熱戦譜〜2004年6月の試合から


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試合日 試合 結果
2004.06.04  WBA世界フェザー級
 タイトルマッチ12回戦
 クリス・ジョン  判定  佐藤 修 
2004.06.04  WBA世界フライ級
 タイトルマッチ12回戦
 ロレンソ・パーラ  判定  坂田健史
2004.06.04 10回戦  佐竹政一  KO6R  ウバルド・エルナンデス
2004.06.05 10回戦  トラッシュ中沼  TKO8R  エドガー・ロドリゴ
2004.06.05 10回戦  プロスパー松浦  KO3R  ポンサック・ポンジャルン
2004.06.06  日本フライ級
 タイトルマッチ10回戦
 内藤大助  6R負傷判定  中野 博
2004.06.14  日本スーパー・ウェルター級
 タイトルマッチ10回戦
 クレイジー・キム  判定  石田順裕
2004.06.14 10回戦  升田貴大  判定  林田龍生
2004.06.14 8回戦  大曲輝斉  TKO5R  コンパヤック・シスダンチャイ
10 2004.06.19  日本スーパー・バンタム級
 タイトルマッチ10回戦
 中島吉謙  4R負傷引き分け  玉越強平
11 2004.06.19 10回戦  宮田 芳憲  判定  涼野康太
12 2004.06.19 10回戦  北川 純  7R負傷判定  加藤雄也
13 2004.06.26  東洋太平洋フライ級
 タイトルマッチ12回戦
 小松則幸  10R負傷判定  小嶋武幸
14 2004.06.26 10回戦  藤原直人  判定  鳥飼秀作
15 2004.06.28  WBC世界スーパー・フライ級
 タイトルマッチ12回戦
 川嶋勝重  TKO1R  徳山昌守
16 2004.06.28  WBC世界ミニマム級
 タイトルマッチ12回戦
 イーグル京和  8R負傷判定  小熊坂 諭
17 2004.06.28  日本スーパー・フライ級
 タイトルマッチ10回戦
 有永政幸  判定  川端賢樹

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                     2004年6月4日(金)    有明コロシアム
                     WBA世界フェザー級タイトルマッチ12回戦
                     チャンピオン           挑戦者(同級7位) 
                ○  クリス・ジョン    判 定    佐藤 修   ●
                     (インドネシア) 124 1/2 lbs            (協栄) 126 lbs

 左ジャブの突き合いから静かなスタートとなるが,2回から両者の動きが忙しくなる。3回,佐藤は素早く距離を詰め,左右の細かいパンチから得意の左ボディブローでジョンの動きを止めにかかる。
 しかし,4回以降はジョンのペース。軽く足を使って左右に動きながら,左ジャブ,ボディから上への左アッパー,フックのダブルをヒット。この回中盤にはタイミングのいいワンツーで一瞬佐藤の腰が落ちる。
 佐藤は中盤以降は中途半端に立っているところにジョンの右ストレート,左フックをまともにもらう場面が目立った。7回にはノーモーションからの右ストレートで一瞬動きが止まる佐藤。完全に主導権を握ったジョンはますます快調に飛ばし,足を使って常に自分の距離を保ち,右から左という意表を突く”逆ワンツー”や左フックでクリーンヒットを重ねた。
 8回,ジョンのいきなりの右ストレートをまともにもらう場面が目立つ佐藤。終盤には左フックからの右ストレートでわずかにぐらついた。9回,ジョンは動きの鈍い佐藤を見透かしたかのようにタイミングのいい右ストレート,左フックを上下に散らし,的を絞らせない。
 敗色濃厚となった佐藤は11回,チャンスを窺って正面に立ったところに,ワンツーからボディへの左アッパー,上への左フックをことごとく浴びる。12回,佐藤は逆転を狙って強引に仕掛けるが,冷静なジョンにかわされ,右ストレート,左フックをもらった。

 スーパー・バンタム級に次ぐ2階級制覇を狙った佐藤だが,目と勘のいいジョンに完敗となった。左ボディブローを突破口にジョンを崩そうという作戦だったが,肝心のパンチが出ないため,接近しようと正面に立ったところにタイミングのいいパンチをもらい,完全に主導権を握られてしまった。ボクシングが正直過ぎて,経験不足を露呈した感じ。もう少し左右に動きながら素早く距離を詰めたり,フェイントを使ったり,捨てパンチを上下に散らすなどの工夫が欲しかった。
 初防衛に成功したジョンは足が速いボクサータイプ。目と勘がよく,冷静な試合運びが光る。実によく相手を見ており,左ジャブから右ストレート,左フックをタイミングよく放つ。巧妙なポジショニングに加え,パンチを上下に散らして相手に的を絞らせないうまさがある。パンチの破壊力は感じられないが,それでもときおり見せたカウンター気味に打ち込む右ストレートは鋭い。

採点結果 ジョン 佐藤
主審:ルイス・パボン(プエルトリコ) *** ***
副審:エリキ・メロネン(フィンランド) 120 109
副審:マイケル・リー(韓国) 116 113
副審:フィリッペ・ベルベケ(ベルギー) 117 111
参考:MAOMIE 119 111


     ○ジョン:34戦34勝(19KO)
     ●佐藤:33戦27勝(16KO)3敗3分

     放送:TBS
     解説:鬼塚勝也&竹原慎二&畑山隆則
     実況:土井敏之

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                      2004年6月4日(金)    有明コロシアム
                       WBA世界フライ級タイトルマッチ12回戦
                     チャンピオン           挑戦者(同級7位) 
                ○  ロレンソ・パーラ    判 定    坂田健史   ●
                      (ベネズエラ)  112 lbs               (協栄) 112 lbs

