熱戦譜〜2009年3月の試合から


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試合日 試合 結果
2009.03.01  日本バンタム級
 タイトルマッチ10回戦
 大場浩平  判定  臼井欽士郎
2009.03.01 8回戦  林 翔太  TKO2R  小林克也
2009.03.04 10回戦  亀田興毅  KO2R  ドローレス・ビダル
2009.03.04 10回戦  亀田大毅  KO6R  ワンディ・シンワンチャー
2009.03.07 10回戦  榎 洋之  KO3R  アルディ・ディエゴ
2009.03.07 8回戦  福島 学  5R負傷判定  久永志則
2009.03.07 8回戦  斎藤直人  引き分け  小野 心
2009.03.07 8回戦  中真光石  判定  阿部展大
2009.03.12  WBC世界バンタム級
 タイトルマッチ12回戦
 長谷川穂積  TKO1R  ブシ・マリンガ
10 2009.03.12 8回戦  高山勝成  判定  ロマート・センティリャス
11 2009.03.12  WBC世界フェザー級
 タイトルマッチ12回戦
 粟生隆寛  判定  オスカー・ラリオス
12 2009.03.12 8回戦  渡辺才一  KO2R  デーデン・シットサイトーン
13 2009.03.12 8回戦  ヘスス・ヒメネス  KO1R  ジョジョ・バルドン
14 2009.03.16 10回戦  嶋田雄大  KO4R  アメス・ディアス
15 2009.03.16 8回戦  出田裕一  TKO1R  プラムアル・シンマナサック
16 2009.03.21  日本ミニマム級
 王座決定10回戦
 金光佑治  KO10R  辻 昌建
17 2009.03.21 8回戦  亀海喜寛  KO3R  グレン・マセカンポ
18 2009.03.21 8回戦  松橋拓二  KO2R  田島秀哲
19 2009.03.21 8回戦  山中慎介  TKO3R  ワンパデット・シットサイトーン
20 2009.03.22  日本S・ウェルター級
 タイトルマッチ10回戦
 野中悠樹  TKO7R 新井恵一

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                    2009年3月1日(日)    名古屋国際会議場
                      日本バンタム級タイトルマッチ10回戦
                     チャンピオン           挑戦者(同級1位)
               ○   大場浩平    判 定    臼井欽士郎   ●
                     (大一スペースK) 118 lbs            (横浜光) 117 3/4 lbs
                         WBA8位,WBC6位

 初挑戦の臼井が気迫十分の先制攻撃を見せた。大場の左ジャブを殺し,左フックさらに左右フックをボディに連打する。大場も動いて左フックを返す。
 5回,接近戦でボディに左右フックを連打して,左フックをヒットする臼井。距離を詰められた大場は左ジャブを殺される。さらに臼井は接近戦で左フック,アッパーを上下にダブル,トリプルで浴びせた。
 6回,大場の左アッパーのボディブローにカウンターの左フックを合わせる臼井。しかし,大場はここから足を使って,左ジャブ,ワンツー,左フック,右アッパーを鋭く浴びせる本来の動きを見せる。距離を取られた臼井は攻め倦む場面が見られた。臼井はバッティングで右目上をカット。
 7回,ロープを背に臼井の攻撃をかわした大場はワンツー,左フックをヒット。左を伸ばして攻め込もうとする臼井の出バナに大場の右アッパーが決まる。
 9回,攻め込んでいるのは臼井だが,主導権は大場の掌中に移った。臼井の攻撃をロープを背に巧みにかわした大場は一転して足を使い,距離を取って鋭い左ジャブ,ワンツーをヒット。
 大場最大の見せ場は10回中盤。左アッパーをボディに受けた臼井は後退。チャンスと見た大場は一気に攻勢に転じ,左右アッパーをボディに集める。ボディ打ちで苦しくなった臼井がクリンチの離れ際に前屈みになってしまう場面が見られた。大場はワンツー,左右フックでなおも攻勢。完全に動きが鈍った臼井は終了ゴングと同時に足をもつれさせてコーナーに戻った。

 大場は3度目の防衛に成功。前半は臼井の積極的な攻撃に距離を封じられて手を焼く場面があったが,6回以降は落着きを取り戻してほぼ自分のペースで展開した。スプリットデシジョンとなったが,明白な勝利である。高いポテンシャルと期待度ゆえにマスコミやファンの論調も厳しくなるが,自信を失うことは全くない。苦しみながらも国内の強敵を次々に撃破しており,目に見えない力が身についているはず。いずれこの経験が生きる場面が必ず来る。今は焦らずキャリアを積むことが大事。ただし,10回に倒せるチャンスを迎えながらフィニッシュを逃したことは大きな反省点である。こういうところでキッチリ仕留められないようでは世界では通用しない。
 臼井は豊富なアマチュア経験(宮崎・日章学園→中央大)を持つ右ファイタータイプ。左ジャブから組み立てて放つ右クロス,左右フックを得意としている。特に大場の出バナに決めた左フックが効果的だった。敗れたが,将来性を感じさせる素材である。非常にアグレッシブな試合運びで大場を苦しめたが,後半にスピードが落ちたのは残念。課題は得意の接近戦を封じられたときの戦い方。スタミナの強化も必須である。

採点結果 大場 臼井
主審:坂本相悟 *** ***
副審:村瀬正一 97 94
副審:福地勇治 97 94
副審:堺谷一志 94 97
参考:MAOMIE (78) (74)


     ○大場:25戦24勝(10KO)1分
     ●臼井:19戦17勝(8KO)2敗

     放送:CBC中部日本放送
     解説:飯田覚士&星野敬太郎
     実況:伊藤敦基

※ 第2・4ラウンドをカットして放送(MAOMIEの採点は放送されたラウンドのみの集計結果です)。

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                         2009年3月1日(日)    名古屋国際会議場
                                   8回戦
                  日本フェザー級(ノーランク)   T   K   O    日本S・バンタム級8位
                ○   林 翔太        2回2分38秒      小林克也   ●
                       (畑中) 125 3/4 lbs                           (正拳) 125 1/2 lbs

