熱戦譜〜2010年12月の試合から


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試合日 試合 結果
2010.12.04 ノンタイトル10回戦  佐藤幸治  TKO5R  サロモン・ロドリゲス
2010.12.05  WBA女子世界ミニマム級
 タイトルマッチ10回戦
 多田悦子  判定  アマラ・ゴーキャットジム
2010.12.06  東洋太平洋ウェルター級王座決定
 &日本ウェルター級タイトルマッチ12回戦
 井上 庸  判定  加藤壮次郎
2010.12.06  日本スーパーフライ級
 タイトルマッチ10回戦
 佐藤洋太  TKO7R  福本雄基
2010.12.13  東洋太平洋ライト級
 タイトルマッチ12回戦
 三垣龍次  TKO8R  高瀬 司
2010.12.19 5回戦(ミニマム級決勝)
第57回全日本新人王戦
 原 隆二  TKO5R  伊藤秀平
2010.12.19 5回戦(スーパーフェザー級決勝)
第57回全日本新人王戦
 荒井 翔  TKO3R  中山和彦
2010.12.19 5回戦(ライト級決勝)
第57回全日本新人王戦
 土屋修平  TKO1R終了  三好祐樹
2010.12.19 5回戦(ウェルター級決勝)
第57回全日本新人王戦
 林 欽貴  TKO3R  向 真一郎
10 2010.12.23  WBA世界スーパーフライ級
 タイトルマッチ12回戦
 ウーゴ・カサレス  判定  久高寛之
11 2010.12.23 8回戦  宇川広之  TKO1R  闘将青木 誠
12 2010.12.26  WBA世界バンタム級
 王座決定12回戦
 亀田興毅  判定  アレクサンデル・ムニョス
13 2010.12.26  WBA世界フライ級
 タイトルマッチ12回戦
 亀田大毅  判定  シルビオ・オルティーヌ
14 2010.12.26 10回戦  亀田和毅  KO3R  ピチットチャイ・ツインズジム

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                             2010年12月4日(土)    後楽園ホール
                                 ノンタイトル10回戦
                 東洋太平洋ミドル級チャンピオン    T   K   O   メキシコ ミドル級(ノーランク)
                ○   佐藤幸治         5回0分37秒    サロモン・ロドリゲス   ●
                        (帝拳) 163 lbs                               (メキシコ) 162 lbs
                        WBC14位

 スキンヘッドのロドリゲスが重い左右フックをボディに放って前に出る。2回,ニュートラルコーナーに佐藤を詰めていくロドリゲス。しかし逆に右から左のフックが決まり,ロドリゲスは腰からキャンバスに落ちてダウンを喫した。ロドリゲスも左フックをヒットして反撃し,予断を許さぬ展開になる。
 3回,佐藤はロドリゲスが前に出るところに右ストレート,左アッパーからボディに左アッパーを打ち込む。効いているロドリゲス。
 4回,ロドリゲスの右ストレートで佐藤が左目上をカット。この傷を気にして頻りにグラブで血を拭う佐藤は終了間際,打ち終わりに右ストレートをもらって不覚のダウン。
 ダウンを喫して目が覚めた佐藤の強打が爆発したのは5回。開始早々,今度はロドリゲスの打ち終わりに右ストレートを決めてぐらつかせる。チャンスとみた佐藤は一気に左右フックの連打で襲いかかる。横殴りの右フックがテンプルに炸裂し,前に落ちるロドリゲス。ここでマーチン主審が割って入り,ノーカウントで試合をストップした。

 強打者同士のダウンの応酬というスリリングな試合になった。最後は豪腕で仕留めた佐藤だが,不用意にロドリゲスを中に入れてしまうことが気になった。威力のある持ち味の左ジャブ,ストレートが少ないから入られてしまうのだろう。右ストレートの打ち終わりにパンチを返される場面が続いた。4回に左目上をカットし,集中力を欠いたことも拙戦の原因。大いなる反省点を残した一戦である。
 ロドリゲスは右ストレート,左フックに破壊力がある右ファイタータイプ。ベタ足で動きは鈍重だが,気が強く,打たれても敢然と打ち返してくる。ガードが甘いことが欠点。

     主審:ビニー・マーチン,副審:杉山利夫&中村勝彦&染谷路朗
     ○佐藤:19戦18勝(16KO)1敗     ●ロドリゲス:14戦10勝(9KO)3敗1分
     放送:G+     解説:浜田剛史&セレス小林     実況:中野謙吾

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                     2010年12月5日(日)    大阪:ATCホール
                    WBA女子世界ミニマム級タイトルマッチ10回戦
                  チャンピオン         挑戦者(東洋太平洋女子アトム級チャンピオン)
             ○   多田悦子    判 定    アマラ・ゴーキャットジム   ●
                    (フュチュール) 105 lbs               (タイ) 105 lbs