 初回から積極的に仕掛ける坂田。パーラは下がりながら左ジャブ,左アッパーで迎え撃つが,終盤,パーラの右アッパーに合わせて放った坂田の左フックがカウンターになり,パーラは膝を揺らした。
 しかし,2回,逆にパーラが強打の片鱗を見せる。下がりながら坂田の入り際に右アッパーを合わせるパーラ。2分過ぎ,強烈な右ストレートを食った坂田はぐらつき,パーラが一気に攻勢に出た。坂田はこの回にアゴを骨折していたことが判明。
 アゴを骨折し,歯が折れて口から出血した坂田が中盤以降,驚異的な頑張りを見せた。4回,パーラの左フックでぐらついた坂田だが,減量に失敗したパーラのボディにパンチを集める。思わずクリンチに出るパーラ。5回にも口から血を流しながら開始早々からボディ攻撃で圧倒すると,パーラは動きが鈍くなり,苦しい戦いになる。
 6回,左フックの相打ちは坂田の方が上。パーラは大きくぐらつき,必死にクリンチに逃れようとするが,坂田は左右のボディブロー,右ストレートでパーラを圧倒した。
 7回,パーラは足を使い,ダメージ回復のための時間稼ぎに出る。8・10回,坂田の右ストレートがヒットして,パーラが思わず抱きつく場面が見られた。しかし,アゴを骨折した坂田は口が閉まらず,肝心な場面でパンチの威力を欠いた。
 しかし,11・12回はパーラが足を使ってゴマかし,坂田の入り際に右アッパー,右ストレートをヒットした。

 序盤戦でアゴを骨折するという予想外かつ最悪の展開にもめげず,最後まで試合を捨てずに食い下がった坂田のスピリットに敬意を表したい。中盤に何度もパーラをぐらつかせ,KOチャンスもあったが,口が閉まらないために,パンチの威力が半減したことが惜しまれる。しかし,今回の試合で得たものは限りなく大きいはず。アゴの負傷を完治させ,再挑戦できるように精進を期待する。
 減量に失敗し,全裸で臨んだ3度目の計量でようやくパスしたパーラは,計量後に水をガブ飲みして嘔吐するという失態を演じている。最悪のコンディションでリングに上がったわけだが,坂田の果敢な攻撃に苦しみながらも最後に何とかまとめてしまったあたりはさすがである。
 エリック・モレル(米国)という強豪王者から王座を奪っただけに,前評判は近来になく高かったが,悪コンディションのためか,スピードがなく,打ち込まれるとクリンチに逃れるなど,弱気な面も見せた。しかし,本調子ならばかなりの力を発揮したと思われる実力の片鱗を随所に披露した。足を使いながら左ジャブで牽制し,相手の入り際に合わせる右アッパー,右ストレートはりきみがなく,強烈そのもの。相手に対する見極めもいい。

採点結果 パーラ 坂田
主審:ジョン・コイル(英国) *** ***
副審:スタンレー・クリストドーロー(南アフリカ) 115 113
副審:ルイス・パボン(プエルトリコ) 114 114
副審:メルチョ・テイラー(トリニダードトバゴ) 117 111
参考:MAOMIE 114 116


     ○パーラ:23戦23勝(17KO)
     ●坂田:25戦22勝(9KO)2敗1分

     放送:TBS
     解説:鬼塚勝也&竹原慎二&畑山隆則
     実況:新夕悦男

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                      2004年6月4日(金)    米国ネバダ州ラスベガス:プラザホテル
                                  10回戦
               東洋太平洋S・ライト級チャンピオン   K      O   元NABA S・ライト級チャンピオン
            ○       佐竹政一       6回1分01秒   ウバルド・エルナンデス    ●
                      (明石) 141 1/2 lbs                          (メキシコ) 148 lbs

 佐竹にとっては27戦目で初の海外での試合。エルナンデスは夫人の負傷によって出場不能となったサウル・デュラン(メキシコ)の代役。
 初回は左に回りながら右ジャブを突いてエルナンデスの出方を窺う慎重なスタート。
 4回,左ストレートのボディブローからすかさず上に右フックを切り返す得意のコンビネーションが出る佐竹。スピードの差は歴然。サウスポーにスイッチして後退するエルナンデスに対して,佐竹は前に出てプレッシャーをかける。5回,エルナンデスの右ストレートが低く入り,一時中断。このローブローによりエルナンデスは減点1。
 そして6回,佐竹が勝負を決めた。右フックに次ぐ左ストレート,右アッパーの追い打ちでロープに下がるエルナンデス。何とかリング中央に戻ったところで右フックがアゴをヒットし,エルナンデスはたまらずダウン。そのままカウントアウト。

 世界挑戦の前哨戦と位置付けられていた3月のカルロス・マウサ(コロンビア)戦でダウンを奪いながら,その後の消極戦法で敗れた佐竹。今回はその再起戦を鮮やかなKOで飾った。フィニッシュにつなげたコンビネーションは佐竹ならではの鮮やかなもので,復調と言っていいだろう。
 世界レベルではいくらディフェンスがよくても,かわすだけではポイントになりにくい。かわしているつもりでもポイントは相手に流れていたということがいくらでも起こり得る。前回のマウサ戦はそれで失敗したもの。それを体感するという意味で,再起の地を海外に求めた判断は非常に賢明である。またマウサ戦に続いて今回も対戦相手が直前に変更されたことは,今後の佐竹にとっておそらく貴重な体験になったはず。その意味で,今回の試合の意義は大きい。
 エルナンデスはスピードもパワーも感じられず,佐竹の相手としてはイージーな部類に入る。試合中にサウスポーにスイッチするなど,変則的な動きを見せる。

     主審:ビック・ドラクリッチ(米国),副審:3名とも不明
     ○佐竹:27戦20勝(13KO)3敗4分     ●エルナンデス:34戦19勝(10KO)13敗2分
     放送:WOWOW     解説:ジョー小泉&浜田剛史     実況:高柳謙一     アシスタント:荻野奈緒美

