熱戦譜〜2005年7月の試合から


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試合日 試合 結果
2005.07.02  東洋太平洋ライト級
 タイトルマッチ12回戦
 稲田千賢  TKO8R  朴 性佑
2005.07.02 10回戦  粟生隆寛  判定  宮田芳憲
2005.07.02 8回戦  下田昭文  TKO4R終了  井野秀作
2005.07.02 6回戦  佐藤幸治  KO3R  金 住泰
2005.07.16  東洋太平洋バンタム級
 タイトルマッチ12回戦
 クマントーン・ポープルムガモン  判定  鳥海 純   
2005.07.16 8回戦  菊井徹平  判定  河野公平    
2005.07.16 6回戦  内山高志  TKO1R  チャンデット・シスラムカムヘン
2005.07.18  WBC世界スーパー・フライ級
 タイトルマッチ12回戦
 徳山昌守  判定  川嶋勝重
2005.07.21  東洋太平洋ウェルター級
 タイトルマッチ12回戦
 日高和彦  TKO7R  ドンドン・スルタン
10 2005.07.21 10回戦  真鍋圭太  判定  ジャガー哲也
11 2005.07.21 4回戦  斉藤大喜  TKO1R  星野康幸
12 2005.07.28 10回戦  嶋田雄大  TKO5R終了  ディッカス・ローリエス
13 2005.07.28 10回戦  高橋良輔  TKO6R  アパ・ナナイ
14 2005.07.28 10回戦  宮 将来  TKO7R  鈴木教芳

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                       2005年7月2日(土)    後楽園ホール
                        東洋太平洋ライト級タイトルマッチ12回戦
                     チャンピオン    T   K   O   挑戦者(同級4位)  
                ○   稲田千賢   8回2分39秒    朴 性佑  ●
                         (帝拳) 135 lbs                     (韓国) 135 lbs
                         WBC12位,WBA11位                 韓国ライト級チャンピオン

 初回,広目のスタンスでサークリングしながら,長いリーチを目一杯に使った左ジャブで牽制する稲田。距離を詰めたい朴だが,稲田のワンツーで早くもぐらつく。2回にも打ち合いの中で右アッパーがアゴを捉え,タフな朴が再びぐらついた。
 稲田の懐の深さとスピードに手を焼き,距離を詰めようとしてはバランスを崩す場面が目立つ朴。焦りの見える朴に対し,稲田は冷静そのもの。4回には左アッパーのボディブロー,5回には入り際に右アッパーを合わせ,朴を寄せつけない。
 6回,左ジャブから右ストレートに次ぐ左アッパーでアゴを突き上げられた朴がのけぞる。稲田はワンツーからの左アッパーをボディに集め,徐々に朴を弱らせる。7回にも右ストレートからの左フックで朴がぐらつく場面が見られた。稲田も鼻から出血するが,ボクシングは快調そのもの。
 そして8回,稲田が鮮やかな攻撃で勝負を決めた。右ショートストレートのカウンターでぐらついた朴は構わず入ろうとしたところに左フックを合わされてよろめく。稲田が攻勢をかければ,グロッギーの朴はロープ伝いに守勢一方。最後は強烈な右ストレートがアゴを捉え,朴は力尽きたように大の字に沈んだ。ホントンカム主審はためらわずノーカウントでストップした。

 稲田は見事なTKOで初防衛を飾った。足と左で自分の距離を守り,中盤からはワンツーにボディ攻撃を織り交ぜながら徐々にダメージを与えてチャンスを作って行った冷静なボクシングが光る。最後は集中打を浴びせてのフィニッシュで,ほぼ会心の勝利と言える。今までは日本人離れした体格に恵まれていた割りにはそのアドバンテージを生かし切れていない面が見受けられたが,今夜は脱皮した姿を披露した。嶋田雄大(ヨネクラ),デニス・ローレンテ(比国)らの実力者に喫した2敗が非常に良い薬になったものと考えられる。挫折から何かを掴んで這い上がったエリートほど強いものはない。もうひと皮剥ければ必ず世界への道が開けるはず。持ち前のハイレベルなセンスと身長・リーチを生かすことに徹し,さらなる精進を望みたい。
 無敗のホープ朴だが,稲田の足とスピードに完敗となった。左フックに威力がある右ファイターだが,スピードに欠け,追い足も鈍い。懐が深くてスピードがある稲田にまったく追随できなかった。

7回までの採点 稲田
主審:アネック・ホントンカム(タイ) 69 64
副審:キム・ビュン・キ(韓国) 66 67
副審:島川威 69 65
参考:MAOMIE 70 64

