熱戦譜〜2003年9月の試合から


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試合日 試合 結果
2003.09.06  日本スーパー・フライ級
 タイトルマッチ10回戦
 川端賢樹  KO2R  プロスパー松浦
2003.09.06 10回戦  キンジ天野  KO8R  マノップチャイ・シンワンチャー
2003.09.06 6回戦  粟生隆寛  TKO2R  柏原 広
2003.09.07  WBC世界スーパー・バンタム級
 タイトルマッチ12回戦
 オスカー・ラリオス  TKO2R  石井広三
2003.09.07  東洋太平洋ウェルター級
 タイトルマッチ12回戦
 渡辺 博  判定  ドンドン・スルタン
2003.09.08  日本ライト級
 タイトルマッチ10回戦
 嶋田雄大  判定  川島辰久
2003.09.08 8回戦  保住直孝  KO1R  李京勲
2003.09.20  日本スーパー・フェザー級
 タイトルマッチ10回戦
 本望信人  4R負傷引き分け  中村つよし
2003.09.20 10回戦  鈴木哲記  TKO6R  伊地知 崇
10 2003.09.20 8回戦  ホルヘ・リナレス  KO2R  兎正根
11 2003.09.26 10回戦  辰吉丈一郎  判定  フリオ・セサール・アビラ

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                        2003年9月6日(土)  後楽園ホール
                      日本スーパー・フライ級タイトルマッチ10回戦
                 挑戦者(WBC14位)   K      O      チャンピオン
               ○   川端賢樹     2回2秒53秒    プロスパー松浦  ●
                  (姫路木下) 115 lbs                          (国際) 115 lbs

 フライ級で世界と日本の王座に1度ずつ挑戦した経験を持ちながらタイトルに縁がなかった川端。3度目の挑戦で念願のベルトを手にしたが,ローブローに端を発したKO劇となり,主審の不手際も重なって非常に後味の悪い試合となった。松浦は初防衛に失敗。
 初回,松浦は足を使い,171aという長身から左ジャブ,ワンツーを放ち,まずまずの滑り出し。しかし,中盤,川端の右フックがヒット。松浦をロープにつめ,一気に攻勢に出る川端。左右フックで松浦は大きくのけぞる。
 気迫十分の川端は続く2回,クリンチに出ようとした松浦のボディに左アッパーを放つ。しかし,これがベルトラインの下に入ってしまう。苦しげに逃れようとする松浦に川端の右ストレートが追い打ちされ,最初のダウン。立ち上がったが,川端の詰めは鋭く,ロープを背にした松浦は左フックを受けて2度目のダウン。このとき,倒れた松浦に川端がパンチを放つ場面が見られた。この直後,スリップダウンした松浦に再度パンチを放った川端は減点される。
 松浦はよく立ち上がったものの,足に来ており,最後は川端の左右フックを浴び,3度目のダウンを喫した。

 最初のダウンは熊崎主審の立つ位置が悪く,死角に入ったもの。ローブローは確かに反則だが,あの場面は試合の流れの中では往々にして起こり得るものであり,不可抗力ともいうべきもの。熊崎主審がローブローと裁定して,すかさず川端に減点を課し,松浦に適宜休息を与えていればあれほど紛糾しなかったはず。
 主審が止めていなかった以上,あの場面で川端が一気に攻勢に出たこと自体は責められないし,川端にとっては当然のアクションである。すべての責任はローブローを見逃し,試合を続行させてしまった熊崎主審にある。死角に入ってローブローを見逃してしまった原因は立つ位置が悪かったことに尽きる。
 川端はスタートから気迫が漲っていた。161aという短躯ながら,非常に踏み込みが鋭く,ワイルドなパンチと小さく振り切るパンチを織り交ぜた見事な攻撃を見せた。突進力に優れており,チャンスの詰めも素晴らしかった。
 ただし,ローブローは不可抗力だとしても,倒れている相手への加撃を3度も繰り返したことは重大な反則行為。これは厳粛に受け止めて,反省して欲しい。
 不運なKO負けとなった松浦だが,成長の痕跡が見られた。左ジャブ,ストレートにスピードがあり,ファイタータイプの川端をうまくアウトボックスして後半に持ち込んでいれば面白かったと思う。そんな矢先のアクシデントであり,悔いは残るが,ぜひ巻き返しを期待したい。

