熱戦譜〜2011年2月の試合から


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試合日 試合 結果
2011.02.05  日本フライ級
 王座決定10回戦
 五十嵐俊幸  TKO3R  小林タカヤス
2011.02.05 8回戦  臼井欽士郎  TKO8R  孫 昌鉉
2011.02.05  WBC世界スーパーフライ級
 タイトルマッチ12回戦
 トマス・ロハス  判定  名城信男
2011.02.05  東洋太平洋バンタム級
 タイトルマッチ12回戦
 マルコム・ツニャカオ  TKO6R  中広大悟
2011.02.11  WBC世界ミニマム級
 タイトルマッチ12回戦
 井岡一翔  TKO5R  オーレドン・シッサマーチャイ
2011.02.11 10回戦  宮崎 亮  KO5R  ルークラック・キャットマンミー
2011.02.14  日本ミドル級
 タイトルマッチ10回戦
 淵上 誠  TKO8R  氏家福太郎
2011.02.14 10回戦  大村光矢  4R負傷引き分け  藤沢一成
2011.02.14 8回戦  野崎雅光  判定  久保幸平
10 2011.02.16 10回戦  岩下幸右  TKO8R  金井アキノリ

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                          2011年2月5日(土)    後楽園ホール
                           日本フライ級王座決定10回戦
                   WBC世界フライ級11位   T   K  O    日本フライ級1位
                ○   五十嵐俊幸     3回2分07秒    小林タカヤス   ●
                          (帝拳) 112 lbs                        (川島) 112 lbs
                       WBA14位

 左の五十嵐,右の小林という対照的な顔合わせ。ともにジャブで牽制しながら,ボディにワンツーを放ってチャンスを窺う展開。
 2回,左ストレートをクリーンヒットさせた五十嵐は,ボディからアゴに右フックを返す。さらに小林をロープに詰めて左ストレートのボディブローを決める。小林も負けじと右ストレートを返す。軽量級らしいスピーディでキビキビとした好ファイトななった。
 3回,五十嵐が鮮やかに試合を決めた。お互いにジャブで相手を牽制するが,中盤,右ジャブから前進力に乗せた五十嵐の左フックでぐらついた小林が青コーナーに詰まる。チャンスと見た五十嵐は攻勢。小林はクリンチで逃れようとするが,五十嵐はそれを許さず,ロープに詰めて左右のショート連打。左アッパーのボディブローからワンツーの連打に小林が青コーナーによろめいたところで中村主審が試合をストップした。

 五十嵐が見事なTKOでタイトルを獲得した。08年8月に金城智哉(ワタナベ)を破って暫定王者になっているが,4ヶ月後には東京農大の先輩で正規王者の清水智信(金子)に敗れて暫定王座を吸収されている。今回は晴れて正規王者の仲間入りである。アテネ五輪の代表からプロ入りした攻防兼備のサウスポー。軽快なフットワークでサークリングしながら鋭いワンツーを放ち,スピード豊かなボクシングを展開する。しぶとい小林との駆け引きが注目されたが,右ジャブ,左ストレートを伸ばして小林に先に攻めさせないうまさが光った。層が厚い帝拳ジムの中にあって目立たない存在に甘んじていたが,プロらしい逞しさが加わったことを特筆しておきたい。一皮剥けて本領を発揮すれば,世界挑戦も十分に期待できる。
 小林は右ボクサーファイター。スピーディな動きに乗せて放つ左ジャブ,右ストレートを得意としている。小気味の良いキビキビとしたボクシングが身上。しかし,今夜はフェイントを織り交ぜた五十嵐の攻撃に先手を取られ,攻め倦んだ。上下に打ち分けられ,自分から仕掛けることができなかったことが敗因。

     主審:中村勝彦,副審:浦谷信彰&葛城明彦&杉山利夫
     ○五十嵐:15戦13勝(10KO)1敗1分     ●小林:23戦16勝(2KO)4敗3分
     放送:G+     解説:浜田剛史&セレス小林     実況:藤田大介

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                         2011年2月5日(土)    後楽園ホール
                                  8回戦
                     日本フライ級5位    T   K  O   韓国S・バンタム級チャンピオン
                ○   臼井欽士郎    8回2分29秒     孫 昌鉉   ●
                         (横浜光) 123 lbs                        (韓国) 122 3/4 lbs

