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試合日 | 試合 | 結果 | |
1 | 2008.03.01 | WBA世界ミニマム級 タイトルマッチ12回戦 |
新井田 豊 KO6R ホセ・ルイス・バレラ |
2 | 2008.03.08 | WBC世界フライ級 タイトルマッチ12回戦 |
内藤大助 引き分け ポンサクレック・ウォンジョンカム |
3 | 2008.03.09 | 東洋太平洋ミニマム級 タイトルマッチ12回戦 |
和賀寿和 TKO9R ヨードーイ・シッスーイ |
4 | 2008.03.15 | 10回戦 | 長嶋建吾 判定 ジムレックス・ハカ |
5 | 2008.03.15 | 日本ライト級 王座決定10回戦 |
石井一太郎 TKO2R 中森 宏 |
6 | 2008.03.18 | 10回戦 | クレイジー・キム KO2R ビトリ・ナタワケ |
7 | 2008.03.20 | 10回戦 | 戎岡淳一 TKO4R トンタイレック・ポーウォラシン |
8 | 2008.03.20 | 10回戦 | セーンヒラン・シンワンチャー 引き分け 武本在樹 |
9 | 2008.03.22 | 10回戦 | 亀田興毅 判定 レクソン・フローレス |
10 | 2008.03.29 | WBA世界フライ級 タイトルマッチ12回戦 |
坂田健史 判定 山口真吾 |
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2008年3月1日(土) 後楽園ホール
WBA世界ミニマム級タイトルマッチ12回戦
チャンピオン K O 挑戦者(同級13位)
○ 新井田豊 6回2分16秒 ホセ・ルイス・バレラ ●
(横浜光) 105 lbs (ベネズエラ) 104
3/4 lbs
気力充実の新井田がこれ以上ないと思われる素晴らしい滑り出しを見せた。1・2回,絶妙なスピードと切れを見せて左ジャブ,フック,アッパーを繰り出し,どんどんプレッシャーをかける。
3回,新井田が早くも見せ場を作った。左フック,アッパー,右クロスの速攻にタジタジのバレラ。右ストレートをボディに放つバレラだが,新井田はそれをかわして飛び込みざまにすぐ左フックを切り返す。これがアゴに決まり,バレラは腰から落ちてダウンを喫した。バレラは新井田の攻勢に晒されて防戦に忙しい。
4回,新井田は左フックから強烈な右ストレートをクリーンヒット。さらに右クロスを決めてバレラを圧倒する。接近戦で速い左フック,アッパーをボディに連発する新井田。
6回,新井田が鮮やかに試合を決めた。素早く距離を詰めて左右アッパーのボディブローでプレッシャーをかける新井田。完全に守勢に回ったバレラは強烈な左アッパーで脇腹を抉られ,露骨にイヤな表情を見せてクリンチに逃れる。新井田はこれを見逃さず,左右フックをボディに集中してバレラに襲いかかる。この速攻にバレラはたまらずロープ際で崩れるように沈み,そのままカウントアウトされた。バレラがしばらく立ち上がれないほどの強烈なダウンシーンだった。
新井田が念願のKO勝利で7度目の防衛を果たした。気力・体力が充実し,見事な試合内容である。おそらくここまで27戦のキャリアではベストファイトだろう。立ち上がりから左ジャブ,フック,アッパーが冴え,常に先手でプレッシャーをかけ続けたことが会心のKO勝利を生んだ。気迫に満ちており,まさに横綱相撲である。特に踏み込んで放つ左アッパーのボディブローが強烈。今までは不本意な試合内容が続いたが,それは待ちのボクシングになっていたからである。自分から積極的に試合を作る姿勢を保てば,さらに飛躍が期待できる。
バレラは右ボクサーファイターで,アマ時代にシドニー五輪出場の実績を持つ。右ストレート,左右フックを得意としている。中に入って打ち合いたかったところだが,新井田の早い仕掛け,強烈なプレッシャーの前に防戦するのが精いっぱい。良いところを出せぬままに完敗となった。
