熱戦譜〜2008年6月の試合から


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試合日 試合 結果
2008.06.07  日本ミドル級
 タイトルマッチ10回戦
 江口啓二  TKO3R  小松 学
2008.06.07  東洋太平洋スーパーフライ級
 王座決定12回戦
 冨山浩之介  判定  ノラシン・ギャットプラサンチャイ
2008.06.09  日本ライトフライ級
 タイトルマッチ10回戦
 嘉陽宗嗣  6R負傷引き分け  須田拓弥
2008.06.09 8回戦  金田淳一朗  TKO2R  ペット・ファイシラ
2008.06.12  WBC世界バンタム級
 タイトルマッチ12回戦
 長谷川穂積  TKO2R  クリスチャン・ファッシオ
2008.06.12  WBA世界スーパーフェザー級
 タイトルマッチ12回戦
 エドウィン・バレロ  TKO7R  嶋田雄大
2008.06.12  東洋太平洋スーパーフェザー級
 タイトルマッチ12回戦
 内山高志  判定  阪東ヒーロー
2008.06.15  東洋太平洋ミニマム級
 タイトルマッチ12回戦
 和賀寿和  判定  ファビオ・マルファ
2008.06.15  日本バンタム級
 タイトルマッチ12回戦
 大場浩平  判定  児玉卓郎
10 2008.06.16 10回戦  木村章司  判定  瀬藤幹人
11 2008.06.21  東洋太平洋ウェルター級
 タイトルマッチ12回戦
 佐々木基樹  判定  ダルシム・ナンガラ
12 2008.06.21 8回戦  三垣龍次  TKO3R  ロッキー・アラップアラップ

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                     2008年6月7日(土)    後楽園ホール
                      日本ミドル級タイトルマッチ10回戦
                     チャンピオン   T  K O   挑戦者(同級5位)
                ○  江口啓二   3回34秒    小松 学  ●
                     (姫路木下) 159 3/4 lbs             (ワタナベ) 159 1/4 lbs

 開始ゴングと同時に積極的に攻める小松だが,江口が上体を振って重戦車のようにプレッシャーをかけると慎重な試合運びに変わった。
 2回,小松の右ストレートがヒットするが,江口は左アッパーでボディを攻める。小松の左に合わせて放った左ストレートが見事なカウンターになり,小松はたまらず仰向けにダウン。下がっては一気に押し切られると見た小松は果敢に前に出て活路を求めるが,ダメージで踏ん張りが利かない。終了間際には江口の左アッパーで腰が砕ける場面が見られた。
 3回,小松は左右フックで反撃に出るが,その左に合わせた江口の左ストレートのカウンターが再び炸裂。この一撃で腰から落ちた小松が仰向けに沈んだところでマーチン主審が即座に試合をストップした。

 江口,堂々の横綱相撲で5度目の防衛に成功。王者の風格が漂い,まさに自信に満ちた会心の試合内容である。2度倒したパンチはいずれも相手の左に合わせたドンピシャの見事なカウンターだった。アマチュア相撲で鍛えた下半身の安定感は相変わらずである。一発の威力に加えて連打が出ることも強味になっている。東洋太平洋王者・佐藤幸治(帝拳)との一戦がますます楽しみになった。ただし,打ち合いのときにノーガードになる瞬間があり,非常に危険。このクラスでは致命傷になることもある。
 アマの元全日本王者という実績を持つ小松は左右フック,右ストレートにスピードと切れがある右ボクサーファイター。2回に最初のダウンを奪われた直後,よく前に出て反撃に転じるなど場内を沸かせた。結局は江口のパワーに押し返されたが,これは作戦としては間違っていなかった。

     主審:ビニー・マーチン,副審:土屋末広&吉田和敏&福地勇治
     ○江口:19戦18勝(12KO)1敗     ●小松:17戦6勝(1KO)11敗
     放送:G+     解説:ファイティング原田&浜田剛史     実況:高橋雄一

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                       2008年6月7日(土)    後楽園ホール
                    東洋太平洋スーパーフライ級王座決定12回戦
               東洋太平洋S・フライ級2位             東洋太平洋S・フライ級1位
              ○  冨山浩之介      判 定    ノラシン・ギャットプラサンチャイ  ●
                    (ワタナベ) 114 1/2 lbs                       (タイ) 115 lbs

