熱戦譜〜2006年3月の試合から


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試合日 試合 結果
2006.03.04  WBA世界ミニマム級
 タイトルマッチ12回戦
 新井田豊  判定  ロナルド・バレラ
2006.03.04  日本スーパー・ライト級
 タイトルマッチ10回戦
 木村登勇  TKO7R  長瀬慎弥
2006.03.04 8回戦  三浦隆司  KO1R  小倉健太郎
2006.03.08 10回戦  亀田興毅  KO6R  カルロス・ボウチャン
2006.03.08 8回戦  渡部信宣  TKO2R  西川和孝
2006.03.11 10回戦  福島学  判定  カオナー・クロンパジョン
2006.03.11 8回戦  トラッシュ中沼  KO2R  クリストファ・テポラ
2006.03.18  日本ミニマム級
 タイトルマッチ10回戦
 高山勝成  9R負傷判定  小熊坂諭
2006.03.18 10回戦  氏家福太郎  3R負傷引き分け  中堀智永
10 2006.03.18 8回戦  辻 昌建  引き分け  斉藤直人
11 2006.03.21  日本ウェルター級
 タイトルマッチ10回戦
 大曲輝斉  KO2R  竹中義則
12 2006.03.22 10回戦  久高寛之  KO3R  ユーシ・ウアサンパン
13 2006.03.22 8回戦  奈須勇樹  TKO2R  チャンリット・オースワナシン
14 2006.03.25  WBC世界バンタム級
 タイトルマッチ12回戦
 長谷川穂積  TKO9R  ウィラポン・ナコンルアンプロモーション
15 2006.03.25 6回戦  エドウィン・バレロ  TKO2R  ヘナロ・トラサンコス
16 2006.03.25 6回戦  粟生隆寛  KO2R  オズワルド・ファレス
17 2006.03.25 6回戦  武本在樹  判定  クラブデン・キャットグリリーン
18 2006.03.25 6回戦  玉越強平  判定  丹羽賢史
19 2006.03.26 10回戦  江口啓二  KO1R  ペッチチンチャイ・パラムユック
20 2006.03.26 10回戦  三谷将之  KO1R  サムヨット・ウォルソラポン
21 2006.03.26 6回戦  西尾彰人  KO2R  竹下寛刀

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                       2006年3月4日(土)    後楽園ホール
                      WBA世界ミニマム級タイトルマッチ12回戦
                     チャンピオン            挑戦者(同級1位)  
                ○   新井田豊     判 定   ロナルド・バレラ  ●
                         (横浜光) 104 lbs              (コロンビア) 105 lbs

 初回から左右にスイッチするバレラ。新井田も左にスイッチして見せるが,バレラはどんどん前に出てスムーズな連打を繰り出す。新井田は出足を止めたいところ。2回,新井田はようやく左フックをヒットし,右ストレート,ボディへの左アッパーにつなげる。
 4回,新井田が先手を取った。バレラをロープに詰め,体を沈めて左アッパー,フックをボディからアゴに連発。頻繁にスイッチするバレラに対して新井田は再びボディへの左フック,アッパーから顔面に左フックを切り返す速い連打で迫る。
 しかし,新井田が手数を止めるとバレラはどんどん前に出て来る。中盤の新井田は先手を取られ,決定打こそ許さないものの,バレラの前進を止められずに苦しむ展開が続いた。10回,ようやく先に手を出し,バレラが前に出にくい状態を作ったが,決定的なポイントを奪うには至らない。11回,バレラの左ストレートが新井田のボディを捉える。劣勢と見た新井田は12回,ようやく渾身の連打を見せてポイントを奪う。バレラも打ち返し,混沌とした展開の中で終了ゴングを聞いた。

 新井田が薄氷の勝利で4度目の防衛に成功した。何と言っても,若いバレラを調子に乗せてしまったことが悔やまれる。どんどん前に出て来るバレラの出足を止められる攻撃ができなかったことが不本意な試合内容になってしまった原因。4・10回に先手を新井田が取るとバレラが消極的なボクシングになる場面があったが,こういうボクシングを続けるべきだった。37.9℃という発熱の影響もあってか,待ちのボクシングになる新井田の最も悪い癖が出たと言える。この欠点を矯正しない限り,今後も苦しい防衛戦が続くと言わざるを得ない。
 ”謎の挑戦者”と言われたバレラは,左に右にと目まぐるしくスイッチしながらどんどん前に出て来る。パンチ力はないが,左右ストレート,フックを間断なく繰り出すので,相手としてはその出足を止めることが最大のポイントになる。先手を取られると出足が止まってやや消極的になる傾向がある。@膝の柔軟性に欠けるため,パンチを出す際にやや前のめりになる瞬間があることA頻繁にスイッチするため,両足が揃うことの2点が欠点として目に留まった。

採点結果 新井田 バレラ
主審:デレク・ミルハム(豪州) *** ***
副審:ジャン・フランソワ・トゥーパン(フランス) 117 111
副審:チャラーム・プラヤドサブ(タイ) 115 113
副審:ユー・ワン・スー(韓国) 116 112
参考:MAOMIE 114 114


     ○新井田:24戦20勝(8KO)1敗3分
     ●バレラ:17戦14勝(8KO)2敗1分

     放送:G+
     解説:ファイティング原田&浜田剛史&セレス小林
     実況:寺島淳司

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                          2006年3月4日(土)    後楽園ホール
                        日本スーパー・ライト級タイトルマッチ10回戦
                     チャンピオン    T   K   O   挑戦者(同級1位)  
                ○   木村登勇   7回2分20秒     長瀬慎弥  ●
                        (横浜光) 140 lbs                (フラッシュ赤羽) 139 3/4 lbs
                       WBC14位

 余裕綽綽の立ち上がりを見せる木村。長瀬は右ストレートを伸ばすが,前進力に乗せた左ストレートがヒットし,早くもダウン。右フックで2度目のダウンを喫した長瀬だが,何とか初回KO負けを免れた。
 序盤戦での決着間違いなしと思われた展開だったが,試合は予想外に長引いた。強打を警戒して消極的になる長瀬に対し,木村はフィニッシュを意識して硬くなる。それでも木村はジワジワとプレッシャーをかけ,左フックのボディブロー,右フックで徐々にダメージを与えた。長瀬は自分から打ち合いに出るが,右ストレートを伸ばすのがやっと。
 4回,長瀬をロープに押し込んで左右アッパーでボディを叩く。木村はやや攻めあぐむが,6回,左アッパーのボディブローから攻勢に出る。長瀬も果敢に打ち返すが,木村はコーナーに詰めて左ストレート,左右フックでラッシュを見せる。
 よくがんばる長瀬だが,ボディも効いて動きが鈍り,7回に捕まった。右フックからの左ストレートで大きくのけぞってロープに飛ぶ長瀬。チャンスと見た木村は一気に攻勢。左ストレートを受けた長瀬は今にも倒れそうになる。最後の粘りを見せる長瀬だが,コーナーで右フックに次ぐ左ストレートを打ち込まれて崩れるようにダウン。もはやこれまでと見た福地主審はカウントの途中で試合を止めた。

