熱戦譜〜2004年5月の試合から


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試合日 試合 結果
2004.05.01  日本スーパー・フェザー級
 タイトルマッチ10回戦
 本望信人  判定  中川知則
2004.05.01 10回戦  ホルヘ・リナレス  判定  マイケル・ドミンゴ
2004.05.01 8回戦  矢代義光  判定  ローランド・ヘロンコ
2004.05.01 8回戦  粟生隆寛  TKO5R  北原久己
2004.05.01 6回戦  チャーリー・ナバロ  KO1R  ナンナム・キャットプラサンチャイ
2004.05.01  日本ミドル級
 タイトルマッチ10回戦
 荒木慶大  判定  保住直孝
2004.05.01 10回戦  竹中義則  KO3R  シンハシハム・アルサンハン
2004.05.01 10回戦  戎岡淳一  TKO9R  興梠貴之
2004.05.07 10回戦  コウジ有沢  判定  豊嶋耕志
10 2004.05.09 10回戦  エクトール・ベラスケス  引き分け  洲鎌栄一
11 2004.05.15 10回戦  福島 学  TKO10R  盧 旻燮
12 2004.05.15 8回戦  横山啓介  TKO6R  ソムヨット・ウォースラポン
13 2004.05.15 8回戦  戸田憲士  TKO2R  朝津伸悟
14 2004.05.15 6回戦  チャーリー・ナバロ  KO5R  ゴントラニー・ポー・スラサク
15 2004.05.16  WBA世界スーパー・フライ級
 暫定王座決定12回戦
 マーティン・カスティーヨ  TKO11R  石原英康
16 2004.05.17 10回戦  金田淳一朗  TKO5R  大中元気
17 2004.05.17 8回戦  嘉陽宗嗣  KO6R  後藤泰明
18 2004.05.22 8回戦  亀田興毅  KO1R  サミン・ツインズジム
19 2004.05.23  東洋太平洋バンタム級
 タイトルマッチ12回戦
 長谷川穂積  判定  ノラシン・キャットプラサンチャイ

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                         2004年5月1日(土)    後楽園ホール
                     日本スーパー・フェザー級タイトルマッチ10回戦
                     チャンピオン          挑戦者(同級10位)
             ○      本望信人    判 定   中川知則     ●
                (角海老宝石) 129 3/4 lbs             (進光)  130 lbs

                  WBA6位,WBC8位

 初回に波乱が待っていた。左に回りながら左ジャブを突いて積極的にチャンスを窺う中川。本望の左に合わせた中川の右クロスは空を切ったが,これを肘で払おうとした本望は足が滑ってキャンバスに落下。明らかなスリップダウンだったが,島川主審の判定はノックダウン。本望は予想外のビハインドを背負った。
 しかし,2回以降は本望が徐々に挽回して行く。やや焦りは見えるものの,左アッパーのボディブロー,ワンツーから左フックを浴びせる。3回,リズムを取ってかぶせるようにワンツーを放つが,いつものような左ジャブが出ず,距離感が今ひとつ。積極的だった中川は本望のカウンターを警戒したのか,4回以降は消極的になった。5回,バッティングで本望が左目上をカットして一時中断。本望はワンツー,左ボディブローを浴びせて優位に立つ。
 6回,本望は右フックからボディへの左アッパーをヒット。終盤にはワンツーを受けた中川は後退し,クリンチに逃れる。7回,本望の左目上からの出血で2度目の中断。9回,中川はようやく反撃の構えを見せたが,決め手を欠き,逆に本望のワンツー,左右フックの攻勢に見舞われる。10回,本望は入り際に中川の右フックを受けたが,終盤には中川をロープ際に追ってワンツー,左右フックの攻勢をかけて勝利を決定的なものにした。

 5度目の防衛に成功した本望だが,内容的には課題の多い試合となった。初回の不運なダウンに動揺したわけではないだろうが,いつものような速射砲のような左ジャブや,持ち味である縦横無尽のフットワークに乗せたコンビネーションブローが見られなかった。左が出ないために距離感が今ひとつで,かぶせるような右ストレートに頼って雑なボクシングになってしまったことは大いなる反省点である。
 自分の持ち味が機動力を生かしたボクシングであることを忘れないこと。速いフットワーク,絶妙のポジション取り,左ジャブによる緻密な組立・・・・・元来がパワーヒッターではないのだから,これらを軸にした自分のボクシングを踏み外してはならない。
 初挑戦の中川は左ジャブを突いてチャンスを窺い,右ストレート,フックにつなげるボクサーファイター。初回の”ダウン”が追い風になった面はあるが,本望の入り際に右フックを合わせるなど,善戦した。
 ただし,滑り出しは積極的なボクシングを見せたが,中盤から消極的になったことが惜しまれる。本望が本来のボクシングを見失いかけていただけに,中川がもう少しの勇気を持ってかき回していれば面白い展開になっていただろう。

採点結果 本望 中川
主審:島川威 *** ***
副審:浅尾和信 97 92
副審:山田一公 96 94
副審:内田正一 98 94
参考:MAOMIE 98 92


   ○本望:30戦24勝(5KO)4敗2分
   ●中川:18戦10勝(3KO)4敗4分

   放送:G+
   解説:ファイティング原田&浜田剛史
   実況:舟津宜史

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                 2004年5月1日(土)    後楽園ホール
                            10回戦
             WBA中南米S・バンタム級チャンピオン         比国S・バンタム級5位
            ○   ホルヘ・リナレス      判 定    マイケル・ドミンゴ  ●
               (帝拳) 124 3/4 lbs                   (比国)  124 lbs