 開始早々から格上の小林が積極的に攻めた。動きが硬い林は小林の気迫に押され,左右フックをもらう場面が目立つ。林も左フックでぐらつかせたが,小林は構わず前に出て左右フック,右アッパーで押し気味に試合を進めた。
 2回,なおも前に出る小林。しかし,林の左アッパーがアゴに決まる。林は左に回り込みながら左ジャブ,右ストレートを放ってようやくリズムを取り戻した。前に出るところに左フックのカウンターを受けた小林がぐらつく。チャンスと見た林が一気にワンツー,左フックをまとめれば,小林はたまらず腰から落ちて仰向けにダウン。カウント9で辛うじて再開されたが,林の詰めは鋭い。左アッパーのボディブローからワンツー,左フックの連打で腰を落とした小林が力なく後退したところで主審が割って入った。

 中部を担うホープ林が圧巻の連打で日本ランカーを沈めた。初回は小林の積極的な攻撃に押されたが,2回に入って落ち着きを取り戻した。試合を決めたのは鮮やかなワンツー,左フックの連打である。初回に苦戦したのは,足が動かず,小林の打ち合いのペースに巻き込まれたこと。足と左ジャブを忘れず,動きの中から機を見て連打をまとめる試合運びに徹することが必要。相手の正面に立って動きを止めてしまうことは避けるべきである。
 小林は右ファイタータイプで左右フックにパンチ力がある。ベタ足だが,どんどん前に出て攻め込むスタイルが特徴になっている。ただし,体が硬くて力が入り過ぎていることが欠点。そこにカウンターを浴びたことが敗因である。

     主審:不明,副審:村瀬正一&ほか2名不明
     ○林:13戦11勝(7KO)2敗     ●小林:13戦8勝(3KO)5敗
     放送:CBC中部日本放送     解説:星野敬太郎     実況:高田寛之

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                     2009年3月4日(水)    さいたまスーパーアリーナ
                                 10回戦
                   WBA世界フライ級1位   K      O   メキシコ フライ級(ノーランク)
                ○   亀田興毅      2回2分09秒    ドロ-レス・ビダル   ●
                         (亀田) 113 lbs                          (メキシコ) 111 3/4 lbs
                       WBC3位

 体格差を利した亀田が初回から呑んだように襲い掛かり,左ストレート,右フックで追い,左から右のアッパーでボディを攻める。
 2回,試合は呆気なく決まった。1分過ぎ,右フック,左ストレートからの攻勢に青コーナーに下がったビダルは押し倒されるように腰から落ちてダウン。亀田は一気にラッシュするが,パンチに正確さがない。それでも左アッパーでぐらついたビダルから2度目のダウンを奪った。最後は左ストレートで再び青コーナーに下がったところで福地主審が割って入った。

 顕著な体格差に加えて,スピードも迫力もないロートルを一方的に追い回しただけの見るべき価値のない試合。”世界前哨戦”と銘打つからには,もう少し対戦相手の選び方があるだろう。亀田のスピードはそこそこだったものの,KOを意識してかパンチの正確さに欠けた。
 21勝19KOという触れ込みで登場したビダルだが,ろくなパンチも当たっていないのに押されるように倒れてKO負けという不甲斐なさ。公表された戦績が嘘のようにスピードも迫力も感じられなかった。
 下の階級から体格的に劣る相手を選んでもっともらしい肩書や戦績を付け,いかにも強豪を相手にしていると思わせるようなマッチメイク。それを誇張して垂れ流す不誠実で欺瞞に満ちた放送局の姿勢にも憤りを覚える。ファンを愚弄する手口は必ず見抜かれることを肝に銘じるべきだろう。鍛練を積んで戦っている選手には何も罪はない。

     主審:福地勇治,副審:ビニー・マーチン&浦谷信彰&安部和夫
     ○亀田:20戦20勝(13KO)     ●ビダル:30戦21勝(19KO)9敗
     放送:TBS     解説:鬼塚勝也&佐藤修     実況:土井敏之

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                      2009年3月4日(水)    さいたまスーパーアリーナ
                                 10回戦
                  日本S・フライ級(ノーランク)   K   O    WBC世界フライ級13位
                ○   亀田大毅       6回27秒    ワンディ・シンワンチャー   ●
                       (亀田) 114 3/4 lbs                      (タイ) 113 3/4 lbs

 初回,左ジャブを突く亀田。ワンディも左フック,アッパー,ボディへの右フックを放つ。2回,亀田は落ち着いて右アッパーからボディに左アッパー。さらに出てくるところに左フックを合わせる。
 4回,接近戦で激しいボディブローの応酬。ワンディは右アッパーをクリーンヒット。
 5回,亀田が鮮やかにダウンを奪ってファンを驚かせた。2分過ぎ,上に軽く左フックを打った亀田は空いたボディにすかさず左アッパーを打ち込む。レバーを抉られたワンディは間を置いて右膝をついてしまい,ダウンを取られた(カウント9)。
 6回開始早々,激しい打ち合いになる。ワンディも応戦するが,再び左アッパーで脇腹を抉られたワンディはたまらず両膝をついて四つん這い。そのままカウントアウトされた。

 亀田が2階級制覇の元世界王者を見事に斬って落とした。左フック一辺倒だった以前とは違い,攻撃が多彩になったことが目についた。左のダブルフックや右アッパーなど上下への打ち分けに進歩の痕跡が見られる。一昨年10月の世界挑戦での醜態を大いに反省し,周囲への感謝や相手の健闘を讃える真摯な姿勢も見られるようになった。体格的なハンデがあってコンディションもベストの状態とは言い難いワンディではあったが,キャリアの浅い亀田がそれを見事に仕留めたことは評価されて良いだろう。こういう強豪との対戦で自分を磨いていけば将来の展望も開けるはず。ただし,体格的なアドバンテージばかりが目立つマッチメイクが続くことは残念。同クラスの国内の上位ランカークラスとの対戦で真価が問われるだろう。
 ワンディは本来のベストウェイトではなく,やや調整不足の面も見受けられた。小柄な体躯に似合わぬ豪快な左右フック,アッパーを得意とする右ファイタータイプ。上下への打ち分けも巧みである。

5回までの採点 亀田 ワンディ
主審:安部和夫 *** ***
副審:浅尾和信 49 46
副審:福地勇治 49 45
副審:ビニー・マーチン 49 46
参考:MAOMIE 48 47


     ○亀田:14戦13勝(10KO)1敗
     ●ワンディ:68戦57勝(12KO)10敗1分

     放送:TBS
     解説:鬼塚勝也&佐藤修
     実況:新夕悦男

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                          2009年3月7日(土)    後楽園ホール
                                 10回戦
                 WBA世界フェザー級8位   K      O   インドネシア フェザー級チャンピオン
                ○   榎 洋之       3回3分06秒      アルディ・ディエゴ   ●
                      (角海老宝石) 128 lbs                         (インドネシア) 128 lbs

