熱戦譜〜2004年10月の試合から


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試合日 試合 結果
2004.10.02  東洋太平洋ライト級
 タイトルマッチ12回戦
 デニス・ローレンテ  判定  稲田千賢
2004.10.02 8回戦  ホルヘ・リナレス  KO1R  朴成勲
2004.10.02 8回戦  矢代義光  1回負傷引き分け  李承鉉
2004.10.02 8回戦  粟生隆寛  判定  佐藤要介
2004.10.02 6回戦  下田昭文  判定  竹下隆之
2004.10.03  東洋太平洋スーパー・フライ級
 タイトルマッチ12回戦
 ワエンペッチ・チュワタナ  判定  小縣 新
2004.10.03 10回戦  石原英康  判定  クマーントーン・ポープルムガモン
2004.10.11  日本フライ級
 タイトルマッチ10回戦
 内藤大助  KO1R  小嶋武幸
2004.10.11 10回戦  升田貴久  判定  古川敬介
10 2004.10.11 10回戦  リッキー・ツカモト  TKO7R  松沼誠太郎
11 2004.10.16  日本スーパー・フェザー級
 タイトルマッチ10回戦
 本望信人  判定  中村つよし
12 2004.10.16 10回戦  前田宏行  TKO4R  李 朱永
13 2004.10.18  東洋太平洋ミドル級
 王座決定12回戦
 サキオ・ビカ  TKO10R  荒木慶大
14 2004.10.18  東洋太平洋スーパー・ライト級
 タイトルマッチ12回戦
 金 正範  KO2R  佐竹政一
15 2004.10.26  東洋太平洋スーパー・ミドル級
 タイトルマッチ12回戦
 西澤ヨシノリ  KO2R  イノケ・ベレーシ
16 2004.10.26 10回戦  阿部元一  判定  トーンジャルン・マハサプコンドー
17 2004.10.26 8回戦  結城康友  KO2R  プラプラーム・ポープリチャー
18 2004.10.30  WBA世界ミニマム級
 王座統一12回戦
 新井田豊  判定  ファン・ランダエタ
19 2004.10.30 10回戦  仲里 繁  引き分け  木村章司
20 2004.10.30 10回戦  西岡利晃  判定  中島吉謙
21 2004.10.30 10回戦  長谷川穂積  判定  鳥海 純

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                       2004年10月2日(土)    後楽園ホール
                       東洋太平洋ライト級タイトルマッチ12回戦
                       チャンピオン             挑戦者(同級9位)        
                ○   デニス・ローレンテ   判 定    稲田千賢   ●
                        (比国) 133 1/4 lbs              (帝拳)  134 1/2 lbs

 立ち上がりは稲田のペース。フットワークと長いリーチを目一杯に生かした左ジャブ,ストレートを多用してローレンテを牽制する。3回にはローレンテをロープに詰めて右ストレートあるいはカウンターの右フックをヒットして優位に立つ。ワンツー,ボディへの左アッパーもヒットし,稲田は好調な滑り出しを見せた。
 乱戦に持ち込みたいローレンテだが,左フックを振って焦り気味に飛び込めば,左フックを引っ掛けられて回されるなど,序盤は懐の深い稲田に苦戦。稲田は曲者ローレンテに的を絞らせないうまいボクシングで4回までは完全にリードした。
 しかし展開が変わったのは5回。不用意に前に出たところにローレンテの左ストレートがヒットし,稲田は腰が落ちてピンチ。中盤以降,足と左を忘れた稲田は徐々に乱戦狙いのローレンテのペースに乗せられて行った。
 9回,稲田の右アッパーがヒットするが,ローレンテはひるまず突っかかるように攻勢をかける。ローレンテはバッティングで左目上をカットするが,稲田も鼻血を流して苦しい展開。10回にはローレンテの荒々しい攻撃に手を焼いた稲田は鼻血がひどくなる。この回終了間際にはローレンテの左ストレートで膝が揺れ,稲田はやや弱気な試合ぶりを見せた。
 11回,稲田は右ストレートでローレンテをぐらつかせる。ローレンテは右側頭部をカットして一時中断。12回,稲田は右ストレートでローレンテをのけぞらせたが,ローレンテもひるまず左ストレート,フックを振って飛び込み譲らない。

 好調な滑り出しを見せてタイトル奪取の期待を抱かせた稲田だが,それも4回まで。5回以降は持ち味の足と左を忘れ,自分のボクシングを見失い,ズルズルと曲者ローレンテの術中に陥った。終盤,ローレンテのしぶとさにやや弱気な面が出たのは残念。
 これで3月の嶋田雄大(ヨネクラ)戦に続いて2連敗。稲田は日本人離れした体躯に恵まれており,これをフルに生かせばさらにスケールの大きいボクシングができる素養を備えている。しかし,それを生かすも殺すも精神面の強さがあってこそ。曲者ローレンテが乱戦狙いで来ることは予測されていたはず。5回以降に自分のボクシングを見失ってしまったのは,ローレンテの気迫に負けてしまったことが大きい。自分に足りないものは何なのか,もう一度原点に立ち返って考え直すことが求められる。ぜひ再起を期待したい。
 相変わらずの曲者ぶりを披露したローレンテ。右パンチはほとんどなく,サウスポースタイルから左ストレート,フックを振って飛び込むように打ち合いを仕掛けて来る。独特のタイミングがあり,相手にとってはやりにくいことこの上ない。

採点結果 ローレンテ 稲田
主審:デビッド・チュン(韓国) 115 115
副審:ラモン・フローレス(比国) 119 109
副審:浦谷信彰 115 114
参考:MAOMIE 116 115

     ○ローレンテ:27戦21勝(11KO)2敗4分
     ●稲田:17戦15勝(11KO)2敗

     放送:G+
     解説:ファイティング原田&浜田剛史
     実況:寺島淳司

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                              2004年10月2日(土)    後楽園ホール
                                      8回戦
                  WBA中南米スーパー・バンタム級チャンピオン   K      O    韓国フェザー級(ノーランク)
                ○   ホルヘ・リナレス         1回2分42秒      朴 成勲   ●
                       (帝拳) 128 1/4 lbs                               (韓国) 133 1/2 lbs
                    WBA11位,WBC9位

 初回,アンコ型の体型をした朴は左ジャブ,ストレートを伸ばして様子を窺う。リナレスは落ち着いて捌き,左ジャブ,ワンツーからスタート。2分過ぎ,右ストレートでたじろぐ朴をロープに詰めたリナレスが一気に勝負を決めた。右ストレートでぐらついた朴がクリンチに出ようとするのを許さず,ワンツーから左アッパーでたたみかければ,朴はたまらず大の字。呆気なくカウントアウトされた。

 予定されていた金東一(韓国)が負傷のために来日不能となり,1週間前に代役出場が決まった朴。腹の周囲がだぶついて,調整不足は誰の目にも明らかであり,リナレスの相手ではなかった。リナレスは久々のKO勝利。今夜は非常に落ち着いており,実力差があるとは言え,見事なコンビネーションブローによる会心のフィニッシュである。

     主審:内田正一,副審:浦谷信彰&山田一公&杉山利夫
     ○リナレス:11戦11勝(5KO)     ●朴:23戦9勝(5KO)13敗1分
     放送:G+     解説:浜田剛史     実況:田中毅