     ○稲田:20戦18勝(13KO)2敗
     ●朴:12戦11勝(7KO)1敗

     放送:G+
     解説:浜田剛史&セレス小林
     実況:長谷川憲司

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                         2005年7月2日(土)    後楽園ホール
                                10回戦
                     日本フェザー級10位         日本フェザー級(ノーランク)
                ○     粟生隆寛    判 定     宮田芳憲  ●
                            (帝拳) 126 lbs                (角海老宝石) 126 lbs

 乱戦・混戦を狙って開始早々から意欲的に仕掛ける宮田。初回,粟生は単発ながらも左ストレート,アッパーをカウンター気味に決める。
 3回,宮田はかまわず出るが,粟生は左ストレートのカウンター。フェイントを入れての左ストレートがヒットする。宮田は突進するが,4回には左ストレートでバランスを崩す場面が見られた。粟生はさらに左アッパーをボディへ。
 中盤は宮田がプロ叩き上げの意地を見せる。正確さはないが,粟生を休ませずに突進して左フックをヒットし,ペースチェンジを図る。6回,宮田の強引とも取れる突進に粟生はやや手を焼く。宮田はクリンチで押さえ込まれながらも手を出して粟生のペースを乱す戦法に出る。7回には宮田のパンチが低く入り,一時中断。強引な宮田を粟生がやや持て余す場面が見られた。
 終盤は揉み合いも見られたが,こういう展開はラグビーで全国大会出場の経験を持つ宮田が上。粟生も左ストレートのカウンターを浴びせるが,後続打が出ず,決定的なダメージを与えられないまま終了のゴングを聞いた。

 無敗をキープした粟生は相手の出バナに放つ左ストレートのカウンターやフェイントを織り交ぜた攻撃など,ハイセンスは相変わらず。しかし,宮田の突進に手を焼き,内容的には不本意な勝利。フォローの右フックが出ず,パンチが単発になったことが苦戦の原因。左だけに依存せず,右ジャブ,フックを多用するなど,右をうまく使うべきである。それができる素質は十分に持っている。今夜のように苦しむ経験は非常に貴重。自分が絶好調で相手との相性もいい試合など,そうそうあるものではない。思うように行かない中で『うまくまとめるボクシング』も重要なテクニックである。焦ることなく,こういう経験を多く積んで,逞しく成長して欲しい。
 この試合に関しては自分のボクシングができたのは宮田の方だろう。プロ根性と闘志は脱帽ものである。間合いを置いては不利と見たのか,粟生を休ませずにどんどん攻勢をかける作戦が読み取れた。粟生がいやがることをやれるあたりはプロでの苦しい経験を積んだ賜物だろう。

採点結果 粟生 宮田
主審:土屋末広 *** ***
副審:葛城明彦 99 94
副審:山田一公 98 93
副審:杉山利夫 98 95
参考:MAOMIE 98 95


     ○粟生:8戦8勝(5KO)
     ●宮田:20戦15勝(10KO)4敗1分

     放送:G+
     解説:浜田剛史&セレス小林
     実況:高橋雄一

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                        2005年7月2日(土)    後楽園ホール
                                8回戦
               日本S・バンタム級(ノーランク)   T  K  O   日本S・バンタム級(ノーランク)
             ○   下田昭文         4 回 終 了    井野秀作    ●
                     (帝拳) 122 lbs                            (正拳) 122 lbs

 低いガードで誘い,鋭い右ジャブで牽制する下田。2回,右ジャブから左ストレートをボディ,さらに左ストレートから右フックをヒットする。井野は早くも右目上をカットしてドクターチェックを受ける(下田の有効打によるもの)。再開後,フェイントから右にウィービングし,鮮やかな右アッパーを披露する。
 3回,井野の力を見切った下田が攻勢を強めた。右ジャブで間合いを取り,左ストレートを上下に放って一方的に攻める。
 4回,さらに力の差が出た。左アッパーをカウンター気味にボディに決める下田。左ストレート,右フックに,下からの右アッパーを織り交ぜた速攻に井野は顔面を血で染めて防戦するのが精一杯。結局4回終了時のインターバル中に井野陣営から棄権の申し入れがあり,下田のTKO勝ちとなった。

 下田が持ち前のハイセンスを余すところなく披露した会心の勝利。右ジャブで間合いを取り,機を見て上下に放つ左ストレートは最大の武器である。目でフェイントをかけて上下に散らしてくるので,この左ストレートは相手にとって大きな脅威である。連打の中から放つ右アッパーは相手の死角に入り,攻撃の幅を一層広くする要因となっている。目と勘,センスの良さは抜群。今は同門の粟生隆寛や矢代義光の影に隠れて地味な存在に甘んじているが,必ず開花する。焦らず腐らず精進し,じっくり経験を積んで欲しい。
 井野は右ストレートを武器とする右ボクサーファイターだが,今夜は下田のスピードとうまさに完敗となった。右ストレートで下田の出バナを叩く作戦だったと見られるが,動きを読まれ,カウンターを浴びてしまった。