     主審:熊崎広大,副審:吉田和敏&館秀男&杉山利夫
     ○川端:28戦21勝(12KO)5敗2分     ●松浦:26戦22勝(10KO)4敗
     放送:G+     解説:ファイティング原田&浜田剛史     実況:寺島淳司

     ※ この試合のローブロー見落としについては,『前向きに”拳闘”します』のコーナーで検証しています。そちらも御一読ください。

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                       2003年9月6日(土)   後楽園ホール
                              10回戦
                 日本S・フェザー級3位   K   O     タイ国ライト級(ノーランク)
               ○  キンジ天野     8回35秒    マノップチャイ・シンワンチャー  ●
                  (国際) 129 lbs                        (タイ) 135 lbs


 タイトル奪回を目指す天野がしぶといマノップチャイを8回KOに仕留めた。
 左ジャブを突いて,ワンツーから左アッパーをボディに打ち込む天野。2回,ワンツー,ボディへの左右フックを的確に決めて早くもリード。しかし,マノップチャイもしぶとく,3回,天野は左ジャブ,ストレートを食う。4回には左ストレートで後退し,ロープにつまってマノップチャイの連打を許す場面も見られた。
 しかし,序盤からコンスタントに続けたボディ攻撃が効を奏し,徐々にマノップチャイの動きが鈍くなって行く。天野は5回に右アッパーでマノップチャイをのけぞらせる。左ボディブローを受け,しぶといマノップチャイが後退する。6・7回にも天野の執拗なボディ攻撃が続く。
 そして8回開始早々,ボディが効いているマノップチャイは天野のワンツーからの左ボディブローでたまらずダウン。辛うじて立ち上がったものの,カウントアウトとなった。

 天野はいつもどおりの基本に忠実なボクシング。左ジャブを突き,ワンツー,ボディへの左アッパーという攻撃を繰り返してしぶといマノップチャイを沈めた。ただし,正面からの攻撃に偏った感じがする。6回に一瞬だけ見せたように,左右に体を入れ替えての攻撃ができればボクシングに幅ができる。課題はそのあたりだと思う。
 マノップチャイは元世界王者シリモンコン・シンワンチャーの実兄。風貌もボクシングも弟と瓜二つ。鋭い左ジャブ,ストレートを主体とするボクサータイプで,非常にしぶとい。
 なお,この試合は6ポンドというウェイト差があり,2ポンドのグラブハンデをつけて行われたとのこと。しかし,そのことをリングアナもテレビの実況アナも一切説明していない。グラブハンデをつけた試合を見せるということは,料金を払った観客に欠陥のある商品を提供することと同じである。マノップチャイが契約ウェイトを守れなかったのかどうかは不明だが,傷モノの商品であることを明確にした上で観戦してもらう配慮が必要だし,コミッションの一考をお願いしたい。

8回までの採点 天野 マノップチャイ
主審:ビニー・マーチン *** ***
副審:吉田和敏 69 67
副審:鮫島英一郎 70 64
副審:熊崎広大 70 64
参考:MAOMIE 69 66


     ○天野:31戦21勝(11KO)7敗3分
     ●マノップチャイ:14戦9勝(2KO)5敗

     放送:G+
     解説:浜田剛史
     実況:高橋雄一

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                       2003年9月6日(土)   後楽園ホール
                              6回戦
              日本フェザー級(ノーランク)   T  K O   日本フェザー級(ノーランク)
             ○   粟生隆寛     2回49秒     柏原 広  ●
                (帝拳) 124 1/2 lbs                      (ヨネクラ) 124 3/4 lbs