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                       2004年10月2日(土)    後楽園ホール
                                8回戦
                   日本フェザー級10位  負傷引き分け   韓国フェザー級2位
               ×   矢代義光     1回1分58秒     李 承鉉   ×
                       (帝拳) 126 lbs                        (韓国) 126 lbs

 初回,軽く右ジャブを突いてリズムを取る矢代は慎重なスタート。この右ジャブで牽制しながら,飛び込んで左アッパーをボディに放つ矢代。しかし,1分過ぎ,接近戦で李が思い切って放った右ストレートがヒットし,矢代はもんどりうってダウン。立ち上がったものの,鼻血を流し,足元がふらついており,ピンチ。再開後,バッティングが発生し,矢代は鼻血の他に額をカットして夥しい出血を見る。李も右まゆをカット。ドクターチェックの結果,矢代の額の傷が深く,続行不能となった。試合の前半に発生した偶然のバッティングによる負傷のため,ドロー。

 矢代は初回に不覚のダウンによるダメージもあり,KO負けも考えられるピンチを迎えた。バッティングによる負傷引き分けに”救われた”という結果になったが,後味の悪い試合となってしまった。
 ダウンを奪われたのは接近戦から体勢を立て直すために一歩引こうとしたときにノーガードで上体が立ってしまい,そこに右ストレートをもらったもの。もともとガードを低くしてリラックスしたスタイルから右フック,左ストレートの強打を放つのが矢代の持ち味だが,今夜は不用意なパンチを受けてしまった。いかなる理由があろうと,絶対に気を抜いてはいけない。負傷を完治させ,今夜の教訓を生かして再起願いたい。
 李は右ファイタータイプで右フック,ストレートを振って,飛び込むように打ち合いを仕掛ける。

     主審:鮫島英一郎,副審:土屋末広&山田一公&内田正一
     ×矢代:13戦12勝(7KO)1分     ×李:9戦6勝(4KO)2敗1分
     放送:G+     解説:セレス小林     実況:田中毅

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                    2004年10月2日(土)    後楽園ホール
                               8回戦
                  日本フェザー級(ノーランク)        日本フェザー級(ノーランク)
                ○  粟生隆寛      判 定    佐藤要介     ●
                      (帝拳) 126 lbs                    (ヨネクラ)  126 lbs

 初回,ガードを高くしてチャンスを窺う佐藤は右ストレートを伸ばす。対照的に粟生は低くしたガードから右ジャブを伸ばす。3回,予想外にガードが固い佐藤にやや攻めあぐむ粟生。佐藤は右ストレートから左右フックを振って攻勢。まともには当っていないが,粟生はやりにくそう。
 4回に波乱が起きた。佐藤の右フックが空打となり,これをかわした粟生がキャンバスに落ちた。明らかなスリップダウンだったが,杉山主審はノックダウンとしてカウントを取る。思わぬビハインドを背負った粟生だが,焦らず冷静に対処したあたりに非凡な才能を見せた。攻勢に出る佐藤の動きをよく見て,すかさず放った右アッパーがカウンターでアゴを捉えると,今度は佐藤がもんどりうってダウン。
 5回以降は粟生のペースで試合が進む。佐藤はガードを固めて右ストレートを伸ばし,果敢に応戦するが,やはり粟生が一枚上。6回には粟生は左右アッパー,左ストレートなど細かく手数を出して押して行く。7・8回も粟生が手数で上回ったが,ガードの堅い佐藤を完全には崩せず,プロ転向後5戦目ではじめて最終回終了のゴングを聞くことになった。

 思わぬ苦戦を強いられ,リング上で涙を見せた粟生。自分の不甲斐なさを責めたくなる気持ちは理解できるが,苦戦こそが最高の教材である。上位に進めばいくらでもうまい相手がいる。今夜の苦しい試合を薬にして,さらなる精進を望む。
 それでも4回に”不覚のダウン”を喫した直後に奪った逆転のダウンは見事。チャンスと見た佐藤が左フックを振ってやや強引に飛び込んでガードが開いたところを見逃さず,インサイドから見事な右アッパーをカウンターして佐藤を倒した。佐藤の堅いガードに手を焼き続けたが,ほんの少し見せた相手の隙を見逃さないところが並みの新人とは違うところだろう。
 欲を言えば,フェイントを多用して,堅いガードを開かせる工夫が欲しかった。
 佐藤は非常によく粟生を研究していた。ガードを高くしてガッチリと固め,粟生に攻め手を与えない作戦が読み取れた。ポイントこそ開いたが,鳴り物入りのホープを相手に大善戦であり,堂々と胸を張れば良い。

採点結果 粟生 佐藤
主審:杉山利夫 *** ***
副審:土屋末広 78 75
副審:浦谷信彰 78 74
副審:鮫島英一郎 78 76
参考:MAOMIE 79 74


     ○粟生:5戦5勝(4KO)
     ●佐藤:10戦5勝(3KO)3敗2分

     放送:G+
     解説:セレス小林
     実況:舟津宜史

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                      2004年10月2日(土)    後楽園ホール
                                6回戦
                   日本フェザー級(ノーランク)          日本フェザー級(ノーランク)
                ○   下田昭文      判 定      竹下隆之     ●
                        (帝拳)  122 lbs                    (角海老宝石)  122 lbs

 初回,まず竹下の右ストレートがヒット。しかし,下田も左ストレートをボディに返す。右を軽くボディに伸ばし,すかさず放った左ストレートがアゴに決まり,竹下は腰から落ちてダウン。立ち上がったところに下田が攻勢をかける。2回にも下田はフェイントからの左ストレートをヒットして竹下をぐらつかせる。下田の左ストレートが鋭く,竹下は得意の右ストレートが出にくくなる。
 3回以降も下田は冷静な試合運びを見せ,フェイントからの左ストレート。しかし,4・5回には”待ち”のボクシングに入ったのか,手数が少なくなり,決め手を欠いた。
 6回,竹下は果敢に右ストレートを振って反撃に転じるが,下田の左フックがヒットする。ボディに左ストレートを決めた下田は竹下をロープに詰めて攻勢。

 下田は試合勘に優れたサウスポーのボクサーファイター。初回にダウンを奪ったフェイントからの見事なパンチが印象的。ボディに右を伸ばしてガードを下げさせておき,グッと体を沈めながら踏み込むことによって下を打つと見せかけてアゴに運んだ左ストレートである。こういうテクニックは練習の積み重ねもあるが,実戦で出せるというのは何よりもセンスがあるからに他ならない。
 後半は”待ち”に入って手数が少なくなったが,リードしているのだから途中で待ちに入る必要はないはず。常に先手を取ることを心掛けて欲しい。鋭い左ストレートとは対照的に右ジャブ,フックが見られないのが気になる。左ストレートに返しの右フックが加わればさらに幅が広がる。
 竹下は右ストレートを武器とする右ボクサーファイター。いいパンチを持っているが,下田の左を警戒してか,得意の右ストレートが出にくかった。

採点結果 下田 竹下
主審:山田一公 *** ***
副審:内田正一 60 56
副審:浦谷信彰 60 54
副審:杉山利夫 59 55
参考:MAOMIE 60 55


     ○下田:8戦8勝(5KO)
     ●竹下:15戦8勝(2KO)7敗

     放送:G+
     解説:セレス小林
     実況:舟津宜史

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                          2004年10月2日(土)    愛知県武道館
                       東洋太平洋スーパー・フライ級タイトルマッチ12回戦
                        チャンピオン              挑戦者(日本同級4位)
                ○   ワエンペッチ・チュワタナ   判 定    小縣 新   ●
                         (タイ) 114 3/4 lbs                (松田) 114 1/2 lbs
                                                       
