熱戦譜〜2005年9月の試合から


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試合日 試合 結果
2005.09.03 10回戦  西岡利晃  判定  ペドリト・ローレンテ
2005.09.03 8回戦  下田昭文  判定  デッチシャム・ルークフォーダム
2005.09.17 10回戦  フェデリコ・カツバイ  TKO10R  藤掛真幸
2005.09.17 10回戦  宮田芳憲  判定  凉野康太
2005.09.19  WBA世界フライ級
 タイトルマッチ12回戦
 ロレンソ・パーラ  判定  坂田健史
2005.09.22  日本スーパー・バンタム級
 タイトルマッチ10回戦
 福原力也  判定  木村章司
2005.09.22  日本フェザー級
 タイトルマッチ10回戦
 榎 洋之  判定  梅津宏治
2005.09.22 8回戦  渡邉一久  KO5R  ルンタワン・ソーウォラピン
2005.09.22 8回戦  三浦隆司  TKO5R  ブンチャイ・キャットパイリン
10 2005.09.23  日本ウェルター級
 タイトルマッチ10回戦
 大曲輝斉  KO1R  湯場忠志
11 2005.09.23 10回戦  丸元大成  8R負傷判定  音田隆夫
12 2005.09.23 10回戦  清田広大  TKO2R  チャイナライ・ウアサンバン
13 2005.09.25  WBC世界バンタム級
 タイトルマッチ12回戦
 長谷川穂積  TKO7R  ヘラルド・マルチネス
14 2005.09.25  WBA世界ミニマム級
 タイトルマッチ12回戦
 新井田 豊  10R負傷判定  エリベルト・ゲホン
15 2005.09.25 6回戦  エドウィン・バレロ  TKO1R  阪東ヒーロー
16 2005.09.25 6回戦  ホルヘ・リナレス  判定  アヨン・ナランホ
17 2005.09.25 6回戦  粟生隆寛  KO1R  文 在春
18 2005.09.25 6回戦  佐藤幸治  TKO1R  李 朱永

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                          2005年9月3日(土)    後楽園ホール
                                 10回戦
                     WBC世界S・バンタム級1位           比国S・バンタム級8位
                ○     西岡利晃      判 定    ペドリト・ローレンテ  ●
                          (帝拳) 123 lbs                    (比国) 122 1/4 lbs
                              WBA4位                  元東洋太平洋S・バンタム級チャンピオン

 初回,右ジャブで牽制して左ストレートをボディに持っていく西岡。しかし,気迫十分のローレンテは隙を突いて右ストレート,フック,アッパーをまとめ打ちする。西岡はガードを固めるが,ローレンテの気迫に押される場面を見せた。
 2回,西岡はよく見て左フック,そして踏み込んで右ストレートをヒットするが,横の動きが欲しいところ。終了間際に放ったローレンテの右アッパーを受けて西岡は仰向けに倒れる。しかし,これは倒れたのがゴング後との判断でノーカウントとなった。
 この”ダウン”で動揺したわけではあるまいが,西岡はローレンテの気迫十分の攻撃に手を焼く。4回,左を打った瞬間にローレンテの右ストレートを合わされてバランスを崩す場面が見られた。西岡も左をボディに打つが,ローレンテは接近して右アッパーをボディに。隙を突くように思い切った連打をまとめるローレンテ。
 西岡が反撃に出たのは6回。単発ながらも左ストレートをボディに放ってローレンテの動きを止めにかかる。7回終了間際,西岡の左ストレートがカウンターになり,ローレンテは大きくのけぞる。8回,左ストレート,右フックでロープに詰めて攻勢をかける西岡。10回,鬼気迫る表情で猛然と攻勢に出る西岡。ローレンテの左フックもヒットするが,西岡は左アッパー,右フック,左ストレートでラッシュ。上体が立ってしまい,決定的なダメージは与えられなかったが,従来にない剥き出しの闘志を見せた。

 西岡は変則的で大胆なローレンテの攻撃に手を焼き,不安な立ち上がりとなった。序盤から続けていた左ストレートのボディ攻撃が奏功し,中盤から主導権を握ったが,攻撃が単発で直線的な欠点は相変わらず。横への展開が乏しく,バリエーションに欠けることが気になる。自身が熱望している5度目の世界挑戦実現に向けて必要なのは脱皮すること。
 ローレンテは世界1位の西岡を食ってやろうという気迫が漲り,見事な執念を見せた。打ち方は悪いが,広いスタンスから相手の隙を突くようにまとめ打ちする左右フック,右ストレートが武器。懐が深くて動きも速いので,相手にとってはやりにくい。

採点結果 西岡 ローレンテ
主審:浦谷信彰 *** ***
副審:安部和夫 99 93
副審:土屋末広 97 94
副審:島川威  98 95
参考:MAOMIE 96 94


     ○西岡:33戦26勝(15KO)4敗3分
     ●ローレンテ:26戦16勝(7KO)9敗1分

     放送:G+
     解説:浜田剛史&セレス小林
     実況:寺島淳司

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                       2005年9月3日(土)    後楽園ホール
                                8回戦
                 WBC世界S・バンタム級32位            タイ国S・バンタム級8位
                ○   下田昭文      判 定   デッチシャム・ルークフォーダム  ●
                          (帝拳) 123 lbs                   (タイ) 122 1/4 lbs

 サウスポーの下田は右ガードを下げてチャンスを窺い,右ジャブから左ストレートをボディに。右ジャブ,フックを伸ばし,フェイントをかけながら突破口を窺う。デッチシャムの右ストレートは届かない。3・4回,下田は左ストレートでコーナーに詰め,左右のボディブロー。
 6回,下田は左右フックのボディブローからラッシュ。激しい打ち合いになるが,下田はボディ連打から上に左右フックを返す。
 8回,下田は左ストレートを上下に打ち分け,さらにボディ連打で攻勢。打ち疲れを見せて小休止したが,終盤に再びデッチシャムをコーナーに詰めて左右の猛攻。激しい打ち合いのまま終了ゴングを聞いた。