     主審:館秀男,副審:葛城明彦&山田一公&土屋末広
     ○下田:10戦10勝(7KO)     ●井野:11戦8勝(1KO)3敗
     放送:G+     解説:なし     実況:田中毅

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                      2005年7月2日(土)    後楽園ホール
                               6回戦
               日本ミドル級(ノーランク)   K      O   韓国S・ウェルター級5位
             ○  佐藤幸治       3回1分27秒     金 住泰    ●
                    (帝拳) 160 lbs                          (韓国) 158 3/4 lbs

 初回,アップライトスタイルから重い左フック,右ストレートを放つ佐藤だが,ガードを下げて真正面から打ち合う場面も見せた。
 2回,左ジャブを突いて金を追う佐藤。打ち合いを挑んで危ないタイミングで被弾するが,中盤から攻勢に出て左ジャブ,右ストレートを浴びせれば,金は早くもダメージの色を滲ませる。
 3回,佐藤は低いガードから左ジャブを多用して金を追い込んで攻勢に出る。最後は左フックがボディを抉ると金はたまらずダウン。カウントの途中にタオルが投入されたが,島川主審はそのままカウントアウトした。

 アマチュア13冠という実績を引っ下げ,鳴り物入りで米国でのデビューを果たした佐藤のプロ転向第2戦。しかし,ベルトラインにダブつきが見られ,調整不足を窺わせた。ミックスアップして危険なタイミングでパンチをもらうなど,今後に課題を残した。ただし左ジャブ,ストレートは鋭く,さすがにアマチュアで基礎を築いただけのことはある。主武器の右ストレートは重く鋭い。いいものを持っているので,無謀な打ち合いは避け,オーソドックスな試合運びに徹した方がいいだろう。いずれにしても相当な覚悟を持って取り組まないと前途は厳しいと言わざるを得ない。
 金は左右フックを武器とする右ファイタータイプ。タフだが,スピードに欠ける。

     主審:島川威,副審:土屋末広&杉山利夫&館秀男
     ○佐藤:2戦2勝(2KO)     ●金:6戦4勝(2KO)2敗
     放送:G+     解説:なし     実況:田中毅

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                     2005年7月16日(土)    後楽園ホール
                    東洋太平洋バンタム級タイトルマッチ12回戦
                  挑戦者(同級4位)               チャンピオン
             ○ クマントーン・ポープルムガモン   判 定   鳥海 純   ●
                       (タイ) 118 lbs                     (ワタナベ) 118 lbs
                      タイ国バンタム級チャンピオン                WBA10位,WBC8位

 サウスポー鳥海と右ファイターのクマントーンの差し手争いでスタート。2回,クマントーンの入り際に左ストレートをカウンターでヒットする鳥海。しかしクマントーンは構わず距離を詰め,ノーモーションの右ストレートを多用して攻め立てる。
 3回,鳥海が最大のピンチを迎えた。クマントーンの右ストレート,アッパー,左フックで守勢に回る鳥海。クマントーンはさらに左右アッパーをボディに集める。反撃を試みようと左フックを放ったところに左フックをカウンターで合わされ,鳥海は仰向けにダウン。
 鳥海は持ち味の足が動かず,中盤も苦しい展開を強いられた。4回には左フックでコーナーに詰まり,クマントーンの攻勢を許す。5回終盤にようやく連打で反撃を見せる鳥海だが,迷いが見られ,6回には右ストレートで再びロープに詰まる場面があった。
 鳥海は9回に単発ながらも入り際に左ストレートを浴びせ,ボディにカウンター気味の左アッパーを決めて反撃を見せる。10回には距離を取って丹念に右ジャブを突き,左ストレートをヒットした。
 しかし,11回には再びクマントーンが右ストレート,左フックでプレッシャーを強める。右ストレートを受けて鳥海のマウスピースが飛ぶ場面が見られた。12回,鳥海は必死の形相で反撃するが決め手を欠き,ついに終了のゴングを聞いた。