※ 第2・3ラウンドをカットして放送。

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                        2004年6月5日(土)    後楽園ホール
                                 10回戦
                  WBC世界フライ級15位    T  K  O   比国フライ級チャンピオン
                ○   トラッシュ中沼    8回2分06秒   エドガー・ロドリゴ  ●
                        (国際) 113 3/4 lbs                    (比国) 113 1/4 lbs

 サウスポーのロドリゴがスタートから積極的に打って出る。速い左右フック,アッパーを放つロドリゴに対し,中沼は顔の前でガッチリとカバーし,大きな左フック,アッパーを返すという展開が続いた。
 3回,左フックでロドリゴをぐらつかせた中沼はボディへの左アッパーを見せる。5回,ガードを固めてロドリゴの連打をカバーする中沼は終了間際に放った左アッパーでロドリゴをぐらつかせた。6回にも左アッパーがカウンターになり,ロドリゴがよろめく。しかし,中沼も肝心なチャンスに”待ち”に入ってしまう悪い癖が出た。
 試合が動いたのは7回。中沼の左アッパーがボディを抉り,しぶといロドリゴもたまらずダウン。終了ゴングとほぼ同時に再び左アッパーのボディブローでロドリゴがダウン。8回,粘るロドリゴだが,左アッパーをボディに受けて,この試合3度目のダウン。ここでも中沼は”待ち”のボクシングに入ってしまい,フィニッシュを長引かせたが,最後は渾身の右アッパーがまともにボディを抉って,ロドリゴたまらず4度目のダウン。ここで浦谷主審がためらわず,ノーカウントで試合をストップした。

 難敵のロドリゴを見事にフィニッシュした中沼だが,内容的には課題を残す結果となった。相変わらず手数が少なく,大振りの一発狙いに頼っている。せっかくいいパンチが決まって相手が効いているのに,自ら”待ち”のボクシングに入ってしまう欠点を露呈した。ガードを固めてカバーしながら大きいパンチを放つだけでは,相手に読まれてしまう。しぶといロドリゴを相手に,ボディ主体の攻撃に切り替えた点は評価できるが,上を狙うには手数の問題を克服しないと結果が出せないだろう。
 サウスポーのロドリゴはしぶといファィタータイプで,実によく手が出る。接近して放つ回転のいい左右フック,アッパーを得意としている。しかし,右のガードが下がり,相手の左フック,アッパーを受けやすいのが難点。

8回までの採点 中沼 ロドリゴ
主審:浦谷信彰 *** ***
副審:山田一公 70 61
副審:ウクリッド・サラサス 70 62
副審:吉田和敏 69 63
参考:MAOMIE 69 64


     ○中沼:29戦24勝(11KO)5敗
     ●ロドリゴ:19戦10勝(5KO)5敗4分

     放送:G+
     解説:ファィティング原田&浜田剛史
     実況:長谷川憲司

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                        2004年6月5日(土)    後楽園ホール
                                  10回戦
                  日本スーパー・フライ級7位   K      O   タイ国スーパー・バンタム級6位
                ○  プロスパー松浦     3回1分57秒   ポンサック・ポンジャルン  ●
                        (国際) 115 lbs                          (タイ) 113 1/2 lbs

 積極的に仕掛ける松浦。2回,前に出てプレッシャーをかければ,ポンサックは早くも腰が引ける。松浦はロープにポンサックを追い,右ストレート,左フック,ボディへの左アッパーで攻勢に出る。
 そして3回,松浦の右フックがカウンターになり,バランスを崩すポンサック。クリンチに出たところに左アッパーがヒットし,ポンサックは呆気なくダウン。左フック,右ストレートで2度目のダウン。立ち上がったものの,肩越しの右ストレートを受け,3度目のダウン。

 久々のうれしいKO勝利となった松浦。りきまずに積極的に出て的確にヒットを奪って仕留めた。ガードが甘くなることとときおりパンチが大きくなることは要注意だが,自分から試合を作ってKOにつなげたことは評価できる。この感触を忘れないこと。
 ポンサックは80戦というムエタイのキャリアを誇る。しかし,相手がプレッシャーをかけると腰が引けてしまい,弱気な面を見せた。

     主審:福地勇治,副審:葛城明彦&浦谷信彰&吉田和敏
     ○松浦:28戦23勝(11KO)5敗     ●ポンサック:8戦4勝(2KO)4敗
     放送:G+     解説:浜田剛史     実況:高橋雄一

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                     2004年6月6日(日)    名古屋:吹上ホール
                        日本フライ級タイトルマッチ10回戦
                 
挑戦者(同級1位)   負 傷 判 定   チャンピオン
              ○   内藤大助      6回2分33秒   中野 博   ●
                    (宮田) 111 1/2 lbs                     (畑中) 111 3/4 lbs


 初回開始早々から上体を揺すって積極的に仕掛ける内藤。30秒過ぎ,右ストレートをヒットしてサウスポーの中野をぐらつかせ,一気に攻勢に出る。左フックがヒットし,中野はつんのめるようにダウン。再開後,内藤は中野の出バナに得意の右ストレート,左フックをビシビシ決めて優勢。中野はようやく前に出るが,内藤の右が鋭くて入って行けない。先制のダウンを奪って勢いに乗る内藤は,2回にも左右に動きながら右ストレート,左フックをビシビシ決めて中野に反撃の隙を与えない。中野は前に出るが,正面に立ち,上体の動きもないため,内藤の右ストレートを食う。
 そして,3回中盤に再び内藤の強打が火を噴いた。右ストレートがヒットし,中野は仰向けにダウン。立ち上がったものの,内藤の攻勢に晒され,左フック,右ストレートで足がもつれてピンチの連続。
 4回,中野は前に出て左フック,ストレートを決めて内藤を追うが,終了間際には内藤の左フックがヒットして中野がぐらつく。なかなか反撃の糸口が掴めない中野は5回にも内藤の左右フックからの右ストレートを許し,バッティングで左側頭部から出血し,中断。再開後にも内藤の左フック,右ストレートが猛威を振るい,中野はますます苦しい展開となる。
 6回,中野も左ストレートをヒットするが,内藤の左フック,右ストレートが上回る。バッティングで内藤も右目上をカットして中断するが,再開後内藤は左右フックで猛然と攻勢。バッティングで今度は中野が右目上をカットして激しく出血。ドクターチェックの結果,そのままストップとなった。規定により6回を含む得点で上回った内藤が負傷判定で悲願の初タイトルを手にした。