 相変わらずのボクシングセンスを見せた下田。アマ経験ゼロというのが信じられないほどのうまさである。足・目・肩などあらゆる部分を使ってフェイントをかけながら自分で攻撃の突破口を探っていることが長所。上下への打ち分けもできている。稀有の逸材であり,経験を積めばいずれ世界の期待もかかるが,最大の難点はスタミナか。終盤に打ち疲れを見せ,フィニッシュを逸したことは大いなる反省点である。
 デッチシャムは右ファイタータイプ。ガッシリとした上体から右フック,ストレートを振る。タフでなかなかガードが堅い。

採点結果 下田 デッチシャム
主審:ウクリッド・サラサス *** ***
副審:浦谷信彰 80 73
副審:福地勇治 80 73
副審:安部和夫 80 75
参考:MAOMIE 80 74


     ○下田:11戦11勝(7KO)
     ●デッチシャム:34戦14勝(7KO)20敗

     放送:G+
     解説:セレス小林
     実況:高橋雄一

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                        2005年9月17日(土)    後楽園ホール
                                 10回戦
                   比国フライ級チャンピオン    T   K  O   日本フライ級6位  
                ○  フェデリコ・カツバイ   10回30秒    藤掛真幸  ●
                        (比国) 114 1/4 lbs                      (エイティーン古河) 115 lbs

 サウスポーの藤掛は足を使って回りながら右ジャブ,フック,左ボディブローからスタート。カツバイは右に左にとスイッチしながら距離を詰めにかかる。
 2回,カツバイの大きな右フックにのけぞる藤掛。カツバイはさらに左構えにスイッチして右フック,アッパーをボディに。
 3回,カツバイは飛び込んで右フックをボディに,右ストレートを上に放つ。藤掛はバッティングで右前頭部をカット。4回にもカツバイは右に左にとスイッチして迫り,思い切った左右のボディ攻撃。藤掛はバッティングで今度は額をカット。
 6回,藤掛はカツバイの攻撃をかわして左ストレート,ボディへの左右フックを連打するが,7回以降は再びカツバイのペース。カツバイは強引に出て藤掛を乱戦に巻き込みにかかる。藤掛は足が止まり,危険な打ち合いに嵌って行った。
 9回,カツバイはロープを背負った藤掛にボディ連打から右ストレートを浴びせて攻勢。藤掛は突進力のあるカツバイの正面に立ってしまう。藤掛はバッティングで右目上をカットしてドクターチェックを受けた。
 破局が待っていたのは10回。開始早々の右ストレートでロープに飛ばされる藤掛。カツバイの左右フックの追撃に後退し,辛うじてクリンチに逃れる。割って入った浅尾主審が再開を命じたが,藤掛は意識朦朧として足元が定まらない。チャンスと見たカツバイが左右フックで襲い掛かれば,藤掛は力なくロープにもたれる。ここで浅尾主審がストップ。崩れるように仰向けに昏倒した藤掛のダメージは深く,担架で運び出された。

 藤掛はサウスポーのボクサータイプで,ワンツー,右フックを武器としている。本来はフットワークが使えるのだが,今夜はカツバイの強引なボクシングに合わせてしまい,中盤からダメージを蓄積させてしまったことが敗因。
 カツバイは小柄ながらも突進力のある右ファイタータイプ。スピードはないが,パワフルな左右フックを上下に放って強引とも思える攻撃を仕掛ける。パンチ力もなかなかのもの。
 倒れた藤掛は慈恵医大に搬送され,緊急開頭手術を受けた。10回の問題の場面,クリンチから浅尾主審が再開を命じた時点で,藤掛は意識朦朧としてよろめいており,誰の目にも試合を続けられる状態ではなかった。結果論であるが,ここで止めるべきだったろう。

9回までの採点 カツバイ 藤掛
主審:浅尾和信 *** ***
副審:葛城明彦 87 87
副審:土屋末広 88 84
副審:杉山利夫 87 86
参考:MAOMIE 88 84


     ○カツバイ:28戦16勝(11KO)9敗3分
     ●藤掛:22戦16勝(3KO)4敗2分

     放送:G+
     解説:葛西裕一
     実況:田中毅

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                       2005年9月17日(土)    後楽園ホール
                                10回戦
                 日本S・フェザー級(ノーランク)           日本S・フェザー級(ノーランク)
                ○   宮田芳憲      判 定      涼野康太  ●
                       (角海老宝石) 130 lbs                    (五代) 128 1/2 lbs

 初回,開始ゴングと同時に勢いよく飛び出した両者。宮田はまず左フックをヒット。さらに右ストレートに次ぐボディへの左アッパーを見舞う。涼野も前に前に出てアグレッシブに攻め,早くも白熱した展開となった。2回,宮田は右ストレートをヒットし,さらに入り際に右アッパーを合わせる。涼野は構わず前進するが,宮田は思い切った左右フックを浴びせる。
 宮田やや優勢で立ち上がったが,涼野も負けてはいない。3回に入ると宮田をロープに詰め,右アッパー,左フックをボディに集めて攻勢。涼野は有効打で左目上をカットするが,代役・宮田のスタミナの不安を読んだかのようなボディ攻撃で反撃に転じた。
 しかし,中盤は宮田が先手先手で攻めてリードを奪った。5回には左アッパーのボディブロー,さらに涼野の入り際にうまく右アッパーを合わせる。6回,宮田はフットワークでリズムを取り,左ジャブ,ワンツー,左フックをまとめる。さらに右ストレートからボディへの左アッパーにつなげるテンポのいい攻撃で完全に主導権を握った。涼野は鼻から出血して苦しい戦いを強いられる。
 7回,右ストレートをヒットする凉野だが,宮田もすぐに右ストレートをお返し。宮田の右ストレート,左右フックでぐらついてクリンチに出る凉野。
 9回,凉野は執拗に出て宮田を押し込み,ボディにパンチを集めて反撃を見せた。10回にも両者譲らぬ打ち合いが続いた。

