熱戦譜〜2009年4月の試合から


MENU
MENUのbクリックすると各観戦記にジャンプします

試合日 試合 結果
2009.04.04  日本スーパーライト級
 タイトルマッチ10回戦
 小野寺洋介山  判定  木村登勇
2009.04.04  日本ライト級
 タイトルマッチ10回戦
 三垣龍次  TKO9R  石井一太郎
2009.04.04 8回戦  鈴木典史  TKO3R  吉田真樹
2009.04.11  WBA世界スーパーフライ級
 タイトルマッチ12回戦
 名城信男  TKO8R  冨山浩之介
2009.04.11  WBA女子世界ミニマム級
 タイトルマッチ10回戦
 夛田悦子  判定  孫 抄弄
2009.04.11  日本ミドル級
 タイトルマッチ10回戦
 鈴木哲也  判定  淵上 誠
2009.04.13  日本ライトフライ級
 タイトルマッチ10回戦
 嘉陽宗嗣  8R負傷引き分け  國重 隆
2009.04.13  東洋太平洋スーパーミドル級
 タイトルマッチ12回戦
 清田祐三  TKO2R  李 在明
2009.04.13 8回戦  稲垣 孝  判定  高田 茂
10 2009.04.19  日本フライ級
 タイトルマッチ10回戦
 清水智信  2R負傷引き分け  池原繁尊
11 2009.04.25  WBA世界ミドル級
 タイトルマッチ12回戦
 フェリックス・シュトルム  TKO7R  佐藤幸治

ホームページのトップに戻る     熱戦譜のトップに戻る     ← 2009年3月に戻る     2009年5月に進む →


                       2009年4月4日(土)    後楽園ホール
                      日本スーパーライト級タイトルマッチ10回戦
                     挑戦者(同級1位)          チャンピオン
                ○   小野寺洋介山   判 定   木村登勇   ●
                         (オサム) 139 3/4 lbs             (横浜光) 139 3/4 lbs
                                            WBA15位

 初回から激しい打ち合いになった。小野寺の左フックで木村の動きが止まる。右アッパー,左右フックで猛然とラッシュする小野寺。木村はクリンチに出るが,終了間際に左ストレートをヒットした。
 2回,安定王者の木村がダウンを奪われる波乱が起きた。小野寺の左から右のフックで腰が落ちた木村はロープに吹っ飛ばされる。一気に攻勢に出る小野寺。木村は必死にしがみついて耐えるが,ロープに突っ込んだところでマーチン主審がダウンを宣告してカウント8を数えた。
 それ以降も小野寺のエネルギッシュな連打に木村はタジタジとなる場面が続く。木村は接近戦で左右アッパー,左ストレートを返して応戦するが,小野寺の手数を止めるには至らない。
 7回,木村はようやく手数で上回るが,小野寺も終了間際に右ストレートをヒット。
 8回,小野寺の連打が唸る。木村が反撃に出ると足を使い巧みなボディワークでかわし,表情には余裕さえ窺えた。終了間際には再び小野寺の右ストレートが決まる。
 9回,敗色濃厚な木村は必死の反撃を見せるが,足が動かない。逆に小野寺が強烈な右フックを叩きつけ,左右フック,アッパーの連打を浴びせた。10回,木村の左右アッパー,左ストレート,小野寺の左右フック,アッパーで激しい打ち合いが続く中,終了ゴングを聞いた。

 壮絶な打ち合いとなったが,長期安定政権を築いていた木村が王座を明け渡すという番狂わせが起きた。
 初挑戦で大金星の王座奪取となった小野寺は左右フック,アッパーの猛烈な連打を武器とする右ファイタータイプ。無尽蔵とも思えるスタミナと手数を最大の売り物としている。どこからでも手が出ることが強味だろう。豊富な練習量を裏付けるように最後まで手数が衰えなかった。歴史に残る安定王者・木村を堂々たる真っ向勝負で破った価値ある戴冠と言える。今までの対戦者は木村の威圧感に呑まれて敗退したが,小野寺はひるまずにその上を行く旺盛な連打で逆に木村を圧倒してしまったことが勝因である。人間味溢れる試合後のインタビューも非常に好感が持てる。今後の活躍に注目したい。
 木村は14度目の防衛に失敗。今までは変則的なボクシングと強打に相手がひるんだが,小野寺が攻め込んできたのは誤算だったはず。終盤に反撃の姿勢を見せたが,序盤からの被弾のためか動きが鈍かった。今後の動向が注目されるが,ライト級と併せて2階級を制覇し,このクラスで13度の防衛を重ねた功績には計り知れないものがある。