 探り合いの静かな立ち上がりとなったが,序盤は孫が左ジャブ,ワンツー,ポディへの右ストレートなどのパンチでリードした。3回,臼井はバッティングで右目尻をカット。
 やや劣勢だった臼井が動きを変えたのは4回。左ジャブを多用して先手を取る攻撃で流れを掴む。臼井は左ジャブからボディへの左アッパー。さらに接近して左右アッパーのボディブローで孫の動きを止めにかかる。
 しかし,6回には逆に右フックからチャンスを掴んだ孫が右ストレート,左右フックで攻勢に出る。左ジャブで打ち負けないようにしたい臼井だが,後手に回る。後半にようやく左右アッパーのボディ攻撃に出るが,終了間際には孫の右ストレートがクリーンヒットした。
 しかし,8回,臼井がワンチャンスをモノにして試合を決めた。鼻から出血しながら果敢に攻める孫に対し,臼井はガードを固めて接近戦で上下に左右アッパーを打つ。右フックでバランスを崩した孫に襲いかかる臼井。右アッパーのボディブローが効いた孫は上体が起きる。ロープを背にした孫を右ストレートでぐらつかせたところでマーチン主審が試合をストップした。『まだやれる』と抗議する孫だが,これは妥当な処置だろう。

 臼井が昨年9月に岩佐亮佑(セレス小林)に4回TKO負けを喫して以来の再起戦を鮮やかなTKOで飾った。右ボクサーファイターで,左ジャブ,ワンツー,左アッパーのボディブローを得意としている。孫の実力は昨年8月の初来日で実証済み。再起戦の相手にその孫を選んだのは少々危険であったが,序盤から続けていたボディ攻撃で孫の動きを鈍らせたことが奏功した。その一方で,随所に課題を残す試合内容となったことも事実。積極的な孫に先手を取られ,自分の流れを作り切れなかった。4回に左ジャブで良い流れを掴んだが,次の回から再び後手に回ってしまったことは大いなる反省点である。浮上するためには左ジャブを多用して先手で攻めることが必要。
 現役韓国王者・孫は右ファイタータイプ。昨年8月に下田昭文(帝拳)の東洋太平洋王座に挑戦して以来,2度目の来日。ワンツー,左右フックがどんどん出る。ガムシャラなコリアンファイターではなく,巧みに間合いを取って空いているところにパンチを浴びせるテクニシャンである。21歳という若さに似合わぬ老獪さがある。

     主審:ビニー・マーチン,副審:葛城明彦&土屋末広&中村勝彦
     ○臼井:23戦20勝(10KO)3敗     ●孫:15戦12勝(5KO)2敗1分
     放送:G+     解説:なし     実況:佐藤義朗

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                  2011年2月5日(土)    大阪府立体育会館第一競技場
                     WBC世界スーパーフライ級タイトルマッチ12回戦
                     チャンピオン            挑戦者(同級7位)
                ○   トマス・ロハス    判 定    名城信男   ●
                        (メキシコ) 115 lbs                (六島) 115 lbs

 フットワークを使いながら出バナに右ジャブ,左ストレートを伸ばすロハス。初回終了間際に名城も左右フックをボディに狙う。3回,名城は手数で押し込む。
 名城の動きが読めたのか,4回に入るとロハスに余裕が出始めた。足を使って回り込み,名城の出バナに右ジャブ,アッパー,左ストレートを浴びせる。5回,上下へのパンチが回転するロハス。どんどん攻めたい名城だが,手数が今一つ。
 6回,名城はロープに押し込むが,ロハスは巧みなボディワークでかわし,右ジャブ,左ストレート,カウンターの右フックをヒット。名城は終了間際に攻勢に出るが,ロハスも左右アッパーで応戦して譲らない。
 7回,名城の右フックが低く入って一時中断。右ストレートで一瞬ぐらついたロハスをロープに詰めて左右フックをまとめる名城。さらに右ストレートのカウンターがヒット。
 8回,バッティングで鼻柱(眉間に近い部位)をカットするロハス。WBCルールにより,名城は減点された。出血を境にやや消極的になるロハス。しかし,名城もジャブが出ず,単調な攻撃でロハスを捉えられない。
 終盤のロハスはスピードが落ちて集中力も切れ気味のところを見せたが,名城も正確さを欠いた。12回,マウスピースを覗かせたロハスは苦しそうに口で呼吸するが,左右に回り込んで名城を入れさせず逃げ切った。