 上背で勝る多田が右ジャブ,左ストレートの小気味の良い攻撃を見せる。右アッパーのカウンターをヒット。アマラは左にスイッチしながら左右フックを振るが,届かない。
 3回,アマラが強引で執拗なボディ攻撃で迫る。多田は回り込んで出バナを叩きたいところ。
 中盤,右に左にと目まぐるしくスイッチしながら執拗な攻撃を繰り返すアマラ。多田は左ストレート,左右ショートフックで応戦するが,突き放したい。
 右ジャブが出ないために距離を詰められてしまう多田だが,7回後半,ようやく回り込んで左右アッパー,左ストレートを浴びせる本来の動きが見られた。8回,フットワークが出て右ジャブを多用する多田。さすがに打ち疲れが出たのか,アマラは出足が鈍る。10回,多田はアマラの出バナに左ストレート,左右ショートフックを浴びせる。アマラは動きが鈍るが,最後まで執拗な前進は止めなかった。

 多田は4度目の防衛に成功。大差の判定勝ちだが,アマラの強引で執拗な攻撃に合わせてしまった面がある。持ち味のフットワークが出たのは終盤。カウンターの左ストレートを決め,回り込んで左右ショートアッパーを浴びせた。前半アマラの接近を許した原因は持ち味の足が動かず,右ジャブが出なかったこと。やはり足と右ジャブを生かした持ち味のアウトボクシングに徹するべきだろう。
 アマラは右ファイタータイプ。ベタ足でスピードはないが,旺盛な手数で泥臭く攻める。頻繁にスイッチし,変則的な攻撃を特徴としている。ボディ攻撃で迫ったが,多田の動きを止めるには至らなかった。

採点結果 多田 アマラ
主審:浅尾和信 *** ***
副審:チャラーム・プラヤドサブ(タイ) 99 91
副審:柳完洙(韓国) 100 90
副審:ビニー・マーチン 99 91
参考:MAOMIE 98 92


     ○多田:9戦7勝(2KO)2分
     ●アマラ:8戦6勝(2KO)1敗1分

     放送:スカイA
     解説:浅沢英&富樫直美
     実況:田野和彦

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                  2010年12月6日(月)    後楽園ホール
          東洋太平洋ウェルター級王座決定&日本ウェルター級タイトルマッチ12回戦
                挑戦者(同級1位)       日本ウェルター級チャンピオン
             ○   井上 庸    判 定    加藤壮次郎   ●
                   (ヤマグチ土浦) 147 lbs           (協栄) 147 lbs
                  東洋太平洋ウェルター級2位          東洋太平洋ウェルター級1位   かとう・たけじろう

 5回,ニュートラルコーナーに追い込んで左アッパーをボディに打とうと踏み込む加藤。しかし,そこに左フックをカウンターされ,加藤はコーナー下でダウンを喫した。
 ところが試合の見せ場はこのダウンシーンだけ。後は両者ともに一発打ってはクリンチ,揉み合いに終始し,試合は全く盛り上がらないままにラウンドだけを重ねた。
 8回,加藤はバッティングで左目上をカット。9回,加藤はこの傷でドクターチェックを受ける。井上も消耗が激しく,一発打っては抱きついて揉み合う展開が続いた。
 11回,加藤の右フックが決まり,腰が砕けた井上は必死に抱きついてダウンを免れた。この直後に井上は倒れ込んだが,押し倒しがあり,スリップダウンとの判断が下される。井上は再三のホールディングで減点された。
 12回,揉み合うだけのグズグズの展開が続く。両者ともに攻撃の意思はあるが,消耗が激しくパンチにならない。

 東洋太平洋と日本のベルトを賭けた一戦にしてはお粗末な凡戦に終始した。退屈な展開にリングサイドで大あくびするファンも見受けられた。
 勝った井上は左右フックを武器とする変則的な右ファイタータイプ。5回にダウンを奪ったが,中盤から一発打っては抱きつく展開の連続でスタミナ不足を露呈した。まずは12ラウンドをフルに戦い切るスタミナの養成が急務である。二冠を手中にしたが,前途は多難と言わざるを得ない。今のままでは挑戦を希望する者が殺到するだろう。
 加藤は日本王座の初防衛に失敗。右ファイタータイプで右ストレート,左フックを得意としているが,決め手に欠ける面がある。井上の揉み合いに巻き込まれたことが敗因。

採点結果 井上 加藤
主審:福地勇治 *** ***
副審:浅尾和信 117 113
副審:中村勝彦 114 113
副審:島川威 114 112
参考:MAOMIE (67) (67)


