熱戦譜〜2003年10月の試合から


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試合日 試合 結果
2003.10.04  WBC世界バンタム級
 タイトルマッチ12回戦
 ウィラポン・ナコンルアンプロモーション  引き分け  西岡利晃
2003.10.04  WBA世界スーパー・フライ級
 タイトルマッチ12回戦
 アレクサンデル・ムニョス  判定  本田秀伸
2003.10.04  WBA世界バンタム級
 暫定王座決定12回戦
 戸高秀樹  判定  レオ・ガメス
2003.10.04 10回戦  佐竹政一  KO2R  リチャード・レイナ
2003.10.04 10回戦  長嶋健吾  判定  リック吉村
2003.10.13  日本ミニマム級
 タイトルマッチ10回戦
 小熊坂 諭  判定  鈴木 誠
2003.10.13 10回戦  有永政幸  引き分け  相澤国之
2003.10.18  日本スーパー・ライト級
 タイトルマッチ10回戦
 江口慎吾  判定  金山晋司
2003.10.18 ノンタイトル10回戦  ホルヘ・リナレス  判定  ペドリート・ローレンテ
10 2003.10.18 10回戦  川嶋勝重  判定  盧 旻燮
11 2003.10.19 10回戦  木村章司  TKO10R  セーン・ソー・プルンチット
12 2003.10.20 ノンタイトル10回戦  山口真吾  引き分け  畠山昌人

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                             2003年10月4日(土)  両国国技館
                          WBC世界バンタム級タイトルマッチ12回戦
                      チャンピオン                     挑戦者(同級1位)
            ×  ウィラポン・ナコンルアンプロモーション    引き分け    西岡利晃  ×
                     (タイ) 118 lbs                           (帝拳) 117 1/2 lbs

 ウィラポンの判定勝ちとなった初戦,ドローとなった第2戦の後を受けて実現したラバーマッチ。しかし,またも結果はドローとなった。西岡の悲願は成らず,ウィラポンは11度目の防衛に成功。
 西岡は好調なスタートを切った。ジリジリと前に出るウィラポンに対し,2回,左フックをヒット。ボディへの左も決まり,終了間際には再び左フックをヒットした。4回,西岡はよく動いて,単発ながら左ストレート,フックを放つ。ウィラポンも右ストレートをボディに放って,動きを止めにかかるが,西岡は非常に落ち着いている。ウィラポンの右が低く入り,一時中断。ウィラポンはこのパンチでローブローを取られ,減点。不安な序盤戦となった。
 しかし,5回以降,ウィラポンがプレッシャーを強めると試合の流れはウィラポンに傾いた。ウィラポンはサウスポーの西岡に対してノーモーションからの右ストレートを多用。これを上下に打ち分けて,主導権を奪った。6・7回にはウィラポンのプレッシャーはさらに強まり,後退する西岡に右ストレート,左アッパーを浴びせる。
 8回,西岡は接近戦に応じて,左ストレートのボディブロー,右フックで反撃するが,後退したところにウィラポンのノーモーションからの右ストレートをことごとく浴び,苦しい展開。終盤も必死の形相で打ち合いに活路を見出そうとするが,ウィラポンはそれを許さず,右ストレートを多用して細かく加点して行った。西岡はときおり左ストレート,右フックあるいは左アッパーをヒットするが,ウィラポンのプレッシャーに後続打を封じられ,ついに決定的な優位に立てないまま試合終了のゴングを聞いた。

 結果はドローとなったが,内容的には西岡の完敗。この試合は西岡が先手を取れるかどうかが勝敗の分水嶺となるはずだったが,常に先手を取ったのはウィラポン。西岡としては主武器の左ストレートを上下にどんどん打ち分け,早い回にウィラポンを動揺させ,精神的に優位に立っておく必要があった。しかし,その得意の左も切れ味鋭いストレートは少なく,山なりのフックになってしまい,ベテランのウィラポンに完全に読み切られていた。手数が少なく,後手に回り,老獪なウィラポンの術中にはまった感じがする。
 第3戦にも勝てなかったことで,西岡の今後の動向が注目される。完全燃焼していないので,引退には早い。じっくり考えて進むべき方向を定めて欲しい。
 若干の衰えはあるものの,ウィラポンの老獪さが光った。サウスポー対策の定石であるノーモーションからの右ストレートに左右アッパーを交えた間断ない攻撃は見事。サウスポーの西岡が右に回ることを許さなかった点もキャリアの差を感じさせた。勝つためのコツを実によく心得ている。長いキャリアと厳しい節制に裏打ちされた実力は見事の一語に尽きる。