 世界戦としては盛り上がりに欠ける凡戦。
 ロハスは初防衛に成功。サウスポーのボクサータイプで,長いリーチを生かした多彩な攻撃が売り物。武器は右ジャブ,左ストレート,左右アッパー。広いスタンスと懐の深さが特徴で,左右に回り込みながら展開するアウトボクシングを得意としている。しかし後半は失速して手数が減り,スタミナに難があるところを露呈した。王者としては物足りない試合内容である。老獪だが,難攻不落ではない。
 名城はベルト奪回に失敗。前に出ていた割には,手数の少なさが目立った。4回以降は単調で無策な攻撃を読まれ,うまくかわされた印象である。ロハスが終盤に失速しただけに,序盤から左ジャブを多用しながらプレッシャーをかけて上下への波状攻撃に出ていればと悔やまれる。

採点結果 ロハス 名城
主審:ロッキー・バーク(米国) *** ***
副審:エドワード・クグラー(米国) 116 111
副審:ヒューバート・ミン(米国) 114 113
副審:キム・ジェボン(韓国) 116 113
参考:MAOMIE 117 113


     ○ロハス:49戦35勝(23KO)12敗1分1無効試合
     ●名城:18戦14勝(9KO)3敗1分

     放送:テレビ大阪
     解説:徳山昌守   ゲスト:長谷川穂積
     実況:植草結樹

※ 8回,偶然のバッティングでロハスが負傷したため,負傷していない名城に減点1が課せられている(WBCルール)。

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                  2011年2月5日(土)    大阪府立体育会館第一競技場
                      東洋太平洋バンタム級タイトルマッチ12回戦
                     チャンピオン     T   K   O  挑戦者(WBA世界S・フライ級10位)
              ○   マルコム・ツニャカオ   6回2分32秒      中広大悟   ●
                      (真正) 117 1/2 lbs                       (広島三栄) 117 1/2 lbs
                      WBA14位,WBC6位

 序盤からツニャカオのペースで進む。フェイントから左ストレート,フックを上下に打ち分けて早くも主導権を握った。中広は右ストレートをボディに打って飛び込むが,ツニャカオは打ち終わりに左アッパーをヒット。
 3回,中広が良い流れを作りかけるが,ツニャカオは中広をロープに詰めて強烈な右アッパーから左ストレートを浴びせてのけぞらせる。心憎いまでの老獪な試合運びを見せるツニャカオに手が出ない中広。
 5回,ツニャカオは中広が不用意に出たところに左フックを浴びせる。終盤,ツニャカオはワンツーから左右フックを連打。左ストレートで中広がバランスを崩す。
 6回開始早々,バッティングで右目上をカットした中広がドクターチェックを受ける。再開するが,血が目に入ってやりにくそう。中広はピッチを上げるが,勝負所と見たツニャカオは逆にロープに詰めてワンツーを浴びせる。ここで2度目のドクターチェック。激しい打ち合いになるが,ツニャカオはロープを背負った中広に右フックのボディブローからアゴに右アッパーを突き上げる。これが効いて中広の出足が止まった。ロープに詰まったところに左ストレートをヒットしたところで川上主審が試合をストップした。

 ツニャカオが見事な横綱相撲で3度目の防衛に成功した。攻勢に出ようとする中広に何もさせない圧勝である。フェイントを織り交ぜ,上下に打ち分けるワンツー,左右アッパーはスピード豊かで多彩そのもの。ディフェンステクニックも抜群で,緩急をつけた攻撃はツニャカオならではのものだろう。興行的には日本での世界挑戦は困難だろうが,ぜひ実現させたい実力派である。
 中広は右ファイタータイプで右ストレート,左右フックの連打を得意としている。積極的に攻めたものの,老獪なツニャカオに見切られ,攻め込むところや待っているところに被弾した。まさに手も足も出ない完敗である。