 高校6冠,アマチュア戦績79戦76勝(27KO・RSC)3敗,58連勝中という輝かしいキャリアを誇る粟生。鳴り物入りでのデビュー戦は期待に違わぬ見事なTKO勝ちとなった。
 サウスポーの粟生。初回,力を抜いて軽い動きから早くもワンツーをボディに。ノーモーションからの左ストレートもヒットし,上々の滑り出し。そして,2回,左ストレート,右フックで柏原の動きを止めた粟生は一気に攻勢。必死に逃れようとする柏原に左ストレートを連発。最後はロープ際で左右フックの猛攻があったところで吉田主審がためらわず割って入った。

 見事なデビューとなった粟生。非常にスピードがあり,パンチも切れる。左ストレートをカウンターで合わせるタイミングも絶妙である。ボクサーにとって最も大切な目と勘が非常によく,非凡な才能の片鱗を見せた。貴重な逸材なので,あせらずじっくりと経験を積ませて欲しい。
 ただし,ガードを低くして勘に頼るディフェンスが気になる。これから上位を目指して行くには,しっかりしたディフェンスは不可欠である。

     主審:吉田和敏,副審:杉山利夫&熊崎広大&館秀男
     ○粟生:1戦1勝(1KO)     ●柏原:12戦5勝(1KO)6敗1分
     放送:G+     解説:セレス小林     実況:長谷川憲司

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            2003年9月7日(日)   名古屋市総合体育館レインボーホール
                WBC世界スーパー・バンタム級タイトルマッチ12回戦
               チャンピオン     T  K  O    挑戦者(同級6位)
          ○  オスカー・ラリオス   2回2分02秒     石井広三  ●
             (メキシコ) 121 3/4 lbs                       (天熊丸木) 122 lbs


 3度目の世界挑戦となった石井だが,ラリオスの強打を浴び,いいところなく敗退した。ラリオスは4度目の防衛に成功。
 練習中に石井が背筋を痛めて1カ月延期された一戦。石井は試合開始早々果敢に攻め込むが,ラリオスの伸びのいい左ジャブ,ストレートに接近を阻まれる。石井はこれをよくパリーし,左フックを振る。
 しかし,初回終盤,早くもラリオスの強打が火を噴いた。右アッパーのボディブローから右ストレートでぐらつく石井。チャンスと見たラリオスは一気に攻勢。右ストレート,左アッパーでぐらついたところにクロス気味の右ストレートを追い打ちされ,石井はたまらず横転。カウント8でかろうじて立ち上がったところでゴングに救われたが,足元がおぼつかず,誰の目にもダメージは明らかだった。
 そのダメージを引きずったまま迎えた2回。相打ち狙いで前に出る石井だが,スピードがなく,ラリオスの右ストレート,左フックの標的になった。右アッパーでガクッと膝が折れかかる石井。左右フック,アッパーを浴び,腰から落ちるダウン。何とか立ち上がったもののすでに戦える状態ではなく,猛攻にさらされた石井をデービス主審が救った。

 石井の強打が当たれば・・・という淡い期待はものの見事に粉砕された。背筋を痛めたと伝えられていたが,肋間神経痛だったことが判明。練習も思うに任せない状態だったようだ。表情にも体の動きにもどこか覇気がなく,相手の真正面に立ってしまうので,伸びのいいラリオスの強打の餌食になるのは時間の問題だった。進退問題も囁かれているが,正直なところ世界は無理としても日本・東洋レベルならばまだやれる。慌てて結論を出さず,故障を直し,あせらずじっくり今後のことを考えて欲しい。
 ラリオスは相変わらずの攻撃力を見せ付けた。ガードが甘く,そのボクシングは穴だらけだが,それを補ってお釣りが来るほどの攻撃力である。鋭い左ジャブ,ストレートで自分からチャンスを作って行く積極的なボクシングが身上。相手の手元でグッと伸びるパンチ,チャンスに見せる怒涛の攻勢は見事。
 しかしラリオスの課題は今後である。過去4度の防衛戦のうち3人は経験不足の日本人を撃退したもの。日本に挑戦者がいなくなって,本場のうまい相手とやることになったときに真価が問われるはず。

