熱戦譜〜2003年6月の試合から


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試合日 試合 結果
2003.06.07  日本スーパー・バンタム級
 タイトルマッチ10回戦
 中島吉謙  判定  渡辺純一
2003.06.09  日本ミニマム級
 タイトルマッチ10回戦
 小熊坂 諭  判定  正藤秀明
2003.06.21  ノンタイトル10回戦  ランディ・スイコ  判定  藤田和典
2003.06.21 8回戦  宮城誠  TKO4R  パランチャイ・ソー・ウォラピン
2003.06.21 8回戦  松橋拓二  TKO1R  李朱永
2003.06.23  WBC世界ミニマム級
 タイトルマッチ12回戦
 ホセ・アントニオ・アギーレ  TKO12R  星野敬太郎
2003.06.23  WBC世界スーパー・フライ級
 タイトルマッチ12回戦
 徳山昌守  判定  川嶋勝重


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                         2003年6月7日(土)  後楽園ホール
                       日本スーパーバンタム級タイトルマッチ10回戦
                      挑戦者(同級2位)           チャンピオン
                  ○    中島吉謙     判  定   渡辺純一  ●
                      (角海老宝石) 122 lbs                (楠三好) 122 lbs


 予想を覆す中島の完勝。世界戦を視野に入れていた渡辺は痛い星を落とし,文字どおり”鼎の軽重”を問われる結果になった。
 中島は左右への素早い足の運びで渡辺に的を絞らせず,機を見てワンツー,左フックをまとめる作戦が見事に的中した。
 前半こそ一進一退だったが,6回に入ってスピーディなパンチを狙い打ちした中島が完全に試合の主導権を掌握した。それ以降はあせり気味に突っ込む王者を若い中島がさばくという展開に終始。パワーで圧倒的に優る渡辺は倒そうという意識が強過ぎ,自慢の強打も空転する場面が目立った。

 キャリアの浅い中島が最後まで冷静さを保ち,セコンドの指示を忠実に守って自分のボクシングに徹したのは立派の一語に尽きる。実によく渡辺を研究していた痕跡がみられた。
 今夜は強打の渡辺が相手ということもあり,踏み込み不足が目立ったが,スピードがあり,今後が楽しみなボクサータイプ。素早い足の動きだけでなく,ハンドスピードや前面に出ている勝とうとする姿勢が非常にいい。勝利者インタビューでの応答も謙虚で礼儀正しく,非常に好感が持てた。
 一方の渡辺は,”最もやってはいけないボクシング”をやってしまった感じがする。中島とは何度もスパーリングでグラブを交えているためか,油断もあっただろう。おそらく,これほどよく研究されていることは予想外だったと思う。接近するための捨てパンチがなく,突っ立ったまま前に出て来るので,中島の思うツボにはまってしまった。
 上体の動きが少なく,パンチを出さずに突っ立ったまま向こうからドンドン前に出て来てくれる。渡辺には厳しい言い方だが,挑戦を受ける立場なら,こんなに楽な相手はいないだろう。

採点結果 中島 渡辺
主審:福地勇治 *** ***
副審:内田正一 97 94
副審:山田一公 97 95
副審:浦谷信彰 96 94

     ○中島:22戦13勝(3KO)5敗4分
     ●渡辺:32戦28勝(19KO)4敗

     放送:G+
     解説:ファイティング原田&浜田剛史
     実況:舟津宜史

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                        2003年6月9日(月)  後楽園ホール
                        日本ミニマム級タイトルマッチ10回戦
                       チャンピオン           挑戦者(同級5位)
                 ○   小熊坂 諭    判 定   正藤秀明   ●
                     (新日本木村) 104 3/4 lbs           (エディタウンゼント) 105 lbs


