熱戦譜〜2008年1月の試合から


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試合日 試合 結果
2008.01.05  日本スーパーフェザー級
 タイトルマッチ10回戦
 小堀佑介  判定  松崎博保
2008.01.05 10回戦  ジョジョ・バルドン  KO1R  奈須勇樹
2008.01.05 10回戦  高山勝成  TKO9R  ガオフラチャーン・シットサイトーン
2008.01.05 10回戦  スリヤー・クロンパジョン  判定  小松則幸
2008.01.10  WBC世界バンタム級
 タイトルマッチ12回戦
 長谷川穂積  判定  シモーネ・マルドロット
2008.01.10  WBA世界バンタム級
 タイトルマッチ12回戦
 ウラジミール・シドレンコ  判定  池原信遂
2008.01.14  WBA世界スーパーフライ級
 タイトルマッチ12回戦
 アレクサンデル・ムニョス  判定  川嶋勝重
2008.01.14 10回戦  ローマン・ゴンザレス  判定  松本博志
2008.01.14 10回戦  細野 悟  TKO5R  真鍋圭太
10 2008.01.14 10回戦  池原繁尊  判定  黒田雅之
11 2008.01.19  日本スーパーライト級
 タイトルマッチ10回戦
 木村登勇  TKO7R  松本憲亮
12 2008.01.19 8回戦  伊藤博文  TKO8R  篠崎生思郎

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                      2008年1月5日(土)    後楽園ホール
                     日本スーパーフェザー級タイトルマッチ10回戦
                     チャンピオン          挑戦者(同級1位)
                ○  小堀佑介     判 定   松崎博保  ●
                     (角海老宝石) 129 3/4 lbs            (協栄) 130 lbs
                    WBA7位,WBC7位

 じりじり前に出て右ストレートをボディに放つ小堀に対し,松崎はアップライトスタイルから左ジャブを突いて距離を取る。
 2回,小堀は右ストレートからオーバーハンドの右クロス。さらに左アッパーを下から上にダブって見せる。終盤右クロスを決めてぐらつかせた小堀は,松崎をコーナーに追い込んで攻勢に出る。
 17連勝の勢いに乗る松崎も負けてはいない。3回,右ストレート,左フックを返して反撃に出た。4回には左アッパーのボディブローから右フックをヒットして小堀を脅かす。
 5回,小堀は左フックから攻勢に出る。右ストレートでぐらついた松崎を激しく攻め立てた小堀は終了間際にも左フック,右ストレートでぐらつかせて攻勢を仕掛けた。
 6回は松崎。踏み込んで放つ左ジャブから右ストレートでコンスタントに攻め続けて小堀を苦しめた。思うように体が動かない小堀は松崎の細かいパンチに苦戦し,終盤にはロープを背負う場面が見られた。
 7回以降,小堀はときおり松崎をぐらつかせたが,フォローを欠いた。

 小堀は6度目の防衛に成功。最後は地力の差を見せたが,松崎のうまさに苦戦し,不本意な試合内容となった。体の切れが十分でなかったために,チャンスに見せる怒涛のようなラッシュでもいつものような正確さを欠いた。苦戦の原因はKOを意識して先手が出なくなり,逆に松崎に先に手を出されたことにある。世界をねらう位置まで達しており,今後一層期待が高まるが,今夜のようにKOを意識し過ぎてはいけない。あくまで持ち味のスピードと手数を前面に出すべきだろう。
 初挑戦の松崎は右ボクサーファイター。コンスタントに左ジャブが出るのが長所で,これに続く右ストレート,左フックを武器としている。攻め倦む小堀に対して先手で攻めたことが善戦につながった。何よりも心技体に充実している小堀の強打に臆することなく,隋所に見せ場を作ったことは称賛に価する。

採点結果 小堀 松崎
主審:浦谷信彰 *** ***
副審:ウクリッド・サラサス 98 93
副審:安部和夫 97 96
副審:浅尾和信 96 95
参考:MAOMIE 97 94