     主審:川上淳,副審:半田隆基&ヒューバート・ミン(米国)&宮崎久利
     ○ツニャカオ:33戦28勝(17KO)2敗3分     ●中広:26戦21勝(8KO)4敗1分
     放送:G+     解説:飯田覚士     実況:中野謙吾

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                  2011年2月11日(金)    神戸ワールド記念ホール
                      WBC世界ミニマム級タイトルマッチ12回戦
                挑戦者(同級10位)    T   K  O       チャンピオン
             ○   井岡一翔      5回1分07秒   オーレドン・シッサマーチャイ   ●
                     (井岡) 105 lbs                            (タイ) 104 1/2 lbs

 初挑戦の井岡が地元の声援を受けてジリジリとプレッシャーをかける。下がりながら慎重に様子を見るオーレドン。
 井岡が優位に立ったのは2回。右ストレートをボディに狙って迫る。応戦するオーレドンだが,2分過ぎ,ニュートラルコーナーで井岡が放った左フックのカウンターがアゴに決まる。このパンチでオーレドンは両グラブをキャンバスにつき,ダウンを取られた(カウント8)。
 4回,井岡が主導権を動かぬものにした。右ストレートのボディブローでプレッシャーをかける。オーレドンは右フック,左ストレートを振るが,届かない。井岡が放ったノーモーションの右ストレートでロープを背にのけぞるオーレドン。
 5回,劇的な幕切れが用意されていた。右ストレートのボディブローでプレッシャーをかけ続ける井岡。オーレドンは意を決したように右フック,左ストレートを振って攻め込むが,パンチが届かず,上体が泳いだまま正面からの打ち合いに突入。ロープ際から回り込んだ井岡の左アッパーがガラ空きのボディを抉る。これが致命傷になり,オーレドンはたまらず仰向けに崩れ落ち,苦悶の表情。マクタビッシュ主審がカウントの途中で試合をストップした。

 井岡が日本人としては史上最短の7戦目で世界タイトルを奪取した。本来のライトフライ級から一階級下げての悲願成就。攻防にバランスが取れた右ボクサーファイターで,ワンツー,ボディへの左アッパーに軽量級らしからぬ破壊力がある。無敗のオーレドンに対して怯むことなくプレッシャーをかけ続けたことが勝因。右ストレートのボディブローを多用していたが,これでオーレドンが前に出られなくなった面がある。
 7度目の防衛に失敗したオーレドンは41戦目で初の敗戦。まさに屈辱のTKO負けである。サウスポーの技巧派でタイミングの良いワンツー,右フックを得意としている。伝えられていた減量苦を裏付けるように動きに切れを欠いた。井岡のパンチを警戒して消極的になったことが敗因。

4回までの採点 井岡 オーレドン
主審:ブルース・マクタビッシュ(比国) *** ***
副審:ダグラス・ベルトン(ニュージーランド) 38 37
副審:エリック・ジョン・ギレット(ニュージーランド) 37 38
副審:サムエル・コンデ(プエルトリコ) 40 35
参考:MAOMIE 40 36


     ○井岡:7戦7勝(5KO)
     ●オーレドン:41戦39勝(14KO)1敗1分

     放送:TBS
     解説:香川照之&鬼塚勝也&佐藤修&内藤大助
     実況:伊藤隆佑

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                  2011年2月11日(金)    神戸ワールド記念ホール
                               10回戦
               WBC世界L・フライ級4位    K      O     タイ国L・フライ級(ノーランク)
             ○   宮崎 亮        5回1分35秒     ルークラック・キャットマンミー   ●
                   (井岡) 109 3/4 lbs                           (タイ) 108 1/2 lbs
                   WBA7位

