熱戦譜〜2007年3月の試合から


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試合日 試合 結果
2007.03.03 10回戦  粟生隆寛  判定  梅津宏治
2007.03.03 8回戦  福原力也  KO3R  ユキ・ウォーウィスット
2007.03.03 8回戦  亀海喜寛  TKO3R  鈴木哲記
2007.03.10 10回戦  木村章司  判定  宮 将来
2007.03.17  東洋太平洋ミドル級
 王座決定12回戦
 佐藤幸治  TKO9R  アダム・ベラ
2007.03.19  WBA世界フライ級
 タイトルマッチ12回戦
 坂田健史  TKO3R  ロレンソ・パーラ
2007.03.20 10回戦  名護明彦  判定  本田秀伸
2007.03.20 10回戦  翁長吾央  判定  奈須勇樹
2007.03.20 8回戦  保住直孝  判定  音田隆夫
10 2007.03.24 10回戦  亀田興毅  判定  エベラルド・モラレス
11 2007.03.25  日本ミドル級
 タイトルマッチ10回戦
 江口啓二  KO3R  氏家福太郎
12 2007.03.25 8回戦  金井晶聡  TKO3R  ソムヌック・ソーウォラピン
13 2007.03.31 10回戦  松田直樹  TKO5R  ルディ・ロペス

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                       2007年3月3日(土)    後楽園ホール
                       日本フェザー級タイトルマッチ10回戦
                  挑戦者(WBC12位)            チャンピオン  
                ○  粟生隆寛      判 定    梅津宏治   ●
                      (帝拳) 125 1/2 lbs                 (ワタナベ) 126 lbs
                      WBA15位

 開始早々から前に出る梅津だが,力みが目立つ。一方の粟生は動いて距離を取る余裕を見せ,出バナに左アッパー,ノーモーションの左ストレートを浴びせる。2回,粟生は距離を取って右フック,左ストレートをクリーンヒット。一転して攻勢に出てパンチをまとめる粟生。梅津は懐に入り込めない。冷静な粟生は巧みなギヤチェンジを披露して好調な立ち上がりを見せた。
 一方の梅津は4回に入って反撃に転じた。執拗に食い下がり,右フック,アッパーをヒットしてリードする梅津。粟生はバッティングで鼻から出血するアクシデントに見舞われた。5・6回,梅津も鼻血に苦しむが,乱戦に嵌まりかけた粟生は右ストレート,左右フックを浴びてクリンチに逃れる場面を見せた。
 7回,再び冷静さを取り戻した粟生は左右に体をかわして右フック,左ストレートをヒット。
 この試合の最大のヤマ場は9回。先手を取ったのは梅津。右ストレートがヒットするが,逆に粟生の右フックがカウンター気味に決まってぐらつく。チャンスと見た粟生は一気にパンチをまとめる。
 10回,前に出て食い下がる梅津。足を使った動きからパンチを放つ粟生。ともに譲らず,フルラウンドを戦い抜いた。

 粟生がプロ14戦目で初のタイトルに輝いた。しぶとく執拗な梅津に手を焼いた場面もあったが,総体的には冷静な試合運びが光る。出バナにタイミング良く決めるノーモーションの左ストレート,カウンターの右フックが冴えていた。中盤には梅津が得意とする乱戦に巻き込まれたが,こういう場面に対処する経験も必要である。逸材であることは間違いないので,小さくまとまらずにスケールの大きなボクサーになるように努力を期待する。
 初防衛に失敗した梅津だが,最後まで食い下がって王者の意地を見せ,見事な戦いぶりだった。ガードを固めながら前に出る鈍重な試合運びを身上とする右ファイタータイプ。ときおり右フック,アッパーで粟生を苦しめたが,単発に終わったことが惜しまれる。

採点結果 粟生 梅津
主審:浦谷信彰 *** ***
副審:土屋末広 96 95
副審:山田一公 98 94
副審:安部和夫 97 94
参考:MAOMIE 97 94