採点結果 ウィラポン 西岡
主審:ホセ・グアダルペ・ガルシア(メキシコ) *** ***
副審:マーク・グリーン(英国) 116 112
副審:デュアン・フォード(米国) 113 114
副審:ハーバート・ミン(米国) 115 115
参考:MAOMIE 118 113


     ×ウィラポン:44戦41勝(29KO)1敗2分
     ×西岡:29戦23勝(14KO)3敗3分

     放送:G+
     解説:ファイティング原田&飯田覚士
     実況:船越雅史

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                       2003年10月4日(土)  両国国技館
                    WBA世界スーパー・フライ級タイトルマッチ12回戦
                    チャンピオン               挑戦者(同級14位)
              ○  アレクサンデル・ムニョス   判 定    本田秀伸  ●
                  (ベネズエラ) 115 lbs                  (グリーンツダ) 115 lbs

 本田は23連続KO勝ちのムニョスに堂々と渡り合ったが,決め手を欠き,王座奪取に失敗した。ムニョスは24連続KO勝ちこそ阻まれたものの,2度目の防衛に成功。
 ムニョスは意外に慎重なスタート。両者とも相手のカウンターを警戒し,緊迫したムードが漂う。3回,本田はムニョスの大きいワンツーをかわして右フックをカウンターする。左ストレートもボディにヒット。4回には本田のワンツーでムニョスがバランスを崩す場面も見られた。ムニョスはあせり気味に右ストレート,左右フックを強振するが,本田の巧みなウィービング,ダッキングにかわされ,空砲となる。本田は単発ながら,右フック,左アッパーを返して好調をアピールした。
 しかし,5回以降,ムニョスは強引な攻撃で迫る。本田はムニョスに連打こそ許さないものの,右ストレート,左アッパーを食い,試合の主導権そのものはムニョスの掌中にあった。本田はよく見てかわしているが,単発ながらムニョスのクリーンヒットを許した。かわす方が忙しく,手数が少なく,なかなか反撃に転じることができない。ムニョスも攻勢には出ているが,雑な攻撃のため空砲も多く,スタミナをロスした。
 10回,ムニョスに打ち疲れが見えるが,本田も決め手を欠く。12回,ムニョスはKOをあきらめたかのように足を使い,打ち合いを避けた。本田はチャンスだが,逆にムニョスのワンツー,右アッパーをもらった。

 本田はよく頑張ったが,ムニョスの判定勝ちは動かない。強打をかわすだけでなく,前半から左ストレートのボディブローを多用し,ムニョスのスタミナ切れを誘うべきだった。ムニョスは終盤に打ち疲れの気配を見せていただけに,本田が勇気を出してスピーディに出入りを繰り返し,ボディ攻撃をしていたらと悔やまれる。
 確かに巧みなディフェンスでムニョスの強打を空砲に終わらせ,観客は沸いていたが,ポイントにつながるような攻撃ができなかったのは残念。目と勘はいいものを持っているが,攻撃力を身に付けないと世界には通用しない。
 ムニョスは王座を奪ったセレス小林戦に比べるとスピードもパンチの破壊力も今ひとつ。自慢の強打をかわされてしまうと無策に陥ることを露呈した。アゴのガードをガラ空きにしてワンツー,右アッパーを強振するだけで,攻撃の組み立ては非常に雑。それらの欠点を補ってお釣りが来るのが,あのパワーなのだろう。

採点結果 ムニョス 本田
主審:ジョン・コイル(英国) *** ***
副審:ラウル・カイズ(米国) 116 112
副審:アルマンド・ガルシア(米国) 118 110
副審:オベ・オベッセン(デンマーク) 119 109
参考:MAOMIE 118 114


     ○ムニョス:24戦23勝(23KO)
     ●本田:29戦26勝(14KO)3敗

     放送:G+
     解説:ファイティング原田&セレス小林
     実況:村山喜彦

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                      2003年10月4日(土)  両国国技館
                   WBA世界バンタム級暫定王座決定12回戦
                 WBA世界バンタム級4位         WBA世界バンタム級5位
               ○   戸高秀樹     判 定    レオ・ガメス   ●
                   (緑) 115 lbs                 (ベネズエラ) 115 lbs