採点結果 小野寺 木村
主審:ビニー・マーチン *** ***
副審:ウクリッド・サラサス 97 93
副審:土屋末広 98 92
副審:杉山利夫 99 91
参考:MAOMIE 97 92


     ○小野寺:21戦19勝(7KO)1敗1分
     ●木村:44戦35勝(19KO)7敗2分

     放送:G+
     解説:セレス小林
     実況:田中 毅

このページのトップに戻る


                       2009年4月4日(土)    後楽園ホール
                        日本ライト級タイトルマッチ10回戦
                  挑戦者(同級3位)     T  K O     チャンピオン
               ○   三垣龍次      9回30秒    石井一太郎   ●
                       (MT) 134 3/4 lbs                    (横浜光) 135 lbs
                                           WBA11位,WBC12位

 初回,落ち着いて左ジャブを多用する三垣。左ジャブ,フックで早くも石井をロープに追う。石井はワンツーでボディを狙うが,左が少ない。
 接近戦を挑む石井は2回に左目上をカット(三垣の有功打による傷)するが,三垣をロープに詰めて右ストレートからのラッシュに出た。3回,接近戦で左右アッパーの交換。石井はバッティングで右目上をカット。石井の右フックが決まるが,三垣は終了間際に鮮やかなワンツーをヒットして石井をぐらつかせた。
 4回,石井は左アッパー,右ストレートを浴びせる。三垣は落ち着いて左ジャブを多用し,接近戦で左右アッパーのボディブローを連打。石井は終了間際にパンチをまとめる。5回,石井は左フックで三垣をぐらつかせて攻勢。三垣も左フック,右ストレートで応戦し,一進一退の展開が続く。
 互角のシーソーゲームとなったが,均衡が破れたのは6回。セコンドの指示があったのか,三垣が再び鋭い左ジャブで試合を組み立て始めた。さらに接近戦でボディブローを浴びせる三垣。
 7回,試合の流れは一気に三垣に傾いた。疲労の色を見せ始めた石井に対して,三垣は深追いせず左ジャブを多用してジックリ攻める。三垣は右ストレートからくっついてボディに左右アッパーを突き上げる。終了間際には右ストレートをヒット。
 8回,ニュートラルコーナー付近のロープを背にした石井は三垣の左アッパーで大きくのけぞる。連打からの右ストレートを浴びた石井は膝から崩れ落ちてダウン。立ち上がったが,チャンスと見た三垣の攻勢に晒されてロープを背負う。
 9回,唐突な幕切れが待っていた。ダメージの色を滲ませる石井が右ストレートを空振りして力なく後退したところでタオルが投入された。

 中森宏(平仲)の負傷により代役として初挑戦のチャンスを掴んだ三垣が見事に王座を奪取した。勝因は左ジャブを多用し,冷静に試合を組み立てたこと。接近して打ち合いたい石井を左ジャブで牽制し,ワンツー主体にジックリ攻めた。一進一後の展開から抜け出た要因は,地味だが前半から続けていたボディ攻撃にもあるだろう。攻め急がず,深追いせずの冷静な試合運びが光る。無駄な動きがないので,スタミナのロスが少ないことも隠れた強味になっている。ただし,ガードが低いため,ときおりパンチをもらう場面が見られる。これは要注意だろう。豊富なアマチュア(関西高→駒大)のキャリアがあるが,ワンツー,左フックに一発の破壊力を持つプロ向きな右ボクサーファイター。
 石井は2度目の防衛に失敗。本調子からは程遠い動きの悪さが目に付いた。三垣の左ジャブに出バナを叩かれ,得意の接近戦でも逆に左右アッパーのボディブローを見舞われた。中盤までは互角の展開だったが,6回以降はダメージが見られて急速に動きが鈍り,攻め急いだところを打たれる結果となった。