     ○井上:21戦18勝(11KO)1敗2分
     ●加藤:38戦25勝(12KO)10敗3分

     放送:TBS
     解説:佐藤修
     実況:新夕悦男

※ 第11ラウンドのホールディングによる井上の減点1を含む採点。
※ 第1・2・3・4・7ラウンドをカットして放送(MAOMIEの採点は放送されたラウンドのみの集計結果です)。

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                       2010年12月6日(月)    後楽園ホール
                       日本スーパーフライ級タイトルマッチ10回戦
                     チャンピオン     T   K  O   挑戦者(同級6位)
                ○   佐藤洋太    7回2分18秒    福本雄基   ●
                       (協栄) 115 lbs                       (三谷大和) 115 lbs
                     WBA7位,WBC7位

 佐藤がトリッキーな動きから早くも右ストレートを決める。距離を取り,左ジャブを的確にヒットする佐藤が主導権を握った。
 3回,福本のワンツーもヒットするが,佐藤は左ジャブ,右ストレートで試合をコントロールした。さらに接近して右アッパーを見舞う。
 4回は福本が激しく攻め立て,右ストレートを浴びせて佐藤をコーナーに詰めていく。
 5回は再び佐藤。左ジャブ,右ストレートを多用して流れを作った。打ち下ろしのワンツーを浴びせ,さらにワンツーで福本にロープを背負わせて激しく攻め立てた。
 6回,佐藤が左ジャブ2発から右ストレートをクリーンヒット。福本も果敢に反撃を見せるが,佐藤の優位は動かない。
 そして7回,佐藤は右ストレートで動きが鈍った福本を青コーナー付近のロープに詰めて攻勢。ここで福本は左目上をカット。チャンスと見た佐藤はロープに詰めて一気にラッシュ。死力を振り絞って逆に佐藤を赤コーナーに詰めた福本だが,コーナーを背にした佐藤が放った右ストレートのカウンターでぐらついたところで浦谷主審が試合をストップした。

 佐藤は2度目の防衛に成功。鋭い左ジャブ,右ストレートとスピーディなフットワークを持ち味とする右ボクサータイプ。福本の激しいアタックに追い込まれる場面があったが,その都度左ジャブで立て直していたことが目についた。今後が非常に楽しみな新鋭である。リーチとスピード,フットワークをフルに生かすことを常に考えるべきだろう。
 福本は右ファイタータイプ。右ストレート,左右フックを得意としており,非常に闘志溢れる戦いぶりが特徴。佐藤の右ストレートで再三ぐらついたが,その度に果敢に反撃して見せ場を作った。敗れはしたが,健闘が光る。

6回までの採点 佐藤 福本
主審:浦谷信彰 *** ***
副審:福地勇治 59 55
副審:杉山利夫 59 55
副審:安部和夫 59 56
参考:MAOMIE 58 56


     ○佐藤:23戦20勝(11KO)2敗1分
     ●福本:15戦11勝(3KO)4敗

     放送:TBS
     解説:佐藤修
     実況:杉山真也

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                       2010年12月13日(月)    後楽園ホール
                       東洋太平洋ライト級タイトルマッチ12回戦
                     チャンピオン    T   K   O    挑戦者(同級7位)
                ○   三垣龍次   8回0分51秒     高瀬 司   ●
                       (MT) 134 1/2 lbs                     (大阪帝拳) 134 1/2 lbs
                        WBA9位,WBC7位

 初回,三垣がリズムに乗った攻撃で主導権を握った。中盤,クロス気味の右ストレートが決まり,高瀬は右膝をついてダウンを喫した。高瀬は反撃に出るが,三垣は左ジャブから左右のショート連打を浴びせてそれを許さない。高瀬は鼻から出血し,早くも苦しい展開を強いられた。
 2回以降も三垣の優位は動かない。左ジャブを多用し,力を抜いた左フック,右ストレートをまとめて連打する。休む間を与えないショートブローの雨に高瀬は徐々にダメージを蓄積させた。
 5回,高瀬の鼻血が酷くなる。6回,ショート連打からの左フックでロープに詰まる高瀬。チャンスと見た三垣がギヤチェンジして一気に仕留めにかかる。高瀬は粘りを見せるが,終了間際,三垣は再び連打をまとめた。
 ワンサイドゲームに終止符が打たれたのは8回。良く粘る高瀬だが,三垣のショート連打が止まらない。右ストレートからピッチを上げた三垣が左右のショートブローを浴びせれば,高瀬はロープ際に後退。ストップのタイミングを見計らっていた杉山主審が割って入り,ロープを背にした高瀬が大きく天を仰いで決着がついた。