     ○粟生:14戦14勝(8KO)
     ●梅津:19戦12勝(5KO)7敗

     放送:G+
     解説:ファイティング原田&浜田剛史
     実況:高橋雄一

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                         2007年3月3日(土)    後楽園ホール
                                  8回戦
                   日本S・バンタム級4位    K      O   タイ国S・フェザー級(ノーランク)  
                ○   福原力也      3回1分19秒    ユキ・ウォーウィスット   ●
                       (ワタナベ) 128 lbs                            (タイ) 126 1/4 lbs

 初回,前に出ながら右ストレートを伸ばす福原。ユキは警戒して後退を繰り返す。左から打ち下ろした福原の右ストレートがヒットする。
 2回,タイミングの良い左ストレートであっさりダウンを喫したユキ。立ち上がったが,左フックで2度目のダウン。一気に決着をつけようと迫る福原。左右フックの連打で崩れ落ちるユキだが,山田主審はスリップと判定した。しかし,これはノックダウンとしても良い場面だった。
 3回,右ストレート,左右アッパーで攻勢に出る福原。右ストレートを受けてぐらついたユキは防戦一方。最後はアゴに右アッパーを打ち込まれて脆くもダウン。そのままカウントアウトとなった。

 右手骨折で王座陥落に泣いた福原が見事なKOで復帰を果たした。力みを排除し,軽く小さな動きを取り入れて積極的に攻めた点が良かった。体の硬さが欠点だが,小さな動きでカバーできれば良い結果が得られるだろう。堅実で謙虚なインタビューにも好感が持てる。

     主審:山田一公,副審:古田厳一&杉山利夫&岩崎くにひろ
     ○福原:22戦19勝(15KO)2敗1分     ●ユキ:12戦7勝(2KO)5敗
     放送:G+     解説:浜田剛史&セレス小林     実況:中野謙吾

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                          2007年3月3日(土)    後楽園ホール
                                  8回戦
                   日本S・ライト級(ノーランク)  T   K   O   日本S・ライト級(ノーランク)
                ○   亀海喜寛       3回1分59秒     鈴木哲記  ●
                        (帝拳) 140 lbs                           (ワールド日立) 138 3/4 lbs
                   亀海喜寛=かめがい・よしひろ                鈴木哲記=すずき・あきのり

 初回,変則的なスタイルで前に出て左右フックでボディを叩く鈴木。様子を窺っていた亀海は1分過ぎから右ストレート,アッパー,左フックを見舞って早くも優位に立った
 2回,気の強さが出る亀海が得意の右ストレートを連発してどんどんプレッシャーをかけた。終了間際,ノーモーションの右ストレートでひるんだ鈴木はフォローの右ストレートを受けて大きくのけぞってダウン。しぶとさで定評がある鈴木にしては呆気ないほどの痛恨のダウンだった。
 3回,亀海は攻撃の手を緩めない。挽回を狙って大きな左右フックを振るう鈴木だが,亀海は冷静に動きを見て右ストレート,ボディへの左アッパーを見舞う。左フックの打ち終わりにノーモーションの右ストレートを合わされた鈴木はこの試合2度目のダウン。両足が揃ったところに決めた見事なカウンターだった。鈴木は立ち上がったが,亀海が一気に勝負を決めにかかる。右ストレート,ボディへの左右アッパーの攻勢に防戦一方になったところで鈴木陣営からタオルが投入された。

 亀海が会心のTKO勝ち。タフでしぶとい鈴木を仕留めた見事な勝利である。持ち味の右ストレートにボディへの左右アッパーを加えたアグレッシブな攻めの姿勢が長所。元来はリーチに恵まれた右ボクサータイプだが,気が強くて好戦的な面がある。冷静に相手の動きを見極めているところが長所。力みを捨て,動きを取り入れたボクシングを忘れないことが今後の課題である。
 誰がやってもやりにくいのが鈴木の持ち味。しぶとさが売り物の右ファイタータイプだが,今夜は亀海に動きを見切られ,完敗となった。執拗な変則ボクシングで食い下がって後半に持ち込めれば勝機も見えたはずだが,それができないままに打ち込まれてしまった。

     主審:土屋末広,副審:岩崎くにひろ&杉山利夫&山田一公
     ○亀海:5戦5勝(5KO)     ●鈴木:20戦10勝(2KO)7敗3分
     放送:G+     解説:セレス小林     実況:田中毅