     ○小堀:25戦22勝(11KO)2敗1分
     ●松崎:19戦17勝(8KO)2敗

     放送:G+
     解説:ファイティング原田&浜田剛史&セレス小林
     実況:田中毅

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                        2008年1月5日(土)    後楽園ホール
                                 10回戦
                  東洋太平洋フライ級1位   K      O   日本フライ級(ノーランク)
               ○  ジョジョ・バルドン    1回2分08秒     奈須勇樹   ●
                      (比国) 113 1/4 lbs                         (角海老宝石) 114 lbs

 開始ゴングと同時に軽快な動きを見せる奈須。伸びのあるワンツーを飛ばして好調な立ち上がりをアピールしたが,バルドンが体を振った反動で放った左フックをアゴに受け,もんどり打ってダウン。立ち上がったが足元がふらついて,ダメージは明白。チャンスと見たバルドンは一気に勝負に出て,右ストレート,左アッパーで襲い掛かった。右ストレートで大きくのけぞった奈須はロープ伝いに逃れようとするが,ワンツーを打ち込まれて2度目のダウン。これも辛うじて再開に応じた奈須だが,嵩にかかって攻めるバルドンに守勢一方。コーナーで左フックを受けて腰が落ちたところで浅尾主審が割って入り,万事休す。

 グリーンツダから角海老宝石への移籍第2戦となった奈須だが,バルドンの強打を浴びて完敗を喫した。好調な立ち上がりと見られたが,不用意にガードを下げたところに痛烈な左フックをもらってしまった。奈須は意地を見せたものの,この一発で決まったと言える。敗れはしたが,体のバネは天性のものであり,右ストレートの威力は軽量級とは思えない。本来は日本の下位に低迷するレベルの選手ではなく,これを薬として再起を図って欲しい。
 ホープ奈須を粉砕したバルドンは元OPBF王者の肩書を持つ実力者。右ストレート,左フックに威力がある右ファイタータイプで,非常にしぶといボクシングをする。特に右ストレートにはリーチ以上の伸びを感じる。

     主審:浅尾和信,副審:安部和夫&ウクリッド・サラサス&熊崎広大
     ○バルドン:35戦23勝(10KO)10敗2分     ●奈須:17戦14勝(11KO)3敗
     放送:G+     解説:セレス小林     実況:高橋雄一

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                    2008年1月5日(土)    大阪府立体育会館第二競技場
                                10回戦
                 WBA世界ミニマム級2位   T   K   O     タイ国ミニマム級チャンピオン
               ○   高山勝成     9回1分24秒    ガオフラチャーン・シットサイトーン  ●
                       (真正) 106 lbs                            (タイ) 105 1/2 lbs
                     WBC13位

 高山がスピーディなフットワークに乗せた左右連打で序盤から主導権を握った。2回,ガオフラチャーンの右ストレートがカウンターになって足をもつれさせた高山がバランスを崩す場面はあったが,それ以外はほぼワンサイドで試合が進んだ。
 ガオフラチャーンは思い切った左右フックを振るが,ガードが空いたところに速射砲のような高山の連打を浴びる。4回,高山はワンツー,左フックからボディへの左アッパーにつなげる連打で圧倒した。
 8回,一段と高山の手数が増す。ワンツーから左右アッパーをボディに集中されたガオフラチャーンは動きが鈍って棒立ちになる場面が目立つ。
 9回,高山が鮮やかな速攻で試合を決めた。右ストレートのカウンターで腰が落ち,ニュートラルコーナーに叩きつけられるガオフラチャーン。KOチャンスと見た高山は猛然とラッシュに出る。右ストレートでガオフラチャーンがロープにもたれたところで宮崎主審が試合をストップした。

 高山がしぶといガオフラチャーンをスピードで圧倒し,3年1ヶ月ぶりのTKO勝利をマークした。持ち味としている旺盛な手数に加えて,チャンスの詰めも見事だった。上下への多彩な打ち分けができることが強味。ただし,課題も残る。以前に比べればパワーアップしていることは事実だが,ナックルが返らないパンチが目立つことが気になる。危ないタイミングでの被弾も見られた。
 ガオフラチャーンはタフな右ファイタータイプだが,高山のボディ攻撃が効いて中盤から動きが鈍った。160cmを下回る小兵ながらも,思い切り振る左右フックに威力がある。パンチを振るときにアゴのガードがガラ空きになることが欠点。

