熱戦譜〜2010年6月の試合から


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試合日 試合 結果
2010.06.05  日本フェザー級
 タイトルマッチ10回戦
 李 冽理  判定  天笠 尚
2010.06.05  日本スーパーフェザー級
 タイトルマッチ10回戦
 三浦隆司  TKO3R  竹下寛刀
2010.06.05  東洋太平洋フライ級
 タイトルマッチ12回戦
 ロッキー・フェンテス  TKO11R  池原繁尊
2010.06.14  東洋太平洋ライトフライ級
 タイトルマッチ12回戦
 宮崎 亮  TKO8R  家住勝彦
2010.06.14  東洋太平洋女子フライ級
 タイトルマッチ10回戦
 四ヶ所麻美  判定  マルネージェ・ベラーノ
2010.06.14 10回戦  稲垣 孝  引き分け  森田陽久
2010.06.20  日本バンタム級
 タイトルマッチ10回戦
 山中慎介  TKO7R  安田幹男
2010.06.29  東洋太平洋スーパーウェルター級
 タイトルマッチ12回戦
 チャーリー太田  判定  キング・デビッドソン
2010.06.29 8回戦  湯場忠志  TKO2R  西 禄朋

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                      2010年6月5日(土)    後楽園ホール
                      日本フェザー級タイトルマッチ10回戦
                     チャンピオン          挑戦者(同級1位)
               ○   李 冽理     判 定    天笠 尚   ●
                     (横浜光) 125 1/2 lbs           (山上) 125 3/4 lbs
                      WBA14位

 初回,李が早くも右ストレート,フックから左フックをヒットする。天笠は変則的な動きから強打を見舞うチャンスを窺うが,李は終盤に左右アッパーのボディブローを浴びせる。李は右目上をカット(天笠の有効打による傷)。
 2回中盤,天笠の右ストレートが決まり,ぐらつく李。天笠の攻勢でピンチを迎える。終了間際には飛び込んで放った天笠の左フックで再びぐらつく李。必死に応戦するが,天笠の攻勢が上回る。
 危ない場面を見せた李だが,3回,今度は鮮やかな右ストレートをカウンターで決める。左ジャブの打ち終わりにこれを返された天笠は大きくぐらついてコーナーまで後退。左ジャブ,右フックのラッシュに晒された天笠は鼻血を流しながら耐えた。
 これを境に試合は完全に李のペースとなった。李は左ジャブを突きながら動いて的を絞らせず,天笠が出ないと見るや左右フックを上下に浴びせる。6回,右ストレートをヒットした李はロープに詰めて攻勢に出る。
 7回,天笠の隙を突くようにロープに詰めてワンツー,左右フックの連打を浴びせる李。天笠は鼻血と左目の腫れで苦しくなる。
 8・9回は天笠が攻勢を見せるが,李は追撃を許さず,左ジャブ,右ストレート,左右フックを浴びせる。
 10回,李は接近して左右フックの釣瓶打ち。しかし,天笠は接近戦は自分のモノとばかりに長い腕を振るように左右フック,アッパーを浴びせる。李はバッティングで左目上をカットして苦しくなるが,必死に耐える。

 李が強打の天笠を降し,見事に初防衛を飾った。一発がある天笠を左ジャブと足でかわし,最後まで自分の距離を保ったことが勝因。動いて打ち気を逸らし,打ってこないと見ると左右フック,右ストレートを浴びせる試合運びが光る。自分が戦いやすい間合いを保ち,焦らしながら攻める心憎いテクニックである。変則的な面を持っているが,大阪朝鮮高から朝鮮大学でアマチュキャリアを積んだだけに,基礎がしっかりした右ファイタータイプである。今後キャリアを積めば,さらに大きな飛躍が望める。
 天笠は179cmというこのクラスでは破格に近い長身を誇る右ファイタータイプ。長身に似合わず接近戦を好み,長い腕を巧みに振りながらまとめて打つ左右フック,アッパーを得意としている。右ストレートあるいは左フックには一発でKOする威力がある。しかし今夜は李にうまく間合いを取られ,攻め倦んだところにパンチをまとめられて完敗を喫した。考え過ぎて攻撃に徹し切れなかったことが敗因。一発の破壊力では勝っているので,被弾覚悟で乱打戦に持ち込んでいれば違う展開になっていただろう。