5回までの採点 | 新井田 | バレラ |
主審:ラウル・カイズ(米国) | *** | *** |
副審:デレク・ミルハム(豪州) | 49 | 45 |
副審:柳完洙(韓国) | 49 | 45 |
副審:テッド・ギムザ(米国) | 50 | 44 |
参考:MAOMIE | 50 | 44 |
○新井田:27戦23勝(9KO)1敗3分
●バレラ:20戦15勝(7KO)4敗1無効試合
放送:G+
解説:ファイティング原田&浜田剛史
実況:寺島淳司
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2008年3月8日(土) 両国国技館
WBC世界フライ級タイトルマッチ12回戦
チャンピオン 挑戦者(同級1位)
○ 内藤大助 判 定 ポンサクレック・ウォンジョンカム ●
(宮田) 112 lbs (タイ) 112 lbs
序盤はポンサクレックのペースで進んだ。初回からスムーズな左ストレートを再三ヒットして好調な立ち上がりを見せる。内藤は2回に変則的な動きから左フック,右ストレートを決めたが,3回はポンサクレックの右フックをカウンターされた。ポンサクレックは4回にも力みを排した左ストレート,右フックで内藤をリード。
しかし,王者になって自信を深めた内藤が中盤から徐々に主導権を握った。5回,右フックが決まり,バランスを崩すポンサクレック。6回以降の内藤は上体を振りながら左でタイミングを取り,ボディを狙うと見せかけて顔面に右フックを飛ばすなどの意表を突く攻撃を見せる。
9回,場内に公表された途中採点でリードされていることを知ったポンサクレックが焦り気味に攻勢を強める。ポンサクレックは左ストレートから接近戦に持ち込み,下から得意の右アッパーを狙い打ち。内藤はこれに左右フックから右ストレートで応じる。右ストレートでバランスを崩すポンサクレック。
10回,内藤の動きがさらに良くなる。終了間際には右フックが鮮やかにポンサクレックのアゴを捉えた。
12回,逆転を狙って攻めに出るポンサクレック。左ストレート,右フック,アッパーで迫るが,内藤もよく動いて決定打を許さないまま終了ゴングを聞いた。
三者三様のドローながら,内藤が2度目の防衛に成功した。スムーズなコンビネーションブローに苦しむ場面はあったが,中盤から足の動きと上体の振りを生かした攻撃で主導権を握った。フェイントからの右フック,ストレートが効果的。宿敵ポンサクレックとはこれで4戦1勝2敗1分となった。ドローとはいえ,ポンサクレックの挑戦を退けたことは大きな自信につながるはず。軽量級で33歳というのは高齢の部類だが,まだまだ伸びしろがある。
返り咲きに失敗したポンサクレックだが,相変わらずのうまさを見せた。力みのないコンビネーションブローはさすが。左ストレート,右フックや接近して下から突き上げる右アッパーに見るべきものがあった。長いキャリアで培ったテクニックは見事。ただし,内藤に動かれると追随できない場面があり,全盛時と比べればさすがに衰えは隠せなかった。
採点結果 | 内藤 | ポンサクレック |
主審:エクトル・アフ(パナマ) | *** | *** |
副審:キム・ジェボン(韓国) | 114 | 115 |
副審:アレハンドロ・ロチン(メキシコ) | 115 | 113 |
副審:ヒューバト・ミン(米国) | 114 | 114 |
参考:MAOMIE | 116 | 112 |
○内藤:37戦32勝(20KO)2敗3分
●ポンサクレック:71戦67勝(35KO)3敗1分
放送:TBS
解説:鬼塚勝也&佐藤修
実況:土井敏之
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2008年3月9日(日) 名古屋国際会議場