     主審:リッチー・デービス(英国),副審:チャック・ハセット(米国)&ジュリー・リーダーマン(米国)&フランツ・マルティ(タイ)
     ○ラリオス:54戦50勝(35KO)3敗1分     ●石井:35戦31勝(21KO)4敗
     放送:中京テレビ     解説:飯田覚士     実況:佐藤 啓

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             2003年9月7日(日)   名古屋市総合体育館レインボーホール
                  東洋太平洋ウェルター級タイトルマッチ12回戦
                 チャンピオン              挑戦者(同級5位)
             ○  渡辺 博    判 定    ドンドン・スルタン ●
                (天熊丸木) 146 1/4 lbs          (比国) 146 3/4 lbs

 終始主導権を掌握していたスルタンの王座奪取が確実と思われたが,耳を疑うような判定になった。
 お互いに手数が少なく,静かな立ち上がりになったが,2回,スルタンが均衡を破る攻勢を見せた。左ガードを下げて渡辺を誘い,右フックでぐらつかせて一気のラッシュ。終了間際にも右アッパーを食った渡辺が後退する場面があった。
 4回,左右フックで反撃する渡辺だが,逆にスルタンのワイルドな左右フックにコーナーを背に守勢に回った。そして,5回,渡辺は強引な左右ボディブローでスルタンに襲いかかるが,一瞬の隙を突かれ,右フックをテンプルに受けて痛恨のダウン。ここまではほぼスルタンの一方的なペース。
 6回,渡辺は強引なボディ攻撃で反撃に出るが,スルタンの右アッパーを食う場面もあった。9回には右アッパーがヒットし,渡辺のアゴが上を向く場面も見られた。10・11回も左右フックで仕掛ける渡辺だが,スルタンの右フック,アッパーを食う。

 この判定は日本ボクシング界の信用問題に関わる。なぜこういう判定に至ったのか,JBCは徹底的に検証すべきである。
 渡辺はスタミナと粘りは立派だが,スピードがなく,動きにも精彩を欠いて,王者の風格は微塵も感じられなかった。東洋最強を標榜するのであれば,地元から飛び出し,国内の有力者との対戦で自らの実力を証明する必要があるのではないか?湯場忠志(都城レオスポーツ),小林秀一(レパード玉熊),前田宏行(角海老宝石)らの挑戦を受け,ぜひ汚名返上をお願いしたい。
 不可解な判定に泣いたスルタン。やや変則的な右ファイタータイプである。左ガードを下げ,相手の目の前に顔を突き出すようにして誘い,機を見て右アッパー,フックを狙い打ちする。パンチ力はないが,なかなかしぶとい曲者である。

採点結果 渡辺 スルタン
主審:柳完洙(韓国) 115 114
副審:伊藤孝臣 115 113
副審:ラミレス 111 118
参考:MAOMIE 113 118

     ○渡辺:23戦19勝(13KO)2敗2分
     ●スルタン:12戦8勝(2KO)3敗1分
     放送:ファンによる生録りビデオ
     解説:なし
     実況:なし

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               2003年9月8日(月)   後楽園ホール
                 日本ライト級タイトルマッチ10回戦
               チャンピオン            挑戦者(同級7位)
           ○  嶋田雄大   判 定    川島辰久  ●
            (ヨネクラ)  134 1/4 lbs                (三迫)  134 1/2 lbs

 嶋田が見事な試合巧者ぶりを見せて3度目の防衛に成功した。
 170aの嶋田に対し,180aの長身・川島の対決。身長・リーチで劣っているはずの嶋田の左ジャブ,ストレートがよく当たる。初回,ガードを高く上げた構えから,前に前に出て,左ジャブ,ストレートを突き,試合を作って行く。右クロスもクリーンヒットし,早くも嶋田のペース。
 3回にも嶋田の左ストレートがヒット。川島も気迫十分だが,嶋田に先手先手を攻められ,思うようなボクシングができない。4回には嶋田の右ストレートで川島はグラリとよろめく。嶋田は右フック,左ストレート,フックで攻勢に出てダウン寸前まで川島を追い込んだ。
 中盤以降も嶋田のうまさが光る。常に前に出て,左で先手を取る積極的なボクシングで川島につけ入るスキを与えない。終盤,川島も必死の反撃を試みたが,嶋田には余裕さえ感じられる。左ジャブ,ストレートに続く左右フックを的確に決め,最後まで川島を圧倒した。

