熱戦譜〜2008年9月の試合から


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試合日 試合 結果
2008.09.06  東洋太平洋ミドル級
 タイトルマッチ12回戦
 佐藤幸治  TKO1R  江口啓二
2008.09.06  日本スーパーフェザー級
 タイトルマッチ10回戦
 矢代義光  KO4R  松崎博保
2008.09.13  WBA世界スーパーライト級
 タイトルマッチ12回戦
 アンドレアス・コテルニク  判定  木村登勇
2008.09.15  WBA世界ミニマム級
 タイトルマッチ12回戦
 ローマン・ゴンザレス  TKO4R  新井田 豊
2008.09.15  WBC世界スーパーバンタム級
 暫定王座決定12回戦
 西岡利晃  判定  ナパーポン・ギャットティサックチョークチャイ
2008.09.15  WBA世界スーパーフライ級
 王座決定12回戦
 名城信男  判定  河野公平
2008.09.15 8回戦  八重樫 東  TKO2R  トンタイレック・ポーウォラシン
2008.09.16 10回戦  伊藤博文  判定  飯田幸司
2008.09.20  東洋太平洋スーパーフライ級
 タイトルマッチ12回戦
 冨山浩之介  TKO12R  相澤国之
10 2008.09.20  東洋太平洋ライト級
 タイトルマッチ12回戦
 ランディ・スイコ  引き分け  荒川仁人
11 2008.09.20 8回戦  チャールズ・ベラミー  TKO6R  岳たかはし
12 2008.09.20 8回戦  川村貢二  判定  杉崎由夜
13 2008.09.22 12回戦  石田順裕  判定  マルコ・アベンダーニョ
14 2008.09.22 10回戦  高山勝成  判定  ハビエル・ムリージョ
15 2008.09.22  日本スーパーウェルター級
 王座決定10回戦
 野中悠樹  TKO8R  古川明裕

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                       2008年9月6日(土)    後楽園ホール
                      東洋太平洋ミドル級タイトルマッチ12回戦
                     チャンピオン   T   K   O   挑戦者(同級1位)
                ○  佐藤幸治   1回1分52秒    江口啓二  ●
                      (帝拳) 159 1/4 lbs                  (姫路木下) 159 3/4 lbs
                       WBC12位                   日本ミドル級チャンピオン

 開始早々から江口が左右に動きながら上体を振ってチャンスを窺う。左フック,ストレートを伸ばして積極的な立ち上がりを見せる江口に対し,佐藤はどっしり構えて左ジャブ,ストレートで迎え撃つ。
 1分を経過した頃,リング中央で江口が飛び込むようにして放った左フックがアゴに決まる。バランスを崩して大きく腰が砕けた佐藤は青コーナーまで飛んでダウンを取られた。このとき倒れている佐藤にパンチを振り下ろした江口は減点1を課せられた。再開後,今度は佐藤が左右フックで猛反撃に出て江口を後退させる。強烈な右ストレートをテンプルに受けた江口はぐらついてピンチ。青コーナーで嵩にかかった怒涛の攻めを見せる佐藤。ロープを背にした江口は右フックを受けて大きく体が傾き,ダウン寸前。なおも攻撃の手を緩めない佐藤。左フックを受けてガードが取れなくなったところで,マーチン主審が割って入り,試合をストップした。

 国内最強を決める頂上決戦として注目を集めたビッグカード。呆気ない幕切れを迎えたが,重量級の醍醐味を凝縮した好ファイトとなった。佐藤は4度目の防衛に成功。
 開始早々からスリリングな強打の応酬が見られたが,勝負のポイントは佐藤がダウンから立ち上がった直後の打ち合いだろう。ここで振りが大きくなってガードが開いてしまった江口に対し,外からのフックに加えてストレート系のパンチを織り交ぜた佐藤に一日の長があったと言える。スピードや自らのディフェンスにも不安はあるが,パワーは大したもの。チャンスのときにたたみかける詰めの鋭さも強味のひとつである。ダウンした直後に引いてしまっては一気に主導権を持っていかれると見たのか,逆に強引な攻めに転じていたことが好結果を生んだ。この辺の勝負勘にも優れたものがある。国内無敵を証明したことで,今後はさらに上を狙えるという期待を抱かせた。
 江口は重量級にしては動きがあるサウスポーのファイタータイプ。積極的に仕掛けたが,外からのパンチが主体となり,激しい打ち合いの中で先に佐藤に当てられてしまったことが敗因。上体を振りながらフェイントをかけて中盤以降に持ち込んでいればと悔やまれる。それでも果敢に打ち合いを挑んだ勇気は称賛に値する。

     主審:ビニー・マーチン,副審:杉山利夫&土屋末広&ウクリッド・サラサス
     ○佐藤:13戦13勝(12KO)     ●江口:20戦18勝(12KO)2敗
     放送:日本テレビ&G+     解説:ファイティング原田&浜田剛史     実況:高橋雄一

※ 第1ラウンド,倒れている相手に対する加撃によって江口は減点1。

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                        2008年9月6日(土)    後楽園ホール
                      日本スーパーフェザー級タイトルマッチ10回戦
                     チャンピオン    K       O   挑戦者(同級1位)
                ○  矢代義光    4回1分30秒    松崎博保  ●
                      (帝拳) 129 3/4 lbs                    (協栄) 130 lbs

 初回,じりじりと前に出る松崎に対し,矢代は右ジャブを軽く突いて右フックを引っかける。松崎の右フックが矢代の顔面に決まる場面があったが,終盤には矢代が右フック,左ストレートで攻勢を仕掛けた。
 2回,矢代はバッティングで左前頭部をカットしてドクターチェックを受ける。距離を詰めて打ち合いを狙う松崎に対し,矢代は左ストレートのカウンターを狙う。
 3回,松崎の動きを冷静に見て左アッパーをボディに放つ。松崎も右ストレートのボディブローを見せた。
 4回,矢代は足を使って回り込みながら右ジャブを突く作戦に変更。構わず前に出る松崎だが,中盤に落とし穴が待っていた。ロープに下がった矢代を追って攻撃を仕掛ける松崎だが,不用意に出た瞬間,ガラ空きのアゴに矢代の左ショートストレート一閃。まさに絶妙のタイミングで放たれた一発に,糸が切れた操り人形のように落下した松崎はキャンバスに大の字に沈む。必死に上体を起こしかけたが,体が言うことを聞かず,そのままカウントアウトされた。