 動きながらワンツーを放つ冨山。しかし,2回以降ノラシンがプレッシャーを強めると旗色が悪くなる。ノラシンは右ストレートからボディに左右アッパーを集めて攻勢を仕掛けた。
 5回,ノラシンの攻勢が続く。富山は守勢に回ってロープ,コーナーに後退。ここでコーナーに下がった富山の左フックのカウンターがアゴに決まり,ぐらついたノラシンはクリンチに出ようとして富山とともにもつれるように倒れる。これは明らかにノックダウンだったが死角に入ったのか,キム主審はスリップダウンと判定した。ここまで守勢が目立った富山が立場を変えて攻勢に転じる。
 6回,ノラシンはダメージが抜け切れておらず,富山にとっては大きなチャンスだったが,弱気が響いて決定的なチャンスを逃した。後半はダメージをごまかしながら前に出るノラシンが優勢。
 7・8回もノラシンの右ストレート,左右アッパーに押されて後手にまわる場面が目立つ冨山。
 終盤は両者ともに疲れが出て動きが鈍る。11回,ノラシンは左右アッパー,右ストレートを放つ。12回,富山は力を振り絞るようにパンチを繰り出すが,決定打には至らない。

 同門の前王者・河野公平の返上で空位となった王座を争う一戦だったが,王座決定戦と呼ぶにはあまりにもお寒い凡戦。
 冨山は左ジャブ,ワンツー主体の右ボクサータイプで,足を使った動きの中からのパンチが持ち味。しかし,如何せんキャリア不足である。チャンスにも消極的なボクシングに終始し,良いところが出せないままにラウンドを重ねた印象が強い。攻められると弱気な面を露呈し,見栄えが悪いことこの上ない。初防衛戦で真価が問われるだろうが,前途は厳しいと言わざるを得ない。
 ノラシンは細身の右ファイタータイプで,ベタ足で前に出ながら繰り出す右ストレート,ボディへの左右アッパーの連打を武器としている。前半は手数でプレッシャーをかけていたが,終盤は疲れが出てプレッシャーが弱まった。疲れが出て動きが鈍っても,それをごまかして攻勢に出る老獪な面が見られる。

採点結果 冨山 ノラシン
主審:キム・ジェボン(韓国) 116 114
副審:アナン・メクサワン(タイ) 114 115
副審:浦谷信彰 114 113
参考:MAOMIE 114 116


     ○富山:18戦17勝(5KO)1敗
     ●ノラシン:29戦15勝(12KO)13敗1分
     放送:G+
     解説:浜田剛史&セレス小林
     実況:中野謙吾

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                        2008年6月9日(月)    後楽園ホール
                        日本ライトフライ級タイトルマッチ10回戦
                     チャンピオン     負傷引き分け   挑戦者(同級8位)
                 ×  嘉陽宗嗣    6回1分07秒     須田拓弥  ×
                       (白井具志堅) 107 3/4 lbs                 (沼田) 107 3/4 lbs
                     WBA15位,WBC6位                須田拓弥=すだ・たくみ

 左の嘉陽,右の須田という対照的な顔合わせ。初回後半,パンチの交換が見られた。須田の右ストレートがヒットするが,嘉陽も右フック,左ストレートを振る。
 2回,ややペースを握りかける須田。嘉陽の出バナにノーモーションの右ストレートが2発決まった。
 よく動いてフェイントをかける須田に的が絞れない嘉陽。鼻からの出血で苦しい防衛戦になるが,3回後半に入ってようやくリズムを掴む。フェイントからの左ストレートがクリーンヒット。
 5回,須田がバッティングで左瞼をカットして出血。これは深い傷で2度のドクターチェックが挟まれた。ストップを予感した須田が勝負を急ぎ,試合は激しい打ち合いと化した。左フックで足がもつれた嘉陽は大きなピンチを迎える。嘉陽の右目下もどす黒く腫れ上がった。
 6回,須田の右ストレート,嘉陽の右フック。しかし,須田の左瞼の傷が深くなり,3度目のドクターチェックの末に浦谷主審が試合をストップした。