 嶋田の見事なボクシングが光った。ガードを高く上げた独特の構えから常に左ジャブ,ストレートで先手を取る積極的な試合運びは円熟味さえ漂っていた。踏み込みが鋭く,左がよく伸びるので,身長・リーチでの不利をまったく感じさせない。チャンスのときのラッシュも,やみくもに攻めるのではなく,相手をよく見てポジションを変えて角度の違ったパンチを決めるなど,工夫の痕跡が見られた。32歳という年齢だが,東洋・太平洋タイトルへのステップアップや新鋭・稲田千賢(帝拳)との対戦など,今後が非常に楽しみになって来た。
 川島はリーチを生かしたワンツーを得意とするボクサータイプ。気迫は十分で最後まで試合を捨てないスピリットは見事だったが,身長・リーチで劣る嶋田に左の刺し合いで負けていては突破口は開けない。

採点結果 嶋田 川島
主審:浅尾和信 *** ***
副審:浦谷信彰 98 93
副審:吉田和敏 99 93
副審:ビニー・マーチン 98 93
参考:MAOMIE (60) (54)


     ○嶋田:17戦13勝(8KO)3敗1分
     ●川島:31戦19勝(7KO)9敗3分

     放送:フジテレビ
     解説:川島郭志
     実況:桜井堅一朗

※ 第1・3・4・7・9・10ラウンドのみを放送(MAOMIEの採点は放送されたラウンドのみの集計結果です)。

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                 2003年9月8日(月)   後楽園ホール
                          8回戦
             日本ミドル級7位   K      O    韓国ミドル級7位
           ○  保住直孝    1回1分42秒    李 京勲  ●
              (ヨネクラ) 163 1/4 lbs                      (韓国) 162 1/2 lbs


 保住は昨年10月の世界挑戦でWBA王者ウィリアム・ジョッピー(米国)に10回TKO負けして以来の再起戦。
 初回開始早々,ドッシリした構えから,左ジャブをビジビシ決めて好調を印象付ける保住。中盤,左アッパーが李のボディに決まる。このパンチを受けて逆に向かって来た李に対し,保住は落ち着いて,まず左フックを上に打っておいて,間髪入れずガラ空きのボディに渾身の左アッパー。李はたまらず腹を抱えて後退し,ロープ際で崩れるようにダウン。立ち上がったものの,すでに戦意はなく,カウントするマーチン主審に『もう戦えない』というジェスチュア。カウントアウトと同時に李陣営からタオルが投入された。

 保住は非常に落ち着いており,鋭い左ジャブを多用した基本に忠実なボクシング。左フックで上に注意を引き付けておいて放った左ボディブローであっさり勝負を決めた。今後の方向性が注目されるが,元々今夜のような基本に忠実なボクシングにいいものを持っている。ぜひ今夜の感触を忘れないで欲しい。
 李は少々不甲斐ないKO負け。実力差はあったが,もう少し”抵抗”して欲しかった。

     主審:ビニー・マーチン,副審:浦谷信彰&浅尾和信&葛城明彦
     ○保住:26戦22勝(19KO)3敗1分     ●川島:9戦4勝(2KO)5敗
     放送:フジテレビ     解説:川島郭志     実況:近藤雄介

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                     2003年9月20日(土)   後楽園ホール
                   日本スーパー・フェザー級タイトルマッチ10回戦
                 チャンピオン     負傷引き分け    挑戦者(同級2位)
             ×   本望信人   4回1分08秒     中村つよし   ×
                  (角海老宝石)  130 lbs                    (スペースK)  130 lbs