8回までの採点 三垣 石井
主審:福地勇治 *** ***
副審:山田一公 77 75
副審:土屋末広 77 74
副審:ビニー・マーチン 78 73
参考:MAOMIE 77 74


     ○三垣:14戦13勝(9KO)1敗
     ●石井:25戦21勝(16KO)3敗1分

     放送:G+
     解説:セレス小林
     実況:高橋雄一

このページのトップに戻る


                        2009年4月4日(土)    後楽園ホール
                                 8回戦
                    日本ミドル級2位    T   K  O   日本ミドル級(ノーランク)
                ○   鈴木典史      3回2分36秒    吉田真樹   ●
                      (ピストン堀口) 158 3/4 lbs                  (新日本カスガ) 160 lbs
                   鈴木典史=すずき・のりふみ              吉田真樹=よしだ・まさき

 初回,サウスポーの吉田が前に出て打ち合いを挑む。足を使ってアウトボクシングを見せる鈴木。中盤,右ストレートのカウンター一発でふらついて動きが止まる吉田。鈴木は右ストレート,左フック,右アッパーで一気にラッシュ。
 2回,左右フックで突進する吉田。鈴木は間合いを取り,出バナに右ストレート,アッパーを浴びせた。
 3回,鈴木が豪快に試合を決めた。吉田は強引に攻め込むが,鈴木の右アッパー一発でぐらつく。棒立ちとなった吉田は鈴木の猛攻に防戦一方。左ストレートが流れて上体が泳いだところに右アッパーが決まり,腰から落ちた吉田はもんどり打ってダウン。これは続行されたが,鈴木の詰めは見事だった。再びミスブローで上体が泳いだ瞬間,右ストレートをアゴに返された吉田は大きく足をもつれさせてダウン寸前のピンチ。鈴木が一気に襲いかかれば,吉田は腰砕けのままニュートラルコーナーに下がる。ここで杉山主審が試合をストップした。

 2度目のタイトル挑戦を目指す鈴木が見事なTKO勝ち。右ボクサータイプで右ストレート,アッパーに抜群の破壊力があるが,力ずくではなく,カウンターのタイミングに優れたものがある。足を使って距離を取り,カウンターからチャンスを掴んで一気にラッシュするのが得意の攻撃パターン。昨年2月に当時の王者・江口啓二(姫路木下)に挑戦して敗れているが,これで3連続TKO勝ちとなって再挑戦には絶好のアピールとなった。
 吉田はサウスポーのファイタータイプ。左右フックを強振して強引に打ち合いを挑むのが特徴。突進するときにガードが開き,膝や上体が伸び切ってしまう欠点がある。

     主審:杉山利夫,副審:ウクリッド・サラサス&山田一公&福地勇治
     ○鈴木:17戦14勝(12KO)2敗1分     ●吉田:17戦7勝(3KO)8敗2分
     放送:G+     解説:なし     実況:寺島淳司

このページのトップに戻る


                   2009年4月11日(土)    大阪府立体育会館第一競技場
                      WBA世界スーパーフライ級タイトルマッチ12回戦
                     チャンピオン    T   K   O   挑戦者(同級9位)
               ○   名城信男    8回1分22秒    冨山浩之介   ●
                       (六島) 115 lbs                       (ワタナベ) 115 lbs
                                              WBC14位

