熱戦譜〜2010年4月の試合から


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試合日 試合 結果
2010.04.03  東洋太平洋ミドル級
 タイトルマッチ12回戦
 佐藤幸治  TKO4R  李 在明
2010.04.03  日本ウェルター級
 タイトルマッチ10回戦
 中川大資  引き分け  井上 庸
2010.04.03 8回戦  佐々木基樹  TKO6R  李 善行
2010.04.03 8回戦  山本 忍  KO2R  松橋拓二
2010.04.09  WBC女子世界ライトフライ級
 王座統一10回戦
 富樫直美  判定  ノンムエイ・ゴーキャットジム
2010.04.10 8回戦  鈴木悠平  TKO1R  佐梁孝志
2010.04.11 6回戦  佐々木章人  判定  中垣内真司
2010.04.11 4回戦  柳原亮太  TKO1R  北村英男
2010.04.12  日本スーパーライト級
 タイトルマッチ10回戦
 亀海喜寛  TKO9R  小野寺洋介山
10 2010.04.12  日本スーパーバンタム級
 タイトルマッチ10回戦
 芹江匡晋  判定  玉越強平
11 2010.04.12 8回戦  大村光矢  TKO3R  加藤善孝
12 2010.04.18 10回戦  井岡一翔  判定  ヘリ・アモル
13 2010.04.18 10回戦  仲村正男  KO2R  ディンプーン・チューワッタナ
14 2010.04.22  日本ライト級
 タイトルマッチ10回戦
 荒川仁人  判定  近藤明広
15 2010.04.24  WBA女子世界ミニマム級
 王座統一10回戦
 多田悦子  引き分け  リア・ラムナリン
16 2010.04.30  WBC世界バンタム級
 タイトルマッチ12回戦
 フェルナンド・モンティエル  TKO4R  長谷川穂積
17 2010.04.30  WBC世界スーパーバンタム級
 タイトルマッチ12回戦
 西岡利晃  TKO5R  バルウェグ・バンゴヤン
18 2010.04.30 10回戦  粟生隆寛  TKO8R  ワイベル・ガルシア

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                       2010年4月3日(土)    後楽園ホール
                      東洋太平洋ミドル級タイトルマッチ12回戦
                  チャンピオン     T   K  O    挑戦者(同級2位)
             ○   佐藤幸治     4回2分41秒     李 在明   ●
                     (帝拳) 160 lbs                        (韓国) 159 lbs
                                           韓国ミドル級チャンピオン

 初回,李が右ストレートのボディブローを見せる。さらに右ストレートを佐藤のアゴにヒット。しかし,2分過ぎ,今度は佐藤の右ストレートがテンプルに決まり,李の足がもつれた。
 2・3回,李は佐藤の左ジャブに思い切った右ストレートを合わせ,韓国王者のプライドを見せる。
 4回,李の果敢な攻撃に戸惑った佐藤が強打を爆発させた。右ストレート,左フックでぐらついた李はクリンチで逃れ,以降は急速に消極的になった。左フックのカウンターがアゴに決まり,李は右膝から落ちてダウン(カウント8)。左フックでのけぞりながらも必死に防戦する李。連打からの左フックで大きくのけぞった李はロープ際で腰から落ちて2度目のダウン。プラヤドサブ主審は即座に試合をストップした。

 1年7ヶ月ぶりの後楽園登場となった佐藤が豪快なTKO勝ちで存在をアピールした。昨年12月に鈴木哲也(進光)から奪回した王座の初防衛に成功。しかし,左ジャブが少なく,全部当てようとする雑な攻撃が目についた。スピードも今一つであり,ベストからはやや隔たりがある。いつも突破口にしている左ジャブを軸にして組み立てるべきだろう。
 李はやや細身だが,右ストレートにパンチ力がある右ファイタータイプ。佐藤の左ジャブに右ストレートを合わせるなど,勇敢な試合ぶりが印象的。しかし,パワーの差は歴然で,4回に佐藤が攻勢に出ると急に腰が引けた。

     主審:ピニット・プラヤドサブ(タイ),副審:キム・ジェクン(韓国)&島川威
     ○佐藤:17戦16勝(14KO)1敗     ●李:13戦11勝(8KO)2敗
     放送:G+     解説:浜田剛史&セレス小林     実況:高橋雄一

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                    2010年4月3日(土)    後楽園ホール
                    日本ウェルター級タイトルマッチ10回戦
                   チャンピオン            挑戦者(同級1位)
             ×   中川大資    引き分け    井上 庸   ×
                     (帝拳) 147 lbs               (ヤマグチ土浦) 147 lbs

 初回,早くも波乱が起きた。いつになく序盤から積極的に攻める中川だが,赤コーナーに下がるところにワンツーを打ち込まれて腰から落ちてダウンを喫した。
 2回にも井上が大暴れ。左右フックの攻勢に晒され,中川は思わずグラブをキャンバスについて再びダウンを取られた。変則型の井上は体勢を崩しながらも左右フック,右ストレートで攻め込む。終盤には中川も反撃を見せ,右ストレートが効いた井上の足がもつれた。
 4・5回,体ごと叩きつけるような井上の左右フックに中川の苦戦が続く。
 しかし,6回に入るとボディに狙いを定めた中川が反撃に転じた。ボディに左右アッパーを集められた井上の動きが急に鈍くなる。井上は何とか足を動かすが,オーバーペースも加わって苦しくなった。中川は細かいパンチをコツコツと当てて徐々に井上を追い込む。
 9回,中川に逆転KOのチャンスが訪れた。右ストレートで動きが鈍った井上に襲いかかる中川。連打からの左フックを浴びた井上はついに仰向けにダウン。立ち上がったが,フラフラでダウン寸前の状態が続く。やっとの思いでゴングに救われた。
 10回,井上が捨て身の左右フックで驚異的な粘りを見せる。勝負をかけたい中川だが,思うようにならず,激しい打ち合いの中で終了ゴングを聞いた。