東洋太平洋ミニマム級タイトルマッチ12回戦
チャンピオン T K O 挑戦者(同級12位)
○ 和賀寿和 9回2分36秒 ヨードーイ・シッスーイ ●
(畑中) 104 3/4 lbs (タイ) 103
1/2 lbs
じっくり見て立ち上がる和賀だが,中盤から早くも右ストレートに次ぐ左アッパーのボディブローで攻め込んだ。終了間際にヨードーイが放った右ストレートは浅かったものの,危ないタイミングだった。
2回以降は和賀の鋭い左ジャブ,ストレートが冴える。4回,和賀の右ストレートでのけぞり,一瞬ひるんだヨードーイ。和賀は右ストレート,左右フックで攻勢に出る。
中盤の和賀の動きには余裕が見られた。5回,打ち下ろしのワンツーでヨードーイをぐらつかせ,コーナーで連打を浴びせる。6回には打ち終わりを突いて左右フック,右ストレートを浴びせて圧倒した。
7回,和賀は鋭い左ジャブ,ストレートを多用し,ヨードーイを寄せつけない。左ジャブからの右アッパーが決まり,のけぞるヨードーイ。
9回,和賀が粘るヨードーイを集中打で仕留めた。左ジャブで基本に忠実に攻める和賀は打ち下ろしの右ストレートを浴びせる。タフなヨードーイも左右アッパーのボディブローで動きが鈍り,俄かに消極的になった。和賀がラッシュし,戦意を失ったヨードーイを主審が救って試合をストップした。
和賀が2度目の防衛に成功。鋭い左ジャブ,ストレートが冴え,会心のTKO防衛である。常に左から組み立てる基本に忠実な試合運びをキープしたことが好結果を生んだ。スピード,切れ,踏み込みともに十分。打ち下ろしのワンツー,ロングレンジからボディへの右フック,接近戦での右アッパーなど,パンチのバリエーションも多彩。キャリアを積めば世界挑戦も期待できるだろう。ただし課題も見られた。左ジャブを打つときに右ガードが開く欠点がある。ここにパンチを合わされると危険。また左フックを打つときのナックルの返しが甘いことが気になる。鋭い右ストレートを持っているので,フォローの左フックに威力が欲しい。出入りを多用したボクシングができれば,攻撃力が格段にアップするはず。
ヨードーイは右ストレート,フックに一発がある右ファイタータイプ。短躯ながらタフで破壊力があり,怖さのある相手である。しかし,和賀の左ジャブ,ストレートの前に入り込めず,連打を浴びる場面が目立った。
8回までの採点 | 和賀 | ヨードーイ |
主審:ジーン・デル・ビアンコ(比国) | 80 | 72 |
副審:ピニット・プラヤドサブ(タイ) | 80 | 72 |
副審:堂本康夫 | 80 | 72 |
参考:MAOMIE | 80 | 72 |
○和賀:19戦16勝(6KO)3敗
●ヨードーイ:10戦5勝(5KO)5敗
放送:CBC中部日本放送
解説:飯田覚士
実況:高田寛之
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2008年3月15日(土) 後楽園ホール
10回戦
WBA世界ライト級9位 比国S・フェザー級1位
○ 長嶋建吾 判 定 ジムレックス・ハカ ●
(エイティーン古河) 134 lbs (比国) 133 3/4 lbs
サウスポー同士の一戦。好調な立ち上がりを見せた長嶋だが,2回に不覚のダウンを喫した。開始早々,ガードが下がったところにタイミングの良い右フックをアゴに受けた長嶋は腰からキャンバスに落ちた。ハカは荒々しく攻め,左アッパーから左ストレートを浴びせて長嶋を脅かす。
3・4回は長嶋がリズムを取りながら左フックでボディを攻めるなど立て直す。しかし,5回には無理な体勢から左ストレートを伸ばしたところに右フックのカウンターを顔面に受けてぐらついた。ハカは左アッパーから右フックをヒット。出バナを叩かれる場面が目立つ長嶋。