 3度目の防衛に成功した嘉陽だが,前回に続いて負傷引き分けという不本意な結果となった。サウスポーのファイタータイプだが,右ジャブ,フックが出ず,相変わらず手数も少ない。須田の動きを封じられずに苦戦を強いられた。足を使って動く相手には逃げ道を塞ぐように追い込むなどの工夫が欲しい。世界再挑戦を狙っているが,相当な脱皮が必要だろう。
 健闘した須田だが,一歩及ばず。右ストレート,左フックを武器とする右ボクサーファイターで,足がよく動くことが強味。動きの中から相手の隙を突くようにパンチを出す試合運びが特徴である。フェイントもなかなか巧みなところも見せた。

6回までの採点 嘉陽 須田
主審:浦谷信彰 *** ***
副審:葛城明彦 59 58
副審:ウクリッド・サラサス 58 58
副審:安部和夫 58 59
参考:MAOMIE 58 58


     ×嘉陽:20戦16勝(8KO)2敗2分
     ×須田:13戦8勝(2KO)3敗2分

     放送:フジテレビ739
     解説:川島郭志
     実況:福永一茂

※ 須田が偶然のバッティングで負った傷によって6回途中に試合続行不能となったため,当該の6回を含む採点で勝敗を決する。

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                        2008年6月9日(月)    後楽園ホール
                                8回戦
                   日本ミニマム級3位    T  K O   タイ国ミニマム級(ノーランク)
                ○  金田淳一朗    2回52秒    ペット・ファイシラ ●
                     (白井具志堅) 106 3/4 lbs                 (タイ) 107 3/4 lbs

 立ち上がりから一方的な展開になった。金田が左フック,アッパーでペットを追い込み,コーナーで右ストレートをヒット。ボディへの集中打を受けたペットは弱腰になりクリンチに出た。
 2回,金田がたたみかけるようにラッシュすると,ペットは防戦一方。右フックのカウンターでガクッと動きが鈍る。コーナーに詰めて金田が乱打を浴びせたところでサラサス主審がストップした。

 チャンピオン候補として期待されながらも伸び悩んでいる金田。もっともっと出入りを多くして,変化を持たせることが必要。一方的に打ちまくって勝ったが,今夜のような選手を相手にしていては進歩はしない。壁を破るためには,強豪との対戦で自らを変革するしかない。次の試合ではぜひそういう姿を披露して欲しい。
 300グラムのウェイトオーバーでリングインしたペットは36歳のロートル。腹回りがダブつき,練習不足は明白。最初から逃げ腰でほとんど戦意を見せず醜態を晒した。

     主審:ウクリッド・サラサス,副審:安部和夫&島川威&福地勇治
     ○金田:21戦18勝(12KO)3敗     ●ペット:12戦8勝(1KO)4敗
     放送:フジテレビ739     解説:川島郭志     実況:長坂哲夫

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                         2008年6月12日(木)    日本武道館
                        WBC世界バンタム級タイトルマッチ12回戦
                     チャンピオン     T   K   O   挑戦者(同級7位)
                ○  長谷川穂積    2回2分18秒   クリスチャン・ファッシオ   ●
                       (真正) 117 1/2 lbs                     (ウルグアイ) 117 3/4 lbs

 初回から長谷川が前に出る。遠い距離から左ストレートを伸ばして早くもファッシオを脅かした。
 2回,ファッシオの力量を読んだのか,長谷川の動きにゆとりが感じられる。左ストレートを上下に打ち分けてプレッシャーをかける長谷川。ファッシオが前に出ようとガードが開いた瞬間,長谷川の左ショートストレートのカウンターが見事にアゴを捉える。この一発でファッシオは腰から落ちてダウン(カウント8)。これは再開となったが,長谷川が追撃を見せる。左ストレートでファッシオがのけぞり,試合の焦点はどこでフィニッシュするかに絞られた。再び左ストレートのカウンターで腰が砕けたファッシオ。大きく泳ぎながらロープ伝いに逃れようとするが,長谷川が猛追したところでギブソン主審が試合をストップした。