8回までの採点 高山 ガオフラチャーン
主審:宮崎久利 *** ***
副審:坂本相悟 80 73
副審:原田武夫 78 74
副審:大黒利明 79 74
参考:MAOMIE 79 73


     ○高山:23戦20勝(8KO)3敗
     ●ガオフラチャーン:12戦6勝(5KO)6敗

     放送:スカイA
     解説:浅沢英
     実況:行部宗一

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                    2008年1月5日(土)    大阪府立体育会館第二競技場
                                10回戦
                   タイ国L・フライ級チャンピオン         日本フライ級3位
                ○  スリヤー・クロパジョン    判 定   小松則幸  ●
                         (タイ) 114 3/4 lbs                 (グリーンツダ) 115 lbs

 初回から大荒れの試合となった。小松は左ジャブでリズムを取るが,スリヤーが踏み込んで放ったカウンター気味の右フックがアゴに決まり,腰から落ちてダウン。立ち上がったが,接近戦で右アッパーをアゴに受けた小松はここでも腰から落ちて2度目のダウンを喫した。辛うじて初回KO負けのピンチを脱したが,序盤で大きなビハインドを負った。
 2回,小松はスリヤーの左フック,ストレートを食う。終了間際にはカウンターの右フックをもらい,ぐらついて後退する場面が見られた。
 ガードが下がり気味の小松は中盤以降も不用意な被弾が目立った。4回,スリヤーは小松の出バナに左アッパーを合わせる。さらに右ストレート,左フックを受けた小松はわずかにぐらつき,接近戦で左右アッパーのボディ連打を許した。8回,スリヤーの右ストレート,左アッパーで小松の足元がふらつく。
 そして9回,小松は再びKO寸前のピンチに見舞われた。右ストレートをミスして体が流れたところに左アッパーを受けた小松は大きく腰が落ちてダウン寸前に追い込まれた。スリヤーのシャープな右ストレート,左右アッパーにタジタジの小松。右ストレートのカウンターでキャンバスに右膝をつくが,これはスリップと判定された。結局小松は最後まで精彩を欠いたまま終了ゴングを聞いた。

 復活を目指す小松だったが,序盤から2度のダウンを喫するなど完敗となった。2回以降も再三ぐらつくなど相変わらずのディフェンスの甘さと打たれ脆さを露呈した。気持ちとは裏腹に足が体に追随せず,ここまでのダメージの蓄積が窺われた。前途は厳しいと言わざるを得ない。
 スリヤーは右ボクサーファイター。相手の動きを冷静に見極め,打ち終わりにカウンターを合わせるなどのうまさを秘めている。武器は右ストレート,左右アッパー。左ジャブを中心にパンチはシャープで良く伸びる。スピードもなかなかのもので,中堅の日本人選手にとって楽な相手ではない。

採点結果 スリヤー 小松
主審:半田隆基 *** ***
副審:原田武夫 97 94
副審:坂本相悟 97 92
副審:北村信行 95 95
参考:MAOMIE 98 92


     ○スリヤー:15戦10勝(3KO)5敗
     ●小松:33戦22勝(10KO)5敗6分

     放送:スカイA
     解説:浅沢英
     実況:行部宗一

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                 2008年1月10日(木)    大阪府立体育会館第一競技場
                      WBC世界バンタム級タイトルマッチ12回戦
                     チャンピオン            挑戦者(同級1位)
                ○  長谷川穂積    判 定   シモーネ・マルドロット  ●
                       (真正) 117 3/4 lbs              (イタリア) 117 1/2 lbs