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                   2007年3月10日(土)    後楽園ホール
                          10回戦
               日本S・バンタム級5位       日本S・バンタム級2位  
             ○  木村章司    判 定    宮 将来  ●
                  (花形) 123 1/2 lbs             (ヨネクラ) 123 1/2 lbs

 積極的に出る宮に対し,初回の木村は持ち味の足を生かしてサークリングしながら左を突く定石通りの立ち上がりを見せた。左フックでガードが開いた一瞬の隙を突く右ストレートがアゴを打ち抜き,宮は腰から落ちてダウン。目の覚めるような鮮やかなダウンシーンだった。
 2回,木村が接近戦に応じる。これは宮の距離だが,木村は後半に左フック,右アッパー,ワンツーをまとめるうまさを見せた。
 3・4回は手数が出た宮が挽回した。宮は距離を詰めて右ストレートあるいはボディにパンチを集めて攻勢を仕かける。宮は4回に木村の有効打で右目尻をカットする。
 ハイレベルな攻防が続いたが,中盤以降の木村は各ラウンドの後半にパンチをまとめるうまい試合運びでリードした。6回,宮は鼻から出血。終盤に右アッパー,左フック,ワンツーで押す木村。
 8回終盤にも木村が左右アッパーのボディブローで宮をコーナーに詰める。
 9回,木村の左フック2発がヒット。10回は両者必死の打合い。宮のワンツーもヒットした。

 テクニシャン同士のハイレベルな攻防に終始し,見応え十分の試合となった。
 キャリアに勝る木村の試合運びに一日の長があった。足を使ってサークリングしながら機を見て放つパンチは非常にタイミングが良い。各ラウンドの後半に効果的なパンチをまとめたうまさが光る。ただし,試合全般を通じて宮の距離で戦っていたことが気になった。自信の発露であろうが,持ち味の足によるサークリングを軸とすることを忘れると中途半端なボクシングに陥ってしまう恐れがある。再浮上に向けては,方向性をしっかり決めておくことが必要である。
 宮は右ボクサーファイターで,ワンツー,上下に打ち分ける左右アッパーなどの多彩なコンビネーションブローを持っている。KO率は高いが,本来は技巧派に分類されるだろう。前半はいいパンチを決めていたが,各ラウンドの後半を押さえられたことが見栄えを悪くした。

採点結果 木村
主審:染谷路朗 *** ***
副審:ウクリッド・サラサス 97 95
副審:館 秀男 99 95
副審:島川 威 98 95
参考:MAOMIE 97 93


     ○木村:23戦20勝(7KO)3敗1分
     ●宮:18戦16勝(12KO)1敗1分

     放送:G+
     解説:葛西裕一
     実況:田中毅

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                       2007年3月17日(土)    後楽園ホール
                      東洋太平洋ミドル級王座決定12回戦
               東洋太平洋ミドル級3位   T   K   O   東洋太平洋ミドル級1位  
              ○  佐藤幸治      9回1分11秒     アダム・ベラ  ●
                     (帝拳) 159 lbs                          (豪州) 160 lbs

 初回から重量級らしい迫力あるパンチの交換が見られた。ベラの左フックを皮切りに打ち合いになり,佐藤の左フックでベラの腰が落ちる。ベラも負けじと大きな右フックのカウンターを決めて応戦。試合は早くも予断を許さぬ緊迫した展開となった。
 2回,ベラは距離を詰めて左右フックを振るう。左からオーソドックスに入りたい佐藤だが,やや不用意な面が見られた。
 3回に入るとようやく佐藤の左ジャブ,ストレートが出るようになった。4回,この左でベラの前進を止めた佐藤がチャンスを掴んだ。左フックで腰が落ちたベラは同じ左フックで大きくのけぞるピンチ。ベラを右フックでぐらつかせた佐藤が左右フックの連打で猛追すれば,ベラは崩れるようにダウン。再開後激しく追い詰める佐藤だが,ここでも手負いのベラに左フックを返され,ディフェンスの甘さを露呈した。
 長丁場の経験がない佐藤だが,7回,疲れが出てスピードが鈍った。息を吹き返したベラが左フック,右ストレート,左右フックで佐藤を苦しめる。終了間際,左フックの相打ちはベラが上回り,佐藤が一瞬よろめく場面が見られた。
 8回,ブレイクの指示後のパンチの交換でエキサイトした両者が激しく打ち合う。スピードが落ちた佐藤だが,終盤に右フックでベラをぐらつかせ,左右フックで猛然と襲いかかる。
 そして9回,劇的な幕切れが用意されていた。蓄積したダメージで動きが鈍ったベラは後退し,ロープを背にする。勝負どころと見た佐藤は猛然とスパート。立っているのがやっとのベラは右フック2発を打ち込まれ,たまらず仰向けにキャンバスに沈んだ。キム主審が即座にストップしたのと同時にタオルが舞った。