 鳥海の敗因は持ち味の足の動きに乗せたスピーディなボクシングができなかったこと。迷いを感じさせるような中途半端な距離の取り方が目立ち,接近戦を得意とするクマントーンのペースにはまってしまった。クマントーンの過去の来日戦績が芳しくないことで,多少甘く見ていた面もあったのではないか。前後左右に動いてタイミングのいい左ストレートからのコンビネーションブローが出ていれば負ける相手ではなかったはず。敗因が明確なので,モチベ−ションさえ維持できれば十分に再起が期待できる。
 クマントーンは右ファイタータイプ。去る6月に菅原雅兼(松田)を3回TKOで破って東洋太平洋スーパーバンタム級の王座を獲得したウェート・サクムランクラン(タイ)の実兄である。過去の何度かの来日では,どちらかというと中堅選手の噛ませ的存在だったが,今夜は従来とは見違えるようなボクシングを見せ,見事な王座奪取となった。ノーモーションの右ストレートに追撃の左フック,接近してボディに集める左右アッパーなど手数が良く出ており,先手先手で仕掛けたことが勝因。3回にダウンを奪った左フックは鳥海の左フックに小さく合わせた見事なカウンターだった。

採点結果 クマントーン 鳥海
主審:キム・ジェ・ボン(韓国) 115 114
副審:シンチャイ・グーラウン(タイ) 115 112
副審:浦谷信彰 114 114
参考:MAOMIE 117 113

     ○クマントーン:35戦15勝(4KO)19敗1分
     ●鳥海:29戦23勝(9KO)5敗1分

     放送:G+
     解説:葛西裕一
     実況:鈴木健

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                     2005年7月16日(土)    後楽園ホール
                            8回戦
                 日本S・フライ級7位        日本バンタム級2位
              ○   菊井徹平    判 定    河野公平  ●
                      (花形) 118 lbs               (ワタナベ) 118 lbs

 菊井が初回から左ジャブを出しながらサークリングして距離を取り,河野が距離を詰める展開。3回,菊井の右アッパーがタイミングよくヒットする。ボクサータイプの菊井が自分から前に出て接近戦を挑み,左アッパー,右フックのボディブローを放つ。河野も反撃に出て打ち合いを挑むが,ミスブローが目立つ。前半戦は菊井がうまいボクシングでやや優勢。
 4回前半は菊井が左右のボディブローを打ち,うまい攻撃でリ−ドするが,終盤は逆に河野がワンツーの連打で攻勢に出る。
 6回,両者譲らぬ打ち合いになるが,菊井の的確さが上回る。
 しかし,終盤は河野が反撃を見せた。やや疲れが見えてスピードが落ちた菊井を河野が追い込む。7回終了間際には河野の右アッパーがヒット。8回には後半に動きが鈍った菊井に対して河野が手数で上回った。

 一進一退の白熱した好試合となったが,パンチの的確さで上回った菊井が前半のポイントを守り切った。菊井はフットワークに乗せた左ジャブ,ワンツー,左右のボディブローを得意とする右ボクサータイプ。本来は距離を取るボクシングが身上だが,今夜は果敢に接近戦を挑み,ボディブローを見せていた。同門の先輩・木村章司(日本スーパーバンタム級王者)の影響を強く受けていることが窺えるスタイルである。スピードが今ひとつである点,後半にスタミナが落ちる点を克服すれば,大化けしてタイトルを狙うことも十分に可能。目標を高く置いての精進に期待する。
 河野は右ファイタータイプで,パンチ力はないが豊富な手数が身上。ワンツー,左右フックでたたみかける連打にいいものがある。今夜は積極的な菊井の戦法に後手に回ってしまったことが敗因。終盤に疲れが出た菊井を追い込んだが,パンチに的確さを欠いた。

採点結果 菊井 河野
主審:鮫島英一郎 *** ***
副審:ウクリッド・サラサス 78 76
副審:山田一公 78 76
副審:福地勇治 78 75
参考:MAOMIE 77 76


     ○菊井:22戦18勝(4KO)4敗
     ●河野:17戦14勝(4KO)3敗

     放送:G+
     解説:葛西裕一
     実況:高橋雄一

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                        2005年7月16日(土)    後楽園ホール
                                6回戦
               日本S・フェザー級(ノーランク)    T K O     タイ国S・フェザー級(ノーランク)
             ○   内山高志        1回35秒    チャンデット・シスラムカムヘン  ●
                     (ワタナベ) 131 lbs                            (タイ) 128 1/2 lbs
              アマ戦績:113戦91勝(59KO・RSC)22敗

 開始ゴングと同時にじわじわとプレッシャーをかけ,左ジャブからいかにも重そうな左アッパー,右フックをボディに放つ内山。チャンデットの左フックに大きくバランスを崩しながら打ち下ろした右ストレートがクロス気味にアゴを捉えれば,チャンデットは呆気なくダウン。足元が定まらず,サラサス主審がカウントの途中で試合をストップした。

 内山は花咲徳栄高1年でボクシングを始め,拓大4年から全日本選手権ライト級で3連覇を果たし,2002年には国体も制している。鳴り物入りでのデビュー戦となったが,評判どおりの強打者ぶりを披露した。フィニッシュとなった右クロスも強いが,ボディに放った左右アッパーが圧巻。右ボクサーファイターで,左ジャブ,フック,右ストレートに破壊力がある。ただしガードが低く,不用意にパンチをもらう危険がある。チャンデットの左フックに態勢を崩すなど,不安な点も見られた。攻撃力は抜群なので,KOを狙い過ぎて手数が少なくならないように心掛けることが必要である。楽しみな逸材がまたひとり増えた。