小縣 新=おがた・しん

 初回,伸びのいい右ストレートを放って積極的に出る小縣だが,ワエンペッチは右フックをヒットし,右ストレートからボディにパンチを集める。
 2回以降は冷静なワエンペッチのペースで試合が進む。小縣は終了間際に左から右のフックをヒットするが,ワエンペッチも左アッパーのボディブローで応戦。3回に入るとワエンペッチの手数が多くなり,小縣は後手に回って接近を許してしまう場面が多くなった。
 4・5回,小縣は足を使うが,左ジャブが出ないので簡単に入り込まれる。ワエンペッチはベタ足だが,接近するとパンチをまとめる。
 6回,ワエンペッチはボディ連打でカードを下げさせ,すかさず上に右から左のフックを放つ。この攻撃に小縣は呆気なくダウン。
 7回,小縣は一転して先手を取って打ち合いを挑み,右ストレート,左フックで攻勢に出る。しかし,8回以降はワエンペッチの左右ボディブロー,右ストレートに防戦。泣きそうな顔で歯を食いしばって応戦する小縣だが,気が強いという定評とは裏腹に,ボディを攻められて再三弱気な表情を見せた。
 小縣は11回に疲れの見えるワエンペッチを右ストレートでぐらつかせて反撃したが,ボディブローのダメージもあり,決定的なポイントをあげられないまま終了のゴングを聞いた。

 厳しい言い方だが,小縣はタイトルに挑戦するボクサーとしては余りにも経験不足と言わざるを得ない。スピードがなく,左ジャブが出ない。おまけに動きが直線的で,相手の正面に立ち止まってしまうのでは,老獪なワエンペッチの連打の標的になるのは当然の結果だった。伸びのいい右ストレートを持っているが,それを生かせないままの完敗となった。よく最後まで頑張ったが,ワエンペッチの攻撃をかわすために足を使って逃げ回るのが精一杯。もう少し左右に動いて上体を振るなどの工夫が欲しかった。
 ワエンペッチは相手の出方を巧みに見抜き,ボディへの連打で動きを止めにかかるなど老獪な一面を見せた。ベタ足でスピードはないが,相手のガードの空いているところに重いパンチを集めるうまさがある。相手が反撃に出ても,要所は締める。上下への打ち分けもうまい。

採点結果 ワエンペッチ 小縣
主審:デビッド・チュン(韓国) 116 113
副審:伊藤孝臣 117 113
副審:アナン・メイサワン(タイ) 117 112
参考:MAOMIE 118 111

     ○ワエンペッチ:28戦21勝(12KO)5敗2分
     ●小縣:20戦16勝(6KO)2敗2分
     放送:東海テレビ
     解説:川嶋郭志
     実況:吉村功


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                         2004年10月2日(土)    愛知県武道館
                                 10回戦
                    WBC世界S・フライ級11位           タイ国バンタム級10位       
                 ○    石原英康     判 定   クマーントーン・モープルムガモン   ●
                          (松田) 118 lbs                    (タイ) 118 lbs

 初回,顔の前でガードを固めてブレッシャーをかけていく石原。クマーントーンは下がりながら右ストレートを伸ばすが,石原は構わずワンツーを放って前に出る。3回,石原のディフェンスはカバーリング中心。もっと上体を振りたい。9回,石原はバッティングで右まゆをカットして出血し一時中断。10回,石原の手数は少ない。

 世界再挑戦を目指す石原としては物足りない内容。手数が出ず,攻撃も単調。相手は日本で5戦オールKO負けという戦績。ここはキッチリとフィニッシュして欲しかった。
 石原のディフェンスは相変わらず顔の前に置いたグラブによるブロックが中心なので,パンチの引きが遅いと致命的になる。ブロックしていても上から打たれれば効いてしまう場合があるし,ブロックするのと空振りさせるのでは相手の疲労度が格段に違うはず。もう少し上体を振り,ウィービングやダッキングを使えるようにした方がいいだろう。

採点結果 石原 クマーントーン
主審:堂本康夫 *** ***
副審:伊藤孝臣 97 95
副審:堺谷一志 97 96
副審:内山佳寿子 97 95
参考:MAOMIE (40) (39)


     ○石原:20戦16勝(11KO)3敗1分
     ●クマーントーン:8戦2勝(2KO)6敗・・・・・参考記録

     放送:東海テレビ
     解説:川嶋郭志
     実況:加藤晃

※ 第1・3・9・10ラウンドのみを放送(MAOMIEの採点は放送されたラウンドのみの集計結果です)。

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                         2004年10月11日(月)    後楽園ホール
                           日本フライ級タイトルマッチ10回戦
                        チャンピオン    K   O    挑戦者(同級4位)        
                 ○   内藤大助    1回24秒    小嶋武幸   ●
                         (宮田) 112 lbs                   (横浜さくら) 112 lbs
                          
WBA7位,WBC4位

 初回開始早々,距離を詰める小島。内藤はバックステップしてこれをかわし,すかさず踏み込んで小嶋の左ジャブに右ストレートを合わせる。これがクロス気味にカウンターでアゴを捉えると,小嶋は右膝を折るように呆気なく倒れた。ゴングの余韻が残る中での電光石火のダウンシーン。立ち上がったものの足元がわずかに乱れる小嶋。ダメージの香りを確認した内藤が一気に襲いかかる。逃げようとするところを追い,飛び込むように放った右ストレートが決まると小嶋はニュートラルコーナーに叩きつけられるように2度目のダウン。浦谷主審が即座にストップした。

 初回24秒のKO勝ちは日本タイトル戦における最短KO記録である。1965年の日本ジュニア・ウェルター級王座決定戦で藤猛(リキ)が笹崎那華雄(極東)を沈めた初回45秒を39年ぶりに大幅に更新する歴史的な大記録誕生となった。内藤は2002年4月にポンサクレック・シンワンチャー(タイ)のWBC世界フライ級王座に挑戦して初回34秒KO負けを喫し,日本人が出場した世界戦におけるKO負けの最短記録を”樹立”している。今夜の大記録更新により,最短KO勝ちと最短KO負けの両極端のレコードホルターになったわけで,過去に例のない”珍記録”の持ち主と言える。
 最初にダウンを奪った右ストレートは内藤の得意パンチ。勢い込んで前に出た小嶋を軽く下がってかわし,ガードが下がったところにヒットした鮮やかなカウンターである。その後の詰めも見事で,冷静さが光った。リング上の激しい闘志とは別人のように,インタビューでは謙虚で物静かな一面を見せる。人間的にも成長し,今後の飛躍が期待される。
 敗れた小嶋は開始早々に不用意にガードを下げて前に出たところを見事に突かれてしまった。自分では一発もパンチを出さないうちに終わってしまったわけで,悔やみ切れない結果となった。やや低いガードから放つ右ストレート,左フックを武器とする右ボクサーファイターだが,今夜はそのガードの低さが致命傷になってしまった。パンチ力は感じられないが,本来は非常にしぶといボクシングを身上としており,前半を凌いで後半に持ち込めば面白くなったと思う。