                WBA11位,WBC11位

 身長で11cm上回るリナレスは初回,スピード十分の左ジャブからスタート。ドミンゴが右を空振りしてバランスを崩したところにリナレスが右をかぶせ,ドミンゴが倒れる場面があったが,これは明らかにスリップダウン。2回,リナレスは左に回って上下に左ジャブを突き,左右アッパーのボディブローからワンツーの速いコンビネーションを浴びせ,ドミンゴの堅いガードを崩しにかかる。
 4回以降もドミンゴのガードを崩そうとワンツー,左右アッパーをまとめるリナレス。しかし,ドミンゴはグラブで顔と腹をガッチリとガードしながら勇敢に前に出る。5回,リナレスはガードの隙を縫って右ストレート,右アッパーを決める。連打でようやくドミンゴのガードが割れるが,リナレスも後続打が出ない。
 ドミンゴもガードは堅いが自らのパンチも出ず,試合はほぼリナレスのワンサイドゲームとなる。しかし,9回にはフィニッシュできないリナレスに業を煮やした観衆から,逆に『ドミンゴ!ドミンゴ!』の大合唱が沸き起こるという珍現象が見られた。10回,思いも寄らぬ異国での声援に後押しされたドミンゴはますますハッスル。飛びかからんばかりにパンチを振ってリナレスに迫る。リナレスは最後までドミンゴの堅牢なガードと気迫十分のボクシングに手を焼いた。

 結果は圧勝だが,最後までガードの堅いドミンゴにフィニッシュを逸し,リナレスとしては消化不良の試合となった。ワンツー,ボディへの左右アッパーなどのまとめ打ちでガードを崩そうとする工夫は見られたが,もう少しフェイントを使うことも必要だった。
 世界を狙うためには,倒されまいとする相手もうまく料理しなければならない。そういう意味ではドミンゴのような難しい相手とフルラウンドを戦い抜いたことはリナレスにとって貴重な経験になったはず。この試合が”苦戦”と見られてしまうのもリナレスへの期待の裏返しである。この”苦戦”を糧として,さらなる精進を期待する。
 闘志あふれる試合ぶりで観客を大いに沸かせたドミンゴは非常に堅いガードを誇る。グラブで顔,前腕と肘でボディをガッチリとガードしながら果敢に前に出るファイタータイプ。ブロックだけでなく,リナレスの鋭い左ジャブ,ストレートをパリーするなどのうまさも見せた。

採点結果 リナレス ドミンゴ
主審:ウクリッド・サラサス *** ***
副審:島川威 100 93
副審:浅尾和信 100 90
副審:葛城明彦 100 93
参考:MAOMIE 100 93


   ○リナレス:9戦9勝(4KO)
   ●ドミンゴ:34戦19勝(9KO)12敗3分

   放送:G+
   解説:浜田剛史
   実況:寺島淳司

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                   2004年5月1日(土)    後楽園ホール
                            8回戦
               日本フェザー級(ノーランク)         比国S・バンタム級7位
             ○  矢代義光      判 定   ローランド・ヘロンコ  ●
               (帝拳)  125 1/4 lbs               (比国) 126 lbs


 無傷の11連勝をマークした矢代だが,大いに不満を残す試合内容となった。初回から右フックを振って頭から突っ込んで来るヘロンコ。矢代はサウスポースタイルから左アッパーをボディに打ち込む。終了間際には入ってくるヘロンコのアゴに右フックがカウンターになる。
 2回,矢代は左ストレートをカウンターでヒット。さらに左アッパーがボディに決まり,ヘロンコの動きが止まる。
 3回以降も単発ながら的確にヒットを重ねる矢代のペース。しかし,突っ込むヘロンコに対して自分からクリンチしてしまうなど,コンビネーションブローが出ない。7回,矢代は左ストレートのカウンターをヒットするが,そこから先が出ない。ますますラフになったヘロンコはスリップダウンした矢代にパンチを放ち減点された。8回,矢代は少々疲れが見え,手数が少ない。逆にヘロンコは最後まで気迫十分なところを見せた。

 矢代はラフなヘロンコを持て余し,自らクリンチしてしまうなど,少々腰が引けたところを見せてまった。右フックを振って入って来るヘロンコに対してクリンチしてしまい,せっかくのチャンスを自ら再三潰してしまったことは今夜の大いなる反省点である。せっかく相手が前に出て来てくれているのだから,右に回りこんで右フックあるいは左ストレートをカウンターするなどの対処法があったはず。
 矢代の左ストレート,右フックの切れ味は群を抜いている。天性のパンチを生かすも殺すも戦い方ひとつ。世界にはいろいろなタイプのボクサーがいる。今夜の試合は貴重な経験になると思う。
 ヘロンコは気迫十分の右ファイタータイプ。右フックを振り,思い切って打ち合いを挑む。

採点結果 矢代 ヘロンコ
主審:内田正一 *** ***
副審:島川威 80 73
副審:浅尾和信 80 72
副審:ウクリッド・サラサス 80 72
参考:MAOMIE 80 73


   ○矢代:11戦11勝(6KO)
   ●ヘロンコ:18戦13勝(5KO)4敗1分

   放送:G+
   解説:セレス小林
   実況:寺島淳司

※ 第7ラウンドの倒れている相手への加撃によるヘロンコの減点1を含む採点。

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                      2004年5月1日(土)    後楽園ホール
                               8回戦
               日本フェザー級(ノーランク)  T   K   O    日本フェザー級(ノーランク)
             ○   粟生隆寛      5回2分22秒      北原久己    ●
                (帝拳) 125 3/4 lbs                         (進光)  124 1/2 lbs


 高校6冠・粟生のプロ入り4戦目。初回からよく見てチャンスを窺い,ワンツーを放って北原をロープに詰める粟生。北原は下がりながら右のカウンターを狙うが,粟生のプレッシャーがきつい。
 2回,北原はロープ際に下がって入り際に右のカウンターを合わせるが,粟生は左ボディブローから上に左ストレートをヒット。粟生はKOを意識しているのか,少々狙い過ぎが感じられ,手数がやや少ない。
 5回,粟生が一気に勝負を決めた。左ストレートが見事なカウンターでヒットし,北原はたまらず腰から落ちてダウン。立ち上がったものの,粟生の詰めは鋭い。コーナーでワンツーの連打を浴びて力なくよろめいた北原を山田主審が救って試合終了。