採点結果 天笠
主審:浦谷信彰 *** ***
副審:ビニー・マーチン 98 93
副審:浅尾和信 98 93
副審:島川威 97 94
参考:MAOMIE 98 92


     ○李:18戦16勝(8KO)1敗1分
     ●天笠:21戦15勝(12KO)4敗2分

     放送:G+
     解説:浜田剛史&セレス小林
     実況:中野謙吾

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                        2010年6月5日(土)    後楽園ホール
                      日本スーパーフェザー級タイトルマッチ10回戦
                     チャンピオン     T   K  O    挑戦者(同級9位)
                ○   三浦隆司    3回2分57秒     竹下寛刀   ●
                       (横浜光) 130 lbs                        (高砂) 130 lbs
                    WBA10位,WBC13位                 竹下寛刀=たけした・ひろと

 サウスポー同士の顔合わせ。リーチの差を生かして距離を取り,右ジャブを突く竹下。しかし総合力で勝る三浦が距離を詰め,ワンツーで竹下をロープに詰めた。
 2回,三浦は左右フックのボディブローから右フックをヒット。カウンターの右フックでバランスを崩し,ロープに詰まる竹下。攻勢に出る三浦だが,逆に竹下の左右アッパーでぐらつく場面が見られた。
 3回1分過ぎ,ワンツーでぐらついた竹下はロープを背負う。チャンスと見た三浦が一気に襲いかかる。竹下は右ジャブを突いて応戦するが,ロープを背負ったところで左ストレートを打ち込まれて大きくのけぞる。エンジン全開で左右のショートフックを雨あられと浴びせる三浦。たまらず崩れ落ちる竹下。カウント9で再開に応じたものの,青コーナー付近で連打に晒されたところで福地主審が試合をストップした。

 三浦が見事なTKOで3度目の防衛に成功した。実力の差を見せつけての快勝である。竹下の左アッパー,ストレートを食う場面があったが,ショート連打で試合を決めたのは見事。左ストレート一本槍だったかつての姿ではなく,ボディブローや右フックなどの多彩な攻撃が光る。狙い過ぎて手が止まる場面があるので,コンスタントに右ジャブを突いて手数を止めないことが大事である。
 竹下はサウスポーのボクサータイプ。長身で長いリーチを生かした右ジャブ,ワンツーを得意としている。右ジャブを突いて距離を取りながら自分のボクシングを展開しようとする姿勢は伝わった。最後は三浦のパワーに屈したが,今後につながるはず。

     主審:福地勇治,副審:浦谷信彰&浅尾和信&杉山利夫
     ○三浦:22戦19勝(15KO)1敗2分     ●竹下:23戦13勝(9KO)9敗1分
     放送:G+     解説:浜田剛史     実況:藤田大介

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                        2010年6月5日(土)    後楽園ホール
                       東洋太平洋フライ級タイトルマッチ12回戦
                    チャンピオン      T   K   O    挑戦者(WBA・WBC15位)
             ○   ロッキー・フェンテス    11回2分09秒      池原繁尊   ●
                       (比国) 112 lbs                           (横浜光) 112 lbs
                     WBC9位