 長谷川が盤石の試合内容で6度目の防衛に成功した。圧倒的な実力の差を見せつけての堂々たるTKO防衛である。相撲で言えば,一気に押し切った”電車道”。初回の3分間で相手の技量を読み切り,2回には余裕さえ窺えた。左ストレート,右フックのスピード,切れは抜群。『KO防衛を狙う』とのコメントとは裏腹に,チャンスにも攻め急がない冷静さが感じられた。念願の米国進出に期待がかかる。
 ファッシオは右ファイタータイプで,左右フックの連打に威力がある。しかし,今夜は長谷川の動きに追随できず,手も足も出ない完敗となった。

     主審:トビー・ギブソン(米国),副審:アラン・クレブス(米国)&マキシモ・デ・ルカ(米国)&ステファン・ブレア(米国)
     ○長谷川:26戦24勝(8KO)2敗     ●ファッシオ:18戦15勝(10KO)3敗
     放送:G+     解説:ファイティング原田&飯田覚士     実況:鈴木健

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                         2008年6月12日(木)    日本武道館
                      WBA世界スーパーフェザー級タイトルマッチ12回戦
                      チャンピオン     T   K  O   挑戦者(同級7位)
                ○  エドウィン・バレロ   7回1分55秒    嶋田雄大  ●
                       (帝拳) 129 3/4 lbs                     (ヨネクラ) 129 3/4 lbs

 開始早々,右をボディに突きながら左ストレートを上下に打って嶋田を追うバレロ。嶋田はバレロの左ストレートで早くもバランスを崩す。嶋田の右ストレートもヒットするが,バレロはお構いなしに突進を繰り返した。
 4回,嶋田はバレロのプレッシャーに晒されながらも勇敢に右ストレートをカウンターする。
 しかし,5回に入るとバレロの波状攻撃が効いたのか嶋田の動きが鈍った。左ストレートがボディをかすめてスリップダウンを喫する嶋田。これはダウンとされても仕方ない場面だった。6回,バレロの左ストレートでガクンと腰が落ちる嶋田。バレロのプレッシャーがさらにきつくなる。嶋田も勇敢に右ストレートを返すが,バレロの勢いは止められない。
 善戦を見せる嶋田だが,7回に破局を迎えた。ロープを背にした嶋田は左ストレートでぐらついてロープ伝いに逃れようとするが,バレロは嵩にかかって攻め立てる。足の踏ん張りが利かない嶋田は再び左ストレートを受けてロープ際に飛ばされた。ロープを背にした嶋田が右フックを返そうするが,一瞬早くバレロの右フックがアゴに炸裂。この一撃に嶋田はガクンと膝を折ってキャンバスに落ちかかるが,必死に左グラブでロープを掴んでダウンを免れた。しかし,ピネダ主審がストップしていないため,バレロはさらに右アッパーを一振り。これでキャンバスに落ちた嶋田は辛うじて立ち上がったが,カウント途中でピネダ主審が試合をストップした。

 バレロがパワーの差を見せつけた4度目の防衛に成功した。嶋田の右カウンターを許す場面はあったが,最後は力でねじ伏せた。強打はもちろんだが,どんな場合でも相手を下がらせてしまう押しの強さが最大の武器である。ディフェンスの甘さを再三指摘されているが,そこにパンチを打ち込む勇気を殺いでしまうプレッシャーの強さが凄まじい。バレロを攻略するためには下がってしまってはダメで,前に出て潜り込みながら逆に後退させるほどのパワーと勇気が必要だろう。
 日本ボクシング界屈指の技巧派・嶋田は36歳にして初の世界挑戦だったが,バレロのパワーに屈した。右カウンターで出バナを叩くなど善戦を見せたが,単発に終わった。しかし,ここまで節制を続け,怪物バレロに対して果敢に応戦した勇気に脱帽である。

6回までの採点 バレロ 嶋田
主審:ギジェルモ・ペレス・ピネダ(パナマ) *** ***
副審:トム・ミラー(米国) 60 54
副審:ラウル・カイズ・ジュニア(米国) 58 56
副審:デレク・ミルハム(豪州) 59 56
参考:MAOMIE 59 56


     ○バレロ:24戦24勝(24KO)
     ●嶋田:27戦22勝(15KO)4敗1分

     放送:G+
     解説:浜田剛史&セレス小林
     実況:寺島淳司

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                       2008年6月12日(木)    日本武道館
                   東洋太平洋スーパーフェザー級タイトルマッチ12回戦
                     チャンピオン           挑戦者(同級4位)
                ○  内山高志    判 定    阪東ヒーロー   ●
                      (ワタナベ) 129 3/4 lbs             (ファミリーフォーラム) 130 lbs
                      WBC11位

