熱戦譜〜2003年11月の試合から


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試合日 試合 結果
2003.11.01  東洋太平洋ミドル級
 タイトルマッチ12回戦
 サム・ソリマン  判定  鈴木 悟
2003.11.01 8回戦  松橋拓二  KO6R  神名健一郎
2003.11.01 8回戦  雄二ゴメス  KO1R  トーンジャルン・マハサプコンドー
2003.11.09  東洋太平洋バンタム級
 タイトルマッチ12回戦
 長谷川穂積  TKO10R  アルビン・フェリシルダ
2003.11.15  日本スーパー・バンタム級
 タイトルマッチ10回戦
 中島吉謙  KO10R  金井彰廣
2003.11.15 10回戦  湯場忠志  KO1R  陳 京哲

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                 2003年11月1日(土)    後楽園ホール
                 東洋太平洋ミドル級タイトルマッチ12回戦
                チャンピオン            挑戦者(前日本同級チャンピオン)
             ○ サム・ソリマン    判 定    鈴木 悟         ●
              (豪州) 159 1/2 lbs           (八王子中屋) 159 3/4 lbs

                  WBC10位

 日本王座陥落からの再起戦が東洋王座への挑戦という鈴木だが,いいところが全然なく完敗を喫した。ソリマンは初防衛に成功。
 鈴木は立ち上がりからスピードがなく,動きが鈍い。試合はソリマンのワンサイドゲームとなった。ソリマンは変則的な動きで鈴木を攪乱し,機を見て右フック,アッパーを放つ。足が動かず,手も出ない鈴木はソリマンの動きに付いて行けない。鈴木もときおり右ストレートをヒットするが,後続打がなく,常にソリマンに先手を取られる苦しい展開。
 9回,ソリマンはヘディングで減点されるが,構わず変則的なボクシングで鈴木を翻弄する。終了間際に左右フックで攻勢。鈴木はコーナーからロープに逃れ,ゴングに救われる。11回には防戦一方でまったくいいところがない鈴木。ソリマンの左アッパーが低く入り,鈴木は倒れ込んで一時中断。最後まで,KO負けを回避するのがやっとだった。

 見るべきものがまったくない凡戦。終盤には観客の一部がゾロゾロと帰り始め,タイトルマッチとしては非常にお寒い試合となった。
 変則的なソリマンが相手とは言え,真面目に練習していたのか疑問が湧くほど鈴木の動きは悪く,不甲斐ない試合ぶりだった。ソリマンに決め手があったら,間違いなく倒されていただろう。よほど考え方を改め,真剣に取り組まないと今後はない。
 ソリマンは変則的なファイタータイプ。パンチ力に欠けるが,変則的な動きで相手を攪乱し,相手の打ち気が途切れた隙間に右フック,アッパーを放つなどのうまさを見せたが,このクラスの世界10位という肩書きの割りには少々お粗末。

採点結果 ソリマン 鈴木
主審:デビッド・チュン(韓国) 119 108
副審:ガス・メルキュリオ(比国) 119 107
副審:内田正一 119 109
参考:MAOMIE 119 109

     ○ソリマン:28戦20勝(4KO)8敗
     ●鈴木:25戦20勝(13KO)5敗

     放送:G+
     解説:ファイティング原田&浜田剛史
     実況:舟津宜史

※ 第9ラウンドのヘディングによるソリマンの減点1を含む採点。

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                        2003年11月1日(土)    後楽園ホール
                               8回戦
                日本S・ウェルター級3位   K      O   日本S・ウェルター級(ノーランク)
              ○   松橋拓二     6回2分36秒    神名健一郎   ●
                  (帝拳) 154 lbs                        (姫路木下) 154 lbs