 三垣が会心のTKOで2度目の防衛に成功。冷静に高瀬の出方を見極め,力を抜いたショートブローを浴びせ,効いたところで一気にピッチを上げる巧みな試合運びが光る。絶えず左ジャブが出ていたことが非常に良かった。上下への打ち分けも見事で,技巧の粋を尽くした申し分ない試合内容である。打たれ脆さが弱点であるが,ポカミスをしないように気を引き締めれば世界挑戦のチャンスもあるだろう。
 初挑戦の高瀬は176cmという右ボクサータイプ。右ストレート,ボディへの左アッパーを武器としている。三垣のうまさにしてやられ,攻撃の糸口が全く掴めないままに敗退した。実力派の三垣を向こうに回して健闘したが,ダメージが蓄積しておりストップは妥当な処置である。

     主審:杉山利夫,副審:福地勇治&土屋末広&浦谷信彰
     ○三垣:18戦16勝(12KO)2敗     ●高瀬:13戦12勝(7KO)1敗
     放送:フジテレビNEXT     解説:川島郭志     実況:西岡孝洋

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                  2010年12月19日(日)    後楽園ホール
                 第57回全日本新人王決勝戦(ミニマム級)
                           5回戦
                  東軍代表    T   K  O     西軍代表
             ○   原 隆二    5回1分40秒    伊藤秀平   ●
                  (大橋) 104 3/4 lbs                    (真正) 105 lbs
             原は技能賞を受賞

 初回,積極的に仕掛けたのは伊藤。しかし原は動じない。伊藤の動きをよく見て左アッパー,フックを下から上へダブルで。右ストレートでぐらつく伊藤。原はさらにウィービング,ダッキングしながら左アッパーでボディを叩く。終了間際にも右ストレートで伊藤がぐらついた。
 2回に入っても原の的確なパンチが止まらない。左ジャブ,フック,右ストレートがヒット。3回,青コーナーに原を追い込んだ伊藤が攻勢に出るが,原は的確なブロック,ウィービングでかわし,右ストレートから一気にラッシュする。
 4回,伊藤は再び積極的に攻めるが,原の右ストレート,左フックが鋭く,伊藤の敗色はさらに濃厚となった。左目上をカットした伊藤はドクターチェックを受ける。終了間際,原の右ストレートでぐらつく伊藤。
 5回,粘る伊藤だが,原のスピード十分なパンチを受ける。原の右ストレート,左フック,右ストレートの攻勢で伊藤が力なく後退したところで岡庭主審が試合をストップした。

 高いレベルの技術力を見せた原が見事なTKOで全日本新人王を制した。原は東日本に続いて技能賞に輝いた。前後左右への動きから鋭い左ジャブ,フック,右ストレート,ボディへの左アッパーを矢継ぎ早に繰り出す。パンチは鋭く,スピードも十分。ウィービング,ダッキングを中心にディフェンスの勘も優れている。上体が立って相手の正面に立ってしまうことが欠点だが,これは距離を詰め過ぎてしまうことが原因。出入りを生かしてこれを改良すれば,さらに攻撃力が増すだろう。活きの良い楽しみな新人が現れたものだ。
 伊藤は右ストレート,左フックを得意とする右ファイタータイプ。果敢に攻めたが,動きを原に読まれ,空いているところに被弾した。技術力の差が明暗を分けたと言える。

     主審:岡庭健,副審:中村勝彦&土屋末広&浦谷信彰
     ○原:5戦5勝(3KO)     ●伊藤:10戦9勝(3KO)1敗
     放送:G+     解説:セレス小林     実況:藤田大介

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                  2010年12月19日(日)    後楽園ホール
               第57回全日本新人王決勝戦(スーパーフェザー級)
                          5回戦
                  東軍代表   T   K  O    西軍代表
            ○   荒井 翔   3回1分09秒   中山和彦   ●
                   (ワタナベ) 130 lbs                  (FUKUOKA) 130 lbs

 立ち上がりから前に出てプレッシャーをかけたのは中山。ガードを低くした荒井は下がりながら変則的な動きからチャンスを窺う。中山が入るところに荒井の右アッパーがヒット。中山は構わず前に出るが,逆に荒井が左ジャブ,右フックのボディブローを浴びせた。
 2回,中山は左ジャブ,左右フックで前に出るが,荒井は下がりながら左ジャブ,右フックのボディブローで応戦。さらに青コーナーに詰めて大きな左右フックで攻め立てれば,中山は鼻から出血。
 3回,荒井がワンパンチで試合を決めた。中山のパンチで左目下を腫らしながらも,荒井が変則的な左右フックをヒット。リング中央,不用意に出た中山のアゴに大きな右フックが炸裂。この一発で動きが止まった中山はそのままゆっくりと前に落ちて仰向けに沈んだ。福地主審はノーカウントで試合をストップした。