 旺盛なファイティングスピリットが売り物の両者による小気味のいい好ファイトとなった。
 同門の小堀佑介が負傷のために欠場となり,10日前に代役出場が決まった宮田。急造とは思えぬほど動きが良く,心配されたスタミナも最後まで衰えを見せなかった。日頃の節制の賜物だろう。力任せに打ち合うだけでなく,凉野の入り際に右アッパーをカウンターしたり,上下にパンチを散らすなどのうまさを見せた。前進する凉野に主導権を握らせないように,常に先手で攻めていたことも特筆すべき点である。
 凉野は闘志溢れる右ファイタータイプ。後退を知らぬアグレッシブな攻撃が売り物だが,今夜は宮田にうまく見切られていた。

採点結果 宮田 涼野
主審:浦谷信彰 *** ***
副審:土屋末広 97 94
副審:住吉栄一 97 94
副審:杉山利夫 98 93
参考:MAOMIE 98 94


     ○宮田:21戦16勝(10KO)4敗1分
     ●涼野:22戦13勝(3KO)6敗3分

     放送:G+
     解説:葛西裕一
     実況:田中毅

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                        2005年9月19日(月)    後楽園ホール
                        WBA世界フライ級タイトルマッチ12回戦
                       チャンピオン              挑戦者(同級3位)
                 ○   ロレンソ・パーラ    判 定    坂田健史  ●
                           (ベネズエラ) 112 lbs                (協栄) 112 lbs

 雪辱に燃える坂田は開始早々から小刻みな動きで距離を詰める。パーラは足を使って動き,坂田の出バナに左ジャブ,フック,さらに左アッパーを狙う。2回,パーラの左フック,アッパーがヒット。パーラはさらにボディへの左アッパーを見せた。3回,坂田はよく前に出るが,体が流れたところに左フックを合わされる。スタミナに不安を抱えるパーラは右を温存し,坂田の出バナをうまく叩いて上々の立ち上がりを見せた。
 一方,坂田は4回終盤に右ストレートをヒット。これに気をよくした坂田は5回に入ってプレッシャーを強める。足を使うパーラをロープ際に追い,右ストレートからボディへの左右アッパー,さらに左フックを上に決めて攻勢に出ると,パーラはクリンチに逃れる。
 しかし,6回,パーラは再び足を使って激しく動き回る。なおも前進する坂田だが,右から左の”逆ワンツー”を浴びてのけぞる。8回,パーラの左ジャブをパリーしてすぐ右ストレートをヒットする坂田だが,後続打を封じられた。パーラは後半に的確な左ジャブ,ワンツーをヒットしてポイントを奪う。
 9回,動くパーラに坂田の右ストレートは流れる。逆にパーラはラウンドの終盤に左ジャブ,右アッパー,ワンツーをタイミングよく決めてリード。
 11回,ローブローで減点されたパーラは坂田の左フックでロープに下がる。坂田は攻勢に出て,終盤には右アッパーに合わせた左フックをヒットしてパーラをぐらつかせる。
 しかし,坂田の見せ場はここまで。12回,必死の形相で前に出るが,パーラは坂田の右が流れたところに強烈な右アッパーを突き上げ,左フックをフォロー。飛び込んで左アッパーをボディに放つ坂田だが,逆に左フックをカウンターされた。

 健闘を見せた坂田だが,パーラの足とボディワークを生かした老獪なボクシングに屈した。常に前に出る姿勢は立派だったが,接近するまでのパンチがなく,動きを完全に読まれていた。パーラの速い動きでパンチが流れる場面が多く,ときおりクリ−ンヒットを奪っても後続打を封じられたことが痛かった。漫然と接近するのではなく,もっと左ジャブを多用したり,フェイントをかけて肉薄する必要があった。
 減量の失敗で苦戦した昨年6月の第1戦とは見違えるような動きを見せたパーラ。アマ,プロを通じて300戦を超える豊富なキャリアに裏打ちされた見事なテクニックを随所に披露した。スタミナに不安があるだけに,前半は右を温存して左ジャブ,フック中心の組み立て。後半は坂田のパンチが流れたところをうまく突いて,ワンツー,右アッパーをヒットした。特にラウンドの終了間際にうまくパンチをまとめるなど,”見栄え”を意識したかのような老獪さが光った。坂田に的を絞らせず,要所をうまく締める心憎いまでの試合運びである。
 なお11回のパーラの減点はローブローによるものと発表されたが,ビデオで確認しても直前にローブローらしきものは認められない。パーラが左グラブで坂田の頭を押さえつけた場面があり,その直後にカイズ主審が手を下に下げるジェスチュアで減点をコールしている。おそらくカイズ主審はこれを反則としたものと考えられる。

採点結果 パーラ 坂田
主審:ラウル・カイズ(米国) *** ***
副審:ガイ・ジュトラス(カナダ) 115 113
副審:シルベストレ・アバインサ(比国) 114 114
副審:メダルド・ビリャロボス(パナマ) 114 113
参考:MAOMIE 116 114


     ○パーラ:26戦26勝(17KO)
     ●坂田:28戦24勝(10KO)3敗1分

     放送:TBS
     解説:竹原慎二&畑山隆則&佐藤修
     実況:新夕悦男

※ 第11ラウンドのローブローによるパーラの減点1を含む採点。

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                       2005年9月22日(木)    後楽園ホール
                     日本スーパーバンタム級タイトルマッチ10回戦
                     挑戦者(同級1位)             チャンピオン
                 ○   福原力也    判 定    木村章司  ●
                           (ワタナベ) 122 lbs                (花形) 122 lbs