                                         神名健一郎=しんめい・けんいちろう

 重量級のホープ松橋が,しぶとい神名をKOで仕留めた。
 顔の前でしっかりガードを固める神名に対し,サウスポーの松橋は軽く右を突き,接近して左アッパーをボディにヒットする。松橋は神名のガードの上からワンツー,ボディ連打で攻勢に出るが,なかなか崩せない。3回,逆に神名がワンツーの連打で攻勢に出る。しかし,松橋は落ち着いて左フックでチャンスを掴み,左アッパーを上下に連発して神名をダウン寸前に追い込んだ。
 タフでカードが固い神名だが,松橋のボディ攻撃が奏効し,徐々に動きが鈍くなり,固かったカードも下がり気味になった。そして迎えた6回,松橋は神名をロープに詰め,一気に勝負を賭ける。左右アッパーのボディ打ちから左ストレート,右フックの連打で,ついに神名は両膝をついてダウン。同時にタオルが舞った。

 松橋はタフでカードが固い神名にてこずったが,得意のボディブローで活路を見出し,ガードを下げさせてから一気に勝負を賭けた点は評価できる。以前のような力任せの大振りが少なく,コンパクトに打っていた点にも進歩の痕跡が見られた。しかし,まだまだ接近してから打とうとしているのが気になる。これから上位を狙うには接近してから打とうとしても通用しない。今後はもっと右ジャブ,フックを多用し,フェイントも織り交ぜた幅のある攻撃を身に付けて欲しい。東洋&日本二冠の王者・金山俊治(ヨネクラ)がリングサイドで観戦していたが,今夜のボクシングではまだまだ金山には勝てないだろう。今夜の勝利に慢心することなく,更なる精進を望む。
 健闘した神名は右のボクサーファイター。顔の前でしっかりガードを固め,相手がひるむとすかさず右ストレート,左フックで攻勢に出る。タフな上に,見かけによらず,なかなか器用な面がある。

5回までの採点 松橋 神名
主審:ウクリッド・サラサス *** ***
副審:鮫島英一郎 50 46
副審:浦谷信彰 50 45
副審:葛城明彦 50 47
参考:MAOMIE 50 45


     ○松橋:6戦5勝(5KO)1敗
     ●神名:20戦6勝(3KO)11敗3分

     放送:G+
     解説:浜田剛史
     実況:村山喜彦

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                     2003年11月1日(土)    後楽園ホール
                              8回戦
                日本フェザー級4位    K      O    タイ国フェザー級3位
              ○  雄二ゴメス    1回1分50秒   トーンジャルン・マハサプコンドー  ●
                (八王子中屋) 123 lbs                      (タイ) 123 1/2 lbs


 ゴメスがわずか110秒で圧勝した。
 開始ゴングと同時にゆっくり前に出て,ボディへの左ストレートを多用するゴメス。右ストレートをヒット。接近して左フックをダブルで打ち込むと,トーンジャルンをロープに詰めて一気に猛攻。ボディへの左右フックを受け,トーンジャルンは苦悶の表情を浮かべてダウン。そのまま立ち上がれなかった。

 ゴメスはいつもよりは大振りが少なく,落ち着いたボクシングを見せた。よく動き,相手の動向を見てボディに左ストレートを丹念に突くなど,”ニュー・ゴメス”をアピールするような試合運びを見せた。スーパー・バンタム級への転向を睨み,123ポンドというウェイトで登場したゴメス。若干筋肉が落ちた印象を受けるが,パワーは健在。群雄割拠のスーパー・バンタム級に新しい台風の目が現れた。
 敗れたトーンジャルンはどんなタイプか見極める前に沈んでしまった。少々不甲斐ない試合ぶりとなった。

     主審:内田正一,副審:ウクリッド・サラサス&浦谷信彰&葛城明彦
     ○ゴメス:22戦19勝(18KO)3敗     ●トーンジャルン:19戦9勝(1KO)10敗
     放送:G+     解説:セレス小林     実況:長谷川憲司

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                    2003年11月9日(日)   神戸サンボーホール
                     東洋太平洋バンタム級タイトルマッチ12回戦
                  チャンピオン      T   K   O    挑戦者(同級1位)
            ○   長谷川穂積    10回1分20秒   アルビン・フェリシルダ   ●
             