 木村はこれで3連続KO防衛を含む6度目の防衛に成功。初回に2度倒したため,KOを意識し過ぎて硬くなった面はあるが,まずは磐石のKO防衛と言える。攻め急がず,ボディブローを交えるなど落ち着いて攻めていた点を高く評価したい。このあたりがキャリアの成せる業なのだろう。独特の間合いから放たれる左ストレート,左右フックはさらに破壊力を増している。そろそろ上を狙ってもいいだろう。このクラスでいきなり世界挑戦は難しいので,金正範(韓国)のOPBF王座への挑戦が実現すれば興味深い試合になるだろう。
 無敗で初挑戦の長瀬は変則的な右ファイタータイプで,右ストレート,左フックにパンチ力がある。ただ木村のキャリア,パワーに呑まれ,腰が引ける場面が目立ったのは残念。待っていては勝負にならないことは明白なので,思い切った攻めに出ても良かったと思う。気迫と粘りは買えるが,実力の差はどうにもならなかったと言える。初回のピンチをよく切り抜けたが,木村のパンチで徐々にダメージが蓄積しており,早晩捕まるのは目に見えていた。伸びしろはあるので,捲土重来に期待したい。

6回までの採点 木村 長瀬
主審:福地勇治 *** ***
副審:浦谷信彰 60 53
副審:山田一公 60 53
副審:安部和夫 60 53
参考:MAOMIE 60 53


     ○木村:35戦28勝(13KO)5敗2分
     ●長瀬:12戦10勝(6KO)1敗1分

     放送:G+
     解説:浜田剛史&セレス小林
     実況:高橋雄一

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                          2006年3月4日(土)    後楽園ホール
                                    8回戦
                     日本ライト級(ノーランク)   K      O   日本ライト級(ノーランク)
                  ○   三浦隆司     1回2分50秒    小倉健太郎   ●
                         (横浜光) 134 1/2 lbs                      (ワタナベ) 134 3/4 lbs

 滑り出しから強打者同士の迫力あるパンチの交換となった。小倉の右ストレートがアゴに決まり,腰と膝を揺らした三浦は大きくバランスを崩していきなりピンチを迎える。しかし,勢い込んで出たところ,首の後ろに巻き込むような右フックが当たり,バランスを崩した小倉は両手をキャンバスにつく。これはナックルパートが当たっていなかったが,浅尾主審はノックダウンと判断してカウントを取った。
 再開後小倉は反撃に出るが,右ストレートをミスしたところに強烈な左アッパーのカウンターをアゴに食い,たまらず2度目のダウン。右フック,左ストレートで一気に攻め立てる三浦。最後は左ストレートで3度目のダウンを喫して万事休す。

 相変わらずのパンチ力を見せた三浦。膝が硬い欠点も相変わらずだが,ほとんど上体だけで打っているにも関わらず,あれだけの破壊力があるのは驚異的である。小倉の右でダウン寸前のピンチを迎えていたが,落ち着いて攻めていたことが奏功した。2度目のダウンを奪った左アッパーは相手の動きを見切った見事なカウンターである。左ストレートだけに頼らず,右フックを有効に使っている点を高く評価したい。
 小倉は左フック,右ストレートに破壊力がある右ファイター。ややラフな面があり,そこを三浦に突かれてしまった。

 この試合では浅尾主審のレフェリングに少々問題があると感じた。最初のダウンをノックダウンと判断したのも大いに問題だが,3度目のダウンにつながった左ストレートがヒットする直前に三浦が攻勢に出た際,一度両選手の間に割って入る気配を見せている。この場面ではクリンチがあったわけでもなく,ストップする目的以外には特に割って入る意味がないはず。割って入る動作が緩慢なために三浦の左ストレートによる追撃を許してしまった。その上3度目のダウンにも関わらず,三浦にニュートラルコーナーに下がるように命じてなおもカウントを取ろうとする素振りを見せている。何度目のダウンなのか混乱してしまったようで,タイムキーパーが鳴らしたフィニッシュを知らせるゴングによってようやく3度目のダウンと認識したように見えた。ベテラン審判員らしからぬミスである。選手の間に割って入る際の主審の曖昧な動作はひとつ間違えば事故にもつながりかねない。審判員全体の問題として猛省を促したい。

     主審:浅尾和信,副審:浦谷信彰&吉田和敏&福地勇治
     ○三浦:10戦9勝(8KO)1分     ●小倉:15戦6勝(5KO)8敗1分
     放送:G+     解説:なし     実況:長谷川憲司

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                           2006年3月8日(水)    両国国技館
                                   10回戦
                     WBA世界フライ級4位    K      O   WBC世界フライ級13位
                  ○   亀田興毅     6回2分20秒   カルロス・ボウチャン   ●
                           (協栄) 112 lbs                        (メキシコ) 112 lbs
                        WBC8位

 初回からオーソドックスな構えでスピーディな連打をまとめるボウチャン。亀田は例によってグラブで顔面をガッチリとガードしながら前に出る。亀田は左ストレートをクリーンヒットしてチャンスを掴み,早くも一気にたたみかける先制攻撃を見せた。
 3回,右フック,左ストレートで攻勢に出る亀田。体を密着させ,腰が入った右フック,左アッパーをボディに叩き込んでボウチャンの動きを止める作戦に出る。さらに右フックをダブルで顔面に持って行く。亀田の荒々しいボディ攻撃にボウチャンは上体を折り曲げて苦しげな表情を見せた。4回,前に出て来ないボウチャンを挑発する亀田。右フック,左アッパーでボディを攻めるが,力みも目立った。
 スピーディな連打でしぶとく食い下がるボウチャンに手を焼く場面もあった亀田だが,6回に勝負に出る。亀田は左右アッパーをボディに集中して一気にラッシュ。明らかなローブローもあったが,浅尾主審はそのまま試合を続行させた。ローブローを訴えるボウチャンだが,最後は亀田の左アッパーがボディを捉えてダウン。そのままカウントアウトされた。