 小熊坂が苦戦の末,辛うじて初防衛に成功した。
 サウスポー同士の一戦。小柄な正藤が積極果敢に仕掛ける。168センチという,このクラスでは恵まれた上背のある小熊坂だが,リーチを生かした右ジャブ,ストレートが出ない。そのため,正藤の接近を許し,足を止めてのラフな打ち合いに応じる場面が目立つ。正藤の右フック,左ストレートでぐらつく場面も何度か見られた。
 試合は激しい打ち合いに終始したが,敗れた正藤の方が持ち味を十分に出したという感じがする。中間距離に強い小熊坂を警戒し,徹底的に接近戦に持ち込んだのは作戦としては成功であり,ほぼ思惑どおりの試合ができたはず。全般を通じて,距離そのものは正藤の距離だった。今後の自信につながると思う。
 一方,思わぬ苦戦を強いられた小熊坂。苦戦の原因は相手の接近をストップする右ジャブ,ストレートが出なかったこと。上背,リーチに恵まれているのだから,もっと右を活用すべきである。パンチ力に自信があるのだろうが,相手に合わせてラフになることはない。低いガードのまま真正面から打ち合うのは非常に危険。もっとコンバクトにパンチを振り切ることを心がけるべきである。
 本人は”世界”を口にしているが,このデキではダメ。いくらパンチに自信があっても,あの程度では世界レベルではすぐに捕まってしまうだろう。右フック,左ストレートに,国内のこのクラスでは破格の威力を秘めており,戦い方さえ工夫すれば今後に展望が開けて来るはず。

採点結果 小熊坂 正藤
主審:内田正一 *** ***
副審:吉田和敏 97 96
副審:館秀男 97 96
副審:安部和夫 96 95
参考:MAOMIE 97 96


     ○小熊坂:26戦18勝(9KO)5敗3分
     ●正藤:19戦11勝(4KO)6敗2分

     放送:フジテレビ739
     解説:川島郭志
     実況:桜井堅一朗

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                         2003年6月21日(土)  後楽園ホール
                                 ノンタイトル10回戦
              東洋太平洋S・フェザー級チャンピオン         日本S・フェザー級3位
              ○   ランディ・スイコ       判 定    藤田和典   ●
                  (比国) 131 1/2 lbs                   (倉敷守安) 132 lbs

 スイコはWBA・7位,WBC・3位にランクされる実力者。藤田もよく健闘したが力の差は如何ともしがたく,スイコのワンサイドゲームとなった。
 スタートから鋭い左ジャブ,上下の左アッパー攻撃,ワンツーのコンビネーションで一方的にスイコが攻めまくった。藤田はガードをガッチリ固めて前身するのが精一杯。2回にバッティングで右側頭部から出血した藤田は鼻血も流して苦しい戦い。中盤からは顔が変形しながらも果敢に前進し,ときおり左フックを放つが,勘のいいスイコにはクリーンヒットしない。終盤に右拳を痛めたスイコはフィニッシュできなかったが,足を使いながらワンツー,左アッパーを藤田に浴びせた。

 藤田は大差の判定で敗れたが,その気力・粘りは見事。普通なら中盤で倒れていたところだろう。
 スイコはもはや東洋には敵なしの状態。長身でリーチに恵まれたボクサータイプで,低めのガードから放つ左ジャブ,ワンツー,アッパーが非常に鋭い。ボクシングセンスは抜群である。足も使えるし,ボディも打てる。しかし,世界を目指すにはもう一歩の詰めが欲しい。チャンスに一気に攻め込んで,相手を斬り落とす激しさが備われば楽しみな選手である。ジョー小泉氏のマネジメントで今後どのように伸びていくか,非常に注目される。
 7回終了間際に藤田の”すくい投げ”によってスイコが投げ飛ばされ,スイコ側の抗議でインターバルが1分間延長されるハプニングがあった。このときのビニー・マーチン主審の処置が曖昧だった。減点せず,いきなりインターバルを延長するのは頂けない。反則行為であるから,まず藤田に減点を課し,それから必要に応じてスイコに休憩を与えるべきだった。リングアナウンサーの説明も聞き取れず,非常に不明瞭な印象を与えた。すでにワンサイドゲームだったので特に紛糾しなかったが,クロスゲームであれば揉めた場面だろう。

採点結果 スイコ 藤田
主審:ビニー・マーチン *** ***
副審:熊崎広大 99 93
副審:鮫島英一郎 98 93
副審:安部和夫 99 93
参考:MAOMIE 100 90


     ○スイコ:20戦20勝(17KO)
     ●藤田:20戦16勝(8KO)4敗

     放送:G+
     解説:葛西裕一
     実況:高橋雄一

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                    2003年6月21日(土)  後楽園ホール
                            8回戦
             日本L・フライ級3位    K      O       タイ国ミニマム級2位
         ○    宮城 誠      4回3分03秒    パランチャイ・ソー・ウォラピン●
              (帝拳) 106 1/2 lbs                           (タイ) 105 1/2 lbs