 矢代がしぶとい松崎を鮮烈なワンパンチKOに仕留め,初防衛に成功した。距離を詰める松崎に3回まではやや苦戦も予想される展開だったが,4回に入って矢代の動きが明らかに変わった。前に出る松崎に対して直線的に下がらず,右ジャブを突いては右に回り込んで巧みにポジションを変えながらカウンターのチャンスを狙ったことがKOへの伏線になったと言える。おそらくセコンドの指示があったのだろうが,状況に応じてすぐに戦法をチェンジできるクレバーな面がある。一瞬たりとも相手の動きを見逃さない卓越した集中力は見事の一語に尽きる。右ジャブ,フックの鋭さに加えて,左ストレートには一発で試合を終わらせる威力十分。4回に見せたように右パンチを多用して動きの中からチャンスを掴む試合運びに徹して欲しい。左拳の粉砕骨折によるブランクで遠回りしたが,経験を積めば世界も狙える逸材である。
 2度目のタイトル挑戦だった松崎だが,カウンターの鋭い矢代に正対してオフガードになった瞬間を突かれた末の痛恨のKO負けである。歩くような独特の距離の詰め方を見せるので,相手にとってはやりにくいタイプ。右ファイタータイプで,間合いを縮めて放つ左フック,右ストレートを武器としている。

     主審:浦谷信彰,副審:島川威&杉山利夫&ビニー・マーチン
     ○矢代:22戦21勝(12KO)1分     ●松崎:21戦18勝(9KO)3敗
     放送:日本テレビ&G+     解説:セレス小林     実況:寺嶋淳司

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         2008年9月13日(土)     ウクライナ:リボフ   ウクライナ・スポーツパレス
                    WBA世界スーパーライト級タイトルマッチ12回戦
                     チャンピオン           挑戦者(同級15位)
              ○  アンドレアス・コテルニク   判 定   木村登勇   ●
                          (ウクライナ)                    (横浜光)

 初回,木村は好調な滑り出しを見せた。右ジャブ,左ストレートを上下に打ち分け,いつになく正攻法で打って出る。コテルニクはガードを固めて慎重なスタート。
 木村の右ジャブ,フックからの左ストレートに対し,コテルニクはガードを固めて左フックをアゴ,ボディに返した。
 7回終盤,前に出ようとしたところにコテルニクが右ストレートから返した左フックが決まり,木村はガクッとぐらついて思わずクリンチ。ワンツー,左フックをまとめるコテルニク。木村の出バナにカウンターで決めるコテルニクの左フックが冴える。
 12回,ダメージと疲労で動きが鈍い木村。足を止めて左右のショートフックを連打するが力がない。コテルニクは冷静に見て右ストレートから左フックを返す。終盤,左フックでガクットと足にきた木村は必死にクリンチに逃れようとするが,右ストレート,左フックの攻勢に晒され,やっとの思いで終了ゴングに救われた。

 敵地ウクライナに乗り込んで悲願の世界タイトル奪取を狙った木村だが,コテルニクの技巧の前に完敗という厳しい結果となった。
 自ら”木村術”と称するいつもの変則殺法が出ず,お行儀の良い正統派ボクシングに終始したのは意外だった。基礎がしっかりしているコテルニクに対して正攻法でぶつかっては不利になるのは見えていた。コテルニクのリズムを崩すためにも,持ち味である変則的な自分のボクシングを貫いて欲しかった。相手を自分の土俵に引きずり込むことを得意としている木村が自ら相手の土俵で入り込んだことは非常に残念である。
 シドニー五輪の銀メダリスト(ライト級)という実績を持つコテルニクは右ボクサータイプで,左ジャブからのワンツー,返しの左フックを得意としている。冷静に相手の動きを見極めて巧打する堅実なテクニシャンである。足はあまり使わないが,固いブロックを主体に卓越した防御技術を見せた。無駄な動きや無駄なパンチがなく,スタミナを温存する省エネボクシングができる。この辺が終盤に木村との差になって表れた。サウスポー対策の定石である右ストレートだけでなく,返しの左フックが非常に効果的だった。

採点結果 コテルニク 木村
主審:スタンレー・クリストドーロー(南アフリカ) *** ***
副審:ジャン・フランソワ・トゥーパン(フランス) 118 110
副審:ファン・マヌエル・ガルシア・レイジェス(スペイン) 119 109
副審:ジェスパー・D・ジェンセン(デンマーク) 119 109
参考:MAOMIE (39) (37)


     ○コテルニク:33戦30勝(13KO)2敗1分
     ●木村:42戦34勝(18KO)6敗2分

     放送:テレビ東京&BSジャパン
     解説:ガッツ石松
     実況:久保田光彦

※ 第1・4・7・12ラウンドのみを放送(MAOMIEの採点は放送されたラウンドのみの集計結果です)。

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                         2008年9月15日(土)     パシフィコ横浜
                         WBA世界ミニマム級タイトルマッチ12回戦
                    挑戦者(同級1位)     T   K   O     チャンピオン
                ○  ローマン・ゴンザレス    4回1分59秒    新井田 豊  ●
                       (ニカラグア) 104 1/2 lbs                      (横浜光) 104 1/4 lbs