 世界ランカー同士の対決とあって迫力ある攻防となったが,亀田は技巧派のボウチャンをパワーで圧倒した。ガードを固めてボディから着実に攻めていた点は高く評価できる。しかし,力みが目立ち,接近するまでのパンチがないことが非常に問題。これでは世界レベルの質の高い相手には通用しない。もっと右ジャブ,フックを上手に使うことを身につけるべきだろう。3回に見せた右のダブルフックのようなテクニックがあるのだから,それを生かすべき。フェイントのような高等技術も欲しいところ。もうひとつ苦言を呈すれば,頭突きやローブローなどの再三の反則行為である。故意と見られても弁解できないものも見受けられた。気迫は買うが,反則は最悪の場合には失格に直結する。世界戦のような国際試合を望むならば,大いに反省すべき点である。
 ボウチャンはスピーディなコンビネーションブローを得意とする正統派スタイルの右ファイタータイプ。左ジャブからワンツー,左フック,アッパーがまとめて出ることが強み。ただしパンチは多彩だが,攻撃パターンは比較的オーソドックスで正直な面がある。
 亀田の反則行為に浅尾主審のお咎めなしは大いに問題である。死角に入ったと思われるローブローもあったが,そうでないものもあった。中にはまともに金的を捉えているものもあり,減点を課し,ボウチャンに休息を与えるなどの迅速な処置が必要だったはず。ゴールデンタイムに放送された異例の試合であり,一般視聴者に与える影響は非常に大きい。不要な誤解を避ける意味でも,審判員には厳正な対応が望まれる。

5回までの採点 亀田 ボウチャン
主審:浅尾和信 *** ***
副審:熊崎広大 50 47
副審:浦谷信彰 50 46
副審:安部和夫 50 45
参考:MAOMIE 49 47


     ○亀田:10戦10勝(9KO)
     ●ボウチャン:22戦16勝(12KO)6敗

     放送:TBS
     解説:鬼塚勝也&竹原慎二&畑山隆則
     実況:土井敏之

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                           2006年3月8日(水)    両国国技館
                                   8回戦
                     日本ウェルター級10位    T   K   O   日本ウェルター級3位
                  ○   渡部信宣      2回2分33秒     西川和孝  ●
                          (協栄) 145 1/2 lbs                      (中外) 145 1/4 lbs
                    渡部信宣=わたなべ・あきのり

 開始ゴングと同時に西川が粗っぽい左右フックで猛然と襲いかかる。戸惑いの表情を見せた渡部だが,ここは落ち着いて右フック,左ストレートを決めて盛り返した。左ストレートでのけぞった西川の足元が怪しくなる。攻勢に出た渡部の強烈な左ストレートがアゴに決まり,西川はもんどり打ってダウン。立ち上がったところでゴングに救われた。
 2回,足をガクガクさせながら渡部をコーナーに詰めて猛然と反撃する西川だが,渡部はよく見て左アッパー,左右フックを的確に決める。渡部の右フック,左ストレートでまた足元をふらつかせる西川は鼻血に顔面を染めて食い下がるが,右フックでグロッギー。チャンスと見た渡部は一気に攻勢に出る。防戦一方となった西川をロープからコーナーに追った渡部が左右連打を浴びせたところで福地主審が試合を止めた。

 上昇気流に乗る新鋭・渡部が派手な打撃戦を制した。猛牛のような西川の先制攻撃に戸惑う場面は見られたが,落ち着いて的確に打ち返していた点が良かった。サウスポーのファイタータイプで負けん気の強さが売り物。右フック,左ストレートにパンチ力がある。ディフェンスに不安があるが,勢いに乗っており,上位進出を果たせば台風の目になる可能性がある。
 西川はガッシリとした体躯の右ファイタータイプで,粗っぽい左右フックの連打が武器。タフで気迫十分のブルファイターだが,渡部に動きを読まれ,右フック,左ストレートを浴びてからは急速にスローダウンした。

     主審:福地勇治,副審:不明
     ○渡部:7戦7勝(6KO)     ●西川:20戦14勝(5KO)5敗1分
     放送:TBS     解説:なし     実況:新夕悦男

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                          2006年3月11日(土)    後楽園ホール
                                  10回戦
                     WBA世界バンタム級4位         タイ国バンタム級チャンピオン  
                  ○    福島 学      判 定   カオナー・クロンパジョン  ●
                         (JBスポーツ) 119 3/4 lbs                  (タイ) 118 3/4 lbs

 立ち上がりから積極的にプレッシャーをかける福島。カオナーも負けずに右ストレートで応戦するが,福島は右フックのボディ狙いから顔面に右フックを放つ。
 しかし,2回以降,福島は最大の欠点であるディフェンスの甘さを露呈した。勢い込んで攻めたところにカオナーの右ストレートをもらう場面が目立った。3回には不用意に下がったところに右ストレートを打ち込まれてヒヤリとさせる。福島は4回にも左フックを食ってのけぞり,防御面に不安のあるところを見せた。
 5回以降,不用意な被弾をしながらも福島が徐々に主導権を握った。6回終盤には右ストレートでチャンスを掴み,攻勢を仕掛ける。
 10回,福島は大きな右フックでぐらつかせ,カオナーをロープに詰めてラッシュを見せる。しかし,疲れが出て最後まで攻め切れないまま終了ゴングを聞いた。

 福島は勝つには勝ったが,再三の不用意な被弾が目立ち,世界4位の肩書きが泣くような試合内容となった。相変わらずのディフェンスの甘さが出てしまい,芯は外しているものの,カオナーの右ストレート,左フックを食う場面が多かった。入り際や離れ際に打たれることが多く,不満を残す結果となった。基礎からの立て直しが求められる。
 カオナーは左フック,右ストレートを武器とする右ファイターで,しぶとい戦いをする。

採点結果 福島 カオナー
主審:ウクリッド・サラサス *** ***
副審:土屋末広 97 95
副審:館 秀男 97 94
副審:島川 威 99 93
参考:MAOMIE 97 95


     ○福島:37戦29勝(19KO)6敗2分
     ●カオナー:24戦13勝(9KO)11敗

     放送:G+
     解説:飯田覚士
     実況:長谷川憲司

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                          2006年3月11日(土)    後楽園ホール
                                    8回戦
                     WBC世界フライ級7位    K      O   比国ライトフライ級9位
                  ○  トラッシュ中沼     2回3分00秒    クリストファ・テポラ   ●
                           (国際) 114 1/4 lbs                        (比国) 115 lbs
                        WBA8位

 初回,長身のテポラがワンツー,左フックでジリジリと前に出る。中沼は得意の覗き見スタイルでこれを迎え撃ち,右フック,ボディへの左アッパーを放つ。
 2回,勝負は呆気なく決まった。左アッパー,右フックでプレッシャーをかける中沼。渾身の左アッパーがレバーをえぐれば,ワンテンポ遅れて苦悶の表情を浮かべたテポラはたまらずダウン。同じパンチで2度目のダウン。立ち上がったテポラは中沼の左ボディブローに膝が落ちそうになりながら耐え,左右アッパー,ワンツーで反撃を試みる。しかし,コーナーで左アッパーをボディに打ち込まれ,ついに3度目のダウンで万事休す。