 サークリングしながら探り合う立ち上がりとなったが,初挑戦の福原が先手を取った。鋭く踏み込んで打ち下ろす右ストレート,左アッパーで早くも木村を脅かす。福原は2回にも右アッパーからすぐ右ストレートをヒット。木村は機先を制するような福原の積極的な攻撃に早くもペースを奪われた。3回には逆に木村がフェイントから左アッパーをヒット。さらに左ストレートから右クロスをかぶせる。
 先手を取りたい木村だが,5回には福原の左アッパーがヒットしてのけぞる場面が見られた。木村も負けじとサークリングしながら左から右のフックで福原をぐらつかせるが,福原はワンツースリーフォーとまとめる。終了間際にも福原のワンツーがあった。
 白熱した好ファイトとなったが,終盤戦は福原が気迫十分の攻撃で完全に主導権を握った。8回,福原は右ストレートに次ぐ左アッパー。ワンツーから左右アッパー。あるいはロープを背にしながら木村の隙を突いて右フックを決める。クレバーなボクシングが身上の木村は後手に回って苦しい戦いとなった。
 9回にも福原の手数は衰えない。積極的に先手を取り,右ストレート,左右アッパーで攻める。
 10回開始早々,ワンツーから左アッパーをヒットする福原。気迫のこもった攻勢で木村に迫り,左アッパー,右フックで苦しめる。終了間際にはロープを背にした木村の顔面に右ストレートをクリーンヒットして勝利が決定的であることをアピールした。

 不利を予想された福原だが,見事な勝利となった。何と言っても,常に積極的に出て先手を取ったことが勝因。気迫が前面に出ており,テクニシャンの木村を後手に回したことが良かった。打ち下ろす右ストレートはフォローの左アッパーとともに威力がある。ただし,欠点は体が硬いこと。柔軟性に欠ける上に力が入っており,ガードの低さと相まって不安材料になる。不用意にパンチをもらうと非常に危険である。
 世界を狙うスケールの大きさを秘める木村だが,福原の気迫に不覚を取った。敗因は待ちに入って,序盤に福原を調子に乗せてしまったこと。福原の思い切った攻撃に最後まで主導権を握れず,完敗となった。素質は十分なので,これを糧として巻き返しに期待する。

採点結果 福原 木村
主審:熊崎広大 *** ***
副審:杉山利夫 98 93
副審:ビニー・マーチン 100 92
副審:金谷武明 97 96
参考:MAOMIE 99 93


     ○福原:19戦17勝(13KO)1敗1分
     ●木村:20戦18勝(7KO)1敗1分

     放送:テレビ東京
     解説:星野敬太郎&徳山昌守
     実況:赤平大

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                       2005年9月22日(木)    秋田市立体育館
                        日本フェザー級タイトルマッチ10回戦
                      チャンピオン              挑戦者(同級8位)
                 ○   榎 洋之    判 定    梅津宏治  ●
                         (角海老宝石) 126 lbs            (ワタナベ) 125 3/4 lbs
                           WBC15位,WBA11位

 初回,距離を詰め,ワンツーで梅津をコーナーに後退させる榎。梅津も左ジャブから右アッパーを返す。
 2回,タイミングのいい左ジャブが出る榎はリズムが出始める。梅津をロープに詰めて左右フックのボディブローを浴びせる榎。5回,プレッシャーを強めた榎は左ジャブでロープに追い,ワンツー,左フックから左右のボディ攻撃で迫った。出入りを鋭くしたい梅津だが,榎のプレッシャーに押されて後退が目立つ。
 中盤は榎も左ジャブが少なく,決定打を欠いた。逆に8回には梅津が反撃を見せた。榎の左ジャブをかわしながら,左ジャブを突き,右ストレートから左右フックをフォロー。
 9回は榎が再び左ジャブを多用してプレッシャーを強めた。右ストレートでぐらつかせ,ロープに詰めて攻勢に出る榎。梅津も右アッパーを狙う。
 10回,奮起した梅津が左右フックで榎を後退させる場面を見せた。

 榎の左足骨折によって1ヶ月延期された試合。
 故郷・秋田に錦を飾る3度目の防衛に成功した榎だが,本来の切れ,左ジャブの伸びが見られず,ベストからは程遠い状態。手数も少なく,精彩を欠いた。9回に右ストレートでKOチャンスを掴んだが,動きに切れを欠き,攻め切れなかった。熱望する世界挑戦をアピールするためには,さらにテストマッチが必要だろう。
 梅津は右ボクサーファイターで左ジャブ,右フックが武器。榎の左ジャブをよくかわして右アッパーのカウンターを合わせるなどの善戦を見せた。榎の動きが今ひとつだっただけに,もう少し出入りの激しいボクシングをしていたら面白い展開になったはず。それをさせないくらいの榎のプレッシャーということなのだろう。

採点結果 梅津
主審:浦谷信彰 *** ***
副審:安部和夫 97 95
副審:島川 威 98 94
副審:福地勇治 97 95
参考:MAOMIE 98 95


     ○榎:24戦23勝(17KO)1分
     ●梅津:15戦9勝(5KO)6敗

     放送:G+
     解説:葛西裕一
     実況:田中毅

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                        2005年9月22日(木)    秋田市立体育館
                                   8回戦
                      日本フェザー級3位    K      O    タイ国フェザー級(ノーランク)
                 ○    渡邉一久    5回2分57秒    ルンタワン・ソーウォラピン   ●
                         (角海老宝石) 126 lbs                       (タイ) 124 1/2 lbs

 力みが目立つ渡邉だが,トリッキーな動きから思い切った左右フックを見せる。2回後半,左右フックで攻勢に出て,右ストレートをヒットしてダウンを奪う。3回にも連打から左フックでダウンを追加した。
 負けん気が強い渡邉は4回にはエキサイトする場面を見せたが,続く5回に勝負を決めた。左フックのボディブローが効き,苦しそうなルンタワン。最後は鮮やかな右フックがアゴを捉え,倒れたルンタワンはそのままカウントアウトされた。

 心境著しい渡邉の圧勝。竜宮城(沖縄ワールドリング)を破ったことが自信につながっているのだろう。トリッキーな動きから思い切った左右フックを振る強気の攻めを身上としており,抜群の身体能力を誇る。しかし,その一方で力みが目立ち,ミスブローが多いことが欠点。もう少し力を抜くことを覚えた方がいい。

     主審:福地勇治,副審:島川威&ウクリッド・サラサス&浦谷信彰
     ○渡邉:12戦10勝(6KO)2敗     ●ルンタワン:戦績不詳
     放送:G+     解説:なし     実況:中野謙吾