     主審:浦谷信彰,副審:住吉栄一&土屋末広&葛城明彦
     ○内藤:29戦26勝(19KO)1敗2分     ●小嶋:18戦11勝(5KO)4敗3分
     放送:フジ739     解説:川島郭志     実況:佐野瑞樹

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                        2004年10月11日(月)    後楽園ホール
                                 10回戦
                   WBA世界L・フライ級13位          日本L・フライ級(ノーランク)
                 ○   升田貴久      判  定    古川敬介   ●
                        (三迫) 107 3/4 lbs                 (全日本パブリック) 108 lbs

 世界ランク入りを果たしたばかりの升田が自信にあふれた試合運びを見せた。初回,長いリーチと長身を生かした左ジャブ,右ストレート,ボディへの左アッパーを放って早くも優位に立つ。左右フック,アッパーの連打で果敢に攻め立てる古川だが,升田は冷静に対処し,2回には右ストレートのカウンターを決める。
 3回以降,升田は距離をとる本来のボクシングを一変させ,接近戦に応じて左右アッパーをボディに集め,右ストレートをフォローする。中盤も升田のボディブローが効果的。古川はよく食い下がって左右アッパー,フックをヒットするが,5・6回には升田のボディブローで動きが鈍った。
 8回には升田は再びフットワークを使い,回り込んで右フックをヒットする。古川は最後までよく頑張るが,升田の動きについて行けない。

 升田はこのクラスでは破格の169cmという長身。速いフットワークに乗せて放つ左ジャブ,ワンツーを得意とする右アウトボクサー。長いリーチをフルに生かしたボクシングが光る。世界ランク入りしたことで,かなりの自信につながったものと思う。今夜は本来のアウトボクシングに加えてインファイトも披露し,幅のあるところを見せた。持ち味である距離を取ってスピードを生かした戦い方を忘れないこと。これに磨きをかけ,もうひと皮剥ければ楽しみな存在である。
 古川は粘り強い右ファイタータイプ。よく手数が出て,最後まで試合を捨てない頑張りは見事。

採点結果 升田 古川
主審:福地勇治 *** ***
副審:吉田和敏 98 95
副審:葛城明彦 98 95
副審:浦谷信彰 98 93
参考:MAOMIE 99 92


     ○升田:23戦15勝(4KO)5敗3分
     ●古川:13戦7勝(3KO)5敗1分

     放送:フジ739
     解説:川島郭志
     実況:西岡孝洋

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                        2004年10月11日(月)    後楽園ホール
                                 10回戦
                     日本ライト級7位    T   K  O   日本ライト級(ノーランク)
                ○   リッキー・ツカモト    7回1分30秒    松沼誠太郎   ●
                        (宮田) 133 1/2 lbs                      (F・I) 113 1/4 lbs
                                            松沼誠太郎=まつぬま・まさたろう

 ともに左ジャブを突いてさぐり合い,静かなスタートとなった。2回,ツカモトは左ジャブを突きながら右ストレート,接近して右アッパーから左フックを巧打し,松沼が打ち気に出るとサッと引いて距離を取る。
 3回は逆に松沼がリード。ツカモトは丹念に左ジャブを突くが,松沼は左フックをボディに,上への右ストレートをヒットして先手を取る。5回には逆にツカモトの右アッパーで松沼がぐらつき,ツカモトが攻勢。6回にはリング中央で激しい打ち合いとなったが,これは松沼がやや上回った。
 一進一退の試合となったが,勝負が決まったのは7回。リング中央で右ストレートを決めてチャンスを掴んだツカモトは一気に攻勢。ツカモトの右ストレート,左フックがヒットしたところで土屋主審がストップした。

 この試合に関しては少々ストップが早かった感じがする。ツカモトのクリーンヒットはあったが,松沼が上体の動きでかわしながら反撃のチャンスを待っているところであり,もう少し続けさせても良かったのではないか。
 7連勝となったツカモトはスピードはないが,左ジャブを細かく突き,右ストレートあるいは接近して右アッパーをこうだする右ボクサーファイター。
 松沼は左フック,右ストレートに威力を秘める右ファイタータイプ。足を止めての打ち合いには強いが,動かれると弱い面を見せた。足の動きに滑らかさを欠くのが欠点。

6回までの採点 ツカモト 松沼
主審:土屋末広 *** ***
副審:住吉栄一 58 58
副審:葛城明彦 58 56
副審:福地勇治 57 58
参考:MAOMIE 58 58


     ○ツカモト:24戦21勝(4KO)3敗
     ●松沼:24戦13勝(8KO)9敗2分

     放送:フジ739
     解説:川島郭志
     実況:近藤雄介

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                       2004年10月16日(土)    後楽園ホール
                      日本スーパー・フェザー級タイトルマッチ10回戦
                     チャンピオン              挑戦者(同級1位)        
                 ○  本望信人    判 定    中村つよし   ●
                     (角海老宝石) 129 1/2 lbs            (スペースK) 129 3/4 lbs

 初回は中村が先手を取る。左ジャブの打ち合いからワンツーをヒットし,いい滑り出しを見せた。しかし,2回に入ると逆に本望が先手を取って主導権を握った。左ジャブを突きながら積極的に前に出て,ワンツーを浴びせる。中村の左ジャブをブロックし,打ち終わりにすかさず右クロスカウンターをかぶせると中村がバランスを崩す場面が見られた。中村は受けに回ってしまい,なかなか思うように自分のペースで試合ができない。3回以降も本望のペース。本望は左ジャブを主体に自分から積極的に試合を作る姿勢で中村を完全にリードする。
 5回,中村のパンチで本望は鼻の付け根から出血するが,中盤以降も本望は危なげない試合運びを見せた。中村は左ジャブから右ストレートを振って活路を見出そうとするが,流れを変えるには至らない。
 7回,今度はバッティングで中村が左目上をカット。この回終盤,本望は左フックで中村をぐらつかせて攻勢。ワンツー,左右フックの連打を浴びせて一気に中村を防戦一方に追い込んだ。
 10回,中村の右フックでわずかにぐらつく場面を見せた本望だが,終盤の激しい打ち合いでも決定打を許さず,大差の判定勝ちで6度目の防衛に成功した。

 本望は初回こそ中村に先手を許したが,2回に入ると意識的にか自分から先手を取って主導権を奪い返したあたりは見事。パンチ力はないが,試合運びのうまさは現役ナンバーワン。昨年9月の負傷引き分けによる不本意な防衛戦を受けての再戦だったが,終わってみれば,持ち味を存分に発揮しての快勝となった。相手が打ち気に出ればサッと引き,チャンスを掴むと一気にパンチを集中する見極めのよさが光る。
 中村は調子そのものは良かったが,引き出しの数の差が出てしまった感じがする。因縁の再挑戦だったが,本望のうまさに完敗となった。

採点結果 本望 中村
主審:福地勇治 *** ***
副審:土屋末広 98 93
副審:浦谷信彰 98 93
副審:内田正一 99 92
参考:MAOMIE 98 92


     ○本望:30戦25勝(5KO)4敗2分
     ●中村:28戦22勝(11KO)4敗2分

     放送:G+
     解説:葛西裕一
     実況:高橋雄一

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                           2004年10月16日(土)    後楽園ホール
                                    10回戦
                   日本ウェルター級チャンピオン    T  K O    韓国S・ウェルター級2位
                 ○   前田宏行       4回12秒     李 朱永   ●
                       (角海老宝石) 153 1/4 lbs                   (韓国) 154 lbs