 ロレンソ・パーラ(ベネズエラ)のWBA王座に挑戦して敗れて以来1年2ヶ月ぶりの試合となった中沼が鮮やかなKOで復帰戦を飾った。グラブで顔面をカバーしながら,相手の打ち終わりにパンチを返す試合運びは変わらないが,いつもより手数が出ていた点は評価できる。スピード,切れは十分であり,合格点が付けられるカムバックである。欠点である手数の少なさをいかに克服するかが課題である。中沼の復帰により,層の厚さを誇る日本のフライ級に持ち駒がもう一枚増えた。今後が楽しみである。
 テポラは身長170cmというこのクラスとしては非常に背が高い右ボクサーファイター。ワンツー,左フック,左右アッパーなどの多彩なパンチを持っており,思い切った攻撃が身上である。

     主審:土屋末広,副審:館秀男&島川威&ウクリッド・サラサス
     ○中沼:32戦26勝(12KO)6敗     ●テポラ:17戦8勝(3KO)4敗5分
     放送:G+     解説:なし     実況:高橋雄一

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                       2006年3月18日(土)    後楽園ホール
                        日本ミニマム級タイトルマッチ10回戦
                   挑戦者(WBC4位)    負 傷 判 定      チャンピオン
                ○   高山勝成     9回2分48秒   小熊坂 諭  ●
                      (グリーンツダ) 105 lbs                     (新日本木村) 105 lbs
                       WBA10位                       WBC3位,WBA5位

 立ち上がりから積極的に高山が仕かけ,小熊坂が迎え撃つという展開に終始した。高山の右ストレート,左フック,アッパーに対し,小熊坂はロープを背に左ストレート,アッパーを合わせる。2回,高山の右ストレート,左アッパーで小熊坂の顔が上を向く場面が見られた。
 3・4回,小熊坂は前に出る高山を引き寄せておいてカウンター気味の左アッパーをボディに合わせ,高山が前に出にくい状況を作るが,バッティングで右目上をカットするハンデを負った。
 5回,高山が左フック,右ストレートのコンビネーションで小熊坂を追い込む。鋭いステップインからスピードに乗ったパンチを見せる高山。6回,調子を上げてテンポ良く攻める高山は右ストレートのボディブローから顔面に左フックをフォローして小熊坂を苦しめた。高山は大振りになる場面もあったが,7回までは積極的な試合運びで主導権を握った。
 8回,ポイントでリードされていると見た小熊坂が待ちのボクシングを捨てて,リング中央で大きな左右フック,アッパーを狙い打ちする。高山は芯こそ外したが,危ないタイミングで左フックを食い,ヒヤリとさせる場面があった。この回は高山の出足が止まった。
 9回,小熊坂の左アッパーが再び危ないタイミングでヒット。反撃の構えを見せる小熊坂だが,バッティングで左目上をカットし,ドクターチェックを受ける。結局試合続行不能となり,ストップされた。

 世界戦経験者同士による日本タイトル戦として注目されたが,手数とスピードで上回る高山が元世界王者の意地を見せた。安定王者として君臨した小熊坂は8度目の防衛に失敗。
 高山はスピーディな出入りに乗せて放つ左右のコンビネーションブローで前半から中盤にかけてリードした。小熊坂の左ストレート,アッパーに出足を止められる場面も見られたが,徐々に調子を上げてテンポ良く攻めていたことが勝因。客観的に見て,現時点でWBA王者・新井田豊(横浜光)やWBC王者・イーグル京和(角海老宝石)とは実力差があることは否定できないが,経験を積めば再びチャンスはあるだろう。まだ若いので,焦る必要は全くない。復活に向けてはいろいろな相手とグラブを交え,とにかくキャリアを積むことが最優先である。持ち味である激しい出入りのボクシングに徹すれば必ずチャンスが開けるはず。
 小熊坂は前に出る高山を引き寄せておいて合わせる左アッパーのボディブローを多用していた。このカウンターで足を止めるとともに,前に出にくくなる状況を作ろうとする作戦が窺えた。この辺は老獪なところを見せた。リードされて迎えた8回から流れを変えに出ていたが,手数が多い高山に対して待ちのボクシングが響いた。

採点結果 高山 小熊坂
主審:ビニー・マーチン *** ***
副審:杉山利夫 87 85
副審:土屋末広 87 86
副審:葛城明彦 87 85
参考:MAOMIE 86 85


     ○高山:19戦17勝(7KO)2敗
     ●小熊坂:34戦24勝(9KO)7敗3分

     放送:G+
     解説:葛西裕一
     実況:鈴木健

※ 9回途中に小熊坂が偶然のバッティングで負った傷によって試合続行不能となったため,当該の9回を含む採点で勝敗を決する。

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                       2006年3月18日(土)    後楽園ホール
                               10回戦
                    日本ミドル級2位   負傷引き分け   日本ミドル級3位
                ×  氏家福太郎   3 回 2 0 秒    中堀智永  ×
                      (新日本木村) 160 lbs                   (本多) 159 1/2 lbs

 初回から接近戦を挑んで強打を振るう中堀。氏家は様子見のためか,落ち着いている。右ストレートのクリーンヒットでぐらつかせて攻勢に出る氏家。
 2回,中堀は変則的な動きで氏家をロープに詰め,左右フックのボディ攻撃に出る。氏家は警戒して足を使いながらカウンターのチャンスを窺う。終盤,今度は中堀の右フックがクリーンヒット。
 重量級らしい緊迫感漂う中で迎えた3回開始早々,氏家をロープに詰めた中堀は連打をまとめるが,ここでバッティングが発生して氏家は額を大きくカット。ドクターチェックの結果,試合続行不能と診断され,ここでストップとなった。

 パンチ力のある上位ランカー同士の対戦とあって期待されたカードだが,不完全燃焼に終わった。お互いのパンチの交換があってこれからという矢先のアクシデントであり,再戦に期待する。
 氏家は進境著しい右ファイタータイプ。右ストレートの一発強打に加え,重量級には珍しく左右のショート連打を上下に散らすなどの小技が効く。いずれはタイトル挑戦のチャンスが訪れるだろう。後手に回らぬように自分から試合を作ることに徹すれば必ず好結果が得られるはず。いつものことながら,試合中・試合後の礼儀正しくフェアな態度に好感が持てる。誠実な人柄が窺われる。
 中堀は変則的な右ファイタータイプで左右フックに威力がある。相手をロープに詰めてから見せる左右フックが武器。