     主審:ウクリッド・サラサス,副審:浦谷信彰&染谷路朗&福地勇治
     ○内山:1戦1勝(1KO)     ●チャンデット:4戦1勝3敗
     放送:G+     解説:なし     実況:田中毅

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                   2005年7月18日(月)    大阪市中央体育館
                   WBC世界スーパー・フライ級タイトルマッチ12回戦
                   挑戦者(同級5位)          チャンピオン
                ○   徳山昌守    判 定    川嶋勝重   ●
              
      (金沢) 114 3/4 lbs               (大橋) 115 lbs

 スタートから小刻みに体を振って迫る川嶋。徳山は足を使い,左ジャブ,ストレートを突き,右ストレートにつなげる作戦どおりの展開。2回にはロングレンジからの左ジャブ,ストレート,ボディへの左アッパーを突き上げる。懐の深さを生かした徳山のボクシングに川嶋は距離を詰められない。
 川嶋は左フックを振って迫るが,振りが大きくて空砲が目立つ。徳山は3回に左ジャブから右ストレート2発を浴びせる。5回には左フックをミスしたところに右ストレートを浴びる。徳山はスピードと懐の深さで川嶋を寄せつけず,前半戦をコントロールした。
 川嶋が反撃を見せたのは7回。左フックから攻勢に転じ,右アッパーから左フックを浴びせてプレッシャーをかける。川嶋は振りが大きくてミスも多いが,やや疲れが見える徳山は足の運びに乱れを見せた。川嶋は8回にも左フックをボディに放ってプレッシャーをかける。
 しかし,9回に入ると再び徳山の動きに切れが甦った。ワンツーを浴びせ,さらに右ストレート2発をヒットする徳山。10回にはよく足が動き,左アッパーから右ストレートのコンビネーションブローが鮮やかにヒットする。
 波乱が起きたのは12回。相打ちの右フックが顔面を捉え,徳山ダウン。足が滑ったこともあって不運なダウンだが,有効打は有効打。川嶋は逆転を狙って一気に出る。左フックで腰が落ちる徳山だが,川嶋も決定打を欠いたまま試合終了。

 減量苦を伝えられた徳山だが,予想以上の体の切れ,スピードを披露した。全盛時ほどではないにしろ,復調を十分にアピールしたと言える。距離を取り,左ジャブ,ワンツーをタイミングよくヒットしていた。懐の深さを生かして川嶋をほぼ完全にコントロールし,見事な王座奪回である。
 川嶋は振りが大きく,ミスブローの繰り返しが目立った。徳山の作戦にハマってしまい,完敗と言える。前半からもっとプレッシャーをかけるべきだったが,前に出てはいるものの,肝心のパンチが流れる場面が目立った。待っては足と左で突き放され,焦り気味に出ては右ストレートを浴びるというパターンに終始した。大振りで自滅してしまった感じが強い。徳山の減量苦が伝えられ,後半にやや疲れが出た場面も見られただけに,前半から振りを小さく手数を多くして,下から攻め上げていれば違った展開になっていただろう。

採点結果 徳山 川嶋
主審:イアン・ジョン・ルイス(英国) *** ***
副審:安部和夫 115 112
副審:宮崎久利 117 110
副審:ジェームズ・ジェンキン(米国) 118 109
参考:MAOMIE 116 113


   ○徳山:35戦31勝(8KO)3敗1分
   ●川嶋:32戦28勝(18KO)4敗

   放送:テレビ東京
   解説:畑山隆則&星野敬太郎
   実況:久保田光彦

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                         2005年7月21日(土)    後楽園ホール
                       東洋太平洋ウェルター級タイトルマッチ12回戦
                     チャンピオン    T   K   O   挑戦者(同級1位)  
                ○   日高和彦   7回1分07秒   ドンドン・スルタン  ●
                      (新日本木村) 146 1/2 lbs                (比国) 145 1/2 lbs
                            WBC10位                   比国ウェルター級チャンピオン