 重量級期待の佐藤が迫力あるベラの攻撃に苦しみながらも見事なTKOでプロ入り後初のタイトルを獲得した。左ジャブ,ストレートでコントロールしている部分はベラの前進が止まって楽な展開となっていたが,これを忘れないことが大事である。パワーは圧巻だが,佐藤の場合はそれを生かすも殺すも左が出るかどうかにかかっている。6・7回あたりからスタミナ切れの兆候を見せていたが,これは大いなる反省点。ここまでは早い回でのKOで勝ち進んできたが,さらに上を目指すためにはスタミナの養成が最重点課題である。
 ベラは佐藤に比べれば小柄な右ファイタータイプ。思い切って放つ左右フックを武器としており,バランス良くまとまった好ファイターである。相打ち狙いの左フックに威力を秘めている。4回にダウンを喫した後,中盤から動きが鈍った佐藤を追い上げたが,最後はパワーの差でねじ伏せられた。

8回までの採点 佐藤 ベラ
主審:キム・ジェボン(韓国) 77 74
副審:ブライアン・マクマホン(豪州) 78 73
副審:浦谷信彰 76 75
参考:MAOMIE 78 75

     ○佐藤:9戦9勝(8KO)
     ●ベラ:21戦19勝(6KO)2敗

     放送:G+
     解説:飯田覚士
     実況:寺島淳司

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                      2007年3月19日(月)    後楽園ホール
                      WBA世界フライ級タイトルマッチ12回戦
                  挑戦者(同級3位)   T  K O    前・チャンピオン  
                ○  坂田健史     3回14秒   ロレンソ・パーラ ●
                       (協栄) 112 lbs                 (ベネズエラ) 116 3/4 lbs

 開始ゴングと同時に積極的に出る坂田に対し,パーラは下がりながら左フック,右ストレートを放つ。潜り込んで下から攻めたい坂田だが,パーラのパンチを食って立ち上がりは不安を残した。
 しかし2回に入ると坂田の手数が増した。下がるパーラをロープに追って左右アッパーのボディ攻撃。ボディブローを嫌ったパーラは動きが止まり,早くも調整不足を露呈する。
 3回,唐突な幕切れとなった。勢いよくコーナーを蹴って飛び出した坂田に対し,パーラは椅子に座ったままでコーナーから出る気配を見せない。セコンドもリングから出ず,ペレス主審が試合続行の意思を確認する。その結果戦意喪失が確認され,呆気なくストップとなった。

 アゴを割られたパーラとの第一戦から数えて4度目の挑戦で悲願の世界王座奪取に成功した坂田。自分に勝った坂田,自分に負けたパーラ・・・・・まさにその差が如実に表れた試合と言える。諦めずに努力をしたことに敬意を表したい。
 調整不足のパーラにとって,力を抜いた左右アッパーのボディ攻撃が想像以上に響いたものと言える。強豪揃いのフライ級だけに前途は厳しいが,上体を振って左ジャブからの上下への連打で攻め落とすボクシングで通すことが大事である。
 前日の計量で2.1kgという前代未聞のスケールでのウェイトオーバーを犯して王座を剥奪される醜態を演じたパーラ。不甲斐ないの一語に尽きる。ファンの期待を裏切り,リングを土足で汚した責任は非常に重い。2.1kgという数字から判断して最初からリミット内に落とす意思がなかったことは明白であり,永久追放にも値する重大な背信行為である。