     主審:土屋末広,副審:島川威&ビニー・マーチン&ウクリッド・サラサス
     ×氏家:13戦8勝(3KO)4敗1分     ×中堀:16戦13勝(6KO)2敗1分
     放送:G+     解説:なし     実況:中野謙吾

※ 3回途中に氏家が偶然のバッティングで負った傷によって試合続行不能となったもの。10回戦において規定の5回に入っていないので,負傷引き分けとなる。

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                       2006年3月18日(土)    後楽園ホール
                               8回戦
                    日本ミニマム級4位            日本ミニマム級(ノーランク)
                 ×  辻 昌建    引き分け    斉藤直人   ×
                      (帝拳) 105 1/2 lbs               (角海老宝石) 105 3/4 lbs

 サウスポーの辻は初回から小刻みに動いてチャンスを窺い,上下への左ストレート,右フックを放つ。終了間際,辻の左ストレートが決まって斉藤がのけぞる。2回にもスピーディな動きに乗せた左ストレート,右フックで斉藤を追う辻。斉藤も左フック,右ストレートを返すが,終盤に左ストレートを受けてわずかに腰が落ちる場面があった。
 健闘する斉藤だが,アグレッシブに攻める辻の前に後手に回る場面が目立つ。5回,辻は接近戦を挑んで左右のボディ連打を見せる。斉藤も右ストレートをヒット。
 6回,やや動きが鈍った斉藤に対して辻は手数で上回る。7回開始ゴングと同時に勢いよく飛び出した辻が攻勢を仕かけた。斉藤も果敢に応戦したが,左ストレートで斉藤がわずかにぐらつく場面があった。
 8回終了間際,両者ともに足を止めて激しい打ち合いを見せた。

 手数とパンチの的確さで勝利は明白と見られた辻にとって,ドローは気の毒な判定と言える。サウスポーのファイタータイプで,スピードに乗った左ストレート,右フックによる積極的な攻めのボクシングを身上としている。アマチュアの実績があるだけに,基本がシッカリできて攻防のバランスが良い。上体を揺すって左右に動きながらどんどん手数を出しているところが長所。足を使って相手の攻撃をかわすだけになりがちだが,アグレッシブに攻めるために足を使っている点が目立つ。右フックにもいいものがあるので,右ジャブ,フックを多用することを心がければ攻撃に幅が出るだろう。難点を言えば,接近戦で攻撃が雑になること。大振りを避けてコンパクトに打つべき。
 斉藤は果敢に攻める右ファイタータイプ。頑張りは見事だったが,辻のスピードと手数に屈した。右ストレートを打つときにアゴが出る悪い癖があるので,これは矯正が必要である。

採点結果 斉藤
主審:ウクリッド・サラサス *** ***
副審:葛城明彦 79 75
副審:杉山利夫 76 77
副審:土屋末広 76 76
参考:MAOMIE 79 74


     ○辻:10戦8勝(3KO)1敗1分
     ●斉藤:16戦9勝(2KO)4敗3分

     放送:G+
     解説:なし
     実況:中野謙吾

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                          2006年3月21日(火)    後楽園ホール
                          日本ウェルター級タイトルマッチ10回戦
                        チャンピオン    K    O   挑戦者(同級2位)
                   ○  大曲輝斉    2回59秒    竹中義則   ●
                           (ヨネクラ) 147 lbs                  (尼崎亀谷) 146 3/4 lbs
                  大曲輝斉=おおまがり・てるよし

 開始早々から重戦車のように迫る大曲のペース。竹中も左アッパー,右ストレートを返すが,コーナーでアッパー気味の強烈な右アッパーがアゴを捉え,竹中はぐらついて思わずクリンチに逃れる。竹中は左目上をカットするハンデを負った(有効打によるもの)。
 2回,再び大曲が襲いかかる。右フックでバランスを崩した竹中は左フックを受けて右膝をついてダウン。これは再開されたが,大曲は腰が入った左右フック,アッパーで一気に襲いかかる。左アッパーでのけぞったところに右フックを打ち込まれ,竹中はたまらずうつ伏せに倒れこんで2度目のダウン。かろうじて立ち上がったものの,足元が定まらず,浦谷主審はそのままカウントアウトした。

 前日の1回目の計量で700グラムものオーバーという失態を演じた大曲。2週間前にこじらせたカゼによる調整不足のため,直前に6時間もサウナに入らざるを得なかった最悪のコンディションで迎えた初防衛戦だった。2時間後の再計量で事なきを得たが,スタミナの不安を抱いたままのリングインとなった。
 しかし,持ち前の強打で竹中を圧倒し,不安を一気に払拭したのは見事。腰の入った左右フックは強烈そのもの。接近して冷静に右アッパーを狙い打ちするなど,実力的にも格段の差があった。やはりあのパワーは群を抜いており,魅力である。
 4度目のタイトル挑戦となった竹中だが,またしても悲願達成は成らず,試合後に引退を表明した。右ストレート,左フックにパンチがある右ボクサーファイター。ときおりいいパンチを返していたが,大曲の圧倒的な威圧感に屈した。スタミナの不安を抱く大曲に対し,前半をしのいで後半に持ち込めば多少は勝機もあったが,正面から行っては勝ち味が薄い。潔く真っ向勝負に出た心意気は高く評価したい。

     主審:浦谷信彰,副審:染谷路朗&山田一公&熊崎広大
     ○大曲:23戦16勝(15KO)4敗3分     ●竹中:29戦22勝(20KO)6敗1分
     放送:スカイA     解説:大橋秀行&石本雅巳     実況:河路直樹

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                            2006年3月22日(水)    大阪市中央公会堂
                                     10回戦
                     WBA世界L・フライ級9位    K      O   タイ国S・フライ級(ノーランク)
                  ○    久高寛之      3回3分09秒    ユ-シ・ウアサンパン    ●
                         (グリーンツダ) 114 3/4 lbs                         (タイ) 115 lbs

 初回,ともに手数が少なく探り合いからスタートとなったが,踏み込んで放った久高の右フックが強烈なカウンターになり,ユーシは長身を揺らして早くもピンチを迎える。
 3回,少々やりにくそうな久高だが,終盤,強引にクリンチを振りほどいて右フックを振って仕かける。大きな右フックがアゴに決まり,ユーシは前のめりにダウン。立ち上がったものの足元がおぼつかず,そのままカウントアウトされた。

 世界ランク入り後の第一戦が初のメインイベントとなった久高。得意の右フックで豪快なKO勝ちとなったが,右に頼り過ぎて手数が少なく,長身のユーシを攻めあぐねる場面が見られた。威圧感がある右フックだが,逆の見方をすれば右以外に恐いパンチがなく攻撃の幅が足りないことが相手にとっては救いになる。上位を目指すためには,上体の振りや足の動きで揺さぶりをかけるなどの仕かけが必要である。今のままではいずれ限界が見えるだろう。そこが最大の課題となる。
 ユーシは170センチという長身の右ボクサーファイター。右から左の逆ワンツーやクリンチでの右アッパーなど,なかなかの曲者である。

