熱戦譜〜2006年1月の試合から


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試合日 試合 結果
2006.01.07 10回戦  粟生隆寛  判定  リチャード・カリーリョ
2006.01.07 10回戦  ホルヘ・リナレス  KO1R  ジェフリー・オニャテ
2006.01.07 8回戦  佐藤幸治  TKO3R  崔 光鎮
2006.01.09  WBC世界ミニマム級
 タイトルマッチ12回戦
 イーグル京和  TKO7R  中島 健
2006.01.09 10回戦  川嶋勝重  TKO5R  ペットクロンパイ・ソータンティップ
2006.01.14  日本スーパーフェザー級
 王座決定10回戦
 小堀佑介  TKO2R  真鍋圭太
2006.01.14 10回戦  坂本博之  KO3R  マンコントーン・ポルソンクラム
2006.01.21  東洋太平洋フェザー級
 王座決定12回戦
 榎 洋之  KO2R  デンタクシン・スンギラーノーイナイ
2006.01.21  日本フェザー級
 王座決定10回戦
 渡邉一久  KO1R  阿部元一
10 2006.01.24  東洋太平洋&日本スーパーウェルター級
 タイトルマッチ12回戦
 クレイジー・キム  TKO9R  川崎タツキ
11 2006.01.24 10回戦  保住直孝  TKO9R  岡田山金太郎
12 2006.01.29  WBC世界フェザー級
 タイトルマッチ12回戦
 越本隆志  判定  池仁珍

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                          2006年1月7日(土)    後楽園ホール
                               10回戦
                    日本フェザー級7位         元WBA中南米S・バンタム級チャンピオン
                ○   粟生隆寛      判 定     リチャード・カリーリョ  ●
                        (帝拳) 127 1/2 lbs                (ベネズエラ) 128 lbs

 KO率9割超というカリーリョの強打を警戒し,粟生は慎重な立ち上がりを見せた。緊迫したスタートとなったが,2回,直線的なカリーリョの動きを読んだ粟生は足を使って距離を取り,出バナに右フック,左ストレートをカウンター気味にヒットする。粟生はさらに接近してボディに左アッパーをヒット。
 4回,カリーリョはやや焦りを見せ,サウスポーにスイッチする。粟生は相打ちの右フックをヒット。突っ込むカリーリョだが,粟生は冷静に右フックを引っ掛けてバランスを崩させた。
 5回,左ストレートの打ち終わりに右フックを合わされ,バランスを崩してファンをヒヤリとさせる粟生。勢いに乗って攻め込むカリーリョだが,アゴに右フックのカウンターが決まり,思わずキャンバスにグラブをついてダウンを取られた。立ち上がったが,右フックからの鮮やかな左ストレートで腰から落ちて2度目のダウン。左ストレートで腰が落ち,ロープにつかまって辛うじて3度目のダウンを免れるカリーリョ。フィニッシュを狙って攻勢に出る粟生だが,力が入ってKOチャンスを逸した。
 6回にも粟生の優勢が続く。2分過ぎ,上体を振ってミスブローを誘い,すかさずワンツーをクリーンヒットすれば,カリーリョは尻餅をついてこの試合3度目のダウン。
 7回,粟生は左を振って攻め込もうとした際,両足が揃ったところに右ストレートのカウンターを食い,バランスを崩してヒヤリとさせた。しかし,8回以降は安定感を取り戻した。8・9回はよく見てタイミングのいい右フック,左ストレートを巧打した。
 10回,逆転を狙って出てくるカリーリョだが,バッティングで左前額部をカットしてドクターチェック。粟生は右アッパーから左ストレートをヒット。激しい出血を気にして消極的になったカリーリョのボディに粟生の左アッパーが決まる。粟生の左ストレートが効いているカリーリョだが,最後までフィニッシュだけは拒絶した。

 緊張感あふれる好ファイトで,時間の経過が非常に早く感じられた。
 強敵カリ−リョに快勝した粟生。天性の目と勘に磨きがかかり,あらためて非凡な才能を見せつけた。上体を小刻みに揺さぶって相手のミスブローを誘い,打ち終わりに合わせるカウンターが絶妙だった。焦り気味に出るカリーリョに右フックを引っ掛けるなどの細かいテクニックも披露し,レベルアップの痕跡が見られた。立ち上がりは慎重だったが,直線的なカリーリョの動きを読んで2回以降完全に主導権を握ったのは見事である。試合運びの面からもかなりの進歩が感じられる。ハードパンチャーを相手に臆することがないハートの強さは何物にも代えがたい武器である。実績を積めば世界挑戦も視野に入るだろう。ただし,左ストレートを打って入ろうとする際に両足が揃うことがあるので,これはぜひ改善して欲しい。
 カリーリョは右ストレート,左フックに破壊力がある右ボクサーファイター。前評判どおりの強打者だったが,動きが正直で一本調子なのが欠点。そのため,正面からカウンターをもらう場面が目立った。