終盤はスピードで上回る長嶋がハカを制した。8回,左ストレートをクリーンヒットする長嶋。ここでもハカの右フックをもらうが,すぐに長嶋の左ストレートがヒットする。9回,長嶋の左ストレートでバランスを崩すハカ。荒々しく打ち返すハカだが,長嶋の再び左が決まる。コーナーに詰めて右フックを浴びせる長嶋。
世界再挑戦を狙う長嶋がダウンを挽回して強豪ハカを破った。今夜は右ジャブ,フックが少なく,ハカの思い切った突進を許していたことが苦戦の原因。テクニシャンの長嶋にしては珍しいほど,バランスを崩して無理な体勢からパンチを放つ場面が見られた。序盤のビハインドを徐々に挽回したことはさすがだが,不安定感は否めない。
ハカはサウスポーのファイタータイプ。荒っぽい左右フックを振って思い切り飛び込むようにパンチを放つ。打たれると必ず打ち返しており,しぶとい一面を見せた。
採点結果 | 長嶋 | ハカ |
主審:ビニー・マーチン | *** | *** |
副審:山田一公 | 95 | 94 |
副審:葛城明彦 | 97 | 94 |
副審:安部和夫 | 96 | 94 |
参考:MAOMIE | 97 | 93 |
○長嶋:38戦33勝(15KO)3敗2分
●ハカ:35戦28勝(13KO)4敗3分
放送:G+
解説:葛西裕一
実況:田中毅
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2008年3月15日(土) 後楽園ホール
日本ライト級王座決定10回戦
日本ライト級2位 T K O 日本ライト級1位
○ 石井一太郎 2回46秒 中森 宏 ●
(横浜光) 135 lbs (平仲BS) 134
1/2 lbs
強打自慢の両者とあって,開始早々から激しい主導権争いとなった。距離を詰めて左フックをボディに打つ石井。距離を取って戦いたい中森は広いスタンスから左ジャブ,ストレートを放つ。石井はロープに詰めて左右フックをボディに。
2回,試合は呆気なく決まった。激しい撃ち合いになるが,右アッパーの打ち終わりに左フックを返された中森は足を引きつらせて腰からキャンバスに落ちた。このダウンは辛うじて続行となったが,中森の目はウツロで足元がおぼつかない。チャンスと見た石井は一気に仕掛ける。中森はこのピンチをクリンチで逃れようとするが,石井はそれを許さない。振りほどくように左フック,アッパーを連発すれば,中森は再び膝からキャンバスに落ちた。ここまでと見た土屋主審が試合をストップした。
長嶋建吾(エイティーン古河)の返上で空位となった王座を争う試合。強打者同士のスリリングな展開となったが,石井が2度目の挑戦でタイトルを獲得した。
石井は高いKO率を誇るハードパンチャー。右ファイタータイプで左フック,右ストレートの一発強打に加え,チャンスにショートブローの連打が出ることが強味になっている。接近して放つボディショットも強力な武器のひとつ。大振りせず,ショートで攻めるように心掛けることが大事。
初挑戦の中森はリーチに恵まれた右ボクサーファイター。非常に好戦的で,広いスタンスから左ジャブを飛ばし,チャンスを掴むと左フック,右ストレートを放つ。ダイナミックなボクシングを売り物にしているが,振りが大きくてバランスを崩す場面が多い。2回に喫した最初のダウンも無理な体勢から右アッパーを打ってアゴのガードが空いたところにカウンターの左フックをもらったもの。ディフェンスの強化が最大の課題となる。
主審:土屋末広,副審:葛城明彦&安部和夫&杉山利夫
○石井:22戦19勝(16KO)2敗1分 ●中森:26戦23勝(14KO)2敗1分
放送:G+ 解説:葛西裕一 実況:高橋雄一
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2008年3月18日(火) 後楽園ホール
10回戦