 ジリジリと出るマルドロットに対し,長谷川は右ジャブで牽制してチャンスをうかがう。2回,長谷川はマルドロットの出バナを突き,左右フックのボディブロー,左から右のフックを上に返す。長谷川の右目上のカットはマルドロットの有効打による傷と発表されたが,これは明らかにバッティングが原因だった。
 マルドロットは左右にスイッチして前に出ながら攻めるが,4回,長谷川は出バナに左ストレート,左右フックをまとめる。この攻撃で長谷川のボクシングにリズムが出た。
 6回,中間距離から接近戦での打ち合いになる。右目上の出血でやりにくそうな長谷川だが,左ストレート,右フックに加えて叩きつけるような左フックで迫る。7回には左右フックのボディ連打からマルドロットの左足の外側に出て左フックをヒットするうまい攻撃を見せた。
 8回,激しくパンチを交換する両者。長谷川はロープを背にしながら左右フックを浴びせてマルドロットをぐらつかせた。
 9回以降にも前に出るマルドロットだが,長谷川はうまくいなして攻撃を許さない。12回,再び打ち合いになるが,ロープを背に激しい左右フックを返す長谷川。終盤には左フック,アッパーを受けてマルドロットがぐらつく場面が見られた。

 長谷川が欧州からの刺客マルドロットを退けて5度目の防衛に成功した。移籍問題による8か月間に及ぶブランクの影響か,体の切れは今ひとつだった。特段ハイレベルな挑戦者ではなく,本来の切れとスピードがあればKO防衛も可能だっただろう。大振りを避け,コンパクトに振り切ることが課題である。環境も変わって心機一転,今後はさらにスケールの大きいチャンピオンになり,念願の本場・米国進出の実現に期待がかかる。
 欧州バンタム級のタイトルを保持するマルドロットは右ファイタータイプで,左ジャブ,左右フックを中心にアグレッシブに展開する攻撃が持ち味。左に右にとスイッチすることも特徴として挙げられる。矢継ぎ早によく出る手数が武器だが,スピードは今ひとつで驚くようなうまさもあまり感じられない。

採点結果 長谷川 マルドロット
主審:ケニー・ベレイス(米国) *** ***
副審:デュアン・フォード(米国) 117 111
副審:ビクトル・マヌエル・セルバンテス(メキシコ) 116 112
副審:デビッド・サザーランド(米国) 118 110
参考:MAOMIE 118 112


     ○長谷川:25戦23勝(7KO)2敗
     ●マルドロット:28戦26勝(10KO)2敗

     放送:G+
     解説:ファイティング原田&飯田覚士
     実況:鈴木健

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                    2008年1月10日(木)    大阪府立体育会館第一競技場
                        WBA世界バンタム級タイトルマッチ12回戦
                       チャンピオン              挑戦者(同級4位)
                ○  ウラジミール・シドレンコ    判 定    池原信遂  ●
                        (ウクライナ) 117 3/4 lbs                  (大阪帝拳) 118 lbs

 ガードを固めて積極的に手を出す両者。終盤には池原の右ストレートがヒット。右ストレート,左フックを追い打ちした池原は好調なスタートを切った。しかし,2回にはシドレンコが打ち下ろした右ストレートがアゴに決まり,池原は膝が落ちてピンチを迎える。チャンスと見たシドレンコは右ストレート,ボディへの左右アッパーで激しい追い上げを見せた。
 果敢に前に出る池原。これを迎え撃つシドレンコは池原の攻撃が途切れた隙を突くように右ストレート,左右アッパーのボディブローを的確に打ち分けてリードした。
 4回にバッティングで右目上をカットした池原だが,6回にはシドレンコを体で押し込んで右ストレート,左フックをヒットする。7回,やや疲れが見えるシドレンコに対して,池原は接近戦で右ストレート,左右アッパーを返して苦しめた。
 終盤は激しいパンチの交換が続いたが,手数で押す池原に対し,シドレンコは的確なパンチで譲らない。
 12回,必死に前に出る池原だが,シドレンコは良く見て右アッパーをクリーンヒット。このパンチで池原のアゴが上がる。