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                       2005年9月22日(木)    秋田市立体育館
                                 8回戦
                      日本ライト級3位    T   K   O     タイ国ライト級(ノーランク)
                 ○   三浦隆司    5回1分24秒    ブンチャイ・キャットパイリン  ●
                         (横浜光) 134 1/4 lbs                     (タイ) 132 1/4 lbs

 立ち上がりからジリジリと距離を詰めて左右アッパーをボディに見舞う三浦。2回,早くも三浦の強打が火を噴いた。得意の左ストレートがグンと伸びて顔面を襲い,ブンチャイはロープを背に大きくのけぞり,キャンバスに膝をついてダウンをとられる。フィニッシュを狙って攻勢に出る三浦だが,体全体に力が入る。
 4回,再び左ストレートがヒットしてブンチャイは2度目のダウン。
 そして5回,またしても左ストレートでブンチャイはもろくもダウン。三浦は右フックでこの試合4度目のダウンを奪う。ここでサラサス主審がストップした。

 強打のサウスポー三浦だが,相変わらず膝の柔軟性に欠ける。体全体に力が入ってしまい,得意の左ストレートに次ぐ後続打が出にくいことが最大の欠点。パンチ力は抜群なので,もう少し膝を柔らかく使うことを覚えるべき。そうすればスムーズにウェイトのシフトができるようになり,フォローの右フックが出やすくなるはず。

     主審:ウクリッド・サラサス,副審:島川威&安部和夫&浦谷信彰
     ○三浦:8戦7勝(6KO)1分     ●ブンチャイ:戦績不詳
     放送:G+     解説:なし     実況:中野謙吾

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                       2005年9月23日(金)    パシフィコ横浜
                         日本ウェルター級タイトルマッチ10回戦
                     挑戦者(同級2位)    K   O      チャンピオン
                 ○   大曲輝斉     1回40秒    湯場忠志   ●
                          (ヨネクラ) 146 3/4 lbs                  (都城レオスポーツ) 147 lbs

 初回開始ゴングと同時にダッシュするように赤コーナーに駆け寄る大曲。マウスピースを口に含んでゆっくり振り向いた湯場はここで奇襲攻撃に気づき,慌てて体をかわそうとしたが,大曲の右フックをアゴに受けて呆気なくダウン。ゴングが鳴ってからわずか4秒後のことだった。湯場は立ち上がったが,足元が定まらない。辛うじてファイティングポーズを取ったが,大曲の左フックで2度目のダウン。さらに左フックでもう一度倒されて万事休す。

 大曲の電光石火のKO勝ち。昨年,内藤大助(宮田=フライ級)がマークした初回24秒に次ぐ日本タイトル戦史上2番目に早いKOによる王座奪取劇となった。開始ゴングと同時に襲いかかる作戦は予定どおりの行動だろう。左右フックに破壊力がある右ファイタータイプで,右でも左でも一発で倒せるのが強みである。大振りにならぬよう,上体を振ることを忘れないこと。
 湯場は完全に油断負け。ゴングが鳴ってのんびり構えていたところを急襲され,慌ててかわそうとしたが間に合わなかった。どんな状況でも気を抜いてはいけない。

     主審:ビニー・マーチン,副審:住吉栄一&染谷路朗&浅尾和信
     ○大曲:22戦15勝(14KO)4敗3分     ●湯場:32戦27勝(19KO)3敗2分
     放送:テレビ神奈川     解説:柴田国明     実況:石川顕

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                       2005年9月23日(金)    パシフィコ横浜
                                  10回戦
                     日本ウェルター級8位    負 傷 判 定     日本ウェルター級9位
                 ○   丸元大成     8回2分27秒     音田隆夫   ●
                          (グリーンツダ) 150 lbs                      (トクホン真闘) 149 1/2 lbs

 初回,粘っこく距離を詰める音田だが,丸元はよく見て動き,左ジャブからワンツー。さらにボディに左アッパーを放つ。丸元の冷静なボクシングが光る。
 2回には右アッパーから相打ちの左フックで音田をぐらつかせる丸元。隙を突くように体を沈めて放った右フックがアゴを捉えれば,音田はガクンと膝を落としてピンチ。膝をついた音田はダウンを取られた。音田は構わず反撃に出るが,丸元はカバーリングしながら冷静に動きを見極め,攻撃が途切れた瞬間を突いて攻勢に出る。
 しかし,音田も負けてはいない。3・4回,左右フック,アッパーの執拗な反撃で丸元を苦しめる。
 6回,両目上からの出血でドクターチェックを受ける音田だが,タイミングのいい右ストレートを丸元のアゴにヒット。この一発で丸元の腰が落ち,あわやダウンという場面を見せた。音田は執拗な左右フックで攻勢に出る。
 8回,丸元が左目上のカットでドクターチェック。再開されたが今度は音田が塞がった左目のドクターチェックを受ける。勝負どころと読んだ丸元が一気に攻勢に出る。ワンツー,右アッパー,さらに右から左の”逆ワンツー”で音田は大きくのけぞった。ここで音田の左目上からの出血が激しくなり,再びドクターチェック。結局続行不能とされ,ストップとなった。

 両者がともに力を出し尽くしてシーソーゲームの好ファイトとなった。見応えのある白熱戦だった。
 丸元は多彩なコンビネーションブローを持つ右ボクサーファイター。相手の動きを冷静に見極め,攻撃が途切れたところを突いて連打をまとめるクレバーなボクシングを見せる。足もあり,スピードも十分。ただし,カバーリング一辺倒になって後手に回ってしまう悪い癖も散見された。ブロックの上からでも打たせていれば,音田のようなファイタータイプはどんどん調子に乗ってしまう。足が使えるのだから,カバーリングだけでなく,もっと足を有効に使うことを考えるべきだろう。そこを改善することが課題。
 音田は左右フック,アッパーの連打を武器とする右ファイタータイプ。敗れはしたが,執拗な攻撃で最後まで丸元に食い下がった。高いKO率を誇るが,一発で倒すよりも,粘り強い攻撃を身上としている。