 両者がペースアップし,これから盛り上がるという矢先のアクシデントにより,引き分けとなった。両者ともに悔いを残す結果となり,再戦を望む。本望は3度目の防衛に成功。
 本望はスタートから絶好調。いつもどおりのリラックスした軽い動きで左に回り,スピード豊かな左ジャブ,ストレートを多用する。中村も左ジャブから入るが,本望のスピードが一枚上。初回終了間際,本望のワンツー,左フックがヒットし,中村の動きが止まる。
 2回,本望は右から左の”逆ワンツー”を決める。速射砲のような左ジャブを連発しながら左に回るセオリーどおりのボクシング。中村は本望のうまさと先手先手を取るボクシングについて行けない。3回には中村も右アッパー,ワンツーをヒットして反撃するが,本望は落ち着いている。
 そして白熱しかけた4回,中村をアクシデントが襲った。本望は左ジャブを連発し,右ストレートをヒット。中村も負けずに右ストレートをお返し。しかし,1分過ぎ,リング中央でパンチを放とうとした両者間でバッティングが発生。中村は右目上をカットして激しく出血。浦谷主審が試合を中断し,ドクターの診断を仰ぐ。結果は骨が露出するほどの負傷で,試合続行不能の診断が下り,そのまま試合終了となった。4回途中での中止のため,ルールにより引き分け。

 スピード豊かなボクシングに定評のある本望は軽いフットワーク,速くて伸びのいい左ジャブ,ストレートを身上とするボクサータイプ。一発で倒すパワーには欠けるが,目と勘が非常によく,確かなテクニックに裏打ちされた技巧派の代表格である。ディフェンス重視のボクシングだが,けっして守り一辺倒に回ることがなく,手数を多くして常に先手先手を取って行く積極的な試合運びが長所になっている。リングの面積をフルに使う機動力十分の試合ぶりが特長である。
 国内の強敵を連破していることで,本望に対して『世界を』という声もあるが,まだ世界クラスの相手とはやっていないため,ぜひテストマッチを計画するべきである。国内屈指のテクニシャンのひとりであり,然るべき段階を踏んで慎重にステップアップをして欲しい。
 中村は名古屋期待のホープ。右ストレート,アッパーを武器とするボクサーファイターである。しかし今夜は本望のうまさ,スピードに翻弄された感じ。パンチ力はあるが,アウトサイドからのパンチが主体なので,攻め込むときにガードが開いてしまう悪い癖がある。この辺に改良の余地がある。傷を早く直して再戦を期待する。

     主審:浦谷信彰,副審:島川威&内田正一&鮫島英一郎
     ×本望:28戦22勝(5KO)4敗2分     ×中村:25戦20勝(10KO)3敗2分
     放送:G+     解説:葛西裕一     実況:船越雅史

※ 中村偶然のバッティングで負った傷によって4回途中に試合続行不能となったもの。偶然による負傷によって試合の前半に試合が停止したため,負傷引き分けとなる。

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                       2003年9月20日(土)   後楽園ホール
                                10回戦
                 日本ライト級(ノーランク)    T   K  O    日本ライト級9位
               ○  鈴木哲記
       6回2分57秒    伊地知 崇  ●
                (ワールド日立) 134 1/4 lbs                      (角海老宝石) 135 lbs

                鈴木哲記=すずき・あきのり

   沖縄・興南高時代,アマで高校3冠という実績を誇る伊地知だが,7月の久保田和樹(相模原ヨネクラ)戦に続き,しつこく粘り強いファイタータイプに痛い黒星を喫した。
 初回から積極的に仕掛ける鈴木。伊地知はこれを下がりながらさばき,左アッパーをカウンターする。しかし,やや強引な鈴木の右ストレートがクリーンヒット。2回,逆に伊地知の右ストレートが決まって鈴木の膝が折れかかる。伊地知はボディに左アッパーを放ち,落ち着いている。3回には鈴木は伊地知の有効打で左目上をカット。伊地知は強引に攻める鈴木に右ストレート,左アッパーをヒットする。
 4回に入ると,逆に伊地知が眉間をカットし,激しく出血し中断。これも有効打によるもの。伊地知は右フックをヒットして鈴木をぐらつかせるが,鈴木も負けてはいない。左アッパーのボディブローから右フックで伊地知の動きが止まる場面が見られた。
 5回,鈴木の果敢な左右フック攻撃を持て余した伊地知は守勢に回る。眉間からの出血で再び中断。
 そして6回に勝負が決まった。鈴木は思い切りよく右フックのボディブローを連発。元気がない伊地知は再び守勢に回り,鈴木の右フックを受けて大きくよろめく。チャンスと見た鈴木は一気に攻勢。ロープに詰まった伊地知が右ストレートを受けたところで,ついに島川主審がストップした。