東洋太平洋L・ヘビー級チャンピオン K O フィジー L・ヘビー級(ノーランク)
○ クレイジー・キム 2回2分30秒 ビトリ・ナタワケ ●
(ヨネクラ) 173 1/4 lbs (フィジー) 174
1/4 lbs
荒々しい左右フックで迫るナタワケだが,キムは落ち着いて左アッパーをボディに突き上げる。右を振って入ろうとしたナタワケのアゴにキムの右ストレートが決まる。このカウンター一発でナタワケは前のめりに落ちてダウン。立ち上がったナタワケはクリンチで必死にピンチを切り抜けた。
2回,キムの左フックで腰が砕けたナタワケは一気に消極的になる。接近したキムが右から左のフックを浴びせれば,ナタワケは腰から落ちてダウン。立ち上がったが,キムのプレッシャーに防戦一方のナタワケ。左フックに次ぐ右ストレートでぐらついてロープ際で今にも倒れそうになったナタワケはキムの腰にしがみついてピンチを凌ごうとする。ここでキムが飛び込んで左アッパーを鳩尾に突き刺せば,ナタワケはうつ伏せに倒れこみ,そのままカウントアウトされた。
キムが貫録の圧勝を披露した。荒々しく攻めるナタワケに対し,慌てずボディへの左アッパーを中心に押し返した。もはや東洋には敵なしの状態。世界クラスとの対戦が待たれる。
ナタワケは筋骨隆々の右ファイタータイプ。左右フックを得意としているが,腰高で上体が起きてしまい,バランスが良くない。初回こそ積極的に攻めたが,キムのプレッシャーに押されっぱなしだった。
主審:浦谷信彰,副審:熊崎広大&島川威&ウクリッド・サラサス
○キム:32戦28勝(24KO)4敗 ●ナタワケ:9戦5勝(3KO)4敗
放送:スカイA 解説:今岡武雄&本間暁 実況:河路直樹
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2008年3月20日(木) 神戸サンボーホール
10回戦
日本L・フライ級7位 T K O タイ国ミニマム級5位
○ 戎岡淳一 4回2分38秒 トンタイレック・ポーウォラシン ●
(明石) 110 1/4 lbs (タイ) 108
lbs
開始ゴングと同時に向かい合った瞬間,明白な対格差が見られた。身長・リーチで大きく上回る戎岡は軽快な動きから矢継ぎ早の左ジャブ,ワンツー,左右アッパーを力みなく繰り出して主導権を握った。
3回に入るとトンタイレックは鼻から出血して苦しい展開になった。戎岡は左アッパーのボディブローから右アッパーを浴びせて攻勢。終盤,右ストレートを受けたトンタイレックはロープに詰まる。ボディブローが効いたトンタイレックの動きは急激に鈍くなる。
4回,戎岡が勝負を決めにかかる。ワンツー,左右アッパーのボディブローで試合はワンサイドゲームになった。鼻からの出血とボディ攻撃でますます苦しくなるトンタイレック。右ストレートを受けてトンタイレックの上半身がロープの間からはみ出したところで浦谷主審がストップした。
戎岡が対格差とスピードを見せつけて圧勝。軽快なフットワークに乗せた左右のコンビネーションブローが冴えた。下位に低迷している選手ではなく,日本タイトルにも手が届く実力を備えている。取りこぼしをせぬように勝ち上がることが求められる。
トンタイレックは小兵の右ファイタータイプ。思い切った左右フックを振り回すが,戎岡の動きに翻弄され,一方的に打たれて敗退した。
主審:浦谷信彰,副審:坂本相悟&半田隆基&野田昌宏
○戎岡:30戦17勝(7KO)10敗3分 ●トンタイレック:16戦8勝(4KO)8敗
放送:スカイA 解説:藤原俊志 実況:行部宗一
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2008年3月20日(木) 神戸サンボーホール
10回戦
WBC世界S・バンタム級10位 日本フェザー級4位
× セーンヒラン・シンワンチャー 引き分け 武本在樹 ×
(タイ) 125 1/4 lbs (千里馬神戸) 126