 開始早々から左ジャブをポンポンと繰り出して冨山が積極的に攻める。40秒過ぎ,冨山の右アッパーから激しい応酬になるが,相打ち気味の左フックをアゴに受けた名城は思わず尻餅をついてダウン(カウント8)。チャンスと見た冨山は左ジャブ,ワンツーで嵩にかかって攻め立てた。
 不覚のダウンを喫した名城は2回には落ち着きを取り戻し,前に出て右ストレートから左右フックのボディブローで反撃に転じた。5回には冨山のガードが下がったところに右ストレートを狙い打ちする。
 冨山の先制攻撃に苦しみながらも徐々に流れを引き寄せていた名城だが,6回に再び手痛い躓きを演じた。開始早々のパンチの交換で左フックをアゴに受けた名城は腰から落ちてダウン。しかし,終盤にワンツーからの攻勢で青コーナーに追い込む名城。やや効いている冨山は辛うじてゴングに救われた。
 7回,左ジャブ,ワンツーあるいは左ジャブ,フックで徐々にプレッシャーをかける。ダメージと疲労で窮地に追い込まれた冨山はクリンチに出る場面が多くなった。
 そして8回,苦戦が続いた名城が地力の差を見せる。40秒過ぎ,左ジャブから踏み込んで放った右ストレート。この絵に描いたような鮮やかなワンツーをアゴに打ち込まれた冨山はガクンと腰が落ち,ダウン寸前のピンチ。これは辛うじてダウンを免れたが,勝負所と見た名城はフルスロットルの猛攻に出る。右ストレート,左フックの攻勢に崩れ落ちた冨山はここでダウンを取られた。辛うじて再開に応じたが,善戦もここまで。名城の詰めに必死に耐えるが,ワンツーの連打で防戦一方のまま青コーナーに後退したところでネルソン主審が試合をストップした。

 名城が2度のダウンを喫する大苦戦の末に逆転TKOで初防衛に成功した。苦戦の原因は何と言っても,キャリアの浅い冨山を序盤で調子に乗せてしまったこと。左フックから強引に攻め込もうとして右ガードが大きく開いてしまい,そこに左フックを返される場面が目立った。ボディブローがほとんど見られず,冨山の動きを止めるのが遅れたことも苦戦に拍車をかけた。最後はねじ伏せて面目を保ったが,今後に大きな不安を残す試合内容である。左ジャブから組み立てて上下に打ち分ける本来の攻撃に徹することが大事。
 初挑戦の冨山は不利の予想の中で十分に持ち味を出し切った。序盤から左ジャブを多用し,チャンスにパンチをまとめた攻撃が良かった。名城を相手に堂々と打ち合ってカウンターを返すなど,試合度胸の良さが光る。惜しまれるのはディフェンスの甘さ。左ガードが下がったところに右ストレートを狙い打ちされてダメージを蓄積させたことが響いた。

7回までの採点 名城 冨山
主審:マーク・ネルソン(米国) *** ***
副審:島川威 65 66
副審:原田武夫 65 66
副審:フレディ・レデスマ(米国) 65 66
参考:MAOMIE 65 66


     ○名城:14戦13勝(8KO)1敗
     ●冨山:20戦18勝(6KO)2敗

     放送:スカイA
     解説:長谷川穂積&浅沢英
     実況:田野和彦

このページのトップに戻る


                2009年4月11日(土)    大阪府立体育会館第一競技場
                   WBA女子世界ミニマム級タイトルマッチ10回戦
                   挑戦者(同級6位)             チャンピオン
                ○   夛田悦子     判 定    孫 抄弄   ●
                      (フュチュール) 104 3/4 lbs             (韓国) 104 1/2 lbs
                   夛田悦子=ただ・えつこ        孫抄弄=ソン・チョーロン

 右の孫,左の夛田という顔合わせ。まずは孫が積極的に前に出て右ストレート,フックを振る。しかし,2回に夛田が右ジャブ,ワンツーでどんどんプレッシャーをかけるとファイタータイプの孫が押されて後退を始める。夛田はダブついている孫の腹に左アッパーを突き上げて動きを止める作戦に出た。
 3回以降は完全に夛田のペースで試合が進んだ。右フックの返しが甘い夛田だが,アグレッシブに孫をロープに詰めて左ストレート,アッパーを上下に打ち分ける。4回,孫の右ロングフックがヒットするが,後が続かない。夛田の攻勢が続き,左ストレートでふらついてロープに詰まる孫。
 中盤以降はワンサイドゲームの様相を呈した。6回,孫はトリッキーな動きを見せて流れを変えようとするが,夛田はボディに左右アッパーを集中。孫はロープを背に上体を折り曲げて耐える。
 8回,孫は足が動かず後退が続く。終了間際には夛田の左ストレートがクリーンヒットした。9回,自らに気合いを入れるように絶叫する孫だが,足が動かず,パンチは空しく流れた。夛田は最後まで攻撃の手を休めずに攻めて押し切った。