 初回から緊迫した試合展開となった。左アッパーから右ストレートで先制したのは新井田。しかし,ゴンザレスもすぐにワンツーを返して攻撃に転じる。新井田も速射砲のような左アッパーから右フックを連打するが,ゴンザレスはどんどん距離を詰めて得意の左アッパーをボディから顔面に放って新井田をのけぞらせた。
 2回,ゴンザレスがプレッシャーを強める。右ストレートからボディに左アッパー,フックを連打して動きを止めにかかるゴンザレス。接近すると右から左のアッパーでボディを叩く。さらに左アッパーをアゴに突き上げるゴンザレス。
 3回,下がってはますます不利になると見た新井田は意を決したように打ち合いに出る。しかし,ゴンザレスの強烈なボディ打ちに後退を余儀なくされる。ボディに気を取られると顔面,アゴに左アッパー,フックが飛び,新井田はますます苦しい立場に追い込まれた。
 4回,ゴンザレスが勝負に出た。嵩にかかった攻撃に新井田は敗色濃厚となった。矢継ぎ早の左アッパー,フック,右ストレートが上下に飛んで防戦に忙しくなる新井田。鼻血と塞がった右目で窮地に立った新井田が力なくロープ際に下がったところで,ネルソン主審がドクターチェックを命じる。結局,続行不能との判断が下って試合がストップされた。

 短い試合だが,近来まれに見るハイレベルな世界戦である。
 新井田は8度目の防衛に失敗。ゴンザレスの容赦ない連打を浴びて完敗。最後までノックダウンを拒否し続けたことが王者としてのせめてものプライドである。キャリアで勝るだけに,自ら前に出てプレッシャーをかけられれば別の展開も期待できたが,それができないほどの凄まじい圧力だったのだろう。それでも果敢に打ち返して王者の意地は十分に見せた。挑戦者の実力が想像以上だっただけのことであり,敗れたものの立派な試合である。
 ゴンザレスは自慢の強打を意のままに操って安定王者の新井田を粉砕し,衝撃的な王座奪取で日本のファンの度肝を抜いた。右ボクサーファイターで9割を超える破格のKO率を誇る。左アッパー,フックを軸に据えた攻勢で試合を作る非常にアグレッシブな試合運びをする。右ストレートも切れるが,どちらかと言うとその右を導火線にして上下に間断なく打ち分ける左アッパー,フックが主武器である。一発の威力も十分だが,何よりも連打が出ることが強味。バランスが良く,無駄打ちが少ない点も光る。久々に出現した本格派の大型チャンピオンである。今後どこまで旋風を巻き起こすか注目される。

     主審:マーク・ネルソン(米国),副審:ジョン・ポートレイ(米国)&ピニット・プラヤドサブ(タイ)&セルジオ・カイズ(米国)
     ○ゴンザレス:21戦21勝(19KO)     ●新井田:28戦23勝(9KO)2敗3分
     放送:テレビ東京&BSジャパン     解説:大橋秀行&川嶋勝重&内藤大助     実況:斉藤一也

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                          2008年9月13日(土)     パシフィコ横浜
                      WBC世界スーパーバンタム級暫定王座決定12回戦
                 WBC世界S・バンタム級2位               WBC世界S・バンタム級3位
                ○  西岡利晃       判 定    ナパーポン・ギャットティサックチョークチャイ   ●
                      (帝拳) 121 3/4 lbs                            (タイ) 122 lbs
                       WBA6位

 西岡が好調な立ち上がりを見せた。ジリジリと前に出て左ストレート,アッパーを上下に打ち分ける。ナパーポンも打ち気に出るが,3回,西岡は右に回り込んで左ストレート,アッパーを巧打。さらに右アッパーのボディブローも決めて優位に立った。
 5回,接近しての打ち合いになるが,西岡は左右アッパーのボディ攻撃で打ち勝った。さらにナパーポンが出ようとするところを捉え,右フックのカウンターがアゴにクリーンヒットした。
 7回,劣勢のナパーポンが勝負をかけたかのように前に出た。右ストレート,左右アッパーを振って攻勢を強める。西岡は接近戦に応じ,左アッパーをアゴに決めてナパーポンをのけぞらせた。
 ここまでスピードと巧みなポジション取りで明白にリードを保った西岡だが,8回を過ぎるとやや疲れを見せて動きが鈍った。後半に強いナパーポンが徐々に追い上げを見せ,イヤなムードが漂う。ナパーポンはしつこさを増し,接近して右ストレート,フック,上下への左右アッパーを見舞った。
 9回,楽勝ムードだった西岡にややスタミナ切れの兆候が垣間見られた。ナパーポンは執拗にパンチを繰り出して追い上げを見せた。西岡も接近戦で左アッパーをボディからアゴに突き上げる。
 10回,引いてしまってはズルズルと押し切られると見た西岡が打って出た。そこには『このラウンドを取って踏み止まる』という明白な意思が感じられた。しかし,終了間際の打ち合いで左アッパー,右ストレートを受けた西岡は足を滑らせてキャンバスに落下してヒヤリとさせた。これはスリップダウンとなったが,ノックダウンとされても不思議ではない場面だった。
 11回,ナパーポンが執拗に出る。西岡がバッティングで右目上をカットしてドクターチェックを受け,WBCルールによりナパーポンは減点1となった。
 12回,ナパーポンの執拗な攻撃に西岡は後手に回った。クリンチからのプッシングで西岡が倒れる場面があり,ナパーポンは再び減点1を課せられた。

 西岡が5度目の挑戦で悲願の世界タイトル奪取。信念・熱意・努力で掴み取った価値あるベルトである。前半は巧みに右に回り込んで左ストレート,左右アッパーを打ち込む頭脳的な試合運びでポイントを重ねた。後半に動きが鈍ったところで追い込まれたが,そこまでの貯金が大きくモノを言った。全盛時に見せたスピードや切れはないが,円熟味を増したボクシングである。
 ナパーポンは右ファイタータイプ。ベタ足でスピードはないが,177cmの長身から繰り出す右ストレート,フック,左右アッパーを武器としている。8割強の高いKO率をマークしているが,一発の破壊力ではなく,執拗な連打でダメージを重ねて仕留めるのが得意の攻撃パターンである。スロースターター気味なところがあり,ラウンドを重ねるごとに調子を上げ,後半になるほど強くなる。今夜は西岡のスピード,うまさに屈した。