採点結果 粟生 カリーリョ
主審:島川威 *** ***
副審:山田一公 100 89
副審:土屋末広 99 89
副審:葛城明彦 99 88
参考:MAOMIE 99 89


     ○粟生:10戦10勝(6KO)
     ●カリーリョ:29戦24勝(23KO)5敗

     放送:G+
     解説:浜田剛史&セレス小林
     実況:田中毅

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                            2006年1月7日(土)    後楽園ホール
                                     10回戦
                   WBA・WBC世界フェザー級3位  K      O   比国フェザー級チャンピオン
                ○     ホルヘ・リナレス      1回1分59秒    ジェフリー・オニャテ  ●
                         (帝拳=ベネズエラ) 128 lbs                        (比国) 128 1/4 lbs

 開始早々から踏み込んで左ジャブをオニャテの顔面に突くリナレス。オニャテは打ち下ろしのワンツーで早くもバランスを崩す。あまりのスピードに場内からどよめきが漏れた。リナレスはなおも豪快な左アッパーをボディに送る。左ジャブで誘い,打ち下ろしの右ストレートを一閃。アゴの先端を打ち抜かれたオニャテは呆気なく崩れ落ちる。立ち上がりかけたが,足元が定まらず,そのままカウントアウトされた。

 目にも留まらぬ早業とはこのことだろう。フィニッシュの右ストレートは踏み込み,タイミングともに抜群。インパクトの瞬間にナックルが確実に返っており,十分なフォロースルーで急所を捉えた見事なカウンターだった。まだ19戦目,20歳という若さなので,本来ならば経験を積ませるべきところだが,リナレスに限ってはチャンスさえあれば今すぐにでも世界に挑戦しても面白いだろう。実力的にはすでに世界のトップレベルである。
 オニャテはしぶといボクシングをするベテランだけに,リナレスの実力を測るには格好の相手だが,あの右ストレートをまともに食っては立っていられない。

     主審:安部和夫,副審:染谷路朗&土屋末広&葛城明彦
     ○リナレス:19戦19勝(12KO)     ●オニャテ:60戦31勝(16KO)22敗7分
     放送:G+     解説:セレス小林     実況:村山喜彦

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                            2006年1月7日(土)    後楽園ホール
                                     8回戦
                     日本ミドル級(ノーランク)   T   K   O   韓国ミドル級3位
                 ○    佐藤幸治       3回1分50秒    崔 光鎮  ●
                          (帝拳) 159 lbs                           (韓国) 158 lbs
                                               OPBF5位,元韓国ミドル級チャンピオン

 初回から佐藤のペース。前に出る崔の出バナに伸びのいい左ジャブ,ストレートを浴びせて早くもリードする。リズムを取り,得意の左をビシビシとヒットする佐藤はさらに右ストレート,左右のボディ攻撃で迫る。
 佐藤は2回にも低いガードから左ジャブ,ストレートを多用してプレッシャーをかけた。コーナーに詰めて左右の強打でボディを叩く。右ストレートが効いてズルズルと後退する崔をコーナーに詰めて佐藤が右ストレート,左フックを浴びせる。
 一方的な展開となったが,3回,佐藤が一気に勝負を決めた。右フックを受けてコーナーに詰まった崔はワンツー,左右フックの乱打を浴びてたまらず崩れ落ちる。辛うじて立ち上がったが,ロープに釘付けとなり,佐藤の攻勢に晒される。右ストレートがボディを抉れば,崔はロープ際で崩れるように2度目のダウン。ここで土屋主審が試合を止めた。

 重量級のホープ佐藤がデビュー以来4連続KO勝ちで存在をアピールした。日本のこのクラスには珍しく左ジャブ,ストレートを軸に試合を組み立てる基本に忠実な右ボクサーファイターである。ガードが低いが,スムーズに左を出すことにつながっているので,これは無理をして矯正することはないだろう。ただし,パンチの引きを素早くすることが必要。それからアゴが上がらないように注意して欲しい。重量級の貴重なタレントなので,対戦相手の吟味に苦労が多いだろう。然るべき段階を踏み,経験を積むことが要求される。
 崔は左右フックを武器とする右ファイターだが,スピードがなく,動きが鈍い。