 夛田の圧勝。見事なタイトル奪取である。サウスポーのボクサーファイターで,左ストレート,アッパーを得意としている。終始プレッシャーをかけ続けたことが勝因。調整不足の孫のボディにパンチを集めて動きを止めたことも奏功した。手数が良く出ることが長所だが,右フックを打つときにナックルの返しが甘いことが気になる。一方的にリードしながら倒し切れなかった原因もそこにある。腰を回転させ,ナックルを確実に返して右フック,アッパーをフォローすることを覚えればさらに攻撃力が増すだろう。
 1年ぶりのリングとなった孫は3度目の防衛に失敗。右ファイタータイプで右ストレート,フックを得意としている。しかし,腹の周りがダブついており,調整不足は明白。初回こそ自ら攻める姿勢を見せたが,2回以降は夛田のプレッシャーに負けて後退する場面が続いた。中盤からはボディ攻撃が効いて足の動きが鈍り,フルラウンドを戦うのが精一杯の状態だった。

採点結果 夛田
主審:ピニット・プラヤドサブ(タイ) *** ***
副審:マーク・ネルソン(米国) 98 92
副審:フレディ・レデスマ(米国) 98 92
副審:チャラーム・プラヤドサブ(タイ) 99 91
参考:MAOMIE 100 91


     ○夛田:5戦5勝(2KO)
     ●孫:11戦10勝(3KO)1敗

     放送:スカイA
     解説:長谷川穂積&浅沢英
     実況:桑原学

このページのトップに戻る


               2009年4月11日(土)    大阪府立体育会館第一競技場
                       日本ミドル級タイトルマッチ10回戦
                     チャンピオン           挑戦者(同級1位)
                ○   鈴木哲也    判 定    淵上 誠   ●
                       (進光) 159 1/2 lbs            (八王子中屋) 158 3/4 lbs

 サウスポー同士の対戦。お互いに右ジャブで牽制するが,オープニングヒットは鈴木の左ストレート。さらに左アッパーが淵上のアゴを捉える。
 2回,淵上は接近して左右アッパーのボディ連打から左ストレートをクリーンヒット。鈴木も右フックを返すが,淵上の手数に押される。
 3回,淵上の手数が良く出るが,鈴木も要所に右フック,左ストレートを浴びせる。4回,鈴木の左ストレートがアゴに決まる。終了間際には腰を回転させた鈴木の右フックが決まった。
 中盤は淵上の手数が衰えず,鈴木はやや苦戦の様相。それでも7回終了間際にはロープを背にした淵上に左ストレートを浴びせてのけぞらせた。一進一後の好ファイトが続く。
 8回,打ち疲れが見える淵上だが,必死に左右アッパー,左ストレートで攻撃の姿勢を見せる。しかし,終了間際に形勢逆転。鈴木の攻勢でぐらついてニュートラルコーナーに後退した淵上がゴングに救われる場面があった。
 9回,鈴木は再び丹念に右ジャブを多用して淵上の出バナを叩く。この右ジャブで淵上の顔が横を向く場面が見られた。10回,ともに死力を振り絞って手数を出すが,わずかに手数で淵上が上回った。

 鈴木は辛くも僅差で初防衛に成功。淵上の手数に手を焼き,苦戦を強いられた。力みのない右ジャブ,左ストレートで要所を締め,決定的な主導権を渡さなかったことが防衛につながった。ただし,後手に回って相手を調子に乗せてしまったことは大いなる反省点である。後手に回るメリットは何もない。伸びのある右ジャブを多用し,自分から試合をコントロールするように心掛けることが必要である。
 2度目のタイトル挑戦に失敗した淵上だが,気迫十分の積極的な攻撃で最後まで鈴木を苦しめた。上背で上回っており,左右アッパーのボディブロー,さらに左ストレートの連打で鈴木を再三追い込んだ健闘が光る。終盤に打ち疲れが出てしまい,鈴木の反撃を押し返せなかったことが惜しまれる。

採点結果 鈴木 淵上
主審:福地勇治 *** ***
副審:川上淳 97 95
副審:宮崎久利 96 95
副審:野田昌宏 95 96
参考:MAOMIE 95 95