 正規王者ジョニー・ブレダール(デンマーク)が防衛戦を行わないために,セットされた暫定王座を戸高が獲得した。3年前にアゴを骨折した末にKO負けを喫した宿敵ガメスにリベンジを果たして見事な勝利である。
 スタートからジリジリ距離を詰め,左ジャブ,右フックを放つガメス。3回,ガメスの右フックがカウンターになり,左フックもヒット。後半にも右フックが危ないタイミングでカウンターになり,戸高がバランスを崩す場面もあった。
 リベンジに燃える戸高は4回,ガメスの右フックを食うが,構わずワンツー,ボディへの左右アッパーで攻勢。気迫十分なボクシングで中盤をリードした。ガメスのプレッシャーはきついが,戸高は5・6回,ガメスの打ち気の合い間にワンツー,左右フックを浴びせてラッシュ。さらに,ガメスの弱点であるボディにパンチを集めてリードした。
 戸高はしぶといガメスの左ジャブをもらい,右ストレート,フックを受け,7・9回を落とす。12回,左目上をカットした戸高は出血するが,気持ちを前面に出すボクシングで最後までガメスの追撃を許さなかった。

 結果はスプリットデシジョンだが,内容的には戸高の勝ちは問題ない。戸高はガメスの右強打を受けてファンをヒヤリとさせる場面もあったが,すぐに打ち返し,後続打を封じたことが勝利につながった。一度手痛いKO負けを食っているガメスに気持ちで負けなかったことは非常に立派で,最大級の賛辞を送りたい。闘志を前面に出す戸高の持ち味がよく出ていた。『絶対にリベンジする』という強固な意志が観衆に伝わるようなボクシングである。
 ガメスのプレッシャーは相変わらずきついが,いきなりの真っ向勝負を避け,ガメスの打ち気が途切れたところにワンツー,左右フックの連打で勝負したことが戸高の勝因。闘志を前面に出すボクシングの影で,このような頭脳的な側面も光った。左右アッパーでガメスの弱点であるボディを叩き続ける作戦も効果的。スピードもあり,連打の回転力でガメスを制した。
 40歳のガメスはさすがにスピードは衰えたが,常にプレッシャーをかけ,右フック,ストレートの強打を主体とする攻撃力・威圧感は依然として侮れないものだった。日頃の節制の賜物だろう。

採点結果 戸高 ガメス
主審:アルマンド・ガルシア(米国) *** ***
副審:デレク・ミルハム(豪州) 113 115
副審:ピニット・プラヤドサブ(タイ) 115 113
副審:文武弘(韓国) 116 114
参考:MAOMIE 117 114


     ○戸高:25戦21勝(10KO)3敗1分
     ●ガメス:45戦34勝(25KO)10敗1分

     放送:G+
     解説:ファイティング原田&セレス小林
     実況:鈴木 健

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                        2003年10月4日(土)  両国国技館
                               10回戦
            東洋太平洋S・ライト級チャンピオン   K      O   ペネズエラ S・ライト級チャンピオン
               ○   佐竹政一     2回2分44秒     リチャード・レイナ   ●
               (明石) 140 3/4 lbs                            (ベネズエラ) 140 1/4 lbs


 世界を狙う佐竹が強豪レイナを見事にKOで破り,世界挑戦を強烈にアピールした。
 初回はレイナのペース。ガードを固めて距離を詰め,サウスポースタイルにスイッチして,左右フックで強引に攻め立てる。佐竹はクリーンヒットこそ許さなかったが,ラフなレイナに押され気味で,不安なスタートとなった。
 2回,レイナはぐいぐいと前に出て,右アッパーをヒット。しかし,佐竹も足を使って細かいワンツー,左右フックを放ち,ようやく落ち着きを取り戻す。佐竹は右フックのボディブローをヒット。そして終盤,レイナをロープに詰め,左ストレート。これは空砲となったが,すかさず返した右フックがカウンターでアゴを捉え,レイナたまらず前のめりに落下。壮絶な倒れ方に,内田主審はためらわずストップした。倒れたレイナがしばらく立ち上がれないほどのダメージだった。