 粟生はKOを意識したのか振りが大きく,やや単調なボクシングになったことが気になる。ロープを背にした北原に対して,右ジャブを軽く突いて見合う時間が長く,少々もたついた面も見せた。
 それでも22戦目というベテランの北原を相手にした初の8回戦という状況でもまったく物怖じしない度胸の良さや積極的な姿勢は大いに評価できる。最初にダウンを奪った左ストレートは北原の右の打ち終わりに合わせた見事なカウンターであり,並みの新人には打てないもので,非凡な才能を見せた。またダウンを奪った後に見せる一気の攻勢も持ち味である。
 今後はコンビネーション主体に捨てパンチを含めて手数を多くし,その中からチャンスを自分で作り出すボクシングを心掛けて欲しい。そういう意味では北原のようなしぶといベテランを相手に5ラウンドという適度な長さの試合を経験したことは大きなプラスになるはず。
 北原(34歳)はよく健闘したが最後は地力の差が出てしまった。それでも右フックのカウンターで最後まで食い下がったことは賞賛に値する。

4回までの採点 粟生 北原
主審:山田一公 *** ***
副審:葛城明彦 40 36
副審:ウクリッド・サラサス 40 36
副審:内田正一 40 36
参考:MAOMIE 40 36


     ○粟生:4戦4勝(4KO)
     ●北原:22戦8勝(6KO)14敗

     放送:G+
     解説:セレス小林
     実況:長谷川憲司

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                        2004年5月1日(土)    後楽園ホール
                                 6回戦
               ベネズエラ・ウェルター級(ノーランク)  K      O     タイ国S・ライト級7位
             ○  チャーリー・ナバロ       1回1分36秒   ナンナム・キャットプラサンチャイ  ●
                (帝拳) 145 1/4 lbs                            (タイ) 142 1/4 lbs


 アマで297勝12敗という実績を持つナバロが開始早々から重量感タップリの左フック,右ストレートを放ってプレッシャーをかける。1分過ぎ,左フックがテンプルを捉え,ナンナムはたまらずダウン。立ち上がったものの,左アッパーがボディを抉り,2度目のダウン。そのままカウントアウト。

 持ち前のパワーを存分に見せたナバロの圧勝。最初のダウンを奪ったのはナンナムの右の打ち終わりに合わせた左フック。2度目のダウンは上にパンチを集めてガードがガラ空きになったボディをすかさず左アッパーで抉ったもの。パワーだけでなく,打ち分けのテクニックも見せた。動きがぎこちなく,ややスピードに欠ける感じはするものの,今後が楽しみである。

     主審:浅尾和信,副審:葛城明彦&島川威&山田一公
     ○ナバロ:2戦2勝(2KO)     ●ナンナム:20戦9勝(3KO)11敗
     放送:G+     解説:なし     実況:長谷川憲司

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                 2004年5月1日(土)    大阪市中央体育館サブアリーナ
                     日本ミドル級タイトルマッチ10回戦
                  チャンピオン           挑戦者(同級1位)
              ○  荒木慶大     判 定    保住直孝    ●
                (泉北) 159 3/4 lbs             (ヨネクラ)  159 3/4 lbs

 今年のチャンピオンカーニバルの最後を飾る一戦。
 初回,左に回って保住の強打を避けながら左ジャブを突く荒木。保住は顔の前でガードを固めながらジリジリと距離を詰めるが,出バナに荒木がワンツー,左フックを浴びせて先手を取る。バッティングがあったと北村主審にアピールする保住だが,その間隙を突いてさらに荒木のワンツー,左フックが飛んだ。非常に冷静な荒木は2回以降も左に回りながら左ジャブを多用して保住の出バナを叩く。
 3回,保住は積極的に前に出て,荒木の左ジャブをブロックしながら左アッパーのボディブローから右ストレートをヒットして応戦する。4回にもボディ連打で迫る保住だが,逆にクロス気味の右ストレートでぐらつく。
 中盤以降は一進一退の攻防が続いた。6回,保住は荒木をロープに詰めるが,逆に左フックをカウンターされる。7回,保住は接近戦に活路を見出し,右ボディフックから右アッパーを放つが,荒木のワンツーを浴びる。疲れが見える荒木は足が止まるが,左ジャブはよく出る。
 終盤は両者ともに疲れが出て乱戦模様。荒木は足が止まるが,先に手を出して主導権だけは譲らず,ワンツー,左右フックを保住に浴びせた。

 荒木は2度目の防衛に成功。強打の保住に対して冷静さを失わず,動きながら左ジャブを多用し,常に先手先手で攻撃したことが勝因。終盤に疲れが出て,足が止まったが,常に先に手を出して決定的なリードを許さなかったことが勝利につながった。パンチ力は今ひとつだが,フットワークと持ち味の左ジャブを忘れないこと。強敵・保住を破ったことで,今後の新たな道が開けた。
 キャリアと実績で大きく上回っている保住だが,こちらは逆に左ジャブ,ストレートを忘れ,荒木との先手争いで打ち負けたことが響いた。荒木の足が止まった終盤は大きなチャンスだっただけに,序盤から左ジャブを出してボディ攻撃を仕掛けていれば違った展開になっていたはず。

採点結果 荒木 保住
主審:北村信行 *** ***
副審:上中一郎 98 94
副審:宮崎久利 98 92
副審:原田武男 98 94
参考:MAOMIE 98 94


   ○荒木:15戦14勝(7KO)1敗
   ●保住:28戦23勝(20KO)4敗1分

   放送:スカイA
   解説:村田英次郎
   実況:松原直樹

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                   2004年5月1日(土)    大阪市中央体育館サブアリーナ
                              10回戦
                日本ウェルター級3位    K      O   タイ国ウェルター級(ノーランク)
             ○   竹中義則      3回1分51秒   シンハシハム・アルサンハン ●
                (尼崎亀谷) 149 1/2 lbs                    (タイ)  149 1/4 lbs