lbs
スピーディで切れのあるパンチの交換に終始し,見応え充分の好ファイトとなった。
初回,左ジャブから右ストレートにつなぐ武本だが,セーンヒランはしっかりブロックし,逆にガードの隙間から小さい右アッパーをヒットする。
2回,今度は武本が逆襲を見せる。スピードのあるワンツーの応酬となったが,武本のワンツーに思わず後退してキャンバスにグラブをついたセーヒランはダウンを取られた。
しかし,3回からはセーンヒランが世界ランカーの貫禄を見せる。鋭い左ジャブを多用しながら前に出るセーンヒラン。武本は後手に回って苦戦を強いられた。
4回,武本もパンチをまとめるが,セーンヒランは左ジャブから右ストレートをボディにヒット。さらにロープに詰め,右ストレートを決める。
中盤の武本はセーンヒランに先手を取られて手数が減り,精神的にも追い込まれていった。7回,打ち終わりに両足が揃う瞬間を突かれて鋭い右ストレートを浴びる武本。
8回,セーヒランの表情にゆとりが見られる。セーンヒランの左アッパーのボディブロー,ワンツーに苦戦が続く武本。
9・10回,武本はようやく先に手を出して優位に立ったが,これがなければ判定負けになっていただろう。
試合内容そのものは見応えがあったが,三者三様のドローはセーンヒランには気の毒な結果である。
セーンヒラン(166cm)は右ボクサーファイターで。バランスが良く,パンチも多彩で世界ランカーに相応しい実力を披露した。鋭い左ジャブ,ワンツーを軸に右アッパー,左フックを織り交ぜた幅広い攻撃力がある。常に左ジャブを多用してプレッシャーをかけるアグレッシブなボクシングが身上。
武本は2回にダウンを奪ったものの,その後は先に攻められて後手に回り,苦しい展開が続いた。終盤に見せた積極的な攻撃を序盤から見せるべきだった。
採点結果 | セーンヒラン | 武本 |
主審:坂本相悟 | *** | *** |
副審:野田昌宏 | 96 | 93 |
副審:宮崎久利 | 93 | 96 |
副審:浦谷信彰 | 96 | 96 |
参考:MAOMIE | 96 | 93 |
×セーンヒラン:23戦21勝(15KO)1敗1分
×武本:31戦22勝(12KO)7敗2分
放送:スカイA
解説:藤原俊志
実況:行部宗一
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2008年3月22日(土) 幕張メッセ
10回戦
WBA世界フライ級1位 WBA世界L・フライ級13位
○ 亀田興毅 判 定 レクソン・フローレス ●
(協栄) 112 lbs (比国) 111 1/2 lbs
WBC3位
初回,亀田はフローレスの左サイドに素早く回り込んで小さな左フックをヒット。このパンチでフローレスは腰から落ちてダウンを取られた。コーナーに追い詰めてパンチをまとめる亀田だが,力が入り過ぎてフォローを欠いた。
2回,亀田は右アッパーに次ぐ左ストレートでフローレスをロープに詰める。3回にはフェイントから左ストレートをヒットする亀田。フローレスも右ストレートを返すが,いわゆるチョッピングライトになっている。
4回,亀田はクリンチからの離れ際に気を抜いた瞬間に右フックをもらう。
7回,左ストレート,右フックで追っていく亀田だが,右ジャブを忘れ,逆にフローレスの左ジャブを食う。フローレスは下がりながらワンツー,左右フックを返して応戦する。
終盤の亀田はクラウチングスタイルから強引に攻め込むが,KOに対する意識過剰で力みが目立ち,効果的なパンチが見られなかった。
放送席の異常な盛り上げ方とは裏腹に,一向に盛り上がらない凡戦。8ヶ月ぶりの復帰となった亀田だが,倒そうとする意識が先に出てしまったことが拙戦の原因。接近してから打とうとする欠点を露呈した。あれでは世界上位のうまい相手にかかれば読まれてしまうだろう。右ジャブを忘れ,強引な攻撃で一本調子のボクシングに終始した。