 フィニッシュパンチは,流れた左ストレートから体を思い切って沈め,十分に溜めを作った状態から放った渾身の右フック。これがガラ空きのアゴをまともに打ち抜いたもので,レイナはまるで射殺されたかのように前のめりにキャンバスにダイブした。佐竹は左ストレートの空打の直後は思いっ切り体を前に沈め,その直後の右フックのKOパンチを放つ瞬間,今度は自分の頭を思いっ切り左方向にシフトしている。これは天井から映したスロービデオを見るとよくわかる。自分の頭をどこに置いたら打たれないかを熟知している証拠で,天性の勘のよさを見せつける見事なKOシーンだった。
 今夜の勝利で,一気に世界挑戦をアピールした佐竹。しかし,初回にレイナのラフな攻撃に戸惑い,不安なところも見せた。ここまで来たら,あせらず最低でも2試合程度は世界ランカークラスとのテストマッチを踏んで欲しい。
 敗れたレイナは体が堅く,ガードがガラ空きになる欠点をものの見事に露呈してしまった。あのパワーは凄まじいが,ガードの甘さを矯正しないと今後が苦しい。

     主審:内田正一,副審:安部和夫&森田健&浦谷信彰
     ○佐竹:25戦19勝(12KO)2敗4分     ●レイナ:14戦13勝(12KO)1敗
     放送:G+     解説:飯田覚士     実況:舟津宜史

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                     2003年10月4日(土)  両国国技館
                             10回戦
                WBC世界ライト級7位        元日本ライト級&S・ライト級チャンピオン
              ○   長嶋健吾     判  定    リック吉村   ●
                (エイティーン古河) 135 lbs                (石川) 134 3/4 lbs


 37歳でライセンスが自動的に失効するJBCの年齢制限が規則改正で緩和されたことで,現役復帰の道が開けたリック。38歳でその適用第1号選手となり,1年7カ月ぶりの登場となったが,接戦の末,長嶋の軍門に降った。
 サウスポーの長嶋,オーソドックスのリック。左と右の違いはあるが,ともにスピードを身上とするボクサータイプ。スタートから長嶋の右ジャブ,リックの左ジャブによる激しい鍔競り合いになった。初回,長嶋は左ストレートをリックのボディに。しかし,2回にはリックも右ストレートをお返し。
 リックは小刻みな左ジャブでタイミングを取り,距離を詰めようとするが,長嶋は右ジャブでリックの動きを牽制し,左右への速いフットワークでリックに的を絞らせない。中盤以降も一進一退の緊迫した攻防が続いたが,両者ともに決め手を欠いた。結局クリーンヒットでわすがに上回った長嶋が僅差で判定をものにした。

 ともにスピード十分で,フェイントの掛け合いなどに見るべきものがあったものの,お互いに相手のカウンターを警戒してか,手数が少なく,ヤマ場のない試合となった。世界再挑戦を狙う長嶋は右ジャブ,フックをもっと多用し,左ストレートでボディを叩きたかった。正直なところ,何が何でも世界タイトルを取るんだという意志が伝わって来なかった感じがする。きれいなボクシングをやろうとする気持ちだけが先行しているように見えるのが気になる。右ジャブ,左ストレートを中心に,もっと積極的に手数を出して行くべき。
 敗れたリックはとても38歳とは思えないほどのスピードを見せたが,左ジャブが当たらず,自分のリズムを作れなかったことが敗因。得意の右ストレートがほとんど見られず,長嶋の動きを止められなかった。
 リックはこの試合を最後に引退を表明した。本名フレデリック・ロバーツ。二階級制覇,ライト級王座連続22度防衛は前人未到の大記録である。人間的にもできており,日本のボクシング界にも溶け込んで,リックの愛称で親しまれた。

採点結果 長嶋 リック吉村
主審:福地勇治 *** ***
副審:内田正一 98 95
副審:森田健 98 96
副審:浦谷信彰 97 95
参考:MAOMIE 99 97


     ○長嶋:28戦25勝(14KO)2敗1分
     ●リック:47戦40勝(20KO)5敗2分

     放送:G+
     解説:セレス小林
     実況:長谷川憲司

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                          2003年10月13日(月)  後楽園ホール
                           日本ミニマム級タイトルマッチ10回戦
                          チャンピオン           挑戦者(同級10位)
                     ○  小熊坂 諭    判 定   鈴木 誠  ●
                         (三迫) 104 3/4 lbs              (野口) 104 3/4 lbs