 初回から打ち合いが展開された。池原は左ジャブから右フック,アッパー。さらに左右アッパーのボディブローで迫る。フェンテスも左ジャブ,右ストレートから左右アッパーのボディブローで応戦。終了間際,大きな右フックに次ぐ鋭いワンツーで池原の足がもつれ,腰が落ちてピンチ。
 3回序盤,フェンテスの左フックで再び足がもつれて危ない場面を迎え,クリンチで凌ぐ池原。しかし終盤,今度は池原の右ストレートがクロス気味にテンプルを捉える。これで足をもつれさせたフェンテスは後退。必死にしがみついて耐えた。
 このピンチでやや慎重になるフェンテス。しかし6回以降は池原の動きが鈍り,完全にフェンテスのペースで進んだ。左ジャブ,フック,ワンツーを受けて鼻から出血した池原は徐々にダメージを蓄積させた。
 10回終盤,右フックからのワンツーでニュートラルコーナーに詰まる池原。効いている。青コーナーに池原を追い込んで細かいパンチを浴びせるフェンテス。池原は消耗が激しい。
 11回,耐えていた池原に破局が訪れた。前に出て必死の反撃を試みるが,フェンテスのリズミカルな攻撃にもはや敗色濃厚。2分過ぎ,右ストレートからの左フックでよろめいたところでタオルが投入された。

 フェンテスは初防衛に成功。リーチに恵まれた右ボクサーファイター。伸びの良い左ジャブ,右ストレートを武器としており,パンチ力もある。左右アッパーのボディブローなどの多彩な攻撃が特徴で,手数が多い。アマチュアで国内王者に3度輝いた実績がある。
 池原はフライ級としてはパンチ力がある右ファイタータイプ。右ストレート,左右フックを武器としている。3回に右ストレートでKOチャンスを迎えたが,序盤からの被弾が響いて6回以降はダメージの色を滲ませた。ウィービング,ダッキングなどの上体の動きがないことが最大の欠点。そのためにフェンテスのパンチの標的になった面がある。パンチ力だけでは通用しない。

10回までの採点 フェンテス 池原
主審:ピニット・プラヤドサブ(タイ) 96 94
副審:島川威 97 94
副審:エドワルド・リガス(比国) 96 94
参考:MAOMIE 97 93

     ○フェンテス:32戦24勝(15KO)6敗2分
     ●池原:24戦20勝(16KO)2敗2分

     放送:G+
     解説:セレス小林
     実況:加藤聡

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                        2010年6月14日(月)    後楽園ホール
                      東洋太平洋ライトフライ級タイトルマッチ12回戦
                   挑戦者(日本王者)    T   K  O     チャンピオン
                ○   宮崎 亮      8回2分41秒    家住勝彦   ●
                       (井岡) 107 1/2 lbs                     (レイスポーツ) 108 lbs
                      WBA・WBC9位                   WBA12位,WBC8位

 緊迫感が充満する探り合いから立ち上がる。動きが硬い家住に対し,宮崎が右ストレートを決めて家住をロープに詰める。さらに左アッパーをボディにヒットする宮崎。ここで家住はバッティングで額をカットするハンデを負う。
 2回,宮崎は左アッパー,右ストレートをヒット。家住も左フックをカウンターする。しかし,終盤,宮崎の右ストレート。これでニュートラルコーナーに詰め,左右フックの攻勢に出る。
 やや不安な立ち上がりとなった家住だが,3回,フットワークを使いながら左ジャブでリズムを取り戻す。宮崎は左ジャブから右フックをヒットするが,逆に攻勢に転じた家住は宮崎をロープ際まで追い込む。
 5回,両者ともにラフな攻撃になるが,家住の左フックがカウンターになり,バランスを崩す宮崎。
 6回,距離が中途半端な家住に対し,宮崎の動きにはゆとりが見える。7回,細かいパンチで上回る宮崎。
 8回,宮崎が一気に試合を決めた。フェイントをかけてチャンスを窺う宮崎。挽回したい家住だが,左フックのボディブローで出足を止められる。一瞬の隙を突くように放った宮崎のワンツー。このパンチでバランスを崩した家住は赤コーナーに後退。チャンスと見た宮崎はロープを背にした家住に一気に襲いかかる。左右フックのラッシュに晒されたところで,福地主審がスタンディングカウントを取った(カウント8)。『打って来い』というジェスチュアで挑発する家住だが,宮崎の攻勢に足がふらつく。ワンツーで力なくロープを背負ったところで福地主審が試合をストップした。