 大激戦の末に中川がドローで3度目の防衛を果たした。終盤の追い上げでドローに持ち込んだが,井上の捨て身の攻撃に苦しい展開が続いた。変則的でラフな井上のペースに合わせてしまったことが苦戦の原因。井上のオーバーペースが明白だったので,ペースに合わせずに消耗を誘うべきだったろう。スロースターターで終盤に強いという定評を裏付けるような試合だったが,今後に向けた課題が多い。
 井上は変則的な右ファイタータイプ。体ごと叩きつけるような左右フック,右ストレートにパンチ力がある。大いに中川を苦しめたが,前半飛ばしたツケが後半に回ってしまった。スローダウンしてから逆に中川を追い詰めた執念は見事。後一歩で大魚を逃したが,トータルのポイントでは優勢と見られただけにドローは気の毒な採点である。

採点結果 中川 井上
主審:杉山利夫 *** ***
副審:ビニー・マーチン 93 93
副審:土屋末広 93 95
副審:安部和夫 95 94
参考:MAOMIE 92 94


     ×中川:19戦15勝(11KO)2敗2分
     ×井上:18戦15勝(10KO)1敗2分

     放送:G+
     解説:浜田剛史&セレス小林
     実況:田中毅

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                     2010年4月3日(土)    後楽園ホール
                             8回戦
               日本ウェルター級4位    T   K  O    韓国S・ライト級4位
           ○   佐々木基樹     6回2分30秒     李 善行   ●
                  (帝拳) 146 3/4 lbs                        (韓国) 146 lbs

 初回,佐々木は左ジャブから右ストレートを放つ。李はロープに佐々木を押し込むが,佐々木の左フックがカウンターで返ってくる。土屋主審からヘディングを注意された李が日本語で『ハイ!』と大きな返事をして場内が沸く場面があった。
 3回,李は果敢に打って出るが,佐々木は攻撃の切れ目を突いて左アッパーのボディブローから右フック。佐々木の右フックの直後に両者の足が交錯し,李が右膝をつく。直前にパンチがヒットしていたため,土屋主審はこれをダウンとしてカウント8を取った。
 4回,李が右ストレート,左フックでひるんだ隙に左右フックで攻勢に出る佐々木。李の右目上が腫れてドクターチェックのために中断する。
 6回,右ストレート,左フックあるいは右アッパーから左フックで攻勢。ドクターチェックで再び中断するが,再開直後に佐々木が猛然とスパート。李も必死に応戦するが,右ストレート,左フックでニュートラルコーナーに飛ばされたところで土屋主審が試合をストップした。

 佐々木が昨年10月の世界挑戦に敗れて以来6ヶ月ぶりの復帰戦をTKOで飾った。果敢に攻める李の攻撃が途切れた隙にパンチを浴びせるクレバーな試合運びは佐々木ならではのもの。節制ぶりは脱帽ものである。34歳だが,まだまだやれるだろう。
 李は右ファイタータイプ。右ストレート,左右アッパーなどで果敢に打ち合いを挑む。しかし,攻撃パターンを読まれてパンチをまとめられた。

     主審:土屋末広,副審:葛城明彦&安部和夫&島川威
     ○佐々木:42戦33勝(21KO)8敗1分     ●李:19戦10勝(4KO)8敗1分
     放送:G+     解説:なし     実況:中野謙吾

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                       2010年4月3日(土)    後楽園ホール
                               8回戦
             日本S・ウェルター級(ノーランク)   K      O   日本S・ウエルター級10位
             ○   山本 忍       2回2分09秒     松橋拓二   ●
                    (石橋) 154 lbs                          (帝拳) 154 lbs

 左の松橋,右の山本。初回,松橋は右ジャブから左フックを一つ。終盤,山本が左右フックでロープに詰めて攻勢に出る。
 2回,果敢に攻める山本にやや後手に回る松橋。1分過ぎ,ロープを背負った松橋に対して,山本はワンツー,左フックを上下に連打する。エンジン全開の猛攻に松橋は両膝をついて脆くもダウン(カウント8)。右ストレートでガクンと腰を落としてロープに飛ばされ,2度目のダウン(カウント8)。辛うじてファイティングポーズを取るが,山本の怒涛のようなラッシュに晒される。右ストレートでガクンと右膝が落ちたところでマーチン主審が割って入った。

 北海の豪腕・松橋が伏兵・山本によもやのKO負けを喫する波乱が起きた。破格の強打とは裏腹に打たれ脆さは致命的。ノーランクの山本を甘く見ていたわけではあるまいが,簡単に攻めさせてしまったことが敗因。右ジャブ,フックが出ず,あまりにも不用意に連打を許してしまった。
 山本は右ファイタータイプ。松橋の強打を恐れず,勇気を持って一気に攻め切ったことが奏功した。右ストレートにパンチ力があるが,左右フックの連打にも良いものがある。ロープ際に捉えてからの怒涛のラッシュが圧巻である。

     主審:ビニー・マーチン,副審:葛城明彦&杉山利夫&土屋末広
     ○山本:16戦9勝(4KO)7敗     ●松橋:15戦11勝(10KO)3敗1分
     放送:G+     解説:なし     実況:藤田大介