     主審:大黒利明,副審:藤田輝雄&野田昌宏&宮崎久利
     ○久高:16戦12勝(4KO)3敗1分     ●ユーシ:21戦15勝(2KO)6敗
     放送:スカイA     解説:本田秀伸&中島健     実況:岩本計介

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                          2006年3月22日(水)    大阪市中央公会堂
                                  10回戦
                     日本フライ級10位     T   K   O   タイ国フライ級(ノーランク)
                  ○   奈須勇樹     2回2分32秒   チャンリット・オースワナシン    ●
                        (グリーンツダ) 114 3/4 lbs                       (タイ) 115 lbs

 初回,ジリジリと距離を詰めて破壊力満点の右ストレートから左フックを返す奈須。チャンリットも接近して右アッパー,フックで応戦。右フックを受けた奈須がロープ際に押し込まれる場面が見られた。終了間際,奈須は逆にチャンリットをロープに詰めて連打を見せた。
 2回,体力差を利して右アッパー,ストレートで押し込んでいくチャンリット。奈須は被弾が目立ち,苦戦を強いられる。しかし,2分ジャスト,左フックがテンプルに決まり,チャンリットは腰が落ちてロープを背にする。チャンスと見た奈須は一気に襲いかかり,集中打を浴びせる。右フックで棒立ちになったチャンリットはさらに右フック2発を追い討ちされ,たまらず前のめりにキャンバスに落下。野田主審はノーカウントで試合を止めた。

 関西期待のホープ奈須は右ストレート,左フックに破壊力がある右ファイタータイプ。今夜はチャンリットの積極的な攻撃に戸惑い,押し込まれて苦戦の様相を呈したが,一発で形勢を逆転したのは見事。受けに回ったことが苦戦の原因なので,上体の振りを使って揺さぶり,フェイントをかけるなどして先に手を出すことが重要。左右への動きだけでなく,前後の鋭い出入りが身につけば非常に楽しみな若手である。
 チャンリットは今夜がデビュー戦だが,ムエタイで200戦165勝というリングキャリアを持っている。右ボクサータイプで右アッパー,ストレートを振って積極的な攻撃を展開する。

     主審:野田昌宏,副審:北村信行&原田武男&藤田輝雄
     ○奈須:10戦10勝(8KO)     ●チャンリット:1戦1敗
     放送:スカイA     解説:本田秀伸&中島健     実況:岩本計介

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                      2006年3月25日(土)    神戸ワールド記念ホール
                        WBC世界バンタム級タイトルマッチ12回戦
                      チャンピオン     T  K O      挑戦者(同級1位)  
                ○   長谷川穂積   9回19秒   ウィラポン・ナコンルアンプロモーション   ●
                        (千里馬神戸) 118 lbs                      (タイ) 117 3/4 lbs

 長谷川が好調な滑り出しを見せた。ジリジリと距離を詰めるウィラポンの出バナに,左ストレート,右フックを的確にヒット。長谷川はやや鈍重なウィラポンに対してワンツー,左右のボディブローを決めて早くも主導権を握った。
 3回,長谷川は思い切った左アッパーをヒットしてすかさずワンツー,左右フックの速攻に出る。4回,長谷川は左のフェイントから右アッパーをヒット。さらに左アッパーからワンツーなど鋭いコンビネーションでウィラポンをリードした。5回,長谷川は左アッパーを受けてぐらついたウィラポンを追って攻勢に出る。
 6回,最初のヤマ場が訪れた。長谷川の左アッパーを食ったウィラポンはぐらついて後退。長谷川は一気に攻勢に出る。さらに左フックで腰が落ちたウィラポンはコーナーに下がってピンチ。チャンスと見た長谷川はロープに詰めてラッシュを見せる。ウィラポンは耐えるが押し返せない。長谷川の攻勢に場内の興奮は最高潮に達した。
 7・8回は大きくリードされたウィラポンが防衛14度のプライドを賭けて反撃に転じた。執拗に前に出て,右ストレート,ボディへの左右アッパーで攻勢を強めるウィラポン。
 イヤなムードになりかけたが,9回,長谷川がワンパンチでそれを払拭した。開始早々右ストレートに合わせて放った長谷川の右フックが絶妙なカウンターとなり,ガックリとキャンバスに崩れるウィラポン。予想以上に効いており,ウィラポンは元王者の意地を見せて立ち上がろうとしたが足が言うことを聞かない。ガルシア主審はカウントの途中で試合を止めた。

 見事な右フック一発でウィラポンを返り討ちに仕留めた長谷川は2度目の防衛に成功。内容的にも非常にハイレベルな攻防が展開され,見応えのある試合となった。
 長谷川は7・8回にややウィラポンの反撃を許す場面はあったが,スピード,切れ,パワーともに申し分なく,ほぼ完璧な勝利と言える。ウィラポンの先制攻撃を許さず,序盤で主導権を握ってしまったことが最大の勝因だろう。隙を見て突き上げる左アッパーから叩きつけるような左フックにつなぐ意表を突くコンビネーションブロー,正面からガードを割るようなワンツー,右アッパーなど,技術的にも多彩な攻撃が光った。思い切りや見極めの良さも抜群であり,すべての面で完全にウィラポンを上回っていた。欲を言えば右ジャブ,フックがもっと出れば鬼に金棒である。リベンジを狙って異常なほどの執念を見せたウィラポンを上回る防衛への意欲が十分に伝わる試合内容である。今後の精進によってはバンタム級での長期政権の構築に留まらず,複数階級での世界制覇,本場・米国のリングへの進出などの可能性さえ感じさせる。日本ボクシング界にとって具志堅用高,渡辺二郎以来久々の本格派王者への成長に期待したい。
 ウィラポンは王座奪回への凄まじい執念を見せたが,長谷川のスピードに追随できなかったことが敗因。37歳という年齢的な要因なのか動きが鈍重で,やや単調な攻撃を完全に読まれていた。

8回までの採点 長谷川 ウィラポン
主審:グアダルペ・ガルシア(メキシコ) *** ***
副審:ヒューバート・ミン(米国) 77 75
副審:マーティ・デンキン(米国) 77 75
副審:セルジオ・シルビ(イタリア) 77 75
参考:MAOMIE 78 74