 現役日本王者・宮崎が東洋太平洋タイトルも奪取した。やや変則的な面があり,優れた瞬発力を誇る右ファイタータイプ。左ジャブで距離を測り,飛び込むように放つ右ストレート,フックを得意としている。チャンスを掴むと一気に連打をまとめるクレバーな面があり,パンチ力も十分。狙い過ぎて手が止まることがあるが,その点が課題である。
 家住は右ボクサータイプ。軽快なフットワークに乗せて放つ左ジャブ,ワンツーを得意としており,変則的な宮崎とは対照的にオーソドックスな試合運びを身上としている。序盤にリードを奪われ,3回以降に挽回を狙って打ち合いに出た。しかし,ここで両足が揃ってしまい,正面に立って被弾する場面が多くなった。宮崎を飛び込ませないように左ジャブを多用して流れを作るべきだった。

7回までの採点 宮崎 家住
主審:福地勇治 *** ***
副審:島川威 68 65
副審:浦谷信彰 68 65
副審:安部和夫 68 65
参考:MAOMIE 67 66


     ○宮崎:14戦11勝(6KO)3分
     ●家住:39戦28勝(19KO)8敗3分

     放送:フジテレビ739
     解説:川島郭志
     実況:鈴木芳彦

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                        2010年6月14日(月)    後楽園ホール
                      東洋太平洋女子フライ級タイトルマッチ10回戦
                     チャンピオン              挑戦者(同級5位)
                ○  四ヶ所麻美    判 定    マルネージェ・ベラーノ   ●
                     (フラッシュ赤羽) 111 1/2 lbs             (比国) 109 1/4 lbs
               四ヶ所麻美=しかしょ・あさみ  WBC7位

 左ジャブの突き合いから立ち上がる。四ヶ所の打ち終わりに左フックを返すベラーノ。
 ともに自分の距離を掴めないまま試合が進んだ。4回,四ヶ所は右ストレートのボディブロー。しかし逆にベラーノが右ストレートをヒットする。四ヶ所は右フックのボディブローで応戦するが,ベラーノの方がヒットが多い。
 5回にもベラーノが積極的に右ストレートを決めて前に出るボクシングを展開,好調なところをアピールした。慎重になっているのか,四ヶ所はやや後手に回る。
 このままではまずいと見たのか,後半に入ると四ヶ所が積極策に転じた。手数が減ったベラーノに対し,四ヶ所は右アッパーのボディブローから左フックを放つ。7回終盤にも左フックがヒットする。
 8回,ようやく強引な攻めでベラーノを下がらせる四ヶ所。クリーンヒットは少ないが,攻勢で上回る。9回はベラーノの右ストレート,左フックがヒットするが,10回は再び四ヶ所のペース。終盤,右ストレート,左右フックで攻勢に出てベラーノをロープに詰めた。

 四ヶ所は初防衛に成功。右ストレート,左右フックを得意とする右ファイタータイプ。慎重な試合運びになって後手に回り,序盤にベラーノを調子に乗せてしまったことが苦戦の原因。馬力で勝っているので,立ち上がりから強引な仕掛けを展開すべきだった。
 ベラーノは伸びの良い左ジャブ,右ストレートを得意とする右ボクサーファイター。168cmというこのクラスでは恵まれた上背とリーチを誇り,オーソドックスな攻撃を身上とする。積極的な攻撃で四ヶ所を苦しめた。アゴのガードが下がる欠点がある。

採点結果 四ヶ所 ベラーノ
主審:中村勝彦 *** ***
副審:熊崎広大 96 94
副審:福地勇治 96 95
副審:安部和夫 96 94
参考:MAOMIE 96 95