 涙の初タイトル奪取となった内藤の勝因はサウスポーの中野に対して武器の右ストレートを多用し,思い切った攻撃を展開したことに尽きる。右ストレートに加え,返しの左フックも効果的で,中野に反撃の隙を与えずに先手先手で攻めたことが勝利につながった。タイトル奪取への執念も感じられ,見事な試合内容だった。
 初黒星の中野はサウスポーのボクサーファイターで左ストレートが武器。しかし,強打の内藤に対して右回りを忘れ,正面に立ってしまったことが敗因。上体の動きも少なく,強打で鳴る内藤の正面に立ってしまっては分が悪い。スピードも今ひとつで,何が何でも王座を守るという気迫もあまり感じられなかった。
 この試合で気になったのはコミッションドクターの緩慢な動作。バッティングによる両選手の負傷により,堂本主審から計3度のドクターチェックの要請があった。しかし,いずれもドクターがエプロンに上がるまでにかなりの時間を要している。エプロンに上がってからも何やら器具を探すのに手間取っていたようで,実際に診察が始まるまでにかなりの時間を要しており,過去にこのような例は見たことがない。『時間稼ぎ』などと不要な誤解を生んで紛糾する恐れがあり,試合管理上非常に問題がある。試合内容が良かっただけに非常に残念。見たところ,高齢のドクターのようであり,そのために動作が緩慢だったのかも知れないが,JBCには猛省を促し,改善を要望したい。

6回を含む採点結果 内藤 中野
主審:堂本康夫 60 54
副審:伊藤孝臣 60 54
副審:内山佳寿子 59 54
副審:堺谷一志 60 54
参考:MAOMIE 60 53


     ○内藤:28戦25勝(18KO)1敗2分
     ●中野:21戦21勝(11KO)1敗

     放送:CBC(中部日本放送)
     解説:薬師寺保栄
     実況:伊藤敦基

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                       2004年6月14日(月)    後楽園ホール
                      日本スーパー・ウェルター級タイトルマッチ10回戦
                 
    チャンピオン           挑戦者(同級1位)
                ○  クレイジー・キム   判 定    石田順裕    ●
                       (ヨネクラ) 154 lbs               (金沢) 153 3/4 lbs


 初回からグイグイと前に出てプレッシャーをかけるキム。石田を追い,ボディにパンチを集める。2回,長身の石田はキムの入り際に右ストレート,接近して右アッパーをヒットし,鋭いパンチの片鱗を見せた。3回,キムは左目上をカットするハンデを負う(石田の有効打によるもの)。4回,キムは執拗なボディ打ちで迫るが,中盤から石田がキムの出バナに右ストレート,ワンツー,左フックを浴びせて主導権を握った。
 キムは5回に反撃に出て,右フックでチャンスを掴み,石田をロープに詰めて左右フック,ボディへの左アッパーで攻勢。そして,ポイントでやや石田リードの展開で迎えた6回終盤,キムの強打が爆発した。フェイントからの右フックが見事にアゴを捉え,ぐらつく石田。フォローの右フックを受けた石田は崩れるようにダウン。これはゴングに救われたが,7回にもキムの攻勢。ボディにパンチを集められた石田は弱気な面を見せる。
 石田はよく頑張り,ときおりキムの出バナに鋭いワンツーを浴びせるが,キムのパワーを撥ね返すには至らない。そして10回,打ち下ろしの右フックを食って足元がフラつく石田。一気に攻勢に出たキムに必死にしがみつくと,両者ともにバランスを崩し,もつれるように倒れ込む。これでダウンを免れた石田は終盤にワンツーの連打で反撃を見せたが時すでに遅し。

 スピードのある石田に手を焼いたキムだが,パワーの差で4度目の防衛に成功した。6回にダウンを奪った右フックは下を狙うと見せ,一気にアゴに持って行った右フックがヒットしたもので,見事なパンチだった。しかし,いつものような怒涛の攻めが見られず,何度か訪れたKOチャンスをモノにできなかった点は不満が残る。もう少し手数を細かく出して攻めることと,不用意な被弾を避けるように心掛けるべき。
 石田は187cmという長身。スピードがあり,ワンツー,右アッパーが切れる右ボクサータイプ。ガードを下げたトリッキーなスタイルから,機を見てスピーディなパンチをまとめるうまさがある。しかし,攻め込まれると弱気な面を見せる点が気になる。

採点結果 キム 石田
主審:熊崎広大 *** ***
副審:浅尾和信 95 94
副審:浦谷信彰 96 95
副審:内田正一 96 94
参考:MAOMIE 98 95


     ○キム:23戦20勝(17KO)3敗
     ●石田:17戦11勝(4KO)5敗1分

     放送:フジ739
     解説:川島郭志
     実況:佐野瑞樹

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                     2004年6月14日(月)    後楽園ホール
                                10回戦
                 
  日本L・フライ級(ノーランク)       WBC世界L・フライ級7位
                ○   升田貴久     判 定   林田龍生   ●
                       (三迫) 109 1/4 lbs              (渡嘉敷) 110 1/4 lbs