 初回開始早々から左ジャブを多用する前田。右ストレートで早くも李がぐらつく。さらに右アッパー,ボディへの左アッパーでたたみかける前田。李は果敢に前進して左右フックで迫るが,バッティングで早くも左まゆをカットして出血。2回,前田の左フックで李の足がもつれる。
 3回,右アッパー,左フックに次ぐワンツーの攻勢に李がぐらつく。終盤には前田の右フックで足がもつれてダウン寸前。
 そして4回に勝負が決まった。開始早々から突進する李。前田は冷静に見極めて左フック,右ストレートをヒット。なおも体を預けるように前に出る李だが,前田の右フックでぐらついた後,左フックをまともに受けて,両足を折るように前のめりにダウン。ダメージが深く,鮫島主審が即座にストップした。

 日本タイトル4階級制覇を狙う前田がスーパー・ウェルター級のウェイトでのテストマッチに圧勝した。突進する李の動きを冷静に見極め,やや力をセーブした左フック,右ストレートを正確にヒットした。初めて日本ライト級王座についたのが94年10月だから,ちょうど10年前になる。それ以後,トップクラスの実力を維持している努力は他の見本である。ウェイトを上げるに連れていい筋肉がついており,今後どこまでやれるかが非常に楽しみである。
 ただし,もう少し横の動きを取り入れて戦うことも必要。クラスが上がれば今夜のように相手のペースに合わせて正面からぶつかることは危険を伴う。
 李は馬力のある右ファイター。スピードはなくディフェンスも甘いが,果敢に前進して左右フック,アッパーを放ち,どんどん攻め込む。非常に気持ちが強いのが特徴。ただし,肉薄するときに重心が前に映って前のめりになってしまうのが欠点。

     主審:鮫島英一郎,副審:内田正一&館秀男&福地勇治
     ○前田:38戦29勝(18KO)7敗2分     ●李:12戦6勝(5KO)5敗1分
     放送:G+     解説:葛西裕一     実況:寺島淳司

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                          2004年10月18日(月)    大阪府立体育会館第1競技場
                             東洋太平洋ミドル級王座決定12回戦
                     東洋太平洋ミドル級1位   T   K   O    東洋太平洋ミドル級2位       
                  ○   サキオ・ビカ      10回2分23秒      荒木慶大   ●
                          (豪州) 159 3/4 lbs                           (泉北) 160 lbs

 試合は初回からパワーに優るビカのペース。左ジャブから右ストレートをヒットし,距離を詰めると左右フックのボディブロー。荒木は早くもパワーに押され,バッティングで左目尻をカットして苦しい滑り出しとなった。2回にもビカの左フックのボディブローがヒット。右アッパーを受けた荒木がのけぞる場面が見られた。
 3回,ビカのパワーにタジタジの荒木は左ジャブ,フックを受け,さらに右フックでバランスを崩す。ビカの左右フックの猛攻に腰が落ち,コーナーで連打に晒されてダウン寸前まで追い込まれた。4・5回にもビカの左右フックの攻勢に荒木は守勢一方となる。
 6回,荒木はビカの右フックでぐらついて守勢に回ったが,ビカもようやく打ち疲れの様相を見せ,マウスピースを吐き出す場面も見られた。この回終盤,荒木は反撃に転じる。左フックのボディブローに次ぐ右ストレートでビカの顔が横を向き,ロープを背にする。
 しかし8回には再びビカが主導権を奪還した。やや手数が減ったビカにワンツーを浴びせる荒木だが,後半は防戦に精一杯。右アッパー,左右フックの攻勢に腰が砕け,今にも倒れそうに後退。ロープを背にした荒木の消耗が激しい。8回終了間際,ロープ際で右アッパーに次ぐ右フックを打ち込まれた荒木は腰が砕けて反対側のロープまで後退し,辛うじてダウンを免れた。
 9回,打ち疲れの見えるビカはうまく休むが,次の10回に勝負を決めた。左ジャブの連打から右ストレートを追い打ちされた荒木はついに膝から崩れるようにダウン。よく立ち上がり,ワンツーで反撃を試みるが,右から左のフックでロープに後退し,右ストレートでのけぞったところでついにチュン主審が割って入った。その瞬間,荒木は力尽きたように倒れこんだ。

 よく踏ん張った荒木だが,ビカのパワーに圧倒されて完敗。安田副審だけが9回まで荒木リードとしているが,全く理解に苦しむ採点である。
 体格的にもパワー勝負では不利。もう少し横の動きを織り交ぜてスピードで対抗すべきだった。しかし,正面に立ってしまい,真っ直ぐ後退してしまっては突進力のあるビカの思うツボ。後半はビカが打ち疲れを見せていただけに,横の動きで前半を凌ぎ,右ストレートを上下に打ち分けて楽な展開で後半に持ち込んでいればと悔やまれる。後半,ワンツーで何度か反撃の構えを見せていたが,あまりにも前半にビカの攻勢を許してしまったことが残念。
 ビカはカメルーン出身の黒人で,パワーのある右ボクサーファイター。打ち方は良くないが,左ジャブ,右ストレート,左右フックなど,見た目以上に伸びのある多彩なパンチを武器としている。接近すると右アッパーもある。ただし,パンチを打つときにバランスを崩しやすいのが欠点。動きは直線的なので,真っ直ぐ下がる相手には滅法強いが,サイドに回り込まれるのは得意ではなさそう。後半はさすがに打ち疲れを見せていたが,うまく休みながら要所にパンチを決めていた。

 なお,この試合で主審を務めたデビッド・チュン氏(57歳)は試合後の大阪市内での会食中に心筋梗塞で倒れ,病院に搬送されたものの死亡が確認された。最近の東洋太平洋タイトル戦では常連とも言える存在で,日本で行われる世界戦の審判員としてもお馴染みだった。今夜のビカvs.荒木戦が”遺作”となってしまったわけで,謹んで御冥福をお祈りしたい。

9回までの採点 ビカ 荒木
主審:デビッド・チュン(韓国) 89 84
副審:チャーリー・ルーカス(豪州) 88 83
副審:安田裕候 85 86
参考:MAOMIE 89 80

     ○ビカ:21戦19勝(12KO)1敗1分
     ●荒木:16戦14勝(7KO)2敗

     放送:スカイA
     解説:山本晶智
     実況:松原宏樹

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                     2004年10月18日(月)    大阪府立体育会館第1競技場
                        東洋太平洋スーパー・ライト級タイトルマッチ12回戦
                     挑戦者(同級1位)   K      O     チャンピオン      
                 ○   金 正範      2回2分06秒    佐竹政一   ●
                        (韓国) 139 3/4 lbs                       (明石) 140 lbs
                                               WBC8位,WBA11位

 初回開始早々からグイグイと肉薄して右フックをアゴ,ボディにヒットする金。佐竹はいつもの鋭い回りこみがなく,左ストレートをカウンターで返すが,金のパンチをまともに受けて,守勢に回る。終了間際,左ジャブに次ぐ右ストレートをアゴに受けた佐竹は呆気なく前のめりにダウン。立ち上がったところでゴングに救われたが,足元がふらつき,コーナーに戻る姿にダメージがありありと表れていた。
 2回,チャンスと見た金は嵩にかかってグイグイと攻め込む。ダメージを引きずる佐竹は金の右フック,ストレートに膝が揺れ,珍しくクリンチに出る。金は攻撃の手を緩めず,佐竹は左フックでバランスを崩したところにアッパー気味の右フックをアゴに打ち込まれ,たまらず仰向けにダウン。必死に立ち上がろうとしたが,体がついて行かず,そのままカウントアウト。