採点結果 西岡 ナパーポン
主審:ケニー・ベイレス(米国) *** ***
副審:ベンハミン・レンドン(メキシコ) 117 109
副審:ジェームス・デンキン(米国) 119 107
副審:サムエル・コンデ(プエルトリコ) 117 109
参考:MAOMIE 115 111


     ○西岡:39戦32勝(19KO)4敗3分
     ●ナパーポン:50戦46勝(39KO)3敗1分

     放送:テレビ東京&BSジャパン
     解説:大橋秀行&川嶋勝重&内藤大助
     実況:島田弘久

※ 第11ラウンドのヘディングによるナパーポンの減点1,第12ラウンドのプッシングによるナパーポンの減点1を含む採点。

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                      2008年9月13日(土)     パシフィコ横浜
                     WBA世界スーパーフライ級王座決定12回戦
                 WBA世界S・フライ級1位          WBA世界S・フライ級3位
                ○  名城信男      判 定      河野公平  ●
                       (六島) 115 lbs                     (ワタナベ) 115 lbs

 初回,河野が積極的に出て右ストレートから左右フックを浴びせる。名城はこれをじっくり迎え,左アッパー,右ストレートをヒットするが,河野が手数で上回ってリードした。
 2回は逆に名城。よく見て左アッパーから右ストレートを決め,さらにクリンチからスルッと体を入れ替えて左右フックをまとめるうまさを見せた。3回,クリンチが多くなるが,名城は右ストレートからの左アッパーあるいは出バナへのワンツーを巧打する。この辺は名城の頭脳的な試合運びが光った。
 しかし,中盤は河野も負けじと反撃を見せた。やや疲れが出て休んだのか,名城の手数が減る。クリンチが多くなるが,河野は5回に左アッパー,7回には右アッパーを決めてポイントを挽回した。9回には疲れが見える名城に対して左アッパーを連発。
 10・11回は再び名城が主導権を握る。ガチャガチャと攻め込む河野だが,ガードが開いたところを突かれた。名城はアゴに右アッパーを再三突き上げ,このパンチで終盤をリードした。
 12回はともに手は出すが,疲労が激しく,すぐにクリンチにもつれ込む場面が目立つ。両者ともに決め手を欠いたまま終了ゴングを聞いた。

 史上初の日本人同士による世界王座決定戦となったが,手数が多い割にはクリンチの多さとクリーンヒットの少なさによって今一つ盛り上がらない試合となった。
 際どいスプリットデシジョンながら,名城が1年4ヶ月ぶりに王座返り咲きを果たした。ガチャガチャと攻め込む河野に苦しんだ面はあるが,終盤に見せた右アッパーを主体とした攻撃が当落線上にある勝利を引き寄せたと言える。前半に見せた相手の動きを冷静に見て攻撃に転じるうまさが光る。疲労のためか,中盤以降にやや手数が減ったことは今後に向けての反省材料だろう。
 初挑戦の河野は右ファイタータイプで旺盛なスタミナと手数が売り物。しかし,パンチの正確さに欠けたことが響いた。手数が多かった割に,リードを印象付けるだけの場面を作れなかったことが敗因だろう。

採点結果 名城 河野
主審:ピニット・プラヤドサブ(タイ) *** ***
副審:島川 威 114 115
副審:原田武夫 115 114
副審:ジョン・ポートレイ(米国) 115 114
参考:MAOMIE (86) (86)


     ○名城:13戦12勝(7KO)1敗
     ●河野:25戦21勝(7KO)4敗

     放送:テレビ東京&BSジャパン
     解説:大橋秀行&川嶋勝重&内藤大助
     実況:赤平大

※ 第4・6・8ラウンドをカットして放送(MAOMIEの採点は放送されたラウンドのみの集計結果です)。

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                       2008年9月13日(土)    パシフィコ横浜
                                 8回戦
                   日本ミニマム級4位    T   K   O      タイ国ミニマム級4位
                ○  八重樫 東     2回2分35秒    トンタイレック・ポーウォラシン  ●
                      (大橋) 107 3/4 lbs                           (タイ) 108 lbs

 2回,鋭い左ジャブ,フックを放つ八重樫。右ストレートが効いて後退したトンタイレックを青コーナーに詰めて,左右フック,ボディへの左アッパーで攻勢に出る。辛うじてコーナーから逃れるトンタイレックだが,鼻からの出血で苦しそう。再び右フックでよろめくトンタイレック。チャンスと見た八重樫は連打からの右アッパーを決めて,ダウンを奪った。立ち上がったトンタイレックだが,八重樫の攻勢に晒されてよろめいたところで浦谷主審が試合をストップした。

 世界挑戦での惨敗からの復帰第3戦となった八重樫が,力の差を見せつけて圧勝した。スピード,パンチ力は健在。天性のバネ,切れがある。世界戦では経験不足を露呈したが,キャリアを積めば再びチャンスがあるはず。ただし,ラッシュしたところで仕留め切れずに一呼吸置いてしまった場面が気になった。詰めの甘さが今後の課題である。

     主審:浦谷信彰,副審:3名とも不明
     ○八重樫:10戦8勝(6KO)2敗     ●トンタイレック:13戦5勝(2KO)8敗
     放送:テレビ東京&BSジャパン     解説:川嶋勝重     実況:中川聡

※ 第2ラウンドのみを放送。

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                       2008年9月16日(火)    後楽園ホール
                              10回戦
                   日本S・ライト級11位         日本S・ライト級10位
                ○   伊藤博文     判 定    飯田幸司  ●
                       (相模原ヨネクラ) 140 lbs              (ヨネクラ) 140 lbs