 宮崎が初回から呑んでかかったようにプレッシャーをかける。細かく左ジャブを突きながらロープに詰め,右ストレート,ボディへの左アッパーを見舞う。ルークラックのワンツーを巧みなスウェイバックで空転させる宮崎。
 2回,上下にスピーディなパンチを散らす宮崎の一方的な試合になった。終盤,宮崎のワンツーがクリーンヒット。3回終盤には左アッパーのボディブローが効いたルークラックが後退する。
 4回,宮崎の攻勢は止まらない。2分過ぎ,右ストレートでぐらつかせた宮崎はルークラックをロープに詰め,一気に攻勢に出る。
 5回開始早々から左アッパーのボディブローを多用して襲いかかる宮崎。ルークラックは必死に食い下がるが,ロープを背負ったところに左アッパーを脇腹に打ち込まれ,崩れるようにダウン。仰向けに倒れたままカウントアウトされた。

 世界の期待がかかる宮崎が格の違いを見せつけた。開始早々から圧倒し,堂々たるKO勝ちで存在をアピールした。目と勘に優れる右ボクサーファイターで右ストレート,ボディへの左アッパーに威力がある。ハンドスピードと相手を見切る能力は抜群。同門の井岡一翔の影に隠れているが,センスは井岡以上のものがある。上下への打ち分けも見事で,近い将来に世界挑戦が期待できる。
 ルークラックは右ファイタータイプで左右フック,アッパーの連打を武器としている。足は使わず,接近しての打ち合いを好む。良く食い下がったが,宮崎とのスピードの差は歴然。タフだが,左アッパーのボディブローを再三打ち込まれて徐々に動きが鈍った。

     主審:福地勇治,副審:宮崎久利&半田隆基&野田昌宏
     ○宮崎:16戦13勝(8KO)3分     ●ルークラック:13戦10勝(4KO)3敗
     放送:TBSチャンネル     解説:鬼塚勝也&佐藤修     ゲスト:内藤大助     実況:新夕悦男

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                     2011年2月14日(月)    後楽園ホール
                      日本ミドル級タイトルマッチ10回戦
                    チャンピオン    T   K   O   挑戦者(同級1位)
               ○   淵上 誠    8回1分52秒    氏家福太郎   ●
                    (八王子中屋) 158 3/4 lbs                (新日本木村) 160 lbs

 サウスポーの淵上が右ジャブで牽制し,右フック,左ストレートをヒット。氏家はジャブをパリーイングしながら右ストレートを伸ばす。
 3回,淵上が優位に立った。40秒,鮮やかなワンツーで氏家の動きが止まる。打ち下ろしの左ストレートをフォローされた氏家はもんどり打って仰向けにダウン(カウント8)。氏家は立ち上がるが,足元がふらつく。淵上,攻勢。左ストレート,フックでぐらついた氏家は鼻から出血。終盤,青コーナーに詰まった氏家は辛うじてゴングに救われた。
 このダウンを境に,淵上のワンサイドゲームになった。右ジャブをかわして打ち合いに持ち込みたい氏家だが,正面に立って左ストレートを食う場面が目立つ。5回終了間際,淵上はバッティングで左目上をカットするが,優位は動かない。7回,氏家は前に出てボディに右ストレート,左フックを放つが,敗色濃厚。
 8回,氏家は食い下がるが,1分過ぎ,鮮やかなワンツーが決まって動きが止まる。チャンスと見た淵上はワンツーの連打で一気に攻勢。耐える氏家だが,左フックで後退したところで土屋主審が試合をストップした。

 淵上は見事なTKOで初防衛に成功。180cmの長身でリーチに恵まれたサウスポーのボクサータイプ。右ジャブで牽制しながら,ここぞというタイミングで放つ左ストレートを武器としている。氏家の単調な攻撃を読み,トリッキーな動きからシャープなワンツーを浴びせた。タイトルを獲得したことが自信につながっているのだろう。氏家が攻め込むと足を使って打ち気を逸らすなど,クレバーな面を見せた。これで5連勝(4KO)と好調をキープしている。以前は重量級にしては非力な印象だったが,一皮剥けたことで今後の伸びしろを感じさせた。
 氏家は4年ぶり2度目のタイトル挑戦に失敗。左フック,右ストレートに破壊力のある右ボクサーファイター。今夜は単調な攻撃とスピード不足が災いした。淵上の右ジャブをパリーイングしたところまでは良かったが,揺さぶりなどの工夫に乏しかった。攻め倦んで正面に立ったところに的確なパンチを浴びたことが敗因。