 初回,ジリジリと距離を詰めて右クロスから左フックをヒットする竹中。アルハルサンは竹中の強打を警戒し,下がりながら様子を見る。2回,相手の力量を見切った竹中は右ストレート,ボディへの左アッパーを放って,ますますプレッシャーを強める。アルハルサンもようやく下がりながらワンツーを返すが,力がなく,竹中の右クロスをかぶせられた。
 そして3回,呆気なく勝負が決まる。左右で攻勢をかける竹中。後退するアルハルサンを右ストレートでぐらつかせた後,ロープに詰めて右クロスをヒット。左ストレートがフォローされて,アルハルサンはたまらずダウン。立ち上がったものの,右ボディフックに次ぐ右フックがヒットして2度目のダウン。そのままカウントアウト。

 竹中はパワー十分の右ファイタータイプ。右ストレート,左フック,ボディへの左アッパーなど,多彩なコンビネーションを持っている。ドッシリとした構えから相手の左に合わせて右クロスをかぶせるなど,なかなかのテクニシャンでもある。ただし,左ジャブ,ストレートが出ないことが難点。格下相手ならば今夜のボクシングで通じるが,上位を狙うには左ジャブ,ストレートを使って攻撃の突破口を開くことが必要。そうすればボクシングに幅ができるはず。

     主審:宮崎久利,副審:野田昌宏&原田武男&北村信行
     ○竹中:25戦20勝(18KO)4敗1分     ●アルサンハン:10戦5勝(3KO)4敗1分
     放送:スカイA     解説:村田英次郎     実況:藤崎健一郎

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                   2004年5月1日(土)    大阪市中央体育館サブアリーナ
                              10回戦
                日本ミニマム級6位   T   K   O    日本ミニマム級5位
           ○     戎岡淳一     9回1分13秒     興梠貴之    ●
               (明石) 107 3/4 lbs                      (グリーンツダ)  106 lbs

                 戎岡淳一=えびすおか・じゅんいち           興梠貴之=こおろぎ・たかゆき

 スピーディな中堅ランカー同士の対決。2回,戎岡の右ストレートがクロス気味にヒットして興梠早くも後退。リーチで優る戎岡は積極的に前に出て,伸びのいい左ジャブ,ストレートでプレッシャーをかける。3回,興梠の右から左のフックを食う戎岡だが,ひるまず前に出て激しいパンチの交換になる。終了間際,興梠をロープに詰めてワンツー,左フックを浴びせる戎岡。4回にもワンツーからの左フックで興梠がぐらつく。
 戎岡にとっての決定的なチャンスは6回。2分過ぎ,興梠の左の打ち終わりに右ストレートのカウンターがヒット。すかさず興梠をロープに詰めて,右ストレート,左フックを浴びせてラッシュ。しかし,戎岡も絶好のチャンスに振りが大きくなって詰め切れなかった。
 そして9回,戎岡が鮮やかな速攻で勝負を決めた。1分過ぎ,相打ちの左フックがアゴをかすめ,興梠の足がもつれる。チャンスと見た戎岡は一気に攻勢。右ストレート2発がヒットすると,興梠はたまらずロープ際に崩れるように沈む。原田主審がためらわずノーカウントでストップした。

 戎岡が鮮やかなTKOで元日本ライトフライ級王者の興梠を破った。常に先手を取り,積極的に自分から試合を作って行く姿勢は見ていて気持ちがいい。それが好結果を生んでいるものと考えられる。左ジャブ,ストレートを多用し,ワンツーあるいは左フック,接近すれば右アッパーも出るし,タイミングのいいカウンターもある。打ち終わりにガードが下がることとチャンスに振りが大きくなることが欠点か。これまでの勝率は高くないが,これらの課題を克服してもうひと皮剥ければタイトル獲得も夢ではない。
 敗れた興梠は戎岡の積極的な試合運びに押されて完敗となった。終始後手に回ったことが敗因である。キャリアでは上回っているだけに,自分から積極的に攻めて若い戎岡を攪乱すべきだった。

8回までの採点 戎岡 興梠
主審:原田武夫 *** ***
副審:大黒利明 78 75
副審:上中一郎 79 73
副審:野田昌宏 80 71
参考:MAOMIE 80 75


     ○戎岡:20戦11勝(4KO)7敗2分
     ●興梠:19戦13勝(4KO)4敗2分

     放送:スカイA
     解説:なし
     実況:松原宏樹

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                   2004年5月7日(金)    後楽園ホール
                              10回戦
               日本スーパー・フェザー級6位           日本同級(ノーランク)
             ○   コウジ有沢       判 定     豊嶋耕志    ●
                (草加有沢) 132 1/4 lbs               (ファイティング原田) 131 3/4 lbs

 サウスポーの豊嶋に対し,ジリジリと距離を詰めてプレッシャーをかける有沢。2回,豊嶋も左ストレートをヒットするが,有沢は構わずワンツー,ボディブローを放つ。
 3回30秒過ぎ,豊嶋の左ストレートを食って動きが止まった有沢は左ストレート,右フックをまとめられて防戦に回る。有沢も猛然と反撃するが,逆に貝のようにガードを固めていた豊嶋が再度攻勢に転じると有沢がふらつく場面も見られた。
 4回以降は再び有沢がボディブローを織り交ぜた執拗な攻撃で押して行った。5回,豊嶋の左ストレートからの右フックでマウスピースを飛ばされた有沢だが,すぐに執拗な左右連打で豊嶋を防戦に追い込む。中盤以降もときおり豊嶋の左ストレート,右フックを食いながらも有沢が押して行った。
 6回,有沢が右目上,豊嶋が左目上をカットし,両者ともに流血を見る。有沢は全盛時のスピードはないが,執拗な左右連打で豊嶋を追い込む。豊嶋はときおりいいパンチを返すが,防戦一方に回る場面が多い。7回終了間際,有沢の左フックがカウンター気味にヒット。
 終盤も有沢が攻勢。9回,豊嶋の左ストレート,右フックで有沢もぐらつくが,なりふり構わぬ有沢の反撃に,ボディブローが効いた豊嶋はロープを背にウィービング,ダッキングでかわすのが精一杯。10回にも両者が死力を振り絞っての壮絶な打ち合いが続いた。