 初回,ジリジリと前に出て左ジャブを突く榎。さらにワンツー,ボディへの左アッパー。ディエゴは慎重に足を使って距離を取り,左ジャブを伸ばす。終了間際には榎が右フックでディエゴを脅かす場面を見せた。
 2回,呑まれて動きが固いディエゴ。榎は体を沈めて放ったオーバーハンドの右クロスでディエゴをぐらつかせる。
 3回,ディエゴの力量を見切った榎が攻撃のピッチを上げ,ワンツー,ボディへの左アッパーでプレッシャーを強めた。終了間際の接近戦で空いた脇腹を左アッパーで抉られたディエゴは一瞬間を置いて苦悶の表情を浮かべ,たまらず崩れ落ちた。そのままカウントアウト。

 榎が昨年10月の世界挑戦失敗から5ヶ月ぶりの再起戦を見事なKOで飾った。力みを排除したスムーズなパンチで上下にプレッシャーを加え,最後はボディへの一発で試合を決める貫禄の試合運びである。手数の少なさを指摘されているが,再浮上への課題はその点になる。
 ディエゴは長身の右ボクサータイプで左ジャブ,ワンツーを得意としている。初回こそ左ジャブで応戦していたが,2回に入ると榎のパワーに腰が引けてしまった。

     主審:浦谷信彰,副審:ウクリッド・サラサス&土屋末広&吉田和敏
     ○榎:31戦28勝(20KO)1敗2分     ●ディエゴ:11戦8勝(5KO)2敗1分
     放送:日本テレビ&G+     解説:ファイティング原田&浜田剛史     実況:高橋雄一

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                      2009年3月7日(土)    後楽園ホール
                               8回戦
                  日本バンタム級7位    負傷判定    日本バンタム級4位
                ○   福島 学     5回36秒    久永志則   ●
                      (花形) 121 1/2 lbs                 (角海老宝石) 122 lbs
                                        久永志則=ひさなが・ゆきのり

 大ベテランに敬意を表し,一礼してリング中央に歩み出る久永。左ジャブを伸ばすが,福島は冷静に見極めて右ストレート,ボディへの左アッパーを放つ。福島は先回りするようにワンツースリーとまとめるうまいボクシングで主導権を握った。
 2回,久永の打ち気を足でかわし,パンチを上下に散らすベテランらしい試合運びを見せる福島。右ストレートでバランスを崩す久永。
 3回には馬力がある久永がやや強引な攻撃で流れを変えにかかった。久永は左フックのカウンターをヒット。福島は右ストレートを受けてロープを背にする。
 4回,バッティングで右目上をカットした福島はドクターチェックを受ける。負傷判定を意識して勝負を急ぐ両者の動きが慌ただしくなる。
 結局5回開始早々,福島の右目上の傷が深くなり,続行不能とされて試合がストップした。

 これから面白くなるという矢先のストップだった。46戦目の福島がベテランの味を存分に披露し,勢いのある若手・久永を制した。先手を取って右ストレート,ボディへの左アッパーを打ち,相手の打ち気をフットワークでかわす老獪な試合運び。上下への打ち分けも見事である。34歳で再浮上を狙っているが,若いときのような打撃戦ではなく,足を生かしたボクシングができるか否かがカギだろう。
 久永は1引き分けを挟んで6連勝中という上り調子の右ファイタータイプ。思い切りの良い右ストレート,左フックで相打ちを狙うが,今夜は変化のある福島のボクシングに屈した。

5回までの採点 福島 久永
主審:杉山利夫 *** ***
副審:浦谷信彰 48 47
副審:土屋末広 49 47
副審:中村勝彦 48 47
参考:MAOMIE 49 47


     ○福島:46戦34勝(19KO)8敗4分
     ●久永:15戦11勝(6KO)3敗1分

     放送:G+
     解説:セレス小林
     実況:村山喜彦

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                      2009年3月7日(土)    後楽園ホール
                               8回戦
                    日本L・フライ級3位         日本L・フライ級(ノーランク)
                ×   斎藤直人    引き分け    小野 心   ×
                     (角海老宝石) 107 3/4 lbs              (花形) 108 lbs

 軽量級らしく序盤から小気味良い展開となった。オープニングブローは踏み込んで放った斎藤の右ストレート。しかし,サウスポーの小野も負けじと左ストレートから右フックをタイミング良く返す。
 2回,斉藤は右ストレートのボディブローをヒット。しかし,小野も斎藤の右の打ち終わりに左ストレートのカウンターを決める。3回,小野の左ストレートでバランスを崩す。ここまでは出入りのフットワークに乗せて放つタイミングの良いパンチで小野が主導権を握った、
 4回終了間際,左を打って飛び込んだところに斎藤の左フックを合された小野はキャンバスに左グラブをついてしまう。サラサス主審はスリップダウンとしたが,これは明らかにノックダウンであり,斉藤にとっては気の毒な裁定だった。
 5回,小野の左ストレートで斎藤は腰が砕けて後退。右フックを受けてクリンチに逃れたが,効いている。
 6回は斉藤が先に手を出して優位に立ち,単発ながらも左右フックを決めた。斎藤は左ストレートでロープに詰まるが,終了間際に左フックをヒットする。
 7回,小野の左ストレートが冴えて斉藤は再三ぐらつくが,8回は手数でやや上回った。

 一進一退の展開で非常にキビキビとした好ファイト。
 斎藤は右ボクサーファイターで右ストレート,左フックを武器としている。低いガードからモーションのないパンチを得意としているが,今夜は小野のカウンターに苦しんだ。ノーガードで相手の正面に立ってしまう欠点がある。これは矯正すべきだろう。
 ドローの判定は小野にとっては気の毒。サウスポーのボクサーファイターで,軽快な出入りのフットワークに乗せて放つ左ストレートを武器としている。相手の入り際や打ち終わりにタイミング良く合わせるカウンターが最大の長所である。ノーランカーだが,上位ランカーと同等あるいはそれ以上の実力があり,今後注目したい。ただし,今夜は後半に出入りの激しさが消えた。上位進出に向けてはスタミナの強化が課題になるだろう。

採点結果 斎藤 小野
主審:ウクリッド・サラサス *** ***
副審:浦谷信彰 76 76
副審:吉田和敏 77 76
副審:杉山利夫 76 77
参考:MAOMIE 77 75