     主審:ギジェルモ・ペレス・ピネーダ(パナマ),副審:フェルディナンド・エストレーリャ(比国)&ジョン・ポートゥレイ(米国)&ヘンク・メイジャース(オランダ)
     ○坂田:35戦30勝(15KO)4敗1分     ●パーラ:28戦27勝(17KO)1敗
     放送:TBS     解説:鬼塚勝也     実況:新夕悦男

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                      2007年3月20日(火)    後楽園ホール
                               10回戦
                  日本バンタム級(ノーランク)         日本S・フライ級4位  
                ○   名護明彦      判 定    本田秀伸   ●
                      (全日本パブリック) 120 lbs             (グリーンツダ) 120 1/4 lbs

 サウスポー同士の探りあいからスタート。初回終了間際,名護のパンチがヒットする。右フックは外した本田だが,直後の左ストレートがアゴに決まる。
 3回は本田が自分のペースを取り戻した。目でフェイントをかけ,右アッパーを振る本田。名護の大きなパンチは空を切る。手数を多くしたい名護だが,やや攻め倦む。
 焦り気味にパンチを振る名護だが,空を切るところに本田がうまく右フックをヒットする。よく見ている本田。クリーンヒットこそ少ないが,試合は本田のペースで進んだ。
 8回,名護の左ストレートがヒットするが,すぐさま左ストレートを打ち返す本田。手数を多くして本田を崩したい名護だが,それができない。
 10回,ようやく激しくパンチを応酬する両者。しかし,ともにクリーンヒットがないまま終了ゴングを聞いた。

 ベテランのサウスポー同士の一戦。有効打は少ないが,緊迫感があって見応えのある試合内容で楽しめた。
 2−0の判定は名護の有効打の数を評価した結果だと思うが,本田にやや気の毒。相変わらずのディフェンス技術,見切りの良さを見せた。要所に右フック,左ストレートのカウンターを決めるうまさは本田ならではのもの。しかしながら,試合そのものは本田のペースで進んでいたのに勝ちにつながらなかったことをいかに次につなげるかが課題である。
 名護は強打とダイナミックな試合ぶりが売り物の左ファイタータイプ。左右フック,左ストレートに破壊力がある。攻め倦んでいた面が目立ったが,ときおりヒットしていた大きなパンチが評価されての判定勝ちであると考えられる。相変わらずの振りの大きさが目立ったが,本田のようなうまい相手には単発では通じない。手数を多くし,その延長上にビッグパンチを決めるような戦法を取る必要がある。

採点結果 名護 本田
主審:福地勇治 *** ***
副審:浦谷信彰 97 95
副審:島川 威 96 96
副審:葛城明彦 98 96
参考:MAOMIE 96 98


     ○名護:35戦28勝(15KO)6敗1分
     ●本田:33戦28勝(14KO)5敗

     放送:スカイA
     解説:石津純一郎
     実況:黒沢幸司

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                      2007年3月20日(火)    後楽園ホール
                                10回戦
                  WBA世界L・フライ級14位          日本フライ級9位  
                ○    翁長吾央      判 定    奈須勇樹  ●
                     (沖縄ワールドリング) 113 1/2 lbs            (グリーンツダ) 113 1/2 lbs

 左の翁長,右の奈須の対決は主導権争いに終始した。初回,翁長の左ストレートがヒットする。
 3回は奈須が押さえた。翁長の左ストレートが出バナにヒットするが,奈須のノーモーションの右ストレートが決まり,翁長がのけぞる場面が見られた。4回も奈須の右ストレートのタイミングが合い,リード。
 5回,直線的に戦っては不利と見た翁長が意識的に右に回る作戦に切り替えた。奈須の右ストレートを避けるように右に回りながら左ストレート,右フックを返す。6回,翁長の飛び込みざまの左ストレートがヒットする。奈須は左目上をカットしてドクターチェックを受けた(翁長の有効打によるもの)。
 終盤はともに手数が出ない。一発狙いの奈須に対して翁長も単調。10回,奈須の右ストレートと翁長の左ストレートの交換。ようやく連打をまとめる翁長だが,決定打が出ないまま終了ゴングを聞いた。