     ○鈴木:29戦22勝(14KO)7敗
     ●淵上:16戦10勝(2KO)6敗

     放送:スカイA
     解説:荒木慶大&浅沢英
     実況:田野和彦

このページのトップに戻る


                    2009年4月13日(月)    後楽園ホール
                     日本ライトフライ級タイトルマッチ10回戦
                  チャンピオン      負 傷 判 定    挑戦者(WBC10位)
             ×   嘉陽宗嗣    8回2分22秒      國重 隆   ×
                   (白井具志堅) 108 lbs                  (大阪帝拳) 107 1/2 lbs
                 WBA11位,WBC5位

 サウスポー同士の対戦。初回中盤にバッティングが発生し,嘉陽が左目上をカットしていきなりドクターチェック。早くもストップを意識したか,両者が激しく打ち合う。
 3回には嘉陽がバッティングで右目上もカットし,序盤にして流血戦の様相を呈した。この辺りからクリンチも増え始める。5回,飛び込んで攻める國重の頭が当たる。嘉陽が露骨に痛そうな表情を見せる場面も目立つようになった。首を抱え込んだ國重はホールディングで減点された。
 7回,目に入る血をしきりにグラブで拭う嘉陽。一発打ってはクリンチという展開が続き,さらにもつれ合った両者が仲良く倒れこむ。國重もバッティングで左目上をカットした。
 8回,ともに決め手を欠き,絡み合ったまま再びいっしょに倒れこむ両者。一向に盛り上がらないまま,嘉陽の両目上の傷が深くなり,5度目のドクターチェックの末に試合がストップされた。

 昨年2月以来の再戦だったが,前回同様の負傷引き分けという結果になった。両者が全く噛み合わず,一発打ってはクリンチとバッティングの連続でグダグダの凡戦となってしまった。
 5度目の防衛に成功した嘉陽だが,世界5位という肩書が泣く試合内容。出バナに合わせるパンチがないため,國重の突進を許したことが拙戦の原因。サイドにいなして打つなどの工夫が見られず,無策という印象は拭えない。頭が当たって露骨に痛そうな表情を見せ,最後は意気消沈しているようにさえ見えた。相当意識を変えて臨まなければ,ここから上は期待できない。
 國重も世界10位にしてはお粗末。一発打ってはクリンチの連続で,挑戦者としては消極的な印象は否めない。サウスポーのボクサーファイターで,ワンツーを得意としているが,単発では物足りない。

8回までの採点 嘉陽 國重
主審:浅尾和信 *** ***
副審:土屋末広 78 74
副審:中村勝彦 75 78
副審:山田一公 77 77
参考:MAOMIE 78 76


     ×嘉陽:22戦17勝(9KO)2敗3分
     ×國重:24戦19勝(2KO)3敗2分

     放送:フジテレビNEXT
     解説:川島郭志
     実況:長坂哲夫

※ 第5ラウンドのホールディングによる國重の減点1を含む採点。

このページのトップに戻る


                         2009年4月13日(月)    後楽園ホール
                      東洋太平洋スーパーミドル級タイトルマッチ12回戦
                     チャンピオン    T   K   O   挑戦者(同級10位)
                ○   清田祐三   2回2分49秒     李 在明   ●
                      (フラッシュ赤羽) 168 lbs                    (韓国) 167 3/4 lbs

 初回,積極的に攻め込む清田だが,後半に落とし穴が待っていた。右フックの打ち終わりにガードが下がった瞬間に李の左フックをアゴに返され,ぐらついて後退。ここで李が攻勢に出る。
 しかし2回,清田の強打が爆発した。右ストレートを放ってプレッシャーをかける。左フックでわずかにぐらついた李はクリンチに出てやや弱腰なところを見せる。落ち着いて左ジャブから組み立て直す清田。右ストレートがヒットしたところから一気に攻勢に出る。抱きついてピンチから脱出しようとする李だが,右ストレート,左フックの猛攻に押されてロープを背にする。必死に耐えるが,防戦一方になったところで土屋主審が試合をストップした。