     主審:土屋末広,副審:島川威&染谷路朗&山田一公
     ○佐藤:4戦4勝(4KO)     ●崔:14戦7勝(6KO)6敗1分
     放送:G+     解説:なし     実況:中野謙吾

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                          2006年1月9日(月)    パシフィコ横浜
                         WBC世界ミニマム級タイトルマッチ12回戦
                        チャンピオン     T   K   O    挑戦者(同級8位)
                  ○  イーグル京和   7回1分01秒     中島 健   ●
                             (角海老宝石) 105 lbs                    (グリーンツダ) 105 lbs

 初回,早くも主導権を握ったのはイーグル。ワンツーから重い右フックをかぶせ,どんどんプレッシャーをかける。イーグルはさらに接近してボディへの右アッパー,左フックを上下に打ち分ける。イーグルの早い仕掛けに中島はバタバタと浮き足立ち,完全に後手に回った。
 3回,イーグルの右フックでのけぞる中島。さらにアゴへの右アッパーもヒット。完全に中島の力量を読み取ったイーグルは,右アッパーのボディブローからすかさず顔面への右フックをフォローし,先手先手の攻撃でプレッシャーをかける。中島は左アッパーのボディブローで挽回を図るが,そこに右フックを合わされた。
 4回,右ストレートに次ぐ左フックで中島の足がもつれる。KOチャンスとばかりに一気に仕掛けるイーグルに中島は防戦一方。
 中島は果敢に応戦するが,打ち終わりにパンチを打ち込まれた上に,ボディブローも効いて,ジリ貧に陥った。6回,イーグルは左右アッパーのボディ攻撃からワンツーの攻勢に出る。イーグルが終盤にパンチをボディに集めると,急激に失速した中島はロープにもたれてダウン寸前のピンチに追い込まれた。
 そして,7回に勝負が決まった。左アッパーのボディブローが効いて後退する中島。イーグルは一気に勝負に出る。左右のボディブロー,ワンツーで一気に襲いかかれば,防戦一方の中島は力なくロープを背にする。潮時と見た浦谷主審が素早く割って入り,無用な加撃から中島を救った。

 イーグル,磐石のTKOによる初防衛である。キャリアの浅い中島を全く問題とせず,堂々たる圧勝と言える。ワンツー,ボディへの左右アッパーあるいは肩越しの右ストレートなど,多彩なコンビネーションブローを披露した見事な勝利。中島とは引き出しの多さがケタ違いである。外国人ということで,日本のボクシング界で稼ぐには興行面からも相手選びなどでハンデがあるだろう。しかし,今回のような好ファイトを見せれば徐々に人気が出るはず。これからが正念場と言える。
 初挑戦の中島はよく耐えたが,敗因は作戦がどうのこうのという問題ではなく,実力の差以外の何物でもない。左ジャブが出ないため,踏み込みが鋭いイーグルの接近を簡単に許していた。左が出ずに待ちのボクシングではどんどん攻め込まれるのは当然。待ちに入っては攻め込まれ,出ていくとカウンターを合わされるというパターンで,手も足も出ないままの完敗となった。ここ数試合は世界ランカーとの試合をこなしていたが,やはり経験不足は否定できない。もう一度日本タイトルからやり直しを迫られよう。

6回までの採点 イーグル 中島
主審:浦谷信彰 *** ***
副審:トニー・カステラーノ(米国) 60 54
副審:エルメニオ・クエバス(メキシコ) 60 54
副審:宮崎久利 60 54
参考:MAOMIE 60 54


     ○イーグル:16戦15勝(6KO)1敗
     ●中島:17戦14勝(8KO)3敗

     放送:BSジャパン&テレビ東京
     解説:長谷川穂積&川嶋勝重
     実況:島田弘久

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                          2006年1月9日(月)    パシフィコ横浜
                                    10回戦
                元WBC世界S・フライ級チャンピオン    T   K   O      タイ国バンタム級チャンピオン
                  ○   川嶋勝重       5回2分21秒    ペットクロンパイ・ソータンティップ  ●
                             (大橋) 118 lbs                               (タイ) 116 3/4 lbs