 内山がじりじりと距離を詰め,阪東の左に上から右ストレート,フックをかぶせる。強打を警戒して慎重なスタートを見せた阪東だが,3回に入って左右フックのボディブローで攻めるなど積極的なところを見せた。終了間際,内山が気を抜いてガードが下がった瞬間,阪東の右フックがまともにアゴに決まる。この一発でグラリと腰が砕けた内山はダウン寸前のピンチ。辛うじてゴングに救われたが,あと10秒あったら危ないところだった。
 4回,内山は得意の左アッパーでボディを突き上げて阪東の動きを止めにかかる。6回,意表を突くような右アッパーを見舞う内山。右ストレートからようやく返しの左フックも出たが,思惑通りでないのか自ら首をかしげる場面が見られた。
 これ以降はほぼ内山のペースで試合が進んだ。8回,阪東が左目上をカットしてドクターチェック(内山の有功打による傷)。阪東も尻上がりに調子を上げるが,血が目に入ってやりにくそう。10回,果敢に前に出て打ち合いを挑む阪東だが,内山は右ストレート,アッパーを浴びせる。終了間際,内山の右アッパーがヒット。
 11回,内山がようやくパンチをまとめるが,阪東も右ストレートを打ち返して勇敢なところを見せた。
 12回,内山が右ストレート,左フック,アッパーをまとめれば,阪東はぐらついてピンチを迎えた。しかし,歯を食いしばって打ち返し,フィニッシュは拒否した。

 内山は2度目の防衛に成功。しかし,勇敢な阪東に手を焼き,会心の勝利とはかなり距離があった。単発に終わり,得意のコンビネーションブローが見られなかったことが拙戦の原因。終盤にようやくパンチがまとめて出るようになったが,前半は迷いを見せる場面も見られた。3回にダウン寸前のピンチに陥ったのは,気を抜いたところに食った一発。世界レベルを目指すのであれば,こういう隙を作ることは致命傷につながる。ガードを低くすることによってスムーズにパンチが出る面もあるが,気を抜くことは禁物である。
 気持の強さに定評のある阪東は右ボクサーファイターで豊富なキャリアを誇っている。序盤こそ慎重だったが,尻上がりに調子を上げて強打の内山に一歩も引くことなく食い下がった健闘が光る。

採点結果 内山 阪東
主審:浦谷信彰 *** ***
副審:ウクリッド・サラサス 119 110
副審:山田一公 119 109
副審:熊崎広大 119 110
参考:MAOMIE 119 110


     ○内山:10戦10勝(7KO)
     ●阪東:34戦19勝(8KO)9敗6分

     放送:G+
     解説:飯田覚士&セレス小林
     実況:田中毅

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                     2008年6月15日(日)    名古屋国際会議場
                     東洋太平洋ミニマム級タイトルマッチ12回戦
                     チャンピオン          挑戦者(同級8位)
                ○  和賀寿和    判 定   ファビオ・マルファ  ●
                       (畑中) 105 lbs                (比国) 103 lbs
                      WBC14位

 初回から和賀が鋭い左ジャブを突いてチャンスを窺う。2回,和賀の右フックがマルファのアゴにクリーンヒット。さらに和賀は終盤にも左右フックで攻勢を仕掛ける。3回,ボディブローの応酬となるが,一発KOとなっても不思議ではない絶妙のタイミングで和賀の右フックがアゴに決まる。
 5回,マルファも右フックをヒット。接近戦でのパンチの応酬となるが,マルファはよく見て細かい左右フックを打ち,しぶといところを見せた。
 7・8回,和賀は左ジャブの連打から左右フックで攻勢。マルファもしぶとく接近戦に持ち込んで左右フックを返すが,攻め込まれると横を向いてしまう悪い癖が出た。
 10回,和賀の左ジャブが減るが,2分過ぎには左フックでマルファをぐらつかせてコーナーに詰め,ラッシュを仕掛けた。12回にも右フック一発でマルファをぐらつかせ,一気に攻勢に出る和賀だが,しぶといマルファを倒せぬままにフルラウンドを戦った。