 荒井の見事なTKO勝利。177cmの長身を誇り,長いリーチを生かした右フックに破壊力がある。中山のパンチを警戒して下がりながら慎重に滑り出し,左ジャブ,右フックのボディブロー,出てくるところに右アッパーをヒットした。変則的な動きが特徴で,パンチには独特のタイミングがある。一発パンチャーのイメージが強いが,意外に豊富な攻撃パターンを持っている。
 中山は右ファイタータイプで,こちらも178cmの長身。右ストレート,左右フックに威力がある。積極的に攻め込んだが,動きの硬さが影響して,正面に立ったところにパンチを浴びる場面が目立った。

     主審:福地勇治,副審:浦谷信彰&土屋末広&杉山利夫
     ○荒井:6戦6勝(4KO)     ●中山:6戦4勝(4KO)1敗
     放送:G+     解説:飯田覚士     実況:佐藤義朗

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                 2010年12月19日(日)    後楽園ホール
                 第57回全日本新人王決勝戦(ライト級)
                           5回戦
                  東軍代表     T  K O    西軍代表
            ○   土屋修平    1回終了    三好祐樹   ●
                  (角海老宝石) 135 lbs              (FUKUOKA) 134 1/2 lbs
             土屋はMVPを受賞

 開始早々から強打の応酬となった。上体を小刻みに揺すって,どんどん土屋をロープに詰めていく三好。しかし,パンチ力に絶対の自信を持つ土屋は威力のある左ジャブ,フックでこれを牽制する。1分過ぎ,ロープを背にした土屋の左フックがアゴを貫き,三好の表情が歪んだ。構わず左右フックのボディ連打を浴びせるが,土屋は左ジャブから強烈な右フックを見舞う。結局,初回終了後のインターバル中にアゴの痛みを訴えた三好が棄権を申し入れ,ここで試合がストップされた。アゴの骨折に疑いとのアナウンスがあった。

 今大会最高の逸材との呼び声が高い土屋が前評判通りの強打でMVPをさらった。デビュー以来8連続KO勝利という破竹の進撃である。左ジャブ,フック,右ストレートに破壊力を持つ右ファイタータイプ。力任せではなく,左ジャブ,フックをうまく使う側面がある。1分過ぎに見せたロープを背にした場面での左フックのカウンターは三好の右ストレートの打ち終わりに小さく鋭く合わせたパンチ。肘が直角になって肩が入り,フォロースルーも十分で理想的な角度で決まった。相手を良く見ていることも長所。非常に楽しみな逸材である。
 三好は右ストレート,左フックにパンチがある右ファイタータイプ。オールKO勝ちの土屋に対して一歩も引かずに先制攻撃を見せたが,力の差は如何ともしがたい面があった。

     主審:浦谷信彰,副審:中村勝彦&ビニー・マーチン&岡庭健
     ○土屋:8戦8勝(8KO)     ●三好:9戦7勝(5KO)1敗1分
     放送:G+     解説:浜田剛史     実況:佐藤義朗

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                  2010年12月19日(日)    後楽園ホール
                 第57回全日本新人王決勝戦(ウェルター級)
                           5回戦
                  東軍代表    T   K  O     西軍代表
            ○   林 欽貴    3回0分21秒    向 真一郎   ●
                  (E&Jカシアス) 147 lbs                  (SFマキ) 146 lbs
             林は敢闘賞を受賞

 長身同士の対戦。初回から林が手数で圧倒した。左ジャブ,ボディへの右ストレート,左アッパー,さらにアゴへの右アッパーを繰り出して攻め込む林に守勢一方の向。林は長い腕を回すようにして左アッパーをボディに打ち込む。向は早くも鼻からの出血を見た。
 2回,後手に回っては不利と見た向が積極的に出て立て直しにかかるが,間もなく再び林に押し返された。向は両目の下が黒く腫れる。
 試合が決まったのは3回開始早々。向が思い切って左フックから右ストレートを振って攻め込むところ,小さく合わせた右ショートストレートがアゴを捉える。鮮やかなカウンターに崩れ落ちた向は大の字に沈む。杉山主審は即座に試合をストップした。