     ×斎藤:24戦15勝(5KO)4敗5分
     ×小野:14戦10勝(2KO)3敗1分

     放送:G+
     解説:セレス小林
     実況:中野謙吾

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                      2009年3月7日(土)    後楽園ホール
                                8回戦
                   日本S・フェザー級10位         日本S・フェザー級(ノーランク)
                ○   中真光石      判 定     阿部展大   ●
                      (沖縄ワールドリング) 130 lbs              (角海老宝石) 130 lbs
                                         阿部展大=あべ・のぶひろ

 打ち合いを挑む阿部に対し,中真はボディへの右ストレート。さらに単発ながらも右ストレート,左フックを合わせる。2回にはバッティングで阿部が右前頭部,中真が右目上をカットし,仲良くドクターチェックを受ける。
 3回序盤,中真の左フックをアゴに受けた阿部は腰が落ちてダウン寸前に追い込まれる。阿部は左にスイッチしてごまかし,このピンチを何とか逃れた。4回,阿部は右目上をカット(中真の有功打による傷)。
 5回は阿部も右アッパーをアゴにヒットし,さらに右フックを浴びせて反撃を見せる。
 終盤はともに疲れが出て決め手を欠いたまま終了ゴングを聞いた。

 噛み合わぬまま終わった試合だが,単発ながらもパンチの正確さで上回った中真が判定をモノにした。右ストレート,左フックを得意とする右ボクサーファイターで,パンチには伸びがある。95戦を超える豊富なアマチュア経験(沖縄尚学高→東洋大)を誇っており,基本に忠実な試合運びをする。今夜は変則的な阿部に手を焼き,後半はそのペースに合わせてしまった印象が強い。そういう意味では良い経験になったはず。上位進出に向けては,どんな局面でも自分のペースを守り切ることが要求される。
 阿部は右ファイタータイプで,右ストレート,フックを武器としている。変則的な戦い方でときおり左にスイッチする。柔軟な体でパンチの威力を殺す不思議な面を持っており,相手にとってはやりにくいタイプである。

採点結果 中真 阿部
主審:中村勝彦 *** ***
副審:土屋末広 78 75
副審:ウクリッド・サラサス 77 75
副審:杉山利夫 78 75
参考:MAOMIE 79 74


     ○中真:15戦14勝(6KO)1敗
     ●阿部:18戦9勝(0KO)8敗1分

     放送:G+
     解説:なし
     実況:中野謙吾

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                     2009年3月12日(木)    神戸ワールド記念ホール
                       WBC世界バンタム級タイトルマッチ12回戦
                     チャンピオン     T   K   O   挑戦者(同級1位)
               ○   長谷川穂積   1回2分37秒     ブシ・マリンガ   ●
                      (真正) 117 3/4 lbs                     (南アフリカ) 115 1/2 lbs

 同型のサウスポー同士の顔合わせとあって,まずは右ジャブの刺し合いから立ち上がった。緊張のためか上体が突っ立ち膝が硬直して見えるマリンガ。その様子を敏感に悟ったか,1分過ぎに早くも長谷川が仕掛けに入った。マリンガの右ジャブをヘッドスリップでかわし,ボディを打つと見せかけて左ストレート一閃。これをアゴに受けたマリンガは後方に大きくよろけて腰から落ちてダウン(カウント8)。
 涼しい表情でカウントを聞いていた長谷川が右ジャブから耳の下に左フックを打ち込めば,マリンガの膝が大きく揺れる。左から右のフックで2度目のダウン。長谷川は一気に勝負に出る。マリンガも必死に応戦するが,上体が起きてしまい後退を余儀なくされる。右のフェイントからのワイルドな左フックがテンプルに決まり,大きく上体を揺らしたマリンガは左膝からゆっくりキャンバスに落ちた。ここでコール主審が試合をストップした。

 長谷川は8度目の防衛に成功。難敵の呼び声高いマリンガを全く寄せつけない圧勝である。動きが硬いマリンガの様子を見抜き,先制攻撃で一気に主導権を握った。マリンガのパンチ力と手数からすると,調子に乗せて長引けば難しい試合になったことは容易に想像できる。長谷川にはその辺の計算もあっただろう。わずかな隙を見出して一気に勝負を決めたのは豊富なキャリアの賜物である。円熟味を増した王者に,本場ラスベガスへの進出や複数階級制覇などの夢が膨らむ。
 マリンガはサウスポーのボクサーファイター。身長169cmの割に188.5cmという長いリーチに恵まれている。右ジャブ,ワンツー,左右アッパーの連打を武器としている。しかし,今夜は動きが硬く,スピードも今ひとつ。体が温まる前に先制攻撃で潰された印象が強い。

     主審:ローレンス・コール(米国),副審:ミゲル・モラン(メキシコ)&マーチン・デンキン(米国)&金在奉(キム・ジェボン=韓国)
     ○長谷川:28戦26勝(10KO)2敗     ●マリンガ:22戦18勝(11KO)3敗1分
     放送:日本テレビ&G+     解説:飯田覚士     実況:鈴木健

※ この試合は1ラウンドに何度ダウンしても主審の判断で試合を続行することができるフリーノックダウン制が採用されている。カウントアウトではなく,3度目のダウンと同時に続行不能との判断によって試合がストップされたので記録はTKOとなる。

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                    2009年3月12日(木)    神戸ワールド記念ホール
                               8回戦
                   WBA世界ミニマム級2位           比国ミニマム級7位
                ○   高山勝成     判 定    ロマート・センティリャス   ●
                        (真正) 106 lbs                     (比国) 105 lbs
                       WBC4位

 高山が初回から足を使って目まぐるしく動き,左右フックのボディブローから右ストレートを上下に放つ。サウスポーのセンティリャスがこれを左ストレートで迎撃するという展開。
 手数と動きでリードする高山だが,3回にはセンティリャスの右フック,左ストレートをもらう場面があった。
 5回,高山はガードの上からワンツーの連打で迫る。6回,バッティングで右目上をカットする高山。これで元気が出たのか,センティリャスは前に出て右フック,左ストレート,アッパーを叩きつける。この回の高山は後手に回った。
 終盤は再び高山が動きと手数を取り戻した。8回,高山はバッティングで左目上もカット。手数でリードするが,センティリャスもしぶとく打ち返す。