     ○四ヶ所:5戦4勝(2KO)1敗
     ●ベラーノ:7戦4勝(1KO)2敗1分

     放送:フジテレビ739
     解説:川島郭志
     実況:不明

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                    2010年6月14日(土)    後楽園ホール
                           10回戦
                日本S・フェザー級1位        日本ライト級(ノーランク)
              ×   稲垣 孝    引き分け    森田陽久   ×
                  (フラッシュ赤羽) 134 1/4 lbs           (新日本仙台) 133 lbs
                                            森田陽久=もりた・きよひさ

 前に出るサウスポーの森田に対し,稲垣は間合いを取って左ジャブ,フックから。終盤,稲垣は森田をロープに詰めて左右フックの連打を見せる。
 泥臭く連打で攻める森田に合わせてしまう稲垣。それでもやや打ち勝っていたが,5回以降は森田に主導権を握られた。
 密着して揉み合うような打ち合い。間合いを取って出バナを叩きたい稲垣だが,森田の執拗なボディ攻撃に手を焼く場面が続く。距離を潰されて手数が減る稲垣。7回,ボディブローが効いて得意の右ストレートも流れてしまう。
 8回,森田の左フックがヒット。消耗した稲垣は手数が出ず,押され気味。9回,稲垣はようやく森田をロープに押し込んで右フックを浴びせる。
 10回,ともに疲労がピークに達しているが,死力を振り絞って密着しながら揉み合うように手を出す。手数でやや上回る森田。稲垣も手を出すが,体が流れてパンチにならない。

 タイトル挑戦を狙うトップコンテンダーの稲垣は右ストレート,左フックを得意とする右ファイタータイプ。王者・三浦隆司(横浜光)と同じサウスポーの森田を一蹴してアピールをしたいところだったが,森田のボディ攻撃に青息吐息の前哨戦となった。何とかドローで面目を保ったが,トップコンテンダーとしては不甲斐なさばかりが目立つ試合内容。今のままではパワーのある三浦と対抗するのは難しい。
 森田はサウスポーのファイタータイプ。執拗なボディ攻撃で密着した打ち合いに持ち込んだ。泥臭い攻撃だが,これで中盤から主導権を握った。ドローはやや気の毒な判定である。

採点結果 稲垣 森田
主審:浦谷信彰 *** ***
副審:島川威 97 94
副審:熊崎広大 96 96
副審:中村勝彦 95 97
参考:MAOMIE 94 96


     ×稲垣:21戦12勝(5KO)8敗1分
     ×森田:23戦13勝(4KO)7敗3分

     放送:フジテレビ739
     解説:川島郭志
     実況:竹下陽平

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                       2010年6月20日(日)    住吉区民センター
                         日本バンタム級タイトルマッチ10回戦
                   挑戦者(同級1位)   T   K  O    チャンピオン
               ○   山中慎介     7回0分50秒    安田幹男   ●
                      (帝拳) 117 3/4 lbs                      (六島) 118 lbs
                                              WBC7位

 ともに一発で相手を沈める威力を秘めるハードパンチャー同士の対決。右の安田,左の山中という対照の妙もあり,開始早々から緊迫感が充満した試合となった。2回,山中は主武器の左ストレート。安田はこれにすぐ左ジャブを返して応戦するが,山中は左ストレートから右フック,さらに左ストレート2発を見舞う。このパンチで思わずバランスを崩す安田。
 3回,安田はタイミングの良い右ストレートをヒット。山中はバッティングで右目上の眉間に近い部分をカットするハンデを負うが,左ストレート,右フックでロープに詰めて攻勢に出る。終了間際には左ストレートでぐらついた安田を赤コーナーに詰めて再び攻勢に出る山中。
 6回,左ジャブ,右ストレートでプレッシャーをかける安田。しかし終盤には山中の左ストレートが安田の出バナを捉えた。
 山中リードで迎えた7回,試合は劇的な幕切れとなった。ボディに左ストレートを飛ばし,鋭い右ジャブを連発して安田にロープを背負わせる山中。右ジャブからの矢のようなワンツーが決まり,安田はロープ際で崩れるようにダウン(カウント8)。再開に応じた安田だが,山中の詰めは鋭い。左ストレート,右フックで再びロープを背にしたところで川上主審が試合をストップした。