 激しい打ち合いを制した有沢だが,往年のスピードもパンチの切れもなく,さすがに衰えは隠せなかった。何よりも足の動きが鈍ったことが目立つ。日本王者として連続KO防衛の快進撃を見せていた全盛時には,軽快な足の動きがパンチに破壊力を与えていたものである。いつでもどんな相手にでも全力投球する姿勢には頭が下がる思いだが,気持ちは前に出ているものの,足がついて行かず,出すパンチに以前のような威力がまったく感じられなかった。かつてはタフネスで鳴らしたが,相手のちょっとしたパンチでぐらつくなど,打たれモロくなったという感じを受けた。
 豊嶋はサウスポーのボクサーファイターで比較的基本に忠実なボクシングをする。右ジャブを突き,中間距離からカウンター気味に放つ左ストレート,右フックを武器としている。しかし,今夜は有沢が攻勢に出ると防戦一方に回ってしまい,非常に印象を悪くした。その辺が今後の課題。

採点結果 有沢 豊嶋
主審:浦谷信彰 *** ***
副審:吉田和敏 99 95
副審:葛城明彦 99 94
副審:福地勇治 97 96
参考:MAOMIE 99 94


   ○有沢:36戦31勝(22KO)3敗2分
   ●豊嶋:25戦15勝(7KO)9敗1分

   放送:TBS
   解説:畑山隆則&竹原慎二
   実況:新夕悦男

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                   2004年5月9日(日)    尼崎アルカイックホール
                              10回戦
                WBC世界フェザー級12位            日本フェザー級3位
            ×   エクトール・ベラスケス   引き分け    洲鎌栄一    ×
                  (メキシコ) 126 lbs                  (尼崎) 125 3/4 lbs


 5回までは完全にベラスケスのペースで進んだ。2回以降,ベラスケスはマスボクシングでもしているようなリラックスした姿勢から力を抜いたワンツー,ボディへの左アッパーをコツコツと当てに来る。洲鎌は正面に立ってしまい,後手に回ったこともあって,ベラスケスの多彩なコンビネーションに苦しんだ。4回,足を止めての打ち合いになるが,ベラスケスの右フック,左アッパーを受け,洲鎌の動きが止まる場面も見られた。
 劣勢で迎えた6回,洲鎌が反撃を見せた。もみ合いから右ストレートをヒットし,ベラスケスをぐらつかせて攻勢に転じる。洲鎌はさらに右ストレート,左フックを浴びせ,やや強引とも思える攻撃で試合の流れを引き寄せた。洲鎌は7回にもいきなりの左フックでベラスケスをロープに追い込む。ベラスケスは動きが鈍り,洲鎌の逆転に期待がかかる。
 しかし,洲鎌も8回以降は疲れが出てしまい,先手を取れない。9回には頭をつけて必死にベラスケスをロープに押し込むが,逆に左右アッパーを受ける場面が見られた。10回,左目がふさがった洲鎌は必死に体を預けるが,パンチにならず,攻め切れなかった。

 ベテランの世界ランカーを迎えて果敢に世界ランク入りを狙った洲鎌。その勇気は賞賛に値する。6回から積極的に手を出して流れを変えかけたが,前半の失点が響いた。ベラスケスはうまいがスピードに欠けるので,洲鎌が前半からストレート系のパンチで先手先手で攻めていれば,もっと楽に戦えたはず。
 正面に立ってパンチが出なくては,うまさのあるベラスケスの思うツボ。横の動きを取り入れ,前半から積極的に攻めていればと悔やまれる。
 ベラスケスは力を抜いたコンビネーションブローを多彩な角度から上下に打ち分ける右ボクサーファイターである。ベタ足に近く,動きにもパンチにもスピードは感じられない。攻めているときはいいが,守勢に回ると弱い面も見せた。しかし,相手のガードの空いている所に角度を変えたパンチを狙い打ちするなど,”当てるコツ”を心得ているテクニシャンである。

採点結果 ベラスケス 洲鎌
主審:原田武男 *** ***
副審:宮崎久利 95 95
副審:大黒利明 97 93
副審:安田裕候 95 95
参考:MAOMIE 98 95


   ×ベラスケス:50戦37勝(27KO)10敗2分1無効試合
   ×洲鎌:30戦26勝(19KO)3敗1分

   放送:読売テレビ
   解説:六車卓也&辰吉丈一郎
   実況:野村明大

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                      2004年5月15日(土)    後楽園ホール
                               10回戦
              WBC世界バンタム級10位   T   K   O    韓国スーパー・フライ級3位
             ○  福島 学       10回1分51秒      盧 旻燮     ●
              (JBスポーツ) 120 lbs                             (韓国) 120 lbs

                                            盧 旻燮 = ノ・ホスプ

 初回,積極的な福島は小刻みでリラックスした動きから接近して左右フック,アッパーを放つ。2回には接近戦で盧に左右フックのボディブローを許すが,3回以降は単発ながら,ボディへの左右アッパーを決めて優位に立つ。盧は早くも鼻血を流す。
 4回,盧が鼻血で苦しそうと見るや福島は接近してボディブローを多用し,さらに右ストレートを浴びせる。盧はクリンチに逃れる場面が目立つようになった。終盤には右アッパーからの左フックもヒット。盧の動きが鈍くなり,試合は一方的となった。
 6回1分過ぎ,福島は体を沈めてオーバーハンドの右フックをヒット。7回には盧は有効打で左目上をカットし,ますます苦しくなった。8回,福島の右ストレートがボディに突き刺さり,盧は上体を海老のように折り曲げて苦しそう。
 そして迎えた10回にフィニッシュが訪れた。福島の左フックを受けてクリンチに出る盧。ダメージが蓄積し,完全に動きが鈍る。細かいパンチの連打に次ぐ右アッパーがヒットしたところで,ついに浅尾主審がストップした。