 変わり身の早いパランチャイを攻めあぐねた宮城だが,4回にボディ攻撃から突破口を開き,鮮やかなKO勝ちとなった。
 サウスポースタイルの宮城は初回から前に出て左ストレートでのけぞらせるなど,好調な滑り出し。一方,2回にはパランチャイも素早く変則的な動きから右ストレートをボディに,上に左フックを返して応戦。右ジャブ,フックが出ない宮城は変わり身の早いパランチャイを崩せない。
 しかし,4回に入り,宮城はボディにパンチを集めて攻勢。左ストレートでロープに飛ぶパランチャイ。急に失速したパランチャイは宮城の左右フックからの左ストレートで仰向けにダウンし,そのままKOとなった。

 小気味よく回転する連打が身上の宮城。日本タイトル挑戦にあと一歩という地位にいるが,せっかくいいコンビネーションを持っているのだから,もっと右ジャブ,フックを多用することが必要である。そうすれば得意の回転の速い連打がもっと生きてくるはず。

     主審:浦谷信彰,副審:熊崎広大&ビニー・マーチン&葛城明彦
     ○宮城:16戦13勝(6KO)2敗1分     ●パランチャイ:22戦14勝(2KO)8敗
     放送:G+     解説:なし     実況:長谷川憲司

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                  2003年6月21日(土)  後楽園ホール
                          8回戦
           日本S・ウェルター級7位     T  K  O    韓国S・ウェルター級8位
        ○   松橋拓二      1回2分40秒      李 朱永   ●
             (帝拳) 153 1/2 lbs                        (韓国) 154 1/2 lbs

 松橋の圧勝だった。開始早々,ワンツー,左右フックで李をコーナーにつめる松橋。李は早くも腰が引ける。抱きついて必死に逃れようとする李に対し,なおもワンツー,ボディへの左アッパーで圧倒する。左フック,アッパー,右フックの猛攻で防戦一方になったところで熊崎主審がストップした。

 昨年8月に喫したよもやのKO負けからの再起第1戦を見事に飾った松橋。今夜はスピード,パワー,気迫ともに申し分なかった。強打を恐れて必死に抱きついてくる李を振りほどいて左アッパーをボディに連発するなどのうまさも見せた。欲を言えば上体の動きが欲しい。今夜は力でねじ伏せたが,左右の足の動き,上体の動きに乗せたコンビネーションが出れば,タイトル挑戦のチャンスも近い。

     主審:熊崎広大,副審:安部和夫&浦谷信彰&葛城明彦
     ○松橋:5戦4勝(4KO)1敗     ●李:7戦3勝(2KO)3敗1分
     放送:G+     解説:なし     実況:舟津宜史

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                      2003年6月23日(月)   横浜アリーナ
                       WBC世界ミニマム級タイトルマッチ12回戦
                 チャンピオン        T   K   O   挑戦者(同級9位)
          ○  ホセ・アントニオ・アギーレ   12回2分15秒    星野敬太郎  ●
                 (メキシコ) 105 lbs                             (花形) 105 lbs


 星野は終盤失速したアギーレを追い詰めながら,気を抜いた瞬間に強打を浴びてのTKO負けとなり,勝てた試合を落とした。
 星野は上々の滑り出しだったが,2回以降は手数が少なく,アギーレの左右ストレート,ボディへのワイルドな左右フックを許す。ときおり右フックのカウンターでアギーレをぐらつかせ,何度かチャンスを迎えたが,相手を見てしまう悪い癖が災いし,決定的なリードには至らない。
 10回,疲れを見せたアギーレに対し,星野は右フックでぐらつかせ,さらに右アッパー,左フックを浴びせてプレッシャーをかける。動きの鈍ったアギーレは鼻血を出して苦しい戦い。
 星野は11回にも失速気味のアギーレに左フック2発から右ボディブローをヒットし攻勢をかける。しかし,終盤,接近戦からの離れ際で気を抜いた瞬間にアギーレの強烈な左フックを食って今度は星野がピンチ。逆に息を吹き返したアギーレが重いワンツー,左ボディブローで一気に反撃に出た。
 12回,再びアギーレが一気に攻勢。大きい左フックを受け,星野,崩れるようにダウン。辛うじて再開したが,アギーレのワンツー,左ボディブローなどで防戦一方になったところでストップとなった。