 実力・人気ともに東西ナンバーワンのハードパンチャー同士が激突する好カードとして話題を呼んだ一戦。KO必至のスリリングな展開という期待通りの好ファイトになった。
 初挑戦でタイトル獲得を果たした山中はサウスポーのボクサーファイター。伝家の宝刀とも言える左ストレートを武器としており,これで6連続KO勝ちという破竹の快進撃である。左ストレートだけでなく,右ジャブ,フックが冴えていた。豊富なアマチュア(南京都高→専大)のキャリアを持つだけに,バランスの良さも強味になっている。左一本に頼らず,この右ジャブを出し続けることが大事である。小さくまとまることなくスケールの大きい本格派サウスポーへの成長が期待される。キャリアを積めば世界も十分に期待できる逸材である。
 安田は今年3月に児玉卓郎(岐阜ヨコゼキ)との決定戦で獲得した王座の初防衛に失敗。シャープな左ジャブ,ワンツー,左フックを武器とする右ボクサーファイターである。鋭い左ジャブ,右ストレートでプレッシャーをかけていたが,冷静な試合運びを見せた山中を崩すには至らなかった。敗れはしたが,こちらも上を狙う素質は十分。捲土重来を期して欲しい。

6回までの採点 山中 安田
主審:川上淳 *** ***
副審:宮崎久利 57 58
副審:坂本相悟 59 55
副審:安部和夫 58 57
参考:MAOMIE 59 57


     ○山中:14戦12勝(8KO)2分
     ●安田:23戦16勝(13KO)5敗2分

     放送:BS日テレ
     解説:六車卓也&長谷川穂積
     実況:高橋雄一

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                     2010年6月29日(火)    後楽園ホール
                  東洋太平洋スーパーウェルター級タイトルマッチ12回戦
                   チャンピオン              挑戦者(同級1位)
             ○   チャーリー太田    判 定    キング・デビッドソン   ●
                   (八王子中屋) 153 3/4 lbs               (豪州) 153 lbs
                     日本S・ウェルター級チャンピオン              WBA13位

 初回,前に出るチャーリーに対し,サウスポーのデビッドソンは動きながら左フックを振る。終盤,ロープに下がったデビッドソンを追って不用意に出たチャーリーのアゴに右フックが決まる。このパンチでチャーリーは腰から落ちてダウン(カウント9)。立ち上がったが,足元が定まらない。チャーリーはデビッドソンの攻勢に防戦一方でダウン寸前のままゴングに救われた。
 思わぬビハインドとなったチャーリーだが,3回に反撃の狼煙を上げる。デビッドソンの右フックに合わせた右ストレートのカウンターをヒット。さらに終盤には右フックでぐらつかせ,左右フックで攻勢に出る。
 やや強引な攻撃で挽回するチャーリーだが,7回には左ジャブを多用する作戦に切り替えた。左右にスイッチを繰り返すデビッドソンもワンツーで反撃するが,チャーリーがワンツーから左右フックの連打で上回った。
 8回,チャーリーは左ジャブで流れを作り,ボディに左アッパー,左右フックを集める。デビッドソンは足の動きが鈍り,手数が減った。
 終盤は疲れとダメージの色を滲ませるデビッドソンに対し,チャーリーの攻勢が目立つ。11回開始早々には右ストレート,終盤にも右フックを浴びせて優位に進めた。
 12回,反撃する元気がないデビッドソン。チャーリーも疲れが出て思うように手数が出ない。