8回までの採点 丸元 音田
主審:杉山利夫 *** ***
副審:住吉栄一 78 76
副審:浅尾和信 77 76
副審:ビニー・マーチン 79 74
参考:MAOMIE (67) (66)


     ○丸元:24戦18勝(6KO)5敗1分
     ●音田:19戦15勝(12KO)4敗

     放送:テレビ神奈川
     解説:柴田国明
     実況:石川顕

※ 8回途中に音田が偶然のバッティングで負った傷によって試合続行不能となったため,当該の8回を含む採点で勝敗を決する。
※ 第7ラウンドをカットして放送(MAOMIEの採点は第7ラウンドを除く集計結果です)。

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                           2005年9月23日(金)    パシフィコ横浜
                                    10回戦
                     日本ウェルター級(ノーランク)    T  K O     タイ国スーパーライト級9位
                 ○     清田広大      2回18秒    チャイナライ・ウアサンバン   ●
                           (協栄) 145 1/2 lbs                        (タイ) 142 1/4 lbs

 開始早々からサウスポーの清田が自信満々で仕掛ける。ロープに詰めて左アッパーでボディを抉れば,チャイナライは体を丸めて防戦。さらに右アッパーがアゴに決まり,チャイラナイはたまらず仰向けにダウン。立ち上がったが清田の追撃は厳しく,左右のボディブロー,右アッパーからの左ストレートで2度目のダウン。
 何とか2回開始のゴングを聞いたチャイナライだが,清田の猛攻の前にガードを固めるのが精一杯。左右の連打で弾き飛ばされるように倒れたところで,染谷主審がためらわずストップした。

 清田はサウスポーのハードパンチャーで,左ストレート,アッパーが得意。アップライトスタイルから思い切った攻撃を仕掛ける。上体だけで打っているように見えるが,破壊力は十分。自信を持っていることが良い方向に出ている。欠点はハードパンチャーにありがちなガードの甘さ。思い切った攻撃の反面,アゴのガードが疎かになることが気になる。

     主審:染谷路朗,副審:住吉栄一&石川和徳&ビニー・マーチン
     ○清田:9戦8勝(8KO)1敗     ●チャイナライ:12戦5勝(2KO)7敗
     放送:テレビ神奈川     解説:柴田国明     実況:石川顕

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                           2005年9月25日(日)    横浜アリ−ナ
                          WBC世界バンタム級タイトルマッチ12回戦
                       チャンピオン        T   K        挑戦者(同級8位)
                 ○   長谷川穂積    7回2分18秒    ヘラルド・マルチネス  ●
                       (千里馬神戸) 117 1/4 lbs                     (メキシコ) 117 1/2 lbs

 試合は初回からスピードに優る長谷川のペース。マルチネスの右を外し,左ストレートからの右フックをヒット。終盤には右フックがテンプルを捉え,マルチネスの膝が揺れる。長谷川は最高の立ち上がりを見せた。
 2回,長谷川はロングの左ストレートを放つ。右フックでマルチネスが前のめりにキャンバスに落ちたが,これはナックルパートではなく,手首が当たったものでノーカウント。終了間際,今度は左ストレートが顔面にヒットし,マルチネスの腰が砕けて尻もちを突く場面があったが,これもプッシュ気味と取られ,ノーカウントとなる。
 しかし,3回,長谷川の左の捨てパンチに次ぐ返しの右フックがアゴを捉え,マルチネスがダウン。マルチネスは右ストレートで反撃するが,長谷川は左ストレートをボディに。マルチネスは右目上をカット。
 4回,左からの返しの右フックでぐらつくマルチネス。長谷川は左ストレートのボディブローを多用して,マルチネスの出足を止める。左ストレートがヒットし,ロープに飛ばされるマルチネス。
 攻め手を封じられて八方塞がりのマルチネスに対し,長谷川は快調そのもの。5・6回にも左ストレート,フックを上下に打ち分けて圧倒した。
 そして7回,劇的なフィニッシュとなる。開始早々,矢のようなワンツーが顔面にヒットしてマルチネスは腰から落ちてダウン。捨て身で反撃に出るマルチネスだが,長谷川はロープを背に速射砲のような左右連打で対抗し,観客を沸かせる。ワンツーでコーナーに詰まったマルチネスはさらにワンツーからの連打で崩れるように2度目のダウン。再開後,猛烈な打ち合いになったが,最後は左フックがテンプルを捉え,マルチネスはワンテンポ置いてゆっくり沈んだ。フリーノックダウン制であり,ここでコール主審がストップして長谷川のTKO勝ちとなった。

 長谷川,見事なTKOによる初防衛成功である。4月に難攻不落だったウィラポン・ナコンルアンプロモーション(タイ)から王座を奪ったことで,大きな自信につながったものと見られる。今夜は下記の3種類の左ストレートをうまく使い分けていたことが特筆すべき点である。これによって,攻撃に幅と奥行きが生まれていた。
   @返しの右フックを当てるために,力を抜いて”目眩まし”のために使うスピード重視の左ストレート
   A相手の出足を止め,かつダメージを与えるボディを狙った左ストレート
   Bアゴを狙い,思い切り踏み込んで決め手に使う左ストレート
 特に左からの右フックの返しが効果的で,全くつけ入る隙を与えない堂々たる横綱相撲である。サウスポーのディエゴ・モラレス(メキシコ)の負傷によって直前に挑戦者が変更になったハンデを感じさせない見事なボクシングだった。右フックを打つときに両足が揃う瞬間があることが気になるが,今後に期待が持てる試合内容である。
 急遽代役に決まったマルチネスは右ストレートを武器とするしぶとい右ファイタータイプ。よく食い下がったが,バランスの悪さが目立つ。攻防兼備の長谷川の前に,攻め手を封じられ,完敗となった。