 スタートから鋭い左ジャブ,ストレートをビシビシと連発する川嶋。打ち下ろしの右ストレートで早くもペットクロンパイが大きくバランスを崩す。
 2回以降は川嶋が左アッパー,フックをボディに集めた。3回,小柄なペットクロンパイがときおり左フック,右ストレートで応戦する。川嶋はロープに詰めて,左ボディブローから上への右フックで襲いかかる。
 5回,川嶋が一気に勝負を決めた。左ジャブからの右ストレートをアゴの先端に打ち下ろされたペットクロンパイは大きくぐらついて後退。怒涛の攻勢に出る川嶋。最後は顔面に右ストレートが決まり,ペットクロンパイはたまらず大の字に沈んだ。立ち上がりかけたが,サラサス主審はカウント中にストップ。

 川嶋が豪快なTKO勝ちで健在をアピールした。左ジャブ,フック,アッパーの左攻撃を主体にした迫力ある攻撃で若いペットクロンパイ(19歳)を圧倒した。初回に見せた鋭い左ジャブ,ストレートが2回以降には減ってしまい,力任せの攻撃になっていたが,まずまずの再起第一戦と言えるだろう。相変わらずの大振りが見られるので,もう少しコンパクトに振り切ることを心がけて欲しい。
 ペットクロンパイはタイの現役国内チャンピオン。161センチという小柄だが,非常に気が強く,元世界王者の川嶋を向こうに回して堂々たる戦いぶりを見せた。右ボクサーファイターで,左フック,右ストレートが武器。

     主審:ウクリッド・サラサス,副審:福地勇治&杉山利夫(ほか1名は不明)
     ○川嶋:33戦29勝(19KO)4敗     ●ペットクロンパイ:21戦10勝(1KO)11敗
     放送:BSジャパン&テレビ東京     解説:長谷川穂積     実況:赤平大

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                          2006年1月14日(土)    後楽園ホール
                         日本スーパーフェザー級王座決定10回戦
                     日本S・フェザー級3位     T   K   O    日本S・フェザー級2位
                  ○   小堀佑介      2回3分00秒     真鍋圭太    ●
                            (角海老宝石) 129 1/4 lbs                      (石川) 130 lbs

 今年のチャンピオンカーニバルの開幕を告げるに相応しい好カード。期待に違わぬ緊迫した展開となった。まず,プレッシャーをかけたのは強打の真鍋。軽い動きで小堀をロープに追い,左フックを振る。小堀も負けずに真鍋をコーナーに追って,右ストレートを見せる。クリ−ンヒットにはつながらなかったが,ともに好調をアピールした。
 試合が一気に動いたのは2回。ワンツー,左フックの応酬となる。左でボディを叩くと見せて放った右フックがアゴを捉え,真鍋はたまらず仰向けにダウン。辛うじて再開に応じたものの,ダメージは明白。チャンスと見た小堀は一気に勝負をかける。真鍋も必死に抵抗するが,リング中央で左フックに次ぐ右ストレートをまともに食い,深々とキャンバスに沈んだ。ダメージの深刻さを見た浅尾主審が即座に試合をストップした。

 本望信人(角海老宝石)の返上で空位となった王座を争う一戦。強打の真鍋に進境著しい若手の小堀という興味深い組み合わせで注目されたが,痛烈なTKO決着となった。
 小堀はワンツー,左フック,左右のボディブローなど,スピードに乗ったコンビネーションブローを得意とする右ボクサーファイターで,パンチに切れがある。最初のダウンを奪ったのは,ボディへのフェイントからすかさずフォローした右フック。ガードが下がったところにまともにこのパンチをもらっては真鍋も堪らない。フィニッシュとなったのも,大振りせずに打ち合いの中で冷静に決めた左フック,右ストレート。いずれも見事なコンビネーションブローだった。初回にプレッシャーをかけてきた真鍋に対し,主導権を与えては拙いと見て,逆にコーナーに追って攻勢に出ていた。この辺の判断も的確だった。今後キャリアを積んでいけば,さらにステップアップする可能性を秘めている。勝利者インタビューでの朴訥で飄々とした語り口にも好感が持てる。
 やや有利と見られながら,2度目の挑戦も実らなかった真鍋。小堀のスピーディなコンビネーションブローを浴び,まさに完敗となった。体の力を抜き,ワンツー,左フックでプレッシャーをかけていたが,小堀の見切りの良さに屈した。まだまだ若いし,チャンスはあるので,捲土重来に期待する。