 川嶋勝重(大橋)が倒せなかったタフでガードの堅い盧を福島がTKOに仕留めたのは立派。細かい左右フック,アッパーの上下への打ち分けが光る。終盤には意表を突く右ストレートのボディブローを狙い打ちしたことも盧の戦意を削ぐのに効果的だった。
 120ポンドというウェイトはバンタム級への進出も視野に入れてのものだと思うが,今夜の動きを見る限りはウェイト面の心配もなさそう。今後は左ジャブをもっと多用し,手数を多くすることを心掛けるべき。くれぐれも相手の正面に立つ悪い癖だけは要注意である。
 盧は精彩を欠き,粘りが今ひとつ。川嶋戦で見せたガードの堅さもなく,福島の上下への打ち分けに屈した。

9回までの採点 福島
主審:浅尾和信 *** ***
副審:住吉栄一 90 72
副審:館秀男 90 72
副審:ウクリッド・サラサス 90 72
参考:MAOMIE 89 82


     ○福島:34戦26勝(18KO)6敗2分
     ●盧:13戦6勝(2KO)6敗1分

     放送:G+
     解説:葛西裕一
     実況:高橋雄一

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                  2004年5月15日(土)    後楽園ホール
                              10回戦
                日本フライ級(ノーランク)   T  K O     タイ国ライトフライ級3位
             ○  横山啓介       6回45秒    ソムヨット・ウォースラポン  ●
               (JBスポーツ) 112 lbs                       (タイ) 112 lbs


 初回から積極的に距離を詰める横山。上への右フックは大きいが,ボディへの左アッパーを多用してソムヨットにプレッシャーをかける。ソムヨットもときおり打ち返すが,3回終盤,ロープ際で横山の右フックを受け,右膝をついてしまう。これは明らかにノックダウンだったが,死角に入ったためか,サラサスの判定はスリップダウン。
 4・5回,ソムヨットはロープを背に唸り声を発しながら左右アッパーを返すが,横山のボディ攻撃が効き,動きが鈍る。
 6回開始早々,ロープを背にしたソムヨットのボディに左アッパーが決まり,たまらずダウン。立ち上がったものの,横山が攻勢に出たところでサラサス主審がストップした。

 3年ぶりのうれしいTKO勝利となった横山。スピードには欠けるが,積極的なボクシングでソムヨットを圧倒した。上への右フックは大きいが,そこから返すボディへの左アッパーが効果的だった。
 まだ28歳。老け込むのは早過ぎる。今後は大きいパンチに頼らず,もう少し細かく手数を出してボクシングを組み立てるのがいいだろう。
 ソムヨットはパンチ力はないが,よく手数が出る。左右アッパーを得意としている。

5回までの採点 横山 ソムヨット
主審:ウクリッド・サラサス *** ***
副審:熊崎広大 49 48
副審:館秀男 49 46
副審:杉山利夫 49 47
参考:MAOMIE 50 46


     ○横山:33戦19勝(11KO)12敗2分
     ●ソムヨット:13戦9勝(2KO)4敗

     放送:G+
     解説:なし
     実況:羽鳥慎一

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                     2004年5月15日(土)    後楽園ホール
                               8回戦
               日本S・ウェルター級(ノーランク)  T  K O   日本S・ウェルター級(ノーランク)     
             ○   戸田憲士        2回58秒      朝津伸悟    ●
               (ワタナベ) 153 1/4 lbs                        (風間) 154 lbs


 ガッシリした体躯の戸田が初回から長身の朝津を圧倒した。小刻みな動きから積極的に仕掛ける戸田。テンポよく攻め込まれた朝津は早くも腰が引ける。2回30秒過ぎ,戸田は右フックでぐらつかせ,一気に勝負に出て,棒立ちになった朝津になおも左右フックを浴びせる。右フックで朝津がよろめいたところで杉山主審がストップした。

 パワーで優る戸田の圧勝。ガッシリとした典型的な右ファイタータイプである。気迫とパワーを前面に押し出してテンポよく攻める。ガードの甘さは目立つが,あまりいじると長所が消えてしまうので,このままのスタイルを通した方がいいだろう。
 長身の朝津もよく応戦したが,パワーで優る戸田に先手を取られて腰が引けてしまっては勝負にならない。

     主審:杉山利夫,副審:熊崎広大&住吉栄一&浅尾和信
     ○戸田:28戦18勝(9KO)7敗3分     ●朝津:17戦5勝(4KO)10敗2分
     放送:G+     解説:葛西裕一     実況:羽鳥慎一

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                       2004年5月15日(土)    後楽園ホール
                                 6回戦
             ベネズエラ・ウェルター級(ノーランク)   K      O     タイ国ライト級チャンピオン
             ○  チャーリー・ナバロ      5回2分20秒    ゴントラニー・ポー・スラサク  ●
               (ベネズエラ) 145 lbs                      (タイ) 142 lbs


 初回からパワーで優るナバロのペース。やや広いスタンスから,重い右ストレート,左フックあるいはボディへの左右フックで攻勢。やや力任せという感じもしたが,迫力十分の右ストレート,左フックで積極的にプレッシャーをかけるナバロ。
 フィニッシュは5回。2分過ぎ,右クロスに次ぐ左アッパーがボディを抉るとゴントラニーはたまらずダウン。そのままカウントアウトされた。

 帝拳の契約選手ナバロの来日第2戦。第1戦からわずか2週間後という異例のマッチメークであるが,今夜は変則的でしぶといナバロに手を焼いた。破壊力はあるものの,ややスピードに欠け,力に頼る場面が目立つ。攻撃するときに相手の正面に立ってしまい,ガードが甘くなる点も矯正する必要があろう。

     主審:熊崎広大,副審:住吉栄一&館秀男&ウクリッド・サラサス
     ○ナバロ:3戦3勝(3KO)     ●ゴントラニー:17戦9勝(7KO)8敗
     放送:G+     解説:なし     実況:田中 毅