   (千里馬神戸) 118 lbs                      (比国) 115 3/4 lbs

 注目の新鋭・長谷川がTKOで2度目の防衛を飾った。
 サウスポーの長谷川はじっくり見て,左ストレートをヒット。ボディへの左も決まって好調な滑り出し。フェリシルダも右ストレートを振って積極的に仕掛け,好試合となった。
 3回,フェリシルダは長谷川をロープに追って攻勢。しかし,逆に左ストレートを合わされ,大きくぐらつく。チャンスと見た長谷川は一気に連打をまとめ,左を決めてダウンを奪う。フェリシルダは立ち上がったものの,左ストレートで2度目のダウン。長谷川はフィニッシュを狙って攻勢に出るが,詰め切れなかった。
 4回以降も長谷川のペース。フェリシルダの積極的なボクシングに戸惑う場面はあったが,左ストレートをヒットして要所を締め,反撃を許さない。7回には再びKOチャンスが訪れた。左ストレートで大きくぐらついたフェリシルダに,怒涛の連打で襲い掛かる。
 そして10回,右目頭からの出血でやりにくそうなフェリシルダを左ストレートでぐらつかせ,連打をまとめる長谷川。自コーナー付近で崩れ落ちたフェリシルダをマルティ主審が救って試合終了。

 長谷川は噂どおりの好素材である。サウスポースタイルからの左ストレートの切れには周囲を瞠目させるものがある。スピードも十分で,何より目と勘のよさが目立った。チャンスに一気にまとめる連打も見事である。すぐに世界などと言わず,ぜひじっくりとキャリアを積んで欲しい。いずれにしても楽しみな新鋭である。
 ただし,真っ直ぐ下がる悪い癖も見受けられる。サウスポーのセオリーに反して左回りを続け,そこに右を合わされる場面が見られた。スピードと足があるのだから,これを生かして,回り込むように心がけるべき。
 右ジャブ,フックが少ないことも気になった。7回に右ジャブを連発した場面があったが,いいジャブを持っている。ぜひこれを生かして欲しい。右を有効に使えば,武器の左がもっと生きて来るはず。左ストレートだけでは,相手に読まれてしまう。
 敗れたフェリシルダはジョニー・リア(比国)に勝っている強豪。小柄な右のファイタータイプで,スピードがあり,左ジャブ,右ストレートで積極的に仕掛けて来る。

9回までの採点 長谷川 フェリシルダ
主審:フランツ・マルティ(タイ) 89 82
副審:ビルヒリオ・ガルシア(比国) 88 81
副審:野田昌宏 89 80
参考:MAOMIE 89 81

     ○長谷川:16戦14勝(5KO)2敗
     ●フェリシルダ:31戦18勝(9KO)11敗2分
     放送:スカイA
     解説:村田英次郎
     実況:松原宏樹

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                         2003年11月15日(土)   後楽園ホール
                       日本スーパー・バンタム級タイトルマッチ10回戦
                   チャンピオン    K       O    挑戦者(WBC5位)
               ○   中島吉謙   10回2分15秒     金井彰廣     ●
                 (角海老宝石) 122 lbs                      (大鵬) 122 lbs
                     WBC8位

 金井の積極的な攻撃に苦戦した中島だが,劇的な逆転KOで初防衛に成功した。
 試合は序盤から金井のペース。左ジャブの連打から右ストレート,左フックで積極的に仕掛け,2回以降は完全に主導権を握った。中島は先手を取られ,左ジャブが出ないため,金井の前進をストップできない。金井はスピードに乗り,右ストレートを主体に上下にパンチを散らす矢継ぎ早の攻撃で,中盤までは完全にポイントをリード。
 このままズルズルと判定負けかと思われた中島だが,5回には接近戦でのボディブローの応酬に応じ,やっと反撃の姿勢を見せた。中島は疲れを見せてややスピードダウンした金井に対して,左ジャブを突く。7回,金井の右ストレート,左フックを食うが,8回にはようやく自分から前に出て,左ジャブ,ワンツーをヒットし,流れを変えに出た。金井は疲れが見え,足元がふらつく場面もあった。
 逆転劇は唐突だった。9回,金井の出鼻に左ジャブに続く右フックがクリーンヒットし,腰から落ちてダウン。2分過ぎにも右ストレートからのラッシュで,金井はクリンチに逃れる。
 そして10回,相打ちの左ストレートは踏み込みが一瞬早かった中島が上。このパンチで力尽きたようにダウンした金井はそのままカウントアウトされた。