                                            WBA9位

 自ら志願して林田との対戦を実現したという升田。初回,左ジャブ2発からの右ストレートで林田をのけぞらせて早くも後退させた。2回にもスピードに乗ったワンツーを伸ばして積極的に仕掛けて行く。林田は早くも後手に回る悪い癖が出た。3回にも積極的な升田は右フック,右アッパーをヒットし,完全に序盤を制した。小柄な林田は体を寄せて打ち下ろしの右フックをヒットしたが,後手に回り,パンチが届かない場面が多い。4回,飛び込む林田の出バナに升田の右から左のフックが命中し,林田がぐらつく場面が見られた。林田もロープを背に右フックをヒットして応戦するが,ここまでは完全に升田のペースで試合が進んだ。
 5回,やや手数が減った升田に対して林田はようやく先手を取って再三右フックを打ち下ろして反撃。しかし,決め手に欠け,中盤以降は決定的なリードを奪うには至らない。升田も攻撃がやや雑になり,決定打を欠いた。

 升田の勝因は積極的なボクシングに終始したこと。身長・リーチに恵まれた右ボクサータイプで,フェイントを織り交ぜ,フットワークに乗せた左ジャブ,ワンツーを武器としている。今夜の勝利によって日本ランクへの返り咲きは確実だが,足と左を忘れずにスピードを生かしたボクシングに徹すれば面白い存在になりそう。
 敗れた林田は相変わらず世界ランカーとしては実力不足を露呈した。陣営では世界挑戦を実現させたい意向のようだが,後手に回ってしまう悪い癖が直らず,被弾も多い。国内の下位クラスと何とか互角に戦うのが精一杯では,世界に挑戦しても結果は戦う前から見えている。

採点結果 升田 林田
主審:ビニー・マーチン *** ***
副審:熊崎広大 97 96
副審:山田一公 97 96
副審:浦谷信彰 96 96
参考:MAOMIE 99 94


     ○升田:22戦14勝(4KO)5敗3分
     ●林田:22戦17勝(8KO)4敗1分

     放送:フジ739
     解説:川島郭志
     実況:桜井堅一朗

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                     2004年6月14日(月)    後楽園ホール
                                  8回戦
                 
 日本ウェルター級3位    T   K  O    タイ国ウェルター級(ノーランク)
                ○  大曲輝斉      5回1分24秒   コンパヤック・シスダンチャイ  ●
                     
 (ヨネクラ) 147 1/4 lbs                        (タイ) 144 1/2 lbs

 ガードを固めてジリジリと距離を詰める大曲。初回,早くも左フックでコンパヤックをのけぞらせる。さらにロープに詰めて,右ストレート,ボディへの右フックを叩く。2回以降も大曲のペース。変則的なスタイルから左右フックを放つコンパヤックだが,大曲は構わず右ストレート,左フック,ボディへの左アッパー。4回にはボディ攻撃が効いてロープに後退するコンパヤック。
 そして5回,右ストレート,左フックでプレッシャーを強める大曲。右フックが顔面を捉え,腰が落ちたコンパヤックがロープに飛んだところで内田主審が割って入った。

 大曲は重量感溢れる右ファイタータイプ。重い左フック,右ストレートを武器としている。ガードを固め,距離を詰めてプレッシャーをかけて行く。ただし,ベタ足でスピードがないのが最大の欠点。上体の動きがないので,もう少し上体を振ってリズムを取るように心掛けたい。

     主審:内田正一,副審:熊崎広大&ビニー・マーチン&浅尾和信
     ○大曲:20戦13勝(12KO)4敗3分     ●コンパヤック:10戦5勝(2KO)5敗
     放送:フジ739     解説:川島郭志     実況:長坂哲夫

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                      2004年6月19日(土)    後楽園ホール
                        日本スーパー・バンタム級タイトルマッチ10回戦
                 
    チャンピオン    負傷引き分け   挑戦者(同級6位)
               ×   中島吉謙    4回2分17秒     玉越強平   ×
                     (角海老宝石) 122 lbs                    (千里馬神戸) 122 lbs


 初回,玉越は足を使って回りながら左ジャブから機を見てワンツースリーフォーとパンチをつなぐ。一方の中島は真剣な表情で距離を詰める。2回,中島はプレッシャーを強め,素早い出足で距離を詰め,左右のボディ連打に次ぐ右ストレートをヒット。3回にも中島がボディ連打からの攻勢を見せる。玉越も負けずに左右フックで応戦するが,中島はどんどん距離を詰めてプレッシャーをかける。
 白熱した試合になったが,4回に呆気ない幕切れが用意されていた。中島の右フックでバランスを崩す玉越。リング中央で玉越が左フックを振って飛び込んだ瞬間,両者の額が激しく衝突。このバッティングで玉越が左目上をカットし,中断。再開後,両者ともに勝負を急ぐが,玉越の出血がひどく,ほどなく2度目の中断。ドクターチェックの結果,筋膜に達する深い傷とのことで浅尾主審が試合をストップした。

 これから面白くなるというときの突然のアクシデントにより,消化不良の試合となってしまった。ぜひ再戦をお願いしたい。中島は3度目の防衛。
 中島は非常に意欲的で,左ジャブ,右ストレートやボディ連打で常に先手を取ろうとしている姿勢が見られた。素早い出足でどんどん距離を詰め,気持ちのいい試合運びである。
 初挑戦の玉越は長身でリーチに恵まれた右ボクサーファイター。足を使いながら,機を見て放つ左ジャブ,フックが主武器。なかなか果敢で,打ち合いも好む。ただし,打ち合いに持ち込むときにガードが開いてしまい,顔から入って行くのが気になる。今夜のバッティングもそれが原因。また,マウスピースがフィットしていないためか,あるいは鼻が悪くて呼吸が苦しいためか,パンチを打つときに口が開き気味なのも欠点。これを改善すればKO率も上がるはず。

     主審:浅尾和信,副審:鮫島英一郎&吉田和敏&内田正一
     ×中島:25戦15勝(3KO)5敗5分     ×玉越:21戦12勝(5KO)4敗5分
     放送:G+     解説:葛西裕一     実況:舟津宜史