     主審:浅尾和信,副審:土屋末広&染谷路朗&福地勇治
     ○小堀:19戦16勝(8KO)2敗1分     ●真鍋:26戦22勝(19KO)3敗1分
     放送:G+     解説:飯田覚士     実況:高橋雄一

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                            2006年1月14日(土)    後楽園ホール
                                     10回戦
                       日本S・ライト級(ノーランク)   K      O      タイ国S・ライト級(ノーランク) 
                   ○    坂本博之      3回1分04秒   マンコントーン・ポルソンクラム  ●
                             (角海老宝石) 139 3/4 lbs                        (タイ) 139 1/2 lbs

 坂本は左ジャブに次ぐ右ストレート,ボディへの左アッパーからスタート。右ストレートを受けたマンコントーンはバランスを崩す。
 2回,ワンツーがテンプルにヒットし,マンコントーンの膝が揺れる。必死にこらえるが,アゴに右アッパーを突き上げられて前のめりにダウン。坂本は左右のボディブロー,右ストレートで追撃する。右フックがテンプルに決まってマンコントーンは2度目のダウンを喫し,早くも一方的な試合になった。
 3回,開始ゴングと同時に飛び出した坂本は左右のボディ連打で襲いかかる。アゴへの左フックでマンコントーンはこの試合3度目のダウン。最後は狙いすました右ストレートがテンプルを捉え,再びダウンしたマンコントーンはそのままカウントアウトされた。

 坂本は3年7ヶ月ぶりの勝利。35歳とあって,さすがに全盛時のスピードはないが,パワフルなボクシングで久々に雄姿を披露した。年齢的にも体力的にも前途が厳しいことは否定できないが,その闘志は衰えることを知らない。
 マンコントーンは右ファイターだが,動きがぎこちなく,坂本にボディを攻められ,いいところなく敗れた。

     主審:福地勇治,副審:住吉栄一&ウクリッド・サラサス&染谷路朗
     ○坂本:45戦38勝(28KO)7敗     ●マンコントーン:8戦3勝(1KO)5敗
     放送:G+     解説:飯田覚士     実況:寺島淳司

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                              2006年1月21日(土)    後楽園ホール
                            東洋太平洋フェザー級王座決定12回戦
                      東洋太平洋フェザー級1位    K      O     東洋太平洋フェザー級7位
                   ○    榎 洋之       2回1分22秒   デンタクシン・スンギラーノーイナイ  ●
                               (角海老宝石) 125 lbs                            (タイ) 126 lbs
                        WBC11位,WBA7位                         タイ国フェザー級チャンピオン

 パンチ力に自信がある両者だけに,緊迫した立ち上がりとなった。榎は左ジャブを顔面に決め,ボディに左アッパーを,さらに右ストレートでボディを叩く。デンタクシンも左アッパーからの鋭い右ストレートを見せた。
 2回,サウスポーにスイッチして撹乱を狙うデンタクシンだが,榎はそれには乗らない。接近して放った榎の左アッパーがボディを抉る。これは耐えたが,左ジャブを顔面にフォローされ,デンタクシンは呆気なくダウン。立ち上がったデンタクシンの表情にはボディブローのダメージがありありと浮かんでいる。チャンスと見た榎は左から右のアッパーをボディに打ち込んで2度目のダウンを奪う。これも何とか再開に応じたデンタクシンだが,右から左のアッパーをボディに受けて3度目のダウンを喫した。

 越本隆志(FUKUOKA)が返上した王座を争う一戦。初回こそ動きに硬さが見られた榎だが,2回に入って得意のボディブローで一気に勝負を決めた。スピード不足は否定できないが,左ジャブ,ストレートの伸びと鋭さは現役随一。さらに上を狙うためには,左ジャブ,ストレートで突破口を開き,連打で仕留める攻撃パターンに徹することが必要。今夜はその左が少なかったことが気になった。
 デンタクシンはタイの現役国内王者だが,今夜は榎のパンチ力に屈した。来日戦績は芳しくないが,よく伸びて鋭い右ストレートを持っており,侮れない右ボクサーファイターである。

     主審:キム・ジェボン(韓国),副審:浅尾和信&アナン・デクタワン(タイ)
     ○榎:25戦24勝(18KO)1分     ●デンタクシン:10戦6勝(4KO)4敗
     放送:G+     解説:葛西裕一     実況:船越雅史

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                          2006年1月21日(土)    後楽園ホール
                           日本フェザー級王座決定10回戦
                     日本フェザー級2位     K      O    日本フェザー級1位
                  ○   渡邉一久    1回1分59秒    阿部元一   ●
                             (角海老宝石) 126 lbs                   (ヨネクラ) 125 1/4 lbs