 ホープ対決となったが,ともに決め手がなく盛り上がりに欠ける凡戦。
 翁長は豊富なアマチュア経験を持つサウスポーのボクサータイプ。左ストレート,右フックを得意としているが,攻撃が単調で精彩を欠いた。奈須の右ストレートに対して右回りを忘れ,直線的な攻撃になっていたことが気になる。一本調子なボクシングから脱却することが今後の課題。
 右ストレートに軽量級らしからぬ一発がある奈須だが,伸び悩んでいる。右に頼り過ぎて攻撃の幅に乏しいことが欠点。相変わらず手数が少なく,単調な攻めが目立つ。ここまではそれでも良かったが,ここから上を目指すには相当な意識改革が求められる。

採点結果 翁長 奈須
主審:吉田和敏 *** ***
副審:福地勇治 98 94
副審:葛城明彦 98 94
副審:島川威 98 95
参考:MAOMIE 98 96


     ○翁長:10戦10勝(7KO)
     ●奈須:15戦13勝(10KO)2敗

     放送:スカイA
     解説:石津純一郎
     実況:黒沢幸治

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                      2007年3月20日(火)    後楽園ホール
                              8回戦
                   日本ミドル級6位         日本ミドル級(ノーランク)  
                ○  保住直孝    判 定    音田隆夫   ●
                       (ヨネクラ) 160 lbs              (トクホン真闘) 158 1/4 lbs

 開始早々から前に出てガンガン攻める音田。右フックのボディブローで保住を追い込むが,中盤,保住の左フックで音田の出足が止まる。
 2回には逆に保住が仕かけるが,音田も負けずに圧倒的な手数で保住を苦しめた。試合は早くも激しい消耗戦の様相を呈した。3回,音田の前進に手を焼く保住だが,右アッパー,ボディへの左フック,アッパーを打ち込む。
 明白な差が出たのは5回。左フックで音田をぐらつかせた保住はロープに詰め,KOを狙って猛然とラッシュを見せる。
 6回,手数で上回りながらもやや正確さに欠ける音田。逆に保住の右ストレートが危ないタイミングでカウンター気味に決まる。
 終盤も激しい打ち合いが続いたが,ともに疲労の色が隠せない。8回,保住の右アッパーで音田が思わずクリンチに出る場面が見られた。

 強打自慢のファイター同士の対戦は予想通りの激しい打撃戦に終始した。
 保住は音田の手数に苦しみ,中盤以降は疲労の色が濃かったが,要所を締めるベテランらしさを見せた。パンチの的確さで上回ったことが勝因。さすがに全盛期の迫力は失せたが,ベテランの味は出ている。
 音田は”激闘王”の異名を持つ右ファイタータイプ。旺盛なスタミナと手数が売り物で,右ストレート,左右フックにパンチ力がある。保住を手数で攻めまくってホールを沸かせたが,やや正確さに欠けた。

採点結果 保住 音田
主審:浦谷信彰 *** ***
副審:飯田徹也 77 76
副審:葛城明彦 79 75
副審:吉田和敏 79 74
参考:MAOMIE 77 76


     ○保住:37戦29勝(23KO)6敗2分
     ●音田:22戦16勝(13KO)6敗

     放送:スカイA
     解説:石津純一郎
     実況:黒沢幸治

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                      2007年3月24日(土)    両国国技館
                              10回戦
                  WBA世界フライ級1位         WBC世界フライ級12位
                ○  亀田興毅      判 定   エベラルド・モラレス  ●
                       (協栄) 112 lbs                  (メキシコ) 112 1/2 lbs
                      WBC3位

 初回からガードを固めて前に出ながらノーモーションの左ストレートを多用する亀田。ロープを背にしたモラレスに早くも左ストレートがヒットする。
 2回,左ストレート,右フックからチャンスを掴んだ亀田はモラレスをロープに詰めて連打をまとめる。亀田はモラレスの左フックの打ち終わりに右フックを合わせる。
 この試合最大のヤマ場は5回。右ストレート,左右アッパーを振って果敢に攻めるモラレスだが,亀田のカウンターをもらう。終了間際,体ごと押し込んだ亀田の左フックが決まり,腰が落ちたモラレスは大きく泳いでダウンを喫した。立ち上がったところでゴングに救われたが,ダメージは明白。
 フィニッシュが期待されたが,終盤のモラレスは予想外のしぶとさを見せた。7回,中休みか手数が減った亀田に対し,モラレスが積極的に右ストレート,左右アッパーで前に出る。9回にもモラレスの手数が上回った。
 10回,亀田が再び攻勢に出た。左フックからチャンスを掴み,モラレスをロープに詰めてラッシュ。激しい打ち合いが最後まで続いた。