     ○長谷川:22戦20勝(7KO)2敗
     ●ウィラポン:57戦52勝(37KO)3敗2分

     放送:G+
     解説:ファイティング原田&浜田剛史
     実況:村山喜彦

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                         2006年3月25日(土)    神戸ワールド記念ホール
                                      6回戦
                     WBA世界S・フェザー級4位   T   K   O   メキシコ S・フェザー級(ノーランク)
                  ○   エドウィン・バレロ     2回1分48秒      ヘナロ・トラサンコス   ●
                          (ベネズエラ=帝拳) 132 lbs                         (メキシコ) 130 3/4 lbs
                        WBC9位

 開始早々からバレロが豪腕を振ってプレッシャーをかける。左ストレート,左右フック,左アッパーを放って攻勢に出れば,トラサンコスは再三ロープに詰まり防戦一方。トラサンコスは圧倒的なプレッシャーをかわすのが精一杯の状態ながらも,バレロに初めて初回終了のゴングを聞かせた。
 2回,トラサンコスは意を決したように前に出て右フックをヒットする。しかし,バレロは構わず左ストレートをボディから顔面に連発してプレッシャーをかける。下がってかわそうとしたところに左ストレートをボディに受けたトラサンコスはワンテンポ遅れてたまらず膝をついてダウン。これまでと見た原田主審はノーカウントで試合を止めた。

 デビュー以来の連続初回KO勝ちの記録が18でストップしたバレロだが,相変わらず迫力十分の攻撃である。主武器の左ストレート,アッパーを上下に打ち分けてどんどん押しまくる。相手が圧力に負けて腰が引けてしまえばバレロの思うツボである。むしろ中に入り込んで引かずに迎え撃つことが最大のバレロ攻略法であるが,それをさせないほどの攻撃力だということだろう。ただし,ガードの甘さは要注意。今後は踏み止まってカウンターを合わせてくるような度胸を持った相手と対戦したときが正念場になるだろう。
 トラサンコスは長身の右ボクサータイプで右ストレートが武器。しかし,今夜はバレロの圧力に負け,かわすのが精一杯だった。

     主審:原田武男,副審:大黒利明&北村信行&安田裕候
     ○バレロ:19戦19勝(19KO)     ●トラサンコス:30戦21勝(12KO)8敗1分
     放送:G+     解説:セレス小林     実況:長谷川憲司

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                        2006年3月25日(土)    神戸ワールド記念ホール
                                   6回戦
                     日本フェザー級4位    K      O   メキシコ フェザー級(ノーランク)
                  ○   粟生隆寛     2回2分14秒     オズワルド・ファレス   ●
                          (帝拳) 127 1/2 lbs                         (メキシコ) 125 lbs

 初回,粟生が落ち着いた立ち上がりを見せた。早くも左アッパーのボディブローから左ストレートを見舞って迫る。ファレスもワンツー,左アッパーのアゴ打ちを見せるが,終盤,粟生の左から返しの右フックがクリーンヒットしてぐらつく。
 2回,粟生は左ストレートを上下に打ち分けて攻め込む。ファレスの右ストレートをスウェイバックでかわしざまに放った左ストレートがクリーンヒット。ファレスは呆気なく仰向けにダウン。立ち上がったものの,そのままカウントアウトされた。

 粟生はこれでデビュー以来無傷の11連勝。非常に落ち着いており,冷静な試合運びが光る。それを支えているのが類まれな度胸の良さである。上体の柔軟性に優れ,目と勘の良さは天性のものだろう。ただし,左ストレート,アッパーへの依存度が高く,右ジャブ,フックが少ないことが難点。そのため攻撃が単調になる欠点がある。ぜひ右の使い方をマスターして欲しい。今後はいろいろな相手とぶつかり,実戦で経験を積むことが肝心。

     主審:宮崎久利,副審:藤田輝雄&安田裕候&野田昌宏
     ○粟生:11戦11勝(7KO)     ●ファレス:14戦10勝(8KO)4敗
     放送:G+     解説:飯田覚士     実況:田中毅

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                      2006年3月25日(土)    神戸ワールド記念ホール
                                 6回戦
                     日本フェザー級3位              タイ国フェザー級1位
                  ○   武本在樹     判 定   クラブデン・キャットグリリーン  ●
                       (千里馬神戸) 127 3/4 lbs                (タイ) 127 3/4 lbs

 パンチ力に自信がある武本が初回からジリジリと迫り,右ストレート,左フックを伸ばしてプレッシャーをかける。2回,武本は右アッパー,ストレートをヒットしてリードを奪った。クラブデンも右フックを返すが,終了間際には武本の右ストレートでロープに詰まる。左アッパー,右ストレートに次ぐ右アッパー浴びせて攻勢をかける武本。
 4回,左右アッパーのボディブローが効果的な武本。右フックがヒットして倒れこむクラブデンだが,直前に足が交錯したようで判定はスリップ。しかし武本が左右の攻勢を強めるとクラブデンは防戦に回った。
 5・6回も武本のワンツー,上下への左右アッパーでワンサイドゲームとなった。

 武本は得意の右ストレートだけに頼らず,左右アッパーを織り交ぜた上下への打ち分けが見事だった。昨年4月に榎洋之(角海老宝石)の日本タイトルに挑戦して敗れたが,一発狙いでなく,今夜のようにコンビネーションブローに徹すれば再びチャンスが開けるだろう。
 クラブデンはしぶとい右ファイタータイプで,非常にタフ。ただし,ベタ足でスピードはない。

採点結果 武本 クラブデン
主審:野田昌宏 *** ***
副審:原田武男 60 54
副審:藤田輝雄 60 54
副審:宮崎久利 60 54
参考:MAOMIE 60 55


     ○武本:24戦18勝(11KO)5敗1分
     ●クラブデン:33戦24勝(5KO)9敗

     放送:G+
     解説:なし
     実況:尾山憲一

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                       2006年3月25日(土)    神戸ワールド記念ホール
                                 6回戦
                     日本S・バンタム級1位         日本フェザー級(ノーランク)
                  ○   玉越強平     判 定     丹羽賢史    ●
                       (千里馬神戸) 125 1/4 lbs            (グリーンツダ) 125 1/4 lbs

 低いガードから得意の左ジャブ,フックを放って牽制する玉越。丹羽は左からのワンツーを伸ばす。
 4回,完全に自分のリズムに乗った玉越は左ジャブをボディに。ロープを背にワンツーでチャンスを掴んだ玉越は素早く体を入れ替えてワンツー,左右フックの回転の速い連打をまとめる。玉越のボディ連打も効果的。
 5回,玉越は足を使い,機を見て左右の連打を回転させては距離を取る得意の戦法で丹羽を圧倒した。6回,玉越はフェイントから左右アッパーを放つ。足を使い,隙を突くように連打をまとめる変幻自在のボクシングを見せた。丹羽もワンツーで応戦するが,動きについていけないまま終了ゴングを聞いた。