7回までの採点 淵上 氏家
主審:土屋末広 *** ***
副審:浅尾和信 70 63
副審:福地勇治 70 63
副審:杉山利夫 70 62
参考:MAOMIE 70 62


     ○淵上:21戦15勝(6KO)6敗
     ●氏家:25戦16勝(11KO)8敗1分

     放送:フジテレビNEXT
     解説:川島郭志
     実況:森昭一郎

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                       2011年2月14日(月)    後楽園ホール
                               10回戦
                  日本ライト級4位      負傷引き分け   日本ライト級(ノーランク)
              ×   大村光矢     4回2分08秒     藤沢一成   ×
                     (三迫) 129 3/4 lbs                      (レパード玉熊) 129 lbs

 大村がパワーにモノを言わせて開始早々から主導権を握った。藤沢をロープに詰め,右ストレートからボディに左アッパー,フックを見舞う。ここで両者が早くも左目上をカット(ともに相手の有効打による傷と発表された)。
 2回にも大村の攻勢は止まらない。藤沢の左ジャブが出ていると大村の出足が鈍ったが,ロープを背負う場面が目立つ。
 3回,藤沢が下がりながら細かく左ジャブ,左右アッパーを見舞うが,大村は構わず前に出て右ストレートからボディへの左アッパー。大村の左目上の傷が深くなり,ドクターチェック。これは初回に藤沢の有効打で負った傷が偶然のバッティングで悪化したものと発表された。
 4回,勝負を急ぐ大村は藤沢をニュートラルコーナーに詰めて攻勢。藤沢も負けじと応戦。大村が右ストレートをまともに食う場面も見られた。大村の左目上の傷が深くなり,再びドクターチェック。これが試合続行不能とされ,ここで試合がストップした。

 負傷引き分けという不完全燃焼の結果となったが,激しいパンチの応酬で見応えのある試合。
 大村はパワフルな攻撃を売り物にする右ファイタータイプ。右ストレート,接近して打ち込む左アッパーのボディブローが武器。体ごと押し込んで見舞う連打を身上としているが,被弾が多いことが欠点。タイトルに手をかけるためには,ディフェンスの強化が課題になる。
 藤沢は右ボクサータイプ。左ジャブの連打からの右ストレート,アッパーを武器としている。非力ではあるが,大村の出バナや攻撃の切れ目に浴びせた右ストレートにうまさを見せた。ロープを背負う場面が多いが,これは見栄えが悪い。

     主審:浦谷信彰,副審:杉山利夫&土屋末広&飯田徹也
     ×大村:19戦13勝(9KO)5敗1分     ×藤沢:18戦9勝(2KO)6敗3分
     放送:フジテレビNEXT     解説:川島郭志     実況:竹下陽平

※ 久保の有効打で負った大村の左目上の傷が偶然のバッティングで悪化したため,4回途中に試合続行不能となったもの。偶然のバッティングで悪化した傷によって試合の前半に試合が停止したため,負傷引き分けとなる。

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                   2011年2月14日(月)    後楽園ホール
                           8回戦
                日本S・フライ級6位        日本S・フライ級(ノーランク)
             ○   野崎雅光    判 定    久保幸平   ●
                  (八王子中屋) 115 lbs               (セレス) 114 lbs

 右の野崎,左の久保という顔合わせ。初回,軽快なフットワークと小刻みな上体の動きから右ストレートを伸ばす野崎。久保が左フックから左ストレートをボディに決めてリードを奪う。
 しかし2回に入ると手数が多く先手で攻める野崎が主導権を握った。3回には野崎が右ストレートから左アッパーのボディブローをヒット。フェイントからの右ストレートを受けた久保がのけぞる場面が見られた。待ちのボクシングになった久保はやや苦戦。
 4回は久保が左フックのクリーンヒットから攻勢に出たが,5回以降は再び野崎が手数を増してペースを掴む。
 6回,野崎は両目上をカットしてドクターチェックを受ける(左目上はバッティング,右目上は久保の有効打による傷と発表された)。しかし,そのハンデにも関わらず,野崎が手数で久保を上回る。
 7回,久保が右フック,左ストレートで反撃の構えを見せるが,久保の左ストレートに合わせた野崎の右ストレートがカウンターになる。このパンチで腰を落とした久保は赤コーナーに後退。野崎,攻勢。ボディブローのダメージも加わって久保の動きが鈍る。久保も引き下がらず,終了間際には右フック,左ストレートのラッシュで野崎を赤コーナーに詰めた。
 8回,激しい打ち合いが続く。鼻から出血しながらパンチを出す野崎。久保は必死に応戦するが,余力を残していた野崎が手数で上回る。