 佐竹はショッキングなKO負けで10度目の防衛に失敗。いつものような切れのある回りこみからカウンターを取るボクシングが見られず,真っ直ぐ下がらざるを得ない状況に陥ってしまったことが敗因。そのため踏み込みの鋭い金の右強打の標的になってしまった。本来の力が出せれば容易にさばけた相手と思われるだけに残念。期待されながらもなかなか決まらない世界戦にモチベーションを低下させたとも噂されているが,その噂を裏付けるかのような集中力を欠いた試合振りだった。
 金は典型的な右ファイタータイプ。やや変則的な足の運びでグイグイと肉薄し,左右フックの強打で果敢に勝負をかけて前に出てくる。スピードは今ひとつで,振りも大きいが,パンチ力は抜群。特に右フック,ストレートが強い。

     主審:チャーリー・ルーカス(豪州),副審:デビッド・チュン(韓国)&上中一郎
     ○金:26戦23勝(18KO)2敗1分     ●佐竹:28戦20勝(13KO)4敗4分
     放送:スカイA     解説:山本晶智     実況:松原宏樹

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                          2004年10月26日(火)    後楽園ホール
                       東洋太平洋スーパー・ミドル級タイトルマッチ12回戦
                       チャンピオン     K      O    挑戦者(同級10位)    
                 ○   西澤ヨシノリ    2回1分03秒     イノケ・ベレーシ   ●
                         (ヨネクラ) 168 lbs                        (フィジー) 166 1/4 lbs

 初回,ジリジリと距離を詰めて左ストレート,フックをボディに送る西澤。ベレーシは柔軟な動きを見せる。しかし,2回,勝負は呆気なく決まった。積極的に仕掛けるベレーシだが,西澤の左フックでぐらついて後退。すかさず襲いかかる西澤。ワンツーに次ぐ左フックが顔面に決まり,ベレーシは大の字にダウン。そのまま試合終了。

 西澤が豪快なKOで初防衛に成功した。細かく軽く動いてリズムを取り,左ストレートあるいは左フックのボディブローを放って下から崩そうとしていた点が良かった。噂される世界再挑戦は別として,38歳という高齢で現役生活を続行する”思い”に敬意を表する。

     主審:チョー・マンシク(韓国),副審:浦谷信彰&ウクリッド・サラサス
     ○西澤:45戦26勝(14KO)14敗5分     ●ベレーシ:12戦10勝(5KO)2敗
     放送:スカイA     解説:大橋秀行&平田淳一     実況:河路直樹

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                        2004年10月26日(火)    後楽園ホール
                                10回戦
                     日本フェザー級2位               タイ国フェザー級6位
                 ○   阿部元一     判 定    トーンジャルン・マハサプコンドー   ●
                        (ヨネクラ) 129 1/2 lbs                 (タイ) 128 1/4 lbs

 阿部はグイグイとプレッシャーをかけ,よく伸びる左ジャブ,ワンツーからボディへの攻撃で初回からトーンジャルンを圧倒する。2回以降もほぼワンサイドで攻勢を続け,前半でのKO勝利を予感させた。3回,阿部は至近距離での右フックからボディへの左右アッパーで攻勢。トーンジャルンも右ストレートを返すが,阿部のプレッシャーがきつく,状態が立ってしまって力のないパンチになった。
 一方的な試合になったが,阿部の攻撃も単調。6回ごろからはトーンジャルンも目が慣れて来たのか,追い込まれながらも阿部のボティブローをブロックしてワンツー,右アッパーを返す。阿部はやや中弛み状態。
 9回,阿部は右ストレート,フックでトーンシャルンをぐらつかせ,KOチャンスに再び猛然と攻勢。10回にも右フックでぐらつかせ,最後までラッシュを続けたが,ついに詰め切れずフルラウンドを戦った。

 阿部はやや状態を丸め,ガッチリとガードを固めながらグイグイとプレッシャーをかける右ファイター。手数がよく出てスピードがあり,非常に小気味のいいボクシングをする。今夜は初回から攻勢で早い回でのKO勝利かと思わせたが,単調なボクシングを読まれてしまい,しぶといトーンジャルンに逃げ切られてしまった。パンチ力はあるが,ややラフになる面がある。フェイントをかけながら上下に打ち分けるなど,もうひと工夫欲しい感じがする。初回からラストまで全く同じパターンのポクシングでは読まれてしまうのは当然。その欠点を克服すれば,3度目の日本タイトル挑戦への道が開ける。

採点結果 阿部 トーンジャルン
主審:ビニー・マーチン *** ***
副審:浦谷信彰 100 91
副審:染谷路朗 99 92
副審:吉田和敏 100 92
参考:MAOMIE 100 91


     ○阿部:16戦12勝(8KO)2敗2分
     ●トーンジャルン:24戦9勝(1KO)15敗

     放送:スカイA
     解説:大橋秀行
     実況:河路直樹

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                          2004年10月26日(火)    後楽園ホール
                                8回戦
                  日本S・フライ級1位    K      O     元タイ国L・フライ級チャンピオン
               ○   結城康友     2回1分05秒    プラプラーム・ポープリチャー   ●
                      (ヨネクラ) 118 lbs                            (タイ) 117 lbs

 開始ゴングと同時に軽く動きながら左ジャブ,ストレートを突く結城。ワンツーからボディへの左アッパーで早くも攻勢。ロープに詰めて左右フック。終了間際にはプラプラームも右フックを返す。2回にも結城の攻勢。右ストレートでロープに詰め,右アッパーをヒットすればプラプラームはたまらずダウン。立ち上がったものの,左右の連打から再び右アッパーがヒットして2度目のダウン。サラサス主審はノーカウントでストップ。

 格下相手とはいえ,結城の鮮やかなKO勝ち。細かい連打からの右アッパーが効果的。以前の線の細さが消え,すっかりたくましくなった。トップコンテンダーの地位を維持しており,2度目の日本タイトル挑戦に期待がかかる。日本王者時代の川嶋勝重に挑戦して5回KOで退いているが,その後数段成長しており,楽しみな存在。軽快なフットワークに乗せたスピーディなコンビネーションブローを身上とするボクサータイプ。ときおり相手の真正面で立ち止まる欠点が見受けられるので,矯正をお願いしたい。

     主審:ウクリッド・サラサス,副審:浦谷信彰&ビニー・マーチン&吉田和敏
     ○結城:23戦15勝(9KO)3敗5分     ●プラプラーム:19戦9勝(2KO)10敗
     放送:スカイA     解説:平田淳一     実況:河路直樹

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                   2004年10月30日(土)    両国国技館
                   WBA世界ミニマム級王座統一12回戦
                 チャンピオン            暫定チャンピオン
            ○   新井田豊    判 定    ファン・ランダエタ   ●
                (横浜光) 104 3/4 lbs              (ベネズエラ) 104 3/4 lbs