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                      2004年5月16日(日)    岐阜メモリアルセンター
                     WBA世界スーパー・フライ級暫定王座決定12回戦
                 WBA世界同級1位    T   K   O    WBA世界同級7位
             ○  マーティン・カスティーヨ   11回2分41秒     石原英康   ●
                 (メキシコ) 114 3/4 lbs                          (松田) 115 lbs


 初回開始早々,左ストレートを放って先制攻撃を仕掛ける石原だが,カスティーヨは鋭いワンツー,左から右のボディ打ちを見せる。カスティーヨは滑らかな足の動きに乗せ,ボディへの左アッパーなどの的確なコンビネーションを放つ。
 3回,石原は左ストレート,右フックを浴びせてカスティーヨにロープを背負わせたが,4回には攻勢に出た石原をカスティーヨがワンツー,左ボディ打ちで迎撃。さらに回り込んで左右のボディブロー,中間距離からのワンツーを浴びせる。左フックを受け,石原の動きが止まる場面も見られた。
 序盤戦はカスティーヨがややリードしたが,5回以降,石原が動きの鈍ったカスティーヨに得意の左ストレート,左フックを浴びせて挽回した。6回,コーナーに詰まったカスティーヨは石原の左ストレートでぐらつく。石原は動きが鈍ったカスティーヨをロープに押し込み,左右フックを浴びせる。7回にも石原の左ストレート,ボディへの左アッパーが決まる。
 カスティーヨは8回,ワンツー,ボディブローを放つが,10回は再び石原のペース。終盤,右から左のフックでカスティーヨはロープを背にする。
 ともに疲れが見えるが,消耗度はカスティーヨの方が激しい。しかし,石原リードで迎えた11回,思わぬ落とし穴が用意されていた。石原は押し込んで行くが,ロープを背にしたカスティーヨに追い打ちしようと不用意に出た瞬間,右ストレートのカウンターがアゴにヒット。この1発で石原は腰から落ち,大の字にダウン。立ち上がろうとしたが,もはや戦える状態ではなく,カウントの途中でプラヤドサブ主審がストップした。

 10回までの採点では石原がリードしていただけに,痛恨のTKO負けとなった。石原は序盤戦こそカスティーヨの多彩なコンビネーションに苦しんだが,中盤から動きが鈍ったカスティーヨに左ストレートを浴びせて優位に立った。しかし,せっかくのチャンスに力んで大振りになってしまったことが惜しまれる。もう少し小さいパンチをまとめていれば,カスティーヨの失速ぶりから,終盤にKOチャンスもあっただろう。終わって見れば,試合前から指摘されていたガードの甘さを突かれて,絶妙のタイミングでカウンターをもらい,泣くに泣けない結果となった。
 カスティーヨは滑らかなフットワークに乗せて放つ,多彩なコンビネーションブローが身上。正規王者アレクサンデル・ムニョス(ベネズエラ)の負傷により,急遽代役での出場が決まったことによる調整不足のためか,中盤から失速したが,勝負を決めた右カウンターはロープを背に相手の一瞬の隙を突いたものであり,その勝負勘は見事の一語に尽きる。

10回までの採点 カスティーヨ 石原
主審:ピニット・プラヤドサブ(タイ) *** ***
副審:オベ・オベセン(デンマーク) 93 97
副審:ヘンク・メイヤース(オランダ) 94 96
副審:フェルディナンド・エストレラ(比国) 97 93
参考:MAOMIE 95 96


   ○カスティーヨ:27戦26勝(16KO)1敗
   ●石原:19戦15勝(11KO)3敗1分

   放送:東海テレビ
   解説:川島郭志
   実況:吉村 功

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                      2004年5月17日(月)    後楽園ホール
                               10回戦
                日本ミニマム級3位     T   K  O    WBA世界ミニマム級10位
             ○  金田淳一朗     5回1分40秒     大中元気     ●
               (白井・具志堅) 105 lbs                      (新日本徳山) 105 lbs


 身長155cmという小柄な金田は初回から小刻みに上体を振って左フックをボディからアゴにヒット。早くも大中をロープに詰めて右アッパーの連打から左フックをフォローする。サウスポーの大中は左ストレートで応戦するが,アゴが上がってしまう。2回には金田はますます快調に飛ばした。ボディ連打を浴びせ,離れ際の右フックで大中をのけぞらせる場面も見せた。終了間際にも右ストレートがヒットし,大中がロープに飛ばされる。
 3回,金田がボディ連打から右ストレート,左フックを浴びせると大中はクリンチに逃れる。金田は攻撃の手を緩めず,終盤に右ストレートでよろめかせると,ロープを背にした大中に怒涛の攻勢に出て一気にスタンディングカウントを奪った。4回にも金田のワンツー,左右フックの連打を浴びた大中はタジタジの様子で,どちらが世界ランカーかわからない試合となる。
 そして5回,金田が一気に勝負を決めた。大中が左アッパーを打とうとしてガードが下がった瞬間,金田の左フックがカウンター気味にアゴを捉え,大中はグラリ。ロープを背にした大中は左右の連打から右フックを打ち込まれ,コーナーで腰から落ちてダウン。立ち上がったものの,金田の連打に晒されたところで安部主審がストップした。

 新鋭・金田の会心の勝利。よく手数を出し,自分から積極的に試合を作って行く姿勢が奏効した。得意の連打で世界ランカーの大中を圧倒した堂々たるTKO勝ちである。連打の回転がよく,カウンター気味のパンチは威力も十分。小柄だが,上体を小刻みに動かし,チャンスを作って行くタイプ。
 金田のような小柄なファイターにとっては,かつて2度来日したWBA世界フライ級王者グティ・エスパダス(メキシコ)が絶好のお手本になるだろう。エスパダスのように,左右に揺さぶりをかけながら,逃げ道を塞ぐように相手との距離を鋭く詰めて,上下への連打で圧倒していくボクシングを身につけて欲しい。明確なスタイルを築いて経験を積めば将来が楽しみ。ひと皮もふた皮も剥ければ,必ず伸びる選手である。ぜひ大事に育てて欲しい。
 大中は世界10位,前東洋太平洋王者という触れ込みだったが,格下であるはずの金田の速攻に圧倒され,いいところなく敗れた。167cmというこのクラスとしては長身のサウスポーで,左ストレートを武器としている。しかし,パンチを打つときにアゴが上がる悪い癖がある。今夜もガードの甘さを突かれ,金田のカウンター気味のパンチに何度もぐらつく場面が見られた。