 日本タイトル再挑戦を目指す玉越が変幻自在のボクシングでノーランカーの丹羽を圧倒した。持ち前のフットワークで距離を取り,機を見て連打をまとめるなかなかのテクニシャンである。上下への打ち分け,フェイントなどのテクニックもある。ただし,ガードが低いので,不用意な被弾は要注意。
 丹羽は右ファイタータイプでワンツー,左フックが武器。果敢に応戦していたが,玉越の変幻自在のボクシングについていけなかった。

採点結果 玉越 丹羽
主審:大黒利明 *** ***
副審:上中一郎 59 55
副審:宮崎久利 59 55
副審:原田武男 60 54
参考:MAOMIE (40) (37)


     ○玉越:25戦16勝(6KO)4敗5分
     ●丹羽:14戦5勝(2KO)6敗3分

     放送:G+
     解説:飯田覚士
     実況:尾山憲一

※ 第2・3ラウンドをカットして放送(MAOMIEの採点は第2・3ラウンドを除く集計結果です)。

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                   2006年3月26日(日)    リフレッシュパーク市川(兵庫県市川町)
                                 10回戦
                     日本ミドル級1位    K      O    タイ国ミドル級(ノーランク)
                  ○  江口啓二     1回2分25秒   ペッチチンチャイ・パラムユック  ●
                         (姫路木下) 160 lbs                       (タイ) 156 3/4 lbs

 開始早々から上体を振って重戦車のように迫る江口。スピードのないペッチチンチャイをコーナーに詰めて左ストレートを一閃。これが顔面に決まり,ペッチチンチャイは脆くも膝をついてダウン。左ストレートのボディブローから左右の追い討ちで2度目のダウン。立ち上がったが,左ストレートで3度目のダウンとなり,呆気なく勝負が決まった。

 パワーの差を見せつけた江口の圧勝。トップコンテンダーに登り詰め,日本タイトル挑戦のチャンスが直近に迫っている。サウスポースタイルから上体を揺すってリズムを取りながらプレッシャーをかけるファイトスタイルである。スピード不足ではあるが,アマチュア相撲の豊富なキャリアがあるだけに下半身の安定感は抜群。これが他の選手にない強味になっている。ただし,接近戦での打ち合いで上体が突っ立ってしまい,ディフェンスが甘くなることが欠点である。来るべきタイトル挑戦に向けての最大の課題になるだろう。

     主審:野田昌宏,副審:上中一郎&宮崎久利&安田裕候
     ○江口:13戦12勝(9KO)1敗     ●ペッチチンチャイ:13戦8勝(0KO)5敗
     放送:スカイA     解説:川端賢樹     実況:田野和彦

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                    2006年3月26日(日)    リフレッシュパーク市川(兵庫県市川町)
                                     10回戦
                     WBC世界バンタム級14位   K      O   タイ国バンタム級(ノーランク)
                   ○   三谷将之      1回2分47秒   サムヨット・ウォルソラポン   ●
                              (高砂) 118 lbs                         (タイ) 117 1/2 lbs

 三谷が開始ゴングと同時に小刻みに左ジャブを連打して前に出る。左ジャブから左右アッパーのボディブローを見せる三谷。左ジャブから踏み込んで放った右アッパーがアゴを捉え,サムヨットは呆気なく腰から落ちてキャンバスに沈んだ。しばらく立ち上がれないほどのダメージだった。

 三谷の鮮やかなワンパンチKOである。左ジャブからグッと踏み込んで右アッパーという流れるような見事なコンビネーションブローだった。長身でリーチに恵まれた右ボクサータイプである。スリムな体躯から左ジャブがよく出る。ワンツーに加えて,左右アッパーなどの多彩なパンチが出るのが強味である。

     主審:宮崎久利,副審:上中一郎&野田昌宏&北村信行
     ○三谷:17戦16勝(8KO)1敗     ●サムヨット:18戦12勝(3KO)6敗
     放送:スカイA     解説:川端賢樹     実況:田野和彦

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                   2006年3月26日(日)    リフレッシュパーク市川(兵庫県市川町)
                                    6回戦
                     日本S・ライト級(ノーランク)   K    O   日本S・ライト級(ノーランク)
                  ○    西尾彰人      2回38秒     竹下寛刀   ●
                           (姫路木下) 136 lbs                    (高砂) 136 3/4 lbs

 サウスポー同士の対決。初回,西尾はダラリとガードを下げて足を使い,誘うように後退する。竹下はワンツーを伸ばすが,届かない。終盤,クリンチからの離れ際に放った西尾の左ストレートが決まり,竹下は大きくぐらついてロープにもたれる。西尾の追撃で竹下はたまらずダウン。倒れた竹下にパンチを浴びせた西尾に対して減点1が課せられた。
 2回,ダメージを引きずる竹下をロープに詰めて攻勢に出る西尾。強烈な右フックがアゴを打ち抜けば,腰が砕けた竹下は仰向けにダウン。カウントの途中でタオルが投入された。

 西尾はサウスポーのボクサータイプ。長身から繰り出すワンツー,右フックを武器としている。ガードが低いが,上体が柔軟でパンチ力がある。
 同じサウスポーの竹下はややファイターに近い。ワンツー,左右フックで積極的に攻めるボクシングを身上としている。

 この試合の初回のダウンシーンにおける主審の処置には非常に大きな問題がある。ダウンした竹下に西尾の加撃があり,減点となった場面である。ノックダウンが発生してタイムキーパーのカウントが進んでいるにも関わらず,北村主審はふらついている竹下を放置したまま一時中断して西尾に減点を課す処置を優先させている。ノックダウンの発生から実際にカウントワンからカウントが開始されるまでに15秒間,カウントエイトまでには23秒間を費やしている。
 ダウンの際の主審の最大の責務は倒れた選手の状態を見極めることであり,続行可能か否かを判断することである。今回のケースではまずカウントを開始して倒れた選手の状況を見極め,続行可能ならばそこで中断して減点を課すなり,必要に応じて倒れた選手に休息を与えるのが正しい処置である。
 『空白の15秒間』で外見上はダメージが回復したように見えても,実際には深刻な状況だった可能性もある。結果的に2回KOとなったが,実際は初回KOとするべき試合だった可能性もある。判断の誤りや処置の拙さは生命の危険に直結するし,試合運営上も非常に問題が大きい。審判員全体の問題として捉えて,このようなことが起きないようにするべきである。

     主審:北村信行,副審:宮崎久利&安田裕候&野田昌宏
     ○西尾:11戦7勝(5KO)3敗1分     ●竹下:13戦9勝(6KO)4敗
     放送:スカイA     解説:川端賢樹     実況:田野和彦

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