 小熊坂が元王者・鈴木を大差で破り,2度目の防衛に成功した。
 首を痛めて13カ月のブランクを作った鈴木は動きが鈍く,試合は序盤から小熊坂のペース。2回,サウスポーの小熊坂は右で距離を測りながら,いきなり左ストレートを上下に連発。鈴木はジリジリ前に出るものの,接近してから打とうとするため,パンチになる前に被弾する場面が目立つ。
 3回にも左ストレートでのけぞる鈴木。5回,鈴木がバランスを崩してクルリと1回転したところに小熊坂の左ストレートがヒットする。鈴木も終了間際に相打ち気味の右ストレートをヒットするが,後続打が出ない。7回には小熊坂の右フックも決まった。9回,相変わらず鈴木の動きは鈍く,出鼻に小熊坂の左ストレートからの右フックがクリーンヒット。
 一方的にリードしながらも連打が出ずにフィニッシュできない小熊坂だが,10回,ようやくワンツーをまとめた。鈴木は最後まで試合を捨てず前に出たが,左ストレートのカウンターを受けた。

 小熊坂の完勝。6月の初防衛戦では正藤秀明(エディタウンゼント)のペースに巻き込まれてラフな打ち合いを演じた小熊坂だが,今夜は常に自分の距離を保っていた。得意の左ストレートを上下に打ち分けて,鈴木の接近を許さなかった。
 ただ,パンチが単発でフィニッシュは逸した。このクラスとしては上背(168センチ)に恵まれており,リーチを生かした右ジャブ,ストレートが出ないのはもったいない。パンチも破壊力があるので,単発にならぬように右を多用し,コンビネーションブロー主体のボクシングを心がけて欲しい。
 王座奪回に失敗した鈴木はやはりブランクが響いた。本来の鋭いステップインも連打も見られなかった。接近してから打とうとしたことも敗因。

採点結果 小熊坂 鈴木
主審:浅尾和信 *** ***
副審:吉田和敏 100 91
副審:館秀男 100 93
副審:島川威 100 93
参考:MAOMIE 100 91


     ○小熊坂:27戦19勝(9KO)5敗3分
     ●鈴木:23戦13勝(8KO)8敗2分

     放送:フジテレビ739
     解説:川嶋郭志
     実況:森 昭一朗

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                           2003年10月13日(月)  後楽園ホール
                                   10回戦
                       日本S・フライ級3位            日本フライ級8位
                    ×   有永政幸    引き分け   相澤国之    ×
                       (大橋) 115 lbs                    (三迫) 115 lbs


 元アマ全日本王者・相澤のプロ入り5戦目は三者三様のドローとなった。
 相澤は初回,軽い動きから左に回り,左ジャブを突いて,右ストレートをボディに。上への右ストレートもヒット。2回には有永をロープに詰め,右ストレートのボディブローをヒット。さらに左アッパーのボディブローから上への連打を見せる。
 しかし,サウスポーの有永も負けてはいない。4回には左ストレートをヒット。一瞬腰を落とした相澤がロープに後退する場面があった。中盤はお互いに警戒して手数が少なくなった。7回には有永の左ストレートで相澤がのけぞる。終盤は有永が変則的な動きから積極的に仕掛けた。相澤は足を使って左右に動くが,手数が出ない。9回,相澤の右ストレート,有永の左フックがヒットする。

 相澤はオーソドックスなボクサータイプ。軽いフットワーク,りきみのないフォームがいい。スピードのある左ジャブから右ストレートを上下に打ち分ける。リラックスした動きから,ここぞというときにスピードアップするなど,メリハリが効いたボクシングができるのが特長。力の入れどころを心得ているのは,豊富なアマ経験のためだろう。
 今夜は変則的な有永に苦しんだが,プロにはこういう選手がゴロゴロしている。有永のような変則タイプを相手に10ラウンドをフルに戦ったことは,貴重な経験になったはず。いい素材なので,ジックリ経験を積んで欲しい。強豪揃いのフライ級に,またひとり楽しみな選手が増えた。
 有永は変則的なサウスポーのファイタータイプ。ややスロースターター気味なところがある。独特の間合いが相手にとっては非常にやりにくいはず。左フックが武器である。

採点結果 有永 相澤
主審:島川威 *** ***
副審:館秀男 99 96
副審:鮫島英一郎 97 97
副審:住吉栄一 96 97
参考:MAOMIE 98 97


     ×有永:19戦15勝(8KO)3敗1分
     ×相澤:5戦4勝(4KO)1分

     放送:フジテレビ739
     解説:川嶋郭志
     実況:西岡孝洋

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                          2003年10月18日(土)  後楽園ホール
                         日本スーパー・ライト級タイトルマッチ10回戦
                         チャンピオン            挑戦者(同級1位)
                     ○  江口慎吾   判 定    金山晋司  ●
                          (大橋) 140 lbs               (国際) 140 lbs