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                2010年4月9日(金)    タイ ホアヒン ポーン・キングピッチ記念公園
                     WBC女子世界ライトフライ級王座統一10回戦
                     チャンピオン             暫定チャンピオン
               ○   富樫直美   判 定   ノンムエイ・ゴーキャットジム   ●
                         (ワタナベ)                       (タイ)

 開始早々から富樫が右ストレート,左右フックで攻勢を展開した。右ストレートがノンムエイのアゴに飛ぶ。
 2回,富樫の右ストレート,左フックで後退するノンムエイは右ストレートを返すが届かない。富樫はなおも左フックでのけぞらせる。終了間際には左右フックの連打でノンムエイをロープ際に追い込んだ。
 押し捲る富樫に対し,ノンムエイはやや劣勢。中盤以降は富樫も疲れを見せるが,ノンムエイには押し返す力がない。
 8回,ほぼ密着した状態から手数で押す富樫。
 10回終了間際には激しい打ち合いが見られた。疲れが出た富樫はロープを背に終了ゴングを聞いた。

 富樫が敵地で暫定王座を吸収し,自身が保持する正規王座の4度目の防衛に成功した。序盤から右ストレート,左右フックの連打を繰り返し,手数で押し捲った快勝である。中盤から見せた左右アッパーのボディ攻撃も良かった。ただし,手数の割には正確さが今一つという印象は否めない。今後の課題になるだろう。
 ノンムエイは右ストレート,左フックを得意とする右ボクサーファイター。地元の声援を受けて健闘したが,富樫の手数の前に屈した。右ストレート,左フックで弾かれるように後退する場面が目立った。

採点結果 富樫 ノンムエイ
主審:ノパラット・スリチャロン(タイ) *** ***
副審:福地勇治 97 94
副審:レイ・ダンセコ(比国) 96 95
副審:キム・ジェボン(韓国) 97 95
参考:MAOMIE 99 93


     ○富樫:8戦7勝(4KO)1分
     ●ノンムエイ:10戦8勝1敗1分

     放送:スカイA
     解説:重田玲   ゲスト:富樫直美
     実況:田野和彦

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                       2010年4月10日(土)    神戸市立中央体育館
                                 8回戦
                   日本ライト級(ノーランク)    T   K  O   日本ライト級(ノーランク)
                ○   鈴木悠平      1回1分25秒     佐梁孝志   ●
                        (真正) 135 lbs                           (明石) 135 lbs
                                              佐梁孝志=さりょう・たかし

 開始早々,積極的に攻めたのは佐梁。右ストレートのボディブローから左右フックで迫るが,鈴木はすぐにワンツー,左フック,ボディへの左アッパーを浴びせて優位に立った。1分過ぎ,左から右のワンツーストレートを受けた佐梁はワンテンポ遅れてゆっくりと右膝をついてダウン(カウント8)。辛うじて再開となったが,鈴木の詰めは鋭く,ロープを背にした佐梁に対して左右のショートフックから最後はボディへの左アッパーを見舞う。佐梁はしゃがみ込むように右膝をついて2度目のダウン。川上主審はここで即座に試合をストップした。

 2009年度全日本ライト級新人王の鈴木が貫禄を見せた。ワンツー,ボディへの左アッパーを武器とする右ファイタータイプ。高いKO率を誇るが,一発ではなく連打で攻め落とすパターンである。上体の動きが不足気味なので,その点が今後の課題になるだろう。
 佐梁は右ファイタータイプで,左右フックを得意としている。開始早々に仕掛けたが,パンチ力の差が出てしまった。

     主審:川上淳,副審:宮崎久利&坂本相悟&野田昌宏
     ○鈴木:7戦7勝(6KO)     ●佐梁:21戦8勝(1KO)12敗1分
     放送:BS日テレ     解説:六車卓也&名城信男     実況:寺島淳司

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                 2010年4月11日(日)    刈谷市あいおいホール
                            6回戦
                日本フライ級(ノーランク)         日本フライ級(ノーランク)
             ○   佐々木章人    判 定    中垣内真司   ●
                     (緑) 112 lbs                 (コパン星野) 111 3/4 lbs

 初回,軽快なステップを踏みながら左ストレート,ボディへの右フックで好調な立ち上がりを見せた中垣内。しかし,佐々木が右で軽くボディを打っておいて返した左フックがアゴに決まる。このパンチで中垣内は思わず尻餅をつき,ダウンを喫した(カウント8)。
 果敢な攻撃を見せる中垣内だが,佐々木が徐々に押して行く。2回終盤,右ストレートからの攻勢でぐらつく中垣内。
 3回,良く応戦する中垣内だが,初回のようなステップが消える。終盤には佐々木の右ストレート,左フックの攻勢に晒されて動きが鈍った。
 4回,中垣内は再びサークリングしながら立て直すが,5・6回は佐々木のペース。ブロックしながら左右ショートフックをまとめる佐々木が最後まで主導権を握ったまま終了ゴングを聞いた。

 佐々木は右ストレート,左右フックの連打を得意とする右ファイタータイプ。中垣内のパンチをブロックしながら,攻撃の切れ目を突くようにショートフックを釣瓶打ちした。パンチ力はないが,相手の攻撃を見極めたうまい攻撃で2009年度全日本フライ級新人王の貫禄を見せた。
 中垣内はサウスポーのファイタータイプ。左ストレート,左右フックのボディブローを得意としている。最後まで食い下がったが,佐々木にうまく読まれていたフシがある。序盤に見せた軽快な足の運びが消え,徐々に佐々木のペースに嵌ってしまった。佐々木に追い足の鋭さがないだけに,最後まで動きを止めずに戦っていたら違う展開になっていただろう。積極的な攻撃は好印象である。