 殊勲の鈴木は旺盛なファイティングスピリットと手数で果敢に攻め込むファイタータイプ。左右フック,右ストレートを武器にどんどん手を出して来る。しかし,パンチにウェイトが十分に乗っていないことが難点。これを矯正すればKO率もアップするはず。
 伊地知はせっかくの好素材なのに,もったいない。左ジャブ,アッパー,ワンツーなどの多彩なコンビネーションブローを持っているが,ボクシングが後手で,受身に回ってしまう悪い癖を露呈した。下がりながらチャンスを待つのではなく,むしろ自分から前に出て,先手を取って行くようにするべき。今夜の試合ぶりはどこか覇気が感じられず,思い切りのいい鈴木のペースにはまった。いい素質をしているので,もう少し自信を持ってやるべき。このままでは,せっかくの好素材も宝の持ち腐れになり兼ねない。

5回までの採点 鈴木 伊地知
主審:島川威 *** ***
副審:住吉栄一 49 47
副審:浦谷信彰 48 47
副審:金谷武明 50 47
参考:MAOMIE 48 47


     ○鈴木:13戦8勝(2KO)3敗2分
     ●伊地知:10戦5勝(3KO)4敗1分

     放送:G+
     解説:葛西裕一
     実況:高橋雄一

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                        2003年9月20日(土)   後楽園ホール
                                 8回戦
              ベネズエラ フェザー級(ノーランク)    K      O   韓国S・バンタム級5位
             ○  ホルヘ・リナレス       2回2分12秒     兎 正根  ●
               
   (ベネズエラ) 125 lbs                           (韓国) 122 1/2 lbs

 帝拳の契約選手リナレス(18歳)の圧勝。現役の韓国ランカーをまったく問題にしない見事なKO勝ちだった。
 リナレスはスタートからスピード十分。踏み込んで左ストレートをボディに送る。ワンツーは浅かったが,左ジャブが鋭く,兎はまったく中に入れない。
 試合は2回,呆気なく決まった。兎は左右フックを振って攻め込むが,リナレスの左ストレートをまともに受けてのけぞる。中盤,赤コーナー近くで,リナレスの左フックからの右ストレートで兎は仰向けにダウン。かろうじて立ち上がったものの,打ち下ろしの右ストレートで2度目のダウン。内田主審はそのままノーカウントでストップした。

 リナレスはリーチに恵まれたボクサータイプ。低くしたガードからグラブを小刻みに動かしてチャンスを窺い,踏み込んで左ストレート,ワンツーを放つ。スピード十分で,懐が深いので,相手にとっては非常にやりにくい。パンチも切れ,限りない将来性を感じさせる。今の段階では何も言うことがないほど。あせらずじっくりキャリアを積ませて欲しい。
 いいところなく完敗となった兎は小柄だが,左右フックを振って果敢に攻め込むファイタータイプ。

     主審:内田正一,副審:住吉栄一&鮫島英一郎&金谷武明
     ○リナレス:6戦6勝(4KO)     ●兎:6戦5勝(0KO)1敗
     放送:G+     解説:なし     実況:舟津宜史

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                    2003年9月26日(金)  大阪市中央体育館
                             10回戦
                WBC世界バンタム級7位           WBC世界バンタム級19位
              ○   辰吉丈一郎    判 定   フリオ・セサール・アビラ   ●
                  (大阪帝拳) 119 lbs               (メキシコ) 118 1/2 lbs