 シドレンコは6度目の防衛に成功。短躯ながらも左ジャブ,左右フック,アッパーなど上下に打ち分ける多彩なコービネーションブローを強味としている。無駄打ちや大振りをせず,固いガードから相手の打ち終わりを巧みに見極めてタイミング良くパンチをまとめる試合巧者。一発のパンチ力はないが,確かな技術に裏打ちされた一流のテクニシャンである。
 悲願の世界タイトル奪取に及ばなかった池原は右ファイタータイプ。右ストレート,左右フックの連打を武器としており,パンチ力もある。シドレンコの老獪なボクシングに屈したが,手数を多く出してシドレンコを苦しめる場面もあり,健闘が光った。持ち味を十分に出し切った立派な試合と言える。

採点結果 シドレンコ 池原
主審:ラファエル・ラモス(米国) *** ***
副審:セルジオ・カイズ(米国) 118 110
副審:エリキ・メロネン(フィンランド) 116 112
副審:マイケル・リー(韓国) 119 110
参考:MAOMIE 116 112


     ○シドレンコ:23戦21勝(7KO)2分
     ●池原:29戦27勝(19KO)2敗

     放送:G+
     解説:浜田剛史&セレス小林
     実況:尾山憲一

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                      2008年1月14日(月)    横浜文化体育館
                     WBA世界スーパーフライ級タイトルマッチ12回戦
                     チャンピオン            挑戦者(同級7位)
              ○  アレクサンデル・ムニョス   判 定   川嶋勝重   ●
                       (ベネズエラ) 115 lbs                (大橋) 115 lbs
                                           WBC6位

 開始早々から左ジャブを突きながら前に出てプレッシャーをかけるムニョス。終了間際には左アッパーのボディブローからワンツーをまとめて川嶋をロープに詰める。川嶋は好調な動きを見せるが,手数が少なく,ガードの上からまとめるムニョスのパンチでポイントを失った。
 4回,川嶋は激しい打ち合いに出て左フック,アッパーのボディブローから右フック浴びせてムニョスをわずかにぐらつかせた。
 しかし,一発狙いでパンチが少ない川嶋に対し,ムニョスは5・6回にもガードの上から積極的に攻め立ててポイントを奪う。
 7回に入ると,川嶋のボディ攻撃が効いたのか,ムニョスの上体が立つ場面が見られるようになった。8回,川嶋は左ジャブを多用して積極的に攻め,ムニョスを追い上げる。右アッパーに合わせた右フックでぐらつかせるなど,このラウンドは川嶋にとって最大の見せ場になった。
 ところが9回は打ち疲れのためか,川嶋は打ち合いを避けるようにサークリング。せっかくのチャンスを自ら潰してしまう。ここが勝負を左右する大きな分岐点だったが,このラウンドで勝利の女神が川嶋の目の前から去ってしまったと言える。
 11回,右を打とうと勢い込んだところにムニョスの右ストレートをカウンターで受けた川嶋は腰が落ちて危うくダウンというピンチを招く。12回はムニョスも消耗が激しく,川嶋の左右フックでクリンチに逃れるという場面を見せた。

 善戦した川嶋だが,最大の敗因は従来から指摘されている手数の少なさにある。手が出ずに見ている時間が長く,固めたガードの上からムニョスのパンチをまとめられてポイントを失ったことが響いた。川嶋の動きはいつも以上に良かったが,今一歩の追い込みに欠けたことが悔やまれる。
 ムニョスは2度目の防衛に成功。力任せだった初戴冠当時と比べると6年近くの間にうまさが加わっており,日本人選手が攻略することは困難になっている。川嶋の一発を警戒して深追いせずにガードの上からでもパンチをまとめ,とにかくポイントを積み重ねておくという”負けないボクシング”を知り尽くしている。パンチをまともに貰わないうまさも光った。

採点結果 ムニョス 川嶋
主審:スティーブ・スモーガー(米国) *** ***
副審:トム・ミラー(米国) 117 111
副審:レビ・マルチネス(米国) 115 113
副審:ジャン・フランソワ・トゥーパン(フランス) 115 114
参考:MAOMIE 115 113