 勝つには勝った高山だが,世界再挑戦をアピールするには説得力を欠く試合内容である。旺盛な手数は相変わらずだが,やはり非力なパンチがたたっている。後半は持ち味の手数がやや少なくなった。多彩なパンチを上下に打ち分けている割に,全体として一本調子に見えてしまうのも気になる点。センティリャスの目が慣れてしまい,6回には反撃を許して後手に回る場面も見られた。
 センティリャスは20歳の若さ。サウスポーのボクサーファイターで,左ストレート,右フック,左アッパーを武器としている。両グラブで顔面をカバーしながら,機を見てどんどんパンチを振る。両脇が開いてパンチ力が半減しているが,しぶとく打ち返す。

採点結果 高山 センティリャス
主審:宮崎久利 *** ***
副審:原田武夫 79 73
副審:半田隆基 80 73
副審:川上 淳 80 74
参考:MAOMIE 78 74


     ○高山:26戦23勝(9KO)3敗
     ●センティリャス:12戦7勝(4KO)5敗

     放送:G+
     解説:なし
     実況:清水健(読売テレビ)

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                       2009年3月12日(木)    後楽園ホール
                      WBC世界フェザー級タイトルマッチ12回戦
                   挑戦者(同級3位)               チャンピオン
                ○   粟生隆寛     判 定    オスカー・ラリオス   ●
                        (帝拳) 126 lbs                   (メキシコ) 126 lbs

 リベンジに燃える粟生が最高の滑り出しを見せる。気迫十分の表情でプレッシャーをかけ,鋭い右ジャブから左ストレートを上下に放って序盤で優位に立った。
 4回には早くもラリオスが焦りの色を見せる。粟生の右ジャブがカウンター気味に顔面を捉える。中盤,左右フックのボディブロー,左ストレートで攻勢に出る粟生。カウンターの左アッパーがボディに突き刺さる。終了間際には左ストレートでラリオスが大きくのけぞる場面が見られた。
 5回,揉み合いになっても粟生は引かない。右が流れたところにワンツーを打ち込まれたラリオスは大きくのけぞってロープを背にする。
 リードされていることを意識したラリオスは中盤以降は体を密着させた接近戦に活路を探った。白いマウスピースを覗かせて必死の形相で迫るラリオスだが,これは皮肉にも精神面で一段と成長した粟生の姿をクローズアップさせる形になった。
 9回,粟生の右ジャブが出ると再び両者の間に距離が生まれた。鋭い左ストレートに動きが鈍るラリオスに攻勢を仕掛ける粟生。有効打で右目上をカットしたラリオスはさらに苦しい展開を強いられた。
 10回,粟生のワンツーが冴える。さらに左右アッパーのボディブローを連打する粟生。終了間際にラリオスが放った右ストレートがカウンターになり,粟生は大きくバランスを崩して思わず苦笑いを浮かべながらコーナーに戻った。
 11回,必死の形相でパンチを強振するラリオスだが,頑張りもここまで。12回,右が流れたところに粟生の右フックに次ぐ左ストレートが決まり,大きくぐらつくラリオス。粟生の攻勢に晒されたラリオスはロープ際で右膝をついてダウンを取られた。気力で立っているラリオスにフィニッシュを狙って迫る粟生だが,攻め切れずに終わった。

 粟生が2度目の挑戦で悲願の世界タイトル奪取に成功した。序盤から攻めの姿勢に徹し,ラリオスに付け入る隙を与えない文句なしの勝利である。昨年10月の初挑戦失敗の反省を踏まえ,鋭い右ジャブ,ワンツーで常に先手を取っていたことが最大の勝因。後半はラリオスが反撃に出て体を密着させた揉み合いに近い打ち合いになったが,ここでも引かずに応じていた。終盤にKOチャンスがあったので欲を言えばフィニッシュして欲しかったが,それは次回に持ち越しの宿題になるだろう。
 古豪ラリオスは3度目の防衛に失敗。粟生のスピード,手数に押されて完敗という結果になった。前半から受けていたボディへの左ストレート,アッパーの影響も加わって動きが鈍った。若い粟生にベルトを譲ったが,最後まで試合を捨てずに食い下がって王者の意地を見せた。

採点結果 粟生 ラリオス
主審:ケニー・ベイレス(米国) *** ***
副審:ゲイル・バンホイ(米国) 119 107
副審:アネック・ホントンカム(タイ) 116 111
副審:マッシモ・バロベッキオ(イタリア) 118 109
参考:MAOMIE 118 109


     ○粟生:19戦17勝(8KO)1敗1分
     ●ラリオス:73戦65勝(41KO)7敗1分

     放送:日本テレビ&G+
     解説:ファイティング原田&セレス小林
     実況:寺島淳司

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                           2009年3月12日(木)    後楽園ホール
                                   8回戦
                  日本バンタム級(ノーランク)    K      O   タイ国バンタム級(ノーランク)
                ○   渡辺才一       2回2分06秒   デーデン・シットサイトーン   ●
                      (船橋ドラゴン) 119 1/4 lbs                        (タイ) 119 lbs

 初回,距離を取りながら鋭い左ジャブを飛ばす渡辺。右アッパーからすかさず返した左フックがアゴに決まり,デーデンは背中から落ちてダウン。ファイティングポーズを取る気配がなく,ここでストップしても良い場面だったが,杉山主審は続行させた。
 2回,渡辺は右ストレートからガラ空きのボディに左右アッパーを打つ。右ストレートに次ぐ左フックでデーデンは膝から落ちてダウン。右ストレートがアゴに決まって2度目のダウン。足元がふらついてストップかと思われたが,これも再開された。しかし,最後は左フックで腰が落ちたところに右ストレートをフォローされ,デーデンはあえなく3度目のダウン。

 渡辺は抜けるような色白の優男だが,鋭いパンチを持っている。右ボクサーファイターで,右ストレートが武器。やや距離を取って,鋭い左ジャブから右ストレート,ボディへの左右アッパーなど多彩なパンチが出る。返しの左フックや接近戦での右アッパーもあり,見かけによらず気の強さと思い切りの良さが目立つ。ガードが低いので,ディフェンスは要注意である。

     主審:杉山利夫,副審:ウクリッド・サラサス&浦谷信彰&山田一公
     ○渡辺:13戦9勝(6KO)3敗1分     ●デーデン:18戦7勝(4KO)11敗
     放送:G+     解説:なし     実況:高橋雄一