 江口が完勝で初防衛を飾った。
 左ジャブ,ストレートの刺し合いから落ち着いたスタート。低い姿勢から左を突いてチャンスを窺う江口に対し,金山は顔の前でガードを固めながらジワジワと前に出る。2回,江口は左ジャブからボディに左アッパー,右フックを決め,早くもリード。金山は前に出るものの手数が少なく,4回には江口の右から左のボディブローを受けて劣勢に回る。江口は低い姿勢から左ジャブを突き,左アッパー,右ストレートからボディ連打を浴びせて5・6回を制した。思惑どおりに試合が運べないのか,5回終了後,金山は首をかしげながらコーナーに戻った。
 中盤以降も金山は手数が出ず,スピードで優る江口を捉え切れない。8回終了間際には金山もようやく右ストレートをヒットして反撃の構えを見せるが,後続打が出ない。9・10回,江口は打ち疲れが見えるが,最後まで死力を振り絞って攻勢をかけ,勝利を決定的なものにした。

 ディフェンスが堅い金山を倒せなかった江口。王座を奪取した5月の佐々木基樹戦に比べると,パンチの切れは今ひとつだった。しかし,左ジャブ,ストレートを中心に,持ち味である上下への打ち分けを見せ,まずまずのデキだったと見る。終盤に打ち疲れを見せ,スタミナの不安克服が今後の課題となる。
 江口はボクシングもインファイトもできる。左を軸にして重量感あふれるスケールの大きいボクシングをするだけに,ぜひ精進して上を狙って欲しい。
 理学博士号を持つ金山。勝てば史上初の博士王者が誕生するところだったが,手数が少な過ぎた。挑戦者らしい気迫を見せて欲しかった。ややアップライトスタイルで顔の前でガードを固めながら,ジリジリと前に出る,どちらかというとファイタータイプ。ベタ足に近く,スピードはないが,肩越しに放つ右ストレートに強打を秘める。

採点結果 江口 金山
主審:福地勇治 *** ***
副審:森田健 100 93
副審:内田正一 99 94
副審:島川威 99 94
参考:MAOMIE 100 94


     ○江口:16戦15勝(11KO)1敗
     ●金山:13戦9勝(6KO)3敗1分

     放送:G+
     解説:葛西裕一
     実況:高橋雄一

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                       2003年10月18日(土)  後楽園ホール
                             ノンタイトル10回戦
                ベネズエラ フェザー級(ノーランク)         東洋太平洋S・バンタム級チャンピオン
               ○   ホルヘ・リナレス      判 定    ペドリト・ローレンテ   ●
                  (ベネズエラ) 124 1/4 lbs                  (比国) 124 1/2 lbs

                                             WBC13位

 新星リナレスが7戦目で東洋王者ローレンテを破った。
 試合は初回からリナレスのワンサイドゲーム。いきなり放った鋭いワンツーに会場が大きくどよめく。リナレスをロープに追って攻め込むローレンテだが,逆に左アッパーをカウンターされ,膝が揺れた。リナレスはワンツーから左アッパーをヒットして再びローレンテをぐらつかせ,KOも予感させる幸先のよいスタート。
 ローレンテも勇敢に左ジャブ,右フックを振って攻め込むが,リナレスの巧みなボディワークにかわされ,有効打をカウントできない。逆にリナレスは冷静で落ち着いたボクシングを見せ,左ジャブとフットワークでローレンテをコントロールした。
 リナレスのワンサイドで迎えた7回終盤,ローレンテの右をスウェイバックでかわし,ロープを背にすかさず左アッパーをカウンターする。ぐらついたローレンテをコーナーに詰め,リナレスは一気に攻勢をかけてダウン寸前まで追い込んだ。
 8回にも右ストレートでぐらつかせるなど,リナレスはまったく危なげなく東洋王者を一蹴した。

 恐るべき18歳である。攻防両面で,そのセンスは群を抜いている。鋭い左ジャブ,ストレート,ボディへの左アッパーに加え,アゴへの左アッパーのカウンターなどの高度なテクニックを披露し,『18歳がここまでやるか』というボクシングを見せつけた。WBC13位のローレンテを破ったことで,一気に世界ランク入りすることは確実。
 ワンサイドに攻めながらKOできなかった点は不満も残るが,7戦目で曲者のローレンテに圧勝したことで,今のキャリアでは十分に合格点が付くだろう。9月の兎正根(韓国)戦は2回で終わったが,今夜は一転してフルラウンドにも対応できるスタミナを十分に備えていることを証明した。今後が楽しみである。大振りになること,ミックスアップしてアゴが上がることなどが気になるが,これは今後の課題として改善して欲しい。
 表情にあどけなさを残す22歳のローレンテは8月に福島学から王座を奪ったばかり。非常にスピードがあってよく動くが,リナレスの左と足でコントロールされて接近を阻まれ,捨て身で攻め込むと巧みなボディワーク,フットワークにかわされ,攻め手を失った。