採点結果 佐々木 中垣内
主審:坂本相悟 *** ***
副審:ビニー・マーチン 59 54
副審:村瀬正一 59 55
副審:堺谷一志 59 55
参考:MAOMIE 59 54


     ○佐々木:12戦8勝(1KO)3敗1分
     ●中垣内:11戦5勝6敗

     放送:なし
     解説:なし
     実況:なし

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                   2010年4月11日(日)    刈谷市あいおいホール
                               4回戦
               日本ライト級(ノーランク)    T   K   O   日本ライト級(ノーランク)
             ○   柳原亮太     1回2分47秒     北村英男   ●
                   (コパン星野) 135 lbs                      (大一スペースK) 134 3/4 lbs

 開始早々から左ジャブを突いて積極的なボクシングを見せる北村。柳原はじっくりプレッシャーをかける。体を沈めて放った右ストレートが北村のアゴにヒット。バランスを崩してロープに突っ込んだ北村に攻勢をかける柳原。北村が右ストレート,アッパーを振って猛然と反撃し,試合は激しい打ち合いになった。北村は勢い込んでパンチを放つが,柳原は冷静に対処し,左アッパー,右フックのボディブローを見せる。さらに右ストレート,左フックで攻勢に出る柳原。リング中央でクロス気味の右ストレートを打ち込まれた北村は腰からドスンと崩れ落ちてダウン。石川主審は即座に試合をストップした。

 柳原が見事に北村を沈めた。右ボクサーファイターで右ストレートにKOの威力を秘めるが,返しの左フックあるいはボディ攻撃などのバリエーションを持っている。鮮やかなフィニッシュだったが,一方で北村の反撃にたじろぐ場面もあった。相手の攻勢に合わせて正面から打ち合う必要はなく,今後は攻撃の切れ目や打ち疲れを待つなどのテクニックを徐々に身につけて行くと良いだろう。そうすれば鋭いパンチがさらに生きるはず。白星先行まで後一歩。今後に期待したい。
 北村は右ボクサーファイターで,右ストレート,アッパーが鋭い。敗れたが,捨て身の反撃で場内を沸かせた。せっかくの攻撃だったが,前のめりになってバランスが悪くなったことが悔やまれる。

     主審:石川和徳,副審:ビニー・マーチン&堺谷一志&村瀬正一
     ○柳原:7戦3勝(3KO)4敗     ●北村:6戦5敗1分
     放送:なし     解説:なし     実況:なし

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                    2010年4月12日(月)    後楽園ホール
                    日本スーパーライト級タイトルマッチ10回戦
              挑戦者(同級1位)   T   K   O      チャンピオン
           ○   亀海喜寛     9回2分05秒    小野寺洋介山   ●
                  (帝拳) 140 lbs                          (オサム) 140 lbs
                                         WBA15位,WBC13位

 今年のチャンピオンカーニバルで最高のカードとして注目されたが,初回から亀海の一方的なペースで進んだ。2分過ぎ,小野寺の動きを見ていた亀海が打ち下ろした右ストレート2発。これで小野寺はよろけるように腰から落ちてダウン。小野寺は自ら前に出てピンチをしのぐが,亀海は右ストレート,左フックを浴びせて攻勢。
 2回にも亀海の強打が火を噴く。小野寺は叩きつけるような左右フック,アッパーで迫るが,亀海は冷静に見極める。右ストレート,左アッパーのボディブロー,左右アッパーをまとめれば,たまらず腰から落ちた小野寺はロープを枕に2度目のダウンを喫した。
 必死に食い下がる小野寺だが,3回以降の亀海は心憎いほどのテクニックで翻弄した。小野寺の攻撃をヘッドスリップあるいは肩の動きでかわし,右ストレート,左フックからボディへの左アッパーを面白いように浴びせる。試合はワンサイドゲームになった。
 突破口を見出せない小野寺。8回,左右アッパーのボディブロー,右ストレートを浴びせて勝負をかける亀海。小野寺はブレイク後にパンチを出して減点1を食った。小野寺は打たれてもひたすら前に出る。亀海のワンツー,左右アッパーで一方的になるが,小野寺が打ち返しているためにストップできない展開が続いた。
 9回,驚異的な粘りを見せる小野寺に破局が訪れた。左ジャブを突きながら休んでいる亀海だが,2分過ぎ,左ジャブからの右ショートストレートがアゴに炸裂。この見事なワンツーを浴びた小野寺の体は大きく後ろに傾き,ロープ下に崩れ落ちた。危険を察知した染谷主審が飛び込むように割って入り,即座に試合をストップさせた。

 期待の大型ホープ亀海が完璧な攻防のテクニックを存分に披露し,初挑戦で王座を奪った。ヘッドスリップ,ショルダーブロックを中心としたディフェンスで徹底的にかわし,要所に鋭い右ストレート,左右アッパーを浴びせる危な気ない戦いぶり。足を使わずにかわすので,エネルギーのロスが少ない頭脳的な試合運びである。久しぶりに強打と技巧を兼備した本格派王者の誕生を見た感じがする。層が厚くて難しいクラスではあるが,十分に世界が期待できる。
 小野寺は3度目の防衛に失敗。いつもの狂った風車のようなラッシュが出ていれば違う展開になっていたと思われるが,徹頭徹尾かわされてしまった。亀海の鋭いパンチと巧妙なディフェンスの前に完敗。いかし,最後まで食い下がり,オサムジム伝統の『何くそ魂』を存分に見せた。

8回までの採点 亀海 小野寺
主審:染谷路朗 *** ***
副審:土屋末広 79 70
副審:葛城明彦 79 71
副審:中村勝彦 80 69
参考:MAOMIE 80 69