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                       2009年3月12日(木)    後楽園ホール
                                  8回戦
                   WBC世界フライ級11位   K      O    比国フライ級12位
                ○   ヘスス・ヒメネス     1回2分40秒    ジョジョ・バルドン   ●
                         (メキシコ) 113 lbs                          (比国) 112 3/4 lbs
                    WBA世界S・フライ級14位

 左のヒメネス,右のバルドンという対照的な顔合わせ。お互いのジャブをかわしてチャンスを窺う両者。ヒメネスはバルドンの左ジャブをグラブでパリーしてジリジリと前に出る。左フックを顔面に打っておき,すかさずレバーに左フックを打ち込むヒメネス。フォローの右フックがアゴに決まり,バルドンは膝から崩れて呆気なくダウン。立ち上がったが朦朧としており,そのままカウントアウトされた。

 同じリングに登場したオスカー・ラリオスのスパーリングパートナーとして来日したヒメネスはこれで9連続KO勝ち。サウスポーのボクサーファイターで,左ストレート,右フックにパンチ力がある。ただし,ベタ足でスピードは感じられない。
 元OPBFフライ級王者バルドンは右ファイタータイプで,右ストレート,左フックにパンチ力がある。ただし,今夜はスピードがなく,精彩を欠いた。奈須勇樹(角海老宝石)を初回で粉砕したときの威圧感は全く感じられなかった。

     主審:安部和夫,副審:浦谷信彰&山田一公&杉山利夫
     ○ヒメネス:29戦24勝(17KO)5敗     ●バルドン:37戦23勝(10KO)12敗2分
     放送:G+     解説:なし     実況:高橋雄一

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                        2009年3月16日(月)    後楽園ホール
                                10回戦
                    日本ライト級6位    K      O    WBA世界ライト級13位
                ○   嶋田雄大    4回1分47秒     アメス・ディアス   ●
                       (ヨネクラ) 133 3/4 lbs                      (パナマ) 135 lbs

 試合は実力者同士の左の刺し合いから始まった。ディアスは良く伸びる左ジャブから右ストレートを打って迫る。
 2回,嶋田も左ジャブで応戦。オーバーハンドの右クロスから攻勢に出た嶋田はディアスをロープに詰める。嶋田はなおも右フックのボディブローから左フック。さらに終了間際にもカウンター気味の右ショートフックを決めてリードした。
 3回,嶋田の巧みなディフェンスにパンチをかわされたディアスは振りが大きくなる。嶋田は要所に左右フックを決めて完全に主導権を握った。終了間際,左フックをミスしたディアスは右フックをテンプルに受けてぐらついた。
 4回,嶋田は豪快なワンパンチで試合を終わらせた。ディアスは前に出るが,完全に動きを読んだ嶋田の表情には余裕が窺える。ディアスがワンツーを打とうと勢い込んだ瞬間,嶋田の豪快な右フックが大きく孤を描いてアゴに炸裂。両膝を硬直させたディアスはロープ下に転がり落ちるようにダウン。立ち上がったが足元が定まらず,そのままカウントアウトされた。

 世界挑戦失敗以来9ヶ月ぶりの復帰戦となった嶋田が会心のKO勝ちを見せた。ディアスは復帰戦の相手として選ぶには強敵だったが,持ち味としている変幻自在の試合運びで2回以降は危なげない展開だった。相手のパンチを読み切り,かわしてかわして当てるボクシングは見事の一語に尽きる。左ジャブも冴えていた。試合を決めた右フックはディアスが入ろうと瞬間に腰を沈めて放った一発。おそらくディアスにはパンチが上から降ってきたように感じたはず。
 ディアスは右ボクサーファイター。中南米特有の柔軟な上体から繰り出す左ジャブ,右ストレートが非常に良く伸びる。広めのスタンスで懐が深く,非常にやりにくい相手である。無駄打ちが少ないことも長所となっており,世界13位の実力を十分に備えた本格派と言える。しかし,今夜は嶋田のテクニックに翻弄され,焦って振りが大きくなったところに巧打される場面が目立った。

     主審:浦谷信彰,副審:安部和夫&吉田和敏&熊崎広大
     ○嶋田:28戦23勝(16KO)4敗1分     ●ディアス:35戦25勝(19KO)9敗1無効試合
     放送:スカイA     解説:今岡武雄&本間暁     実況:河路直樹

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                          2009年3月16日(月)    後楽園ホール
                                   8回戦
                  日本ウェルター級(ノーランク)    T   K   O   タイ国ウェルター級(ノーランク)
                ○   出田裕一       1回2分55秒   プラムアル・シンマナサック   ●
                       (ヨネクラ) 146 lbs                             (タイ) 147 lbs
                  出田裕一=いでた・ゆういち

 初回,出田が左ジャブから右ストレートで積極的な攻撃を見せる。プラムアルは強引に右ストレートを振るが,届かない。右ストレートを打ち込まれてよろめいたプラムアルは呆気なくダウン。立ち上がったが,出田の攻勢に晒される。ロープを背に必死の抵抗を見せるが,出田の左フックに次ぐ右ストレートで崩れ落ちて2度目のダウン。ここでサラサス主審が試合をストップした。

 出田,無傷の10連勝。左ジャブ,右ストレートを主体にオーソドックスな試合運びを見せる右ボクサーファイター。右ストレートに切れがある。格下相手だったが,キッチリ仕留めたことは見事。
 プラムアルは右ファイタータイプで右ストレート,フックを強振する。バランスが悪く,振りが大きい。

     主審:ウクリッド・サラサス,副審:熊崎広大&中村勝彦&吉田和敏
     ○出田:10戦10勝(6KO)     ●プラムアル:13戦9勝(1KO)4敗
     放送:スカイA     解説:今岡武雄&本間暁     実況:河路直樹

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                        2009年3月21日(土)    後楽園ホール
                         日本ミニマム級王座決定10回戦
                    日本ミニマム級3位   K       O   日本ミニマム級1位
                ○   金光佑治     10回1分09秒    辻 昌建   ●
                        (六島) 105 lbs                         (帝拳) 105 lbs
                                              辻昌建=つじ・まさたて