 ともに左ジャブで探り合うスタート。まず伊藤が右ストレートのカウンターを決める。さらにもうひとつ右ストレートをヒットしてリードを奪った。2回にも伊藤のワンツーがクリーンヒット。コンスタントに繰り出される伊藤の左ジャブで後手にまわる飯田。
 3回は飯田が積極的な左右フックのボディ攻撃を見せる。終盤には右ストレートから左フックを返して伊藤を追い込んだ。
 5回に伊藤が右ストレート,ワンツー,左フックからさらに右ストレートにつなげる鮮やかなコンビネーションブローで見せ場を作れば,6回終了間際には飯田が左右連打で再び伊藤を追い込む。試合は一進一退の好ファイトとなった。
 7回,伊藤は左ジャブ,ワンツー,左右のショート連打をまとめる。飯田は右目上をカット(有効打による傷)するが,それでも終盤に左右フックで攻勢を見せる。
 白熱の試合が大きく伊藤に傾いたのは8回。ワンツー,右アッパー,左フックの攻勢に晒された飯田はワンツーを受けて再三のけぞる場面を見せた。左目上が大きく腫れ上がった飯田はドクターチェックを受ける(伊藤の有功打)。しかし,それでもなお終盤に連打で伊藤をたじろがせた。
 9回は伊藤がワンツー,左右アッパーを浴びせる。しかし,飯田はここでも終盤に猛然と攻勢を仕掛けてホールを沸かせた。
 10回,両者ともに疲れが出るが,飯田が手数で上回った。

 両者ともに持ち味を出し切り,最後まで気持が籠った激しい打ち合いでファンを魅了した好ファイト。
 180cmの長身から繰り出す左ジャブ,ワンツーを武器とする伊藤はオーソドックスな試合運びを身上とする右アウトボクサー。コンスタントに出る左ジャブ,ワンツーの伸びが良い。今夜は左ジャブで先手を取る場面が目立ち,飯田が得意とする接近戦を許さなかったことが勝因。5月に変則サウスポーの塩谷智行(レパード玉熊)に苦杯を舐めて下位に沈んだが,ランキング上位に食い込むだけの実力は十分に備えている。塩谷戦のように相手のペースに巻き込まれず,いかに自分のスタイルを貫くかが上位進出へのキーポイントである。
 飯田は右ファイタータイプで左右フック,アッパーの連打を武器としている。闘志溢れる打ち合いで沸かせたが,伊藤に先手を取られたことが響いた。左目上の腫れにめげず,各ラウンドの終盤に攻勢を仕掛ける作戦で伊藤を大いに苦しめた。

採点結果 伊藤 飯田
主審:染谷路朗 *** ***
副審:ウクリッド・サラサス 95 96
副審:浦谷信彰 97 96
副審:安部和夫 97 96
参考:MAOMIE 96 95


     ○伊藤:15戦11勝(8KO)3敗1分
     ●飯田:20戦11勝(3KO)7敗2分

     放送:スカイA
     解説:今岡武雄&本間暁
     実況:河路直樹

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                        2008年9月20日(土)    後楽園ホール
                     東洋太平洋スーパーフライ級タイトルマッチ12回戦
                     チャンピオン    T  K  O   挑戦者(同級6位)
               ○   冨山浩之介   12回30秒    相澤国之   ●
                       (ワタナベ) 115 lbs                   (三迫) 114 3/4 lbs

 相澤は初回,小刻みな動きから鋭い左ジャブの刺し合いでリードし,好調なところを見せた。冨山は早くも鼻から出血して不安なスタートとなった。
 しかし,2回以降は冨山が先に手を出す作戦に切り替えて主導権を握る。相澤が待っていると冨山の右ストレート,アッパー,左フックが飛ぶ。冨山は打ち終わりや出バナにうまくパンチを見舞う。
 冨山は4回に相澤の有効打で左目上をカットしたが,6回にはカウンターを決めてリードを広げた。相澤の出バナに右フックのカウンターが決まる。この回は冨山の右ストレートあるいは左フックがうまくヒットした。カウンターから攻勢に出て相澤を追い込む冨山。
 相澤は8回,ボディから顔面への左右フックで動きが鈍った冨山をロープに詰めて攻勢に出る。冨山は鼻からの出血でやや苦しい展開になった。相澤のボディ攻撃を受け,冨山は思わずクリンチに出る。
 しかし,終盤に入って冨山が再び優位に立った。10回,冨山にも疲れが出るが,右フックのカウンターがクリーンヒット。相澤の出バナに左ジャブ,右ストレートをうまくヒットする冨山。11回,動きが鈍った相澤は右ストレート,フックをもらう場面が目立つ。
 12回,試合は唐突な幕切れを迎えた。右アッパーに合わせて放った冨山の右フックがアゴを捉え,相澤は大きくのけぞって朦朧とした状態に陥る。危険を察知した浦谷主審が素早く割って入り,試合をストップした。

 冨山が劇的なTKOで初防衛に成功した。王座を獲得した6月のノラシン・ギャットプラサンチャイ(タイ)戦では精彩を欠いたが,今夜は相澤の出バナあるいは迷っているところに先にパンチを決めていた。この先手の攻撃で相澤にダメージを与えたことが最大の勝因である。右ボクサータイプで足を使いながら距離を取り,伸びの良い右ストレートを打ち込むのが得意の攻撃パターンである。世界挑戦経験者の相澤をキッチリ仕留めたことで大きな自信につながるだろう。持ち味のアウトボクシングを磨けば,さらに飛躍することは不可能ではない。今後の精進に期待したい。
 相澤はこれで3連敗。アマでの輝かしい実績を引っさげて鳴り物入りでプロ入りしたが,すっかり並以下の選手になってしまった。低迷の原因は闘志が前面に出ないことだろう。才能があるだけにもったいない。序盤こそ鋭い左ジャブで好調をアピールしたが,その後は冨山の思い切りの良い先手の攻めに尻すぼみとなった。実績では冨山を遥かに上回っていて有利の予想が多かっただけに,今夜の敗戦は大きい。鼎の軽重を問われる結果となったが,再浮上するためには相当な覚悟が必要だろう。

11回までの採点 冨山 相澤
主審:浦谷信彰 *** ***
副審:杉山利夫 109 100
副審:土屋末広 107 102
副審:福地勇治 109 101
参考:MAOMIE 107 102