 亀田はスピードはそこそこのものを見せたが,異様とも思える解説者とアナウンサーによる賛美とは大きく乖離した試合内容であり,多くの課題を残した。ディフェンスはブロックのみで足が動かず,ガードを固めてパンチを出さずに接近し,打ち終わりにパンチを返す原始的な試合運びが目立つ。何よりも接近してから打とうという意識が強過ぎることが最大の欠点。捨てパンチやフェイントなどの接近するまでの小細工を身につけなければ,このクラスの世界レベルでは相当苦しむだろう。
 モラレスは右ファイタータイプで右ストレート,上下への左右アッパーの連打を得意としている。一発の威力はなく,連打で攻め落とすタイプで,タフで粘り強いことが特徴。ベタ足でスピードもないが,嵩にかかって攻める執拗な攻撃を身上としている。ガードが低く,アゴがガラ空きになることが欠点。

採点結果 亀田 モラレス
主審:浦谷信彰 *** ***
副審:山田一公 97 92
副審:ビニー・マーチン 97 93
副審:福地勇治 99 91
参考:MAOMIE 98 92


     ○亀田:14戦14勝(10KO)
     ●モラレス:43戦28勝(20KO)12敗2分1無効試合

     放送:G+
     解説:鬼塚勝也&佐藤修
     実況:土井敏之

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                      2007年3月25日(日)    姫路市中央体育館
                        日本ミドル級タイトルマッチ10回戦
                     チャンピオン    K      O   挑戦者(同級1位)
                ○  江口啓二    3回2分24秒   氏家福太郎  ●
                     (姫路木下) 159 1/4 lbs                 (新日本木村) 160 lbs

 江口は開始早々から上体を振って重戦車のように迫る独特の攻撃を見せる。いきなり左フックをヒットしてラッシュを見せる江口に対して氏家は慎重なスタート。
 2回に波乱が起きた。上体を振って左フック,アッパーでプレッシャーをかける江口。しかし,終了間際大きな左アッパーを空振りしたところに氏家の左フックを受けた江口は不覚のダウン。立ち上がったところでゴング。
 3回,衝撃のKOシーンが待っていた。左フックの打ち終わりに氏家の右ストレートを返され,江口はこの試合2度目のダウン。立ち上がった江口は後手に回ることなく,逆に強気の攻めに出た。パワフルな左フック,ストレートを決めて反撃に出る江口。やや消極的になった氏家が左フックを振って入ろうとした瞬間,江口渾身の左フックがアゴに炸裂。この一撃で氏家はドッと音をたててキャンバスに倒れ込む。立ち上がろうとしたものの体が言うことを聞かず,カウントアウトされた。

 2度のダウンを跳ね返した江口が豪快な逆転KOで初防衛に成功した。ダウンを喫した場面はいずれも打ち終わりにパンチを返されたものであり,ディフェンスが今後の課題である。上体が振れて足も良く動いており,この点は良かった。サウスポーのファイタータイプで左フック,アッパーに一発がある。3回に2度目のダウンを喫した直後,氏家の追撃を許さず自分から攻めていたことが流れを引き戻す結果を生んだ。これによって逆に氏家を後手に回らせていたことが劇的な大逆転につながったと言える。
 寸前で大魚を逃した氏家は左フック,右ストレートに破壊力がある右ボクサーファイター。2度倒して優位に立ったが,江口の強気の攻めに遭い,消極的になってしまったことが惜しまれる。良いものを持っているので,今回の教訓を生かして捲土重来を期して欲しい。

     主審:原田武夫,副審:宮崎久利&北村信行&野田昌宏
     ○江口:15戦14勝(10KO)1敗     ●氏家:16戦10勝(5KO)5敗1分
     放送:スカイA     解説:荒木慶大&山下正人     実況:藤崎健一郎