 左の辻,右の金光という対照的な顔合わせは序盤から激しいパンチの応酬となった。果敢に打ち合いを挑む金光だが,辻の左ストレート,右フックが小気味良く決まる。足を止めての打ち合いでも回転力で勝る辻が打ち勝った。
 3回,左フックを受けてバランスを崩す金光。構わず前に出るが,正面に立って辻の左ストレートを食う場面が目立った。辻はバッティングで右目上をカット。
 5回は金光。右から返した左フックが顔面に決まり,一瞬動きが止まった辻はクリンチに逃れた。金光は左右アッパーのボディブロー。
 6回,足を止めての打ち合いで再び辻が打ち勝つ。金光の前進は止まらないが,有効打で右目上をカットするハンデを負った。
 壮絶な打撃戦が続くが,ここまでは辻のペース。しかし,正面からの打ち合いに巻き込まれた辻が失速の兆候を見せたのは7回。金光の左フックでぐらつく辻。手数が衰えない金光は左右フック,右ストレートで辻を追いこむ。消耗が激しい辻に対して,余力を残しているのは金光だった。
 9回,セコンドの指示を受けたのか辻が再び足を動かしてリズムを取り戻した。左右フックからカウンター気味の左ストレートを浴びせる辻。しかし,後半は金光のしつこさが増す。終了ゴングと同時に朦朧として倒れこむように赤コーナーに戻った辻の意識はすでに飛んでいたように見えた。
 10回,果せるかなガス欠の辻に攻勢を仕掛ける金光。もはや足の踏ん張りが利かない辻は浮足立って後退。金光が右ストレートを連発すれば,辻は力尽きたようにヨロヨロと赤コーナーに下がる。コーナーがなければダウンしていたと判断した安部主審がカウントを始める。朦朧とした辻は前に足を運ぶが,夢遊病者のように足元が定まらない。カウントアウトと同時に昏倒した辻は担架で運び出された。

 まさに凄絶な試合。金光は右ファイタータイプで左右フック,右ストレートの連打を得意としている。前半は辻のシャープな左ストレートに苦しんだが,執拗な連打で徐々に追い込んだ。7回辺りから見せた激しい追い上げは見事である。上下への打ち分けが奏功したと言える。正面から入って被弾することが多いので,上体の振りとフェイントを取り入れたい。豊富な練習量に裏打ちされた無尽蔵のスタミナは相手にとって脅威。今夜は辻の失速を責めるよりも,金光の驚異的な追い上げを讃えるべきだろう。
 辻はサウスポーのテクニシャン。動きながらスピードのある左ストレートをタイミング良く放つ左ボクサーファイターである。予想は有利と見られていたが,正面からの打ち合いに巻き込まれて極度に消耗してしまったことが敗因。直線的に出る金光に対しては,回り込んでいなしながらカウンターを取るべきだったろう。9回までのポイントでは大きくリードしていただけに悔やまれる結果になった。

 KO負けを喫した辻は救急車で病院に搬送され,緊急開頭手術を受けた。9回終了後のインターバルでの朦朧とした様子から,すでに限界に達していたと見られる。この場面でドクターのチェックを受けさせていればと悔やまれる。明らかにストップすべき状況であるにも関わらずカウントを続けた安部主審の処置にも大いに問題がある。
 意識が混濁している辻の頬を平手で張ってリング中央に送り出したセコンドの責任を否定するものではない。しかし,ポイントで大きくリードしていた最終ラウンドだけに,棄権に踏み切れなかったという心情は理解できる。こういう状況でセコンドに代わって”ブレーキ役”となることが審判員やドクターをはじめとするオフィシャルの責任である。『なぜタオルを投げなかったのか』とセコンドを責めるのは簡単だが,今夜は敢えてオフィシャル席の機能と責任を厳しく問いたい。JBCには今回のケースを徹底検証し,再発防止に向けた取り組みを切望する。

9回までの採点 金光
主審:安部和夫 *** ***
副審:山田一公 83 88
副審:土屋末広 83 88
副審:島川威 83 89
参考:MAOMIE 84 87


     ○金光:14戦12勝(7KO)2敗
     ●辻:16戦12勝(3KO)2敗2分

     放送:G+
     解説:葛西裕一
     実況:中野謙吾

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                      2009年3月21日(土)    後楽園ホール
                               8回戦
                   日本S・ライト級2位    K   O   比国S・ライト級(ノーランク)
                ○   亀海喜寛      3回44秒    グレン・マセカンポ   ●
                      (帝拳) 141 3/4 lbs                   (比国) 141 3/4 lbs

 初回,亀海はフェイントからワンツー,接近して左アッパーをボディに。表情には余裕が窺える。
 2回,マセカンポはサウスポーにスイッチして戦う。亀海は半身になってマセカンポの左右フックをかわす。右ストレート,左フックでロープに詰める亀海。2分過ぎ,右に回り込んで打ち込んだ左アッパーのボディブローでマセカンポは苦しげにニュートラルコーナーに後退。
 3回,変則的に攻め込むマセカンポをロープに詰めた亀海はボディに左アッパーを打ち込む。この一発でマセカンポはうずくまるように崩れ落ちてダウン。そのままカウントアウトされた。

 亀海,無傷の11連勝。マセカンポの攻撃を巧みにかわし,ワンツー,左アッパーを打ち込んで余裕を持って戦った。スピード,切れともに申し分ない。状況を見極める目も確かである。タイトル挑戦に向けて大きなアピールとなったが,左ジャブ,ストレ−トが少ないことが気になる。鋭い右ストレートを生かすも殺すも左の使い方ひとつである。
 マセカンポは左右フックを思い切り振る右ファイタータイプ。左にスイッチするなど,変則的な戦い方を見せる。

     主審:ビニー・マーチン,副審:安部和夫&杉山利夫&島川威
     ○亀海:11戦11勝(10KO)     ●マセカンポ:24戦12勝(5KO)11敗1分
     放送:G+     解説:葛西裕一     実況:藤田大介

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                           2009年3月21日(土)    後楽園ホール
                                    8回戦
                  日本S・ウェルター級(ノーランク)   K      O   日本S・ウェルター級9位
                ○   松橋拓二        2回1分20秒     田島秀哲   ●
                       (帝拳) 153 3/4 lbs                            (西遠) 154 lbs
                                                田島秀哲=たじま・ひでのり