     ○ムニョス:34戦32勝(27KO)2敗
     ●川嶋:39戦32勝(21KO)7敗

     放送:テレビ東京
     解説:ガッツ石松&内藤大助
     実況:赤平大

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                       2008年1月14日(月)    横浜文化体育館
                               10回戦
                   WBA世界ミニマム級1位         日本ミニマム級8位
                ○  ローマン・ゴンザレス   判 定    松本博志  ●
                         (ニカラグア) 108 lbs               (角海老宝石) 108 lbs
                        WBC6位

 初回,松本はゴンザレスの強打を避けるように動きながら左ストレート,右フックを打つ。ゴンザレスはジリジリと前に出て中盤からピッチを上げ,左右アッパーをボディ,アゴに放つ。
 2・3回,接近戦でボディブローの応酬になったが,ゴンザレスの鋭い左右アッパーが目立つ。松本も良く応戦するが,余裕十分のゴンザレスに対して目一杯という印象。
 7回,松本のボディ攻撃で一瞬動きが止まるゴンザレスだが,後半は上下に打ち分ける左右アッパーで松本を苦しめた。
 終盤のゴンザレスはさすがにパンチの切れが衰えたが,10回には再び手数を増した。ゴンザレスの左右アッパー,右ストレートに動いてかわすのが精いっぱいの松本。

 松本の粘りの前に17戦目で初めて最終ラウンド終了のゴングを聞いたゴンザレスだが,上下に切り返す左右アッパーの鋭さは一級品。20歳の若さながら,力を入れるべき所と抜くべき所を知り尽くしている。強打の陰に隠れているが,パリーイング,ブロッキングを中心にディフェンスがしっかりしていることも強味になっている。パンチの切れに加えて目と勘の良さが光る。すでに世界1位であるが,キャリアを積めば世界タイトル奪取はおろか安定王者への道も夢ではない。
 松本はサウスポーのファイタータイプ。身長153cmの小柄ながら,タフで左右フックの連打を得意としている。ゴンザレスの強打を恐れず,果敢に先手で攻めていたことが善戦につながった。

採点結果 ゴンザレス 松本
主審:浦谷信彰 *** ***
副審:熊崎広大 98 92
副審:ウクリッド・サラサス 100 90
副審:杉山利夫 100 90
参考:MAOMIE (80) (72)


     ○ゴンザレス:17戦17勝(16KO)
     ●松本:29戦17勝(8KO)8敗4分

     放送:BSジャパン
     解説:ガッツ石松&内藤大助
     実況:島田弘久

※ 第1〜4および第7〜10ラウンドのみを放送(MAOMIEの採点はダイジェスト放送された第5・6ラウンドを除く集計結果です)。

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                       2008年1月14日(月)    横浜文化体育館
                                10回戦
                東洋太平洋フェザー級3位  T   K   O   日本S・フェザー級(ノーランク)
                ○  細野 悟      5回2分23秒      真鍋圭太  ●
                      (大橋) 130 lbs                            (石川) 130 lbs

 強打者同士の対決は初回からスリリングな展開になった。
 2回,パンチのスピードの差が出た。細野は左アッパーのボディブローから左フック。さらに真鍋をロープに詰めて左アッパーをボディに見舞う。終盤には細野の右ストレートのカウンターがヒット。
 3回,左ジャブが出ない真鍋は細野の鋭いパンチを許してしまう。細野は後半,左フック,右ストレートで真鍋をロープに追い込む。4回にも細野の右ストレートのカウンターが決まる。
 5回,動きの鈍い真鍋のアゴを細野のワンツーが襲う。慎重に戦っていた細野がこれを機に攻撃のピッチを上げ,右ストレート,左フックを浴びせる。左フック2発でぐらりと膝が落ちる真鍋。ここで浅尾主審がカウント8を取った。これは辛うじて再開されたが,細野は一気に勝負に出る。右フックで再びよろめいた真鍋を救うように浅尾主審が割って入り,試合をストップした。