 開始ゴングと同時にクラウチングスタイルで猛然と襲いかかった阿部はグイグイと距離を詰め,左右フックでプレッシャーをかける。渡邉は変則的な動きでこれをかわし,出バナに右ストレートを放って応戦。試合は最初から猛烈な打ち合いとなった。
 渡邉が振った大きな左アッパーを体を沈めてかわした阿部だが,ガードが下がった瞬間,フォローの右アッパーがまともにアゴを捉え,たまらずもんどり打ってダウン。チャンスと見た渡邉は左右フックで猛烈なアタックをかける。阿部は弾き飛ばされるように2度目のダウン。カウント8まで数えた熊崎主審はここで試合を中断し,倒れている阿部にパンチを放った渡邉に減点1を課す。
 しかし,この中断による休息も阿部には幸いしなかった。再開後,構わず猛アタックに出る渡邉。阿部も猛然と打ち返すが,コーナーで倒れたところで3度目のダウンを取られ,万事休す。

 榎洋之(角海老宝石)の返上で空位となっていた王座を同門の後輩・渡邉が獲得した。渡邉は変則的な右ファイター。右フック,アッパーにパンチ力がある。初回に若い渡邉を脅かして主導権を握ろうとした阿部に臆せず,逆に跳ね返した向こう気の強さが光る。優れた身体能力に加え,勢いがあるのが最大の長所。強豪揃いのこのクラスで勝ち抜いていくのはたいへんだが,勢いに乗ったボクシングでどこまで伸びるか注目される。スピードのあるうまい相手を迎えた場合が正念場になるだろう。
 3度目の挑戦も実らなかった阿部。持ち前の強気で開始早々から攻勢に出たが,渡邉がひるまなかったことが誤算。ガードが下がったところにもらった右アッパーが致命傷になってしまった。

     主審:熊崎広大,副審:山田一公&館秀男&杉山利夫
     ○渡邉:14戦12勝(7KO)2敗     ●阿部:19戦14勝(10KO)3敗2分
     放送:G+     解説:葛西裕一     実況:鈴木 健

※ 第1ラウンド,ダウンした阿部にパンチを放った渡邉に対して減点1が課せられている。

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                           2006年1月24日(火)    後楽園ホール
                     東洋太平洋&日本スーパー・ウェルター級タイトルマッチ12回戦
                         チャンピオン      T  K O    挑戦者(OPBF1位)
                   ○  クレイジー・キム   9回35秒     川崎タツキ   ●
                               (ヨネクラ) 153 1/2 lbs                (草加有沢) 153 lbs

 好調な立ち上がりをアピールしたのはサウスポーの川崎。よく動いて左から右のフックをボディに決め,早くもキムをロープに詰めてラッシュ攻撃を見せる。川崎は右フックをヒットし,そこから連打につなげる。キムは慌ててはいないものの,余裕を持ち過ぎたのか川崎の肉薄を許す。3回までは念願のタイトル獲得の執念に燃える川崎が果敢な攻撃でリードした。
 しかし,4回に入るとキムがジリジリと前に出る作戦に切り替えた。キムのプレッシャーに出足が止まった川崎はそれでも果敢に出る。ロープに詰めて右フックを打とうとした瞬間をキムに突かれ,狙いすました右ストレートをカウンター気味に打ち込まれ,川崎は足に来てダウン寸前のピンチ。必死にキムにしがみついて切り抜けようとする川崎だが,不敵な笑みを浮かべるキムは右ストレートを振ってどんどん攻勢に出る。右ストレートが決まり,川崎はたまらず腰から落ちてダウン。川崎は右目上をカット(キムの有効打によるもの)するハンデを負った。
 5回,川崎は右目上の傷のためにドクターチェック。再開後,勝負を急ぐ川崎は気迫の篭った攻撃を見せるが,正確さがなく,パンチは虚しく空を切る。冷静なキムはノーモーションの右ストレートをうまく合わせ,右フックでボディを叩いて徐々に川崎を追い込む。
 6回,川崎は2度目のドクターチェック。キムは攻め急がず,中間距離からノーモーションの右ストレート,あるいは接近しても細かいパンチを的確に集めて川崎を弱らせる。右ストレートで腰が落ちる川崎だが,逆に左ストレートをヒットしてキムをロープに詰める気迫を見せた。
 7回にもキムが右ストレート,アッパーを的確に決める。8回,川崎は3度目のドクターチェック。よく頑張るが,終盤に右ストレートを受けて,足に来る。キムは右ストレート,フックを連発して仕留めにかかる。
 そして9回,蓄積したダメージと出血のために動きが鈍くなる川崎。右ストレート,左フックが的確に決まったところでサラサス主審がストップした。