     ○亀海:15戦15勝(13KO)
     ●小野寺:24戦21勝(8KO)2敗1分

     放送:フジテレビNEXT
     解説:川島郭志
     実況:竹下陽平

※ 第8ラウンド,ブレイク後の加撃によって小野寺は減点1。

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                    2010年4月12日(月)    後楽園ホール
                   日本スーパーバンタム級タイトルマッチ10回戦
                  チャンピオン           挑戦者(同級1位)
             ○   芹江匡晋    判 定    玉越強平   ●
                    (伴流) 121 1/2 lbs              (千里馬神戸) 122 lbs
            WBC14位    芹江匡晋=せりえ・まさあき

 ともに広いスタンスで動きの激しい展開になった。序盤をうまく戦ったのは玉越。攻め込む芹江の攻撃をかわし,左右フックを見舞う。接近すると左右アッパーのボディ連打や顔面への細かいパンチを浴びせた。
 試合の流れが芹江に傾いたのは5回。やや手数が減った玉越に対し,激しく動きながら攻撃を仕掛ける芹江。6回,芹江は肩越しの右ストレート,さらに接近して右ストレートを打ち下ろして優位に立った。玉越は後頭部への加撃により減点1を食った。
 7・8回は玉越がバッティングによる右目上の傷にめげず手数で上回る。
 9回は再び芹江。玉越をロープに押し込み,左右アッパー,右ストレートを浴びせる。10回,攻めの姿勢を維持する芹江。玉越をロープに押し込み,左右アッパー,右ストレートを打ち込む。玉越は後手に回った。

 拙戦の末,芹江が2−1で初防衛に成功した。ともに変則で誰がやってもやりにくいタイプだけに難しい試合になったが,攻めの姿勢を崩さなかったことが勝因。器械体操出身らしく,柔軟な肉体と優れた運動能力を誇る右ボクサーファイターで,スタミナも十分。
 玉越は変則的な右ボクサータイプで,打ち合いを好む。低いガードから放つ左フックが武器。前半は打ち終わりに細かいパンチを浴びせてリードしたが,5回以降はアグレッシブに攻める芹江に押されて手数が減ったことが惜しまれる。

採点結果 芹江 玉越
主審:浅尾和信 *** ***
副審:安部和夫 95 96
副審:染谷路朗 96 93
副審:坂本相悟 97 92
参考:MAOMIE 95 94


     ○芹江:19戦16勝(6KO)3敗
     ●玉越:37戦25勝(10KO)6敗6分

     放送:フジテレビNEXT
     解説:川島郭志
     実況:森昭一郎

※ 第6ラウンドの後頭部への加撃による玉越の減点1を含む採点。

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                      2010年4月12日(月)    後楽園ホール
                             8回戦
                日本ライト級10位    T   K  O    日本ライト級3位
             ○   大村光矢    3回1分11秒    加藤善孝   ●
                   (三迫) 134 1/4 lbs                    (角海老宝石) 135 lbs

 初回,滑り出しはともに左ジャブの交換から。前に出る加藤,サークリングしながら隙を窺う大村。均衡を破ったのは加藤。中盤,右から左のフックが決まり,大村は腰から落ちてダウン。立ち上がった大村が体を密着させて反撃に転じた。加藤は左右フックで攻勢に出るが,逆に大村の左フックで膝が落ちる。
 2回,ダウンを喫した大村がダイナミックな左右フックで反撃に出る。2分過ぎ,中途半端に右を打ちかけて止めた加藤のアゴに右ストレートが命中。このパンチで加藤はガクンと腰を落としてピンチを迎えた。大村は一気に攻勢を仕掛ける。
 3回,白熱した試合展開でこれからという矢先に唐突な幕切れとなった。1分過ぎ,踏み込んで放った大村のオーバーハンドライトが加藤の左目を直撃する。加藤の表情から異変を察知した土屋主審が即座にドクターチェックを受けさせる。眼窩底骨折の疑いがあるとの判断により,ここで試合がストップされた。

 ダウンを跳ね返してダイナミックな反撃を見せた大村。加藤の負傷という後味の悪さはあるが,上位ランカーを破ったことでランクアップを確実なものとした。右ファイタータイプで,豪快な左右フック,右ストレートを売り物にしている。パンチ力は十分だが,不用意な被弾は要注意である。
 加藤は右ファイタータイプで,こちらも左右フックを得意としている。ダウンを奪った後は見過ぎて手数が減った。2回には中途半端な動きを突かれて右ストレートでぐらつくなど,拙い場面を見せた。
 加藤の異変に気づいてドクターチェックを受けさせた土屋主審。迅速かつ的確な判断はファインプレイものである。

     主審:土屋末広,副審:浅尾和信&染谷路朗&安部和夫
     ○大村:17戦13勝(9KO)4敗     ●加藤:22戦17勝(5KO)4敗1分
     放送:フジテレビNEXT     解説:川島郭志     実況:立本信吾

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               2010年4月18日(日)    大阪府立体育会館第1競技場
                            10回戦
             WBA・WBC世界L・フライ級13位      東洋太平洋ミニマム級7位
             ○   井岡一翔      判 定     ヘリ・アモル   ●
                     (井岡) 108 lbs                 (インドネシア) 108 lbs
                                     インドネシア ミニマム級チャンピオン