フローレスは右ストレート,左右フックを得意とする右ボクサーファイター。下がりながら果敢に打ち返すしぶとい面がある。頭をつけたり,巧みに打ち気を逸らすなど老獪な一面を見せた。
採点結果 | 亀田 | フローレス |
主審:福地勇治 | *** | *** |
副審:安部和夫 | 100 | 91 |
副審:浅尾和信 | 100 | 90 |
副審:島川威 | 100 | 91 |
参考:MAOMIE | 100 | 92 |
○亀田:17戦17勝(11KO)
●フローレス:27戦19勝(9KO)4敗4分
放送:TBS
解説:鬼塚勝也&佐藤修
実況:土井敏之
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2008年3月29日(土) 幕張メッセ
WBA世界フライ級タイトルマッチ12回戦
チャンピオン 挑戦者(同級7位)
○ 坂田健史 判 定 山口真吾 ●
(協栄) 112 lbs (渡嘉敷) 111 3/4 lbs
ともに好調な滑り出しを見せたが,主導権を握ったのは山口。目まぐるしくトリッキーに動きながら左ジャブ,上下の空いているところに左右フック,アッパーをまとめる老獪なボクシングで1・2回をリードした。
3回,山口のパンチが火を噴く。坂田の左ジャブを外し,すかさず肩越しに打ち込んだ右ストレート。このクロス気味のカウンターをアゴに受けた坂田はゆっくり膝から落ちてダウンを喫した。これは見た目以上に効いていた。山口は左右フック,アッパーで攻勢に出る。
しかし,4回以降は坂田が吹っ切れたような反撃を見せた。5回,坂田はバッティングで右目上をカットするが,手数を出しながら接近してプレッシャーをかける。山口は徐々に後手に回った。中盤は激しいパンチの交換が続いたが,体格差を全面に押し出した坂田の手数がさらに増す。
9回,ガードを固めて右フックのカウンターを浴びせる山口。構わず前に出る坂田は接近戦で左右フック,アッパーを連打。
10回,坂田の右目上の傷が悪化してドクターチェックのために一時中断するが,これは続行OKとの判断が下った。山口は左アッパーをヒット。坂田はくっついて左右アッパーのボディブローから上に左右フックを返す。
終盤にも激しい打ち合いが続く。坂田の連打に対し,山口も一歩も譲らない。
壮絶な打ち合いでともに持ち味を出した好ファイトとなった。坂田は3度目の防衛に成功。スロースターター気味でエンジンのかかりが良くない弱点を突かれて序盤にダウンを喫したが,4回以降は体格差を生かしたプレッシャーで挽回した。旺盛なスタミナと豊富な手数で前に出たことが勝因。
山口は予想以上の善戦を見せた。よく足を使い,左ジャブから離れての右フック,接近して左右フック,アッパーを矢継ぎ早に連打する老獪なボクシングで完全に主導権を握った。動きながら坂田のプレッシャーをかわして連打をまとめる序盤の試合運びは作戦通りだっただろう。3回にダウンを奪った右ストレートは抜群のタイミングであり,坂田のダメージは見た目以上に大きかった。ここでもう少し激しいプレッシャーをかけていればと惜しまれる。敗れたが,ベテランの味を存分に出した見事な試合内容である。
採点結果 | 坂田 | 山口 |
主審:島川威 | *** | *** |
副審:浅尾和信 | 116 | 112 |
副審:原田武夫 | 115 | 113 |
副審:マイケル・リー(韓国) | 116 | 112 |
参考:MAOMIE | 116 | 113 |
○坂田:38戦32勝(15KO)4敗2分
●山口:29戦22勝(8KO)5敗2分
放送:TBS
解説:鬼塚勝也&佐藤修 ゲスト:内藤大助
実況:新夕悦男
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