6回までの採点 長谷川 マルチネス
主審:ローレンス・コール(米国) *** ***
副審:デュエイン・フォード(米国) 60 53
副審:ブルース・マクタビッシュ(比国) 60 53
副審:ヒューバト・ミン(米国) 60 52
参考:MAOMIE 60 53


     ○長谷川:21戦19勝(6KO)2敗
     ●マルチネス:35戦27勝(20KO)6敗2分

     放送:日本テレビ
     解説:浜田剛史&セレス小林     ゲスト:速水もこみち
     実況:長谷川憲司

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                           2005年9月25日(日)    横浜アリ−ナ
                          WBA世界ミニマム級タイトルマッチ12回戦
                       チャンピオン      負 傷 判 定     挑戦者(同級2位)
                 ○   新井田 豊    10回2分01秒    エリベルト・ゲホン  ●
                        (横浜光) 104 1/2 lbs                        (比国) 104 3/4 lbs

 ともにカウンターを警戒して,慎重な立ち上がりとなった。長身のゲホンは低目の左ガードから左ジャブを突いて間合いを取る。新井田はまずは様子を窺う。
 2回,新井田は左フックをヒットし,すかさず接近して速射砲のような左右ボディ連打を放つ。逆に3回にはゲホンの左フックがヒット。新井田は揺さぶりをかけたいところ。
 4回,ゲホンは右フックのミスを誘ってすかさずボディに右アッパーを突き上げる。さらに顔面にも右アッパーをヒット。しかし,新井田は終了間際に強引とも思える左右フックで猛然とラッシュを仕掛けた。
 緊迫したムードの展開となったが,中盤に均衡が破れた。新井田が左ジャブから相打ちの右ストレートをヒットすると,ゲホンはバランスを崩して後退。さらに右フックをヒットする新井田。終了間際にはロープを背にしたゲホンに右ストレートが決まる。
 尻上がりに調子を上げる新井田。8回には左フックをボディに,さらに顔面に左フックを返す。落ち着きを取り戻した新井田とは対照的に,ゲホンは攻めあぐむ場面が目立つ。
 9回,流れは完全に新井田のものとなった。自らプレッシャーをかけ,左フックをヒット。ゲホンも右アッパーをボディに決めるが,ややスピードが鈍る。
 そして10回,唐突な幕切れが待っていた。ゲホンは細かいワンツーでポイントを取りに出るが,新井田も左右のボディ連打で応戦。偶然のバッティングでゲホンが右目上をカットして一時中断。この傷が試合続行不能と判断され,2−1で新井田の負傷判定勝ちとなった。

 新井田は3度目の防衛に成功。序盤はゲホンの右カウンターを警戒し,やや攻めあぐんだが,尻上がりに落ち着きを取り戻した。後半は完全に流れを掴んでおり,ここから勝負と読んでいた矢先のストップとなった。左右に揺さぶりをかけていれば,もっと楽な展開になっていただろう。ゲホンのスピードが落ちて来たところだけに,悔やまれる。
 ゲホンは長身の右ボクサータイプで,カウンターパンチャーである。手数は多くないが,リーチを生かした右ストレート,アッパーのカウンターを入り際に合わせる戦法を身上としている。

10回までの採点 新井田 ゲホン
主審:ルイス・パボン(プエルトリコ) *** ***
副審:ピニット・プラヤドサブ(タイ) 96 95
副審:メダルド・ビリャロボス(パナマ) 93 97
副審:蜉ョ洙(韓国) 96 95
参考:MAOMIE 97 95


     ○新井田:23戦19勝(8KO)1敗3分
     ●ゲホン:23戦21勝(13KO)1敗1分

     放送:日本テレビ
     解説:浜田剛史&飯田覚士     ゲスト:速水もこみち
     実況:船越雅史

※ 10回途中にゲホンが偶然のバッティングで負った傷によって試合続行不能となったため,当該の10回を含む採点で勝敗を決する。

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                           2005年9月25日(日)    横浜アリ−ナ
                                      6回戦
                     WBC世界S・フェザー級26位    T   K       日本S・フェザー級(ノーランク)  
                  ○   エドウィン・バレロ     1回1分50秒      阪東ヒーロー   ●
                         (帝拳=ベネズエラ)  132 lbs                      (フォーラムスポーツ) 131 1/4 lbs

 開始ゴングと同時に猛然と襲いかかるバレロ。サウスポースタイルからパワフルな左右アッパー,右フック。さらに左アッパーが決まり,阪東は呆気なくダウン。開始からわずか15秒だった。立ち上がった阪東は何度もぐらつきながら応戦するが,バレロの追撃は凄まじい。左右フック,アッパーの猛攻に阪東は防戦するのが精一杯だが,わずかに右ストレートをお返しして場内を沸かせる。しかし反撃もそこまで。最後はボディへの左アッパーから右フックをアゴに叩き込まれ,観衆の悲鳴と溜息の中,顔面からキャンバスにダイブした。あまりにも痛烈な倒れ方に,浦谷主審は即座にストップ。

 バレロはこれでデビュー以来16戦全勝すべてが1ラウンドKO勝ちという驚異的な記録の持ち主。『バレロの強打に1ラウンド持ちこたえられれば100万円,試合に勝てば対戦相手にさらに100万円を上乗せ,バレロが1ラウンドで倒せばバレロに100万円』という異例の条件でバレロの対戦相手を”公募”したことで大きな反響を呼んだ。異例の賞金マッチであるが,結果はバレロが噂以上の凄まじいパワーを披露して観客を十分に魅了した。
 バレロはサウスポーのファイタータイプ。足を止め,ガッシリとした上体から破壊力十分の左右フック,アッパーを情け容赦なく打ち込む豪快なボクシングである。全身で打っているようには見えないが,そのパワーは破格で,”切れ”よりも”硬さ”と”重さ”を感じさせる。おそらく腕力と背筋力がずば抜けているのだろう。
 ガードが低いので,カウンターをもらいやすいが,それをカバーして,さらにお釣りが来るパワーである。
 阪東は対戦相手の”公募”に唯一手を挙げた勇気の持ち主。右ボクサーファイターで,右ストレートが武器。バレロの強打を恐れず,クリンチに出る様子もなく正面衝突を挑んだ根性に拍手を送りたい。クリンチに出られれば1ラウンドを持ちこたえられる可能性もあったが,それをさせてもらえないほどの圧力だったのだろう。