 清田が豪快なTKOで2度目の防衛に成功した。初回に危ない場面はあったが,慌てずに対処したことが奏功した。タイトルを獲得してから自信を増したことが何よりも大きい。武器の右ストレートは破壊力十分。これでチャンスを掴んでからは怒涛の攻めで一気に試合を決めた。パンチ力に加えてチャンスにまとめてパンチが出ることが強味である。ガードが下がることがあるので,要注意。
 李は右ストレートを武器とする右ボクサーファイター。相手のパンチに思い切ってカウンターを合わせてくる。パンチ力も十分。しかし,清田が攻めに転じるとその圧力に負けてクリンチに出る場面が多くなった。

     主審:土屋末広,副審:島川威&浅尾和信&イー・ガンウ(韓国)
     ○清田:20戦17勝(15KO)2敗1分     ●李:10戦9勝(7KO)1敗
     放送:フジテレビNEXT     解説:川島郭志     実況:鈴木芳彦

このページのトップに戻る


                       2009年4月13日(月)    後楽園ホール
                               8回戦
                  日本S・フェザー級7位          日本ライト級(ノーランク)
                ○   稲垣 孝      判 定      高田 茂   ●
                      (フラッシュ赤羽) 135 lbs                 (マナベ) 135 lbs

 稲垣が距離を詰めて攻め込むが,サウスポーの高田は右ジャブを突き,入り際に左ストレート,右フックを合わせる。2回は稲垣が相打ちの右フックからロープに詰めてボディに連打を浴びせる。高田は鼻からの出血を見る。
 3回,高田は稲垣の入り際に左ストレートを合わせる。4回,右ストレートからボディに左フックを打ち込む稲垣。後退するところに右ストレートを浴びせれば,高田はロープを背にする。
 6回,青コーナーを背にした稲垣の顔面に高田の右アッパーがヒット。稲垣は構わず押し込む。
 7回,稲垣が右フックのボディブローから飛び込むと,距離を取り切れなくなった高田は苦しくなった。8回,高田の右アッパーがヒットするが,稲垣は強引に押し込んで左右フックでボディを叩いた。

 一進一退の展開になったが,ともに決め手を欠いて明確に主導権を握れないままに終わった。
 稲垣は右ファイタータイプで左右フックを得意としている。右フックを上下に打ちながら接近して連打を浴びせるのが特徴。しかし,攻撃が単調なことが欠点。一発当ててから飛び込もうという意図がミエミエである。直線的な攻撃が目立つが,ウィービングや捨てパンチを使うなどの工夫がないと,ここから上位を狙うのは難しいだろう。
 高田は180cmの長身で長いリーチを生かした左ストレートを得意としている。低いガードから右ジャブを突き,足を使って距離を取りながら相手の入り際に左ストレートを合わせるのが得意の攻撃パターン。返しの右フックが欲しいところ。

採点結果 稲垣 高田
主審:中村勝彦 *** ***
副審:山田一公 77 77
副審:浅尾和信 78 75
副審:吉田和敏 78 76
参考:MAOMIE 77 75


     ○稲垣:18戦10勝(4KO)8敗
     ●高田:13戦7勝(3KO)6敗

     放送:フジテレビNEXT
     解説:川島郭志
     実況:竹下陽平

このページのトップに戻る


                   2009年4月19日(日)    後楽園ホール
                     日本フライ級タイトルマッチ10回戦
                  チャンピオン     負傷引き分け   挑戦者(同級6位)
             ×   清水智信    2 回 5 7 秒    池原繁尊   ×
                     (金子) 112 lbs                     (横浜光) 112 lbs
                    WBC11位                 池原繁尊=いけはら・しげたか

 開始早々からガードを固めて上体を揺すりながらグイグイと前に出た池原が左フックをヒットする。さらに接近して左右フックを放つ。後半,左ジャブで立て直す清水だが,バッティングで早くも左目上をカットするハンデを負った。
 2回,左ジャブ,ワンツーを浴びせる清水。しかし,ここで左目上の傷によりドクターチェックのために中断。この傷が思いのほか深く,ここでストップされた。

 対照的な両者の激しい主導権争いで好ファイトの期待十分だったが,思わぬアクシデントによる負傷引き分けという結果になった。
 清水は2度目の防衛に成功。オーソドックスな右ボクサータイプで,左ジャブ,ワンツーによる基本に忠実な試合運びを身上としている。足を使いながら試合を組み立てるのが特徴。
 池原は好戦的な右ファイタータイプ。左右フックを武器に,ガードを固めながらどんどん前に出てパワーで押すボクシングを得意としている。左右ともにパンチ力がある。体に力が入り過ぎている面はあるが,馬力には定評がある。