 練習中の右アキレス腱断裂によるブランクから2年7ヶ月ぶりの復帰戦となった松橋に対し,田島が先手を取った。初回,田島は長いリーチからワンツー,あるいは左のフェイントから踏み込んで右アッパーをボディに見舞う。中盤,再び左のフェイントから放った右フックがアゴに決まり,松橋はドスンと腰から落ちてダウンを喫した。
 田島は右ストレート,左右アッパーで松橋を追い込む。このダウンで目が覚めたか,松橋が豪快な左右フックで反撃を見せた。
 2回,松橋は接近戦を挑んで左右フックで押して行く。田島も右ストレート,左右アッパーで応戦するが,接近戦で左フックをアゴに受けて足がもつれる。チャンスと見た松橋はロープに詰めてエンジン全開の猛攻。左ストレートでのけぞった田島は松橋の追撃でニュートラルコーナーに崩れ落ちるようにダウン。ふらつきながら立ち上がって戦う意思を見せたが,土屋主審はそのままカウントアウトした。

 北海の豪腕・松橋が逆転KOで再起を飾った。ブランクによる試合勘の鈍りを突かれて不覚のダウンを喫したが,その強打は健在。タイトル獲得も期待できる。松橋の復帰により,重量級が面白くなった。下半身が安定し,腰の回転も戻っている。ただし,以前からの欠点であるディフェンス面の不安は払拭できていない。打たれて強い方ではないので,ディフェンスの強化が課題になる。
 田島は185cmという長身の右ボクサータイプ。国体ベスト8という実績を持つアマチュア出身者。長いリーチから繰り出す左ジャブをフェイントに使って放つ右ストレートを武器としている。接近戦で見せる左右アッパーも巧みである。ブランク明けの松橋の出バナを叩く先制攻撃を見せたが,正面からの打ち合いでは連打の回転力のある松橋が一枚上だった。

     主審:土屋末広,副審:島川威&山田一公&ビニー・マーチン
     ○松橋:13戦11勝(10KO)1敗1分     ●田島:16戦12勝(7KO)4敗
     放送:G+     解説:葛西裕一     実況:藤田大介

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                          2009年3月21日(土)    後楽園ホール
                                  8回戦
                    日本S・フライ級3位    T   K  O     タイ国S・フライ級(ノーランク)
                ○   山中慎介      3回1分39秒    ワンパデット・シットサイトーン   ●
                        (帝拳) 119 1/4 lbs                         (タイ) 118 1/4 lbs

 小刻みに動きながら右ジャブで牽制し,上下に左ストレートを飛ばす山中。初回,右フックをカウンターされたワンパデットは早くもバランスを崩す。ワンパデットは唸り声を発しながら左右フックを振るが,届かない。
 2回,山中は右で牽制し,踏み込んで左ストレートをボディに見舞う。さらに左アッパー,ストレートを飛ばして好調なところをアピールした。
 そして3回,試合は呆気なく決まった。山中は左アッパーのボディブローから右フック。さらにリング中央で左ストレートに次ぐ右アッパーがアゴに決まれば,ワンパデットはドッと音をたてて背中からキャンバスに落ちる。後頭部をしたたか打ちつけて大の字に伸びたままのワンパデットに,杉山主審は途中でカウントを止めて試合をストップした。

 ランキングを3位まで上げてタイトル挑戦が視界に入ってきた山中が豪快に試合を決めた。距離を取って放つリーチを生かした左ストレートを武器とするサウスポーのボクサータイプ。右ジャブで牽制しながら主武器の左ストレートを上下に見舞う。目と勘の良さが特徴である。パンチ力の割にはKO率が低かったが,勝利数のちょうど半分までKO数を引き上げてきた。左一本に頼らず,右フック,アッパーの返しを取り入れれば,さらに幅が出てKO率も上がるだろう。タイトル挑戦目前というところまで迫っている注目株である。
 ワンパデットは左右フックを武器とする右ファイタータイプ。ベタ足でスピードはないが,パンチを思い切り振ってくる。変則的な動きを見せるのが特徴。

     主審:杉山利夫,副審:ビニー・マーチン&安部和夫&土屋末広
     ○山中:10戦8勝(4KO)2分     ●ワンパデット:12戦7勝(3KO)5敗
     放送:G+     解説:なし     実況:藤田大介

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                       2009年3月22日(日)    淀川区民センター
                      日本スーパーウェルター級タイトルマッチ10回戦
                     チャンピオン    T   K  O   挑戦者(同級1位)
               ○   野中悠樹   7回1分38秒    新井恵一   ●
                      (尼崎) 153 3/4 lbs                 (高崎) 153 1/4 lbs

 左の野中,右の新井という対照的な両者の顔合わせ。初回,新井は右ストレートを飛ばす。終了間際にも右ストレートを放って良い流れを作った。
 やや攻め攻め倦む野中だが,4回にダウンを奪う。バランスを崩して倒れた新井に右フックがヒットしたと見た宮崎主審はノックダウンを宣告してカウント8を数えた。宮崎主審の曖昧なジェスチュアもあり,これは新井には気の毒な処置と言える。
 5回,新井は右ストレートから左右フックを連打して攻勢に出る。6回は逆に野中が右ジャブから左ストレートでプレッシャーをかけた。新井は右目上をカット(野中の有功打による傷)。
 一進一退の試合が大きく動いたのは7回。自ら前に出て攻めの姿勢を見せる新井。入ろうとしたところに野中の左ストレートが決まり,新井は腰から落ちてダウン。今度は明白なノックダウンだった。カウント8で再開されたが,勝負所と見た野中が一気にスパートする。左右フック,左ストレートの速攻に新井は再び腰からキャンバスに落ち,ここで宮崎主審が試合をストップした。

 野中は2度目の防衛に成功。新井のカウンターに手こずる場面があって楽な展開ではなかったが,チャンピオンになってから自信をつけたことが大きい。最後はカウンターからの速攻で鮮やかに試合を決めた。サウスポーのボクサーファイターで,ワンツー,右フックを武器としている。スピードがあり,カウンターのうまさとフットワーク,懐の深さがある。タイトルを獲得する前と後でこれほど変わった選手も珍しい。
 新井は右ボクサーファイターで,右ストレートを得意としている。距離を取って右ストレートのカウンターを狙い,チャンスにはワンツーから左右フックをまとめる。前半はうまく間合いを取って野中に攻め口を与えなかったが,攻めに入ったところにカウンターを浴びて敗れた。

6回までの採点 野中 新井
主審:宮崎久利 *** ***
副審:福地勇治 58 56
副審:坂本相悟 57 56
副審:原田武夫 58 56
参考:MAOMIE 57 57


     ○野中:27戦18勝(7KO)7敗2分
     ●新井:22戦14勝(4KO)7敗1分

     放送:スカイA
     解説:荒木慶大&日高和彦
     実況:田野和彦

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