 身長165cmの井岡,153cmのアモル。向かい合った途端に体格差が露わになった。井岡は初回から鋭い左ジャブ,左右アッパー,ワンツーを浴びせて優位に立つ。小兵のアモルも負けじと右ストレート,左フックを返した。
 4回,右のフェイントからの左アッパーがアゴを捉え,腰が砕けたアモルは大きく後退。井岡は攻勢に出る。
 6回,井岡がボディに左右アッパーを集めると,アモルは盛んにトランクスのベルトラインを気にする。7回終盤,右を振って入ろうとしたアモルの顔面に井岡の右ストレートがカウンターになった。
 井岡がどこでワンサイドゲームを終わらせるかに興味が集まるが,8回,気を抜いたところに右ストレートを食ってヒヤリとさせる場面が見られた。
 9回終了間際に波乱が起きた。右の相打ちになるが,一瞬早くアモルの右ストレートがカウンター気味に決まる。このパンチに井岡は呆気なく尻餅をつき,カウント8のダウンを喫した。
 10回,気を良くしたアモルが反撃に出て激しい打ち合いになる。打ち勝っているのは井岡だが,タフなアモルも譲らない。

 井岡はプロ入り後無傷の4連勝。多彩なコンビネーションブローで非凡な才能を披露し,圧勝した。天性の目と勘の良さに加え,スピード,切れは抜群。溢れるような将来性を感じさせる。しかしながら,タフでしぶといアモルを倒し切れなかったことは反省点だろう。まとめる場面はしっかりまとめてストップを呼び込むようなことが必要かも知れない。不用意な被弾で9回にダウンを喫したが,油断は禁物。前のラウンドにアモルの右をヒットされており,偶発的なダウンではない。口が開いたまま戦っていることが気になる。そこにパンチを受けた場合,アゴを骨折する危険が懸念される。
 アモルは小柄な右ファイタータイプ。井岡のスピードに翻弄されたが,果敢に打ち返してインドネシア王者の意地を見せた。9回にダウンを奪ったように,踏み込んで放つ右ストレートに威力がある。

採点結果 井岡 アモル
主審:川上淳 *** ***
副審:北村信行 98 92
副審:宮崎久利 98 91
副審:野田昌宏 98 92
参考:MAOMIE 98 91


     ○井岡:4戦4勝(2KO)
     ●アモル:42戦27勝(11KO)11敗4分

     放送:スカイA
     解説:藤原俊志&浅沢英
     実況:山下剛

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               2010年4月18日(日)    大阪府立体育会館第1競技場
                             10回戦
              日本S・フェザー級6位    K      O    タイ国S・バンタム級チャンピオン
            ○   仲村正男     2回2分59秒    ディンプーン・チューワッタナ   ●
                  (仲里ATSUMI) 132 1/2 lbs                      (タイ) 131 1/2 lbs

 開始早々から左ジャブ,右ストレートを繰り出して積極的に攻める仲村。
 2回,仲村は軽い動きから左ジャブ,ワンツーを放ち,ボディへの左アッパーを見せる。ディンプーンも右ストレート,フックを振るが,スピードがない。ワンツーに次ぐ右アッパーがアゴに炸裂し,ディンプーンは崩れ落ちてうつ伏せにダウン。立ち上がろうとしたが,そのままカウントアウトされた。

 仲村,無傷の10戦オールKO勝ち。軽快な動きに乗せて放つ左ジャブ,ワンツーを主体とするストレート系のパンチにKOの威力を秘める右ボクサーファイター。しかしながら,ここまでは比較的イージーな相手にKOの山を築いてきた側面があることも否定はできない。ランク入りしたこともあり,そろそろ力のある相手と手合わせしても良いだろう。
 ディンプーンは右ファイタータイプ。右ストレート,左フックを得意としているが,仲村とのスピードの差は歴然。

     主審:宮崎久利,副審:原田武男&川上淳&坂本相悟
     ○仲村:10戦10勝(10KO)     ●ディンプーン:21戦14勝(8KO)7敗
     放送:スカイA     解説:藤原俊志&浅沢英     実況:行部宗一

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                  2010年4月22日(木)    後楽園ホール
                    日本ライト級タイトルマッチ10回戦
                挑戦者(同級1位)           チャンピオン
             ○   荒川仁人    判 定    近藤明広   ●
                   (八王子中屋) 134 1/2 lbs           (日東) 135 lbs
                    WBA9位

 右の近藤,左の荒川がお互いにジャブで早くも主導権争いを始めた。先制したのは王者。右に回り込んで放ったタイミング抜群のワンツーが決まり,荒川は思わず尻餅をついてダウン(カウント8)。苦笑しながら立ち上がる荒川。
 2回は荒川が挽回した。右ジャブ,フックから左ストレートで積極的に攻め,終了間際には左アッパーをヒット。
 一進一退の見応えある攻防が続くが,4回以降はアグレッシブに攻める荒川がわずかながらリードした。6回後半,荒川は左右アッパーから左フックを浴びせて優位に立つ。接近戦でのパンチの応酬。左アッパーからの右フックを受けた近藤はバランスを崩してグラブをキャンバスにつきそうになった。荒川は鼻から薄く出血しているが,左右のショート連打が冴える。
 7回,近藤の右ストレートがヒットするが,荒川は逆に右フックのカウンターを返す。8・9回,どんどん前に出て攻める荒川に対し,近藤はゆとりが消える。
 10回,死力を振り絞った打ち合いになるが,ここは近藤が渾身の左右フックで王者の意地を見せた。

 けれんみのないクリーンでフェアな好ファイトとなった。
 荒川が2−0の判定で念願のタイトル獲得。一昨年9月,強豪王者ランディ・スイコ(比国)のOPBF王座に挑戦してドローに持ち込み,高い評価を受けたサウスポーのボクサーファイター。派手さはないが,堅実で冷静沈着な試合運びが光るテクニシャンである。初回にダウンを喫したが,得意のショート連打で徐々に挽回したことが勝因。ウィービング,ダッキングしながらどんどん前に出て左右フック,左アッパー,ストレートを的確にヒットしたことがポイントにつながったと言える。誠実で謙虚な勝利者インタビューは非常に好印象である。
 近藤は2度目の防衛に失敗。先制のダウンを奪ったワンツーは見事だったが,荒川の間断ないショート連打で徐々に余裕を失った。スピードも体の切れも十分で,コンディションそのものは最高だったと言える。