 林は181cmの長身。右ボクサータイプでリーチを生かした多彩な攻撃が強味。左ジャブ,上下への右ストレート,ボディへの左アッパーなど手数の多さが目立つ。ガードの上を叩いておいてその間隙を突くうまさもある。腰高でガードが下がることが気になるが,このクラスで旺盛に手数が出ることは強味だろう。フィニッシュの右ショートストレートはタイミング抜群。ボクシングは力ではないことを証明するような一発だった。
 向は右ストレート,左フックにパンチ力がある右ファイタータイプ。パンチは強いが,矢継ぎ早に繰り出されるパンチで守勢に回らざるを得なくなったことが敗因。ガードを固めていたが,その隙間を打たれて徐々にダメージを追ってしまった。

     主審:杉山利夫,副審:浦谷信彰&ビニー・マーチン&土屋末広
     ○林:7戦6勝(5KO)1分     ●向:9戦7勝(5KO)1敗1分
     放送:G+     解説:浜田剛史     実況:辻岡義堂

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                 2010年12月23日(木)    大阪府立体育会館第一競技場
                     WBA世界スーパーフライ級タイトルマッチ12回戦
                      チャンピオン            挑戦者(同級6位)
                ○   ウーゴ・カサレス    判 定    久高寛之   ●
                         (メキシコ) 115 lbs             (仲里・ATSUMI) 114 3/4 lbs

 初回,様子見のカサレスに対し,久高は右フックのボディブローから右ストレートを連発して積極的にコーナーに詰めていく。上々の滑り出しを見せた久高だが,老獪なカサレスも黙っていない。2回に入ると左にスイッチし,左ストレート,右アッパーを見舞う。久高が出ないと見ると,左ストレートを打ち込む。3回,久高は右目上をカットするハンデを負う(カサレスの有効打による傷)。
 久高はときおり右ストレート,フックをカウンター気味に決めるが,肝心なところで後続打が出ない。
 8回,雑な攻めだが,カサレスが左構えから先手で左アッパー,ストレートを放つ。しかし終盤,久高が打ち下ろしの右ストレートでカサレスをぐらつかせ,ラッシュに出る。
 9回,カサレスの左ストレートでのけぞる久高。11回,久高はカウンター狙いか疲れが出たのか後退が目立つ。カサレスも疲れが出ているが,前に出てワンツー,左アッパー,右フックを当ててポイントはしっかり押さえる老獪さを見せた。
 12回,足が追随せず上体が泳ぐカサレスだが,手数で上回ってここでもポイントはしっかりゲット。久高はチャンスのはずだが,手が出ない。

 久高は善戦したものの手数の少なさが災いして敗退した。ときおり主武器の右カウンターでチャンスを作りながら,肝心なところでパンチが出ない欠点が出てしまった。カサレスは後半にペースダウンするなど,絶対王者ではない。久高が勝負所の終盤に手が出なかったことは悔いが残るだろう。
 カサレスは3度目の防衛に成功。ベースは右ボクサーファイターだが,頻繁にサウスポースタイルにスイッチするのが特徴。左右ストレート,アッパーを得意としており,手数が良く出る。その半面でスタミナに難があり,毎回終盤にスローダウンする。それでもここという要所はしっかり締めてポイントをゲットする老獪さがある。

採点結果 カサレス 久高
主審:ルイス・パボン(プエルトリコ) *** ***
副審:グスタボ・パディージャ(パナマ) 117 111
副審:ラッセル・モラー(米国) 117 111
副審:セルジオ・カイズ(米国) 116 112
参考:MAOMIE 115 113


     ○カサレス:42戦34勝(24KO)6敗2分
     ●久高:29戦19勝(8KO)9敗1分

     放送:スカイA
     解説:名城信男&藤原俊志
     実況:山下剛

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                           2010年12月23日(木)    後楽園ホール
                                   8回戦
                  日本S・ライト級(ノーランク)    T   K  O      日本S・ライト級(ノーランク)
                ○   宇川広之       1回1分25秒       闘将青木誠   ●
                       (アポロ) 140 1/4 lbs                            (グリーンツダ) 141 1/4 lbs

 左ジャブ,フックの交換から立ち上がる両者。やや様子見で慎重な宇川に対し,青木は右フックのボディブローでプレッシャーをかける。しかし,リング中央で左から右を振って青木が入ろうとした瞬間,宇川の右フック一閃。これをまともに食った青木は前に落ちて顔面からキャンバスにダイブ。失神したままピクリとも動かない。福地主審はためらわずストップした。深々と沈んだ青木のダメージは深刻で,担架で搬出された。