 初回からジリジリと距離を詰めてプレッシャーをかけるサウスポーのランダエタ。2回,ランダエタの左ストレートがカウンターになり,バランスを崩す新井田。終了間際,新井田の左フックもヒットする。
 3回,新井田は前に出てくるランダエタを迎えうち,飛び込んで速射砲のような左右フックをボディに連打する。4回には左右のボディ連打から右フックをヒットするが,終盤にはランダエタが反撃。左右のグラブを小刻みに動かしてフェイントをかけ,すかさず長いリーチを生かした左アッパーをボディに。新井田はこの攻撃に動きがやや鈍る。6回,バッティングで新井田の右目上が切れて一時中断。ランダエタは単発ながらも得意の左右アッパーをボディに打ち込み,新井田の動きを止めにかかる。7回にも左ストレート,アッパーが新井田のボディに決まる。新井田は手数を出して前に出たいところだが,ランダエタのプレッシャーに押されてロープ際に後退し,左ストレート,アッパーを許す展開で苦しい前半戦となった。
 しかし,後半戦は新井田が徐々に反撃に転じた。ランダエタのボディ主体の攻撃に苦しみながらもノーモーションの右ストレートからチャンスを掴む。左フックがヒットしてランダエタがバランスを崩す。新井田はさらに左右フックをボディに連打して攻勢。9回にも右ストレート,左フックでぐらついたランダエタがクリンチに逃れる場面が見られた。新井田は接近してボディへの左右連打を浴びせた。ランダエタは効いているが,新井田がロープを背にすると左ストレートを浴びせる。
 10回,ランダエタの左ストレートの打ち終わりに返した右ストレートがカウンターになり,ランダエタが大きくのけぞる。新井田は一気に攻勢に出た。
 11回,勝負を賭けたかのように開始早々から一気に攻勢に出る新井田。ランダエタのボディブローが効いて苦しいところだが,逆に右ストレートでランダエタをのけぞらせる。12回,新井田の左フックで膝が揺れるランダエタは必死に左ストレートのボディブローで反撃するが,新井田も死力を振り絞って左右フックを浴びせた。

 厳しい戦いを乗り越えた末の初防衛と王座統一を果たした新井田。ランダエタのプレッシャーに苦しみ,手数が出ずに真っ直ぐ下がってロープに詰まっては左ストレート,アッパーを打ち込まれるという拙い展開が目立った。8回以降に見せた思い切った攻撃が前半から出ていればもう少し楽な展開になっていただろう。ぜひ次回につなげて欲しい。
 しかし,一度獲得した王座を突然の引退表明で返上し,復帰から見事に王座奪還を果たし,そして王座統一という大きな経験を積んだことは非常に大きい。どちらかというと”尖った”ところがあったが,自分ひとりでチャンピオンになったわけではないということに気がつき,周囲に感謝することも覚え,精神的にも以前とは比較にならないほどの進歩を見せた。今後ますます精進し,スケールの大きい本格派王者に成長することを期待したい。
 最強の相手と噂されていたランダエタは長身で長いリーチに恵まれたサウスポー。ジリジリと距離を詰め,左ストレート,アッパーを上下に打ち込んでくる。一発の破壊力は感じられないが,相手が下がるとどんどんプレッシャーをかける。特に要注意なのは長いリーチを生かして打ち込む左アッパーのボディブロー。しかし,かつて来日した同じサウスポーのイラリオ・サパタ(パナマ)に比べると攻撃のパターンは単調。サパタのような縦横無尽という攻防の幅の広さはなく,引き出しの数では大きく見劣りする。

採点結果 新井田 ランダエタ
主審:ラファエル・ラモス(米国) *** ***
副審:リーバイ・マルチネス(米国) 113 115
副審:ピニット・プラヤドサブ(タイ) 115 113
副審:ラーセン・オウムガー(オランダ) 115 114
参考:MAOMIE 116 114


     ○新井田:21戦17勝(8KO)1敗3分
     ●ランダエタ:24戦20勝(18KO)3敗1分

     放送:G+
     解説:ファイティング原田&浜田剛史&飯田覚士&セレス小林
     実況:鈴木健

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                    2004年10月30日(土)    両国国技館
                            10回戦
               WBC世界S・バンタム級8位           WBA世界S・バンタム級8位
           ×     仲里 繁     引き分け     木村章司    ×
                (沖縄ワールドリング) 122 lbs                   (花形) 122lbs


 ファイタータイプの仲里とボクサータイプの木村。試合は立ち上がりから激しい主導権争いが展開された。初回,木村はよく動き,機を見てタイミングのいい右ストレートをクロス気味にヒットして早くも優位に立つ。2回,ロープに下がった仲里にボディを打つと見せかけて顔面に右フックをクリーンヒットする木村。仲里も前に出て左フックを振るが,逆に仲里をロープに詰めた木村は左アッパーのボディブローからアゴに右アッパーを突き上げる。この攻撃に大きくのけぞる仲里。仲里は木村の速い動きと強気の攻めに戸惑いを見せた。
 4回,ようやく仲里も反撃に出る。作戦を変え,木村を追いながら目でフェイントをかけて右ストレート,左フックを当てに行くボクシングに転じた。右ストレートを受けた木村がバランスを崩す場面も見られた。5回,木村はよく動きながら強気に攻める。左ジャブからガードの中央を破る右アッパー,さらに右フックをヒット。しかし,終了間際に仲里が猛然と反撃。右ストレート,左フックの攻勢で木村をロープに詰める。
 7回は再び木村のペース。打ち合いを挑む仲里だが,木村の速い動きに的を絞れない。木村は右フックから接近して右アッパー。さらに右フックをヒット。ロングレンジからの左ジャブ,ストレートもヒットして優勢。8回にも木村の右フックがヒットして仲里がバランスを崩す。強気に攻める木村は左フックもヒットしてますます調子に乗った。
 9・10回は一進一退の激しい主導権争いが続くが,仲里は決定的なダメージを与えられないままに終了ゴングを聞いた。

 対照的なタイプの両者の激しい主導権争いにより,非常に見応えのある白熱した試合となった。
 仲里はボクサータイプの木村が足を使うことは予想していたと思うが,これほど強気のボクシングをすることは考えていなかっただろう。序盤を戦って強引に力ずくで行っては不利と見たのか,4回に入ると動きに追随しながら目でフェイントをかけ,やや力を抜いた右ストレート,左フックを多用した。この辺は力よりもスピード重視で当てるボクシングに作戦を切り替えたように見えた。セコンドの指示があったとは思うが,ベテランらしい一面を見せた。しかし,木村の速い動きと強気の攻めに苦しんで最後まで決定打を打ち込めなかったことで,どちらかというと分の悪いドローとなった。序盤に木村を調子に乗せてしまったことが響いたが,2度の世界挑戦に失敗し,もう後がない状態で迎えた一戦で西岡同様に辛うじて土俵際で残った感じがする。
 やや不利と見られていた木村は強気のボクシングが奏効した。よく動き,強打の仲里に対してロープを背負わない作戦が読み取れた。速いフットワークも逃げのためだけでなく,要所に左ジャブ,ストレートを放つなどの攻撃につながっていた点が非常に良かった。仲里が待っていると体を沈めてボディに行くと見せかけるフェイントから右フックを上にヒットするなど,クレバーな面を随所に披露した。接近して右アッパーでのけぞらせる場面もあり,仲里を向こうに回して大胆な攻撃を見せた。セコンドの指示をリング上で実現できるのも能力のうち。相手が攻撃すると半身で上体が前屈みになることが気になるが,将来性は十分である。必ず世界挑戦のチャンスが巡って来るはず。持ち味であるフットワークと左ジャブ,ストレートを忘れず,目標を高く持って今後の精進を期待する。