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                         2007年3月25日(日)    姫路市中央体育館
                                  8回戦
                  日本S・ライト級(ノーランク)  T   K   O   タイ国S・ライト級(ノーランク)
                ○  金井晶聡       3回2分19秒   ソムヌック・ソーウォラピン  ●
                     (姫路木下) 138 1/4 lbs                           (タイ) 136 lbs

 サウスポ−のソムヌックに対し,金井は前に出ながら右ストレートを伸ばす。
 2回,金井はソムヌックをロープに詰めて右ストレート,ボディへの左右アッパーをまとめる。中間距離から右ストレート,アッパーでボディを狙う。
 3回,呆気なく勝負が決まった。左右の細かい連打でプレッシャーをかける金井。ロープを背にしたソムヌックは右ストレートからの左フックでぐらつく。チャンスと見た金井がコーナーに釘付けにして左右のショートを乱打したところで宮崎主審がストップした。

 昨年9月以来久々に登場した金井は本来のフェザー級から大きく上げたスーパーライト級での復帰戦となった。細かいパンチを上下に散らしていた点は良かった。中間距離からボディを狙う右ストレート,アッパーも効果的。しかし,スーパーライト級でタイトルを狙うためにはチューンナップファイトを何試合かこなす必要がある。今後どのクラスで再起するか,かなり慎重な選択を迫られるだろう。

     主審:宮崎久利,副審:野田昌宏&半田隆基&北村信行
     ○金井:21戦18勝(17KO)3敗     ●ソムヌック:16戦8勝(1KO)7敗1分
     放送:スカイA     解説:荒木慶大     実況:田野和彦

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                2007年3月31日(土)    メキシコ・カンクン:コンベンションセンター
                              10回戦
                日本S・バンタム級8位   T   K   O    WBC世界フェザー級3位  
              ○   松田直樹      5回1分23秒     ルディ・ロペス   ●
                     (帝拳) 126 lbs                           (メキシコ) 126 lbs
                                            前WBC世界フェザー級チャンピオン

 初回,中間距離でワンツーから左アッパーを交換する両者。ロペスの左アッパーがアゴに決まり,松田は思わず尻もちをついてダウンを取られた。チャンスと見たロペスは勢いづいて攻め込む。
 2回,ロペスは積極的に攻め,ワンツー,ボディへの左アッパーを放つ。松田もよく持ち直し,3回にはロペスのボディ攻撃をブロックしながら右ストレートを返すなど,落ち着いてチャンスを伺った。
 4回,松田が反撃に転じた。手数を多くして攻めるロペス。しかし終盤,ロペスのボディブローの打ち終わりに松田が返した右ストレートが決まる。このパンチでロペスはもんどり打ってダウン。逆転を狙う松田が攻勢に出る。
 5回,劇的な幕切れが見られた。反撃に出るロペスに対し,落ち着いて対処する松田の右ストレート,左フックのタイミングが合い始めた。リング中央で右ストレートから返した左フックがものの見事にロペスのアゴを打ち抜く。このワンパンチでロペスは背中と後頭部をしたたか打ちつけて仰向けにキャンバスに沈んだ。ネイディ主審はためらわずノーカウントで試合をストップした。

 世界的には無名の松田が前世界王者ロペスをワンパンチで沈めるという快挙。初回にダウンを奪われたが,消極的にならなかったことが良い結果を生んだ。徐々に自分のペースを取り戻し,パンチのタイミングを合わせていったことが大逆転につながったと言える。フィニッシュの左フックはロペスが左アッパーを打とうとしてガードが開いたところにジャストミートしたもので,タイミング,角度ともに抜群。フォロースルーも十分で,誰が見ても立てないと言えるベストショットだった。フィニッシュブローを打ち抜いたときに松田の右グラブは確実に自分のアゴをカバーしており,この点でも今後左フックのカウンターの見本として語り継がれることは間違いない。
 王座陥落後の再起戦を地元で飾ろうとしたロペスだが,格下の松田を甘く見ていたフシがある。ガードが低く,パンチの引きが遅い欠点を見事に突かれ,完敗となった。

     主審:ジェイ・ネイディ(米国),副審:不明
     ○松田:37戦27勝(10KO)7敗3分     ●ロペス:24戦19勝(13KO)4敗1分
     放送:WOWOW     解説:ジョー小泉&浜田剛史     実況:高柳謙一     アシスタント:中野知美

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