 ハードパンチャー同士のスリリングな対決は衝撃的なダウンシーンで幕を閉じた。
 宇川は左右フックのいずれにも一発で倒す破壊力を持つ右ファイタータイプ。試合を決めた右フックはタイミング,踏込みともに申し分なく,まともに食った青木が失神したのも当然だろう。ノーランクだが,面白い存在になりそう。手数が減って一発狙いにならないように心掛けることが大事。勝利者インタビューでの的確で誠実な対応も好感が持てる。
 青木は右ファイタータイプでこちらも左右フック,右ストレートにパンチ力がある。積極的に攻撃を仕掛けていたが,ガードが下がったまま雑な入り方をしたところにまともに食ってしまった。不用意な出方が悔やまれる。

     主審:福地勇治,副審:半田隆基&宮崎久利&原田武夫
     ○宇川:15戦9勝(8KO)5敗1分     ●青木:25戦13勝(10KO)10敗2分
     放送:スカイA     解説:浅沢英     実況:河路直樹

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                   2010年12月26日(日)    さいたまスーパーアリーナ
                      WBA世界バンタム級王座決定12回戦
                  WBA世界バンタム級2位         WBA世界バンタム級5位
                ○   亀田興毅    判 定    アレクサンデル・ムニョス   ●
                        (亀田) 118 lbs                  (ベネズエラ) 118 lbs

 初回,ムニョスが積極的に仕掛けて右ストレート,左右フックで亀田をコーナーに詰める。亀田はボディに左ストレートをひとつ。
 2回,ニュートラルコーナーに下がった亀田は入り際に右アッパーのカウンターを決めるが,ムニョスは構わずガードの上から右ストレート,左右フックを浴びせて攻め込んだ。亀田はクリンチに出る。
 3・4・5回,ムニョスのスピード不足を見て取った亀田は単発ながらも右フック,左ストレートを的確に決めて流れを引き寄せた。
 6回,ムニョスはガードの上から構わずワンツーを浴びせて攻め込むが,後頭部にパンチを見舞って減点された。8回,亀田の左ストレートがボディを捉え,ムニョスは思わずクリンチに出る。9回にはムニョスは左右アッパーのボディブローで迫るが,相打ちの左フックがカウンターになり,膝が揺れた。
 10回は有効打でムニョスが上回った。ムニョスの右ストレートでガードを割られ,亀田が一瞬ぐらつく場面を見せた。さらに右アッパー,ワンツーでヒットを重ねるムニョス。亀田も左ストレートをひとつヒット。
 12回中盤,接近戦で放った左アッパーのボディブローからアゴに返した亀田の左フックに,ムニョスはロープ際で腰から落ちて痛恨のダウンを喫した。立ち上がったが,右アッパーの打ち終わりに左ストレートをカウンターされ,腰が砕けてピンチ。ダウンは免れたが,最後まで亀田の攻勢に晒された。

 亀田,日本人初の三階級制覇を達成。序盤でムニョスのスピード不足とガードの甘さを見切り,カウンターの左ストレート,右フックあるいはボディへの左ストレート,アッパーで優位に立った。単発であることが気になったが,内容的には完勝だろう。終始冷静に試合を進めていた点が光る。
 ムニョスは爆発的強打で一世を風靡した右ファイターだが,誰の目にも衰えは明白。往年のスピードも破壊力もなく,目を覆いたくなるほどのロートルぶりを晒した。パンチの引きが遅く反応も鈍いため,カウンターの標的になった。ウェイトが乗っていないパンチはかつてのムニョスとは別人のようだった。わずか1ヶ月前に決まった試合であることを差し引いても,王座決定戦への出場資格に疑問符がつく。
 採点上は文句なしの勝利だが,マッチメイクとしては大きな問題がある。引退同然の元王者を無理やり引っ張り出して,王座決定戦に仕立てる手口は到底ファンの支持を得られないだろう。亀田の三階級制覇に箔をつけるためにムニョスのビッグネームを利用しただけのマッチメイクと見られても弁明できないだろう。テレビ局がどれほど欺瞞に満ちた放送で覆い隠そうとしても,ファンを騙すことはできない。テレビ局,プロモータは厳しく反省すべきだろう。

採点結果 亀田 ムニョス
主審:ロベルト・ラミレス(プエルトリコ) *** ***
副審:ピニット・プラヤドサブ(タイ) 116 109
副審:レビ・マルチネス(米国) 115 111
副審:ホセ・ロベルト・トーレス(プエルトリコ) 117 109
参考:MAOMIE 115 111


     ○亀田:25戦24勝(15KO)1敗
     ●ムニョス:39戦35勝(27KO)4敗

     放送:TBS
     解説:鬼塚勝也     ゲスト:赤井英和
     実況:土井敏之

※ 第6ラウンド,後頭部への加撃によってムニョスは減点1。

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                    2010年12月26日(日)    さいたまスーパーアリーナ
                        WBA世界フライ級タイトルマッチ12回戦
                     チャンピオン              挑戦者(同級14位)
                ○   亀田大毅    判 定    シルビオ・オルティーヌ   ●
                        (亀田) 112 lbs                  (ルーマニア) 112 lbs