 目が離せない緊張感のある好ファイト。細野は法大時代にアマチュアで国体と全日本選手権を制したキャリアを持つが,ボクシングはまさにプロ向き。左右フックに一打必倒の破壊力がある右ファイタータイプ。ガードを固めながら左ジャブ,ストレートを上下に打ち分け,カウンター気味の右ストレート,左フックあるいはボディへの左アッパーで試合を終わらせる攻撃パターンが売り物。出入りを素早くすること,一発狙いで手数が少なくならないようにすることが大事。いずれにしても将来のチャンピオン候補として注目すべき逸材である。
 真鍋は右ボクサーファイターでフットワークに乗せて放つ右ストレート,左フックにこちらも一発がある。しかし,今夜は左ジャブが出ず,細野の出足を止められなかったことが敗因。ディフェンスの甘さが致命傷になった。

     主審:浅尾和信,副審:不明
     ○細野:10戦10勝(8KO)     ●真鍋:31戦26勝(22KO)4敗1分
     放送:BSジャパン     解説:ガッツ石松&内藤大助     実況:島田弘久

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                      2008年1月14日(月)    横浜文化体育館
                              10回戦
                  日本L・フライ級10位         日本L・フライ級10位
                ○  池原繁尊     判 定    黒田雅之  ●
                      (横浜光) 110 1/4 lbs             (新田) 110 lbs

 突き放したい黒田,接近したい池原。試合は序盤から激しい主導権争いとなった。鋭い左ジャブ,フックを飛ばす黒田だが,すぐに池原の接近戦を許し,試合は体を密着させた打ち合いに終始した。池原は左右アッパーのボディ連打から右アッパーをアゴに返す攻撃で押し気味に進める。
 黒田も左フック,右アッパーの強打で応戦するが,池原の手数に押される。中盤も池原のペース。9回,突き放したい黒田だが,すぐに池原の密着戦法に合わせてしまう。
 黒田がようやく反撃を見せたのは土壇場の10回。池原は左右フック,アッパーの連打で押すが,アゴに黒田の強烈な右フックが炸裂。この一発で池原は大きくぐらついてダウン寸前のピンチ。必死にクリンチに逃れる池原だが,足元がふらつく。逆転のチャンスに黒田は猛然と襲い掛かるが,時間切れ。

 軽量級期待の強打者同士の対決となったが,終始自分のペースを守った池原に軍配が上がった。
 池原は左右フック,アッパーの連打を武器とする右ファイタータイプ。体を密着させながらボディ攻撃からアゴに右フック,アッパーを切り返す連打で黒田が得意とする中間距離を封じたことが勝因。最終回に危ない場面はあったものの,手数でも圧倒しており,見事な勝利である。
 黒田はこのクラスとしては長身(167cm)に恵まれた右ボクサーファイター。鋭い左ジャブに次ぐ右ストレート,左フックに一発がある。しかし今夜は池原の巧みな接近戦に距離を潰されてしまったことが響いた。左ジャブで池原を突き放すことができなかったことが敗因である。

採点結果 池原 黒田
主審:ウクリッド・サラサス *** ***
副審:福地勇治 96 95
副審:杉山利夫 96 95
副審:浅尾和信 96 95
参考:MAOMIE (68) (66)


     ○池原:17戦15勝(11KO)1敗1分
     ●黒田:12戦10勝(8KO)2敗

     放送:BSジャパン
     解説:内藤大介
     実況:増田和也

※ 第1・2・5・6・7・9・10ラウンドのみを放送(MAOMIEの採点はダイジェスト放送された第3・4・8ラウンドを除く集計結果です)。

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                      2008年1月19日(土)    後楽園ホール
                      日本スーパーライト級タイトルマッチ10回戦
                     チャンピオン   T   K   O   挑戦者(同級8位)
                ○  木村登勇   7回1分37秒    松本憲亮  ●
                       (横浜光) 140 lbs                    (ヨシヤマ) 139 lbs
                     WBA15位,WBC7位             松本憲亮=まつもと・けんりょう