 辰巳八郎(新和)と大貫照雄(帝拳)が争って以来,実に50年ぶりとなった東洋と日本のダブルタイトルマッチである。異色のキャラクターで人気のキム,波乱万丈の人生を歩んだ川崎という今年のチャンピオンカーニバル屈指の好カードとあって,後楽園は立錐の余地もない超満員のファンで膨れ上がった。
 キムは序盤こそ川崎の接近を許したが,4回以降はノーモーションの右ストレートを軸にプレッシャーをかけ,川崎が前に出にくい状況を作っていた。中盤以降は的確なパンチで徐々に川崎を痛めつけ,終わってみれば圧勝となった。相手の動きを見極め,上下に打ち分けたり,スタミナを温存して相手の疲れを待つなど,試合運びに一日の長があった。まさに東洋無敵であり,世界の上位ランカーとの対戦が待たれる。
 サウスポーのファイター川崎は元暴力団員で,薬物中毒から立ち直り,ボクシングに打ち込んで更正した経歴の持ち主。地獄から這い上がってタイトル挑戦という晴れ舞台を迎えた努力に頭が下がる思いである。無敵の王者キムに屈したとはいえ,タイトル奪取への気迫が漲る立派な試合を見せた。恥じることは何もない。33歳という年齢だが,まだまだやれる。捲土重来に期待する。序盤から果敢に攻め込んだが,中盤から右ストレートで出足を止められ,動きが直線的になったところに右ストレート,フックを狙い打ちされたことが敗因。

8回までの採点 キム 川崎
主審:ウクリッド・サラサス *** ***
副審:浅尾和信 78 73
副審:安部和夫 79 74
副審:金谷武明 79 75
参考:MAOMIE 77 74


     ○キム:27戦24勝(21KO)3敗
     ●川崎:20戦18勝(14KO)2敗

     放送:スカイA
     解説:大橋秀行&石本雅巳
     実況:岩本計介

※ 東洋太平洋と日本の両方のベルトを賭けたダブルタイトルマッチだが,ラウンド数は東洋太平洋タイトル戦に則って12回戦,審判員構成は日本タイトル戦に則って4人制という特別ルールで行われた。

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                           2006年1月24日(火)    後楽園ホール
                                  10回戦
                      日本ミドル級7位     T   K  O    日本ミドル級(ノーランク)
                   ○  保住直孝    9回1分25秒    岡田山金太郎   ●
                              (ヨネクラ) 159 1/4 lbs                     (オサム) 160 lbs

 初回からスピードこそないが重量級らしい迫力満点の打ち合いに終始した。ベタ足の岡田山が左フックをヒットすれば,ベテランの保住もロープを背に左フックを返す。終盤,保住は右アッパーで岡田山を後退させ,ボディに渾身の左アッパーを叩き込む。
 2回,保住は左アッパーのボディブローを多用し,さらに顔面に右フック,ストレートを浴びせてスピードの差を見せる。
 保住はタフで執拗な岡田山のラフな攻撃に手を焼いたが,5・6回にボディを攻めて着実にダメージを与えていった。岡田山はときおり場内がどよめくほどの豪快な右フック,アッパーを振り回すが,正確さに欠けた。
 7回,保住は左ジャブから基本に忠実に攻め,ボディへの左アッパーを見せる。執拗な岡田山の攻撃に保住がエキサイトする一幕も見られた。終盤,鼻血を流した保住は岡田山のラッシュに後退する。
 試合が大きく動いたのは8回。攻め込む岡田山だが,左フックのカウンターをアゴに食ってぐらり。必死にこらえるが,右ストレートで再びぐらつき,ここでダウンを取られた。フィニッシュを狙う保住は一気に攻勢に出るが,フラフラの岡田山はスリップダウンを繰り返しながら時間を稼ぎ,辛うじてゴングに救われた。
 9回,左右のボディブロー,左フック,右アッパーを的確に決める保住。岡田山はダメージの蓄積で動きが鈍る。それまでと見た島川主審は躊躇わずにストップした。