 チャーリーは今年3月に柴田明雄(ワタナベ)から奪った王座の初防衛に成功。初回に不覚のダウンを喫したが,以降はパワフルな攻撃で挽回した。粗削りだが,右フック,ストレートに一発KOの破壊力を持つ右ファイタータイプ。中盤から見せたボディ攻撃で動きを止めたことが奏功した。やや強引な攻めが目立ったが,大きな左右フックだけでは自らのスタミナのロスも大きい。7回に見せたように左ジャブを多用してリズムを掴むことが望ましい。
 デビッドソンはナイジェリア出身で豊富なアマチュアのキャリアがある。サウスポーのボクサータイプで,距離を取って長いリーチから繰り出す左ストレート,アッパー,右フックを武器としている。中盤からボディを攻められて動きが鈍った。

採点結果 チャーリー デビッドソン
主審:ノパラット・スリチャロン(タイ) 118 109
副審:ブライアン・マクマホン(豪州) 114 115
副審:浅尾和信 117 110
参考:MAOMIE 116 112

     ○チャーリー:16戦14勝(10KO)1敗1分
     ●デビッドソン:13戦12勝(6KO)1敗

     放送:スカイA
     解説:石津純一郎     ゲスト:内山高志
     実況:桑原学

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                         2010年6月29日(火)    後楽園ホール
                                 8回戦
                   日本S・ウェルター級2位   T   K   O   日本S・ウェルター級6位
                ○   湯場忠志      2回2分21秒     西 禄朋   ●
                       (都城レオスポーツ) 154 lbs                   (川崎新田) 153 1/2 lbs
                                              西 禄朋=にし・よしとも

 初回,右ストレートを振って西が積極的に仕掛ける。これを迎え撃つ湯場は左フックを顔面にヒット。2分過ぎ,湯場の左ストレートがボディに決まり,上体を丸めた西は腰が引ける。
 2回,右ストレートから攻勢に出る西。しかし,パンチは届かない。逆に上体の動きがない西の顔面に湯場の左ストレートが飛ぶ。右を振って前に出ようとしたところにカウンターの左ストレートを合わされ,西は前に落ちてダウンを喫した(カウント9)。ダメージを引きずる西はなおも前に出るが,足が追随せず,湯場のワンツーで腰が落ちた。さらに動きが止まったところに鮮やかなワンツーがアゴを直撃。腰からキャンバスに落ちた西は後頭部をしたたか打ちつけ,深々とキャンバスに沈む。大の字になったまま動かない西に,福地主審は即座に試合をストップした。西のダメージは深く,担架で搬出された。

 前人未踏の4階級制覇を目指す湯場が貫禄の差を見せた。西の動きを冷静に見極めたベテランらしい試合運びが印象的。ボディへの右フックや左ストレートを見せていたが,西のガードの正面が開く欠点を見抜いてワンツーに切り替えたのはさすが。西を沈めたパンチは右ジャブからつないだ左のショートストレート。力みがなく,スムーズに出したパンチで,まさに湯場の真骨頂。東洋太平洋と日本の2冠を保持する豪腕・チャーリー太田(八王子中屋)とは好ファイトになるだろう。打たれ脆さが出て倒される危険はあるが,武器の左ストレートで一気に2冠をKO奪取する可能性も十分にある。
 西は右ストレート,左フックを得意とする右ファイタータイプ。気の強さを前面に出して果敢に挑んだが,実力の差は歴然。ボディへの左ストレートで腰が引け,ガードの隙間を突かれた。

     主審:福地勇治,副審:浦谷信彰&杉山利夫&安部和夫
     ○湯場:44戦37勝(28KO)5敗2分     ●西:15戦7勝(3KO)7敗1分
     放送:スカイA     解説:石津純一郎     ゲスト:内山高志     実況:西達彦

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