 中島の苦戦の原因は,金井に右を合わせられたために左ジャブが出なかったこと。左が出ないために金井の前進を止められず,さらに手数が少なくなるという悪循環に陥り,中盤までは非常に苦しい展開になった。
 しかし,最後まで勝負を捨てず,流れを変える工夫をした上で強敵・金井を逆転KOで退けたことは非常に立派。王座を獲得した渡辺純一(楠三好)に続く今夜の金井戦。相次ぐ厳しい試合で”結果”を出したことは非常に大きいプラスになるはず。次期防衛戦は石井広三(天熊丸木)との対戦が噂されているが,またまた高いハードルになる。しかし,こういうハードルを越えて結果を出して行くことによって,”本物”になって行くはず。今後の精進に期待する。
 一方,ほぼ掌中に収めていたタイトルを逃した金井は,攻防両面でバランスよくまとまった好選手である。アマで社会人チャンピオンという経歴があり,ボクシングの組立は基本に忠実そのもの。右ストレート,左フックを主体に,上下にパンチを散らすなど,積極的に自分から試合を作って行く姿勢がいい。パンチが切れ,スピードもある。
 その反面,ボクシングが正直で,一本調子になるのが難点。試合運びが初回から最後まで変わらず,”ギヤチェンジ”がないため,長丁場になると相手に読まれてしまう。今夜の中島も前半こそ金井の右ストレートを食っていたが,徐々に目が慣れて行ったように見えた。金井は素材としては素晴らしいので,”ギヤチェンジ”を体得すること。それが今後の課題である。今夜の敗戦に腐ることなく,ぜひ立て直して,再挑戦して欲しい。
 タイトルマッチにふさわしい,非常に引き締まった好試合。時間の経過が非常に早く感じられた。

9回までの採点 中島 金井
主審:島川威 *** ***
副審:吉田和敏 86 87
副審:浦谷信彰 84 86
副審:内田正一 86 86
参考:MAOMIE 86 87

 
     ○中島:23戦14勝(3KO)5敗4分
     ●金井:21戦19勝(16KO)2敗

     放送:G+
     解説:葛西裕一
     実況:長谷川憲司

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                       2003年11月15日(土)   後楽園ホール
                                 10回戦
                   日本ウェルター級3位   K      O    韓国S・ライト級2位
                ○   湯場忠志      1回1分54秒     陳 京哲   ●
                 (都城レオスポーツ) 145 1/4 lbs                    (韓国) 145 lbs


 湯場の圧勝。最初から腰が引けている陳に対し,ゆっくり前に出てプレッシャーをかける湯場。早くも左ストレートがヒット。ロープに詰まる陳。右ジャブからの左アッパーがボディをえぐり,陳は呆気なくダウンし,そのままカウントアウト。
 陳の不甲斐なさが目立った試合。この相手では今後の湯場を占うことはできない。ただし,右ジャブでガードを上げさせて,ボディブローでフィニッシュした攻撃は見事。1発に頼らず,この感触を忘れないで欲しい。

     主審:杉山利夫,副審:鮫島英一郎&吉田和敏&島川威
     ○湯場:26戦22勝(15KO)2敗2分     ●陳:15戦5勝(3KO)8敗2分
     放送:G+     解説:葛西裕一     実況:高橋雄一

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