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                   2004年6月19日(土)    後楽園ホール
                              10回戦
                 
日本フェザー級8位          日本フェザー級(ノーランク)
              ○   宮田芳憲     判 定   涼野康太  ●  
                    
(角海老宝石) 126 lbs             (五代) 125 lbs

 初回,パワーで優る宮田はやや下がりながら回り込んで豪快な右ストレート,左フックをヒットする。涼野も積極的に前に出て,早くも好ファイトとなる。
 2回,宮田は右ストレートに次ぐ左フック,アッパーで迫力ある攻めを見せる。右アッパーもアゴにヒット。しかし,3回涼野はひるまずに前に出て,右ストレート,左フックで先手を取って反撃。宮田の右アッパーもヒットするが,涼野は恐れることなく前に出る。
 4回終盤,宮田の強烈な左フックがカウンターになり,涼野はグラリとよろめいてピンチを迎えた。涼野は鼻血を流すが,よく頑張る。
 中盤以降も両者一歩も譲らぬ白熱戦となった。手数で勝負する涼野に対して,宮田はときおり豪快な強打をお返しする。さすがの涼野も終盤は手数が減ったが,宮田もりきんでしまい,ミスパンチが見られた。それでも互いに一歩も引かない意地と意地のぶつかり合いのような展開となった。

 昔ならば,間違いなくリングサイドクラブから金一封が出るような好ファイト。
 宮田はパンチ力十分のファイタータイプ。ラグビーで全国大会への出場経験があるというだけあってガッシリした上体をしており,パンチには非常に破壊力がある。やや振りが大きいが,右ストレート,左フック,アッパーの豪快なパンチは迫力十分。接近すれば右アッパーもある。りきみが目立つが,それを矯正すれば持ち味が消えてしまうだろう。パワーを生かし,後手に回らないように心掛けるべきである。
 涼野は右ボクサーファイターで積極的に前に出て先手を取るボクシングが持ち味。パンチ力は今一歩だが,右ストレート,左フックの連打で手数主体に攻める。上体の動きが少なく,相手の正面に立ってしまうのが欠点。上位進出のためにはこれが課題となる。

採点結果 宮田 涼野
主審:浦谷信彰 *** ***
副審:吉田和敏 97 95
副審:福地勇治 96 95
副審:浅尾和信 97 95
参考:MAOMIE 97 95


     ○宮田:15戦12勝(8KO)2敗1分
     ●涼野:19戦12勝(3KO)5敗2分

     放送:G+
     解説:なし
     実況:寺島淳司

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                     2004年6月19日(土)    後楽園ホール
                                  10回戦
                 
日本ウェルター級(ノーランク)  負 傷 判 定   日本ウェルター級(ノーランク)     
              ○     北川 純     7回1分03秒   加藤雄也  ●  
                   
(グローバル協栄) 146 1/2 lbs                   (国際) 147 3/4 lbs

 178cmという長身同士の対決。サウスポーの加藤は左フックを振って仕掛ける。北川はよく見て右ストレート,左フック。
 2回,加藤の左フックがヒットする。しかし,3回以降は地力で優る北川がプレッシャーをかける。前に出る加藤をよく見て,右ストレート,左フックに次ぐ細かいアッパー。加藤が前に出たところに北川の右フックがヒットする。4回,ボディ狙いの加藤に対し,北川は落ち着いてワンツー,左フック,アッパーを決める。加藤はうっすらと鼻血を流す。
 6回には接近戦で打ち合いとなる。加藤の左フックもヒットするが,北川はワンツー,左右フック,アッパーをまとめてプレッシャーをかける。加藤がバッティングで右目上をカットし,一時中断。
 7回,加藤の右目上の傷が深く,ストップとなった。

 北川は左フック,右ストレートに威力を秘める。スピードはないが,非常によく相手を見ており,冷静さが光る。ただし,サウスポーは苦手とのことで,実際に左相手の戦い方はうまくない。
 加藤はジムの先輩王者・セレス小林氏ばりのサウスポーのファイタータイプ。左フックをアゴやボディに放って積極的に攻める。単発で次の攻撃へのつながりがないことが欠点。先輩のような細かい連打が出るように研究が必要。
 初回から再三のバッティングにより,何度も試合が中断したが,お互いのフェアな試合態度には好感が持てる。

7回を含む採点結果 北川 加藤
主審:福地勇治 *** ***
副審:浦谷信彰 69 66
副審:内田正一 69 67
副審:浅尾和信 69 66
参考:MAOMIE 69 67


     ○北川:17戦12勝(9KO)5敗
     ●加藤:14戦7勝(3KO)3敗4分

     放送:G+
     解説:なし
     実況:田中 毅

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                      2004年6月26日(土)    大阪府立体育会館第2競技場
                           東洋太平洋フライ級タイトルマッチ12回戦
                 
    チャンピオン     負 傷 判 定   挑戦者(同級5位)
                ○   小松則幸    10回1分07秒   小嶋武幸    ●
                     (エディタウンゼント) 112 lbs                   (横浜さくら) 111 1/2 lbs


 初回からスピーディなワンツー,左フックで前に出る小松。小嶋もガードを低くして左右に動きながら左フックを返すが,3回,小松の左フックを受けて後退。バッティングで小松が右目上をカットして一時中断。
 いつになく大振りが少ない小松。4回,よく見て左フックに次ぐ右ストレート,左フックをまとめると小嶋がぐらついた。小嶋も右ストレートを返すが,小松の素早い攻撃で後手に回る。5回には小松のワンツー,ボディへの左右フックの攻勢にロープを背にする小嶋。終盤,小嶋の右ストレートで小松の膝が落ちる場面はあったが,小嶋は後続打が出ない。
 積極的な小松は6回に左フック,7回に右ストレートでそれぞれ小嶋をぐらつかせて優勢。
 8回,小松の右目上からの出血で再び中断。やや疲れが出た小松は小嶋の右ストレートでぐらつき,危ない場面を見せた。しかし,9回に疲れを見せた小嶋に連打を浴びせてロープに追い込む。そして10回,小松の右目上の傷が深く,ストップとなった。