 和賀は3度目の防衛に成功。鋭い左ジャブの連打からつなぐ左右フックの攻勢を得意の攻撃パターンとする右ボクサーファイター。スピードと切れを身上としている。今日は動きそのものは悪くなかったが,老獪で掴みどころがないマルファに手を焼いてフィニッシュを逸した。後半に導火線となる左ジャブが減り,やや単調な攻撃に陥ったことが惜しまれる。相手に正対して正面から打って出る攻撃が目立つ。縦のラインに加えてサイドに回り込んで攻める横のラインが生まれれば,攻防にさらに幅が生まれるだろう。
 マルファは身長の割にリーチに恵まれた右ボクサーファイター。一発の威力はないが,相手の出方をよく見ながら左右フックを連打するしぶとさがある。柔軟な体でノラリクラリと戦うので,相手にとってはやりにくいタイプである。

採点結果 和賀 マルファ
主審:ピニット・プラヤドサブ(タイ) 119 109
副審:エドワルド・リガス(インドネシア) 115 113
副審:堺谷一志 119 109
参考:MAOMIE 119 110

     ○和賀:20戦17勝(6KO)3敗
     ●マルファ:50戦25勝(13KO)21敗4分

     放送:CBC中部日本放送
     解説:飯田覚士
     実況:塩見啓一

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                    2008年6月15日(日)    名古屋国際会議場
                      日本バンタム級タイトルマッチ10回戦
                     チャンピオン          挑戦者(同級2位)
               ○   大場浩平    判 定   児玉卓郎   ●
                    (大一スペースK) 117 3/4 lbs          (岐阜ヨコゼキ) 118 lbs
                    WBA12位,WBC11位

 初回,児玉が左右フックのボディ攻撃から右フック,ストレートでロープに詰めてラッシュを見せる。しかし,2回以降は大場が巧みなフットワークから放つ左ジャブ,フックで児玉をさばく展開に持ち込んだ。
 3回,大場はなおも前進する児玉のボディ,アゴに右アッパーを連発。左フックのカウンターで児玉の出足が止まる。チャンスと見た大場は激しいラッシュを浴びせる。
 4回,大場は左ジャブから巧みにポジションを変えて右ストレートを決める高度なテクニックを見せた。児玉が得意とする接近戦でも上下に打ち分ける大場の右アッパーが冴えた。
 中盤以降も大場の足がよく動く。7回,愚直とも思える前進を続ける児玉に左ジャブ,フック,右アッパーを浴びせる大場。終了間際には右アッパー,ストレートでわずかにぐらつく児玉。
 一方的な試合の焦点は大場がどこでフィニッシュするかに絞られたが,8回に思わぬ波乱が待っていた。動きが鈍った児玉のボディに左右アッパーを集中して一気に勝負に出る大場。しかし,児玉の右フックがアゴに決まり,大きくぐらつく大場。起死回生の一発に息を吹き返した児玉。大きく揺らいでロープを背にした大場に猛然と襲い掛かる。場内は悲鳴にも近い大歓声に包まれた。ダウン寸前の大場は辛うじてゴングに救われた。
 9回,消耗が激しい児玉だが,左右の連打で攻勢。大場は必死に立て直そうとするが,児玉の勢いに押されて防戦に忙しい。
 10回,必死の形相で攻めて出る児玉にタジタジとなる大場だが,終盤は細かいパンチを浴びせて児玉を追い込んだ。

 壮絶でスリリングな試合。稀有の才能を存分に披露した大場に対し,最後まで試合を捨てずに食い下がって一時はあわや逆転KOというところまで追い詰めた児玉の執念も立派。
 初防衛に成功した大場は序盤から多彩な左ジャブ,フックで児玉を翻弄した。8回に児玉の右一発でダウン寸前のピンチを迎えたが,巧みなフットワークとボディワークで相手をコントロールするテクニックでファンを酔わせた。児玉が得意とする接近戦でも右アッパーを上下に打ち分けて児玉を圧倒した。ただし,8回に遭遇したピンチは気を抜いたことが招いた結果に他ならない。自らの天賦の才を過信してはいけない。
 敗れたが,児玉の健闘は見事の一語に尽きる。後退することを頑なに拒否するかのような愚直な突進を続ける右ファイタータイプで右フックに威力がある。粘りがあり,ガッツの権化のような試合ぶりが特徴。圧倒的不利の予想の中,大場を苦しめた根性に脱帽である。