                     WBA7位

 辰吉の復帰第2戦は大苦戦の末,アビラがオープンブローで2度の減点をとられたことに救われた薄氷の勝利となった。
 ますまずの滑り出しを見せた辰吉。初回,左に回って左ジャブ,フックを浴びせる。2回,アビラは辰吉をロープに詰め,強引な左右フックでボディを叩くが,辰吉は落ち着いている。4回後半,アビラをロープに詰めた辰吉は細かい連打を浴びせ,右ストレートをヒットしてリードする。
 5回開始早々,アビラの右目上カットによる出血で一時中断する。これは4回終了間際のバッティングによるものと思われる。アビラは攻勢に出るが,左フックがナックルパートで当たっておらず,オープンブローで減点された。
 しかし,辰吉がまずまずの動きを見せたのはここまで。6回,動きが鈍くなった辰吉はロープを背にし,アビラの強引なボディ攻撃を許す。アビラの右目上からの出血で再び中断。
 辰吉にとっての最大のピンチは8回。アビラは右ストレートでチャンスを掴み,大振りの左右フックで攻勢。辰吉は急激に動きが鈍り,再三棒立ちとなる。右ストレートでロープに飛ばされ,辛うじてゴングに救われた。9回にもアビラが攻勢をかける。オープンブローで再び減点されたが,動きが鈍い辰吉に左右フックを浴びせる。最終回も辰吉は精彩を欠き,アビラの強引なボクシングにタジタジとなった。

 辰吉は当初7月6日に世界ランカーのウーゴ・ディアンソ(メキシコ)との対戦が決まっていたが,左大腿部肉離れのために延期。対戦相手も格下のアビラに変更しての試合。足の故障そのものに加え,ロードワークが十分にできなかったためか,足が動かず,体の切れも最悪。そのためパンチの威力も好調時とはほど遠いものだった。
 辰吉の持ち味は前後左右への足の動きに乗せた鋭い左ジャブ,フックからワンツーあるいはボディへの左アッパーにつなげる速攻のはず。過去に快勝した試合は,すべて足の動きが伏線になっている。その生命線である足に故障があっては,多くは望めない。
 今夜はアビラの雑な攻撃に救われた感じだが,回転のいい連打が出る相手だったらKOされていただろう。陣営は世界挑戦を目論んでいるようだが,今夜のデキでは無理。事故が起きても不思議ではない。計画の練り直しが求められる。
 アビラは左右フックを強振して突進するファイタータイプ。スピードやパンチの切れはないが,とにかく粘り強い。一発一発踏ん張ってパンチを放つので,攻撃のつなぎが悪いのも欠点である。

 今夜の試合は原田主審のレフェリングに問題がある。確かにアビラのパンチはナックルパートが返っておらず,オープンブローがあったことは間違いないが,2度も減点されるほどではないだろう。また,右目上からの出血はあったが,アビラが辰吉をロープに詰めて攻勢をかけている最中に割って入り,ドクターチェックを受けさせるなど,誤解を招く動きが目立った。
 また,9回終了のゴング後に両者がパンチの交換を続行し,興奮した大鵬健文トレーナーがアビラの足を蹴り,突き飛ばすという行為に及んだ。アビラ陣営の抗議もあったが,辰吉自身がアビラに謝罪する一幕もあった。大鵬トレーナーの行為は言語道断。JBCとして厳重な処分を望む。

採点結果 辰吉 アビラ
主審:原田武男 *** ***
副審:上中一郎 95 93
副審:安田裕候 95 93
副審:宮崎久利 95 93
参考:MAOMIE (85) (85)


     ○辰吉:26戦19勝(13KO)6敗1分
     ●アビラ:37戦21勝(9KO)15敗1分

     放送:読売テレビ
     解説:六車卓也
     実況:山本純也

※ 第7ラウンドをカットして放送(MAOMIEの採点は放送されたラウンドのみの集計結果です)。

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