採点結果 荒川 近藤
主審:土屋末広 *** ***
副審:浅尾和信 95 95
副審:杉山利夫 96 94
副審:染谷路朗 96 94
参考:MAOMIE 96 93


     ○荒川:19戦17勝(11KO)1敗1分
     ●近藤:15戦13勝(6KO)2敗

     放送:スカイA
     解説:今岡武雄&本間暁
     実況:桑原学

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        2010年4月24日(土)    トリニダードトバゴ チャグアナス Central Indoor Regional Auditorium
                   WBA女子世界ミニマム級王座統一10回戦
                    チャンピオン              暫定チャンピオン
              ×   多田悦子    引き分け    リア・ラムナリン   ×
                     (フュチュール) 102 lbs               (トリニダードトバゴ) 104 lbs

 初回,きれいな右ストレートをヒットするラムナリン。しかし多田は前に出て左ストレートをボディ,顔面にヒットしてラムナリンを後退させる。
 左右への小刻みな頭の動きから右ストレートを伸ばすラムナリン。3回,多田が踏み込んで放ったワンツーがアゴに決まり,ラムナリンが腰を落とす。
 4回には力みが目立つ多田が右ストレートを許す場面があった。6回,多田はバッティングで右目上をカットし鼻からも出血するが,8回,積極的に出て左ストレートから左右フックを浴びせて攻勢に出る。
 9・10回はともに決め手を欠いたが,先に手を出している多田がやや上回った。

 多田が3度目の防衛に成功。0−1のマジョリティドローという際どい採点だったが,敵地のプレッシャーに打ち勝つ精神面の強さが光った試合内容である。距離を取ったところから伸ばすワンツーを多用し,終始主導権を握っていた。
 ラムナリンは右ボクサーファイターで,右ストレートを得意としている。打ち終わりを狙って再三右ストレートをヒットしたが,多田の積極的な攻撃で後手に回る場面が目立った。

採点結果 多田 ラムナリン
主審:ルイス・パボン(プエルトリコ) *** ***
副審:ハロルド・ローレンス(オランダ領アンティル) 95 95
副審:デビッド・シン(パナマ) 95 95
副審:ラウル・ニエベス(プエルトリコ) 93 97
参考:MAOMIE 98 93


     ×多田:8戦6勝(2KO)2分
     ×ラムナリン:19戦13勝(2KO)5敗1分

     放送:スカイA
     解説:重田玲     ゲスト:多田悦子
     実況:田野和彦

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                         2010年4月30日(金)    日本武道館
                        WBC世界バンタム級タイトルマッチ12回戦
                   挑戦者(WBO王者)    T   K   O     チャンピオン
             ○   フェルナンド・モンティエル    4回2分59秒    長谷川穂積   ●
                       (メキシコ) 118 lbs                          (真正) 117 3/4 lbs

 開始早々から緊迫感が充満した展開になった。お互いにジャブで牽制しながら,チャンスを窺う。長谷川はジリジリと前に出て左ストレートをボディに。終了間際,ロープに下がったモンティエルを追って攻勢に出る長谷川。モンティエルはバランスを崩しながらも,巧みなスウェイバックでこれをかわした。
 2回,モンティエルが左アッパーを突き上げる。ヒットしていないが,恐いパンチ。ロープに下がった長谷川の左ストレートの打ち終わりに右ストレートを返すモンティエル。
 3回にもハイレベルな攻防が続く。モンティエルは右のフェイントから左アッパーを振るが,長谷川の右フックがカウンターになった。
 4回,呆気なく決着がついた。モンティエルの左腕の外側に回り込んで左フックを見舞う長谷川。終了10秒前の拍子木が鳴ったところで試合が大きく動く。モンティエルの右の打ち終わりに左ストレートを返す長谷川。しかし,その打ち終わりにかぶせたモンティエルの左フックがアゴに命中。この一発がすべてだった。長谷川はガクンと腰を落としてロープを背負う。一気に攻勢に出るモンティエル。左フックでアゴが上がり,大きくのけぞる長谷川。ここぞとばかりに細かい連打を浴びせるモンティエル。クリンチする余裕さえ与えない速攻に,コール主審は即座に試合をストップした。

 実力者同士による正真正銘の名勝負。 心の読み合い,腹の探り合い,高度な駆け引きの妙が満載。打ち終わりに返されたパンチの打ち終わりにかぶせたモンティエルの左フックは見事の一語に尽きる。勝ち負けを超え,これぞボクシングと言うべき充実した試合内容である。
 長谷川は11度目の防衛に失敗。積極的な攻撃でやや押し気味に進めていたが,行けると思った矢先に一瞬の隙を突かれた。カウンターの右フック,右に回り込んでの左フックなどでリードしていただけに無念の結果となった。あの左フックは長谷川にとって痛恨の一発だろう。しかし,紙一重の攻防であり,ぜひリベンジを期して欲しい。
 モンティエルは日本では未公認のWBOで3階級制覇を果たした実力者。現役のWBOバンタム級王者として,WBC王座に挑戦する形で世紀の一戦が実現した。上背では劣るが,抜群の反射神経,並外れた目と勘の良さが光る。右ボクサーファイターで,主武器は何と言っても左フック。フェイントを得意としており,右を軽く打っておいて放つ左アッパーも恐いパンチである。スウェイバックを中心に,柔軟な体を生かしたディフェンステクニックにも見るべきものが多い。