     ○冨山:19戦18勝(6KO)1敗
     ●相澤:18戦13勝(10KO)4敗1分

     放送:G+
     解説:葛西裕一
     実況:中野謙吾

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                       2008年9月20日(土)    後楽園ホール
                      東洋太平洋ライト級タイトルマッチ12回戦
                     チャンピオン            挑戦者(同級6位)
               ×   ランディ・スイコ   引き分け    荒川仁人   ×
                       (比国) 134 1/4 lbs              (八王子中屋) 135 lbs
                        WBA8位,WBC6位           荒川仁人=あらかわ・にひと

 初挑戦の荒川が上々の滑り出しを見せた。サウスポースタイルから右ジャブ,フック,左ストレートをヒット。スイコも前に出て右アッパーを振るが,荒川は落ち着いて対処した。
 2・3回はスイコのプレッシャーが上回ったが,4回,荒川はよく動いて回り込んで左アッパーから右フックをヒット。5回には右アッパーのボディブロー,6回には左ストレートを再三ヒットしてスイコの焦りを誘った。
 しかし,東洋無敵のスイコも黙ってはいない。8・9回,プレッシャーを強めたスイコは右ストレート,ボディへの左右アッパーを振って荒川を追い上げる。10回にもスイコの攻勢が続く。荒川は鼻からの出血で苦しくなるが,後半には逆にスイコをロープに詰めて自ら攻勢に転じた。
 11回,勝負所と見た荒川はキレイなボクシングを捨て,敢えて接近戦に活路を求めた。強打のスイコにロープを背負わせ,左右フック,アッパーを浴びせる。スイコも負けじと打ち返して激しいパンチの応酬になった。
 12回,強打で鳴らすスイコが打ち合いを嫌う場面を見せる。荒川は顔面を腫らしながら果敢に左右フック,アッパーを浴びせてスイコを押し込む。スイコはバッティングで左目上をカット。荒川の左ストレートがクリーンヒット。最後まで譲らない打ち合いのまま終了ゴングを聞いた。

 大善戦でホールを沸かせた荒川だが,一歩及ばずドローに泣いた。スイコは3度目の防衛に成功。
 荒川はサウスポーのボクサーファイター。足を使いながら右ジャブ,フック,左ストレートを主体とした基本に忠実な試合運びをする。前半は巧みに回り込んでカウンター気味のパンチを巧打した。中盤以降はさすがにスイコのパワーに押されたが,勝負所の終盤に果敢に打ち合いを挑んでスイコを後退させたのは非常に立派である。今夜は惜しくもタイトル奪取が成らなかったが,いずれOPBFか日本タイトルへの挑戦のチャンスがあるはず。強打のスイコをあと一歩のところまで追い込んだ今夜の試合は大きな自信につながるだろう。ただし,スイコへの再挑戦が決まれば,今度は相当研究されることを覚悟する必要がある。今後の動向に注目したい。
 スイコは前半に得意の強打をかわされ,焦りが生じたことが苦戦の原因。中盤以降は目の色を変えて攻勢に出たが,荒川の頑張りをクローズアップさせる結果になった。特に11・12回の荒川の逆襲には面喰っただろう。叩きつけるような右ストレート,左右アッパーの強打は健在だが,今夜は荒川を甘く見ていた節がある。

採点結果 スイコ 荒川
主審:ウクリッド・サラサス *** ***
副審:杉山利夫 115 114
副審:土屋末広 114 114
副審:浦谷信彰 114 114
参考:MAOMIE 113 115


     ×スイコ:32戦28勝(24KO)3敗1分
     ×荒川:15戦13勝(9KO)1敗1分

     放送:G+
     解説:葛西裕一
     実況:高橋雄一

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                        2008年9月20日(土)    後楽園ホール
                                8回戦
                   日本ウェルター級4位    T K O    日本ウェルター級9位
              ○   チャールズ・ベラミー   6回42秒     岳たかはし   ●
                     (八王子中屋) 153 1/2 lbs                   (新田) 154 lbs
                                          岳たかはし=がく・たかはし

 初回からパワーの差が出た。長身のサウスポー岳は下がりながらチャンスを窺うが,ベラミーは早くも右ストレートでのけぞらせて攻勢に出る。
 2回,ベラミーの右フックでぐらついた岳はロープに詰まる。鼻から出血しながらもロープを背にして左ストレート,右フックを返すが,パワーの差は明白。
 岳の顔面は血で染まり,左目も塞がりかけて早くも敗色濃厚の様相を呈した。よく応戦する岳だが,ベラミーの右フック,ストレートで徐々にダメージを蓄積させた。4回終盤にはコーナーに追い込んだ岳が左ストレートでベラミーをのけぞらせる場面も見られた。
 6回開始早々から左右のショート連打を浴びせて攻勢に出るベラミー。右ストレートから左右ショートフックをまとめたところで福地主審が試合をストップした。

 パワーで圧倒的優位に立つベラミーが岳を仕留めた。岳の頑張りに手を焼いた原因は,上背で12cmも劣るベラミーが上へのパンチにこだわり過ぎたこと。そのため伸び上がるような打ち方になり,単発になって連打につながらなかったことがフィニッシュを長引かせる原因になった。下から攻め上げていれば,長身の岳の上体が折れて上へのパンチが当たりやすくなっただろう。パワーは抜群なので,それを生かす攻撃の幅を広げることが必要である。
 岳は180cmという長身のサウスポー。長いリーチを生かした左ストレート,左右アッパーを武器としている。懐の深さとやや変則的なボクシングが持ち味である。闘志溢れる試合ぶりで最後まで粘った点に好感が持てる。今夜はベラミーの右ストレート,フックでダメージを蓄積させたことが響いた。

5回までの採点 ベラミー
主審:福地勇治 *** ***
副審:土屋末広 50 46
副審:中村勝彦 50 46
副審:ウクリッド・サラサス 49 46
参考:MAOMIE 50 46