 10回を含む採点で上回った小松が負傷判定で5度目の防衛に成功。いつもは大振りが目立つ小松だが,この日は比較的コンパクトにワンツー,左右フックをまとめていた点は評価できる。ただし,疲れを見せたところに右ストレートを食って危ない場面を見せるなど,安定感の無さは相変わらず。どんな場合でも気を抜いてはいけない。低いガードがリキミのないボクシングを生んでいる面はあるが,不用意な被弾は要注意である。手数を多く出し,持ち味である上下への打ち分けで組み立てるボクシングに徹すること。
 小嶋は右ボクサーファイターで,よく足が動く。やや低いガードから放つ右ストレート,左フックを武器としている。パンチ力は感じられないが,非常にしぶといボクシングを身上としている。

10回を含む採点結果 小松 小嶋
主審:原田武男 98 93
副審:安田裕候 98 93
副審:浦谷信彰 97 93
参考:MAOMIE 99 93

     ○小松:24戦19勝(8KO)5分
     ●小嶋:17戦11勝(5KO)3敗3分

     放送:スカイA
     解説:山口圭司
     実況:松原宏樹

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                 2004年6月26日(土)    大阪府立体育会館第2競技場
                              10回戦
               
日本スーパー・バンタム級9位        日本フェザー級(ノーランク)
              ○   藤原直人     判 定      鳥飼秀作    ●
                  
 (エディタウンゼント) 126 lbs              (横浜さくら) 125 1/4 lbs

 初回から積極的に仕掛ける藤原。距離を詰めてプレッシャーをかけ,ワンツーをヒット。強打を警戒する鳥飼は打ち合いを避けて足を使う。2回,逆に鳥飼の右ストレート,入り際の右アッパーがヒットする。
 3回,足を使って右フックでボディを叩く鳥飼だが,藤原は距離を詰めて左フック,右ストレートを浴びせる。5回,藤原は左フックで鳥飼をのけぞらせ,攻勢に出る。右ストレートに次ぐ左フック,右アッパーをまとめる藤原。
 ここまでは藤原のペースで進んだが,6回以降,鳥飼が反撃に出た。ワンツーに次ぐ右アッパーでバランスを崩した藤原はクリンチに出る。相打ちの左フックがカウンター気味にアゴを捉え,腰が落ちた藤原は最大のピンチを迎えた。
 7回,鳥飼の右フック,藤原の左フックで一進一退の攻防が続く。藤原は距離を詰めるが,足の速い鳥飼をつかまえ切れない。8回には隙を突くような左右連打で藤原を後退させる。9回,右目上が腫れた藤原は鳥飼を追い込んで行くが,逆に右から左のフックを受けた。

 鳥飼には少々気の毒な判定となった。8点差で藤原を支持した副審がいるが,それはあまりにも極端。
 終始前に出てプレッシャーをかけていた藤原だが,その割りには手数が少なかった。そのため,よく動く鳥飼を捉え切れなかったことが苦戦の原因。パンチ力はあるが,ボクシングが正直過ぎる。捨てパンチやフェイントなどを使い,相手を崩すテクニックを覚えて欲しい。左右に動いて相手の逃げ道を塞ぐように追い込んで行くフットワークを身に付けることも必要。
 鳥飼は足がよく動く右ボクサータイプ。パンチ力はないが,足を使って動きながら相手の隙を突いて右ストレート,左フックを放つ。ロングレンジからの右ボディブローも武器のひとつ。

採点結果 藤原 鳥飼
主審:宮崎久利 *** ***
副審:大黒利明 99 91
副審:原田武男 97 96
副審:安田裕候 97 93
参考:MAOMIE 96 96


     ○藤原:19戦16勝(8KO)3敗
     ●鳥飼:14戦7勝(1KO)6敗1分

     放送:スカイA
     解説:なし
     実況:松原宏樹

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                      2004年6月28日(月)    横浜アリーナ
                       WBC世界スーパー・フライ級タイトルマッチ12回戦
                   挑戦者(同級6位)  T   K  O    チャンピオン
                ○   川嶋勝重   1回1分47秒   徳山昌守   ●
                        (大橋)  115 lbs                    (金沢) 115 lbs


 初回,得意の鋭い左ジャブ,ストレートを突いて距離を取る徳山。川嶋はやや大きい左フックで迫る。
 リング中央,川嶋の左ボディブローは空打となったが,構わずフォローした右フックが見事にアゴを捉え,徳山の長身がドッと前のめりにキャンバスに落ちた。痛烈なダウン。立ち上がったものの,ゆらゆらと足元がおぼつかない徳山。再開後,川嶋が一気に襲い掛かる。右ストレート,左アッパーに次ぐ強烈な右フックがヒットし,たまらず仰向けに倒れる徳山。そのままストップ。

 川嶋が劇的な初回TKO勝ちで悲願の王座奪取。気迫の勝利である。左ボディブローで注意を下に引き付けておいて放った会心の右フックが見事に決まった。徳山の作戦ミスを指摘するよりも,今夜は川嶋の執念と気迫を讃えたい。やや大振りになるのが欠点だが,あのパワーは魅力がある。一発に頼らず,得意のインファイトを生かしたボクシングに今後の期待がかかる。
 川嶋(29歳)は年齢的なこともあり,防衛して長期政権を築くことよりもWBA王者アレクサンデル・ムニョス(ベネズエラ)との統一戦などに興味を示していると伝えられている。ぜひ実現させて欲しい。
 9度目の防衛に失敗した徳山。いつもは半身に構えた独特のスタイルを見せるが,今夜はそれがなく,一発のある川嶋と正対してしまった。第1戦ほどの懐の深さが感じられず,川嶋にとっては戦いやすかったのではないだろうか。もう少し慎重に戦っていればと悔やまれる。