     主審:浦谷信彰,副審:福地勇治&熊崎広大&内田正一
     ○バレロ:16戦16勝(16KO)     ●阪東:28戦14勝(8KO)8敗6分
     放送:日本テレビ     解説:セレス小林     実況:高橋雄一

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                         2005年9月25日(日)     横浜アリーナ
                                  6回戦
                     WBC世界フェザー級3位            比国S・バンタム級2位
                 ○    ホルヘ・リナレス    判  定    アヨン・ナランホ  ●
                          (帝拳=ベネズエラ) 128 lbs                (比国) 125 1/4 lbs
                        WBA4位

 初回から果敢に仕かけるナランホだが,リナレスは落ち着いてさばき,ガードの上からワンツー,ボディへの左アッパーを見舞う。2回には飛び込んで来るナランホの顔面に左フックのカウンターが決まり,ナランホはバランスを崩す。リナレスはさらにワンツーからボディを左アッパーで叩く。
 4回,リナレスは左右の強烈なボディアッパーを連打。ナランホは効いていないとばかりに『もっと来い』のジェスチュアでリナレスを挑発する。
 6回,左を伸ばして入ろうとしたナランホのアゴを左から右の見事なワンツーが捉える。タフなナランホもたまらずダウン。リナレスの左アッパーをボディに打ち込まれたナランホは上体を折り曲げて苦しげな表情を見せるが,最後までフィニッシュは拒絶した。

 世界を狙う”ゴールデンボーイ”がスピード豊かなワンツー,左右アッパーを存分に披露し,貫禄を見せた。タフなナランホにフィニッシュを逸したが,20歳になったばかりとは思えない完成度の高いボクシングは今すぐにでも世界に通用する。ただし,長期政権を維持するような安定王者になるためには焦りは禁物。いろいろな相手とグラブを交えて経験を積むことが望ましい。
 ナランホは変則的な右ファイタータイプ。パンチ力はないが,非常にタフで,果敢な攻撃を身上としている。

採点結果

リナレス

ナランホ

主審:福地勇治

***

***

副審:内田正一

60

53

副審:安部和夫

60

53

副審:葛城明彦

60

53

参考:MAOMIE

60

53


     リナレス:17戦17勝(10KO)
     ナランホ:19戦13勝(5KO)6敗

     放送:G+
     解説:飯田覚士
     
実況:寺島淳司

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                           2005年9月25日(日)    横浜アリ−ナ
                                  6回戦
                     日本フェザー級9位     K          韓国S・バンタム級3位
                  ○  粟生隆寛     1回2分54秒    文 在春  ●
                         (帝拳) 127 1/2 lbs                       (韓国) 125 lbs

 開始早々から左ストレート,アッパーを上下に放って早くもプレッシャーをかける粟生。左アッパーのボディブローから左ストレートが顔面に決まり,文はコーナーで仰向けにダウン。再開後,反撃に出た文の右ストレートが肩口に当たる。このパンチで粟生が尻もちをつき,ダウンを取られるハプニングがあった。しかし,粟生は落ち着いて再び攻勢に出る。右フック,左ストレートの攻勢に文は腰が砕け,泳ぐようにダウン。立ち上がったものの,カウント途中にタオルが投入された。

 日韓の無敗のホープ同士の対決となったが,粟生の鮮やかなTKO勝利。スピードに乗った左ストレートを上下に散らす攻撃で,韓国のホープを全く問題にしなかった。左ストレートに加え,左アッパーをボディに,右フックを顔面にフォローするなど,上下への打ち分けが見事。
 ただし,今は左ストレートを上下に打ち分けてプレッシャーをかけるだけで通用しているが,ここから上位を目指すためには,攻撃にさらに幅と奥行きが求められる。実力に応じて徐々に相手のレベルを吟味しながら経験を積ませることが必要だろう。

     主審:安部和夫,副審:浦谷信彰&ウクリッド・サラサス&葛城明彦
     ○粟生:9戦9勝(6KO)     ●文:6戦5勝(3KO)1敗
     放送:日本テレビ     解説:飯田覚士     実況:田中毅

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                           2005年9月25日(日)    横浜アリ−ナ
                                    6回戦
                     日本ミドル級(ノーランク)    T   K       韓国S・ウェルター級4位 
                 ○    佐藤幸治      1回2分36秒     李 朱永   ●
                         (帝拳) 158 3/4 lbs                          (韓国) 158 3/4 lbs

 低いガードから左ジャブを多用して李を圧倒する佐藤。動きの鈍い李の顔面に右ストレート,オーバーハンドの右フック,左アッパー,フックが面白いように決まり,早くも一方的な試合になる。腰が落ち,足をもつれさせながら必死に耐える李だが,右ストレートを受けてたまらずダウン。サラサス主審はためらわずストップした。

 呆気ないワンサイドゲームとなった。即座にストップしたサラサス主審の判断は当然。佐藤は低いガードから左ジャブ,右ストレートを主体に攻める基本に忠実なボクシングをする。このクラスでの世界挑戦は至難の業だが,夢は大きいに越したことはない。低いガードは危険が伴うが,パンチをスムーズに出すために必要であればそれも仕方ないだろう。いずれにしても重量級では貴重なタレントなので,経験を積ませるようなマネジメントを期待したい。
 足をもつれさせ,何もできないまま,惨めな人間サンドバッグと化した李はズングリした右ファイタータイプ。放つパンチはスピードも威力もなく,無残なロートルの姿を晒した。ダメージの蓄積も窺え,引退を勧告すべきだろう。

     主審:ウクリッド・サラサス,副審:内田正一&熊崎広大&浦谷信彰
     ○佐藤:3戦3勝(3KO)     ●李:13戦6勝(5KO)6敗1分
     放送:日本テレビ     解説:セレス小林     実況:田中毅

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