 自力で勝る保住の貫禄勝ち。ラフな岡田山に手を焼く場面はあったが,左ジャブ,ボディへの左アッパー,上へのワンツー,右アッパーなどの多彩な攻撃で仕留め,ベテランらしいところを見せた。前半から続けていたボディ攻撃が効果的だった。
 岡田山はアンコ型の右ファイター。見るからに太い腕から振り回す左右フック,右アッパーに破壊力がある。ベタ足でスピードがなく,お世辞にもきれいなボクシングとは言えないが,非常にタフで執拗な攻撃が最大の武器である。

8回までの採点 保住 岡田山
主審:島川威 *** ***
副審:安部和夫 80 74
副審:杉山利夫 79 72
副審:金谷武明 79 72
参考:MAOMIE 79 74


     ○保住:32戦26勝(22KO)5敗1分
     ●岡田山:18戦10勝(4KO)8敗

     放送:スカイA
     解説:大橋秀行&石本雅巳
     実況:岩本計介

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                       2006年1月29日(日)    九電記念体育館
                       WBC世界フェザー級タイトルマッチ12回戦
                      挑戦者(同級5位)            チャンピオン
                  ○   越本隆志     判 定   池 仁珍   ●
                              (FUKUOKA) 126 lbs              (韓国) 126 lbs

 典型的なコリアンファイターの池が開始早々から距離を詰めにかかる。池は右ストレートを伸ばして迫るが,越本は落ち着いてスピーディな身のこなしで右に回りこみ,好調な動きをアピールした。3回には池の接近を素早く右に回り込んでかわし,出バナに左ストレートをヒット。さらにワンツーも決め,ポイントを奪った。
 6回は池が距離を詰めて右ストレートをヒットする場面があったが,8回には池をロープに詰めた越本がラッシュを見せる。さらにリング中央で左・右・左の鮮やかな3連打を浴びせ,越本が優位に立った。池は反撃に出て越本をロープに詰めるが,決め手を欠く。
 10回,ロープを背にした池が越本の左ストレートで大きくのけぞる場面が見られた。疲れのためか動きが鈍い池に越本がワンツーを浴びせる。
 11回,越本は左ストレートをヒット。バッティングで越本が右目上をカットし,ドクターチェック。ここで池は痛恨の1点減点を課せられた。越本は終盤に激しいラッシュを見せた。
 12回,ポイントで競っていると見た両者が激しい打ち合いを展開したが,ここは池の手数が上回った。接近して執拗な左右フックを放つ池。激しいパンチの応酬の中,終了ゴングが鳴り響いた。

 激闘となったが,2−1で越本が悲願の世界タイトル奪取に成功した。フェザー級では西城正三(協栄),柴田国明(ヨネクラ)に次いで36年ぶり3人目の日本人の世界チャンピオン誕生である。また越本の35歳1ヶ月は輪島功一(三迫)の32歳11ヶ月を更新する日本人の世界タイトル奪取最高齢記録。さらに九州のジムから世界チャンピオンが誕生したのは史上初という記録ラッシュの戴冠劇となった。
 越本は終盤こそ池の手数に苦しんだが,ほぼ全般を通じてスピーディな身のこなしと,池の出バナに決める鋭い左ストレートのカウンターでリードしていた。まっすぐ下がっては馬力のある池に押されると見たためか,右に素早く回りこんで池の持ち味を殺していたことが勝因。スピードと位置取りのうまさが明暗を分けたと言える。無報酬で世界タイトルに賭けた執念が実った見事な一戦。層が厚いこのクラスでの防衛は楽ではないが,今後は持ち味のスピードを生かしたボクシングに徹することが重要になる。
 突進力と執拗な連打が売り物の池だが,いつもの踏み込みや出足が見られず,越本の動きを封じ切れなかったことが敗因。

採点結果 越本
主審:マルコム・ブルナー(韓国) *** ***
副審:ノパラット・スリチャロン(タイ) 115 112
副審:バート・クレメンツ(米国) 114 113
副審:オマール・ミントム(メキシコ) 111 116
参考:MAOMIE (77) (75)


     ○越本:42戦39勝(17KO)1敗2分
     ●池:34戦30勝(18KO)3敗1分

     放送:福岡放送(日本テレビで録画放送)
     解説:浜田剛史
     実況:久保俊郎

※ 第11ラウンドのヘディングによる池の減点1を含む採点。
※ 第2・4・5・7ラウンドをカットして放送(MAOMIEの採点は第2・4・5・7ラウンドを除く集計結果です)。

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