採点結果 リナレス ローレンテ
主審:内田正一 *** ***
副審:染谷路朗 99 94
副審:鮫島英一郎 99 92
副審:福地勇治 100 91
参考:MAOMIE 100 90


     ○リナレス:7戦7勝(4KO)
     ●ローレンテ:20戦13勝(4KO)6敗1分

     放送:G+
     解説:なし
     実況:舟津宜史

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                          2003年10月18日(土)  後楽園ホール
                                 10回戦
                    WBA世界S・フライ級6位           韓国S・フライ級4位
                   ○   川嶋勝重     判 定     盧 旻燮   ●
                        (大橋) 117 lbs                   (韓国) 117 lbs

                                             盧 旻燮=ノ・ホスブ

 6月の世界挑戦(徳山昌守に判定負け)以来の再起戦を大差の判定勝ちで飾った川嶋だが,内容的に大いに不満を残す試合となった。
 初回からお互いにガードを固めて頭を付けてのパンチの交換に終始した。川嶋は左フック,アッパー,右ストレートなど,手数で盧を圧倒する。盧もしぶとくショートブローを返すが,威力がない。3回,川嶋の右ストレート,左右フックの攻勢で盧は思わずクリンチ。川嶋は大振りせず,小さくパンチを振り,中盤でのKOも予感させた。
 しかし,盧はしぶとい。一方的に打たれながら,ときおりショートブローで反撃する。6回終盤には川嶋の右ストレートが再三ヒットし,盧はダウン寸前に追い込まれた。
 一方的にリードする川嶋だが,肝心なところで相手を見てしまい,ついにフィニッシュできなかった。

 川嶋は徳山戦の教訓からか,大振りをせず,パンチを小さく振っていたことは評価できる。しかし,パンチに切れがなく,おまけにチャンスに相手を見てしまい,KOを逸した。左アッパーのボディブローを多用していたが,このときに右のガードが開いてしまうのも気になる。
 盧は現役の警察官という異色の選手。タフなファイタータイプ。パンチ力はないが,非常に粘り強く,接近戦でのショート連打が得意。

採点結果 川嶋
主審:島川威 *** ***
副審:染谷路朗 100 90
副審:森田健 100 91
副審:内田正一 100 90
参考:MAOMIE 100 90


     ○川嶋:27戦24勝(16KO)3敗
     ●盧:12戦6勝(2KO)5敗1分

     放送:G+
     解説:なし
     実況:長谷川憲司

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                            2003年10月19日(日)  横浜文化体育館
                                     10回戦
                      日本S・バンタム級9位   T   K   O   WBA世界S・フライ級8位
                   ○   木村章司     10回1分12秒   セーン・ソー・プルンチット   ●
                     
    (花形) 122 lbs                           (タイ) 121 1/4 lbs

 新鋭・木村が元世界王者セーンに圧勝し,無傷の16連勝を飾った。
 木村は3回,左に回りながら鋭い左ジャブを突き,右ストレート,左アッパーをヒット。終了間際には左フックでセーンをのけぞらせ,ロープに詰めてワンツー,左アッパーをまとめる。セーンは打ち気に出るが,木村はセーンの左ジャブを巧みにブロックし,4回には左フックからの右ストレートでコーナーに詰める。
 5回終盤,セーンが左を突こうと踏み込んだ瞬間,両者の左足先が接触。バランスを崩したセーンの腰が落ちたところに木村の軽い左がヒットし,セーンは尻餅をついてダウンを取られる。
 6回以降は木村の独壇場。左に回りながら鋭い左ジャブを多用してセーンの接近を許さない。7回にはワンツー,ボディへの右ストレート,左アッパーなどが面白いようにヒットした。
 そして迎えた10回1分過ぎ。リング中央で左ジャブからの強烈な右ストレートがアゴを捉え,ぐらついたセーンが棒立ちになったところで鮫島主審がストップした。