 初回,オルティーヌは左ジャブ,右ストレートから。亀田は様子見から立ち上がるが,後半には速い左ジャブでプレッシャーをかける。2回,オルティーヌは左ジャブ,フックを連打するが,亀田は左ジャブからボディに左アッパーを見舞う。
 3回,オルティーヌの左ジャブにかぶせた亀田の右ストレートがクロスのカウンターになる。
 中盤以降はオルティーヌもリズムを取り戻し,手数を多くして亀田に迫った。7回,青コーナーに下がってカウンターの右アッパーを打とうとする亀田だが,逆に左フックのカウンターをもらう。オルティーヌは足が良く動き,積極的な攻撃を見せた。
 9回は亀田。オルティーヌの攻撃の隙間に相打ちの左フックを決めてぐらつかせる。12回,足を使いながら小刻みに左ジャブ,左右フックを打つオルティーヌ。亀田は体格差を利してどんどんプレッシャーをかけた。オルティーヌは右目上をカット(亀田の有効打による傷)。

 一向に会場が沸かない凡戦。今まで数多くの世界戦が行われたが,これほど低レベルな試合はなかっだろう。
 亀田は2度目の防衛に成功。しかし,減量のためか動きに精彩を欠いた。スプリットデシジョンで辛くも防衛したが,オルティーヌの手数を評価すれば逆の判定になっていても不思議ではない。手数が少なかったことが拙戦の原因。試合前から減量の厳しさを自分でアピールし,王座返上も示唆するなどの言動はプロとしての意識を疑われても仕方ない。到底ファンの支持を得られるものではない。
 オルティーヌは158cmの小兵で現役の欧州フライ級王者。軽快なフットワークに乗せて放つ左ジャブ,左右フックを武器としており,手数の多さが身上。ただし,パンチにウェイトが乗っておらず,威力はない。

採点結果 亀田 オルティーヌ
主審:ピニット・プラヤドサブ(タイ) *** ***
副審:ホセ・ロベルト・トーレス(プエルトリコ) 115 113
副審:レビ・マルチネス(米国) 116 112
副審:ロベルト・ラミレス(プエルトリコ) 110 118
参考:MAOMIE 115 114


     ○亀田:21戦19勝(11KO)2敗
     ●オルティーヌ:15戦11勝(5KO)4敗

     放送:TBS
     解説:鬼塚勝也&佐藤修
     実況:新夕悦男

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                      2010年12月26日(日)    さいたまスーパーアリーナ
                                   10回戦
                  WBA世界バンタム級11位    K      O    タイ国バンタム級(ノーランク)
                ○   亀田和毅       3回2分12秒    ピチットチャイ・ツインズジム   ●
                       (亀田) 121 1/2 lbs                            (タイ) 119 3/4 lbs
                       WBC10位

 亀田がガードを固めながら積極的にプレッシャーをかける。ピチットチャイのガードの上から右ストレート,フック,ボディへの左フック。
 2回,接近戦を挑んで右アッパー,左フックで攻勢に出る亀田。左ジャブで後退したピチットチャイは右ストレートの追い打ちで脆くもダウン。ニュートラルコーナーに下がるところに右ストレートがヒットして2度目のダウン。
 3回,サウスポーのピチットチャイが右ジャブを突きながら前に出る。しかし,左フックのボディブローで動きが鈍ったところに連打を浴びせれば,ピチットチャイはロープ際でたまらずダウン(カウント8)。亀田は一気に仕留めにかかる。ロープ際に後退したピチットチャイは左フックのボディブローで崩れ落ちた(カウント9)。辛うじて再開に応じたものの,亀田が左右の連打を浴びせたところでマーチン主審が割って入った。

 亀田は左右フックを武器とする右ファイタータイプ。スピードがあるが,体に力が入り過ぎる傾向がある。攻撃が正面からになり過ぎるのも気になるところ。上下への打ち分けを心掛けているのは長所だが,脇が開いてパンチの威力が半減しているのが惜しい。
 172cmの長身を誇るピチットチャイはサウスポーのボクサータイプ。右ジャブから基本に忠実な組み立てる試合運びが特徴。ただし,ボディに弱点があるようで,打たれ脆さがある。

     主審:ビニー・マーチン,副審:福地勇治&杉山利夫&中村勝彦
     ○亀田:17戦17勝(12KO)     ●ピチットチャイ:29戦17勝(11KO)12敗
     放送:TBS     解説:鬼塚勝也&佐藤修     実況:伊藤隆佑

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