採点結果 仲里 木村
主審:福地勇治 *** ***
副審:ビニー・マーチン 96 96
副審:内田正一 97 95
副審:森田健 96 97
参考:MAOMIE 95 97


     ×仲里:32戦24勝(18KO)7敗1分
     ×木村:18戦17勝(7KO)1分

     放送:G+
     解説:浜田剛史
     実況:船越雅史

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                   2004年10月30日(土)    両国国技館
                         ノンタイトル10回戦
               WBC世界S・バンタム級5位         WBA世界S・バンタム級4位
           ○   西岡利晃      判 定     中島吉謙   ●
                  (帝拳) 123 lbs                 (角海老宝石) 123lbs

                                     日本スーパー・バンタム級チャンピオン

 初回から西岡が右ジャブを伸ばして牽制し,ジリジリと距離を詰める。左ストレートを中島のボディに送り,左フックを上に放つ西岡。中島は動きながら回り込んでワンツーを返す。しかし,2回には中島がワンツー,左フックをまとめ打ちしてリード。バッティングで左目上をカットするハンデを負った西岡も終了間際には左ストレートから右フックをヒットする。3回,前に出るのは西岡だが,先手を取るのは中島。動きながら機を見てワンツー,左フック,右アッパーをまとめる。
 4回に入ると西岡が徐々に挽回の構えを見せた。中島の手数に苦しみながらも右で牽制してボディへの左ストレートを多用し,中島の動きを止めにかかる。中盤は手数が少ないながらも右フック,左ストレートを巧打した西岡がややリード。西岡は6回にもボディへの左ストレートを多用する。
 最大のヤマ場は7回。西岡は打ち合いを挑んで左右フックの連打で押し気味に進めるが,右目上もカットして一時中断。再開後,中島が猛然と反撃に出るが,西岡はこれを迎え撃ち,終了間際に左フックをクリーンヒットして鮮やかなダウンを奪った。
 8回は再び中島が反撃。ワンツーから細かい左右アッパーを連打して西岡を押して行く。西岡は両目上から出血。9回,中島はよく手数を出して応戦するが,西岡の左ストレート,右フックがヒットする。10回,両者死力を振り絞っての打ち合いが展開されるが,西岡の右フック,左ストレートを食いながらも中島がワンツー,左右アッパーで猛然と攻勢に出る。

 これも世界ランカーの意地と意地のぶつかり合いのような白熱戦。
 西岡は全盛時の足の動きが消え,”スピードキング”からファイターに変貌した姿を見せた。切れ味が鋭かった左ストレートが山なりの左フックになってしまうのが気になるが,今回の最大の収穫は絶対に引かずに勝ちに行く執念を見せたこと。過去4度の世界挑戦で西岡に足りなかったものは執念である。5度目の世界挑戦となると厳しいものがあるが,勝利への執念を見せて世界ランカーの中島に勝ったことにより首の皮一枚で世界戦線に生き残った感じがする。
 中島の大健闘は賞賛に値する。キャリアで優る西岡に一歩も引けを取らず堂々と渡り合ったのは見事。持ち味のハンドスピードを生かしたワンツー,左右アッパーの連打で西岡を追い詰める場面もあり,大いに見せ場を作った。敗れはしたが,その評価はむしろ上がるのではないだろうか。いい経験を積んだと考え,ぜひ今後につなげて欲しい。

採点結果 西岡 中島
主審:浦谷信彰 *** ***
副審:ウクリッド・サラサス 96 93
副審:山田一公 97 93
副審:森田健 97 94
参考:MAOMIE 96 93


     ○西岡:31戦24勝(14KO)4敗3分
     ●中島:26戦15勝(4KO)6敗5分

     放送:G+
     解説:飯田覚士&セレス小林
     実況:村山喜彦

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                   2004年10月30日(土)    両国国技館
                         ノンタイトル10回戦
               WBC世界バンタム級5位           WBA世界バンタム級4位
           ○   長谷川穂積     判 定     鳥海 純   ●
               (千里馬神戸) 118 1/2 lbs              (ワタナベ) 119 1/4 lbs

             東洋太平洋バンタム級チャンピオン

 同型のサウスポー同士の対戦。慎重な立ち上がりになった鳥海に対して,長谷川が積極的に仕掛け,右フック,左ストレートをヒットして優位に立つ。
 目が離せない打ち合いになるが,3回,鳥海の左ストレートで長谷川がわずかにぐらついて後退。鳥海はこの回は積極的に出てリードした。4回,再び待ちに入った鳥海に対して,長谷川が右ジャブの連打で間合いを掴み,左ストレート,右フックをヒットし,卓越したハンドスピードを披露した。
 中盤のヤマ場は5回。長谷川の右フックで腰が落ちる鳥海。長谷川は攻勢に出て左ストレート,ワンツー,ボディへの右フックを連打する。しかし,終了間際に長谷川の左アッパーに合わせた鳥海の左ストレートがカウンターになり,長谷川がぐらり。KOチャンスに一気にラッシュする鳥海。足元がふらつく長谷川はゴングに救われ,セコンドに抱きかかえられるようにコーナーに戻った。
 6回,世界ランカー同士の意地の激突とも言える打ち合いが続くが,終盤に左ストレート,右フックでチャンスを掴んだ長谷川がラッシュし,連打の回転力を見せた。9回,長谷川は左目上をカット(鳥海の有効打によるもの)するが,左ストレートで鳥海をぐらつかせてブレッシャーをかけ続ける。10回,手数が減った鳥海に対して,長谷川の連打の回転力が上回る。

 期待以上の好ファイト。ともにプライドを賭け,実力と持ち味を出し切った見事な白熱戦となった。
 長谷川は終始先手で攻めたことが勝因。パンチの回転力,コンビネーションの差が出た。右ジャブ,フックをうまく使って主導権を掌握していたのも良かった。プレッシャーをかけることによって,相手の攻撃を許さずに巧みに休むうまさも見せた。もう少し経験を積めば必ず世界挑戦への道が開ける。小さくまとまることなく,目標を高く持ってスケールの大きい選手になれるように精進をお願いしたい。
 課題は相変わらず攻防のパターンが直線的なことか。タテのラインだけでなく,もう少しサイドの動きを取り入れ,リングの面積を広く使えるようになれば幅が広がるはず。また攻撃のときに振りが大きくなってしまうのも欠点。コンパクトに振り切るように心掛ければ,持ち味である連打の回転力がさらに増すはず。
 鳥海の試合ぶりも見事。待ちに入ってしまい,やや手数が少なかったことが惜しまれるが,持っている実力を出し切って見せた試合後の清々しい表情が印象的。勝者を讃えるスポーツマンらしい態度にも非常に好感が持てる。敗れたとは言え,その評価が下がることはない。

採点結果 長谷川 鳥海
主審:ウクリッド・サラサス *** ***
副審:内田正一 98 93
副審:森田健 97 95
副審:ビニー・マーチン 96 95
参考:MAOMIE 98 93


     ○長谷川:19戦17勝(5KO)2敗
     ●鳥海:27戦22勝(9KO)4敗1分

     放送:G+
     解説:飯田覚士&セレス小林
     実況:長谷川憲司

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