     主審:安部和夫,副審:鮫島英一郎&ビニー・マーチン&金谷武明
     ○金田:10戦9勝(6KO)1敗     ●大中:18戦13勝(6KO)4敗1分
     放送:TBS     解説:畑山隆則&竹原慎二     実況:新夕悦男

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                   2004年5月17日(月)    後楽園ホール
                              8回戦
               日本ライトフライ級1位   K      O   日本フライ級(ノーランク)  
             ○   嘉陽宗嗣     6回2分40秒     後藤泰明  ●
              (白井・具志堅) 107 1/4 lbs                  (ワタナベ) 113 1/2 lbs


 サウスポー同士の対戦。
 6回,飛び込んで左ストレート,右フックを放つ後藤だが,無敗のホープ嘉陽は冷静にこれを見極め,左ストレート,右フック,ボディへの右アッパーで応戦。後藤の左アッパーに嘉陽が左フックを合わせると,これがクリーンヒットし,後藤はたまらずダウン。立ち上がったものの,タオルが投入された。

 嘉陽は非常に勘がよく,冷静なサウスポーの新鋭。フィニッシュとなった左フックは見事なカウンター。足はあまり使わないが,ステップインあるいは横への動きを加えて,もっと足を有効に使えるようになれば,今後が楽しみ。

5回までの採点 嘉陽 後藤
主審:島川威 *** ***
副審:安部和夫 50 47
副審:染谷路朗 47 48
副審:金谷武明 49 47
参考:MAOMIE


     ○嘉陽:10戦10勝(5KO)
     ●後藤:4戦1勝(0KO)2敗1分

     放送:TBS
     解説:畑山隆則&竹原慎二
     実況:藤森祥平

※ 第6ラウンドのみを放送。

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                 2004年5月22日(土)    大阪府立体育会館第2競技場
                              8回戦
               日本フライ級(ノーランク)   K      O   タイ国フライ級(ノーランク)  
             ○  亀田興毅      1回1分48秒    サミン・ツインズジム  ●
              (グリーンツダ) 111 3/4 lbs                    (タイ) 111 1/4 lbs


 開始早々から思い切った左ストレート,右フックを浴びせて攻勢に出る亀田。サミンも応戦するが,亀田が右アッパーのボディブローから右フックをアゴに返すとサミンはたまらずダウン。そのままカウントアウト。

 話題の新鋭・亀田はこれでデビュー以来3連続KO勝ち。相変わらずの思い切った攻撃である。スピードがあり,踏み込みが良い。不躾とも思えるコメントに眉をひそめるファンも多いが,元気があることが取り柄。ディフェンス面には不安が残る。

     ○亀田:3戦3勝(3KO)     ●サミン:8戦2勝(1KO)6敗
     放送:TBS     解説:畑山隆則&竹原慎二     実況:新夕悦男

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                 2004年5月23日(日)   神戸サンボーホール
                   東洋太平洋バンタム級タイトルマッチ12回戦
                チャンピオン              挑戦者(同級6位)
             ○ 長谷川穂積   判 定   ノラシン・キャットプラサンチャイ  ●
               (千里馬神戸)  118 lbs           (タイ) 118 lbs

                WBC4位

 互いに手数が少なく,静かなスタートとなった。2回,手を出さない両者に金主審がもっと打ち合うように命じると,長谷川がようやく攻勢に出て,左ストレートでノラシンをロープに追う。ガードを固めるノラシンだが,長谷川は下を打ってガードを下げさせ,左フックを顔面にヒット。
 4回,長谷川はワンツーをヒットし,ノラシンをロープに詰め,左ストレートをボディに放つ。5回,長谷川は左ストレート,ボディへの右フックで迫るが,攻撃が単調でノラシンを崩せない。7回,長谷川の左フックに場内が沸くが,これはノラシンのスウェイバックに殺され,見た目ほどのダメージは与えられない。長谷川は一気にノラシンをロープに詰めてワンツー,左右フックを浴びせる。
 しかし,8・9回はノラシンもよく伸びる右ストレートを決める。長谷川はますます動きが単調になる。
 12回終盤,長谷川は攻勢に出るが,大振りで雑な攻撃になり,ついにノラシンを詰め切れなかった。

 3度目の防衛に成功した長谷川だが,試合内容は褒められない。相変わらず攻防ともに直線的で,横への動きや横からの攻撃が見られず,単調なボクシングに終始した。それが拙戦の原因である。
 これでは世界には通用しない。スピードもパンチの切れもあるだから,もっと左右に回り込んで揺さぶりをかけたり,出入りを激しくするなどの”変化”が欲しい。今のままで世界戦をやっても,動きを読まれ軽くあしらわれるのが目に見えている。もう一度出直しが必要。
 長谷川のポテンシャルを認めているからこそ,ファンの要求も厳しくなる。課題を整理し,次の試合で克服するように精進を期待する。
 ノラシンはややアップライトスタイルに構え,変則的なボクシングを見せる。よく伸びる右ストレートが武器。上体が柔らかく,なかなかディフェンスの勘がいいので,相手にとってはやりにくい。

採点結果 長谷川 ノラシン
主審:キム・ジェボン(韓国) 117 113
副審:宮崎久利(日本) 118 111
副審:シンチャイ・ゴンラボック(タイ) 115 113
参考:MAOMIE 118 115

   ○長谷川:18戦16勝(5KO)2敗
   ●ノラシン:15戦6勝(4KO)8敗1分

   放送:スカイA
   解説:村田英次郎
   実況:松原宏樹

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