採点結果 大場 児玉
主審:福地勇治 *** ***
副審:堂本康夫 96 95
副審:石川和徳 97 94
副審:坂本相吾 97 95
参考:MAOMIE 97 95


     ○大場:23戦22勝(10KO)1分
     ●児玉:27戦17勝(12KO)6敗4分

     放送:CBC中部日本放送
     解説:飯田覚士
     実況:伊藤敦基

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                      2008年6月16日(月)    後楽園ホール
                              10回戦
                  日本S・バンタム級2位          日本S・バンタム級1位
                ○  木村章司      判 定     瀬藤幹人  ●
                      (花形) 123 1/2 lbs                 (協栄) 123 1/2 lbs

 初回,瀬藤は相打ちの右ストレート,木村は肩越しの右ストレート,左フックからスタート。ともに動きが良く,実力伯仲で緊張感溢れる立ち上がりとなった。
 2回,均衡を破ったのは木村。左フックを受けてバランスを崩した瀬藤は右ストレート,左フックを返すが,これは空を切る。一方の木村は右ストレート,左フックによる先手の攻撃で主導権を握った。
 3回,瀬藤は迷っているところを先に打たれて後手に回る。一方の木村は先手先手の攻めで瀬藤の出バナを叩く理想的な展開に持ち込んだ。
 6回,ようやく瀬藤が先に手を出し,右ストレートをボディに放つ。小刻みなフェイントから右ストレート,左フックで木村を攻める瀬藤。7回,瀬藤の左アッパーがボディに決まるが,終盤には木村も同じパンチをお返し。実力者同士の拮抗した展開が続く。
 木村は9回にバッティングで左目上をカットしてドクターチェックを受けたが,10回,瀬藤の入り際に右ストレートを2発ヒット。瀬藤も必死に応戦するが,終盤には木村が積極的に出て右ストレート,左右アッパーで瀬藤を後退させ,勝利を決定的なものにした。

 トップランカーの意地と意地が激突したような,まさに白熱戦。好カードを実現させた両陣営の英断に拍手を贈りたい。
 世界挑戦を期待されながらも伸び悩み気味だった木村だが,難敵・瀬藤を破ったことで吹っ切れるキッカケになるだろう。気の強さに定評のある瀬藤に打ち負けず,ワンツー,左フック,右アッパーで出バナを叩いたことで流れを引き寄せた。気持ちが引けなかったことが勝因。攻撃力にやや難があるが,スピードとテクニックには一流のものがある。30歳という年齢だが,まだまだ十分に可能性がある。ここ1年ほどの取り組み方が最大の分岐点になるはず。
 5年間負けなしの16連勝という快進撃でトップコンテンダーの地位まで上り詰めた瀬藤だが,タイトル挑戦目前に痛恨の黒星である。迷いが見られたところを先に打たれてポイントを失ったことが敗因。いつものような思い切りの良さがあれば別の展開になっていたはず。中盤から先手を取って激しい追い上げを見せたが,木村の冷静なボクシングに一歩及ばなかった。

採点結果 木村 瀬藤
主審:浅尾和信 *** ***
副審:浦谷信彰 98 95
副審:館秀男 98 95
副審:熊崎広大 97 96
参考:MAOMIE (68) (66)


     ○木村:25戦21勝(7KO)2敗2分
     ●瀬藤:34戦26勝(13KO)7敗1分

     放送:TBS
     解説:佐藤修&坂田健史
     実況:土井敏之

※ 第1・2・3・6・7・9・10ラウンドのみを放送(MAOMIEの採点は第4・5・8ラウンドを除く集計結果です)。

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                       2008年6月21日(土)    後楽園ホール
                     東洋太平洋ウェルター級タイトルマッチ12回戦
                     チャンピオン             挑戦者(同級9位)
               ○   佐々木基樹    判 定   ダルシム・ナンガラ   ●
                       (帝拳) 145 1/2 lbs              (インドネシア) 145 1/2 lbs
                       WBC14位