     主審:ローレンス・コール(米国),副審:デュアン・フォード(米国)&スティーブ・モロー(米国)&ダニエル・ヴァン・デ・ヴィール(ベルギー)
     ○モンティエル:45戦41勝(31KO)2敗2分     ●長谷川:31戦28勝(12KO)3敗
     放送:日本テレビ     解説:浜田剛史&飯田覚士     実況:鈴木健

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                         2010年4月30日(金)    日本武道館
                      WBC世界スーパーバンタム級タイトルマッチ12回戦
                     チャンピオン     T   K  O     挑戦者(同級10位)
                ○   西岡利晃    5回1分14秒    バルウェグ・バンゴヤン   ●
                        (帝拳) 122 lbs                         (比国) 122 lbs

 初回,右で牽制しながら気迫十分の表情でプレッシャーをかける西岡。バンゴヤンは慎重な立ち上がりを見せるが,西岡が踏みこんで放った左ストレートで早くもロープを背にする。
 2回,バンゴヤンの右ストレートが決まり,西岡の動きが止まってヒヤリとさせる場面があった。
 4回,ガードの隙間を縫うような左ストレートをヒットする西岡。バンゴヤンも右ストレートを振って応戦。油断していると右が飛んでくるので,気の抜けない展開。
 5回,西岡が鮮やかに試合を決めた。前に出るバンゴヤンに対し,西岡は回り込みながらかわしてチャンスを窺う。バンゴヤンが振った右をグラブで押さえ込むようにしていなす西岡。その直後,一瞬ガードが開いて下がったところに西岡の左ストレートが炸裂。バンゴヤンはドッと音を立てて仰向けにダウン。カウント8で立ち上がったバンゴヤンは抱きついてピンチを脱しようとするが,西岡はそれを許さない。左右フック,左アッパー,ストレートの攻勢に晒されたバンゴヤンをペレス主審が救って試合が終わった。

 西岡が初防衛戦から4連続KO防衛を果たした。日本のジム所属の世界王者としては史上初の快挙である。伝家の宝刀とも言うべき左ストレートは絶対の武器になっている。”モンスターレフト”と異名と取って警戒される中,その左ストレートを決める堂々たる勝利である。フェイントをかけて踏みこんで打ったり,誘っておいて打ち終わりにカウンターしたりと円熟の境地を披露した。回り道はしたが,修羅場を潜り抜けた経験が生きた好例だろう。本場進出への期待がさらに高まった。
 無敗のバンゴヤンは勢いに乗る若手のホープ。右ファイタータイプで,右ストレート,フックに威力がある。敗れたが弱い相手ではなく,調子に乗せると恐い。足はあまり使わず,ここぞというときに右を伸ばす。

     主審:ヘラシオ・ペレス(メキシコ),副審:マルコム・ブルナー(豪州)&パク・ドンアン(韓国)&ノパラット・スリチャロン(タイ)
     ○西岡:43戦36勝(23KO)4敗3分     ●バンゴヤン:16戦15勝(6KO)1敗
     放送:日本テレビ     解説:飯田覚士&セレス小林     実況:高橋雄一

※ 第4ラウンド,ローブロによってバンゴヤンは減点1。

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                            2010年4月30日(金)    日本武道館
                                    10回戦
                WBA・WBC世界S・フェザー級3位   T   K   O    パナマ フェザー級(ノーランク)
                ○   粟生隆寛         8回1分48秒     ワイベル・ガルシア   ●
                        (帝拳) 130 lbs                                (パナマ) 130 lbs

 変則的な動きで前に出るガルシアに対し,粟生は良く見て左ストレート,アッパーのボディブローを決めて幸先の良い立ち上がりを見せた。
 2回,打ち気に出るガルシアだが,アゴのガードはガラ空き。粟生の左ストレート,右フックがカウンターになる。ガルシアも右フックをヒットするが,3回には左ストレートで体が泳ぐ。
 4回,左ストレートでぐらつくガルシア。さらに同じパンチでのけぞる場面を見せた。中盤には粟生が軽く出した左ストレートからの右ショートフックが決まり,ガルシアはキャンバスに横転した(カウント9)。まとめにかかる粟生だが,ここはガルシアも粘りを見せて踏み止まった。
 ワンサイドゲームの決着がついたのは8回。左ストレートでガルシアをのけぞらせた粟生はニュートラルコーナーに追い込んで攻勢。粘るガルシアだが,左ストレートでのけぞったところで杉山主審が試合をストップした。

 粟生がしぶといガルシアを仕留めた。左ストレート,右フックのカウンターが冴え,ワンサイドで押し捲っての圧勝。パンチも切れて好調をアピールした。左一本槍ではなく,右フックあるいはボディにカウンターで放つ左ストレート,アッパーが加わって幅も出た。ただし,クリーンヒットの後のまとめが欲しいところ。タフな相手ではあったが,粟生自身がフィニッシュを長引かせた面もある。
 ガルシアは右ファイタータイプ。変則的でぎこちないが,左右フック,右ストレートを強振してどんどん出てくる。右を振るときに,パンチといっしょに右足が前に出てしまう欠点がある。

7回までの採点 粟生 ガルシア
主審:杉山利夫 *** ***
副審:浦谷信彰 70 63
副審:土屋末広 68 64
副審:安部和夫 68 64
参考:MAOMIE 70 62


     ○粟生:22戦19勝(9KO)2敗1分
     ●ガルシア:30戦22勝(15KO)8敗

     放送:BS日テレ
     解説:飯田覚士&セレス小林
     実況:田中毅

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