 軽量級らしいキビキビとした好ファイトになった。日本ランカーの貫録を見せた野崎が2−0ながらも判定勝ち。アマチュア出身だけに基礎がしっかりした右ボクサーファイター。軽快なフットワーク,小刻みな上体の動きからワンツー,左右フック,ボディへの左アッパーなどのスピーディで多彩なコンビネーションブローを得意としている。ただしサウスポーの左フックをまともに食う場面が見られた。ディフェンス面に改善の余地がある。
 久保はサウスポーのボクサーファイター。左フック,ストレート,右フックに良いものがある。敗れたものの,終盤に見せた粘りは見事。しかし,野崎のスピーディな攻撃で後手に回る場面が目立った。

採点結果 野崎 久保
主審:浅尾和信 *** ***
副審:飯田徹也 79 75
副審:福地勇治 77 75
副審:浦谷信彰 76 76
参考:MAOMIE 78 74


     ○野崎:13戦11勝(4KO)2敗
     ●久保:13戦9勝(5KO)3敗1分

     放送:フジテレビNEXT
     解説:川島郭志
     実況:立本信吾

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                      2011年2月16日(水)    神戸市立中央体育館
                               10回戦
                日本ライト級(ノーランク)    T   K   O   日本ライト級8位
              ○   岩下幸右      8回2分41秒    金井アキノリ   ●
                     (グリーンツダ) 135 lbs                       (真正) 135 lbs

 ともに軽快な動きから左ジャブを突いて立ち上がる。
 先にペースを掴んだのは岩下。3回,左右に小刻みな動きを見せ,左ジャブから右ストレートを見舞う。
 4回,岩下はうまく自分の距離を保つ。終盤,金井の右ストレートが決まるが,岩下はすぐに右ストレートをヒット。金井は左目上をカットしてドクターチェックを受ける。さらに5回には右目上もカットしてドクターチェック(いずれも岩下の有効打による傷)。岩下の足を止めたい金井だが,岩下に余裕が見られる。岩下は金井の出バナに左右ショートフックから右ストレートをヒット。金井も左右フックのボディブローから右アッパーをヒットするが,岩下は左ジャブ,右ストレートを決めて試合の流れは譲らない。
 両目上からの出血に苦しむ金井は6・7回に足を止めた打ち合いに持ち込んで手数で上回ったが,8回は再び岩下がペースを握る。左右アッパーのボディブローの応酬となる。ここは岩下が良く見て右ストレート,左フックをヒット。足を使って左ジャブをヒットする岩下は金井をロープに押し込んで連打をまとめる。リング中央で右ストレート,左フックをヒットする岩下。左右ショートフックをまとめたところで川上主審が試合をストップした。

 岩下が金井を破り,再ランクインを確実にした。フットワークを使いながら左ジャブをヒットし,スピードのある試合運びをする右ボクサーファイター。右ストレートを決め手としている。足が動いて自分の間合いをキープしているときは非常に良い持ち味を発揮する。ネームバリューのある金井を相手に腰が引けることなく渡り合ったのは見事。
 再浮上を狙っていた金井は姫路木下ジムからの移籍第1戦だったが,痛い星を落とした。6・7回に頭をつけた打ち合いで流れを掴んだかに見えたが,8回に再び距離を取られてチャンスを潰した。両目上をカットし,出血で視界が妨げられたことが響いた。

     主審:川上淳,副審:坂本相悟&半田隆基&宮崎久利
     ○岩下:24戦12勝(7KO)10敗2分     ●金井:27戦21勝(20KO)6敗
     放送:BS日テレ     解説:六車卓也     ゲスト:長谷川穂積     実況:鈴木健

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