 積極的に打って出るナンガラに対して慎重な立ち上がりを見せた佐々木だが,2回中盤,相打ちの右ストレートでぐらつかせる。4回にも出バナに佐々木の右フックが決まる。佐々木は一瞬足をふらつかせたナンガラを左右フックで激しく追い上げた。
 中盤以降の佐々木は動きながらチャンスを窺い,隙を突くように左右フックから右ストレートを浴びせるうまいボクシングでリードを広げた。手数も増して,危なげない試合ぶり。
 6回,佐々木の左フックのボディブローが効果的。さらに左アッパー,右ストレートに次ぐ左右フックの連打を浴びせる佐々木。ボディ攻撃が効いたか,ナンガラの動きが徐々に鈍くなる。
 9・10回,要所にまとめる佐々木の連打が冴えた。12回にも右ストレート,左フックでナンガラをぐらつかせて攻勢に出る佐々木。タフなナンガラを倒すには至らなかったが,ほぼワンサイドで圧倒したまま終了ゴングを聞いた。

 佐々木は初防衛に成功。フィニッシュできなかった点に不満は残るが,随所にうまさを見せた。足がよく動いて手数も出ており,まずまずの試合内容だろう。出方をよく見て,相手の隙を突くように上下に打ち分けるコンビネーションブローが目立った。ベテランらしく頭脳的でクレバーな試合運びが光る。
 ナンガラは右ファイタータイプ。やや変則的な動きで前に出ながら,旺盛な手数で積極的な攻撃を見せる。左右フックを武器としている。パンチ力はないが,非常に打たれ強いことが特徴。

採点結果 佐々木 ナンガラ
主審:ピニット・プラヤドサブ(タイ) 119 110
副審:マフムッド・ジュヌス(インドネシア) 118 110
副審:安部和夫 120 110
参考:MAOMIE 119 110

     ○佐々木:38戦30勝(19KO)7敗1分
     ●ナンガラ:27戦14勝(9KO)10敗3分

     放送:G+
     解説:葛西裕一
     実況:中野謙吾

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                        2008年6月21日(土)    後楽園ホール
                                8回戦
                   日本ライト級2位    T   K   O    インドネシア ライト級7位
                ○  三垣龍次     3回1分40秒    ロッキー・アラップアラップ  ●
                       (MT) 136 1/2 lbs                       (インドネシア) 136 1/4 lbs

 ワイルドな左右フックを振るアラップアラップに対し,三垣は鋭い左ジャブ,ストレートから切れ味十分の右ストレートを飛ばす。タイミングの良い左ジャブで,早くもアラップアラップの腰が落ちる。
 2回,右を空振りしてバランスを崩したところに軽い左フックを受けたアラップアラップはキャンバスにグラブをついてダウンを取られる。相手の力量を読んだ三垣は呑んでかかり,攻勢に出た。右アッパーでぐらつくアラップアラップ。
 3回,呆気なく幕が下りた。左ジャブ,ワンツー,ボディへの左アッパーでプレッシャーを強める三垣。防戦に手一杯のアラップアラップ。赤コーナー付近でワンツーが決まったところでマーチン主審が試合をストップした。

 アマ出身の強打者・三垣が格下相手に圧勝を見せた。相手を呑んでかかり,まさに独壇場である。鋭い左ジャブ,ストレート,ワンツー,ボディへの左アッパーなどを武器とする基本に忠実な試合運びを身上としている。無駄な動きがなく,スタミナの消耗を抑えた”省エネ”ボクシングができることが強味。一発の破壊力があり,非常に楽しみな存在である。ただし,ガードの低さは要注意。タイトルを狙える位置まで上がっているが,ディフェンスの強化が課題となる。不用意な被弾をしないようにすることが重要である。
 アラップアラップは身長の割に手足が長く,ベタ足からワイルドな左右フックを振る。しかし,バランスが非常に悪いことが欠点。三垣とは実力で大きな開きがあった。

     主審:ビニー・マーチン,副審:浦谷信彰&土屋末広&杉山利夫
     ○三垣:12戦11勝(8KO)1敗     ●アラップアラップ:23戦17勝(4KO)6敗
     放送:G+     解説:葛西裕一     実況:上重聡

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