 星野の最大の敗因は手数が少なかったこと。アギーレは前回の来日時に比べても極端にスピードがなく,星野がもう少し前後の出入りの動きを織り交ぜて手数を多くしていればと悔やまれる。アギーレのパンチは見た目以上に重かったのだろう。前半からブロックはしていたものの,徐々にダメージが蓄積していたのか,10,11回のチャンスに詰め切れなかったのが痛い。アギーレはディフェンスも甘く,星野にとっては王座奪取の最大のチャンスだったが・・・・・。
 一方,辛うじて7度目の防衛に成功したアギーレの強打はこのクラスでは破格。アップライトスタイルから左右のストレートを突き,相手がひるんだところにワイルドな左右フックでボディを叩いてくる。右のフェイントから左アッパーでアゴを狙い打ちするなどのうまさも見せた。
 アギーレは星野のカウンターを浴びて何度もピンチに陥ったが,前半から積極的に攻め続けていたため,星野がダメージを蓄積していたことで救われた感じがする。しかし,今夜の試合内容では前途多難である。

11回までの採点 アギーレ 星野
主審:ブルース・マクタビッシュ(比国) *** ***
副審:ヒューバート・ミン(米国) 106 103
副審:オレン・シュレンバーガー(米国) 106 103
副審:ダニエル・ヴァン・デ・ヴィーレ(ベルギー) 105 106
参考:MAOMIE 107 104


     ○アギーレ:32戦30勝(19KO)1敗1分
     ●星野:32戦23勝(6KO)10敗

     放送:テレビ東京
     解説:渡嘉敷勝男&畑山隆則
     実況:久保田光彦

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                   2003年6月23日(月)   横浜アリーナ
                   WBC世界スーパーフライ級タイトルマッチ12回戦
                   チャンピオン             挑戦者(同級5位)
              ○  徳山昌守    判 定    川嶋勝重   ●
                  (金沢) 115 lbs                 (大橋) 115 lbs

               

 激しい打ち合いになったが,地力で優る徳山が川嶋を制し,7度目の防衛を果たした。
 徳山は3回まで左に回りこんで鋭い左ジャブ,ストレートを多用し,川嶋をまったく寄せつけない。左アッパーに続く右ストレートが冴え渡り,好調な滑り出しだった。
 しかし,拳を痛めたのか中盤からは得意の左が出なくなり,川嶋の接近を許す場面が多くなった。一方の川嶋は上体を小刻みに振って挑戦者らしく果敢に攻め込んだが,大振りで雑な攻めが目立ち,決定的なポイントにつながらない。川嶋はミスパンチで勢い余ってスリップダウンする場面もあった。
 徳山は突進する川嶋を突き放したいところだが,自身のスタミナも切れ,思うに任せない。終盤は両者死力を振り絞っての乱戦となったが,お互いに決定打にはならなかった。

 熱戦といえば熱戦だが,中盤から徳山本来の左と足を生かしたボクシングが見られなかった。本来の左ジャブ,ストレートを突いては左に回りこんで右ストレート,左アッパーにつなげるボクシングを踏み外してはいけない。WBA王者のアレクサンデル・ムニョス(ベネズエラ)との統一戦に臨むには,これを忠実に守ることが最低限の条件である。
 川嶋はよく健闘したが,大振りのミスパンチが目立ち,雑な攻めに終始したのが残念。懐の深い徳山を崩すためには,もう少しフェイントを使うとか,前後左右に揺さぶりをかけるなどの工夫が欲しかった。
 徳山にとって日本人相手の防衛戦はこれが3度目。そろそろ中南米,欧州などの本格派を相手にしないと防衛回数だけを重ねても評価されない。それだけの素材であり,周囲の期待も大きいことを忘れてはいけない。

採点結果 徳山 川嶋
主審:浦谷信彰 *** ***
副審:森田 116 114
副審:宮崎久利 116 112
副審:アネック・ホントンカム(タイ) 116 112
参考:MAOMIE 119 115


     ○徳山:32戦29勝(8KO)2敗1分
     ●川嶋:26戦23勝(16KO)3敗

     放送:テレビ東京
     解説:渡嘉敷勝男&畑山隆則
     実況:久保田光彦

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