 フィニッシュはセーンの左ジャブをブロックし,間髪入れずに返した左ジャブに続いて打ち込んだ右ストレートがクロス気味にアゴを直撃したもの。木村の左によって死角が生じ,セーンにはあの右は見えなかったものと思う。木村は単にディフェンス勘の良さだけでなく,防御からすぐに攻撃に直結させる勘の良さを披露した。
 木村の長所は何と言っても,フットワークと左ジャブの鋭さ。左を多用して,自分から試合を作っているところが快進撃の秘訣だろう。注文をつけるとすれば,チャンスでの詰めか。パンチ力はあるので,詰めを磨けば,KO率もアップする。多くのファンが感じていることとは思うが,今夜のセーンならもっと早くフィニッシュできたはず。その辺が今後の課題となる。
 元世界王者,現役世界ランカーに完勝したことで木村にとっては大きな自信につながったものと思う。しかし,セーンは2階級下でかつ下降線を辿っている選手。木村には今夜の勝利に慢心せず,目標を高く据えて精進を望む。
 セーンは往年のスピード,切れがなく,完全にオールドタイマーと化していた。被弾する度に膝がガクガクしており,長年蓄積したダメージを感じさせた。

9回までの採点 木村 セーン
主審:鮫島英一郎 *** ***
副審:安部和夫 90 81
副審:住吉栄一 90 81
副審:浅尾和信 90 81
参考:MAOMIE (60) (54)


     ○木村:16戦16勝(7KO)
     ●セーン:46戦43勝(14KO)3敗

     放送:テレビ東京
     解説:星野敬太郎&戸高秀樹
     実況:島田弘久

※ 第1・3・4・5・6・7・10ラウンドのみを放送(MAOMIEの採点は放送されたラウンドのみの集計結果です)。

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                         2003年10月20日(月)  後楽園ホール
                              ノンタイトル10回戦
               東洋太平洋ライトフライ級チャンピオン         日本ライトフライ級チャンピオン
               ×   山口真吾       引き分け    畠山昌人   ×
                    (渡嘉敷) 109 1/4 lbs                  (協栄札幌赤坂) 108 3/4 lbs

                      WBC8位                     WBC9位

 東洋・日本の現役王者同士の対決は1−0のドローとなった。
 初回,立ち上がりに硬さがある畠山にいきなり右ロングフックをヒットする山口。左フック,ボディ連打も見せて早くも主導権を掌握した。積極的な山口に対し,スロースターターの畠山は先手を取られ,不安な序盤戦となった。
 4回までは山口のペース。上背で優る畠山だが,山口の肉薄を簡単に許してしまい,苦しい展開。3回,山口は接近して右アッパー,右ロングフックをクリーンヒット。
 しかし,中盤から畠山も反撃に転じる。やや打ち疲れが見える山口に対し,接近して左右アッパーを多用した攻撃で徐々にポイントを挽回して行った。巧みな前後の出入りを見せていた山口が後退する場面が目立ち始める。もみ合うようにして打ち合いを続ける両者だが,山口は前半に見せたゆとりがなくなり,畠山のワンツー,左右アッパーで少しずつ押されて行った。終盤も一進一退の激しい打ち合いが見られた。

 前半・山口,後半・畠山という展開。山口は畠山が打ち気に出ると足を使って距離を取り,打ち気がないと見ると接近しての連打を浴びせる頭脳的なボクシングで完全に前半戦をコントロールした。昨年2月,崔堯三(韓国)のWBC王座に挑戦して10回TKO負けした一戦からは格段の進歩を見せた。しかし,中盤以降スタミナが切れたのか,ペースダウンしたのは大いに反省すべき点である。結果はドローだが,限りなく判定負けに近い。私の採点は96−96のドローだが,畠山に付けるべきか悩んだ末に10−10としたラウンドがあった。
 畠山は後半に見せた手数で押すボクシングをもう少し早く見せていればと悔やまれる。スタミナに定評があるだけに,今後はスロースターターの異名を返上するような試合を見せて欲しい。今夜は左ジャブが出なかったため,山口の接近戦を許したが,左ジャブで突き放すボクシングを忘れないこと。左右アッパーもいいが,むしろ持ち前のスピードのあるワンツーを生かすように心がけるべきである。

採点結果 山口 畠山
主審:ビニー・マーチン *** ***
副審:島川威 96 96
副審:館秀男 97 97
副審:吉田和敏 95 97
参考:MAOMIE 96 96


     ○山口:27戦24勝(16KO)3敗
     ●畠山:12戦6勝(2KO)5敗1分

     放送:TBS
     解説:畑山隆則&竹原慎二
     実況:新夕悦男

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