 開始早々左ストレート,ワンツーでスルタンをロープに詰める日高。スルタンも左フックをヒットするが,日高は落ち着いてロープに詰め,左右ショートの連打を浴びせる。2回にも日高が左ストレートから左右フックを浴びせて優勢。スルタンの右が低く入って一時中断する。スルタンはやや変則的な動きから右ストレート,フックを振って迫る。
 3回,日高はやや強引に出て,左ストレート,左右フックを連打。スルタンもノーモーションからの右ストレート2発をヒットするが,日高の積極的なボクシングが上回る。
 6回,しぶといスルタンをやや持て余す日高だが,終盤に強引とも思える左フックからのラッシュを仕掛ける。
 日高が勝負を決めたのは7回。右アッパーからの左ストレートでぐらつくスルタン。チャンスと見た日高はスルタンをコーナーに釘付けにして怒涛のようなラッシュ。スルタンも必死に応戦するが,スリップダウンからの再開後,ロープ伝いに逃れようとしたところに左ストレートを受けてダウン。ブルナー主審はカウントの途中で試合をストップした。

 日高は変則的なスルタンを攻めあぐむ場面も見せたが,まずまずの初防衛と言えるだろう。大振りせずにコンパクトなパンチでコンビネーションを形成している点が最大の長所。落ち着いた攻撃が光っており,積極的に自分から試合を作る姿勢は高く評価できる。ただし,上体の振りが見られず,正面に立ってしまう時間が長いことが気になる。また,上への攻撃偏重が目立つことも欠点のひとつ。コンビネーションブローの中にボディ打ちを織り交ぜれば攻撃の幅が広がるはず。派手なパフォーマンス,気の利いたコメントなど,明るい性格もあって,タレント性は十分。今後,日本の重量級を担うスターへの成長が期待できる。
 スルタンは変則的な右ファイタータイプ。ノーモーションからの右ストレート,フックが武器で,しぶといボクシングを身上としている。

6回までの採点 日高 スルタン
主審:マルコム・ブルナー(豪州) 59 55
副審:サルバン・ラグンバイ(比国) 59 55
副審:浦谷信彰 59 55
参考:MAOMIE 60 55


   ○日高:26戦22勝(16KO)4敗
   ●スルタン:18戦11勝(5KO)5敗2分
   放送:G+
   解説:戸高秀樹
   実況:船越雅史

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                         2005年7月21日(木)    後楽園ホール
                                10回戦
                    日本S・フェザー級3位        日本S・フェザー級(ノーランク)
                ○     真鍋圭太    判 定    ジャガー哲也  ●
                          (石川) 132 1/4 lbs                (倉敷守安) 132 lbs

 初回,ジャガーの左ストレートでコーナーに詰まる真鍋。攻勢に出るジャガーだが,カバーリングしながら機を見て放った真鍋の左フックからの右ストレートで腰が落ちる。逆に一気に攻勢に出る真鍋。
 3回,サウスポースタイルからの右アッパー,左ストレートで先手先手で攻めるジャガー。真鍋は後手に回るが,終了間際,サウスポースタイルにスイッチして放った左フックがヒットし,ジャガーの足がもつれる。
 4回,真鍋がようやく先手を取りに出る。右アッパー,ストレートで先に仕掛けたり,ジャガーの左に合わせて右ストレートを強打。5回,真鍋は再びコーナーを背にし,カバーリングしながらカウンターのチャンスを狙う。ジャガーの連打の間隙を突くように右ストレート,左アッパー,フックを浴びせる真鍋。ジャガーは正面に立って真鍋の強打の標的になる場面が目立った。
 7回には打ち合いの中からジャガーの右フックがテンプルを捉え,真鍋は腰を落としてコーナーに詰まる。ジャガーはよく頑張り,真鍋の強打を浴びながらも左ストレート,右フックで応戦する。
 8回,右ストレートでぐらつかせて一気に攻勢に出る真鍋。右ストレート,左フック,アッパーの狙い打ちに朦朧となるジャガーだが,よく打ち返す。9回,左フックが肩口に当たって倒れるジャガー。判定はスリップダウンだったが,ダメージの蓄積は明白。10回,ジャガーはフラフラになりながらも必死の応戦を見せる。真鍋もフィニッシュを狙うが,驚異的なジャガーの粘りに遭い,終了ゴングを聞いた。

 真鍋はロープ際やコーナーに下がって右ストレート,左フックのカウンターを返す展開が目立った。作戦とは言え,やはり見栄えが悪い。破格のパンチ力があるのだから,先手を取って自分から試合を作る必要がある。ハードパンチは真鍋の最大の魅力だが,それを生かすには積極的な試合運びが欲しい。
 善戦したジャガーはサウスポーで,177cmという長身のボクサータイプ。リーチを生かした左ストレートを武器としている。上体が突っ立ったまま相手の正面に立ってしまう欠点があるが,非常に闘志溢れる戦いぶりが目立つ。真鍋の強打に何度もダウン寸前に追い込まれながらも,試合を捨てずに応戦した頑張りは脱帽もの。