     ○ベラミー:10戦8勝(5KO)1敗1分
     ●岳:12戦9勝(4KO)2敗1分

     放送:G+
     解説:なし
     実況:藤田大介

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                     2008年9月20日(土)    後楽園ホール
                             8回戦
                日本S・フェザー級6位         日本S・フェザー級(ノーランク)
              ○   川村貢二     判 定     杉崎由夜   ●
                    (ワタナベ) 132 1/2 lbs              (角海老宝石) 132 1/2 lbs
                                               杉崎由夜=すぎざき・ゆうや

 開始早々から迫力十分の左ジャブの刺し合いが展開された。川村はガッチリと顔面をガードしながら前に出て左フックからボディに左アッパーを打ち込む。杉崎も鋭い左ジャブで応戦するが,川村の右ストレートがヒット。
 3回,左アッパーでボディを叩く川村に対し,杉崎は入り際に左フックのカウンターを合わせる。4回には川村が左アッパーのボディブローに応じた杉崎の左から右のフックが決まり,川村がバランスを崩す場面が見られた。
 5回,川村がKOチャンスを迎える。細かい左右アッパーをまとめる杉崎だが,左右フックのボディ連打から切り返したアッパー気味の左フックがアゴに決まり,ぐらつく杉崎。川村はロープを背にした杉崎にワンツーを浴びせて一気に攻勢に出る。再びボディ攻撃からの左フックでぐらつく杉崎。杉崎もワンツーで応戦し,激しい打ち合いになる。
 一進一退の攻防が繰り返されたが,5回を境に主導権はやや川村に傾いた。6回,ロープに詰めてボディ連打から右ストレートを浴びせて攻勢。川村は再び序盤のような鋭い左ジャブを多用して杉崎を追い込んだ。
 7回,右ストレートで杉崎をぐらつかせてラッシュに出た川村はローブローで減点1を食う。終盤には杉崎も打ち返して激しいパンチの応酬が見られた。8回,川村は杉崎をロープに詰めて左右フック,ボディへの右ストレート。杉崎がバッティングで右目上をカットして中断するが,終了間際には両者渾身の打ち合いが見られた。ラフになった川村は杉崎の左フック,右ストレートで腰が落ちて危ない場面を見せる。

 片時も目が離せないスリリングな展開が続いた。見応え十分の左ジャブの刺し合いに始まり,強打の応酬,カウンターあり,ラッシュあり・・・・・ダウンシーンこそなかったが,まさに熱戦のフルコースである。米国やメキシコのリングならば,コインが乱舞しただろう。両者ともにアンダーカードの役割を十分過ぎるほど果たした。
 川村の勝因はウェイトが乗った左ジャブ,ストレートを多用し,そこから右ストレート,ボディへの左アッパー,フックでアグレッシブに攻めたこと。特に杉崎をダウン寸前まで追い込んだボディ連打からアゴに切り返す左フックが良かった。ただし,大振りからガードが甘くなり,カウンターを食う場面も見られた。カッとして力が入り過ぎてしまう欠点は相変わらず。ランキング中位から抜け出すためにはその点が課題となる。非常に魅力的な素材なので,ぜひタイトル挑戦が実現するように頑張って欲しい。
 杉崎は基本がしっかりしている右ボクサーファイター。鋭い左ジャブから放つ右ストレート,左フックにパンチ力がある。足はあまり使わず,相手の出方を見極めて打ち終わりに合わせるカウンターを得意としている。パワーファイターの川村に一歩も引かずに応じてぐらつかせる場面も見せたが,後半戦でやや打ち負けたのは残念。しかし,こちらも非常に良い素材で楽しみである。

採点結果 川村 杉崎
主審:杉山利夫 *** ***
副審:浦谷信彰 77 76
副審:中村勝彦 76 75
副審:福地勇治 78 75
参考:MAOMIE 76 75


     ○川村:17戦15勝(5KO)1敗1分
     ●杉崎:14戦9勝(3KO)4敗1分

     放送:G+
     解説:なし
     実況:藤田大介

※ 第7ラウンドのローブローによる川村の減点1を含む採点。

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                  2008年9月22日(月)    大阪府立体育会館第一競技場
                               12回戦
                 WBA世界S・ウェルター級9位         WBA世界S・ウェルター級8位
                ○   石田順裕      判 定     マルコ・アベンダーニョ  ●
                        (金沢) 154 lbs                    (ベネズエラ) 153 1/2 lbs

 初回,赤コーナーを出たアベンダーニョがマウスピースを入れていないことに坂本主審が気づいて中断する一幕があった。ともに低いガードから左ジャブを突いて相手の出方を窺う。2回,石田は前に出て打ち合いを挑むアベンダーニョに左ジャブを浴びせ,さらに右から左の逆ワンツーを決めた。
 しかし,3回に入ると石田は持ち味の左ジャブが出なくなり,アベンダーニョの乱戦に巻き込まれた。5回,左ジャブを伸ばしたアベンダーニョがアゴに右フックをヒット。ぐらついたところに左フックがフォローされ,石田は長身を折るように崩れ落ちてダウンを喫した。
 優勢のまま後半戦に入ったアベンダーニョだが,疲れが出て動きが鈍った。8回,石田は左フック,アッパーでロープに詰めてボディに左右アッパーを連打。終盤にはようやく切れのあるワンツーをクリーンヒットする。
 9回にも石田が左右アッパーのボディブロー,いきなりの右ストレートがアベンダーニョのアゴを捉える。
 10・11・12回は両者ともに疲れが目立つ。揉み合いの中でパンチを振るが,決め手を欠いたまま終了ゴングを聞いた。。

