰が落ちる場面があった。両者ともに死力を尽くしての打ち合い。八重樫も気が抜けないが,ポンサワンのダメージも深刻さを増す。
 9回,右ストレート,左右フックを打って執拗に前に出るポンサワン。足を止めての激しい打ち合いになるが,八重樫は攻勢に出てロープを背負わせる。
 10回,構わず執拗に迫るポンサワンは八重樫をロープに詰めてパンチを振るう。しかし,八重樫も右アッパー,ストレート,ボディへの左アッパーで盛り返す。右ストレート3発を浴びたポンサワンは足がもつれてロープを背負う。八重樫は一気に猛攻。相打ちの右ストレートでガクンと膝が落ちたところでメロネン主審が試合をストップした。

 八重樫が壮絶な打撃戦を制し,2度目の挑戦で悲願のベルトを手にした。足と左ジャブを絡めて序盤に主導権を握ったことが勝因。イーグル京和(角海老宝石)への初挑戦で惨敗を喫してから積んだキャリアが実を結んだと言える。中盤には足が止まって不安な展開になったが,終盤に掴んだチャンスをモノにした。防衛を重ねるためには,足を生かした本来の試合運びに徹することが必要だろう。
 ポンサワンは初防衛に失敗。典型的な右ファイタータイプで,重い右ストレート,左右フックで執拗な攻撃を仕掛ける。ベタ足に近くスピードはないが,異常とも思えるタフネスが特徴。ポーカーフェイスで後半になるほどしつこさが増す感じで,相手にとってはイヤなタイプだろう。打たれ続けながらも中盤以降に息を吹き返したあたりは不気味そのもの。

9回までの採点結果 八重樫 ポンサワン
主審:エリキ・メロネン(フィンランド) *** ***
副審:ルーベン・ガルシア(米国) 87 84
副審:シルベストレ・アバインザ(比国) 88 83
副審:ピエルイジ・ポッピ(イタリア) 88 83
参考:MAOMIE 88 83


     ○八重樫:17戦15勝(8KO)2敗
     ●ポンサワン:28戦23勝(16KO)4敗1分

     放送:テレビ東京
     解説:川嶋勝重&内山高志
     実況:島田弘久

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                        2011年10月24日(月)    後楽園ホール
                                8回戦
                   日本ミニマム級3位    T   K   O     タイ国ミニマム級(ノーランク)
                ○   原 隆二     2回2分52秒    アティワトレック・チャイヨンジム   ●
                       (大橋) 105 1/4 lbs                         (タイ) 105 1/4 lbs

 積極的に攻めるアティワトレックに対し,原はいつになく慎重な立ち上がりを見せる。しかし,それも長くは続かない。打ち合いに出たアティワトレックのアゴに原の左アッパーがヒット。ぐらついたところで原の攻勢が始まる。左アッパーでのけぞるアティワトレック。
 2回,原はボディに左アッパー,さらに出てくるアティワトレックのアゴに右アッパーを決める原。左アッパーのボディブローが効いたところで攻勢に出る。アティワトレックは足でかわそうとするが,右ストレート,左右フック,左アッパーの嵐に赤コーナーで防戦一方になったところで浦谷主審が試合をストップした。

 最軽量級のホープ原が見事なTKOで無傷の9連勝を飾った。アグレッシブな原にしてはいつになく慎重なスタートだったが,チャンスを掴んでからは一気の攻勢で試合を決めた。パンチの切れ,スピード,見切りの良さに加え,何よりも攻め抜く姿勢が長所。10戦に満たないキャリアだが,タイトル挑戦も有力なところまで達している。世界に向けてはじっくり経験を積んで欲しいが,日本タイトルであればすぐに挑戦しても面白いだろう。いずれにしても楽しみな逸材である。
 アティワトレックは右ファイタータイプで右フックを武器としている。積極的に仕掛けたが,原に見切られ,左アッパーのボディブローを打ち込まれてからは弱気になった。

     主審:浦谷信彰,副審:土屋末広&中村勝彦&杉山利夫
     ○原:9戦9勝(7KO)     ●アティワトレック:14戦9勝(3KO)5敗
     放送:テレビ東京     解説:川嶋勝重     実況:増田和也

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                      2011年10月24日(月)    後楽園ホール
                              8回戦
                  日本S・フライ級(ノーランク)       日本フライ級8位
                ○   殿村雅史    判 定    吉田拳峙   ●
                       (角海老宝石) 115 lbs              (ワタナベ) 115 lbs

 右の吉田,左の殿村。吉田はフェイントをかけながら変則的な動きで仕掛けるが,空回りが目立つ。殿村は落ち着いて吉田の出方を見ながら左ストレート,右フックを合わせ,序盤で主導権を握った。
 殿村のリードが明白になったのは5回。吉田は左右アッパー,フックで突進するが,殿村は冷静。左ストレートで腰が落ちてぐらつく吉田。続くアゴへの右アッパーで吉田は仰向けにダウン(カウント9)。足に来ている吉田だが,必死に手を出す。
 6回は吉田の手数が勝る。殿村の足が止まり,吉田のペースに付き合っている。しかし,7回は再び殿村のペース。ウィービング,ダッキングしながら右に回り込み,左ストレートから右フックをクリーンヒット。2分過ぎには吉田も右ストレートをヒットするが,右目下が腫れている。
 8回,執拗に食い下がる吉田。しかし,終盤,出バナに打ち下ろした殿村の左ストレート。これでバランスを崩したところに殿村の右アッパーが決まり,吉田は足を滑らせるようにダウンを喫した(カウント8)。再開後吉田は打ち合いを仕掛けるが,時すでに遅し。

 サウスポーのテクニシャン殿村が2度のダウンを奪って元王者・吉田を破った。軽快なフットワークに乗せた左ストレート,右フックのカウンターを得意としており,目と勘の良さが目立つ。ウィービング,ダッキングしながら右に回り込み,吉田の突進をかわしながらタイミングの良いパンチを決めた。吉田の突進に付き合ってしまう場面があったが,全般的にクレバーな仕合運びが光った。
 吉田はフェイントをかけながら執拗に乱戦に持ち込もうと仕掛けた。ときおり殿村が打ち合いに付き合ったときにチャンスがあったが,足を使われると空転が目立った。再浮上を狙ったが,殿村の巧みなフットワークとカウンターに屈した。

採点結果 殿村 吉田
主審:福地勇治 *** ***
副審:浦谷信彰 78 72
副審:中村勝彦 79 72
副審:杉山利夫 78 72
参考:MAOMIE 78 72


     ○殿村:23戦14勝(6KO)8敗1分
     ●吉田:29戦17勝(5KO)11敗1分

     放送:テレビ東京
     解説:なし
     実況:斉藤一也

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