採点結果 真鍋 ジャガー
主審:ウクリッド・サラサス *** ***
副審:杉山利夫 97 94
副審:染谷路朗 99 91
副審:ビニー・マーチン 98 94
参考:MAOMIE 98 93


     ○真鍋:24戦21勝(18KO)2敗1分
     ●ジャガー:20戦15勝(8KO)4敗1分

     放送:G+
     解説:戸高秀樹
     実況:田中毅

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                             2005年7月21日(木)    後楽園ホール
                                     4回戦
                    日本S・ウェルター級(ノーランク)    T K O   日本S・ウェルター級(ノーランク)
                ○      斉藤大喜       1回08秒      星野泰幸     ●
                          (トクホン真闘) 152 3/4 lbs                        (ヨシヒロ) 153 lbs

 試合開始ゴングの余韻が収まらないうちに左フックを振って一気に襲いかかる斉藤。右フックでのけぞったところに,左フックがアゴを捉えれば,星野は呆気なく腰から落ちてダウン。染谷主審はためらわず試合をストップした。

 初回わずか8秒TKO勝ちというのは,国内での最短試合記録である。今夜がデビュー戦同士の一戦となったが,初陣の斉藤が歴史的な大記録樹立というオマケ付きで圧勝した。
 従来の記録は1996年10月14日に浜田安紀(フラッシュ赤羽)がマークした初回10秒KO勝ち。今夜の斉藤は9年ぶりに記録を塗り替えたことになる。ちなみに世界最短記録は1994年にコロンビアで行われたフェザー級10回戦でエベル・ベレーニョ(コロンビア)がギシェルモ・サルセド(コロンビア)を相手に記録した初回5秒TKO勝ち。

     主審:染谷路朗,副審:杉山利夫&山田一公&浦谷信彰
     ○斉藤:1戦1勝(1KO)     ●星野:1戦1敗
     放送:G+     解説:なし     実況:上重聡

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                             2005年7月28日(木)    後楽園ホール
                                  10回戦
                    WBC世界ライト級12位    T K O   インドネシア・ライト級1位
                ○     嶋田雄大      5回終了    ディッカス・ローリエス ●
                          (ヨネクラ) 137 lbs                      (インドネシア) 137 3/4 lbs

 ガードを高く上げた独特のスタイルでジリジリとプレッシャーをかける嶋田。初回,ローリエスのワンツーがヒットするが,逆にロープに詰め,左フック,右ストレートからボディへの右フックで攻勢に出る。左アッパーが絶妙な角度ボディを抉れば,早くもローリエスが苦しげに上体を折る場面が見られた。
 完全に相手の力量を読み切った嶋田は,2回に入るとさらにプレッシャーを強めた。余裕タップリの表情で迫り,上への左右ショート連打から左アッパーをボディに。3・4回,嶋田はやや力を抜いた多彩なコンビネーションブローでローリエスを圧倒した。
 5回,試合はワンサイドゲームとなった。右ストレートでローリエスをのけぞらせた嶋田は上下に左右フック,アッパーをつるべ打ち。今にも倒れそうなローリエスはよく絶えたが,結局5回終了時のインターバル中に棄権を申し出た。

 世界ランカーの貫禄を十分に見せた嶋田が堂々の横綱相撲を見せた。力をセーブして上下に打ち分けるコンビネーションブローが見事。巧みに角度を変えたボディブローも効果的である。格下相手だったので,試合の興味としては物足りなかったが,随所に見せ場を作り,現役ナンバーワンのテクニックを披露した。世界的なレベルが高く,難しいクラスではあるが,ぜひモチベーションを維持してチャンスを掴んで欲しい。
 ローリエスは右ボクサーファイターで,右ストレートが主武器。一発のパワーはないが,非常にタフでしぶとい。

     主審:ビニー・マーチン,副審:鮫島英一郎&染谷路朗&浅尾和信
     ○嶋田:21戦17勝(10KO)3敗1分     ●ローリエス:30戦19勝(7KO)9敗2分
     放送:G+     解説:戸高秀樹     実況:田中毅

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                             2005年7月28日(木)    後楽園ホール
                                   10回戦
                    東洋太平洋ヘビー級7位    T K O   豪州ヘビー級(ノーランク)
                ○     高橋良輔       6回10秒     アパ・ナナイ   ●
                          (金子) 202 1/4 lbs                       (豪州) 266 lbs