 初回開始早々,変則的なスタイルから放った木村の左ストレートが松本の顔面を襲う。2回には木村が左ストレート,右フックをまとめて攻勢に出た。
 攻め倦んで松本が待っていると木村がどんどん手数を出して攻め込む。4回終了間際には10秒前を知らせる拍子木と同時に攻勢に出てロープに追い込むなど,頭脳的な試合運びで松本を圧倒した。
 5回,松本は正面に立って木村のパンチを浴び,右目下が大きく腫れ上がる。
 7回,木村の左右アッパー,ワンツーにダメージも溜まって動きが鈍くなる松本。左ストレートから木村が一気にラッシュに出ると松本はロープに後退。ここまでと見た浦谷主審が割って入り,試合をストップした。

 木村が実力の差を見せつけ,圧勝で11度目の防衛に成功した。どんな状況でも動じない落着きはキャリアの賜物だろう・独特の変則スタイルからワンテンポずらして放つ左ストレート,右フックは相手にとって脅威である。もはや国内無敵ではあるが,このクラスでの世界挑戦は容易ではない。今後の進路選択が難しいが,東洋太平洋タイトルを5連続KO防衛中の金正範(韓国)のへの挑戦が期待される。
 松本は右ストレート,左フックにパンチ力がある右ファイタータイプ。よく食い下がったが,正面に立ったところを打ち込まれてダメージを蓄積したことが敗因。木村とは実力に大きな開きがあった。

     主審:浦谷信彰,副審:ビニー・マーチン&館秀男&山田一公
     ○木村:40戦33勝(17KO)5敗2分     ●松本:27戦20勝(15KO)4敗3分
     放送:G+     解説:葛西裕一     実況:高橋雄一

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                     2008年1月19日(土)    後楽園ホール
                              8回戦
               日本S・ライト級(ノーランク)  T  K  O  日本S・ライト級(ノーランク)
              ○  伊藤博文      8回48秒    篠崎生思郎  ●
                   (相模原ヨネクラ) 140 lbs                   (ヨネクラ) 139 3/4 lbs

 初回から左ジャブを小刻みに突いて右フックでボディを叩く伊藤。篠崎は前に出て左右フック,アッパーを狙う。
 2回終盤,篠崎の左アッパーのボディブローに合わせた伊藤の左フックがカウンターで決まる。
 篠崎は5回に左目上をカット(伊藤の有効打による傷)するが,粘り強く前に出て左右フック,アッパーの手数で迫る。しかし,伊藤は足を使いながら左ジャブを多用し,左アッパーのボディブロー,右ストレートを浴びせる。
 劇的な幕切れはラストの8回。開始早々から積極的に攻める伊藤。篠崎も応戦して激しい打ち合いになるが,伊藤は左アッパーのボディブローからワンツーをヒット。右アッパーでぐらつかせた伊藤が再びワンツーをアゴに打ち込めば,篠崎はたまらず腰から落ちて仰向けにダウン。杉山主審は即座に試合をストップした。

 伊藤は180cmの長身を誇る右ボクサータイプ。左ジャブを多用し,チャンスにリーチを生かした右ストレート,左右アッパーをまとめる。常に左ジャブを上下に打ち分けていることが良い結果を生んでいる。パンチ力があって決め手は十分であり,フィニッシュに見せた詰めは圧巻だった。ただし,足を使うところと勝負に出るところのメリハリをつけるようにすることが必要。体格に恵まれており,スケールの大きいアウトボクサーへの成長が期待される。
 篠崎は左右フック,アッパーで粘り強く攻め上げる右ファイタータイプ。スピードはないが,旺盛な手数が武器である。よく食い下がったが,伊藤の足を止められず,細かいパンチでダメージを蓄積したところに連打をまとめられて沈んだ。

     主審:杉山利夫,副審:土屋末広&浦谷信彰&山田一公
     ○伊藤:13戦10勝(8KO)2敗1分     ●篠崎:11戦8勝(2KO)3敗
     放送:G+     解説:葛西裕一     実況:中野謙吾

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