 ダウンを跳ね返した石田が辛うじて勝利をモノにしたが,本来のキレの良いアウトボクシングが見られず,精彩を欠く試合内容となった。生命線になっている左ジャブを忘れ,荒々しく攻めるアベンダーニョのペースに合わせてしまったことが苦戦の原因。持ち味としている足と左ジャブで突き放し,切れの良いワンツー,左右アッパーを浴びせる試合運びに徹することが望まれる。どんな状況になろうと自らの持ち味を守り貫けることも精神力の一つの形である。
 アベンダーニョは右ファイタータイプ。左右のボディ連打から上に反す左フックを武器としている。前半はこの攻撃でリードしたが,中盤以降はスタミナを失って動きが鈍り,パンチが手打ちになった。

採点結果 石田 アベンダーニョ
主審:坂本相悟 *** ***
副審:宮崎久利 115 114
副審:原田武夫 115 113
副審:福地勇治 113 115
参考:MAOMIE 115 115


     ○石田:27戦20勝(7KO)5敗2分
     ●アベンダーニョ:33戦26勝(18KO)6敗1分

     放送:スカイA
     解説:荒木慶大
     実況:黒沢孝司

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                 2008年9月22日(月)    大阪府立体育会館第一競技場
                              10回戦
                  WBA世界ミニマム級2位         メキシコ ミニマム級(ノーランク)
               ○   高山勝成      判 定    ハビエル・ムリージョ   ●
                      (真正) 108 1/4 lbs                (メキシコ) 108 3/4 lbs
                      WBC4位

 高山が動きながら左ジャブ,右ストレートを飛ばす。代役出場の割には引き締まっているムリージョ。
 2回,高山は空振りでバランスを崩して腰砕けになったムリージョをロープ際まで追い込んで攻勢を仕掛ける。3・4回には右ストレートでぐらつかせ,ボディ連打を織り交ぜた攻撃で圧倒した。
 6回,絶好のタイミングで右ストレートがカウンターになり,ぐらつくムリージョ。高山はバッティングで右目上をカットしてドクターチェックを受けるが,終了間際にはワンツーでムリージョを後退させる。
 高山は終盤も右ストレート,左右フックなどで最後までリードを保った。

 高山の完勝だが,今月WBA王座を獲得したローマン・ゴンザレス(ニカラグア)に挑戦するとなると物足りない。いつもの目まぐるしい動きや圧倒的な手数が今一つ。ワンサイドで圧倒しながらも倒し切れない点にも不満が残る。ゴンザレス攻略のためには,目まぐるしく出入りを繰り返して旺盛なスタミナと手数で圧倒する本来の試合運びを磨く以外にない。
 ムリージョはファン・ランダエタ(ベネズエラ)の代役として3日前に出場が決まった。タフな右ボクサーファイターだが,パンチ力はない。高山の手数に押され,消極的な姿勢が目立った。

採点結果 高山 ムリージョ
主審:福地勇治 *** ***
副審:半田隆基 100 90
副審:野田昌宏 100 90
副審:宮崎久利 100 90
参考:MAOMIE 100 90


     ○高山:25戦22勝(9KO)3敗
     ●ムリージョ:22戦12勝(6KO)8敗2分

     放送:スカイA
     解説:荒木慶大
     実況:高野純一

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                    2008年9月22日(月)    大阪府立体育会館第一競技場
                       日本スーパーウェルター級王座決定10回戦
                   日本S・ウェルター級2位   T   K  O   日本S・ウェルター級1位
                ○   野中悠樹      8回2分36秒     古川明裕   ●
                       (尼崎) 153 3/4 lbs                       (ワールド日立) 154 lbs

 開始早々から左右フックを強振して突進する古川。サウスポーの野中は下がりながらよく見て左ストレート,アッパーを打つ。右フックが決まって早くも古川がぐらつく。2回,古川は鼻からの出血を見る。激しい打ち合いの中,野中が左アッパーのボディブローから返した右フックがアゴに決まる。
 3回,野中がKOチャンスを迎えた。激しく突っかかる古川のボディに左ストレート2発。そこからすかさず放った左ストレートが顔面に決まれば,古川はたまらず膝から落ちてダウンを喫した。チャンスと見た野中は右フック,左ストレートで攻勢。ぐらついてピンチの古川だが,左右フックで応戦する。
 中盤以降の古川は鼻血と顔面の腫れでますます苦しくなった。6回,野中はバッティングで右目上の傷が深くなってドクターチェックを受けるが,左ストレート,左右フックで攻勢に出る。7回には古川の右フックも決まるが,顔面の腫れで今度は古川がドクターチェックを受ける。
 そして8回,野中が粘る古川を仕留めた。古川は左右フックを振り回すが,虚しく空を切る。野中は左フック,アッパーを狙い打ち。古川の突進を持て余し気味の野中だが,左ストレート,左右フックで再び攻勢。左ストレートでよろめいた古川を宮崎主審が抱きかかえるように救って試合をストップした。

 石田順裕(金沢)の返上で空位となった王座を争う一戦。対照的な両選手の顔合わせとなったが,スピードで勝る野中が栄冠を射止めた。
 野中はサウスポーのボクサーファイター。動きながらタイミング良く左ストレート,右フックを打ち込むのが得意の攻撃パターンで,スピードがある。このクラスでは珍しく足が使えることが強味である。古川の突進を良く見てかわし,左ストレートを中心にした攻撃で徐々にダメージを与えた。ただし,攻撃が上に集中していたことが気になる。ボディにもパンチを散らしていれば決着がもっと早くなっていたはず。
 古川は破壊力満点の左右フックを武器とする”怪力”の右ファイター。藤猛ばりに上体を振り,左右フックを強振して攻め込む。ベタ足でスピードはないが,破格のパンチ力が魅力である。今夜は野中のスピーディな動きに追随できず,タイミングの良いパンチを浴び続けて完敗となった。

7回までの採点 野中 古川
主審:宮崎久利 *** ***
副審:坂本相悟 70 63
副審:原田武夫 70 62
副審:福地勇治 70 62
参考:MAOMIE 70 62


     ○野中:25戦16勝(6KO)7敗7分
     ●古川:15戦12勝(9KO)2敗1分

     放送:スカイA
     解説:荒木慶大
     実況:黒沢孝司

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