 初回,左フックをヒットする高橋だが,195cm,120sの巨漢ナナイが放つ迫力満点の左フック,右ストレートを受けてコーナーに後退する。
 2回,左右のボディブローで迫るナナイだが,高橋は逆にナナイをコーナーに詰めて右フックをヒット。さらに左フックをアゴにカウンターでヒットする。
 3回,高橋はまともに応戦しては不利と見たのか,左に回ってポジションを変えながら出バナに左フック,右ストレートをヒットする。ナナイも迫力満点の右フックを返し,高橋の右目下が腫れる。
 圧倒的な体格差で迫るナナイだが,4回に入ると様子がおかしくなった。スタミナ切れを起こしたのか,息が上がり,失速の兆候を見せる。高橋は左に回りながらチャンスを窺い,左フック,右ストレートでナナイの出バナを叩いた。ボディに放った左フックで急速に動きが鈍るナナイ。
 5回,ナナイは完全に失速。高橋は動きの中から左フックのカウンターを決める。ナナイはときおり猛然と反撃に転じるが,高橋はナナイの右アッパーに合わせた右ストレートをヒットし,ロープに詰めてラッシュ攻撃を浴びせる。ナナイはラウンドの途中に何度も戦意喪失の素振りを見せた。6回開始ゴングは鳴ったが,戦意を失ったナナイはコーナーから出なかった。

 29sの体重差を跳ね返した高橋が見事に巨漢ナナイをTKOに降した。勝因は正面からの打ち合いを避け,動きながら先手先手で攻めたこと。ヘビー級としては小柄な高橋にとってはこの作戦は妥当なものである。序盤こそナナイの迫力に押される場面があったが,しだいに自分のペースに引きずり込んだ。国内で対戦相手を探すのは困難なだけに,外国人を相手にすることが不可欠になる。ヘビー級と言っても相手の実力はいろいろ。素性がわかっている日本人相手とは違う難しいマッチメークが続くが,ぜひ初志を貫徹させて欲しい。
 ナナイは攻め込むときの迫力は凄いが,ベタ足のため,動かれると追随できない弱点を露呈する。スタミナ不足は致命的で,最後は戦意を失って不甲斐ない負け方となった。

5回までの採点 高橋 ナナイ
主審:福地勇治 *** ***
副審:ビニー・マーチン 48 47
副審:浦谷信彰 49 47
副審:浅尾和信 48 47
参考:MAOMIE 49 46


     ○高橋:19戦14勝(8KO)4敗1分
     ●ナナイ:7戦2勝5敗

     放送:G+
     解説:戸高秀樹
     実況:鈴木健

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                             2005年7月28日(木)    後楽園ホール
                                   10回戦
                    日本S・バンタム級10位   T   K  O   日本S・バンタム級(ノーランク)
                ○     宮 将来      7回2分16秒      鈴木教芳     ●
                           (ヨネクラ) 123 lbs                           (笹崎) 122 3/4 lbs
                          宮将来=みや・まさき

 初回から左右フックで果敢に攻め込む鈴木だが,テクニシャンの宮は余裕を持ってこれを受け止め,右ストレートに次ぐ左アッパー,フック,ボディへの左アッパーの連打を見せる。
 2回,鈴木は積極的に攻めて,左右の連打から再三右フックのボディブローをヒットするが,宮の右ストレートで鈴木がぐらついて戦況が一変する。宮は上下への打ち分けで鈴木を圧倒する。
 鈴木はよく攻めるが,宮の多彩なコンビネーションブローが上回る。5・6回には右ストレート,上下への左右アッパ−を浴び,ボディ打ちで苦しげに腰を引く場面が目立つ。
 そして,勝負が決まったのは7回。よく頑張る鈴木だが,宮の左ジャブを受ける。鈴木が右フックでぐらつくと,勝負どころと読んだ宮は一気にラッシュ。再び右フックが決まり,鈴木が腰を落としてロープに詰まったところで,ここまでと見た鮫島主審が試合を止めた。

 期待のホープ宮が持ち前のテクニックを存分に見せた。右ストレート,上下への左右アッパーなど,要所に多彩なコンビネーションブローを散らし,堂々たる勝利で無敗をキープした。パンチもシャープで,その名前のとおり将来が非常に楽しみな新鋭である。いい左ジャブを持っているので,それを活用するともっと伸びる。また多くの選手に共通することだが,自分から試合を作ることを忘れずにやって欲しい。
 鈴木は粘り強い右ファイタータイプ。果敢に距離を詰め,重い左右フックを連打する。今夜は宮のテクニックに屈したが,試合を捨てない闘志は見事。入り込むスピードが足りないので,それを重点に置いて練習して欲しい。

6回までの採点 鈴木
主審:鮫島英一郎 *** ***
副審:染谷路朗 60 55
副審:浦谷信彰 59 55
副審:福地勇治 60 55
参考:MAOMIE 59 55

     主審:鮫島英一郎,副審:染谷路朗&浦谷信彰&福地勇治
     ○宮:14戦14勝(10KO)
     ●鈴木:15戦8勝(5KO)6敗1分

     放送:G+
     解説:なし
     実況:鈴木健

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