     主審:浅尾和信,副審:吉田和敏&浦谷信彰&島川威
     ×清水:18戦14勝(5KO)3敗1分     ×池原:20戦17勝(13KO)1敗2分
     放送:TBS     解説:佐藤修     実況:土井敏之

このページのトップに戻る


               2009年4月25日(土)    ドイツ:クレイフェルト ケーニヒ・パラスト
                      WBA世界ミドル級タイトルマッチ12回戦
                  チャンピオン      T   K   O    挑戦者(同級14位)
           ○   フェリックス・シュトルム   7回2分46秒      佐藤幸治   ●
                    (ドイツ) 159 lbs                            (帝拳) 159 1/2 lbs

 開始早々から見応え十分の左ジャブの刺し合いが展開された。しかし,ここはグラブで顔面をカバーしながら前に出て鋭い左ジャブを上下に突くシュトルムが一枚上。佐藤も応戦するが,早くも顔面が紅潮した。
 佐藤はワンツー,左右フックを浴びせて固いガードを崩しにかかるが,シュトルムは動じない。逆に左ジャブが鋭さと正確さを増し,佐藤がのけぞる場面が多くなった。佐藤は右目下の腫れと鼻からの出血に苦しむことになる。
 シュトルムはコンスタントな左ジャブに加え,4回には上下に左フックのダブル,5回には初めて右アッパーを見せた。佐藤はようやく右フックのボディブロー,右ストレートをヒットするが,後続打を断たれる。
 6回,シュトルムの左ジャブで再三のけぞった佐藤は敗色がさらに濃厚となった。シュトルムはここでも攻め急がず,左から右のワンツーをヒット。
 そして7回,佐藤に破局が訪れる。シュトルムは左フックを上下にダブルで決めて攻勢を強める。左フックでひるむ佐藤。さらに左フックのボディブローで佐藤は青コーナーに下がる。左から右のフックでぐらつく佐藤。左ジャブを浴びて大きくのけぞったところでパボン主審が試合をストップした。

 敵地で大健闘を見せた佐藤だが,シュトルムの左を浴び続けて完敗という結果になった。持ち味の左ジャブ,ストレートの刺し合いに敗れたことがすべてだろう。ワンツー,左右フックをまとめて固いガードを懸命に崩そうとしていたが,それができなかったのは佐藤を責めるよりもシュトルムの卓越した技巧を称賛すべき。持てる力を出し切ろうとしている姿勢が滲んでおり,完敗ではあるが惨敗とは思えない。惜しまれるのはヘッドスリップ,ウィービングが見られなかったこと。頭や上体を振って右クロスをかぶせるなど,シュトルムの左ジャブを封じる工夫があれば,もう少し違う展開も期待できたはず。この敗戦を糧として,好漢・佐藤幸治の捲土重来に期待する。
 シュトルムは6度目の防衛に成功。左ジャブを主体に堅実で基本に忠実な試合運びが印象的。堅実とは言っても,左ジャブを突きながらどんどん間合いを詰めてプレッシャーをかけてくるので,相手にとっては脅威だろう。まるで詰め将棋を見ているような錯覚にさえ陥った。理詰めの攻撃はボクシングが腕力だけで勝てる競技ではないことを証明しているかのようである。無駄打ちがなく,相手の打ち終わりにタイミング良く打ち込む左ジャブは秀逸。久々に超一流の芸術を鑑賞した気分である。

     主審:ルイス・パボン(プエルトリコ),副審:ホアン・マヌエル・ガルシア・レイジェス(スペイン)&ピニット・プラヤドサブ(タイ)&ダビッド・シン(パナマ)
     ○シュトルム:35戦32勝(14KO)2敗1分     ●佐藤:15戦14勝(13KO)1敗
     放送:WOWOW     解説:ジョー小泉&浜田剛史     実況:高柳謙一     アシスタント:中島そよか

このページのトップに戻る


熱戦譜のトップに戻る     ← 2009年3月に戻る     2009年5月に進む →

ホームページのトップに戻る