     主審:ジェイ・ネイディ(米国),副審:森田健&宮崎久利&ジャック・ウッドバーン(カナダ)
     ○川嶋:29戦26勝(18KO)3敗     ●徳山:34戦30勝(8KO)3敗1分
     放送:テレビ東京     解説:鬼塚勝也&星野敬太郎&辰吉丈一郎     実況:久保田光彦

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                        2004年6月28日(月)    横浜アリーナ
                        WBC世界ミニマム級タイトルマッチ12回戦
                     チャンピオン       負 傷 判 定    挑戦者(同級5位) 
                ○  イーグル京和     8回2分24秒     小熊坂 諭   ●
                     (角海老宝石) 104 3/4 lbs                   (新日本木村) 104 3/4 lbs

 イーグルは初回から落ち着いて右ストレートで小熊坂をロープに追い,鋭い踏み込みからの右ストレート,左フックを浴びせる。サウスポースタイルの小熊坂も右フックを振るが,パンチが届かない。
 2回,イーグルの左フックをかわして右に回り込もうとした小熊坂の顔面にワンツーがヒット。小熊坂は大きくのけぞり,跳ね飛ばされるようにダウン。3回以降もイーグルのペースは動かない。消極的な小熊坂はロープに下がり,攻勢をかけられるとクリンチ,ホールドの繰り返しで攻め手を自ら封じてしまった。
 5回終盤,小熊坂の左ストレートがヒットし,イーグルの膝が揺れる場面が見られたが,小熊坂の見せ場はこれだけ。6回,バッティングで小熊坂が左側頭部をカット。イーグルも小熊坂が乗って来ないため,ロープに詰めてプレッシャーをかけるものの,決定的なダメージを与えるには至らなかった。
 そして9回,小熊坂の左側頭部の傷が深く,中断。ドクターチェックの結果,試合続行不能でストップとなった。

 イーグルは終始積極的にプレッシャーをかけ,小熊坂につけ入る隙を与えなかった。小熊坂の消極戦法に詰めを欠いた点は不満が残るが,踏み込みの鋭さは相変わらず。常に右ストレートで先手を取るなど,サウスポーへの対処法も見事だった。右ストレート,フック主体にプレッシャーをかけるボクシングを大事にすること。
 せっかくの世界挑戦のチャンスを消極戦法で台無しにした小熊坂。挑戦者が手を出さなくては試合にならない。5回に左ストレートでイーグルをぐらつかせたのが唯一の見せ場で,他には何もさせてもらえず,完敗と言える。

8回を含む採点結果 イーグル 小熊坂
主審:浦谷信彰 *** ***
副審:金谷武明 80 71
副審:内田正一 80 73
副審:ゲーリー・リッター(米国) 80 71
参考:MAOMIE 79 74


     ○イーグル:13戦13勝(5KO)
     ●小熊坂:29戦20勝(9KO)6敗3分

     放送:テレビ東京
     解説:鬼塚勝也&星野敬太郎&辰吉丈一郎
     実況:久保田光彦

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                    2004年6月28日(月)    横浜アリーナ
                   日本スーパー・フライ級タイトルマッチ10回戦
                  挑戦者(同級2位)           チャンピオン
                ○  有永政幸   判 定   川端賢樹 ●
                       (大橋) 115 lbs             (姫路木村) 115 lbs

 初回,サウスポーの有永は低いガードから右ジャブを突く。川端は右ストレートを合わせ,両者探り合いからスタート。2回,川端が右ストレート,フックを上下に打ち分けてリードすれば,3回には逆に有永が軽快な動きから右フック,左ストレートで先手を取った。4回,流れを掴んだ有永は左フックのボディブローをヒット。川端はやや後手に回る。
 5回,左フックの空打で有永がバランスを崩したところに川端の右フックがヒットし,有永ダウン(カウント8)。ダメージはなかったが,再開後,川端がコンパクトな右フック,ストレートを巧打して有永を再三ぐらつかせた。有永も終盤に左フックのボディブローを決める。
 6回,川端の左ボディブロー,右アッパー,ストレート,ボディへの右フックがよく決まる。しかし,終盤,有永も反撃。右ジャブからのワンツー,左フックがヒットし,川端の動きが止まる場面が見られた。
 7回以降は有永が先手先手を取ってリードする。8回,有永は左右に細かく動き,機を見て右フック,左ストレートをヒット。川端は狙いすぎて手数が少なく,後手に回る。距離を詰めようとするが,その前に有永のパンチが飛ぶ。
 9回,川端も右フックのボディブロー,右ストレートで迫る。10回,互いに譲らぬ打ち合いが続く。

 悲願の王座奪取に成功した有永は変則的な動きを身上とするサウスポーのボクサーファイター。前後左右に小刻みに動き,機を見て放つ右フック,左ストレートが効果的だった。パンチ力はあるが,力に頼らず,先手を取って手数を多くしたことが勝因。
 一方,2度目の防衛に失敗した川端はパンチ力に頼って手数が少なく,そこを有永に先に攻められてしまった。もう少し手数を多くして上下に打ち分け,有永の動きを止めるべきだった。得意のインファイトに持ち込むための工夫が足りなかったことが敗因。

採点結果 有永 川端
主審:浅尾和信 *** ***
副審:杉山利夫 96 95
副審:安部和夫 96 97
副審:福地勇治 95 94
参考:MAOMIE 96 95


     ○有永:21戦17勝(8KO)3敗1分
     ●川端:30戦22勝(12KO)6敗2分

     放送:BSジャパン
     解説:鬼塚勝也&星野敬太郎
     実況:赤平 大

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